第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

 (1)経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、公共投資や企業の設備投資に持ち直しの動きがみられるものの、住宅市況や個人消費が低調に推移するなど全体として力強さを欠き、緩やかな回復に留まっております。また、ウクライナ紛争の長期化や中東情勢の悪化等の地政学的リスクの高まりや中国経済の将来懸念等、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

当社グループにおきましては、当社一部製品に係る不適切行為を受けて、再発防止策の推進およびコンプライアンス遵守の徹底により、信頼回復に向けて引き続き取り組んでまいりました。経営成績については、国内塗料事業において不適切行為問題による需要減少からの回復途上であること及び海外塗料事業において東南アジア市場の需要減少により、売上高は361億3千5百万円(前年同期比 0.6%減)となりました。営業利益は、国内塗料事業及び海外塗料事業における減収により、25億2千4百万円(同 1億9千1百万円減)、経常利益は27億6千4百万円(同 1億9千6百万円減)となりました。親会社株主に帰属する中間純利益は政策保有株式の縮減により投資有価証券売却益を計上し、27億1千6百万円(同 7億5千9百万円増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

[国内塗料事業]

一般用分野は、不適切行為問題による需要減少からの回復ペースは想定を上回るものの、依然として途上にあることから、売上高は前年同期を下回りました。工業用分野は、一部市況の回復や粉体塗料の新規獲得が進展したものの建材用塗料の需要停滞が継続し、売上高は前年同期を僅かに上回るに留まりました。

この結果、売上高は256億2百万円(前年同期比 1.3%減)となりました。営業利益は価格是正に努めたものの、人件費等の費用増加により、11億2千8百万円(同 2億2千3百万円減)となりました。

 

[海外塗料事業]

東南アジアは、自動車生産台数の減少や建材用塗料の需要減少により、売上高は前年同期を下回りました。メキシコは、自動車生産台数の増加及び新規取引の獲得により、売上高は前年同期を上回りました。中国は、日系自動車メーカーの低迷影響が継続しておりますが、為替換算の影響により売上高は前年同期を上回りました。

この結果、売上高は41億2千1百万円(前年同期比 2.8%減)となりました。営業利益は中国事業における費用圧縮に努めたものの減収影響が大きく、1億5千4百万円(同 8千8百万円減)となりました。

 

[照明機器事業]

業務用LED照明分野は、好調なインバウンド需要や都市部再開発を背景に商業施設や宿泊施設向けを中心に需要が堅調に推移したほか、販売価格の改善が進展し、売上高は前年同期を上回りました。UVランプ分野は、紫外線殺菌用途の需要は堅調なものの、一部製品の需要が減少し、売上高は前年同期を下回りました。蛍光ランプ分野は、市場縮小に伴い需要が減少しているものの、販売価格の改善に努め、売上高は前年同期を上回りました。

この結果、売上高は49億3千3百万円(前年同期比 5.4%増)、営業利益は10億3千万円(同 1億1千6百万円増)となりました。

 

[蛍光色材事業]

顔料分野は、EU地域向けの需要が減少に転じ、売上高は前年同期を下回りました。加工品分野では、安全対策用塗料の需要が増加し、売上高は前年同期を上回りました。

この結果、売上高は5億6千万円(前年同期比 9.3%減)となりました。営業利益は経費抑制に努めたことで、3千2百万円(同 1千8百万円増)となりました。

 

[その他事業]

物流事業は、物流業界における各種コストの上昇に対して単価改善に努め、売上高は前年同期を上回りました。塗装工事事業は、工事受注が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回りました。

この結果、売上高は9億1千7百万円(前年同期比 1.9%増)となりました。営業利益は工事原価の高騰により、1千6百万円(同 2千9百万円減)となりました。

 (2)財政状態の状況

当中間連結会計期間末の総資産は1,018億4百万円となり、前連結会計年度末と比較して1億8千6百万円の増加となりました。流動資産は405億2千6百万円で前連結会計年度末と比較して3億2千7百万円の増加となりましたが、これは現金及び預金の増加16億7千3百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少2億1千9百万円、電子記録債権の減少12億4百万円、棚卸資産の増加1億1千7百万円等が主因であります。固定資産は612億7千8百万円で前連結会計年度末と比較して1億4千1百万円の減少となりましたが、これは有形固定資産の増加9億2千8百万円、無形固定資産の増加4億9千6百万円、投資その他の資産の減少15億6千7百万円によるものであります。

負債は379億2千7百万円となり、前連結会計年度末と比較して12億円の減少となりました。流動負債は269億7千7百万円で前連結会計年度末と比較して17億1千5百万円の減少となりましたが、これは支払手形及び買掛金の減少8億4千5百万円、短期借入金の減少10億円、未払法人税等の減少1億8千7百万円、その他の増加3億9千4百万円等が主因であります。固定負債は109億5千万円で前連結会計年度末と比較して5億1千5百万円の増加となりましたが、これは長期借入金の増加10億円、繰延税金負債の減少4億5百万円等が主因であります。

