第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、所得環境の改善もあり総じて緩やかな回復基調で推移したものの、企業物価や消費者物価の上昇が個人消費などに影響し、一部に足踏みがみられます。一方、欧米における高い金利水準の継続や中国における不動産市場停滞の継続に伴う影響など、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっております。また、自動車や産業機械など関連産業においては、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動などの影響もあり、依然として不透明な状況が続いております。

このような経営環境のもと当社グループにおきましては、「つながる&見える化で、新たなモビリティ ファクトリー インフラを攻略する」を基本方針に掲げ、工具事業を核とした成長戦略を展開するとともに、これを支えるサプライチェーンマネジメントの強化に取り組んでまいりました。また、生産性向上をねらい先行投資として導入した新規設備の運用に注力するなど、収益・利益の拡大に努めてまいりました。

これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は40億32百万円(前年同期比6.6%増)、営業利益は3億43百万円(前年同期比1.0%増)、経常利益は3億89百万円(前年同期比6.4%増)、親会社株主に帰属する中間純利益につきましては2億56百万円(前年同期比6.3%増)となりました。

 

事業セグメントごとの経営成績の概要につきましては、以下のとおりであります。

 

[工具事業]

主力の当事業部門では、「安全、快適、能率・効率、環境」をキーワードに、既存顧客の深耕、新規顧客の開拓並びにブランド価値向上などの事業戦略を展開しております。

開発面では、「安全、快適、能率・効率、環境」を追求するR&Dコンセプト「新・工具大進化」の具現化に向けた製品・サービスを市場投入しております。その一翼を担う「TRASAS(TRAceable Sensing and Analysis System)」シリーズは、IoT技術を搭載した工具や測定具、作業支援デバイス、これらのシステムソフトウェアで構成されており、作業データを無線でデバイスへ転送することで作業履歴の自動的な記録・管理・分析を可能にいたしました。2024年9月には、生産現場のDXを推進する「お手軽DXアプリ」を発売いたしました。TRASASシリーズ代表製品の一つである「メモルク」や通信機能のある「デジタルノギス」と連携することで測定データを使い慣れたExcel帳票に自動で入力することができ、作業記録と作業管理のDXを手軽に実現いたします。引き続き、関連するツールとの組み合わせ技術で生まれる新たな価値を創出し市場投入してまいります。

また、航空宇宙産業やMRO(Maintenance Repair Overhaul:航空機などの整備及び修理に関する事業)産業をはじめ様々な業界で安全に対する社会的要求が高まり、作業の管理体制強化や効率化が求められるなか、RFIDを搭載したIoT対応工具「nepros ID」シリーズの展開に取り組んでおります。世界初となる360°あらゆる角度から電波の読み取りが可能な同IoT対応工具を厳格な工具管理が求められる作業現場で活用することで、使用履歴管理による紛失抑制や紛失時の工具探索を容易にすることなどにより整備における安全性向上に貢献いたします。「nepros ID」シリーズは、2024年9月に開催された「MRO Asia Pacific 2024」において「MRO Technology Achievement of the Year(MROテクノロジー年間最優秀賞)※」のファイナリストとして選考されました。航空機MRO業界において優れた業績があった企業に対して贈られる本賞に、業界へ参入したばかりの当社グループの新シリーズが選ばれたことにより、本業界における技術の革新性がより広く認められました。

これらの成長戦略の柱となるIoT技術を用いたツールを中心に、作業管理のニーズが高い多様な業種へ向け、今後とも開発を展開してまいります。

さらに、京都大学との産学連携による共同研究を進めていた構造最適化手法「トポロジー最適化」を用いた従来の概念を覆す全く新しいツール、「nepros neXT(ネプロス ネクスト)」シリーズを展開しております。引き続き、材料や構造・機構に関する新たな開発にも積極的に取り組み、強度を保ちながら軽量化し究極の使いよさを追求する本シリーズのラインナップ拡充に努めてまいります。

 

※「MRO Technology Achievement of the Year」は、世界最大のマルチメディア情報サービスプロバイダーで

あるAviation Week Networkが毎年開催している航空宇宙業界に関する賞の一つです。

 

販売面では、工具メーカーとしてのノウハウと先進のテクノロジーを融合し、作業者の経験や勘に頼っていた作業の標準化と効率化を提案しております。具体的には、作業現場で確認できた課題やその対策案について、最適な作業工具や作業手順の改善ポイント、作業トレーサビリティの運用方針などを検討後、導入計画を策定し提案しております。

対面活動が社会的に再開するなか、国内営業の専門部隊である「凄腕究め隊」を中心に、様々な展示会への出展や研修会の開催に注力しております。2024年6月開催の展示会「ものづくりワールド東京」では、「TRASAS」シリーズのIoT対応工具と当社及び他社システムとの連携による課題解決策を提案するなど、とくに「TRASAS」シリーズの販売促進に取り組み、見込み顧客の獲得に繋げてまいりました。

