当中間連結会計期間において、新たに発生した重要な事業等のリスク及び前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクの重要な変更はない。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものである。
当中間連結会計期間における自動車業界は、販売競争激化と、急激な為替変動、インフレーションの影響を受ける厳しい環境が続いた。特に米国市場では業界全体の在庫、販売奨励金共に増加傾向である。2024年1月から6月までの中国市場においては、バッテリーEV、プラグインハイブリッド車などの新エネルギー車への急激なシフトと、販売競争激化の状況が続いた。
このような環境の中、グローバル全体需要は、前中間連結会計期間(以下、「前年同会計期間」という。)に比べ2.0%増の4,143万台となった。当社グループのグローバル小売台数は前年同会計期間に比べ1.6%減の159万6千台となった。売上高は5兆9,842億円となり、前年同会計期間に比べ791億円(1.3%)の減収となった。営業利益は329億円となり、前年同会計期間に比べ3,038億円(90.2%)の減益となった。
営業外損益は831億円の利益となり、前年同会計期間に比べ72億円の増益となった。経常利益は1,161億円となり、前年同会計期間に比べ2,966億円(71.9%)の減益となった。特別損益は255億円の損失となり、前年同会計期間に比べ108億円の改善となった。税金等調整前中間純利益は906億円となり、前年同会計期間に比べ2,858億円(75.9%)の減益となった。親会社株主に帰属する中間純利益は192億円となり、前年同会計期間に比べ2,770億円(93.5%)の減益となった。
当社は、コスト競争力やブランド力などの課題に対処し、業績を回復させ、市場の変化に迅速に対応できる「スリムで強靭な事業構造」に再構築するための以下の緊急対策を講じている。
1.事業の安定化と適正化
2026年度までに年間350万台の販売でも持続可能な収益性とキャッシュを確保できる体制、収益構造へ変革していく。主な取り組みは以下のとおり。
- グローバルの生産能力:20%削減
- グローバル人員数:9千人削減、販売管理費の削減
- 製造原価(変動費)の削減
- 会社資産の合理化
- 設備投資と研究開発費の優先順位を見直し
2.中長期的な商品力強化/確実な成長
戦略的パートナーシップの推進などにより、投資効率と商品競争力を高めながら、経営計画「The Arc」を実行する。
当中間連結会計期間のキャッシュ・フローは、営業活動により2,094億円減少、投資活動により4,554億円減少、財務活動により312億円増加した。また、現金及び現金同等物に係る換算差額により274億円増加した結果、現金及び現金同等物の当中間連結会計期間末残高は、前連結会計年度末残高に対し6,062億円(28.5%)減少の1兆5,200億円となった。
生産実績
(注)台数集約期間は2024年4月から2024年9月までである。
販売実績(小売り)
(注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2024年1月から2024年6月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2024年4月から2024年9月までである。
2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれる。
販売実績(連結売上)
(注) 1 台数集約期間は、アジアに含まれる中国、台湾は2024年1月から2024年6月まで、日本、北米、欧州、その他、並びに中国、台湾を除くアジアは2024年4月から2024年9月までである。
2 中国には合弁会社である東風汽車有限公司の販売台数が含まれない。
(事業セグメント)
a.自動車事業
当社グループのグローバル小売台数は159万6千台となり、前年同会計期間に比べ2万6千台(1.6%)の減少となった。日本国内では前年同会計期間に比べ2.4%減の22万2千台、メキシコとカナダを含む北米では前年同会計期間に比べ1.0%減の62万2千台、欧州では前年同会計期間に比べ0.9%増の15万9千台、中国では前年同会計期間に比べ5.4%減の33万9千台、その他地域では前年同会計期間に比べ1.5%増の25万3千台となった。
自動車事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は5兆4,871億円となり、前年同会計期間に比べ1,341億円(2.4%)の減収となった。営業損失は1,430億円となり、前年同会計期間に比べ2,983億円の悪化となった。これは主に、販売台数の減少、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。
なお、当中間連結会計期間におけるセグメント間の取引消去額を含む自動車事業の営業損失は1,161億円となった。
b.販売金融事業
販売金融事業の売上高(セグメント間の内部売上高を含む)は6,321億円となり、前年同会計期間に比べ633億円(11.1%)の増収となった。営業利益は1,490億円となり、前年同会計期間に比べ189億円(11.3%)の減益となった。これは主に、為替変動による増益影響はあったものの、クレジットロスの正常化及び金利上昇に伴う資金調達コストの増加によるものである。
(地域セグメント)
a.日本
日本国内市場の全体需要は前年同会計期間に比べ2.6%減少し217万台となった。当社グループの小売台数は前年同会計期間に比べ2.4%減の22万2千台となり、市場占有率は前年同会計期間に比べ0.1ポイント増の10.3%となった。
一方で、日本地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は2兆3,659億円と、前年同会計期間に比べ77億円(0.3%)の増収となった。営業利益は675億円となり、前年同会計期間に比べ412億円(156.7%)の増益となった。これは主に、輸出台数の減少はあったものの、為替変動の影響によるものである。
b.北米
メキシコとカナダを含む北米市場の全体需要は前年同会計期間に比べ0.4%減少し959万台となり、当社グループの小売台数は前年同会計期間に比べ1.0%減の62万2千台となった。
