当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当中間連結会計期間におけるわが国経済は、原材料高や一時的な円安の影響を受けつつも、IT関連需要や小売りの改善が牽引し、日銀の物価安定目標を維持しつつ市場予測を上回る景況感を示しました。しかしながら大企業製造業は横ばい、非製造業における対個人サービスも振るわない結果となりました。
大企業製造業では、海外事業の伸び悩みが懸念されるものの、IT関連需要の拡大と自動車生産の回復が期待されております。
非製造業では、原材料・エネルギーコスト高・人手不足や人件費増の引き続きの懸念に加えて為替の影響が懸念されております。
多くの懸念事項による先行きの不透明感は拭えないものの、物価の安定や為替の修正により利上げ継続方針が堅持されており、緩やかな景気回復基調の継続が見込まれる中で、経済政策の動向に関心が集まる状況となっております。
また、当社グループ全体の事業領域である人材ビジネス市場の状況は、2024年8月の完全失業率(季節調整値)は2.5%(前年同月2.7%、前月2.7%)、有効求人倍率(季節調整値)は1.23倍(前年同月1.29倍、前月1.24倍)、新規求人倍率(季節調整値)は2.32倍(前年同月2.33倍、前月2.22倍)の国内雇用状況であり、一時的な下落傾向を経て、高水準にて堅調に推移しております。
当社グループの主要な事業である「HRソリューション事業 人材派遣・受託」が主にサービス提供を行っているゲーム業界においては、国内ゲーム市場は2兆1,255億円となっており前年比4.6%増と伸張、一方で、世界のゲームコンテンツ市場規模は29兆5,162億円となっており同一為替レートでは前年比3.1%増となっており(出典:ファミ通ゲーム白書2024)、国内ゲーム市場は堅調に推移しており、特に家庭用ゲームハードが前年比27.5%増と大きな伸びを示しております。
しかしながら、所謂「巣籠り特需」の反動に加えて、物価の上昇に伴う消費の防衛意識が高まる中でROI(投資効率)意識が高まり、「プチ贅沢」を嗜好する消費者のマインドシフト等の影響により、ゲームソフト・アプリケーションにおいてはモバイルを中心としたソーシャルゲーム並びにコンシューマーゲーム共に多くのゲーム会社各社が苦戦を強いられております。
このような環境の中、当社グループの「HRソリューション事業 人材派遣・受託」では、ゲーム会社各社の業績が軟調に推移しているものの主力のゲーム会社向け派遣事業において配属者数を拡大するため、新規取引先の開拓のみならず、既存取引先のさらなる深耕を継続して取り組んでおります。
また、「HRソリューション事業 人材紹介」及び「メディア&ソリューション事業」では、雇用環境の情勢を反映して業績は堅調に推移しております。
これらの結果、当中間連結会計期間の業績は、売上高4,335,075千円(前年同期比33.4%増)、営業利益696,168千円(前年同期比23.9%増)、経常利益700,940千円(前年同期比37.2%増)、親会社株主に帰属する中間純利益439,873千円(前年同期比30.3%増)となりました。
報告セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<HRソリューション事業 人材派遣・受託>
主要な事業である「HRソリューション事業 人材派遣・受託」におきましては、主力のゲーム会社向け人材派遣サービス、並びにゲーム会社を中心とした顧客からの受託サービスを展開しております。
「HRソリューション事業 人材派遣・受託」では、中長期的には成長が見込まれているゲーム市場に対して、安定的な事業の継続拡大を企図して、ゲーム業界の大手並びに中堅企業への網羅的な求人獲得活動の継続、ゲーム業界志望者に対する効率的なマーケティング活動の実施、業界向けイベント開催を通した当社認知度の向上等に取り組んでおります。
人材派遣サービスにおいては、ゲームソフト・アプリケーション市場がモバイルを中心としたソーシャルゲーム並びにコンシューマーゲーム共に多くのゲーム会社各社が苦戦を強いられる状況下、当社もクリエイター配属数が減少しており、市場全体として苦戦している状況にあります。
このような状況に対し、ゲーム及びエンターテインメントの周辺領域への取り組み、商圏の拡大を企図した取り組みである関西圏及び九州圏への進出、また、取り扱う契約形態の多様化観点からフリーランスマッチング市場への参入を進め、売上基盤の拡大に努めております。
クリエイター配属数を増加に転じさせるため、引き続き、新規取引先の開拓に加え、既存取引先の部署別・タイトル別開拓を行うことにより、受注案件数の拡大を図っております。クリエイターの採用市場においては、採用媒体の選定や採用広告の出稿配分を最適化することにより、ゲーム会社からの需要に応えられるクリエイターを採用しており、これに加えて、自社の求人メディアを開設することにより求職者の応募チャネルの増加を図っております。
受託サービスにおいては、主にゲームタイトルのデバッグ業務を受託しており、守秘性が高いことから、新宿区に専用オフィスを設置しております。
現在稼働中の案件は安定的に推移しており、人材派遣事業との連携を図り、新規案件のリード獲得数増加に努めております。
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高2,745,143千円(前年同期比0.6%減)、セグメント利益643,323千円(前年同期比11.3%減)となりました。
<HRソリューション事業 人材紹介>
「HRソリューション事業 人材紹介」におきましては、メーカー・建設・不動産・エネルギー・IT・ゲーム・エンタメ等の業界を中心とした顧客企業に対して、アッパーミドル層を中心とした高いプロフェッショナル性を持つ求職者を紹介する職業紹介サービスを展開しております。
「HRソリューション事業 人材紹介」の市場において、構造的な労働力不足を背景に、国内企業における人材ニーズは各業界共通して高水準が維持されている反面、賃上げなどによる待遇改善が進んでいることから転職市場における人材の流動性が鈍化しております。
この市場動向に対して、採用ニーズの高い企業向けの専任アカウンティングチームを編成、独自の求職者獲得施策を進めることにより生産性を向上させ、1社当たりの取引総量増加に向けた活動を強化しております。
