当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等の重大なリスクはなく、前事業年度の有価証券報告書(2024年6月24日提出)に記載した内容に重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものです。
(1)業績の状況
当中間連結会計期間における国内経済については、雇用・所得環境の改善が見られるなど緩やかな回復基調が継続しています。一方、欧米の高金利水準の継続や中国経済の先行き不安など海外景気の下振れ影響や、物価上昇、国際情勢、金融資本市場の変動などが国内景気の下振れリスクとして懸念され、今後の見通しは依然不透明な状況です。
当社グループが属する情報サービス業界では、社会課題である人材不足に対応するための業務効率化や、ビジネスモデルの変革・創出を目指したデジタルトランスフォーメーション(DX)関連のIT投資ニーズが堅調です。また、クラウドサービスや生成AI技術の伸展により、国内データセンター建設に対する投資機運が高まっており、それにともなうITインフラ構築やシステム運用の需要も増大しています。
このような環境のなか、当社グループは収益性の高い高度運用・ITインフラ領域に経営資源の戦略的投入や受注単価の見直しなどを実施しました。その結果、ITインフラをはじめとしたすべてのサービスが堅調に推移し、売上高は173億47百万円(前年同期比8.8%増)となりました。
収益面においては、従業員への還元や、人材育成・確保のための戦略的投資の増加を図りつつ、売上高の増加や利益率の高いDX関連ビジネスの拡大などにより、営業利益は17億37百万円(同22.2%増)、経常利益は18億1百万円(同19.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億55百万円(同25.1%増)を実現しました。EBITDAは、20億65百万円(同19.9%増)となりました。
なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであり、サービスごとの業績を以下のとおり記載しています。
(単位:百万円)
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前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日) |
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日) |
前年同期比 |
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増減額 |
増減率(%) |
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システムマネジメ ント |
売上高 |
7,213 |
7,528 |
315 |
4.4 |
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売上総利益 |
1,591 |
1,819 |
228 |
14.3 |
|
|
売上総利益率 |
22.1% |
24.2% |
2.1P |
― |
|
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ソフトウェア開発 |
売上高 |
5,659 |
5,978 |
319 |
5.6 |
|
売上総利益 |
1,028 |
1,213 |
185 |
18.0 |
|
|
売上総利益率 |
18.2% |
20.3% |
2.1P |
― |
|
|
ITインフラ |
売上高 |
1,396 |
1,829 |
433 |
31.0 |
|
売上総利益 |
420 |
554 |
134 |
31.9 |
|
|
売上総利益率 |
30.1% |
30.3% |
0.2P |
― |
|
|
サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育 |
売上高 |
1,502 |
1,819 |
317 |
21.1 |
|
売上総利益 |
488 |
546 |
58 |
11.9 |
|
|
売上総利益率 |
32.5% |
30.0% |
△2.5P |
― |
|
|
その他 |
売上高 |
166 |
190 |
23 |
14.3 |
|
売上総利益 |
54 |
25 |
△28 |
△52.3 |
|
|
売上総利益率 |
32.6% |
13.6% |
△19.0P |
― |
|
|
合計 |
売上高 |
15,938 |
17,347 |
1,408 |
8.8 |
|
売上総利益 |
3,583 |
4,160 |
577 |
16.1 |
|
|
売上総利益率 |
