文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループは、「最新のテクノロジーと独自のデータベースを活用し、不動産を流通・再生・運用し、世界を変える。」という企業理念のもと、不動産の資産運用コンサルティングを行う総合不動産商社であります。不動産の売買・賃貸・リフォームに関し、「購入と売却」「再生と運用」という視点から様々なアイデアをご提案し、お客様のライフプランを豊かに実現することを企業目標として企業活動を行っております。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、不動産の買取資金を主に借入金により調達していることを鑑み、金融コストが加味されている利益指標である経常利益を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。
また、セグメント別では取引規模の拡大が当面の経営課題と位置付けており、不動産売買事業においては取引件数を、不動産賃貸管理事業においては賃貸管理戸数を重要な経営管理指標と位置付けております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループは、「お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問」となることを企業目標とした、2024年7月期を初年度とする3カ年の「中期経営計画」の実現にむけて鋭意事業に注力してまいりましたが、今期実績の積み上げにより、新たな「中期経営計画」を策定する予定であります。経営の基本方針、中期経営計画の達成のため当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)
① 大都市圏中心の支店展開
人口の減少と少子高齢化が進行する中、今後3大都市圏や地方中核都市を中心とした生活圏や経済圏が一層構築されていくことが予想されております。当社グループでは、池袋本社・横浜支店を軸に東京都全域、神奈川、埼玉、千葉方面への営業活動を行ってまいりました。2024年11月には渋谷支店の開設を予定しており、首都圏での営業活動を一層強化してまいります。
その他の地域における支店展開の状況としては、2018年2月に大阪支店の開設、2021年12月に福岡支店の開設を行い、それぞれ関西圏、九州圏における営業展開が可能となりました。なお、福岡支店は2023年12月に同ビル内にて増床移転をしており、九州圏での営業活動を一層強化しております。
当社グループでは売買と建築と賃貸の三位一体での拠点展開を考えており、多店舗 (小規模な拠点)展開ではなく支店(規模の大きい拠点)展開を考えております。2025年7月期は大阪支店の増床を検討している他、千葉市や札幌市への将来的な拠点展開の可能性も見据え、情報収集を行ってまいります。
② 幅広い商品の取扱い
現在、当社グループではワンルームタイプ(登記簿面積30㎡未満のマンションをワンルームタイプと定義しております。)の区分所有マンションを中心に事業を展開してまいりましたが、更なる収益拡大のため、ファミリータイプ(登記簿面積30㎡以上のマンションをファミリータイプと定義しております。)の区分所有マンションや戸建て、1棟アパート、1棟賃貸マンション、ビル等、幅広い不動産についても積極的に取り扱ってまいります。
③ 販売活動の強化
仕入決済(売主から買主である当社への所有権移転)から売上決済(売主である当社から買主への所有権移転)までの投資回収期間の短縮を図るため、販売活動の強化に努めております。また同時に、棚卸資産回転率を向上し、在庫滞留期間の長期化による商品評価損の計上等の在庫リスクの低減を図ってまいります。
④ 更なる販路の拡大
当社グループでは多様な販売先を開拓することを対処すべき課題と捉えており、不動産業者の他、実需層や一般投資家向けに販売を行う体制の強化を目指してまいります。
また、2024年1月には、従来不動産投資に触れたことのない顧客層も積極的に取り込むべく、新たな不動産クラウドファンディング「LSEED」を始動しております。同事業を通じ、幅広い投資家に向けて不動産投資への門戸を開き、その魅力を伝える活動を積極的に行ってまいります。
⑤ 仕入活動の強化
当社グループの主力事業である不動産売買事業は、首都圏1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)、関西圏2府1県(大阪府、京都府、兵庫県)及び福岡県をはじめとする九州圏を中心に展開しておりますが、特に買取販売については、一般的には競合が多く優良な不動産の仕入競争は熾烈な状況にあると言えます。しかし、当社グループでは、物件数で約205万件の不動産データ(2024年7月31日現在)を有しており、当該データベースに登録された不動産所有者に直接働きかけることで当該不動産所有者との直接取引が実現しており、競合他社との優位性を獲得しております。
当連結会計年度においては、多様な物件の取引を促進するための取組みとして、戸建やアパートのデータ取得を強化いたしました。今後も、「所有者情報」「物件情報」「売買取引事例」「賃貸取引事例」「パンフレット情報」といった情報を絶えず収集していくとともに、既存の情報は定期的に更新し、量・質の両面でデータベースをより強化してまいります。