そのほか、2024年7月から9月にかけては、パートナーシップを締結している「FORMULA DRIFT® JAPAN」や「鈴鹿8時間耐久ロードレース」の各競技会場に出向き当社ブースを出展するなど、KTCブランドを浸透させ顧客の拡大に努めてまいりました。

また、工具ミュージアム「KTCものづくり技術館」に開設した「kDNA Studio」やピットガレージにて収録した課題解決や新製品情報に関するウェビナーコンテンツをウェブメディア「KTC times」で配信しております。発売した「お手軽DXアプリ」については、同ウェブメディアでの配信に加え専用サイトを用いてお客様との対話を図るなど、当社グループ特有のDXを推進し、よりスマートにより多くのお客様へソリューションを提供しております。

 

生産面では、「新・工具大進化」を支えるためのものづくり革新を進めており、人とロボットそれぞれの長所を活かした協働環境の運用を目指しております。具体的には、脱着作業などの単純な繰り返し作業は複数の加工設備に共用で使用可能な協働型ロボットが行い、人はより付加価値の高い作業へシフトすることが可能になりました。さらに、協働型自走式ロボットを活用し、人と協働できる独自の少人化ラインの展開を目指すなど、「ものづくりの最適化」を図り生産性の向上を推進してまいります。

これらに加え、既存生産設備の改善に取り組むとともに、生産の各工程に導入した新規設備を本格稼働させ、とくに「nepros」製品をベースとした各成長戦略の実現に向けて能力増強を図るなど、生産体制のさらなる安定と強化に取り組んでおります。

また、当社グループは、ESGの取り組みとして「地球に、社会に、私たちができること」、「E 地球環境に徹底的に貢献する」、「S あらゆるステークホルダーと共生する」、「G 持続可能な信頼される企業であり続ける」を基本方針とし、安全・安心で持続可能な社会の実現に向け取り組んでおります。その一環として、製品包装パッケージを刷新し、プラスチック使用量の削減を含めた環境にやさしい包装仕様の実現に取り組んでまいりました。

これらの結果、市販部門における主力の自動車整備市場向けの販売が堅調に推移し、当中間連結会計期間の売上高は39億13百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は2億58百万円(前年同期比0.4%増)となりました。

 

[ファシリティマネジメント事業]

当事業部門では、所有不動産の有効活用を目指し、物件の整備、運営管理を推進しております。不動産の賃貸については、全ての物件で高い入居率を確保しております。引き続き入居者満足度の向上を図り、収益の安定化に取り組んでまいります。

当中間連結会計期間におきましては、所有不動産の安定稼働により、売上高は1億19百万円(前年同期比0.8%増)、セグメント利益は84百万円(前年同期比2.6%増)となりました。

 

(2)財政状態の分析

当中間連結会計期間末の総資産は、156億9百万円となり、前連結会計年度末に対し10億5百万円減少となりました。その主な内容は、電子記録債権が79百万円増加した一方、受取手形及び売掛金が7億円、投資有価証券が4億61百万円減少したことなどによるものであります。

負債合計は、34億36百万円となり、前連結会計年度末に対し7億47百万円減少となりました。その主な内容は、その他流動負債が3億95百万円、その他固定負債が1億17百万円、未払法人税等が73百万円、未払金及び未払費用が45百万円、賞与引当金が30百万円、役員賞与引当金が28百万円、支払手形及び買掛金が23百万円減少したことなどによるものであります。

純資産合計は、121億73百万円となり、前連結会計年度末に対し2億58百万円減少となりました。その主な内容は、利益剰余金が1億33百万円、自己株式が76百万円増加した一方、その他有価証券評価差額金が3億20百万円減少したことなどによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、固定資産の取得による支出、配当金の支払等で資金を支出したものの、主に営業活動で獲得した資金がそれらの支出を上回った結果、前連結会計年度末に比べて1百万円増加し、34億17百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因につきましては、以下のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における営業活動の結果、増加した資金は7億97百万円(前年同期は1億56百万円)となりました。これは主に売上債権の減少6億21百万円(前年同期は6億75百万円)、税金等調整前中間純利益3億89百万円(前年同期は3億65百万円)などによる資金の増加があった一方、法人税等の支払額1億94百万円(前年同期は1億12百万円)などによる資金の減少があったことによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における投資活動の結果、減少した資金は5億82百万円(前年同期は1億19百万円)となりました。これは主に固定資産の取得による支出5億74百万円(前年同期は1億20百万円)があったことなどによるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

当中間連結会計期間における財務活動の結果、減少した資金は2億13百万円(前年同期は1億3百万円)となりました。これは主に配当金の支払額1億22百万円(前年同期は97百万円)、自己株式の取得による支出85百万円(前年同期は-百万円)があったことなどによるものであります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、99百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。