【要約中間連結財務諸表注記】
1.報告企業
川崎重工業株式会社(以下、「当社」とする)は日本に所在する企業です。当社の要約中間連結財務諸表は、当社及びその子会社(以下、「当社グループ」とする)、並びに当社グループの関連会社及び共同支配企業に対する持分により構成されます。当社グループは、当社を中心として航空宇宙システム事業、車両事業、エネルギーソリューション&マリン事業、精密機械・ロボット事業、パワースポーツ&エンジン事業及びその他事業を営んでいます。
2.作成の基礎
当社グループの要約中間連結財務諸表は、連結財務諸表規則第1条の2第2号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件をすべて満たすことから、同第312条の規定により、IAS第34号に準拠して作成しています。
要約中間連結財務諸表は、2024年11月8日に取締役会により承認されています。
当社グループの要約中間連結財務諸表は、金融商品及び確定給付負債(資産)等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
要約中間連結財務諸表は当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、百万円未満を切捨てして表示しています。
IFRSに準拠した要約中間連結財務諸表の作成において、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定の設定を行うことが義務付けられています。実際の業績はこれらの見積りとは異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間と将来の会計期間において認識しています。
要約中間連結財務諸表上で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び会計方針の適用に関する判断は、原則として前連結会計年度に係る連結財務諸表と同様です。
要約中間連結財務諸表の承認日までに公表されている基準書及び解釈指針の新設又は改訂のうち、以下を除き、早期適用していない基準等で当社グループの要約中間連結財務諸表に重要な影響を及ぼすものはありません。なお、以下基準の適用による影響は検討中です。
3.重要性がある会計方針
当社グループが要約中間連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、前連結会計年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一です。
なお、当中間連結会計期間の法人所得税費用は、見積年次実効税率を用いて算定しています。
4.事業セグメント
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものです。当社グループは、製品別を基本とするカンパニー制を採用しており、各カンパニーは、委譲された権限の下、国内及び海外における事業活動を展開しています。従って、当社グループは当該カンパニーを基礎とした製品別を基本とするカンパニー別のセグメントから構成されており、「航空宇宙システム」、「車両」、「エネルギーソリューション&マリン」、「精密機械・ロボット」、「パワースポーツ&エンジン」、「その他」の6つを報告セグメントとしています。
各報告セグメントの主な事業内容は、以下のとおりです。
報告セグメントの会計方針は、当社の要約中間連結財務諸表における会計方針と概ね同一です。
当社グループの報告セグメントに関する情報は以下のとおりです。
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は市場実勢価格に基づいています。
2.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)の調整額△8,075百万円には、セグメント間取引消去△393百万円、セグメントに帰属しない一般管理費等△7,682百万円を含めています。
3.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、持分法による投資利益又は損失、その他の収益及びその他の費用を控除しています。
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(注) 1.セグメント間の内部売上収益又は振替高は市場実勢価格に基づいています。
2.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)の調整額△9,801百万円には、セグメント間取引消去△236百万円、セグメントに帰属しない一般管理費等△9,564百万円を含めています。
3.セグメント利益又は損失(事業利益又は事業損失)は、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、持分法による投資利益又は損失、その他の収益及びその他の費用を控除しています。
5.配当金
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(注) 2023年6月28日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金23百万円が含まれています。
(注) 2023年11月8日取締役会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金7百万円が含まれています。
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(注) 2024年6月26日定時株主総会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当金11百万円が含まれています。
