当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。
また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)経営成績の状況
① モバイル通信サービス(MVNO/MVNE事業)について
当社は、2020年6月の総務大臣裁定を受け、2020年7月に大手携帯電話事業者と同等の音声定額プランを提供する「日本通信SIM」を発売して以来、契約回線数及び四半期売上ともに成長を続けています。
当社は、今般、当中間連結会計期間(以下、「当中間期」という)において、「日本通信SIM」の認知度を向上させるため、初めてのテレビコマーシャル(「これ以上、引けない。290円」編)を関東地方及び静岡県で実施し、インターネットでも同様の広告を展開しました。今回の広告は当中間期のみとなりましたが、関東キー局や地方テレビ局で「日本通信SIM」を取り上げていただくなど、認知度向上策として十分な効果があったものと考えています。
また、当社は、「日本通信SIM」の競争力を強化するため、2024年9月30日から「合理的みんなのプラン」と「合理的30GBプラン」の料金を据え置いたままでデータ利用量を増量しました。これにより、「日本通信SIM」のラインアップは、データ利用量が少ない方向けの「合理的シンプル290プラン(1GB・月額290円+5分かけ放題オプション(または70分無料通話)・月額390円)」、データ利用量が平均的な方向けの「合理的みんなのプラン(20GB+5分かけ放題(または70分無料通話)・月額1,390円)」及びデータ利用量がやや多い方向けの「合理的50GBプラン(50GB+5分かけ放題(または70分無料通話)・月額2,178円)」となっています。
なお、「日本通信SIM」の音声通話サービスは、業界最安値でありながら、MVNOの多くが採用しているプレフィックス方式ではなく、大手携帯電話事業者と同等の通話品質のサービスを提供しています。
当社には、大手携帯電話事業者のような店舗はありませんが、「通信品質」「料金プラン」「手続き・サポート対応」を重視し、お客様の満足度を上げることに注力しており、株式会社J.D. パワー ジャパンが実施した2024年携帯電話サービス顧客満足度調査MVNO部門において、総合満足度第1位を受賞しました。
「日本通信SIM」の売上は、認知度の向上及び商品性の評価により、個人・法人ともに契約回線数が順調に伸長しており、パートナーブランドでの音声通信サービスの契約回線数も順調に伸長し、結果として、モバイル通信サービスは、MVNO事業、MVNE事業ともに成長を継続しています。
また、当社は、2022年6月にドコモに音声・SMS網との相互接続を申し入れ、2024年2月にドコモと相互接続について合意しましたので、ドコモの音声・SMS網との相互接続に基づく新サービスを2026年5月(予定)に開始することを目指し、準備を進めています。当社は、当中間期において、音声接続にかかる調査費用等として33百万円を計上しております。
② モバイルソリューション(MSP事業)について
モバイルソリューション(MSP事業)のうちローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業は、先進的な事例の多い米国で実績を作り、その経験を生かして日本で展開することを目指しており、当社米国子会社は、米国市場で、ローカル携帯網との接続に使用するSIMを提供する事業を進めています。
2023年12月に公表したとおり、当社の米国子会社のJCI US Inc.(以下、「JCI US」という)は、米国ユタ州とCBRS(ローカル4G/5G)の教育及び遠隔医療ネットワークへの導入をユタ州全体で実現するための契約を締結しました。これは、JCI USが、当社のセキュアLTEネットワークゲートウェイプラットフォーム(NGP)サービスを主要なサービスとして商業提供する契約を、米国ユタ大学、及び、ユタ教育及び遠隔医療ネットワーク(Utah Education and Telehealth Network、以下「UETN」という)を通じて米国ユタ州と締結したものです。この契約で構想されているローカル4G/5Gネットワークは、Wi-Fiのサービス要件を置き換えて拡張し、ユタ大学とUETNが実装する高速ブロードバンドサービスの現在及び将来のユーザーに安全な(プライベート/クローズド)ネットワークを提供するものです。JCI USは、ユタ州の人々のネットワークへの接続性を高めるために必要なすべてのSIM及び/または他のハードウエアセキュリティモジュール(HSM)を提供します。
当社は、米国子会社を通じてローカル携帯網による通信(ローカル4G/5G)事業に関する技術及びノウハウを蓄積し、これらを活用することで、パートナー企業や顧客企業が設置するローカル携帯網に接続することのできるSIMを提供しています。当社は、引き続き、日本及び米国で知見を蓄積し、これらを活用して、ローカル4G/5G事業の導入事例を積み上げてまいります。
なお、ドコモの音声・SMS網との相互接続による新サービスの提供には、これまで培ってきた米国でのSIM認証技術及び認証基盤を活用していきます。
③ FPoS事業について
