第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生または前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 なお、重要事象等は存在しておりません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

(1)経営成績の状況

 当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日、以下、当中間会計期間)のわが国経済は、雇用や所得環境が改善するなど、緩やかな回復が続きました。一方で、為替の変動や長期化する海外紛争などに伴う物価上昇や海外景気の下振れなど留意するリスクもあり、先行き不透明な状況が続いております。

 

 このような経済環境下、当社グループの事業領域におけるお客様の投資意欲は、分野ごとに濃淡がありましたが、全般的には堅調に推移いたしました。

 企業においては、DX(※1)などの最先端技術を活用した、オフィス、在宅といった場所にとらわれない新しい働き方や、製造業などにおけるスマートファクトリー化、それに伴うネットワーク・セキュリティの見直しなどのニーズが旺盛であります。通信事業者においては、前期から厳しさを増した設備投資抑制の動きが継続しております。ローカル5G(※2)分野においては、市場の立ち上がりが遅れておりますが、発電所や医療など、高セキュリティや安定性などといった、高速無線ネットワークのなかでもローカル5Gならではの強みが必須となる領域から、徐々に実装への動きが見られております。官庁・自治体、公益関連においては、官庁・自治体における働き方改革/DX活用や、防災・減災や安全保障をテーマとしたネットワーク整備のニーズに加え、消防救急ネットワークの更新需要も高まってまいりました。

 

 こうした市場環境のもと、当社グループでは、働き方改革分野や、次世代ネットワーク・セキュリティ関連、消防救急ネットワークといった需要に積極的に対応するとともに、Sustainable Symphonic Societyの実現に向け社会への提供価値を高めるべく、中期経営計画「Shift up 2024」のもと、 DX×次世代ネットワークを軸に、自社実践によるノウハウやお客様の現場を熟知している強みを活かしたお客様目線のコンサルテーションと顧客伴走によるスパイラル型成長を図る新しい事業モデルへのシフトに注力しております。

 DX領域につきましては、2007年より取り組んでいる働き方改革関連事業のノウハウやブランド力の上に積極的なDX技術活用の実践を継続しており、そこから得られた技術・ノウハウなどを強みとして、お客様の経営力、事業力強化につながるサービス開発や提案型モデル(オファリングモデル)を強化しております。これにより企業のオフィスのみならず、工場などの現場での働き方改革などへと事業領域の拡大を進めております。自治体DX推進のニーズが高まる官庁・自治体に向けては、お客様がソリューションを実際に目で見て体験出来る課題解決型ショーケースを活用したお客様提案を加速するとともに、様々な自治体とDX推進に関する連携強化を図っております。

 通信事業者向けにおいては、投資抑制が続くインフラ領域の体制効率化を前期に行い、今後の領域拡大に向けて、お客様の業務プロセスに対する知見を活かし、DX技術による業務自動化サービスなど、運用効率化につながるDXサービスの提供へと領域の拡大を進めております。また、ローカル5Gを含む次世代ネットワーク領域につきましては、先行市場に向けた対応強化として、国内外の企業とのパートナーシップによる製品・サービスの拡充を進めており、2024年4月には小型な筐体1つで簡単にローカル5G通信環境を構築出来る、競争力のある独自製品をリリースいたしました。

 

 このような状況下において、当中間会計期間における連結業績は、

売上高                1,720億40百万円(前年同期比  10.9%増加)

営業利益                78億32百万円(前年同期比  25.8%増加)

経常利益                77億60百万円(前年同期比  25.9%増加)

親会社株主に帰属する中間純利益     38億48百万円(前年同期比   6.9%増加)

<参考>

受注高                2,083億57百万円(前年同期比   9.0%増加)

となりました。

 

 売上高は、通信事業者向けインフラ分野は厳しさが継続したものの、官公庁向けや、製造業などの企業向けを中心に増加したことに加え、情報通信機器等の仕入販売も増加し、前年同期比10.9%増加の1,720億40百万円となりました。これに伴い、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する中間純利益についてはそれぞれ、前年同期比25.8%増加の78億32百万円、25.9%増加の77億60百万円、6.9%増加の38億48百万円となりました。

 

 なお、受注高は、企業および官庁・自治体向け働き方改革関連分野や、消防・防災などといった公共向けインフラ分野が大きく拡大したことに加え、情報通信機器等の仕入販売も増加し、前年同期比9.0%増加の2,083億57百万円となりました。

 

 セグメント別の状況は以下のとおりであります。

 

<セグメント別売上高>

(単位:百万円)

 

 

DX

ソリューション事業

ネットワーク

ソリューション事業

社会・環境

ソリューション事業

その他

当中間

連結会計期間

65,595

41,470

51,300

13,674

172,040

前中間

連結会計期間

58,939

45,454

46,845

3,956

155,195

増減額

6,656

△3,984

4,454

9,718

16,844

増減率(%)

11.3

△8.8

9.5

245.6

10.9

 

