当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
2025年3月期中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等は、以下のとおりです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間における当社グループの経営成績につきましては、ボイスコミュニケーション事業では、クラウド型電話システムの導入が進んでおり、当社グループのクラウドサービスが多くの企業に選ばれています。特に、主力パートナー企業との協力を通じてクラウドPBXの需要が増え、通信事業者やパートナー経由での売上も増加しています。また、IP電話サービスのニーズも高まっており、自社のソフトウェア販売も増加しました。コミュニケーションDX事業では、モバイル事業者向けにユーザー管理やサービス制御、通信速度調整のシステム運用を支援し、安定したシステム稼働を維持しています。また、モバイル業務システムの構築経験を活かし、企業のデジタル化に向けたコンサルティングも提供しています。さらに、モバイル通信制御システムのアップデートやセキュリティ対策のコンサルティング案件も獲得しました。加えて、一般社団法人向けにコールセンターのシステムを提供し、業務改善に関するコンサルティング案件も増加しました。その結果、売上高は、1,600,074千円(前年同中間期比0.1%の増加)となりました。
損益面につきましては、収益性の高い案件の貢献と外注費等のコストを削減したことにより売上総利益は、633,208千円(前年同中間期比5.4%の増加)、営業利益は、106,949千円(前年同中間期比297.1%の増加)、経常利益は、105,220千円(前年同中間期比398.8%の増加)、親会社株主に帰属する中間純利益は、84,083千円(前年同中間期比388.8%の増加)となりました。
受注状況につきまして、ボイスコミュニケーション事業においては、安定収益の基盤であるサブスク型ビジネス(クラウドサービスや保守サービス等)の受注が堅調に推移し、さらにシステム構築案件の新規受注により好調を維持しています。コミュニケーションDX事業においては、企業DXに関連したシステム開発案件は継続して新規受注しており、またサブスク型ビジネス(各種クラウドサービス)の受注も堅調に推移しております。また、モバイル事業者向け保守案件の受注残は順調に消化しております。その結果、受注残高は1,477,736千円(前年同中間期比2.9%の増加)となりました。
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区分 |
第 23 期 中間連結会計期間 |
第 24 期 当中間連結会計期間 |
増減 |
増減率(%) |
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売上高 |
(千円) |
1,598,858 |
1,600,074 |
1,216 |
0.1 |
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売上総利益 |
(千円) |
600,622 |
633,208 |
32,585 |
5.4 |
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営業利益 |
(千円) |
26,933 |
106,949 |
80,016 |
297.1 |
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経常利益 |
(千円) |
21,094 |
105,220 |
84,125 |
398.8 |
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親会社株主に帰属する中間純利益 |
(千円) |
17,202 |
84,083 |
66,881 |
388.8 |
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受注残高 |
(千円) |
1,436,153 |
1,477,736 |
41,583 |
2.9 |
当中間連結会計期間における事業区分別の概況は、以下のとおりです。
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区分 |
第 23 期 中間連結会計期間 |
第 24 期 当中間連結会計期間 |
増減 |
増減率(%) |
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ボイスコミュニケーション事業 |
(千円) |
1,161,495 |
1,088,135 |
△73,359 |
△6.3 |
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コミュニケーションDX事業 |
(千円) |
437,362 |
511,939 |
74,576 |
17.1 |
〔ボイスコミュニケーション事業〕
当中間連結会計期間では、DX関連においては、電話システムをクラウド化する企業が増える中、当社グループのソフトウェアSBC「NX-B5000」シリーズは、大手通信事業者のコアシステムや、多くの企業のクラウド型の電話サービスをつなぐシステムとして採用されています。「NX-B5000」は、異なる機器や通信事業者同士を接続できる機能と実績により、電話系ソリューションのデジタル化(DX)に貢献し、需要が拡大しています。また、同製品と連携し、企業の電話をスマホやPCなど様々なデバイスで受発信できるソフトウェア「NX-C1000 for Enterprise」を、保険会社向けに導入しました。大手金融機関や保険会社での導入実績が評価され、今回の採用に至りました。