22.5% |
24.0% |
1.5P |
― |
|
① システムマネジメント
大手ITベンダーや金融関連顧客におけるデータセンター移設関連案件を含む受注拡大や新規案件の獲得、労務費や外注費の上昇を反映した単価の見直しなどにより、売上高は75億28百万円(同4.4%増)となりました。
② ソフトウェア開発
公共および金融関連顧客における受注拡大や大手ITベンダーへの営業強化による取引の拡大などにより、売上高は59億78百万円(同5.6%増)となりました。
③ ITインフラ
大手ITベンダーにおける取引や、公共、金融ならびに運輸関連顧客における受注拡大などにより、売上高は18億29百万円(同31.0%増)となりました。
④ サイバーセキュリティ・コンサルティング・教育
サイバーセキュリティおよびコンサルティングにおける受注拡大などにより、売上高は18億19百万円(同21.1%増)となりました。
⑤ その他
製品販売における受注拡大などにより、売上高は1億90百万円(同14.3%増)となりました。
《経営施策の取組み状況》
当社グループは、前中期経営計画において、デジタル技術に精通した技術者育成と各領域におけるサービスの高度化に取り組み、今後に向けた成長基盤を構築しました。そして2023年3月期からは、
①「顧客のDX推進支援の強化」と「自社のソリューション開発」という当社DXポートフォリオに沿ったビジネスモデルの展開
②高付加価値創出に向けたパートナーシップの強化
③管理部門の高度化と事業部門への人材シフト
の3つの基本テーマをもとにさらなる収益性向上を図るべく、中期経営計画「Next 50 Episode Ⅱ 『Ride on Time』」(2023年3月期~2025年3月期)を策定しました。
この中期経営計画では上記3つの基本テーマの実現に向けて、「ITサービス戦略」「人材戦略」「ニューノーマル戦略」「SDGs戦略」の4つの基本戦略を掲げています。
※BP(ビジネスパートナー):プロジェクトをともに遂行していただくITパートナー
① ITサービス戦略
ニーズの高い技術領域を定め、パートナー企業との連携による顧客のDX推進支援や成長分野を対象とした自社ソリューション開発に努めます。利益率の高い高度運用・ITインフラ領域におけるよりいっそうの収益拡大を目指し、技術者の戦略的な配置やBPとの協業強化に注力しています。システムマネジメント、サイバーセキュリティ、ソフトウェア開発分野の高度化に向け、これまで蓄積してきたAI関連技術を活用するべく、4月に「株式会社ID AI Factory」を新設しました。くわえて6月には、「AIリテラシー教育研修」サービスを開始しました。AIに関する基礎知識から実践的な応用方法までを学べるカリキュラムを提供し、お客さまのビジネスチャンスの創出や生産性の向上を支援します。また、バーチャル空間上でのシステム運用を実現する製品「ID-VROP」について8月に大規模な機能追加を実施しました。今後もシステム運用の新たな働き方や魅力の提供を目指し、さらなる改良を進めていきます。
② 人材戦略
DXサービスの拡大や高付加価値化の実現に向けて、研修制度のさらなる充実を図り、中上級技術者および企画提案型人材の育成を加速させます。具体的な取組みとして、DXを推進する人材の役割(ロール)ごとのロードマップにもとづき、人材の育成を進めています。高度運用・ITインフラ領域における技術力と提案力の強化を目的として、コンテナ系の高度技術研修、ならびにプロジェクトマネジメント研修、プロポーサルマネジメント研修を実施しました。またサービスの品質向上や新規サービスの創出を目指し、AIに関する研修を社員に提供し資格取得を支援しています。その結果、AIに関する技術的な手法や基礎知識を評価するG検定(ジェネラリスト検定)を約180名の社員が取得しました。
③ ニューノーマル戦略
社内基幹システムの刷新などによる業務の効率化・高度化に努めるとともに、スマートな管理部門の構築を図ります。管理部門業務のさらなる効率化を目的とし、対話型AIチャットボットサービス「ID AI コンシェルジュ」などのシステムの利活用に積極的に取り組んでいます。また、山陰BPOセンターへのバックオフィス機能の移転にともない、生産性向上やBCP(事業継続計画)の実現に向けた取組みを進めています。
④ SDGs戦略
事業活動を通じてサステナビリティへの取組みを進め、「社会課題の解決」と「企業価値の向上」の好循環を目指します。7月には特例子会社の愛ファクトリー株式会社が「鳥取県男女共同参画推進企業」、「イクボス・ファミボス宣言企業」に認定されました。同社は梨オーナー制度や地元企業とのコラボレーション商品の開発などの独自の取組みが評価され「とっとりSDGs企業」としても認定されました。また9月には米国ボストンにおけるベンチャー企業や投資家との交流の場の提供を目的として、ラーメンを提供するレストラン「Miraku Boston Partners with ID Group」の営業を開始しました。さらに、健康経営のさらなる強化に向け今年度より健康推進プロジェクトを発足し、保健師によるヘルスサポートや禁煙治療費用の補助を開始しました。社会貢献活動や文化芸術活動支援として「IDグループ献血DAY」やクラシックコンサートも継続的に開催しています。