(注) 2024年11月8日取締役会の決議による配当金の総額には、業績連動型株式報酬制度により設定された取締役等を受益者とする信託が保有する株式に対する配当25百万円が含まれています。
6.金融商品の公正価値
それぞれのレベルは、以下のように定義付けられています。
レベル1:同一の資産又は負債の活発な市場における(無調整の)相場価格により測定した公正価値
レベル2:レベル1のインプット以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを用いて測定した公正価値
レベル3:重要な観察できないインプットを使用して測定した公正価値
公正価値の算定に重要な影響を与えるインプットを複数使用している場合には、それらのインプットがそれ
ぞれ属するレベルのうち、公正価値の算定における優先順位が最も低いレベルに公正価値を分類しています。
金融資産及び金融負債の公正価値の算定方法は以下のとおりです。
短期間で決済されるため、公正価値は帳簿価額にほぼ等しいことから、当該帳簿価額によっています。
② デリバティブ
為替予約は報告期間の末日の先物為替相場に基づき算定しています。また、金利スワップは、報告期間の末日における金利を基に将来予測されるキャッシュ・フローを現在価値に割り引いて算定しています。
活発な市場のある株式等の公正価値は、市場価格に基づいて算定しています。活発な市場のない株式等の公正価値は、原則として、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しています。
元利金の合計額を、同様の新規借入を行った場合に想定される利率で割り引いて算定しています。
市場価格に基づいて算定しています。
公正価値で測定される金融商品を評価方法ごとに分析した表は、以下のとおりです。公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替の有無は、報告期間の末日ごとに判断しています。前連結会計年度及び当中間連結会計期間において、公正価値レベル1とレベル2の間の重要な振替は行われていません。また、公正価値で測定する金融資産は、要約中間連結財政状態計算書の「その他の金融資産」の流動・非流動に区分して計上しています。同様に、公正価値で測定する金融負債は、「社債、借入金及びその他の金融負債」の流動・非流動に区分して計上しています。
① 前連結会計年度(2024年3月31日)
② 当中間連結会計期間(2024年9月30日)
レベル3に分類される活発な市場のない株式等の公正価値については、類似会社の市場価格に基づく評価技法等を用いて算定しています。公正価値の算定に用いる重要な観察可能でないインプットは、株価純資産倍率(0.6倍~2.4倍)及び非流動性ディスカウント(30%)です。公正価値の見積りは、株価純資産倍率の増加(減少)により増加(減少)し、非流動性ディスカウントの増加(減少)により減少(増加)します。
なお、レベル3に分類される金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。
レベル3の金融商品に係る公正価値の測定は、関連する社内規程に従い実施しており、測定結果については部門管理者の承認を受けています。
(注) 1.要約中間連結包括利益計算書の「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産」に含まれて
います。なお、すべてその他の包括利益に認識したもので、純損益に認識したものはありません。
2.要約中間連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
公正価値で測定されない金融資産及び金融負債の公正価値及び帳簿価額は、以下のとおりです。
(注) 上記以外の償却原価で測定する金融資産及び金融負債の公正価値は、帳簿価額と近似しています。なお、上記の償却原価で測定する金融負債の公正価値ヒエラルキーは、借入金はレベル3、社債はレベル2に分類しています。
7.収益
当社グループは、注記4.「事業セグメント」に記載の6つの事業を基本として構成しています。その上で、顧客との契約から生じる収益についての理解のため、一部(「航空宇宙システム」、「エネルギーソリューション&マリン」、「精密機械・ロボット」)を、更に製品の種類に基づき区分した形で収益を分解しています。製品の種類別の内訳及び地域別の内訳と報告セグメントとの関連は以下のとおりです。
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(1)製品の種類別の内訳
(2)地域別の内訳
(3)返金負債
当社が、民間航空エンジンの国際共同事業体であるInternational Aero Engines, LLC(以下、「IAE社」という。)を通じて参画しているPW1100G-JMエンジンプログラム(以下、「同プログラム」という。)は、運航上重要な問題が発生したため、現在、IAE社とともに状況改善に向けて対応を進めています。当社は同プログラム参画メンバーとして発生する損失の一部を負担することとなるため、耐空性改善命令により発生する損失の一部負担分として59,611百万円を前連結会計年度に係る連結財政状態計算書の「返金負債」へ計上するとともに、57,992百万円を前中間連結会計期間に係る要約中間連結損益計算書の「売上収益」から減額しています。
当中間連結会計期間(自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(1)製品の種類別の内訳
(2)地域別の内訳
(3)返金負債