近年では、自社拠点設置のサーバーをクラウドサービスへと切り替える企業が増加しており、クラウド型PBXの需要も引き続き高い状況にあります。当社グループのクラウドPBXサービス「U-cube voice」も大手通信事業者を介して様々な企業に継続的にご利用いただき、安定した収益を生み出しています。
このようなDX化に取り組む企業の中には、自社でクラウドサービスを展開したいと考える企業も増えています。当社グループは、そうした企業にクラウド基盤を提供し、パートナーのブランドでEnablerサービス※として展開しています。さらにニーズに応じて導入時の環境構築や運用サポートも行っています。都築電気株式会社のクラウドPBXサービス「TCloud for Voice」もそのひとつです。クラウドPBXサービス市場の成長を背景に、クラウドサービスへと切り替える企業向けに、売上が伸びています。
当社グループのコミュニケーション・プラットフォーム「U-cube CPaaS」は、株式会社電話放送局の自動音声応答サービスと連携した協業案件もあり、順調に販売実績を上げています。販売が好調な背景には、昨今の人材不足に伴い、様々な企業が業務効率化を図る中で、コンタクトセンターのインターネット化を進めていることが挙げられます。
公衆交換電話網をインターネット化するPSTNマイグレーション関連に関しては、一般企業においても、働く場所や使用するデバイスの多様化に伴いIP電話サービスの需要が増しています。このような状況下で通信量の増加に対応するため、異なるネットワーク同士をつなぐゲートウェイとして、当社グループの「NX-B5000 for Enterprise」の需要が伸びています。この製品は、通信事業者に向けた当社グループ製品の実績が評価され、電話設備のインターネット化を進める企業や、クラウドPBXサービス事業者のゲートウェイとして、数多く採用されています。さらに、エンタープライズユーザーやコンタクトセンターでもインターネット化が加速していることもあり、今後も需要の増加が見込まれます。
音声認識&AIサービス関連においては、通信事業者向けに通話録音の自動テキスト化を実現する機能「U-cube rec」を提供しています。導入する際に特別な設備や専門の管理者が不要で、通話録音データをクラウド上で安全に管理できるサービスとなります。
また別の通信事業者に対しては、金融機関向けの通話録音サービスとして「VoISplus(オンプレミス型)」を提供しています。電話回線の種類を問わず、全ての通話録音データの管理が可能であり、通話録音装置と連携して録音データの蓄積・管理を行います。複数拠点の通話録音データは、データセンターなどで一元管理ができ、複数の通信事業者に採用されています。
そのほかに、官公庁向けに通話録音装置であるLA-6000を販売しました。
以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、1,088,135千円(前年同中間期比 6.3%の減少)となりましたが、前年と異なり、ワンタイム型ビジネスによる変動に左右されず、サブスク型ビジネスが収益基盤として着実に推移しています。
※Enablerサービス:パートナー企業が運営するクラウドサービスのメニューの一部に、当社のクラウドサービスを組み込みます。ブランドはパートナー企業のものであり、裏方として技術やインフラ、機能を提供することでパートナー企業のサービス運用をサポートします。
〔コミュニケーションDX事業〕
当中間連結会計期間では、DX/AIソリューション関連においては、業務のDX化が加速する中、電話システム機能の拡充、コールセンター支援、スマートフォンのアプリケーションに関するシステム開発などを実施し、当社グループの「U-cube connect」、「U-cube cogni」により音声認識後のデータの利活用を提供しています。さらに「U-cube connect」は、SMS送信、FAX送受信機能に加え、マルチチャネル対応IVRサービスをシームレスに提供し、企業のDX導入に貢献しています。
継続案件として、一般社団法人建設技能人材機構に、既存の電話システムと当社グループのオムニチャネルコミュニケーションサービス、CTIと連携したコールセンターソリューションを提供しています。簡易なお問い合わせに対しては、受付からSMS送信での情報提供まで自動で行えるようになり、スーパーバイザーによるモニタリングや対応履歴の管理・共有も高度化され、一層の顧客対応品質の向上と業務効率化を可能とするものとなっています。また同社における導入実績から、業務改善に関するコンサルティングを実施し、業務改善に必要な環境を提案・提供しています。
当社グループのソフトウェア「LA-6000」は、通話録音システムとして多くの実績がありますが、世の中のDX化が加速する中で活用の幅も広がっています。録音データの保存だけではなく、音声を認識するためのデータ取り込み機能であるキャプチャサーバーとしてもご利用いただいています。NTTテクノクロス株式会社にも採用され、同社のソリューションと連携し、米国BPO(Business Process Outsourcing)事業者に導入されました。
さらに、当社グループの安全管理ソリューション「U-cube cogni 工事KY」も複数の企業に導入されています。近年、設備工事や建設現場などで行うKY(危険予知)活動のDX化が進み、当該サービスはこのKY活動の状況をデータとして分析できるサービスとして需要が伸びています。
BSSソリューション関連においては、前期に引き続き、モバイル事業者のユーザー制御、サービス制御、接続先毎の通信速度を制御するシステムの運用支援を通して、システムの安定稼働の維持を提供しています。これらモバイル事業者向けの業務システムの構築経験を活かし、企業の業務DX化に向けたコンサルティングも実施しています。また、モバイルサービス運用支援の実績から、モバイル通信制御システムのバージョンアップ対応や、セキュリティコンサルティングなども受注しています。
そのほかに、関連するサブスク型ビジネスである保守サポート・サービスも堅調に推移しています。
以上の結果、当中間連結会計期間の売上高は、511,939千円(前年同中間期比17.1%の増加)となりました。