⑥ 台湾・香港市場及び海外市場での営業活動
当社グループは、2013年7月に台湾及び香港市場へ進出いたしました。現在においては、中国の景気減速の影響を鑑みつつ投資動向と需要を見極め、引き続き日本の不動産の紹介と賃貸管理を継続してまいります。
また、経済成長著しいアジア圏の投資意欲に応えながらも、人口増加の続くアメリカの不動産にも着目し、国内投資家への紹介などを視野に新事業の展開を検討してまいります。
⑦ 優秀な人材の確保
当社グループでは、企業目標である「お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問」となる人材の獲得及び育成のため、様々な経営課題を克服し事業を拡大していくために、優秀な人材を確保し育成していくことが重要な課題であると認識しております。そのために、当社グループでは新卒の定期的な採用や経験者の中途採用も積極的に実施しております。また従業員に対しては継続的に営業スキルの向上やコンプライアンス、情報セキュリティ対策等の研修を実施し、人材の育成と強化に取り組んでおります。従業員一人一人の資質向上を図るとともに、今後も採用を継続し、優秀な人材の確保と育成に取り組んでいく方針であります。
⑧ 社内システムの整備・再構築
今後も当社グループを飛躍的に成長させるためには、当社グループが保管している情報資産を最大限活用することが不可欠であると考えております。そのための施策として、各事業部のシステム統合及びデータ連携を行うための新システムであるRCP(Real estate Cloud Platform:リアルエステートクラウドプラットフォーム)の自社開発を行い、順次機能のリリースを進めております。
RCPの第1次開発では、情報資産の有効活用による経営戦略及びマーケティング戦略策定を迅速に行うと同時に、情報資産をクラウド上で複数所有することにより、事業継続計画(BCP)の強化を行うことが可能となりました。
さらに第2次開発では、賃貸事業部門に係る基幹システムの開発を進めることにより、事業部ごとに保管していた、創業当初から蓄積している約205万件の不動産データ(2024年7月31日現在)を含む情報資産を融合させ、一層の収益力の向上を目指してまいります。
RCP開発を進めていくことは競争優位性の確保に大いに資するものと考えております。
⑨ コーポレート・ガバナンスの強化
当社グループの継続的な事業の発展及び信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。
当社グループでは、監査役と内部監査室及び会計監査人との連携の強化、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。
⑩ リスク管理体制の強化
当社グループでは、主要なリスクとして、戦略リスク、災害リスク、オペレーショナルリスク、財務リスク、情報リスクの5つを認識し、これらのリスクを事前に回避すること及び万一リスクが顕在化した場合の当社グループの被害の最小化を図ることが必要であると考えております。そのために、リスクマネジメント活動を推進するとともに、リスク管理体制を強化するために、リスクごとに想定される動機、原因及び背景を踏まえて、リスクの洗い直しを実施してまいります。近年対応が急務となっている情報リスクに対する対応としては、体系的な情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)導入を目的としたISO/IEC27001を2018年5月に認証取得しております。AIを活用したネットワーク監視によって情報リスクの低減に全社一丸となって取り組んでおります。
また、必要に応じた社内教育を継続して実施するとともに、内部監査計画に基づく定期監査を実施し、リスク管理体制の継続的な強化を進めております。
⑪ 資金調達力の強化
当社グループは、主に借入金により不動産の買取資金を調達しておりますが、市況の変化に左右されず、安定的な資金調達を行うためには、財務基盤の充実と適切な情報発信を行う必要があると考えております。そのために、常に様々な角度から当社グループの置かれている状況を分析した上で、定期的に金融機関への業況説明を行い、金融機関との相互理解の深化を図っております。その結果として、当連結会計年度末現在において、大手金融機関を含む各金融機関から当座貸越枠約定に基づく総額85億円の資金調達枠の確保をしております。今後は、更なる業務拡大のため、クラウドファンディングやエクイティファイナンスによる資金調達力強化も進めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループのサステナビリティに関する考え方
当社グループでは、日本全国のあらゆる不動産の流通・再生・運用を通じ世界を応援することにより、限りある資源を有効に活用しつつ、お客様の住まい探しや資産形成に寄与してまいりました。その方針は企業理念として全従業員にも浸透させた上で、下記の企業目標を掲げております。
○企業目標
お客様のライフプランを実現する不動産運用顧問(Private Realtor)でありたい。
①不動産オーナーに寄り添い、潜在的なニーズに応える。
②不動産を住まいと、暮らしを支える資産(もう一つの収入源)と考える。
③不動産の資産価値を維持・拡大し、相続まで提案する。
今後も不動産市場の活性化を通じ、企業目標の実現、ひいては持続可能な社会の実現を目指してまいります。
