当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当中間連結会計期間(以下、当期)におけるわが国経済は、一部に弱めの動きもみられますが、緩やかに回復しています。一方で、中東情勢の悪化やウクライナ侵攻の長期化など地政学上のリスクの影響や各国の金融引き締め等に伴う景気後退懸念などにより、わが国経済と物価を巡る不確実性は高い状況が続いております。
当社が事業展開をしている葬儀業界では、65歳以上の高齢者人口の増加を背景に、葬儀に関する潜在ニーズは2040年まで継続的な増加が見込まれております。一方で、故人との大切な最後のお別れの場である葬儀の本質は変わりませんが、家族を中心に近しい人だけで行う家族葬のほか一日葬など、葬儀の形態が多様化しており葬儀施行単価の下落に繋がっております。加えて、葬儀事業者による葬祭会館の新規出店やインターネットによる葬儀紹介会社の台頭により、特に小規模葬儀のサービス提供をめぐる競争が激化しております。
当社は2032年に迎える創業100年に向けて当社グループが進むべき方向、ありたい姿を定めた「新10年ビジョン(2022年5月公表)」において掲げた「葬儀事業の拡大」および「ライフエンディングサポート事業の拡大」の達成を目指し「中期経営計画(2022年度~2024年度)」を推進しております。
上記、中期経営計画の重点項目である「葬儀事業の拡大」の中核として、「リーズナブルでありながら高い品質のサービス」を提供する家族葬ブランド「エンディングハウス(ENDING HAUS)」を立ち上げ、当期は「エンディングハウス今里」(大阪市東成区)、「エンディングハウス大正」(大阪市大正区)、「エンディングハウス北葛西」(東京都江戸川区)、「エンディングハウス相模原中央」(神奈川県相模原市)、「エンディングハウス市川平田」(千葉県市川市)をオープンいたしました。2025年3月期の「エンディングハウス」を中心とした新規出店は16店舗を計画しており、このうち11店舗がオープンまたはオープン見込みとなっております。
また、当社グループは、2024年9月に㈱きずなホールディングスの連結子会社化を実施いたしました。㈱きずなホールディングスは、㈱家族葬のファミーユ、㈱花駒、㈱備前屋をグループとして、11道府県で155ホールを展開しています。今回の統合により当社の事業展開エリアは、北海道から九州まで15都道府県に広がり、日本全国で多くの安心と信頼のサービス提供が可能になりました。両社の葬儀取扱い件数はおよそ年間30,000件、自社会館数は251会館となります。日本最大の上場専業葬儀事業会社として、さらなる成長をしてまいります。
当期のグループ葬祭各社の葬儀施行収入は、前年同中間期(以下、前年同期)比7.6%の増収となりました。
葬儀の小規模化に伴い葬儀施行単価が前年同期比1.8%低下する一方で、葬儀施行件数は前年同期比9.6%増加しました。葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入は、料理販売と不動産仲介等の手数料収入を中心に前年同期比増収となりました。
費用については、将来の新規出店に伴う葬儀件数の増加、売上拡大に備えた人員体制強化のため、ならびに賃金のベースアップのため人件費の増加、新規会館出店に伴う運営経費の増加により、営業費用は前年同期比7.8%の増加となりました。また、販売費及び一般管理費は、人件費ならびに、㈱きずなホールディングスの公開買付に伴う関連諸費用の増加と、基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前年同期比39.4%増加しました。
この結果、当期の営業収益は111億86百万円となり、前年同期比7.5%の増収、営業利益は将来成長のための計画的な先行投資の実施により、15億34百万円と前年同期比8.2%の減益となりました。経常利益については15億64百万円と前年同期比7.1%の減益、税金費用を差し引いた親会社株主に帰属する中間純利益は9億43百万円と前年同期比13.1%の減益となりました。なお、2022年4月に設立した葬祭会社「㈱グランセレモ東京」(㈱広済堂ホールディングス51%、当社49%の出資による合弁会社)に係る持分法による投資損益は25百万円となり、堅調に推移しております。
従来当社グループでは、葬祭3社および当社を中心とした会社グループ別の4つのセグメント、「公益社グループ」、「葬仙グループ」、「タルイグループ」、「持株会社グループ」を報告セグメントとしておりました。当期に、㈱きずなホールディングスの株式を取得した結果、報告セグメントとして「きずなグループ」を新たに追加しております。
なお、「公益社グループ」には、㈱公益社に加え、㈱公益社の葬儀サービスのサポートのほか、介護サービス事業や高齢者施設での食事の提供等を行うエクセル・サポート・サービス㈱および終活関連WEBプラットフォーム事業を行うライフフォワード㈱を含んでおります。
当期のセグメント別の経営成績は次の通りです。
ア 公益社グループ