社会・経済の多くの分野でデジタル・トランスフォーメーション(DX)が進められる中、デジタルIDの重要性があらためて認識されていますが、当社は、当社が特許を取得しており、金融庁から金融取引の安全性の確保や利便性の向上に資することが認められた技術であるFPoSを利用してスマートフォンで利用できるデジタルIDを構築し提供する事業を推進しています。FPoSは、電子署名法による認定を受けた電子認証局がお客様のスマートフォン(iPhone及びAndroid)に公開鍵の入った電子証明書を発行し、お客様のスマートフォン内で生成する秘密鍵との組み合わせで、お客様の本人性(本人に間違いないこと)と真正性(本人の意思が改ざんされていないこと)を担保するものです。
これは、マイナンバーカードによる強固な本人確認と同様の仕組みであり、FPoSではマイナンバーカードの代わりにスマートフォンを利用しています。FPoSはマイナンバーカードと同等の高度なセキュリティを備えています。マイナンバーカードは、利用目的が限定され、デジタルIDとして利用できる範囲はマイナポータル等に限定されますが、FPoSは、利用目的が限定されず、幅広い分野で、自治体や事業者にデジタルID・認証基盤として利用していただくことができます。
なお、スマートフォンのアプリでサービスを利用する場合、お客様のデータ(個人情報を含む)がなりすまし、または改ざんされるおそれがあるという問題がありますが、FPoSは、マイナンバーカードと同等の高度なセキュリティを備えているため、なりすまし、または改ざんされるおそれはありません。また、お客様のデータ(個人情報を含む)が連携される事業者をお客様自身で管理することが難しいという問題もありますが、FPoSは、お客様の個人情報の提供先を一覧で表示し、お客様自身で個人情報の提供を許諾しまたは許諾を取り消すことができる機能(「ダイナミック・オプトイン」)を搭載しており、お客様のデータ(個人情報を含む)が連携されている事業者をお客様が確認し管理することが容易です。
当社は、このようなFPoSの可能性を実証するため、前橋市並びに民間企業及び大学による官民連携会社であるめぶくグラウンド株式会社に協力しており、めぶくグラウンド株式会社は、2022年10月から、FPoSの技術を利用したデジタルIDである「めぶくID」を発行する「めぶくアプリ」を運営しています。
「めぶくID」は、他のID等に比べて圧倒的に高度なセキュリティを備えているだけでなく、事業者をまたいでデータ連携ができ、かつどの事業者にどのようなサービスにおいてデータ連携できるかを「ダイナミック・オプトイン」機能で提供していることが、多くの自治体、企業、組織等に高く評価していただいています。
さらに、2023年12月には、「めぶくID」及び「めぶくアプリ」により、前橋市の電子地域通貨である「めぶくPay」のサービスが開始しました(前橋市及びめぶくグラウンド株式会社により2023年9月発表)。「めぶくPay」は、決済データが地域に残り、地域で活用されることで地域社会に還元されることを最優先して設計開発されています。「めぶくID」及び「めぶくPay」は、社会及び経済のデジタル化による恩恵を地域が享受することのできる取組みであり、社会課題を解決することのできる有効な手段になりうると考えています。
なお、前橋市の子育て給付金及び非課税世帯向け給付金は、「めぶくPay」で給付することができます。これは、「めぶくID」による高度なセキュリティ、及び、「ダイナミック・オプトイン」機能による本人同意の取得により、個人情報を安全確実にデータ連携できることから実現したものです。
また、2024年5月にはFPoSのコア機能を部品化した「FPoSライブラリ」をリリースしました。スマートフォン用アプリを使ってサービスを提供する事業者は、「FPoSライブラリ」を自社のアプリに組み込むことで、自社のアプリに「めぶくID」と同じレベルの身元確認、当人認証、データ連携の機能を搭載することが可能となります。
当社は、めぶくグラウンド株式会社による活動及び同社による地域単位の横展開の活動を、引き続き支援してまいります。
以上のことから、当社グループの当中間期の売上高は4,257百万円となり、前年同期と比較して754百万円(21.5%増)の増収となりました。これは、「日本通信SIM」を主とした音声定額・準定額サービスの成長によるものです。
売上原価は2,420百万円となり、前年同期と比較して459百万円の増加(23.5%増)となりました。これは、主に「日本通信SIM」の成長に伴う携帯網の調達コストの増加によるものです。なお、当社がドコモから調達する携帯網は、データ通信及び音声通話のいずれも、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えた額を超えない額で設定するものとされているため、売上原価の増加を抑えることができるようになっています。
その結果、売上総利益は1,837百万円となり、前年同期と比較して294百万円(19.1%増)となりました。また、販売費及び一般管理費は1,507百万円となり、前年同期と比較して497百万円増となりましたが、これは日本通信SIMの認知度向上策として249百万円を支出したこと、及びドコモの音声・SMS網との相互接続のための先行調査費用等33百万円を計上したことによります。営業利益は329百万円(前年同期は532百万円)、経常利益は325百万円(前年同期は571百万円)となりました。
