第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものです。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経済情勢及び業界の概況

 当中間会計期間における経済環境は、海外ではロシアのウクライナ侵攻が長期化し被害が拡大している他、イスラエルとハマスの争いにおける停戦交渉の停滞、北朝鮮の度重なるミサイル発射といった地政学リスクが高まる中、高インフレの落ち着きなどを背景に、底堅い成長を維持しています。

 わが国経済は、株価や為替の変動の影響で不透明感はあるものの、物価高を上回る賃上げや設備投資の拡大など景気の停滞期間を抜けて持ち直しの動きがみられました。しかし、物価高の動きは依然歯止めが効いておらず実質賃金がマイナスになる気配も見え始めています。結果、景気回復の動きにも懸念が見え始めています。一方で政界では少数与党による政権運営の不確実性と、米大統領選の結果に伴い同国の外交政策方針に大きな変更の可能性があることが新たな懸念材料となっております。

 当社の主要な販売先である電気自動車(EV)市場は、最新技術や環境問題への関心が高いユーザー層の購入が落ち着いたことや、各国で補助金の打ち切りの動きが見られたことなどで需要拡大が鈍化しております。しかしながら需要の鈍化は、充電設備の整備など調整局面と考える動きも見られ、中長期的なEVの需要は拡大すると見込まれております。

 このような状況下において、当社はエネルギー関連機器において中長期的な成長が見込まれる車載用リチウムイオン電池関連の塗工乾燥装置をはじめ、全固体電池や燃料電池用塗工乾燥装置の受注強化に取り組んでまいりました。今後もエネルギー関連機器に加え、ディスプレイ関連の液晶テレビやスマートフォン、タブレット端末用の光学フィルム、及び機能性フィルムや電子部品用途の塗工乾燥装置の受注強化に取り組んでまいります。

 

②売上及び損益の概況

 売上高は7,533百万円(前年同期比21.9%減)となりました。主な最終製品別売上高は、ディスプレイ部品関連機器が1,616百万円(前年同期比58.8%減)、機能性フィルム関連塗工機器が2,704百万円(前年同期比51.4%増)、電子部品関連塗工機器が191百万円(前年同期比83.2%減)、エネルギー関連機器が2,587百万円(前年同期比28.6%増)となりました。売上高に占める輸出の割合は49.2%(前年同期は71.9%)となりました。売上総利益は2,033百万円(前年同期比1.6%減)、売上総利益率は27.0%(前年同期は21.4%)となりました。販売費及び一般管理費は571百万円(前年同期比22.4%増)となりました。営業利益は1,462百万円(前年同期比8.6%減)、経常利益は1,489百万円(前年同期比8.0%減)、中間純利益は992百万円(前年同期比9.5%減)となりました。

 

③受注の概況

 受注高は5,821百万円(前年同期比17.0%減)、その内輸出受注高は3,788百万円(前年同期比67.3%増)となり、受注高に占める輸出の割合は65.1%(前年同期は32.3%)となりました。受注残高は30,137百万円(前年同期比24.6%増)、その内輸出受注残高は17,520百万円(前年同期比56.4%増)となり、受注残高に占める輸出の割合は58.1%(前年同期は46.3%)となりました。

 

④財政状態の分析

 総資産は27,608百万円(前期末比7.8%減)となりました。これは主に現金及び預金の減少によるものです。負債は9,037百万円(前期末比11.8%減)となりました。これは主に電子記録債務及び前受金の減少によるものです。純資産は18,571百万円(前期末比5.8%減)となりました。自己資本比率は67.3%(前期末は65.8%)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期末に比べ2,539百万円減少し7,072百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は194百万円(前年同期は得られた資金2,404百万円)となりました。これは主に棚卸資産の増加並びに仕入債務及び前受金の減少によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は407百万円(前年同期は使用した資金181百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,939百万円(前年同期は使用した資金673百万円)となりました。これは主に自己株式の取得によるものです。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

(4)研究開発活動

 当中間会計期間の研究開発活動に要した費用は、総額36百万円となりました。

 なお、当中間会計期間における研究開発活動の状況に重要な変更はありません。また、当社は単一セグメントのため、セグメントごとの研究開発活動については記載していません。

(5)生産、受注及び販売の実績

 売上高については、前中間会計期間において堅調に推移いたしましたが、当中間会計期間においては、大型製番の進捗度が製作の初期段階であり、減少いたしました。

 受注高については、前中間会計期間と比較すると当中間会計期間においては、商談中の案件があるものの、EV市場において延期の動きが見られ、減少いたしました。第3四半期以降も引き続き受注活動に努めてまいります。

 

(6)経営成績に重要な影響を与える要因

 電気自動車(EV)市場の需要の鈍化を受け、当社の顧客でも設備投資の延期や鈍化の動きが見られます。今後の市場と顧客の動向を注視し、新エネルギーとして期待される種々の電池関連の生産機、試作機などの受注活動に注力したいと考えております。

 新規受注のためには価格競争に加えて、顧客希望納期への対応が必要となりますが、半導体問題に端を発した電装機器の長納期化はかなり改善されてきたものの、大量の受注残に起因する人員と生産容量の懸念から、顧客の希望に応えきれていない状況も発生しています。納期検討においては顧客希望納期を十分に認識し、業務の効率化と生産量確保に努め、引き続いて納期短縮を進めてまいります。

 このような中、光学フィルム関連設備と合わせて、今後の成長に期待のかかる二次電池、燃料電池などのエネルギー関連業界に対する更なる販売強化と、全固体電池などの応用分野の開発に顧客と一緒に取り組み、5G通信向け新素材等を含めた新技術に対する情報収集とともに、積極的な取り組みにより営業展開の幅を広げてまいります。

 

(7)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、営業活動においてキャッシュ・フローを獲得し、中期的に安定して資金を獲得することが重要と考えております。また、財務活動においても取引銀行と当座貸越契約の枠を十分に設定して不測の事態に備えております。

 また、2019年より生産能力増強のため滋賀事業所の耐震工事及び増築工事に取組んでまいりましたが、当該工事については2021年6月末に完成いたしました。現在は引き続き実験棟の新規工事、実験機及び加工機械の新規購入等に着手しており、2025年4月より稼働を予定しております。顧客からの先端技術の実験要望に応え得る体制づくりと生産効率の向上を図り、更なる受注及び販売の増加を目指してまいります。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。