第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記
載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)財政状態及び経営成績の状況

①経営成績の状況

当中間連結会計期間(2024年4~9月)におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待できる一方、急激な円安に起因する消費者物価の上昇等により個人消費には足踏みがみられ、世界的な政情不安や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクについても引き続き留意が必要と考えられます。

当社の主な事業分野である携帯電話等販売市場では、2023年12月に電気通信事業法施行規則等の一部改正(以下、省令改正といいます。)が施行されたことにより、端末値引きが抑制され、正常な市場に移行しつつあります。一方で、2023年度の主要通信事業者における端末売上台数は、端末の高額化と急速に進んだ物価高の影響により、2,807万台と2000年度以降初めて3,000万台を下回っております。そのため、通信事業者各社による乗り換え促進施策が活発化しつつあり、消費者需要の喚起に向けた各種取り組みや、金融サービスとの連携などの新たな価値提案等、当社をはじめ携帯電話等販売代理店に期待される役割はますます大きくなってきていると言えます。

このような事業環境において、当社は、事業を通じた社会課題の解決を最優先とする「サステナビリティ経営」を進めています。ありたい姿「『つなぐ想い』でお客様の未来を創造し、社会に貢献する企業グループへ」の実現に向け、当社の最重要課題「TGマテリアリティ」のKPIを定期的に観測しながら取り組みを進めております。

新たに策定した中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)では、これまでの「プロダクトアウト」を中心とした考え方に加えて、お客様視点に立ってサービスを提供する「マーケットイン」の考え方をより一層取り入れていき、事業を変革していきます。成長戦略として「お客様が主役のビジネスへ転換」、「戦略的パートナー企業との協業」、「地域密着で社会課題を解決」の3つを掲げており、これらを確実に実行するため、今期より「コンシューマ事業」、「法人事業」、「地方創生・クオカード事業」に組織を改編しました。さらにこれら成長戦略を支える目的で、健全な財務基盤の維持、人的資本の価値最大化、デジタル化による生産性向上等、経営基盤の強化にも取り組んでおります。

当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の当中間連結会計期間における業績につきましては、売上高は2,186億20百万円(前年同期比7.8%増)、営業利益は51億1百万円(同98.1%増)、経常利益は76億5百万円(同74.6%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は37億92百万円(同33.5%増)となりました。

当中間連結会計期間における増収増益の主な要因は、コンシューマ事業の市場健全化と、店舗運営の効率化によるものであります。

なお、当中間連結会計期間において、希望退職募集の実施に伴う退職時加算金等約17億円を特別損失として計上しております。

 

当中間連結会計期間におけるセグメントごとの業績は次のとおりであります。

なお、当中間連結会計期間より報告セグメントの名称を変更しております。また、当該変更と合わせて、一部事業セグメントの移管を行っております。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

(単位:百万円)

 

コンシューマ

事業

法人事業

地方創生・

クオカード事業

その他

中間

連結業績

売上高

182,614

(5.8%)

20,836

(6.7%)

15,169

(41.9%)

-

(-)

218,620

(7.8%)

親会社株主に帰属する中間純利益又は中間純損失(△)

3,061

(119.9%)

533

(67.6%)

1,056

(△4.7%)

△858

(-)

3,792

(33.5%)

<参考>営業利益   又は営業損失(△)

4,809

(93.0%)

796

(38.2%)

△768

(-)

263

(-)

5,101

(98.1%)

※ %表示は、対前年同期増減率

 

(コンシューマ事業)

コンシューマ事業は、通信事業者各社が提供する通信サービスや各種コンテンツの契約取次とスマートフォン等の販売を行っております。また、スマホアクセサリーの販売や卸売、その他リテール事業などを行っております。当社グループの全国に広がる店舗は単なる「販売拠点」ではなく、お客様と安心をつなぐ「地域のデジタル化推進拠点」として、質の高いサービスとご要望に沿った利用価値の提案により、お客様に感動を体験していただく場となることを目指しております。

 

コンシューマ事業においては、円安や端末の高機能化による端末価格の高止まりが続く中、省令改正により端末単体の割引額に制限が設けられましたものの、各通信事業者の端末購入プログラム(残価設定プログラム)の訴求等により、回線契約数は143.7万回線(前年同期比0.3%減)と前年同期並みの水準を維持しております。