当社では、経営会議においてサステナビリティに関する取組みとその進捗状況について審議を行った上で、その内容を取締役会に報告しております。なお、当社代表取締役社長榮章博がサステナビリティ課題に関する経営判断の最終責任を有しております。
企業統治体制については、「
(サステナビリティに関する方針、戦略)
国土交通省発表の「既存住宅市場の活性化について」(2020年5月公表)によると、2018年の諸外国における既存住宅の流通比率は、アメリカが81.0%、イギリスが85.9%、フランスが69.8%と高水準である一方で、日本は14.5%に留まりました。
わが国の既存住宅流通の市場規模は少しずつ拡大する傾向にはあるものの、スクラップ&ビルドを前提とした不動産取引が優先される文化が根強いことが伺えます。
当社グループでは、その背景にある契約不適合責任に対する不安や、古い設備を忌避する文化に着目し、不動産の真の価値を見極めて有効活用・バリューアップを行いながら、不動産売買を積極的に行っております。
具体的な取組みは次のとおりです。
①あんしん保証サービス
当社グループでは、不動産の購入やその後の運用に際して、誰もが抱く不安を低減するため以下のサービスを提供しております。
・当社から直接ご購入いただいた物件に対しては、民法及び宅地建物取引業法により2年以上確保すべき契約不適合責任の通知期間を、物件種別や築年数、面積を問わず3年間に延長しております。
・契約不適合責任ではカバーされにくいエアコンや給湯器等の付属設備についても、一定の金額を上限に最長3年間当社が修理費用を負担します。
・当社から直接ご購入いただいた物件の賃貸管理をお任せいただいた場合、引渡し日から3年間最大6か月分の家賃について当社が保証するとともに、これまでの実績に基づいた管理・運用のアドバイスを継続的に行っております。
②リフォーム・リノベーション
中古不動産購入時の心理的ハードルの一つに、購入後の生活様式の変容や多様な文化の拡がりなどの変化への適応が挙げられます。当社はその解消方法の一つとして、リフォーム・リノベーションをご提案しております。
住宅の間取りや設備は、周辺環境や日照等の立地条件とは異なり可変的な要素であります。当社は、間取りの変更や設備の新設・交換により、中古不動産であっても新築と変わらない機能を再現しております。
これらの取組みは、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)に掲げられる「住み続けられるまちづくりを」「つくる責任 つかう責任」という各目標に寄与するものと認識しております。
(人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)
①人材の育成に関する方針、戦略
当社グループは、「不動産流通業を革新するNo.1企業になる」という強い想いと向上心を持った従業員の採用を行っております。また、将来的には不動産業界のみならず日本の社会課題を解決する気概を持ち、自ら考え行動することができる自燃性の従業員に育てていくことを人材育成方針としております。
当社グループでは、毎朝、始業後に全従業員に学びの場を設け、仕事に対する価値観を養い、業界外にも目を向けることができるような視野と視座を持った人材に成長するよう、日経新聞の読み合わせと多様な電子書籍の輪読会を実施しております。新聞購読料と電子書籍の購入費は全て会社負担とし、従業員の生涯学習及び『自己実現』を応援しております。
②社内環境整備に関する方針、戦略
当社グループは、「全従業員の心物両面の幸福を追求しながら、多様な人材が自己実現できる働きやすい職場環境」の構築のため以下の取組みを進めております。
a 全従業員の自己実現を後押し
・毎日全従業員出席の朝礼と終礼をWebミーティング形式で開催し、経営方針や業務に向き合う姿勢、経営者の想いや考えを伝えています。前述の日経新聞と輪読会に続き、学びの場、考える場を設けています。
・人生100年時代において、全従業員が常に学び、人格的にも優れた人材に成長してもらうことを意図し、事務部門を中心に様々な仕事を体験できるよう計画的なジョブローテーションを導入し始めております。
b やりがい、働きがいの醸成
・全従業員とその家族も参加できる運動会やバーベキュー、ファミリーデーなどを開催し、従業員同士のコミュニケーションの円滑化を推進しております。
・毎月及び半期に一度、会社業績に貢献した従業員を表彰し、モチベーションの向上及び成功体験の共有を推進しております。
c 柔軟な働き方の導入
・システムエンジニア職の従業員については、フレックスタイム制を導入しており柔軟な働き方を実現しております。
・育児休業、看護休暇、介護休暇など、ライフステージに合わせた休暇制度を整備することで、長期的に働くことが可能な体制を整えています。なお、出産後も家庭と職場の両立を図り、充実した生活を送ることができるよう、正社員から時給正社員(注)、パート又はアルバイト社員へ雇用形態の変更も可能としております。
(注)正社員と同様の昇格制度及び地位を確保しつつ、給与は時給で計算される従業員であります。
d 育成、資格取得の支援
営業職の従業員においては、新卒や未経験者でも早期に成果を挙げるための育成体系を整備しており、入社時研修や月2回の営業研修を実施しております。また、全従業員を対象に宅地建物取引士の資格取得を推奨しており、自社開発アプリでの問題演習や映像講義の提供など資格取得に向けたサポート体制の整備に取り組んでおります。
