当中間連結会計期間において、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の異常な変動等又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。
(1) 経営成績の分析
[事業活動の取り組み状況]
グローバルでのDX等の加速やニーズの多様化・高度化に対応するため、グローバル市場でビジネス拡大を図るとともに、コンサルティングからアプリケーション開発、インフラサービスまでを含めた多様なITサービスの拡大と安定的な提供に取り組んでおり、当中間連結会計期間における取り組み事例は次のとおりです。
<商流データを活用したサプライチェーン・ファイナンス(注1)を、当社グループのアセットにより実現>
当社グループは、サプライチェーン上の企業間や業務プロセス間でのさまざまな商流データをiQuattro(注2)に一元的に管理・蓄積し、法人インターネットバンキングAnserBizSOL(注3)と連携し、商流データを金融業務に活用するサプライチェーン・ファイナンスシステム(以下、SCFシステム)の仕組みを構築しました。
第一弾として、㈱イオン銀行と連携して、発注書データを元にサプライヤー企業に融資を行う「発注書ファイナンス」の提供を開始しました。本サービスは、企業間の商流データを各企業から連携し、iQuattro上で金流データに統合することにより発注・入金日等の単位で融資申込に活用可能な形に加工する機能と、その加工データを活用してサプライヤー企業が金融機関に融資申込をするための各種画面・ワークフロー機能を提供します。また、AnserBizSOLとのシングルサインオンによる認証連携機能等により、高セキュアな環境での外部サービスとの柔軟な連携等を実現します。サプライヤー企業は「発注書ファイナンス」を利用することで、バイヤー企業からの発注直後に融資申し込みが可能となり資金受領までの期間を短縮できることに加え、商流に基づく与信判断となるため借入金利が低くなるなど資金調達コスト削減も期待できます。また、金融機関は真正性が担保されたデータを利用することで、借り手の申告情報の精査等にかけていた時間とコストの削減を実現できます。
当社グループは、SCFシステムのサービス提供領域拡大やプラットフォーム化を進め、2030年度までに100億円規模の売上を目指すとともに、サプライチェーン全体の強靭化を目指すお客様への伴走・支援により、サプライチェーン変革に貢献していきます。
<当社グループの強みを生かした海外セグメントの受注案件>
North Americaでは、お客様の基幹業務・コンタクトセンター業務・情報管理共通プラットフォーム等の従業員向けアプリケーションの生産性と品質を改善する案件を、大手グローバルBFSI(注4)企業より受注しました。本案件でのベンダー統合により、お客様は従業員向けアプリケーションにおいてリスク管理の強化・管理コスト削減・市場や技術の変化への柔軟な対応等が可能となります。本案件は、10年以上にわたるお客様へのサービス提供を通じて、特にアプリケーション開発の分野における当社グループの実績が評価されたこと、また本案件について高品質のサービスを着実に提供できる実行力を示しステークホルダーとの強固な関係性を築いたことにより、現行のベンダーとの競争を制し受注に至りました。
EMEALでは、AIチャットボットを含むマルチチャネル・コミュニケーションプラットフォームの提供・保守運用に関する6年間の長期契約をドイツ連邦の政府関係機関と締結しました。本プラットフォームは、2,400万人の連邦政府サービス利用者をサポートする2万人の従業員のコンタクトセンター等の業務効率化・品質向上等を支援するもので、お客様のベルリン拠点向けにオンサイト及びリモートによるサポートを行います。これは、ドイツ連邦政府が掲げるドイツ国民の生活を支える制度の長期的な効率化と革新に貢献するものと考えます。本契約は、公的機関のクリティカルシステムの運用と重要インフラの管理に関する当社グループのケイパビリティが評価されたことや、ドイツ連邦での公共部門におけるプレゼンスが向上してきたこと等により、締結できました。
APACでは、お客様のセキュリティ体制の強化とデータセンターの災害復旧ネットワークの刷新 (従来のネットワーク構成からSDN(注5)移行による可用性の大幅な向上)、それらの5年間の保守・運用に関する案件を、インドの大手保険会社より受注しました。本案件は、次世代ファイアウォール、ネットワークの負荷分散やセキュリティに関するソリューション等さまざまなセキュリティソリューションを提供する多くのOEMベンダーと緊密に協力し、お客様とともに仕様を確定する必要があります。そのような中、包括的なベンダーマッピングを実施し、適切なソリューションを組み合わせてお客様ニーズに合致させた提案を行ったことや、10年以上にわたるセキュリティオペレーションセンターの運用及びネットワークサービスの提供を通じて得た信頼により、本案件を受注できました。
(注1)サプライチェーン・ファイナンス