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高826,391千円(前年同期比221.6%増)、セグメント利益317,571千円(前年同期比323.8%増)となりました。
<メディア&ソリューション事業>
「メディア&ソリューション事業」におきましては、製造業界・工場に特化した求人メディア「工場ワークス」をはじめ、女性向けメディアの「Lovely」や、占いメディアの「plush.」など各種メディアを運営しております。
また、受託・その他のサービスとして、長年にわたり積み重ねたノウハウとHRTechを活用した採用アウトソーシングコンサルティングにより、企業の採用課題の解決を支援するサービス等を展開しております。
「メディア&ソリューション事業」の主な市場において、製造業全体の景況は横ばいながら自動車生産の回復が期待されており、非製造業も懸念事項が多いながら概ね景況は堅調であり、人材の獲得が困難な状況が継続しております。
また、新卒・中途のいずれの採用領域も既存の求人メディアのほかダイレクトリクルーティングサービスや人材紹介サービス、SNS系スカウトサービスなど様々な転職支援サービスが立ち上がり(「メディアとプラットフォームの分散化」)、求職者側の転職行動が多様化し人材の獲得難に拍車がかかる状況となっております。
メディアサービスにおいては、「応募者対応」組織を設置し、希望条件に合った求人案内や面接対策・書類作成支援など転職応募から面接・採用に至るまでの応募者対応サービスを展開し、SNSを活用した集客プロモーションとコミュニケーションツールの導入を進め、求職者との接点量拡大とLTV向上によるユニークユーザー数の拡大を図り、集客チャネルが多様化する中で集客効率の高いチャネルを見極めて費用投下し、緻密なアロケーションを実施することで広告プロモーション適正化を図っております。
採用支援サービスにおいては、業務シェアリングとプロジェクト間の人材ローテ-ションを実施し、業務プロフェッショナル人材の育成に取り組んでおります。
これらの結果、当セグメントの業績は、売上高763,540千円(前年同期比229.4%増)、セグメント利益253,548千円(前年同期比404.3%増)となりました。
②財政状態の分析
(資産)
当中間連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて750,492千円減少し、6,434,069千円となりました。
これは主に、自己株式取得、配当金の支払、及び納税等を反映した現金及び預金の減少520,099千円、減価償却を反映したソフトウエアの減少27,093千円、償却を反映したのれんの減少82,490千円、及び差入保証金の減少75,764千円等によるものであります。
(負債)
当中間連結会計期間末の負債は、前連結会計年度末に比べて147,410千円減少し、1,066,512千円となりました。
これは主に、未払金の減少102,135千円、納税を反映した未払消費税等の減少35,159千円、支給による賞与引当金の減少38,760千円等によるものであります。
(純資産)
当中間連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて603,081千円減少し、5,367,556千円となりました。
これは、主に利益剰余金の増加240,407千円、自己株式の取得850,866千円によるものであります。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の82.7%から82.9%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて520,099千円減少し、3,569,281千円となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は495,076千円(前年同期は407,941千円の収入)となりました。主な増加要因として、税金等調整前中間純利益685,760千円、主な減少要因として、法人税等の支払額207,319千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により獲得した資金は37,338千円(前年同期は29,252千円の支出)となりました。主な増加要因として、東京オフィス移転に伴う差入保証金の回収による収入73,854千円、主な減少要因として、東京オフィス移転に伴う有形固定資産の取得による支出32,664千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は1,052,514千円(前年同期は156,273千円の支出)となりました。主な減少要因として、配当金の支払199,324千円、自己株式の取得による支出851,781千円等によるものであります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因
「第2 事業の状況 1 事業等のリスク」をご参照下さい。
(8)資本の財源及び資金の流動性についての分析
①資金需要
当社グループの主な資金需要は、人件費(給料及び賞与、法定福利費等)の支払、人材を募集するために利用する採用広告費、法人税及び配当金の支払いであります。また、一時的な資金需要として、情報システム投資や新規事業に係る設備投資、自己株式の取得、M&A等を想定しております。
②財務政策
当社グループは、事業の運転資金や新規事業に係る資金需要については自己資金による充当を基本としております。事業規模の急激な変動等に伴い運転資金が追加的に必要となる場合やM&Aを含む新規事業に係る資金需要が生じた場合には、財務健全性を考慮しながら当面は銀行借入により調達する方針であります。なお、当社の成長に必要な人材採用関連投資や設備投資に加え、M&Aを含む新規事業への投資は引き続き行っていく予定でございます。加えて、株主還元については安定した配当政策の実施を基本方針とし、成長投資や必要な手許資金を考慮した上で決定しております。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。