収益面では、省令改正に伴い値引き幅が縮小したことに加え、セキュリティ商材を中心とした独自商材は好調に推移した一方で、新機種のデモ機の配備や出張販売等に伴い販売促進費も前年同期に比して増加いたしました。

キャリアショップでは、リモートで初期設定サポートやスマートフォンの利用説明を行う「スマートオンラインサポート」の利用件数が増加しております。専門スタッフがお客様に応じたサポートを行うことにより、お客様満足度の向上および当社業務の効率化を図っております。

この結果、売上高は1,826億14百万円(前年同期比5.8%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は30億61百万円(同119.9%増)となりました。

 

(法人事業)

法人事業は、法人向けのスマートフォン等の販売や端末・回線管理サービス等のソリューションサービスの提供、法人・個人に対する光回線サービスの販売・契約取次を行っております。当社グループでは、パソコンまで含めたスマートデバイスの回線・端末調達、導入支援から、インフラ整備、運用、保守、リプレースの一連のライフサイクルの管理・サポート(LCM:Life Cycle Management)を行い、お客様のご要望にワンストップで対応すべく、商材・サービスの拡充を行っております。

 

法人事業における回線契約数は、大口顧客の更新等もあり17.2万回線(前年同期比13.3%増)となりましたが、粗利単価が低い商材の構成比が増えており、売上高売上総利益率が前年同期に比して減少いたしました。

当社はマーケットインの視点に立った経営を重視しており、業種・企業規模に応じて最適な提案を行うため、当事業年度よりお客様の企業規模別に組織を改編しました。LCMについては、商材・サービスを拡充するほか、業界特有・企業規模ならではの課題を解決・サポートする中堅・中小企業向けのパッケージサービスの開発にも着手しており、回線管理サービス(movino star)やヘルプデスク等の管理ID数、独自ブランドの光アクセスサービス「TG光」の累計保有回線数が前年同期を上回っております。

また、当社子会社が運営している再生可能エネルギー事業においては、法人向け太陽光発電PPAモデルのサービスを拡大しております。

この結果、売上高は208億36百万円(前年同期比6.7%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は5億33百万円(同67.6%増)となりました。

 

(地方創生・クオカード事業)

地方創生・クオカード事業は、全国の主要コンビニエンスストア等を通じての「PIN(プリペイドコード)」、「ギフトカード」の販売等のほか、地域における課題解決サポートの提供を行っております。また、当社の連結子会社である㈱クオカードでは、「QUOカード」および「QUOカードPay」の発行・精算業務およびカード関連機器の販売ならびに保守業務等を行っております。

 

決済サービスについては、決済手段の多様化の影響もあり、PIN・ギフトカードの取扱高が前年同期と比べ減少しましたが、デジタルギフトの取扱いは堅調に推移しております。2024年6月にリリースした当社オリジナルの法人向けキャンペーン支援システム「あっとギフト」は、デジタルギフトの提供からキャンペーンの企画・実行まで、デジタルギフトに関するあらゆるサポートをワンストップで提供しております。

地方創生事業は、さまざまな自治体と連携しており、千葉県勝浦市のスマホ相談員の派遣や栃木県那須塩原市の外国人向け発信型観光事業業務の受託などデジタル活用の促進への取り組みを通じて、社会課題の解決をサポートしていきます。

一方で、当連結会計年度から専門組織を組成したことによる人員増加や各種取り組みへの先行投資の影響で、販売費及び一般管理費は前年同期に比して増加しておりますが、概ね通期連結業績予想どおりに推移しております。

クオカード事業については、各種キャンペーンや施策への採用が増えており、「QUOカード」および「QUOカードPay」の発行高は前年同期に比して増加いたしました。また、引き続き「QUOカードPay」を中心に加盟店の拡大に注力しております。

この結果、売上高は151億69百万円(前年同期比41.9%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は10億56百万円(同4.7%減)となりました。

 

②財政状態の状況

(資産)

当中間連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ2億92百万円減少し、2,053億52百万円となりました。これは主に営業投資有価証券が206億56百万円、現金及び預金が24億20百万円増加し、差入保証金が128億80百万円、受取手形及び売掛金が71億49百万円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ18億28百万円減少し、407億87百万円となりました。これは主に繰延税金資産が11億84百万円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ21億20百万円減少し、2,461億39百万円となりました。