<参考:セグメント別受注高>

(単位:百万円)

 

 

DX

ソリューション事業

ネットワーク

ソリューション事業

社会・環境

ソリューション事業

その他

当中間

連結会計期間

73,814

42,668

78,491

13,382

208,357

前中間

連結会計期間

61,094

43,945

78,377

7,791

191,209

増減額

12,720

△1,276

113

5,590

17,147

増減率(%)

20.8

△2.9

0.1

71.8

9.0

 

1.DXソリューション事業

 自治体DXなど中期経営計画における注力領域の拡大に加えて、機器調達案件の売上なども寄与し、売上高は前年同期比11.3%増加の655億95百万円となりました。

2.ネットワークソリューション事業

 社会基盤事業や改刷需要を捉えた製造子会社の売上が増加いたしましたが、通信事業者向けが減少し、売上高は前年同期比8.8%減少の414億70百万円となりました。

3.社会・環境ソリューション事業

 道路・防災などの国内ICT(※3)施工領域を中心に増加し、売上高は前年同期比9.5%増加の513億円と拡大いたしました。

 

※1 DX:

Digital Transformationの略。AI・IoT・RPA(Robotic Process Automation)等の最先端技術を用いて、企

業・産業の事業活動や都市運営などを大きく変革すること。

※2 5G:

第5世代移動通信システムを指し、5th Generationの略。

※3 ICT:

Information and Communication Technology(情報通信技術)の略。

 

 

<セグメントの概要>

セグメント

主な事業内容

DXソリューション事業

主に企業などの業務系ICTプラットフォームに関するシステムインテグレー

ションおよびこれらに関するアウトソーシング/クラウドサービスや、

最先端/デジタル技術を活用し、お客様のビジネス変革に資するソリュー

ション、サービスの提供、ならびにコンタクトセンターサービスの提供

ネットワークソリューション事業

主に通信事業者や、宇宙・海洋・放送などの専門技術が必要な社会基盤事業者向けの、信頼性が要求される公共性の高いネットワークインフラに関するシステムインテグレーション、サービスの提供、ならびにネットワーク機器などの製造開発、販売およびシステムインテグレーションの提供

社会・環境ソリューション
事業

主に社会・公共事業者向けの施工事業、および当社が提供する各種ICTシステム、サービスに関する保守、運用などの全社サービス基盤の運用とそれらを活用したテクニカルサービスなどのサポートサービスの提供、ならびに海外現地法人によるネットワークインフラの施工事業

その他

主に情報通信機器等の仕入販売

 

 当社は、2024年4月1日付で社会・環境ソリューション事業からネットワークソリューション事業へ一部事業を移管したことに伴い、セグメント間の組替えを行っております。

 なお、前中間連結会計期間に係る報告セグメントに関する情報につきましても、当該事象による変更を反映したものに組替えて開示しております。

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当中間連結会計期間の総資産は、前年度末に比べ65億60百万円減少し、2,783億36百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べ71億34百万円減少し、2,303億30百万円となりました。これは主に、前年度末の売上債権の回収などにより、受取手形、売掛金及び契約資産、電子記録債権が合計で292億39百万円減少した一方、現金及び預金が202億2百万円増加したことなどによるものであります。固定資産は、前年度末に比べ5億73百万円増加し、480億6百万円となりました。

(負債)

 当中間連結会計期間の負債は、前年度末に比べ71億32百万円減少し、1,202億83百万円となりました。これは主に、前年度末の仕入債務の支払などにより、支払手形及び買掛金が77億64百万円減少したほか、未払法人税等が21億88百万円減少したことなどによるものであります。

(純資産)

 当中間連結会計期間の純資産は、前年度末に比べ5億71百万円増加し、1,580億53百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する中間純利益が38億48百万円、および第92期期末配当金の支払36億49百万円により利益剰余金が1億98百万円増加したことなどによるものであります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年度末に比べ202億2百万円増加し、937億9百万円となりました。

 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、265億71百万円となりました。これは主に、売上債権及び契約資産の減少、仕入債務の減少、法人税等の支払などによるものであります。前年同期と比べると146億85百万円の増加となっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、19億90百万円となりました。これは主に、無形固定資産の取得によるもので、前年同期と比べると8億20百万円の減少となっております。

 この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、245億80百万円となりました。前年同期と比べると155億5百万円の増加となっております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、44億29百万円となりました。これは主に、配当金の支払および短期借入金の返済などによるものであります。前年同期と比べると8億33百万円の減少となっております。なお、利益配当金につきましては、前年度末の1株当たり配当金を24.5円にしたことにより、36億45百万円の支払となっております。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当中間連結会計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上および財務上の課題

 当中間連結会計期間において、優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間の研究開発費の総額は3億14百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(7)従業員数

 当中間連結会計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。

 

(8)生産、受注および販売の実績

 当中間連結会計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。

 

(9)主要な設備

 当中間連結会計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。