当社グループは、サステナビリティに係るリスクを含む全社的なリスク管理体制として、リスクコンプライアンス委員会を設置するとともに、「経営危機対応規程」を制定し、組織横断的なリスクの管理を行う体制を構築しております。
「経営危機対応規程」には経営上のリスクが発生した際の対応方針が定められており、リスクコンプライアンス委員会は、潜在的なリスクを一元化し、整理・協議する場として社外役員(社外取締役2名、社外監査役2名)を含む、取締役、監査役、内部監査室長、管理部長、人事部長で構成され、原則毎月1回開催しております。
○サステナビリティに関する指標及び目標
企業理念に掲げる、「最新のテクノロジーと独自のデータベースを活用し、不動産を流通・再生・運用し、世界を変える。」は、当社グループの信念であると同時に、サステナブルな社会の実現に向けて、事業を推進する上での指針でもあります。
当社グループでは、この指針のもと企業運営を継続していくことが、サステナブルな社会の実現に近づく一歩にもなるものと認識しており、今後も事業拡大に向けて邁進いたします。
なお、サステナビリティに関する具体的な指標及び目標については現在検討中であります。
(6)人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績
当社グループでは、「(3)戦略 (人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略)」において記載した人事基本理念と人材育成方針を実現するために、池袋本社と大阪支店に人事組織を設け、拠点間の連携強化に努めております。
なお、人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に関する指標として、下記を掲げております。
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
当連結会計年度末の実績は、21.0%であります。今後はこの指標の更なる向上に向けた取組みを進め、管理職に占める女性労働者の増加に繋げてまいります。
・男女別の育児休業取得率
当連結会計年度の実績は、男性29.4%、女性100.0%であります。今後は女性の取得率を維持しつつ、男性の取得率向上のための施策を検討し、導入に向けて邁進いたします。
なお、現在のところ具体的な目標は設定しておりませんが、今後取組みを進めるとともに、その効果測定を行った上で策定に向けた検討を進めてまいります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、合理的であると当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性がある全てのリスクを網羅するものではありません。
(1)経済情勢、金利動向の変動について
当社グループの属する不動産業界は、景気動向、経済情勢、金利動向、地価の動向等の影響を受けやすい特性があり、これらの影響から購入者の需要動向が悪化した場合、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループといたしましては、市場動向の観測や不動産市況の悪化時の影響度合いを定期的に調査分析し、必要に応じて販売用不動産の種類、金額等を考慮しながら、当該リスクの発生・影響を最小限にとどめるよう対応に努めております。
(2)有利子負債への依存について
当社グループは、不動産売買事業における中古不動産の買取資金を主に金融機関からの借入金によって調達しております。当社グループは、特定の金融機関に依存することなく、個別案件ごとに販売計画の妥当性を分析した上で借入金の調達を行っておりますが、金融機関の融資姿勢や金融情勢の変動によって金利上昇や借入金の調達が困難になることがあり、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。なお、当連結会計年度末の有利子負債依存度は48.0%になります。
(3)販売用不動産の評価損について
当社グループが保有する販売用不動産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号2019年7月4日改正分)を適用しております。期末に保有している販売用不動産の取得原価と正味売却価額を比較し、正味売却価額が取得原価を下回っている場合には販売用不動産の評価損を計上することとしております。
当社グループについては、不動産市況動向を常に確認し事業活動を行っており、動向に合わせた仕入を適切に行うよう努めておりますが、今後、経済情勢や不動産市況の悪化による不動産価格の急激な変動等により、事業計画の遂行に重大な問題が生じ、販売価格の引き下げ等が発生する恐れがあります。また、販売用不動産の滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が取得原価を下回り、評価損を計上することも予測され、その結果、当社グループの経営成績や財政状況に影響を与える可能性があります。
(4)投資用マンションの販売について