(2) 財政状態の分析
(資産の部)
当中間連結会計期間末の資産の部は、契約資産の増加5億7百万円および投資有価証券の増加1億65百万円などがありましたが、現金及び預金の減少7億35百万円、売掛金の減少4億24百万円、未収入金の減少2億40百万円およびのれんの減少2億22百万円などにより、前連結会計年度末に比べ9億19百万円減少し191億41百万円となりました。
(負債の部)
当中間連結会計期間末の負債の部は、有利子負債の減少13億円などにより、前連結会計年度末に比べ15億15百万円減少し65億34百万円となりました。
(純資産の部)
当中間連結会計期間末の純資産の部は、期末配当金支払いにより4億26百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する中間純利益による増加10億55百万円などにより、前連結会計年度末に比べ5億96百万円増加し126億6百万円となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年同期連結会計期間末に比べ3億87百万円増加し、49億41百万円(前年同期比8.5%増)となりました。
当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は12億12百万円(前年同期は14億47百万円の資金増)となりました。これはおもに、税金等調整前中間純利益18億2百万円、売上債権の減少4億24百万円およびその他の流動資産の増加4億7百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1億31百万円(前年同期は2億54百万円の資金減)となりました。これはおもに、有形固定資産の取得による支出39百万円、投資有価証券の取得による支出25百万円およびその他(差入保証金の支払等)による支出57百万円などによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は17億82百万円(前年同期は15億48百万円の資金減)となりました。これはおもに、短期借入金の純減少額12億円、長期借入金の返済による支出1億円および配当金の支払額4億31百万円(非支配株主への配当金の支払額を含む)などによるものです。
(4) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動
当中間連結会計期間における当社グループ全体の研究開発活動の金額は112百万円です。
当社グループは、最先端技術を活用した新たなビジネス展開を目的とし、積極的に研究開発に取り組んでいます。
おもな取組みとして、AI技術について、とくに進化が著しい大規模言語モデル(LLM)の活用を中心に、音声認識や画像認識技術の研究開発に力を入れています。4月に新設した子会社「株式会社ID AI Factory」では、当社グループ事業領域の高度化に寄与するAIサービスのPoC(実証実験)を進めています。さらに、当社社長の舩越の思考・哲学を学習し、忠実に再現したAIチャットボット「舩越社長AI」を開発しました。
また、バーチャル空間上でのシステム運用を実現する製品「バーチャルオペレーションセンター(ID-VROP)」について、障害検知機能とホワイトボード機能に関する大規模な機能追加を実施しました。これにより仮想空間上のオペレーションルームにおいて迅速かつ確実な障害対応が可能となり、当社グループが目指す新しい形のシステム運用の実現に寄与しました。
ほかにも、当社が取得しているブロックチェーンに関する特許技術を利用したロギングシステムについて、NTTデータ先端技術株式会社およびSBI R3 Japan株式会社の2社と協働して、製品開発に着手しています。
なお、当社グループの報告セグメントは「情報サービス事業」の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しています。
(6) 資本の財源および資金の流動性についての分析
当社グループのおもな資本の財源は、内部資金および金融機関からの借入です。当中間連結会計期間末現在、短期借入金の残高は10億円、1年内返済予定の長期借入金の残高は2億円、長期借入金の残高は50百万円です。
なお、当社グループは、資金調達の機動性と効率性を高めるため、取引銀行5行と総額41億円の当座貸越契約を締結しています。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。