純資産は638億7千7百万円で前連結会計年度末と比較して13億8千6百万円の増加となりました。これは利益剰余金の増加17億3千3百万円、その他有価証券評価差額金の減少11億8千4百万円、為替換算調整勘定の増加11億1千6百万円、退職給付に係る調整累計額の減少4億3千8百万円、非支配株主持分の増加1億5千5百万円等が主因であります。

 

 (3)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、93億7千万円となり、前連結会計年度末と比較して15億2百万円の増加となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動により得られた資金は、24億3千万円(前年同期は13億6千1百万円の収入)となりました。これは税金等調整前中間純利益、減価償却費、売上債権の減少等の収入と、退職給付に係る資産の増加、仕入債務の減少、法人税等の支払額等の支出が主因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動により得られた資金は、1億5千5百万円(前年同期は15億7千4百万円の支出)となりました。これは投資有価証券の売却、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却等の収入と、有形固定資産の取得、無形固定資産の取得等の支出が主因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動により使用した資金は、13億円(前年同期は3億1千5百万円の収入)となりました。これは長期借入金の調達等の収入と、短期借入金の返済、長期借入金の返済、配当金の支払等の支出が主因であります。

 (4)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

 (5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

 (6)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について一部変更を行いました。その内容は次のとおりです。

 

① 当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針(以下、「基本方針」といいます。)

当社は、金融商品取引所に株式を上場している者として、市場における当社株式の自由な取引を尊重し、特定の者による当社株式の大規模買付行為であっても、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に資するものである限り、これを一概に否定するものではありません。また、最終的には株式の大規模買付提案に応じるかどうかは株主の皆様の決定に委ねられるべきだと考えています。

ただし、株式の大規模買付提案の中には、例えばステークホルダーとの良好な関係を保ち続けることができない可能性があるなど、当社グループの企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれのあるものや、当社グループの価値を十分に反映しているとは言えないもの、あるいは株主の皆様が最終的な決定をされるために必要な情報が十分に提供されないものもありえます。

そのような提案に対して、当社取締役会は、株主の皆様から負託された者の責務として、株主の皆様のために、必要な時間や情報の確保、株式の大規模買付提案者との交渉などを行う必要があると考えています。

② 基本方針の実現に資する特別な取組み

イ.当社の事業特性と企業価値に関する考え方

当社は、1929年に島津、三菱、大倉の共同出資により設立された企業であり、今日まで塗料製造を基軸とした事業活動を営んでまいりました。

現在、当社グループは、塗料、照明機器及び蛍光色材の製造販売を主な事業領域としておりますが、当社グループの企業価値の主な源泉は、「国家社会の繁栄に奉仕し得る将来性ある企業足るべし」という創業精神のもとに、永年に亘ってお届けしている各種製品の品質・性能とサービスが築いたブランド力、顧客との信頼関係にあると考えております。特にコア事業である塗料事業におきましては、起業の礎となった錆止め塗料「ズボイド」をはじめ、市場から絶大な支持を得てまいりました防食塗料、その他の独創的な塗料技術は、地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄、豊かな暮らしの実現に貢献し得たものと自負いたしております。このような創業以来の当社グループの取組みの積み重ねが企業文化、あるいは「DNT」ブランドとして結実し、現在の企業価値の源泉になっており、今後も企業文化の継続発展を通して当社の社会的存在意義を高めることが、結果として企業価値及び株主共同の利益の最大化につながるものと考えております。

ロ.中期経営計画に基づく企業価値向上へ向けた取組み

当社は、2024年5月16日に創立100周年を迎える2029年度におけるありたい姿として、連結売上高1,000億円、連結営業利益100億円を目標とした2024年度から2026年度までの新たな中期経営計画(2026中期経営計画)を公表いたしました。2026中期経営計画においては、以下の3つの基本方針のもと、事業戦略と基盤の深化に注力し、その実現に向けて取り組みます。

1)成長市場と先駆的領域への注力

 ・各事業の有機成長の推進と、新たな成長ドライバの育成に向けた、リソース配分の最適化と戦略投資の実行

 ・顧客ニーズに沿ったサステナビリティ貢献製品・海外製品等、開発力の強化

2)外部リソースの獲得・活用による事業基盤の拡大

 ・M&Aや業務提携等のアライアンス活用による塗料事業の基盤拡大及び抜本的効率化

 ・自立的な事業推進に向けた外部リソース獲得による海外事業基盤の拡大

3)人材及び事業活動の全社最適化

 ・採用、育成強化及び人材・組織の最適化、職場環境の整備

 ・製品開発力と総合提案力を最大化する組織・グループ間協働の強化

 ・適時かつ適切な設備更新及びDXの活用による、生産性の更なる向上

最終年度となる2026年度の業績目標は、連結売上高800億円、連結営業利益80億円、NOPAT(税引後営業利益)ROE8%程度とし、株主還元策としては、2026年度までにDOE3%到達を目標といたします。事業戦略の着実な遂行と安定的かつ積極的な株主還元により、資本コストや株価を意識した経営に努めてまいります。