公益社グループの中核会社である㈱公益社においては、主に新規出店効果により一般葬儀(金額5百万円以下の葬儀)の施行件数が増加し、全体で前年同期比11.4%増加しました。一方、葬儀施行単価は、直葬(火葬のみ)の割合の増加により前年同期比2.0%低下しました。また、葬儀に付随する商品の販売やサービス提供による収入は、仏壇仏具の販売や料理を中心に前年同期比増収となりました。
費用については、将来の新規出店に伴う葬儀件数の増加や、売上拡大に備えた人員体制強化のための人件費の増加、新規出店に伴う地代家賃等の増加により、前年同期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は93億68百万円(前年同期比9.4%増)、セグメント利益は10億96百万円(前年同期比16.3%増)となりました。
イ 葬仙グループ
㈱葬仙を中心とする葬仙グループにおいては、葬儀施行件数は前年並みに推移しましたが、直葬の割合が増え葬儀施行単価は低下したため、葬儀施行収入は前年同期比3.8%の減収となりました。葬儀に付随する商品の販売やサービス提供については、後日返礼品販売が低調であったため、前年同期比減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は7億26百万円(前年同期比5.2%減)、セグメント利益は50百万円(前年同期比19.9%減)となりました。
ウ タルイグループ
タルイグループの㈱タルイにおいては、葬儀施行単価が低下したものの、小規模な葬儀に適した新規会館を中心に葬儀施行件数が前年同期比4.5%増加しました。このため葬儀施行収入は前年同期比3.1%の増収となりました。葬儀に付随する販売やサービス提供は、法事法要は好調であったものの、後日返礼品販売が低調であったため、前年同期比減収となりました。
この結果、当セグメントの売上高は9億8百万円(前年同期比1.9%増)、セグメント利益は1億63百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
エ きずなグループ
当期から新たな報告セグメントとして追加したきずなグループは、当社子会社の㈱きずなホールディングス及びその子会社である㈱家族葬のファミーユ、㈱花駒、㈱備前屋にて構成されております。
当期においては、みなし取得日を2024年8月31日としており、かつ、中間連結決算日との差異が3カ月を超えないことから、貸借対照表のみを連結しております。
オ 持株会社グループ
持株会社グループの燦ホールディングス㈱においては、不動産管理収入が増加する一方で配当金収入が減少したため前年同期並みとなりました。
営業費用は、主に新規出店に伴う地代家賃・減価償却費等の固定費が増加しました。
販売費及び一般管理費においても、人件費ならびに、㈱きずなホールディングスの公開買付に伴う関連諸費用の増加と、基幹情報システムの稼働によるソフトウエアの減価償却費の増加等により前年同期比増加しました。
この結果、当セグメントの売上高は44億21百万円(前年同期比0.0%減)、セグメント利益は23億66百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
② 財政状態
(資産)
当中間連結会計期間末における流動資産は101億76百万円となり、前連結会計年度末(以下、前期末)比16億58百万円減少しました。これは主に、現金及び預金が17億95百万円減少したことによるものです。
また、固定資産は465億58百万円となり、前期末比208億8百万円増加しました。これは主に、㈱きずなホールディングスの連結子会社化に伴う建物及び構築物の増加により、有形固定資産が83億53百万円増加したことと、のれんが110億90百万円増加したことによるものです。
この結果、総資産は567億35百万円となり、前期末比191億49百万円増加しました。
(負債)
当中間連結会計期間末における流動負債は157億91百万円となり、前期末比121億55百万円増加しました。これは主に、㈱きずなホールディングスの連結子会社化に伴い短期借入金が104億円、1年内返済予定の長期借入金が14億54百万円増加したこと等によるものです。短期借入金100億円については㈱きずなホールディングスの公開買付に伴うブリッジローンであり、今後1年以内にパーマネントファイナンス(長期の資金調達)を実施する予定です。
固定負債は71億10百万円となり、前期末比60億39百万円増加しました。これは主に、長期借入金45億38百万円、リース債務8億84百万円、資産除去債務6億1百万円の増加によるものです。
この結果、負債合計は229億2百万円となり、前期末比181億94百万円増加しました。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産合計は338億32百万円となり、前期末比9億55百万円増加しました。
これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益9億43百万円を計上する一方、剰余金の配当2億48百万円を支払ったことおよび、非支配株主持分の増加2億1百万円によるものです。
