第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載された「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績

 当中間会計期間におけるわが国経済は、円安や原材料価格高騰に伴う物価上昇や政府の負担軽減策の一時打ち切り等を背景に、個人消費に一部足踏みの状況がみられたものの、賃上げ等による雇用所得環境の改善や訪日観光客の増加によるインバウンド需要の回復、また、好調な企業収益や人手不足感を背景としたソフトウエア関連の投資拡大等、内需主導で緩やかな回復基調にあります。一方で、米国金融政策の動向による日米の金利差に伴う円安継続の影響、中国経済の不動産市況低迷等による海外景気の下振れ、また、長引くロシアのウクライナ侵攻及び中東情勢悪化による影響等、依然として先行きは不透明な状況となっております。

 当社が事業を展開するCRMソリューション市場においては、ユーザーニーズの多様化に加えて、慢性的な人材不足や人件費の高騰等の影響により、メールや、チャット、Webフォーム、SNS、FAQ等のノンボイス系システム(電話や音声を使わないコミュニケーション手段)の需要が高まっております。また、近年においてはコールセンターのみならず、マーケティング活動や営業活動といった顧客接点の幅広い領域において、VOC(顧客の声)の活用が拡大したことから、コールセンター業界においてもAI技術の導入が進んでおり、業務効率化や人手不足の解消とともにデータ分析等の付加価値の高い事業領域へのシフトが顕著になるものと予想されます。

 

 このような環境のもと、当社は、2023年5月10日に公表した中期経営計画(2024年3月期~2026年3月期)に基づき、以下の[成長戦略]による販売拡大並びに業績回復に向けた全社的な[コスト改善施策]により、早期に安定した収益基盤を確立できるよう事業を推進してまいりました。

 

[成長戦略]

(1)「@nyplace」の安定成長

(2)独自サービスの飛躍成長

 

[コスト改善施策]

(1)「@nyplace」に比重を置いた運営体制を見直し、経営資源の再配置を実施する。

(2)サービス提供に必要な固定費の見直しを行い、生産効率を向上させる。

(3)サービス運営体制における外注費の見直しを行い、顧客ニーズを各サービスへ更にスピーディーに反映できる体制へ改善する。

 

※詳細につきましては、「事業計画及び成長可能性に関する事項の開示」をご参照ください。

 (https://www.collabos.com/assets/pdf/ir/investor/business-plan.pdf)

 

 当中間会計期間におきましては、中期経営計画に基づく成長戦略を推進するため、各サービスに特化した組織体制による販売推進力の強化を図っており、この体制の下、業界最大級のビジネスイベントへの出展、DX化推進やAI活用にフォーカスしたイベントへの登壇、シナジー効果のある企業とのオンライン共催セミナー開催、SEO対策やリスティング広告によるWeb施策、また、AIコールセンターシステム「VLOOM」における初期費用無料キャンペーン等により、新規リード獲得に注力してまいりました。加えて、定期的なヒアリング訪問やアンケート調査活動、AIマーケティングシステム「UZ」の大規模バージョンアップをはじめとした顧客ニーズを反映する機能開発やシステムバージョンアップ等のリテンション活動により、クロスセルやアップセルでの収益機会の拡大にも注力してまいりました。

 また、当事業年度の重点施策と位置づける[コスト改善施策]においては、サービス提供体制に合わせた最適な人員配置による生産性向上や原価構造の抜本的な見直し等を推進した結果、適正な経営資源の再配置が進み、外注費等のコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗いたしました。

 

 これらの結果、売上高につきましては、「VLOOM」、「GROWCE」、「UZ」等の新サービスにおいて、新規顧客獲得等による増加があった一方で、主にテレマーケティングやBPO事業者における特定の大口顧客の業務縮小等の影響により、「@nyplace」等の現有サービスにおいては売上高が減少いたしました。これにより、当中間会計期間の売上高は、983,947千円(前年同期比11.0%減)となりました。

 製品・サービスごとの状況は、以下のとおりであります。なお、当社の事業はクラウドサービス事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載はしておりません。

 

■IP電話交換機システム(PBX/CTI)

「@nyplace」

堅牢性・安定性を重視したAVAYA社製ハードフォン型コールセンターシステム「@nyplace」につきましては、システムのバージョンアップや移転作業等による一時売上高の増加があった一方で、特定の大口顧客における業務縮小並びに人件費の高騰に伴う全社的なコストダウンや公共案件等の減少による業務縮小等が重なったことから、期間平均利用席数は5,301席(同1,473席減)、売上高は604,970千円(同16.5%減)となりました。

 

「COLLABOS PHONE」

低コスト・短納期を特徴とする自社開発ソフトフォン型コールセンターシステム「COLLABOS PHONE」につきましては、在宅需要や公共案件等による新規案件の受注があった一方で、既存のテレマーケティング事業者における業務縮小等により、期間平均利用チャネル数は2,790チャネル(同954チャネル減)、売上高は215,551千円(同12.5%減)となりました。

 