サプライチェーン・ファイナンスとは、サプライチェーンの金流と商流に着目したサービスのことです。バイヤー・サプライヤー間の受発注等のさまざまな商流データを、融資等のファイナンスサービスに活用するもので、サプライヤーがバイヤーの高い信用力で資金調達できるのが大きな特徴の一つです。
(注2)iQuattro
当社グループが2017年から提供しているプラットフォームのことです。数百社で構成される組み立て製造業の大規模サプライチェーンデジタル化プロジェクト等の実績を有し、サプライチェーンの高度化を目指す企業様の構想立案から施策実行及び定着までをトータルサポートします。
(注3)AnserBizSOL
当社グループが金融機関を通して提供する法人向けインターネットバンキングサービスです。残高照会・取引照会・振込振替等のリアルタイム系サービス、総合振込・給与振込・地方税納付等のデータ伝送系サービス、決済連動系サービス等企業において求められるバンキングサービスを実現します。
(注4)BFSI
Banking, Financial Services, and Insuranceの略で、銀行、金融サービス、保険業界を含む、金融業界全体を包括する総称です。
(注5)SDN (Software Defined Network)
単一のソフトウェアによりネットワーク機器を集中的に制御し、ネットワーク構成や設定などを柔軟に変更することができる技術の総称です。従来の物理的なネットワークは、サーバやネットワーク機器の追加やネットワーク構成変更時にケーブルの抜き差しやルータ、スイッチ、ファイアウォール等を1つずつ変更する必要がありましたが、SDNでは管理ツールでの事前設定により、ネットワーク構成、性能、機能を動的に変更することが可能です。
[連結業績及び各セグメントの取り組み方針・業績]
当中間連結会計期間における業績につきましては、売上高は、海外の各リージョナルユニットが減収傾向にあるものの、公共・社会基盤分野を中心に日本全分野と海外Global Technology and Solution Services(GTSS)のデータセンター事業・SAP事業が好調なことに加えて、為替影響による増収効果もあり、増収となりました。営業利益は、日本・海外ともに増収による増益となっており、また前年度発生した日本の不採算費用・海外の事業構造改革費用の剥落もあり、増益となりました。
セグメント別の取り組み方針及び業績は次のとおりです。
(日本)
各分野とも、業界・顧客の事業課題・経営課題に対応するものとしてオファリングを設定し、コンサルティング・デジタル関連案件の拡大を目指していきます。また、より収益性が高い案件への選択と集中、不採算ビジネスの抑制により収益性を高めていきます。
当中間連結会計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、中央府省向け案件の規模拡大等により、886,628百万円(前年同期比7.8%増)となりました。
・営業利益は、増収等による増益及び前年度発生した不採算費用の剥落等により、85,988百万円(同7.5%増)となりました。
日本セグメントにおける各分野の取り組み方針は次のとおりです。
[公共・社会基盤]
当分野は、少子高齢化や環境問題等の社会課題が顕在化する中、利用者視点に立ったForesight起点のコンサルティングにより社会をデザインし、その実現に向けて官民・インダストリーの壁を越えた連携や、非IT領域も含めた対策、及び関連するプレイヤーの共創によるエコシステム構築によって、事業拡大するとともに社会課題解決を目指します。
[金融]
社会のデジタル化の進展により、生活に密着した金融サービスが次々と登場している中、金融システムにおける信頼性と先進性の両立の必要性を再確認しました。当分野は、勘定系システムのオープン化フレームワーク「PITON」適用により2024年1月に共同利用型勘定系スキーム「MEJAR」をオープン化した実績を基に統合バンキングクラウドの開発に着手し、金融システムにおける信頼性と先進性の両立を実現するための組織体制を整備します。こうした取り組みにより安心・安全な金融インフラを永続的に支え続けるとともに、業界をつなぐ新たな金融サービスの創出・拡大を目指します。
[法人]
コンサルティング、ペイメント、テクノロジーそれぞれの専門性を発揮し提供価値向上を担うとともに、各インダストリーの知見を束ね、Foresight起点で業界・お客様のあるべきビジネスの姿をお客様とともに描いていきます。また、それを実現するための企画策定から、先進技術活用力とシステム開発技術力を活用した変革の実現まで、一貫して高い価値を提供することで、お客様のビジネス変革、サービス創出をともに実現します。
(海外)
3つのリージョナルユニットと2つのグローバルユニットで構成される新オペレーションモデルでの一歩を踏み出します。生成AIに代表される最先端技術活用によるポートフォリオのモダナイゼーションを実施しイノベーションを加速させ、金融・製造・通信メディア/ハイテク・ヘルスケア・公共等の重点インダストリーにおけるアセットやオファリング等のケイパビリティをグローバルで拡大していきます。
また、グローバルでのサービス提供能力を有しつつ、お客様に各国ローカルで親近感を持っていただけるよう一層の変革を続けたいと考えています。