この結果、自己資本比率は前期末比28.2ポイント低下し、59.3%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より17億98百万円減少し、79億50百万円となりました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と増減要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは12億52百万円の増加(前中間連結会計期間[以下、前期]は7億83百万円の増加)となりました。
これは主に、税金等調整前中間純利益15億59百万円、減価償却費4億98百万円、法人税等の還付額2億58百万円により資金が増加したのに対して、法人税等の支払額6億27百万円、仕入債務の減少額2億4百万円などにより、資金が減少したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは127億46百万円の減少(前期は4億32百万円の減少)となりました。
これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出119億36百万円、新規会館の建設工事や既存会館の改修工事等に伴う有形固定資産の取得による支出4億61百万円、投資有価証券の取得による支出2億28百万円等により、資金が減少したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは96億96百万円の増加(前期は6億9百万円の減少)となりました。
これは主に、配当金の支払額2億48百万円に対し、短期借入による収入100億円により、資金が増加したことによるものです。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
また、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針についても重要な変更はありません。
(7)研究開発活動
該当事項はありません。
(公開買付応募契約及び経営委任契約)
当社は2024年7月12日の取締役会決議に基づき、同日付で、㈱きずなホールディングスの筆頭株主である投資事業有限責任組合アドバンテッジパートナーズⅤ号、第2位株主である AP Cayman Partners III, L.P. 、第4位株主である Japan Fund V, L.P. 、および第19位株主であるアドバンテッジパートナーズ投資組合64号(以下、これらの株主を総称してAPファンド)との間で公開買付応募契約および㈱きずなホールディングス代表取締役社長兼グループCEOである中道康彰氏との間で経営委任契約を締結しております。
本公開買付の結果、㈱きずなホールディングスは当社の連結子会社となりました。
詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
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相手方の名称 |
契約書名 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
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APファンド |
公開買付応募契約 |
2024年7月12日 |
APファンドが所有する㈱きずなホールディングス株式合計3,176,870株を本公開買付に応募する旨の合意 |
公開買付期間: 2024年7月16日から 2024年8月27日まで |
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㈱きずなホールディングス 代表取締役社長兼グループCEO 中道康彰氏 |
経営委任契約 |
2024年7月12日 |
㈱きずなホールディングス及びその子会社である㈱家族葬のファミーユ、㈱花駒、㈱備前屋の企業価値の向上及び適切な業務執行の確保を目的とした職務遂行の委任 |
スクイーズアウト手続の効力発生日から2年以内に終了する最終の㈱きずなホールディングスグループ各社の事業年度に係る定時株主総会終結の時まで |
(資金の借入)
当社は上記公開買付けを行う決済等に要する資金の調達を目的として、2024年8月27日付でコミット型タームローン契約を締結し、借入を実行しました。
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借入先 |
借入金額 |
借入実行日 |
満期日 |
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㈱三井住友銀行
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10,000百万円 |
2024年8月30日 |
2025年8月29日 |