当社が、民間航空エンジンの国際共同事業体であるInternational Aero Engines, LLC(以下、「IAE社」という。)を通じて参画しているPW1100G-JMエンジンプログラム(以下、「同プログラム」という。)は、運航上重要な問題が発生したため、現在、IAE社とともに状況改善に向けて対応を進めています。当社は同プログラム参画メンバーとして発生する損失の一部を負担することとなるため、耐空性改善命令により発生する損失の一部負担分として52,445百万円を要約中間連結財政状態計算書の「返金負債」へ計上しています。
当社グループの各セグメントにおける主な収益計上方法は以下のとおりです。
・「航空宇宙システム」、「車両」、「エネルギーソリューション&マリン」
これらセグメントにおいては、民間航空機向け分担製造品や民間航空エンジン分担製造品などの製品の販売のほか、鉄道車両の製造や各種プラントの建設などの工事契約の実施及びそれらのメンテナンス契約などの役務の提供を行っています。製品の販売については、主に一時点で充足される履行義務のため、原則として物品の引渡日又は検収日に収益を認識しています。工事契約の実施及び役務の提供については、一定の期間にわたり充足される履行義務のため、合理的に進捗度を測定し収益を認識しています。進捗度の測定は、主として発生したコストに基づいたインプット法により行っていますが、メンテナンス契約等の役務の提供や、鉄道車両の製造等の一部の工事契約については、アウトプット法により行っています。
「航空宇宙システム」では、当社が参画している民間航空エンジンプログラムに関連して負担する費用の一部について、顧客に支払われる対価として、当該金額を見積もって売上収益から減額しています。また、民間航空エンジンプログラムに関して当社が参画割合に応じて負担する一種の値引きについて、収益認識時に当該値引きの金額を変動対価として見積もって売上収益から減額しています。
・「精密機械・ロボット」、「パワースポーツ&エンジン」、「その他」
これらセグメントにおける建設機械市場向け油圧機器や各種ロボット、二輪車及び四輪車などの製品の販売については、主に一時点で充足される履行義務のため、原則として物品の引渡日又は検収日に収益を認識しています。
8.その他の金融資産
一部の海外LNGタンク建設工事においては、海外下請工事会社の契約不履行等の契約違反により当社は損害(約510億円)を被りました。本事案については、ICC(The International Chamber of Commerce)へ仲裁申立を行っています。なお、本事案は今後仲裁を通じて解決を図っていく予定であり、契約上の権利に基づく金融資産を「その他の金融資産」(非流動)に計上しています。
9.1株当たり中間利益
基本的1株当たり中間利益及び算定上の基礎は、以下のとおりです。
(注)1 希薄化後1株当たり中間利益については、潜在株式が存在しないため記載していません。
2 資本において自己株式として計上されている取締役等を受益者とする信託が保有する当社株式は、1株当たり中間利益の算定上、期中平均株式数の計算において控除する自己株式に含めています。
10.後発事象
(重要な契約の締結)
(1)当該事象の内容
当社は、2024年11月8日付取締役会において、当社が保有する連結子会社カワサキモータース株式会社(以下、「カワサキモータース」という。)の発行済株式の20%をカワサキモータースに譲渡すること(以下、「本株式譲渡」という。)、及びカワサキモータースが伊藤忠商事株式会社に対して第三者割当を行い、発行済株式の20%を割り当てること(以下、「本第三者割当」という。)を決議しました。同日付で各当事会社間で株式引受契約を締結し、締結した契約に基づき、各取引は2025年4月に実行される予定です。なお、これらの取引後においても、カワサキモータースは引き続き当社の連結子会社です。
(本株式譲渡の概要)
(本第三者割当の概要)
(2)当該事象の損益に与える影響額
当該事象により、2026年3月期の個別決算において、約700億円の「関係会社株式売却益」を特別利益として計上する見込みです。なお、本取引後もカワサキモータースは引き続き当社の連結子会社であるため、連結損益への影響は軽微です。
1 2024年11月8日開催の取締役会において、当期中間配当に関し、次のとおり決議しました。
2 重要な訴訟事件等
(海外LNGタンク建設工事における損害賠償請求について)
一部の海外LNGタンク建設工事においては、海外下請工事会社の契約不履行等の契約違反により当社が被った損害について、ICC(The International Chamber of Commerce)へ仲裁申立を行いました。なお、仲裁手続きの中で、相手方から当社に対して損害の請求がなされていますが、当社は当該請求の内容は正当な根拠を欠く不当なものであると考えています。当社は、引き続き仲裁手続きを通じて、当社の正当性を主張してまいります。
3 その他
(ワシントン地下鉄車両7000系の脱線事故について)
2021年10月に米国において、当社の連結子会社であるKawasaki Rail Car, Inc.が供給し、ワシントン首都圏交通局(WMATA: Washington Metropolitan Area Transit Authority)が車両の保守・運行を実施している7000系車両で、脱線事故が発生しました。
米国国家運輸安全委員会(NTSB:National Transportation Safety Board)からの最終報告では当社グループに契約履行上の瑕疵はなく、WMATAが今回の脱線事故前から発生していた車輪間隔拡大の経過分析を実施していれば、より適切な対応ができたとしています。
また、当社グループに契約履行上の瑕疵はないとされているにも関わらず、WMATAより当社グループの責任において7000系車両の車輪・車軸を交換するよう要求されていますが、契約に従い、WMATAに対し当社グループで負担する必要はない旨を回答しています。