この結果、北米地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は3兆5,017億円と、前年同会計期間に比べ31億円(0.1%)の減収となった。営業損失は41億円となり、前年同会計期間に比べ2,455億円の悪化となった。これは主に、原材料価格の減少はあったものの、販売台数の減少、販売奨励金の増加及びインフレーションによるものである。
米国市場の全体需要は前年同会計期間に比べ1.9%減少し790万台となった。当社グループの小売台数は前年同会計期間に比べ2.7%減の44万9千台となり、市場占有率は前年同水準の5.7%となった。
c.欧州
ロシアを含む欧州市場の全体需要は前年同会計期間に比べ5.5%増加し852万台となった。当社グループの小売台数は前年同会計期間に比べ0.9%増の15万9千台となり、市場占有率は前年同水準の1.9%となった。
この結果、欧州地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は8,772億円と、前年同会計期間に比べ228億円(2.7%)の増収となった。営業損失は391億円となり、前年同会計期間に比べ554億円の悪化となった。これは主に、原材料価格及びモノづくりコストの減少はあったものの、販売費用の増加によるものである。
d.アジア
アジア市場の小売台数(中国を除く)は前年同会計期間に比べ15.0%減の4万8千台となった。アジア地域におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は7,707億円と、前年同会計期間に比べ171億円(2.3%)の増収となった。営業利益は326億円となり、前年同会計期間に比べ59億円(15.4%)の減益となった。これは主に、タイの輸出台数の減少及び中国における販売金融事業の収益悪化によるものである。
中国市場の全体需要は、前年同会計期間に比べ1.5%増加し1,099万台となった。当社グループの小売台数は前年同会計期間に比べ5.4%減の33万9千台となり、市場占有率は前年同会計期間に比べ0.2ポイント減の3.1%となった。これは主に、価格競争の激化及びICE車から新エネルギー車へのシフトが加速したことによるものである。なお、合弁会社である東風汽車有限公司の業績は、持分法による投資損益として営業外損益に計上している。
e.その他
大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等における当社グループの小売台数は、前年同会計期間に比べ6.4%増の20万5千台となった。中南米市場の小売台数は前年同会計期間に比べ7.5%増の8万7千台、中東市場の小売台数は前年同会計期間に比べ8.3%増の7万台、南アフリカ等のアフリカ市場の小売台数は前年同会計期間に比べ5.2%増の2万5千台となった。
大洋州、中近東、南アフリカ、メキシコを除く中南米等におけるセグメント間の内部売上高を含む売上高は6,494億円と、前年同会計期間に比べ428億円(6.2%)の減収となった。営業損失は154億円となり、前年同会計期間に比べ459億円の悪化となった。これは主に、車種構成、新興国における為替変動の影響及びインフレーションによるものである。
当中間連結会計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した財務政策について重要な変更はない。なお、当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの状況と、前年同会計期間に対するキャッシュ・フローの増減は以下のとおりである。
営業活動
営業活動による支出は2,094億円となり、前年同会計期間の2,723億円の収入に比べて営業活動によるキャッシュ・フローが4,818億円減少した。これは主として、収益の減少及び主に生産台数の減少に伴う運転資本の悪化によるものである。
投資活動
投資活動による支出は4,554億円となり、前年同会計期間の4,095億円の支出に比べて459億円増加した。これは主として、設備投資が増加したことによるものである。
財務活動
財務活動による収入は312億円となり、前年同会計期間の3,434億円の支出に比べて3,747億円の収入の増加となった。これは主として、自己株式の取得による支出があったものの、社債の償還が減少したことによるものである。
なお、当中間連結会計期間における自動車事業のフリーキャッシュフローは4,483億円のマイナスとなった。当中間連結会計期間末における自動車事業のネットキャッシュは1兆3,641億円となり、前連結会計年度末から1,819億円減少した。
セグメント別の内訳は以下のとおりである。
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(百万円)
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(百万円)
対前年同期比増減
(百万円)
当中間連結会計期間における事業上及び財務上の対処すべき課題は、次のとおりである。
・元会長らの不正行為に関連した事項
2019年9月9日付の「元会長らによる不正行為に関する社内調査報告について」と題する適時開示に、当半期報告書提出日時点において、特段の変更は生じていない。今後、前事業年度の有価証券報告書に記載した内容に重要な進展が生じた場合には、法令等に基づき開示する。
・公正取引委員会からの勧告に関連した事項
2024年3月7日、当社は公正取引委員会から、下請代金支払遅延等防止法(以下、「下請法」という。)の適用対象となる事業者との取引に関して、下請法に基づく勧告を受けた。
当社は、前事業年度の有価証券報告書に記載のとおり、本勧告を大変重く受け止め、法令遵守体制の強化と再発防止策の徹底に取り組んでいる。これらの取り組みに関して重要な進展があった場合には、開示する。
当社グループは、将来にわたって持続性のある車社会の実現に向けて、環境や安全など様々な分野での研究開発活動を積極的に行っている。
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は2,957億円である。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はない。