②財政状態の状況
資産、負債、純資産の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産は、3,405,677千円となり、前連結会計年度と比べ127,838千円の増加となりました。増加の主な要因は、現金及び預金が464,493千円、仕掛品が41,219千円、流動資産「その他」に含まれる前払費用が56,759千円、ソフトウェア資産が26,872千円(新規開発及び取得等により141,156千円増加、減価償却により114,283千円減少)、投資その他の資産「その他」に含まれる長期前払費用が17,904千円増加したことによるものであり、減少の主な要因は、前連結会計年度末に計上された売掛債権等の回収により売掛金が455,693千円、繰延税金資産が18,172千円減少したことによるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債の総額は、1,338,858千円となり、前連結会計年度と比べ20,954千円の増加となりました。増加の主な要因は、前受金が357,554千円増加したことによるものであり、減少の主な要因は、買掛金が70,549千円、長期借入金及び1年内返済予定の長期借入金が109,956千円、賞与引当金が25,785千円、未払法人税等が30,802千円、流動負債「その他」に含まれる未払金が11,623千円、未払費用が12,050千円、預り金が10,356千円、未払消費税等が61,298千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産は2,066,819千円となり、前連結会計年度と比べ106,884千円の増加となりました。増加の主な要因は、譲渡制限付株式報酬としての新株発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ18,575千円、親会社株主に帰属する中間純利益の計上により利益剰余金が84,083千円増加したことによるものであります。減少の主な要因は、配当金の支払により利益剰余金が15,208千円減少したことによるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて464,493千円増加し、1,726,529千円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とその主な増減要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、741,778千円(前年同中間期は、609,678千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前中間純利益105,220千円、減価償却費119,196千円、売上債権の減少額455,693千円、前受金の増加額357,554千円等の増加要因に対して、賞与引当金の減少額25,785千円、棚卸資産の増加額39,259千円、仕入債務の減少額70,549千円、未払消費税等の減少額61,298千円、「その他」に含まれる前払費用の増加額40,666千円、法人税等の支払額30,352千円等の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、151,315千円(前年同中間期は、182,903千円の使用)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出5,099千円、無形固定資産の取得による支出146,216千円の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、125,969千円(前年同中間期は、114,734千円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出109,956千円、配当金の支払額15,079千円等の減少要因があったことによるものであります。
(3)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当中間連結会計期間における研究開発費の総額は、6,437千円であります。なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動に重要な変更はありません。
(6)従業員数
当中間連結会計期間において、当社グループの従業員の著しい増減はありません。
(7)生産、受注及び販売の実績
当社グループは、通信技術に関するソリューション・サービス提供を事業とする単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
① 生産実績
当社グループは、ソフトウェアの開発・販売を主たる事業としており、生産という概念は薄く、かつ受注形態が多岐にわたり生産実績の把握が困難であるため、生産実績の記載を省略しております。
② 受注実績、販売実績
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当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同中間期比(%) |
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受注高(千円) |
1,342,016 |
124.0 |
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受注残高(千円) |
1,477,736 |
102.9 |
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販売実績(千円) |
1,600,074 |
100.1 |
(8)主要な設備
当中間連結会計期間において、主要な設備の著しい増減はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。