 

(負債)

当中間連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ35億70百万円減少し、1,638億80百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が18億75百万円、買掛金が12億59百万円減少したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ39百万円減少し、33億64百万円となりました。

この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ36億10百万円減少し、1,672億45百万円となりました。

 

(純資産)

当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ14億89百万円増加し、788億93百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する中間純利益37億92百万円を計上し、剰余金の配当を20億93百万円支払ったことによるものであります。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ44億20百万円増加し、474億43百万円となりました。

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、78億58百万円(前年同期は48億18百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前中間純利益を59億6百万円計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は、3億99百万円(前年同期は13億39百万円の使用)となりました。これは主に定期預金の減少額20億円、無形固定資産の取得による支出10億87百万円、有形固定資産の取得による支出5億99百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、38億87百万円(前年同期は40億29百万円の使用)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出18億71百万円、および配当金の支払額20億93百万円によるものであります。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当中間連結会計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

(1) 当社は、2024年5月1日付で、当社の特定子会社Relay2,Inc.の発行済株式のうち、当社が保有する全ての株式をRelay2 Investment LLCに譲渡することを決定し、同日付で株式譲渡契約を締結しました。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(2) 当社は、2024年9月30日開催の取締役会において、株式会社BCJ-82-1(以下、本項目において「公開買付者」といいます。)による当社の普通株式(以下、本項目において「当社株式」といいます。)に対する公開買付け(以下、本項目において「本公開買付け」といいます。)に関して、賛同の意見を表明するとともに、本公開買付けに応募するか否かについては当社の株主の皆様のご判断に委ねることを決議しました。本公開買付けは、公開買付者が当社株式を非公開化するための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として実施されるものであり、当社は上記取締役会において、本取引に関し、以下の契約書を締結することを決議し、同日付で締結しました。

 

契約相手方

契約書名

契約内容

㈱BCJ-82-1

非公開化に関する契約書

(a)公開買付者が本公開買付けを実施すること、(b)本公開買付けの成立等を条件として、当社が住友商事㈱が所有する当社株式の一部を取得することを目的とした自社株公開買付け(以下「本自社株公開買付け①」といいます。)を実施すること、(c)本自社株公開買付け①の成立等を条件として、当社が光通信グループ(以下に定義する。)が所有する当社株式の全てを取得することを目的とした自社株公開買付け(以下「本自社株公開買付け②」といいます。)を実施すること、及び(d)公開買付者が本公開買付けにおいて当社株式の全て(当社が所有する自己株式等を除く。)を買い付けることができなかった場合、本公開買付けの成立を条件として、当社を非公開化するための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施するために必要な手続を行うこと等について合意しております。

住友商事㈱

㈱BCJ-82-1

非公開化への協力に関する契約書

(a)住友商事㈱が所有する当社株式の全てについて、本公開買付け及び本自社株公開買付け②に応募しないこと、(b)住友商事㈱が所有する当社株式のうち7,600,000株について、本自社株公開買付け①に応募すること、(c)住友商事㈱が本スクイーズアウト手続の一環として行われる当社株式の併合に関する当社の臨時株主総会における付議議案に対して賛成の議決権を行使すること、及び(d)本スクイーズアウト手続の完了後に住友商事㈱が所有することとなる当社株式の全てを公開買付者に対して相対で譲渡すること等について合意しております。

光通信㈱

㈱UH Partners 2

㈱UH Partners 3

㈱エスアイエル

㈱BCJ-82-1

非公開化への協力に関する契約書

(a)光通信㈱、㈱UH Partners 2、㈱UH Partners 3及び㈱エスアイエル(以下「光通信グループ」といいます。)が所有する当社株式の全てについて、本公開買付け及び本自社株公開買付け①に応募しないこと、(b)光通信グループが所有する当社株式の全てを本自社株公開買付け②に応募すること、及び(c)光通信グループが本スクイーズアウト手続の一環として行われる当社株式の併合に関する当社の臨時株主総会における付議議案に対して賛成の議決権を行使すること等について合意しております。

 

 なお、本公開買付けの概要につきましては、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。