「VLOOM」

音声認識及び自動要約機能等を搭載した自社開発のAIコールセンターシステム「VLOOM」につきましては、AIや音声認識機能のニーズの高まりを背景として、協業企業からの紹介やシステムリプレイスに伴う比較選定等により、新規案件の獲得が進んでおり、期間平均利用チャネル数は594チャネル(同417チャネル増)、売上高は28,024千円(同785.3%増)となりました。

 

■顧客情報管理システム(CRM)

「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」

 コールセンターに特化した顧客情報管理システムにつきましては、インバウンド用(受電)の「COLLABOS CRM」において、公共案件等の減少に伴う業務縮小等により契約数が減少した一方、アウトバウンド(架電)用の「COLLABOS CRM Outbound Edition」においては、既存顧客のアウトバウンド業務拡大やシステムリプレイスに伴う新規案件の獲得により、契約数が増加いたしました。この結果、「COLLABOS CRM」につきましては、期間平均利用ID数は1,475ID(同427ID減)、売上高は52,756千円(同17.8%減)となり、「COLLABOS CRM Outbound Edition」につきましては、期間平均利用ID数は484ID(同9ID増)、売上高は15,973千円(同8.5%増)となりました。

 

■業務効率化等を実現する付加的サービス

 DX化推進による業務効率化やマーケティング活動を支援する各サービスにつきましては、主に統合CRMマーケティングシステム「GROWCE」のヘルスケア業界への提案活動やAI 顧客分析・予測ツール「GOLDEN LIST」の金融業界におけるマーケット開拓、また、AIマーケティングシステム「UZ」の主に既存顧客への業務効率化提案等を推進し、クロスセルや紹介による新規案件を獲得したこと等により、売上高は66,669千円(同26.7%増)となりました。

 

 売上原価につきましては、641,050千円(同17.4%減)となりました。主な要因としては、「VLOOM」のサービスリリースに伴うホスティング費用や人件費等のコストの増加があった一方、[コスト改善施策]の取り組みにおいて、「@nyplace」に比重を置いた運営体制を見直すことにより人的リソースの最適化を推進した結果、外注費等の大幅なコスト削減が当初の想定よりも前倒しで進捗した他、ソフトウエア償却費及び通信利用料等が減少したことによるものであります。サービス別の売上原価の内訳としては、「@nyplace」は、381,676千円(同18.7%減)、「COLLABOS PHONE」は、114,476千円(同26.9%減)、「VLOOM」は、62,331千円(同103.9%増)、「COLLABOS CRM」及び「COLLABOS CRM Outbound Edition」は、22,171千円(同19.6%減)、その他、業務効率化を実現する付加的サービスは、60,394千円(同34.7%減)となりました。

 

 販売費及び一般管理費につきましては、306,575千円(同24.6%減)となりました。主な要因としては、[コスト改善施策]の取り組みにおける、効率性及び生産性を踏まえた業務の見直しによる旅費交通費及び交際費等の変動費の抑制、前年同期における検証作業に伴うホスティング一時費用の減少及び人件費の減少等によるものであります。

 

 これらの結果、営業利益は、36,321千円(前年同期は営業損失77,439千円)、経常利益は、34,202千円(前年同期は経常損失58,742千円)となりました。また、関係会社株式売却益64,671千円を特別利益として計上したことにより、中間純利益は、65,058千円(前年同期は中間純損失41,331千円)となりました。

 

 

② 財政状態

(資産)

当中間会計期間末における総資産は、事業年度末に比べて43,667千円減少し、1,708,515千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加があった一方で、売掛金の減少、減価償却に伴う有形固定資産の減少、関係会社株式の売却に伴う投資その他の資産の減少によるものであります。

 

(負債)

当中間会計期間末における負債は、前事業年度末に比べて101,699千円減少し、545,699千円となりました。主な要因は、買掛金の減少、リース債務の減少、長期借入金返済による減少によるものであります。

 

(純資産)

当中間会計期間末における純資産は、前事業年度末に比べて58,031千円増加し、1,162,816千円となりました。主な要因は、自己株式の取得による減少があった一方で、繰越利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末と比べて31,808千円増加し、1,210,041千円となりました。

当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間における営業活動の結果得られた資金は、64,175千円(前年同期は110,351千円の収入)となりました。主な要因は、関係会社株式売却益64,671千円、仕入債務の減少額46,671千円、賞与引当金の減少額18,000千円があった一方で、税引前中間純利益99,662千円の計上、減価償却費51,469千円、その他の増加24,904千円、売上債権の減少額17,768千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間会計期間における投資活動の結果得られた資金は、56,404千円(前年同期は279,773千円の支出)となりました。要因は、「@nyplace」用設備への投資や新サービス及び現有サービスへのITソリューション開発投資等の有形及び無形固定資産の取得による支出22,377千円があった一方で、ギークフィード社の関係会社株式売却による収入78,782千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当中間会計期間における財務活動の結果支出した資金は、88,771千円(前年同期は268,040千円の収入)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出50,000千円及びリース債務の返済による支出32,534千円によるものであります。

 

(2)経営方針・経営戦略等

当中間会計期間において、当社の経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結はありません。