当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の影響等により景気は緩やかに回復しつつあります。一方で、中国経済の先行き懸念や中東地域の情勢による不安定な海外情勢等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
情報サービス産業におきましては、企業の収益性向上や人手不足対策等のためのDX(デジタルトランスフォーメーション)、社会実装段階に移りつつある生成AI活用等によりIT投資は依然として旺盛であります。
こうした環境下、当社グループでは、中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)の基本方針に「ODKグループ拡大」を掲げ、「新事業ポートフォリオの推進」「グループシナジーの具体化」「M&A・アライアンスの推進」を本年度の重点課題として様々な施策に取組んでおります。
その方策として、2024年10月2日に上位層の学生向け就活塾『Abuild®就活』を展開するNINJAPAN株式会社(以下「NINJAPAN」という。)の全株式を取得し、当社の子会社といたしました。当社グループは、受験生の半数以上が利用する大学受験ポータルサイト『UCARO®』を軸に、将来を担う若年層との接点を強みとした事業創出を目指しております。NINJAPANの子会社化により、受験生から大学生に留まらず社会人に至るまで伴走する機会を得ることとなり、さらなるビジネスチャンス拡大を見込んでおります。今後の展開といたしましては、NINJAPANが有する就活塾としての豊富な支援実績と、連結子会社の株式会社ポトスにおいて提供している、採用広報支援サービス『キャリポート®』が有する大学低年次の学生との関係性を活かし、大学受験から就職活動までシームレスなキャリア形成支援サービスの展開を目指してまいります。
こうしたサービス展開を支える基礎研究として、当社『アプデミー®』において、分散型台帳を用いたNFT(※1)等のデジタルバッジやDAO(分散型自立組織)(※2)、生成AI等といったWeb3.0技術の研究開発に取組んでおります。その一環として、ブロックチェーンを活用したスマートコントラクト(※3)技術の実証実験を株式会社電通グループ他と共同で実施いたしました。本実証実験は、今夏に開催された、メディアアーティストの落合陽一氏による特別プログラム「Table Unstable-落合陽一サマースクール2024」(※4)内で小学2年生~高校3年生を対象に行われ、NFTを用いたスマートコントラクト技術部分及び参加者の体験実績の証明書発行を当社が実装しております。こうした多様な体験実績の証明を通じて、就活支援に加えて、企業の採用ブランディングやマーケティング活動を支援するサービスの拡充を図ってまいります。
なお、「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号 2019年1月16日)等に基づき、第3四半期連結会計期間においてNINJAPANを連結対象に追加予定であります。これによる本年度業績への影響は軽微となる見込みです。
当社は「専門性の強化による新たな価値の創造」を基本方針に、「個別収益管理の深化」「ターゲット市場の拡大」「個人の価値最大化に向けた研究開発成果の活用」を本年度の重点課題として取組んでおります。
主力の教育業務においては個別収益管理の徹底を基本に、近年のコスト増等を踏まえた価格の適正化に継続して取組んでおります。
その他、『UCARO®』をデータプラットフォームとして各事業領域をつなぐハブに育成するとともに、外部接点強化やサービス拡張等により保有するデータ量・種類の拡大を目指しております。今後も同サービスを軸とした成長戦略により、データビジネスによる新たな価値の創造を継続してまいります。
業績面では、医療関連サービスにおける臨床検査基幹システム開発や証券業務において前期に発生した制度改正対応開発案件にともなう『WITH-X®』関連の売上が当期に寄与したこと等により、売上高は2,108,261千円(前年同期比 9.0%増)となりました。売上高の増加及び前期に発生した一時的な特殊要因(証券業務における制度改正対応開発原価のソフトウエア資産化)の剥落等にともなう売上原価の増加により、営業損失は376,784千円(前年同期は営業損失284,316千円)となりました。また、経常損失は343,979千円(同 経常損失270,288千円)、親会社株主に帰属する中間純損失は261,387千円(同 親会社株主に帰属する中間純損失203,612千円)となりました。
当社グループの事業は、大学入試業務をはじめとした利益が第4四半期連結会計期間にかけて増加する傾向にあるため、中間連結会計期間の売上高は相対的に少なくなる傾向にあります。しかし、人件費等の固定費は四半期ごとに変動する性質ではないため、結果として、中間連結会計期間の利益が、他の四半期に比べ極めて低い水準にとどまり、例年第3四半期まで損益はマイナスでありますが、通期では当該マイナスは解消されております。
売上高の内訳は、次のとおりであります。
なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント毎の記載に代えて、サービス別の内訳を記載しております。
<システム運用>
大学入試業務等の売上認識等により、1,832,964千円(前年同期比 1.8%増)となりました。
<システム開発及び保守>
医療関連サービスにおける臨床検査基幹システム開発や証券業務における制度改正対応等開発案件にともなう『WITH-X®』関連の売上等により、224,744千円(同 125.9%増)となりました。
<機械販売>
医療システム用プリンタの機器更新により、50,552千円(同 41.5%増)となりました。
(※1)NFT:
Non-Fungible Token の略語。ブロックチェーン上でその唯一性が保証されているトークンであり、暗号学的にその保有や来歴を証明することが可能です。
(※2)DAO(分散型自立組織):
運営会社や取締役会等の中央管理者を置かずに、参加者全員で意思決定を行う組織を指します。組織管理の観点ではガバナンスの透明性や組織・財産の管理や執行コストの低減につながること、また経営の観点ではトークンによる経済圏の生成を通じて持続的な成長へつながることが期待されています。
(※3)スマートコントラクト:
ブロックチェーン上で事前に設定した所定の条件が満たされたときに自動的に実行される仕組みを指します。
(※4)Table Unstable:
落合陽一氏が主宰する公開討論やプレゼンテーション等で構成される会議体です。本プログラムは、その派生プロジェクトとして生まれた小中学生向けの課外学習プログラムです。当社は、実行委員会のメンバーとして同スクールを主催しています。
② 財政状態
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比べて313,869千円減の8,380,607千円となりました。これは主に売上債権の減少によるものであります。
負債は、前連結会計年度末と比べて74,033千円減の2,565,196千円となりました。これは主に未払法人税等の納付による減少によるものであります。
純資産は、前連結会計年度末と比べて239,835千円減の5,815,410千円となりました。これは主に利益剰余金の減少によるものであります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて870,648千円増の3,576,168千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、628,810千円の収入(前年同中間期は816,884千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前中間純損失に加え、未払消費税等の増加による変動であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、217,209千円の支出(前年同中間期は289,290千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、459,047千円の収入(前年同中間期は229,688千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、8,376千円であります。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当社は、2024年8月28日開催の取締役会において、NINJAPAN株式会社の株式を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結いたしました。
詳細は「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりであります。