【要約中間連結財務諸表注記】
1.報告企業
アステラス製薬株式会社及び連結子会社 (以下「当社グループ」) は、医薬品事業を展開しています。当社グループの親会社であるアステラス製薬株式会社 (以下「当社」) は、日本に所在する企業であり、登記されている本社及び主要な事業所の住所は、ホームページ (https://www.astellas.com/jp/) で開示しています。また、株式は東京証券取引所 (プライム市場) に上場しています。
本要約中間連結財務諸表は、2024年11月6日に最高経営責任者である代表取締役社長 岡村 直樹及び最高財務責任者である専務担当役員 財務担当 北村 淳によって承認されています。
2.作成の基礎
当社グループの要約中間連結財務諸表は、国際会計基準第34号「期中財務報告」に準拠して作成しています。
当社グループは、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」 (昭和51年大蔵省令第28号) 第1条の2第2号に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしていることから、同第312条の規定を適用しています。
本要約中間連結財務諸表には年次の連結財務諸表で要求される全ての情報が含まれていないため、2024年3月31日に終了した連結会計年度の当社グループの連結財務諸表と併せて利用されるべきものです。
当社グループの要約中間連結財務諸表は、公正価値で測定する金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成しています。
当社グループの要約中間連結財務諸表は、当社の機能通貨である日本円を表示通貨としており、特に注釈のない限り、百万円単位での四捨五入により表示しています。
3.重要性がある会計方針
本要約中間連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、前連結会計年度の連結財務諸表において適用した会計方針と同一です。
なお、当中間連結会計期間の法人所得税費用は、見積年次実効税率を基に算定しています。
4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定
要約中間連結財務諸表の作成に当たり、経営者は、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り、判断及び仮定の設定を行っています。
会計上の見積りの結果は、その性質上、実際の結果とは異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直され、会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した会計期間と将来の会計期間において認識されます。
本要約中間連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り、判断及び仮定の設定は、原則として前連結会計年度に係る連結財務諸表と同様です。
5.売上収益
売上収益の内訳は次のとおりです。
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(単位:百万円)
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(単位:百万円)
(注) 1.売上収益は、コマーシャル部門における経営管理上の組織区分を基礎として分類しています。
2.その他の源泉から認識した収益は、顧客に該当しない、共同販促活動に係るリスクと便益を共有する提携企業からの収益です。
3.当中間連結会計期間から、グレーターチャイナの名称をチャイナに変更しています。加えて、台湾のコマーシャル区分をチャイナからインターナショナルマーケットに変更し、前中間連結会計期間の金額は当該変更を反映しています。
エスタブリッシュドマーケット:欧州、カナダ 等
チャイナ:中国、香港
インターナショナルマーケット:中南米、中東、アフリカ、東南アジア、南アジア、ロシア、韓国、
台湾、オーストラリア、輸出売上 等
6.その他の費用
前中間連結会計期間に「その他の費用」として認識されたもののうち、主なものは以下のとおりです。
有形固定資産の減損損失
メッペル工場 (オランダ) の事業譲渡合意に伴い7,710百万円の減損損失を認識しました。
条件付対価に係る公正価値変動額
ゾルベツキシマブの開発の進捗に係る条件付対価の公正価値の変動等に伴い11,327百万円の費用を認識しました。条件付対価の概要については、注記「9.金融商品」をご参照ください。
企業結合に伴う代替報酬
IVERIC bio, Inc.の買収に伴い権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払32,608百万円を費用として認識しました。企業結合の概要については、注記「11.企業結合」をご参照ください。
当中間連結会計期間に「その他の費用」として認識されたもののうち、主なものは以下のとおりです。
為替差損
12,169百万円の為替差損を認識しました。当該金額には、為替予約取引から生じた為替差益 (12,390百万円) が含まれています。
7.1株当たり中間利益
基本的1株当たり中間利益及び希薄化後1株当たり中間利益の算定上の基礎は次のとおりです。
8.配当金
配当金の支払額は次のとおりです。
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(1) 配当金支払額
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金363百万円が含まれています。
(2) 基準日が当中間連結会計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当中間連結会計期間末後となるもの
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金562百万円が含まれています。
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(1) 配当金支払額
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金559百万円が含まれています。
(2) 基準日が当中間連結会計期間に属する配当のうち、配当の効力発生日が当中間連結会計期間末後となるもの
(注) 上記の配当金の総額には、役員報酬BIP信託及び株式付与ESOP信託の所有する当社株式に対する配当金703百万円が含まれています。
9.金融商品
(1) 金融商品の公正価値
① 経常的に公正価値で測定される金融商品
金融商品の公正価値ヒエラルキーは、次のように区分しています。
レベル1:同一の資産又は負債に関する活発な市場における無調整の相場価格により測定した公正価値
レベル2:レベル1以外の直接又は間接的に観察可能なインプットを使用して測定した公正価値
レベル3:重大な観察可能でないインプットを使用して測定した公正価値
公正価値の測定に使用される公正価値ヒエラルキーのレベルは、公正価値の測定に用いた重大なインプットのうち、最もレベルの低いインプットに応じて決定しています。
公正価値ヒエラルキーのレベル間の振替は、各報告期間の末日に発生したものとして認識しています。
公正価値ヒエラルキーの各レベルに分類された、経常的に公正価値で測定される金融資産及び金融負債の内訳は次のとおりです。
前連結会計年度 (2024年3月31日)
(注) FVTPLの金融資産及びFVTOCIの金融資産 (資本性) 並びにFVTPLの金融負債及びヘッジ会計を適用しているデリバティブは、それぞれ要約中間連結財政状態計算書の「その他の金融資産」並びに「その他の金融負債」に含まれています。
当中間連結会計期間 (2024年9月30日)
(注) FVTPLの金融資産及びFVTOCIの金融資産 (資本性) 並びにFVTPLの金融負債及びヘッジ会計を適用しているデリバティブは、それぞれ要約中間連結財政状態計算書の「その他の金融資産」並びに「その他の金融負債」に含まれています。
レベル3に分類されている金融商品の公正価値の変動は次のとおりです。
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
(a) 金融資産
(単位:百万円)
(注) 要約中間連結純損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(b) 金融負債
(単位:百万円)
(注) 要約中間連結純損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含まれています。
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
(a) 金融資産
(単位:百万円)
(注) 要約中間連結純損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
(b) 金融負債
(単位:百万円)
(注) 要約中間連結純損益計算書の「その他の収益」及び「その他の費用」に含まれています。
レベル2に分類されている金融資産は、保険積立金及びデリバティブにより構成されています。
米国子会社が採用している繰延報酬制度の支払いに備え、当社グループは保険積立金を保有しています。保険積立金の公正価値は、取引保険会社から提示された解約払戻金に基づいて算定しています。
デリバティブの公正価値は、取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
レベル3に分類されている金融資産は、ファンドへの出資及び非上場株式等により構成されています。
出資金の公正価値は、直近の入手可能な情報に基づきファンドの公正価値を見積もった上で、それに対する持分に基づいて算定しています。
非上場株式の公正価値は、直近の入手可能な投資先の純資産又は将来の収益性の見通し等に基づき算定しています。
出資金及び非上場株式の公正価値は、報告期間ごとに当社及びグループ各社の担当部門がグループ会計方針等に従って測定し、公正価値の変動の根拠と併せて上位者に報告されています。
レベル2に分類されている金融負債は、デリバティブにより構成されています。
デリバティブの公正価値は、取引金融機関から提示された価格に基づいて算定しています。
レベル3に分類されている金融負債は、企業結合により生じた条件付対価です。
条件付対価は、被取得企業が保有していた臨床開発プログラムの開発の進捗等に応じて支払うマイルストンであり、その公正価値は、新薬開発の難易度等と関連したプログラムが成功する可能性や貨幣の時間的価値等を考慮して見積もっています。これらの見積りには不確実性を伴うため、重大な観察可能でないインプットであるプログラムが成功する可能性が高くなった場合、公正価値は増加する等の影響があります。
レベル3に分類されている金融商品について、観察可能でないインプットを合理的に考え得る代替的な仮定に変更した場合に重要な公正価値の変動は見込まれていません。
② 償却原価で測定する金融商品
前連結会計年度及び当中間連結会計期間において、償却原価で測定する金融商品の帳簿価額は公正価値に近似しています。
(2) 社債及び借入金
発行した社債は、次のとおりです。
前中間連結会計期間 (自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
