第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中における将来に関する事項は、当半期報告書提出日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の分析

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

 至 2024年9月30日)

増減額/増減率

売上高

67,573

73,998

+6,425/+9.5%

営業利益

8,820

9,892

+1,073/+12.2%

経常利益

10,357

8,950

△1,407/△13.6%

親会社株主に帰属する

中間純利益

9,667

9,629

△38/△0.4%

為替レート

139.93円/US$

153.89円/US$

+13.96円/US$

燃料油価格※

US$597/MT

US$637/MT

+US$40/MT

 

 

※適合燃料油(Very Low Sulfur Fuel Oil)

 

 当中間連結会計期間の世界経済は、中国をはじめとする一部地域を除いて足踏み状態を脱し、高インフレの鈍化等を背景に全体として緩やかに回復しました。

 米国では、インフレ率の低下や個人消費の増加等に支えられ、景気は底堅く推移しました。欧州では、製造業の落ち込みは見られるものの、インフレ率の低下や個人消費の増加により景気は持ち直しました。中国では、輸出の増加により足元の景況感は若干改善したものの、消費者マインドの冷え込みや不動産市場の低迷が継続したことで、景気は弱含みで推移しました。我が国の経済は、インバウンド需要が堅調に推移する中、物価高で弱含んでいた個人消費に持ち直しの動きが見られる等、緩やかに回復しました。

 

 当社グループの海運業を取り巻く市況は、紅海情勢の悪化に伴い依然として不透明感がありましたが、当社が主力とするケミカルタンカーにおいては高い水準で推移しました。このような状況の下、当社グループでは、既存契約の有利更改や効率配船への取り組み等により、運航採算の更なる向上を図りました。不動産業においては、当社所有ビルが順調な稼働を継続したことから、安定した収益を確保しました。

 

 以上の結果、当中間連結会計期間においては、売上高は739億98百万円(前年同期比9.5%増)、営業利益は98億92百万円(前年同期比12.2%増)、経常利益は89億50百万円(前年同期比13.6%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は96億29百万円(前年同期比0.4%減)となりました。

 

 

上段が売上高、下段が営業損益

 

 

(単位:百万円)

 

前中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2024年4月1日

 至 2024年9月30日)

増減額/増減率

外航海運業

56,131

61,673

+5,541/+9.9%

6,943

8,106

+1,163/+16.7%

内航・近海海運業

4,981

5,710

+729/+14.6%

△ 43

225

+268/-%

不動産業

6,506

6,657

+152/+2.3%

1,919

1,561

△358/△18.7%

※当中間連結会計期間より、組織変更に伴い、従来「外航海運業」に含めていた一部船舶について、報告セグメントの区分を「内航・近海海運業」に変更しております。前中間連結会計期間のセグメント情報については、変更後の報告セグメントの区分に基づき作成したものを記載しています。

 

 各セグメント別の状況は次のとおりです。

 

①外航海運業

 当中間連結会計期間の外航海運市況は以下のとおりです。

 大型原油タンカー市況は、最大の原油輸入国である中国経済の回復遅れ・停滞、不需要期入りも相俟って、長距離輸送の需要が少なくなったことから、夏場にかけて軟調に推移しました。当社においては、支配船腹を長期契約に継続投入し、安定収入を確保しました。

 ケミカルタンカー市況は、競合するプロダクトタンカーの市況軟化等の理由により、夏場以降下落基調となりましたが、新造船の竣工が限定的であったことに加え、紅海周辺の治安悪化等を背景に船腹需給は引き続き引き締まっており、市況は高い水準を維持しました。当社においては、基幹航路である中東域から欧州及びアジア向けをはじめとする安定的な数量輸送契約に加え、高運賃のスポット貨物を取り込んだことで、好採算を確保しました。

 大型ガス船のうち、LPG船市況は、堅調な荷動きを受け当初底堅く推移するも、足元ではパナマ運河の通航状況の改善、新造船の流入、出荷量の減少等により船腹余剰となり、スポット運賃は前年同期比で大幅に下落しました。LNG船市況は、欧州における天然ガス貯蔵率が高く推移したため世界的に需要が減少し、スポット用船料は前年同期比で下落しました。当社においては、LPG船・LNG船共に、既存の中長期契約を中心に安定収益を確保しました。

