第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
  なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当中間連結会計期間における当社グループを取り巻く市場環境は、国内外において米中貿易摩擦やロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東情勢の緊迫などの地政学的リスクの影響により依然として先行きが不透明な状況が続くなか、中国経済の減速、原材料価格の高騰や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要があります。

このような環境の下で当社グループは、持続的な成長を目指すために「サステナビリティ経営の推進」、「事業領域の拡充とグループ収益力の強化」、「資本効率の向上と株主還元の拡充」を基本方針とした中期経営計画(2023年4月~2027年3月)を策定し、推進することで、企業価値の向上に取り組んでまいります。

水環境事業においては、上下水道設備や汚泥再生処理・バイオマス利活用設備などの水インフラの増設・更新需要の取り込みや、設備の維持管理業務、補修工事などの営業活動を展開してまいりました。また、脱炭素社会に貢献する創エネルギー事業、および水インフラを安定的に維持・運営していくために設備の建設と長期の維持管理業務が一体となったPFI(*1)、DBO事業(*2)や、包括O&M業務(*3)、FIT(*4)を活用した発電などの官民連携事業の受注拡大に取り組んでまいりました。

一方、産業事業においては、化学分野向けプラント・単体機器や持続可能な社会の実現に貢献する二次電池製造関連設備などの産業インフラ関連設備および廃液・固形廃棄物処理などの環境関連設備の営業活動を推進してまいりました。

その結果、当中間連結会計期間における当社グループの業績は以下のとおりとなりました。

受注高は1,038億67百万円(前年同期比312億56百万円の増加)、売上高は532億69百万円(前年同期比149億71百万円の増収)となりました。また、損益面につきましては、営業利益は11億6百万円(前年同期比11億5百万円の増益)、経常利益は19億28百万円(前年同期比12億11百万円の増益)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億18百万円(前年同期比97百万円の増益)となりました。

 

*1:PFI(Private Finance Initiative)

施設整備を伴う公共サービスにおいて、民間の有する資金、技術、効率的な運用ノウハウなどを活用する仕組み

*2:DBO(Design Build Operate)事業

事業会社に施設の設計(Design)、建設(Build)、運営(Operate)を一括して委ね、施設の保有と資金の調達は行政が行う方式

*3:包括O&M業務

設備の運転管理業務だけでなく、設備の補修工事や薬品などの供給も含めた包括的な維持管理業務

*4:FIT(Feed-in Tariff)

再生可能エネルギーを用いて発電された電気を、一定価格で電気事業者が買い取ることを義務付けた制度(固定価格買取制度)

 

 

当社グループは、上下水道および汚泥再生処理・バイオマス利活用設備を主要マーケットとする水環境事業と、化学分野や二次電池製造などに関連する産業インフラ設備および廃液や固形廃棄物処理などの環境関連設備を主要マーケットとする産業事業の2つを主たる事業と位置付けており、それら以外の事業をその他としております。

 

当中間連結会計期間におけるセグメントの業績は、次のとおりであります。

 

(水環境事業)

水環境事業は、水インフラ(機器・プラントの設計・建設)とライフサイクルビジネス(運転・メンテナンス・補修工事・サービス業務)により構成されております。

事業環境につきましては、国内の水インフラ関連投資は堅調に推移しております。また、複数年および包括O&M業務や設備建設と長期の維持管理業務を一体化したPFI、DBO事業などの発注は増加しております。一方で、原材料価格の高騰や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要があります。

このような状況の下で当社グループは、国内の上下水道および汚泥再生処理設備の増設・更新需要を取り込むために、下水処理場向け汚泥処理設備、浄水場向け排水処理設備、し尿処理設備などの営業活動を推進してまいりました。O&M業務においては補修工事および包括O&M業務の営業活動を展開してまいりました。また、脱炭素社会に貢献する技術開発および民間企業のノウハウを活用した官民連携事業の提案を推進してまいりました。その実績として、下水処理場向け次世代型汚泥焼却システム、浄水場向け排水処理設備などの受注を果たしました。また、メンテナンスなどのアフターサービス事業をより一層強化するために、包括O&M業務や補修工事の営業活動を展開し、受注高を確保してまいりました。

その結果、当中間連結会計期間における水環境事業の受注高は764億59百万円(前年同期比236億77百万円の増加)となり、売上高は332億26百万円(前年同期比124億33百万円の増収)となりました。営業利益は2億99百万円(前年同期比9億13百万円の増益)となりました。

 

(産業事業)

産業事業は、産業インフラ(機器・プラントの設計・製造・建設)と環境(環境保全設備の設計・製造・建設、廃棄物処理事業)により構成されております。

事業環境につきましては、国内外において米中貿易摩擦やロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東情勢の緊迫などの地政学的リスクの影響により依然として先行きが不透明な状況が続くなか、中国経済の減速、原材料価格の高騰や為替の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要があります。