ハ.コーポレートガバナンスの強化に向けた取組み

当社が株主、顧客、従業員及び社会全体から「存在価値のある企業」として認められるには、コーポレートガバナンスの充実・強化が経営の最重要課題の一つであると考えております。そのために、当社は2015年6月から適用されたコーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえて「コーポレートガバナンスに関する基本方針」を制定・改定し、コーポレートガバナンスに関する基本的な考え方とその枠組み、運営に係る方針を定めて充実・強化を図っております。

当社の取締役会は、経営の監視機能を高めるため、2024年3月期の有価証券報告書提出日現在、独立社外取締役の比率を3分の1以上としており、更に、当社取締役会の任意の諮問機関として、独立社外取締役が過半数で構成される指名諮問委員会及び報酬諮問委員会を設置し、取締役、監査役及び執行役員の指名・報酬等に関する意思決定プロセスの公正性・透明性・客観性の確保に努めております。

また、当社は毎年、取締役及び監査役の自己評価等を基に、外部コンサルタントによる当社取締役会全体の実効性について分析・評価を実施し、その結果を踏まえた当社取締役会の実効性の更なる向上を図っております。今後はこれらを更に有効に機能させるとともに、適時かつ適切に情報開示を行うことで、より一層透明性の高い企業経営を目指してまいります。

当社のコーポレートガバナンスに関する取組みの詳細につきましては、コーポレート・ガバナンス報告書( https://www.dnt.co.jp/ir/governance/governance-report/ )をご参照ください。

当社は経営理念「当社は、新しい価値の創造を通じて地球環境や資源を護り、広く社会の繁栄と豊かな暮らしの実現に貢献できる企業を目指します」のもと、当社グループ一丸となって、経営戦略及びコーポレートガバナンスの強化に取り組むことで、企業価値・株主共同の利益の確保・向上を図ってまいります。

③ 基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組み

当社は、2020年4月24日開催の取締役会において、「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」(以下、「原プラン」といいます。)の継続を決議し、同年6月26日開催の第137期定時株主総会において、株主の皆様のご承認をいただきました。原プランの有効期間は、2023年6月29日開催の第140期定時株主総会終結の時までであったことから、当社では、株主共同の利益及び企業価値の維持・向上の観点から、当社を取り巻く事業環境、情勢変化、機関投資家の動向等も踏まえ、更なる検討を加えました結果、同年4月26日開催の当社取締役会において、原プランを継続することを決議し(以下、継続する「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策」を「本プラン」といいます。)、同年6月29日開催の第140期定時株主総会において株主の皆様にご承認をいただきました。

本プランは、当社が発行者である株式等について、保有者の株式等保有割合が20%以上となる買付け、又は公開買付けに係る株式等の株式等所有割合及びその特別関係者の株式等所有割合の合計が20%以上となる公開買付けを行う者を対象者として、当社株式等の大規模買付行為を行おうとする者が遵守すべきルールを明確にし、株主の皆様が適切な判断をするために必要かつ十分な情報及び時間、並びに大規模買付行為を行おうとする者との交渉の機会を確保するためのものであります。

大規模買付者があらかじめ定めるルールを遵守しない場合、又は当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると認められ、かつ対抗措置の発動を相当と判断する場合、当社取締役会の決議に基づき発動する対抗措置としては、原則として新株予約権の無償割当てを行うこととします。ただし、かかる判断に当たっては、当社取締役会から独立した独立委員会の勧告に従います。

なお、本プランの詳細につきましては、当社ウェブサイトに掲載の2023年4月26日付プレスリリース「当社株式等の大規模買付行為に関する対応策(買収防衛策)の継続について」

( https://www.dnt.co.jp/release/upload_files/news20230426.pdf )をご参照ください。

④ 基本方針にかかる取組みについての当社取締役会の判断及びその判断にかかる理由

本プランは、大規模買付者が基本方針に沿う者であるか否かを株主の皆様及び当社取締役会が適切な判断をするに当たり、十分な情報及び時間を確保する為に定めるものであり、特定の者による大規模買付行為を一概に拒絶するものではありません。

本プランの有効期間は3年間としていますが、有効期間満了前であっても株主総会で変更又は廃止できることとし、株主の皆様の意思が反映される仕組みになっております。

また、対抗措置の発動は、当該大規模買付等が当社の企業価値・株主共同の利益を著しく損なうものであると判断される場合など、あらかじめ定められた合理的かつ客観的要件を充足する場合に限定されるとともに、その発動に当たっては、独立委員会の中立的な判断に従い、当社取締役会の恣意的判断を排除しております。更に、発動する対抗措置については、あらかじめその内容を株主の皆様に適時に情報開示を行うこととしております。

したがって、当社取締役会は、前記③基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの具体的内容は基本方針に沿うものであり、企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則を充足しており、当社役員の地位の維持を目的とするものでないと判断しております。

 

 (7)研究開発活動

当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は、10億4千5百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。