また、モバイル通信サービスの成長により、当社がドコモから調達するデータ通信網等を増強することに伴い、ドコモにおいて当社とのデータ通信の接続装置を交換する必要が生じたため、当社は、ドコモの接続約款にもとづき、ドコモの既存の接続装置の減価償却未償却残高相当額である38百万円を特別損失(通信設備除却費用負担金)として計上しました。
これにより、親会社株主に帰属する中間純利益は246百万円(前年同期は819百万円、特別利益363百万円を含む)となりました。
(2)資産、負債及び純資産の状況
(資産)
当中間期末における流動資産は3,190百万円となり、前連結会計年度末に比べ362百万円減少しました。これは主に現金及び預金が343百万円減少したことによるものです。固定資産は1,381百万円となり、前連結会計年度末に比べ525百万円増加しました。これは主に有形固定資産が141百万円、無形固定資産が38百万円、長期貸付金が300百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は4,572百万円となり、前連結会計年度末に比べ162百万円増加しました。
(負債)
当中間期末における流動負債は1,165百万円となり、前連結会計年度末に比べ137百万円減少しました。これは主に未払法人税等が110百万円、預り金が37百万円減少したことによるものです。固定負債は102百万円となり、前連結会計年度末に比べ25百万円減少しました。
この結果、負債は1,267百万円となり、前連結会計年度末に比べ162百万円減少しました。
(純資産)
当中間期末における純資産は3,305百万円となり、前連結会計年度末に比べ325百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益246百万円を計上したことによるものです。
この結果、自己資本比率は68.1%(前連結会計年度末は62.8%)となりました。
(3)キャッシュ・フローの状況
当中間期における現金及び現金同等物の期末残高は2,174百万円となり、前連結会計年度末に比べ343百万円減少しました。
当中間期における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは219百万円の収入(前年同期は638百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益287百万円及び減価償却費89百万円の計上があった一方、法人税等の支払額が164百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは553百万円の支出(前年同期は44百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出165百万円、長期貸付けによる支出300百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは7百万円の支出(前年同期は11百万円の支出)となりました。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は70百万円です。
なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当中間連結会計期間において、新たに締結した重要な契約及び終了した重要な契約はありません。
なお、当中間連結会計期間において、変更のあった経営上の重要な契約は次のとおりです。
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会社名 |
相手方の名称 |
国名 |
契約名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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日本通信㈱ |
ソフトバンク株式会社 |
日本 |
相互接続協定書 |
レイヤー2による4G及び5Gネットワークの相互接続に関する協定 |
契約期間の定めなし (締結日:2017年1月31日) |
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日本通信㈱ |
ソフトバンク株式会社 |
日本 |
L2接続に係る卸電気通信役務の基本契約 |
卸音声サービス及び卸SMSに関する契約 |
契約期間の定めなし (締結日:2017年8月16日) |
(注)1.当社がソフトバンク株式会社と締結した相互接続協定書については、2024年8月31日に同社との間で締結した相互接続協定変更書により、2024年8月1日付で3Gネットワークの提供終了に関する変更がありました。
2.当社がソフトバンク株式会社と締結したL2接続に係る卸電気通信役務の基本契約については、2024年9月16日に同社との間で締結した変更合意書により、2024年8月1日付で3Gネットワークの提供終了に関する変更がありました。