このような状況の下で当社グループは、化学分野などの産業インフラの設備更新需要や脱炭素社会に貢献する二次電池製造関連設備の設備投資需要を取り込むために、国内外における各種プラント設備および晶析装置、乾燥機、分離機、ろ過機、ガスホルダ、攪拌機などの単体機器の営業活動を展開してまいりました。環境分野においては、国内外向けに廃液燃焼システム、固形廃棄物焼却設備、排ガス・排水処理設備や補修工事の営業活動を展開してまいりました。また、微粒子製造技術の競争力強化やアフターセールスの強化に取り組んでまいりました。

その結果、当中間連結会計期間における産業事業の受注高は267億46百万円(前年同期比75億81百万円の増加)となり、売上高は193億80百万円(前年同期比25億39百万円の増収)となりました。営業利益は3億29百万円(前年同期比1億66百万円の減益)となりました。

 

(その他)

その他事業は、主に不動産管理、賃借に関する事業であり、その大半が市川工場跡地において三井不動産株式会社と共同で開発した物流施設の事業になります。

当中間連結会計期間における受注高は6億62百万円(前年同期比2百万円の減少)となり、売上高は6億62百万円(前年同期比2百万円の減収)となりました。営業利益は4億74百万円(前年同期比3億55百万円の増益)となりました。

 

 

② 財政状態の状況

当中間連結会計期間末の資産合計は1,780億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ300億4百万円減少しました。これは主に、仕掛品の増加37億22百万円などがあったものの、受取手形、売掛金及び契約資産の減少328億65百万円などがあったことによるものです。

負債合計は729億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ295億28百万円減少しました。これは主に、契約負債の増加42億37百万円などがあったものの、支払手形及び買掛金の減少103億89百万円、電子記録債務の減少21億51百万円や短期借入金の減少140億円などがあったことによるものです。

純資産合計は1,050億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億76百万円減少しました。これは主に、自己株式の減少2億88百万円、為替換算調整勘定の増加2億95百万円などがあったものの、非支配株主持分の減少11億円などがあったことによるものです。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は301億50百万円となり、前連結会計年度末に比べ、25億49百万円増加しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、196億37百万円となりました(前中間連結会計期間は45億97百万円の獲得)。これは主に、仕入債務の減少額147億48百万円などによる資金の減少があったものの、売上債権及び契約資産の減少額379億69百万円などによる資金の増加があったことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、3億9百万円となりました(前中間連結会計期間は18億93百万円の支出)。これは主に、定期預金の純減少額5億21百万円などによる資金の増加があったものの、有形固定資産の取得による支出6億18百万円や無形固定資産の取得による支出2億22百万円などによる資金の減少があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、171億12百万円となりました(前中間連結会計期間は31億95百万円の支出)。これは主に、短期借入金の減少額140億円や長期借入金の返済による支出20億39百万円などによる資金の減少があったことによるものです。

 

(2) 事業上および財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループの事業上および財務上の対処すべき課題について重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(3) 研究開発活動

当中間連結会計期間の研究開発費の総額は6億87百万円であります。

なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

(4) 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの事業環境に関する今後の景況感につきましては、米中貿易摩擦やロシアによるウクライナ侵攻の長期化、中東情勢の緊迫などの地政学的リスクの影響、および中国経済の減速、原材料価格の高騰や為替等の変動などが経済活動に与える影響について留意する必要があります。

国内の上下水道分野は、水インフラ関連の投資は引き続き堅調に推移していくものと推測されますが、中長期的には人口減による市場規模の縮小、および競争の激化等により事業環境が厳しくなることが予想されております。昨年10月に実施したJFEエンジニアリング株式会社との国内水エンジニアリング事業の統合は、中長期的な事業環境への対応策の一つでもあり、シナジーを創出することでさらなる事業基盤の安定化に取り組んでまいります。

民間の設備投資については、注力しているリチウムイオン二次電池向けの機器・プラントの市況は、欧米等における電気自動車に対する補助金の見直しの影響などもあり踊り場を迎えている状況ですが、中長期的には内燃機関から電気自動車へのシフトが進む方向性は変わらないと思われることから、引き続き競争力の強化に取り組み脱炭素社会の構築に貢献してまいります。

2025年3月期の連結業績見通しは、売上高1,300億円、営業利益70億円、経常利益78億円、親会社株主に帰属する当期純利益44億円を見込んでおります。

 

 *上記の業績予想は、現時点で入手可能な情報に基づき当社が判断したものです。実際の業績は、今後様々な要因によりこれらの業績予想とは異なる結果になる可能性があります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

(連結子会社間の合併)

当社は、2024年2月8日開催の取締役会において、当社の完全子会社である月島環境エンジニアリング株式会社を存続会社、当社の完全子会社である大同ケミカルエンジニアリング株式会社を消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、月島環境エンジニアリング株式会社と大同ケミカルエンジニアリング株式会社は、2024年4月23日付で吸収合併契約を締結し、2024年10月1日付で吸収合併を実施いたしました。

詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)(連結子会社間の合併)」に記載のとおりであります。