当中間連結会計期間 (自 2024年4月1日 至 2024年9月30日)
10.偶発負債
前連結会計年度の連結財務諸表に記載した内容から重要な変更はありません。
11.企業結合
前中間連結会計期間(自 2023年4月1日 至 2023年9月30日)
IVERIC bio, Inc. の取得
(1) 企業結合の概要
① 被取得企業の名称及びその事業の内容
② 取得日
米国東部時間 2023年7月11日
③ 取得した議決権付資本持分の割合
100%
④ 被取得企業の支配の獲得方法
現金を支払対価とする株式取得
⑤ 企業結合を行った主な理由
当社は、VISION「変化する医療の最先端に立ち、科学の進歩を患者さんの『価値』に変える」の実現に向け、最先端の「価値」駆動型ライフサイエンス・イノベーターを目指しています。研究開発戦略であるFocus Areaアプローチとして、多面的な視点でバイオロジーとモダリティ/テクノロジーの独自の組み合わせを見出し、アンメットメディカルニーズの高い疾患に対する革新的な医薬品の創出に取り組んでいます。現在、「再生と視力の維持・回復」を含む5つのPrimary Focusを特定し、優先的に経営資源を投下しています。Iveric Bio社買収は、当社が掲げる重点領域における製品ポートフォリオ構築のための重要なステップとなります。
Iveric Bio社は、眼科領域において新規治療薬の研究開発に注力しています。地図状萎縮 (Geographic Atrophy:GA) を伴う加齢黄斑変性 (Age-related Macular Degeneration:AMD) の治療薬として開発中のIZERVAY (一般名:avacincaptad pegol、以下「ACP」) 硝子体内注射液について、米国食品医薬品局 (FDA) から2023年8月4日 (現地時間) に承認を取得しました。
補体因子C5阻害剤であるACPは、GAを伴うAMDの治療薬候補であり、十分な治療を受けていない多くの患者さんに価値を提供できる可能性があります。ACPは、これまでに2つのピボタル試験 (GATHER1, 2試験) において、主要評価項目 (GAの進行抑制) を統計学的に有意に達成し、この適応症についてFDAからブレークスルーセラピー指定 (Breakthrough Therapy Designation) を受けています。
Iveric Bio社のリードプログラムであるACPを獲得することが、当社の経営計画2021で定める2025年度までの売上目標に貢献するだけでなく、ACPは、fezolinetantやPADCEVとともに収益を生み出す柱として、2020年代後半に控えるXTANDIの独占期間満了による売上減少を補うことが期待されています。
また、Iveric Bio社の買収により、当社は、コマーシャルチームや、専門家との広範なネットワーク、医療機関とのパートナーシップを含む、眼科領域における基盤ケイパビリティを獲得します。このようなケイパビリティ獲得を通じて、当社は、Primary Focus「再生と視力の維持・回復」における目標達成に向け、臨床開発・市場アクセスを加速させていきます。
(2) 取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値
(単位:百万円)
前中間連結会計期間では一部の金額については暫定的な公正価値となっていましたが、当中間連結会計期間においては取得日現在における取得資産、引受負債及び支払対価の公正価値の測定が完了しています。
のれんの主な内容は、個別に認識要件を満たさない、取得から生じることが期待される既存事業とのシナジー効果及び超過収益力です。
(3) キャッシュ・フロー情報
上記のほか、Iveric Bio社の権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払32,608百万円を企業結合とは別個に認識し、要約中間連結純損益計算書の「その他の費用」に計上しています。
当該企業結合の当初の会計処理が完了したことに伴い、前中間連結会計期間の要約中間連結純損益計算書、要約中間連結包括利益計算書、要約中間連結持分変動計算書及び要約中間連結キャッシュ・フロー計算書を遡及修正しています。その結果、主として要約中間連結純損益計算書のその他の費用が4,140百万円減少し、要約中間連結キャッシュ・フロー計算書の子会社の取得による支出が4,122百万円増加しています。
(4) 取得関連費用
3,511百万円
取得関連費用は、要約中間連結純損益計算書の「販売費及び一般管理費」に含まれています。
(5) 要約中間連結純損益計算書に与える影響
① 前中間連結会計期間の要約中間連結純損益計算書で認識されている取得日以降の被取得企業の税引前中間利益 (△は損失)
△55,660百万円
(注) 上記には、企業結合とは別個に認識されたIveric Bio社の権利確定前のストック・オプション等の株式報酬に係る支払32,608百万円が含まれています。
② 企業結合が期首に実施されたと仮定した場合の前中間連結会計期間の要約中間連結純損益計算書の税引前中間利益に与える影響額 (△は損失) (非監査情報)
△51,462百万円
(注) この影響額は、Iveric Bio社の2023年4月1日から取得日までの業績に基づいて算定しています。
12.後発事象
2024年10月、当社グループは、地図状萎縮を伴う加齢黄斑変性の治療薬として開発中の補体因子C5阻害剤 (avacincaptad pegol (以下「ACP」)) について、欧州医薬品庁に提出していた販売承認申請を取り下げる決定をしました。
当社グループは、欧州を含む世界中の患者さんにACPを届けるため、各国の規制当局と議論を継続し、利用可能な選択肢を検討していきます。
なお、当中間連結会計期間末におけるACPの無形資産 (仕掛研究開発) の帳簿価額は157,982百万円です。