 ドライバルク船市況は、ハンディ型では当期を通じて比較的堅調に推移したものの、ポストパナマックス型においては夏場以降に中国向けの鉄鉱石や穀物等の輸送量が減少し軟化しました。当社においては、専用船は順調に稼働し安定収益確保に貢献しました。ポストパナマックス型及びハンディ型を中心とする不定期船隊では、ハンディ型は市況が軟調に推移していた時期に成約した航海の影響があったものの、ポストパナマックス型の一部は夏場までの好市況を享受し採算が向上しました。

 

 以上の結果、外航海運業の売上高は616億73百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益は81億6百万円(前年同期比16.7%増)となりました。

 

②内航・近海海運業
 当中間連結会計期間の内航・近海海運市況は以下のとおりです。

 内航ガス輸送の市況は、複数プラントにおける修繕実施や慢性的な内需の冷え込みにより荷動きは低迷しましたが、内航海運業法等の改正に伴う船員労働時間の規制により、船腹需給は引き締められ、堅調に推移しました。当社においては、プラントの修繕実施に伴う輸送量減少等の影響を受けましたが、既存契約を中心に効率配船に取り組みました。

 近海ガス輸送の市況は、中国経済の回復の遅れによりプロピレンや塩化ビニルモノマーの輸送需要は依然として低調であるものの、新造船の竣工が限定的であることや、安定的なLPG輸送需要を背景に、当社の主力とするアジア域市況では引き続き堅調に推移しました。当社においては、既存の中長期契約に基づき安定的な貸船収入を確保しました。

 

 以上の結果、内航・近海海運業の売上高は57億10百万円(前年同期比14.6%増)、営業利益は2億25百万円(前年同期は営業損失43百万円)となりました。

 

③不動産業
 当中間連結会計期間の不動産市況は以下のとおりです。

 東京都心のオフィスビル賃貸市況は、空室率が前年同期比で改善したことにより賃料は回復し、新築大型ビルへの集約移転や利用面積の拡張等も加わり、市況回復の兆しが顕著になりました。当社所有ビルにおいては、オフィスフロアは順調な稼働を継続し、安定した収益を維持しました。商業フロアは、一部空室を残しているものの、飲食テナントを中心に売上の回復傾向が見られました。

 英国ロンドンのオフィスビル賃貸市場においては、立地が良く設備が充実し環境性能に優れた高グレードなビルは強い需要があり、空室率が低く賃料も安定的に推移しましたが、その他のビルの空室率は高く、市場全体としては高い空室率が続きました。当社における英国ロンドンのオフィスビル賃貸事業においては、オフィスフロア・商業フロア共に順調に稼働し、収益を維持しました。また、前期末に取得した二棟目のオフィスビルについては、初期費用が当第1四半期連結会計期間に計上されましたが、当中間連結会計期間を通じて収益に寄与しました。

 当社グループのイイノホール&カンファレンスセンターにおいては、音響設備更新工事のために施設を一時休館したことにより収益が大きく減少しましたが、休館明け以降は順調に稼働しました。

 不動産関連事業のスタジオ事業を運営する㈱イイノ・メディアプロにおいては、雑誌や広告の撮影需要を取り込み堅調に推移しました。

 

 以上の結果、不動産業の売上高は66億57百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益は15億61百万円(前年同期比18.7%減)となりました。

 

(2)財政状態の分析

①資産、負債及び純資産の状況

 当中間連結会計期間末の総資産残高は前連結会計年度末に比べ34億26百万円減少し、2,898億2百万円となりました。これは主に建設仮勘定の増加があった一方、減価償却費を計上したことや投資その他の資産が減少したことによるものです。負債残高は前連結会計年度末に比べ85億64百万円減少し、1,525億38百万円となりました。これは主に短期借入金の減少によるものです。純資産残高は前連結会計年度末に比べ51億37百万円増加し、1,372億63百万円となりました。これは主に利益剰余金の増加によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、170億99百万円のプラス(前年同期は129億98百万円のプラス)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益108億25百万円と減価償却費70億36百万円によるものです。

 「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、50億89百万円のマイナス(前年同期は89億39百万円のマイナス)となりました。これは主に船舶への設備投資を中心とした固定資産の取得による支出69億64百万円によるものです。

 「財務活動によるキャッシュ・フロー」は137億59百万円のマイナス(前年同期は14億99百万円のマイナス)となりました。これは主に長期借入れによる収入95億58百万円を、長期借入金の返済による支出156億73百万円が上回ったことに加え、配当金の支払いによる支出32億80百万円があったことによるものです。

 

 以上の結果、「現金及び現金同等物の中間期末残高」は、182億10百万円(前年同期は189億78百万円)となりました。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

 当中間連結会計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針に重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

 記載すべき事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 記載すべき事項はありません。