さらに、コーポレート機能を合理化するとともに、従業員にとって働きやすい企業であることを通じて各ユニット間のシナジーを創出し、お客様への提供価値増大を目指します。
当中間連結会計期間の業績は次のとおりです。
・売上高は、各リージョナルユニットが減収傾向にあるものの、GTSSのデータセンター事業・SAP事業が好調なことに加えて、為替影響による増収効果等により、1,371,220百万円(前年同期比7.7%増)となりました。
・営業利益は、EMEALとAPACにおける減収影響はあるものの、North America及びGTSSの増益に加えて、前年度発生した事業構造改革費用の剥落や為替影響等により、47,503百万円(同38.9%増)となりました。
海外セグメントにおける各ユニットの取り組み方針は次のとおりです。
[North America]
グローバルIT市場の約40%を占め、世界最大の市場規模である北米において、オーガニックな成長及び買収を通じて、コンサルティング、クラウド・トランスフォーメーション、デジタルオファリング、生成AIアセット等の最新のサービスポートフォリオを活用し、既存顧客からの取引拡大と新規顧客獲得の双方を目指します。また、収益に見合ったコスト構造の適正化を図ります。
[EMEAL]
英国・ドイツ・スペイン等の主要市場でのビジネス拡大に重点を置き、高い競争力を有するデジタルBPS、CX、クラウド・トランスフォーメーション、データアナリティクス、生成AIアセット等に投資するとともに、サービスのスピード・品質・コストに関わるデリバリー能力の強化に取り組みます。
[APAC]
力強い成長が見込まれる市場環境の中、インド・オーストラリア・シンガポール等の主要市場において、デジタルビジネスやERP関連のオファリングを活用し、既存顧客からの取引拡大と新規顧客獲得の双方に注力します。また、特定の戦略分野においては自社だけでなく共創による成長も期待しています。
[Global Technology Services]
世界において高いプレゼンスを有するデータセンター事業者並びにIPネットワークプロバイダーとしての強みを生かし、信頼性の高いインフラサービスをグローバルに提供していきます。また、ネットワークサービス、クラウドサービス、エッジコネクティビティ(プライベート5G)及びコンピューティングにおける強みを引き続き成長させていきます。NTT DATA, Inc.のデジタルソリューションの一部として、一連のサービスをワンストップで提供します。
[Business Solutions]
SAPに引き続き注力し、コンサルティング、アプリケーション、データサービスを通じて成長を加速させていきます。また、ショアリング・オートメーション・知的財産の活用を通じてデリバリー能力の強化を進めます。
(2) 財政状態の分析
当中間連結会計期間末の資産は、主に営業債権及びその他の債権に加えて、その他の金融資産が減少した結果、7,195,437百万円と前期末に比べ23,992百万円の減少となりました。負債は、有利子負債の増加等により、4,457,629百万円と前期末に比べ18,614百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、中間利益53,724百万円や減価償却費及び償却費183,550百万円等により、97,918百万円の収入(対前年同期比88,494百万円の収入減少)となりました。
一方、投資活動によるキャッシュ・フローは、その他の金融資産の売却による収入があるものの、有形固定資産及び無形資産の取得による支出や子会社の取得による支出等により、244,469百万円の支出(対前年同期比8,417百万円の支出減少)となったことから、当期のフリー・キャッシュ・フローは146,551百万円の赤字(前年同期は66,475百万円の赤字)となりました。
また、財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金等の支出があるものの、有利子負債の調達等により、227,864百万円の収入(対前年同期比124,285百万円の収入増加)となりました。
(4) 重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積り
当社グループにおける重要性がある会計方針及び重要な会計上の見積りについては、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記3.重要性がある会計方針」及び「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(6) 研究開発活動
当中間連結会計期間の研究開発費の総額は12,079百万円です。
この半期報告書に掲載されているサービス及び商品等は、当社グループ各社あるいは他社等の登録商標又は商標です。
なお、将来に関する記述は、当社グループが当中間連結会計期間の末日時点で把握可能な情報から判断する一定の前提に基づいており、今後様々な要因によって記載内容とは異なる可能性があることをご承知おきください。
当中間連結会計期間において、該当事項はありません。