当社グループが販売する不動産は、資産運用を目的として購入されるものがありますが、一般的に不動産による資産運用(不動産投資)には、入居率の悪化や家賃相場の下落による賃料収入の低下、金利上昇による借入金返済負担の増加等、収支の悪化につながる様々な投資リスクが内在しております。当社グループはこれらの投資リスクについて十分な説明を行い、顧客に理解していただいた上で売買契約を締結するよう営業社員及びこれをサポートする社員に教育を徹底しております。また、入居者募集や集金代行などの賃貸管理から修繕等の建物管理に至るまで一貫したサービスを提供することで、顧客の長期的かつ安定的な不動産投資を全面的にサポートし、空室の発生や資産価値下落等のリスク低減に努めております。しかしながら、営業社員の説明不足等が原因で投資リスクに対する理解が不十分なまま不動産購入に至ったことにより、顧客からの訴訟等が発生した場合、当社グループの信頼が損なわれることにつながり、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、社会情勢や経済情勢の変化により、入居率の悪化や家賃相場の大幅な下落、金融機関の融資姿勢の変化や急激な金利上昇等が発生した場合、顧客の不動産投資に支障をきたす可能性があります。特に金利上昇は、金融機関の融資を利用する顧客に対し、借入金返済負担の増加による収支の悪化をもたらすことから、顧客の購買意欲に影響を及ぼす可能性があります。
(5)固定資産の減損について
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い、決算期ごとに固定資産の減損の兆候の把握を行っております。当社グループでは、不動産市況動向を常に確認し事業活動を行っており、当該動向に合わせ、固定資産の取得を適切に行うよう努めておりますが、今後の地価動向や景気動向等によっては、固定資産の減損損失の認識が必要となる状況も予測され、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(6)競合リスクについて
不動産業界は、事業を行うための許認可取得など新規参入に係る手続きが煩雑ではありますが、大手ハウスメーカーから個人事業主に至るまで大小様々な競合他社が多数存在しております。当社グループでは膨大な量の不動産所有者情報を有しており、当該情報を活用した不動産所有者からの直接仕入を企業活動の主軸としていることから、他社と比較して価格優位性があり、今後も差別化を強化する方針であります。しかしながら、今後、同様のビジネスモデルを有する他社の参入などにより十分な差別化ができなくなり、競争が激化した場合には価格競争や取扱い件数の減少等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(7)特定人物への依存について
当社グループでは、役員及び幹部社員への情報共有や権限の移譲を進め、創業者である代表取締役社長榮章博に過度に依存しないような経営体制の整備を推進しておりますが、同氏は、当社設立以来、当社グループの経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動を展開していくにあたり重要な役割を担ってまいりました。特に当社グループの主力事業である不動産売買事業における売買方針の決定においては、同氏の資質に依存している部分があります。同氏が職務を遂行できなくなるような不測の事態が生じた場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(8)契約不適合責任について
売買対象不動産について、種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものがある場合、民法及び宅地建物取引業法の規定により売主が買主に対して契約不適合責任を負うことになります。当社グループにおいては、販売用不動産の契約前に担当部署と管理部門において、リスクを可能な限り契約書に明記し、リスクの低減に努めておりますが、万が一当社グループの販売した不動産に当該不適合が確認された場合には、売主として契約不適合責任を負うことがあります。その結果、買主より契約解除や損害賠償請求を受け、また、履行の追完のための費用が生じるなど、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(9)自然的・人為的災害について
当社グループが取り扱う中古不動産は、首都圏や関西圏、九州圏が中心となっておりますが、これら地域において、地震・火災・水害等の自然災害、大規模な事故やテロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの所有する中古不動産が滅失、毀損又は劣化し、販売価格や賃貸収入が著しく減少する可能性があります。また、これら以外の地域で自然的・人為的災害が発生した場合においても、消費マインドの冷え込みから当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(10)人材の確保・育成について
当社グループは、様々な経営課題を克服し事業を拡大していくために、優秀な人材を継続的に確保・育成していくことが重要な課題であると認識しております。従って、今後も優秀な人材の中途採用、優秀な学生の新卒採用及び教育・研修制度の充実を図り、当社グループの経営理念を理解した社員の育成を行っていく方針であります。しかしながら、当社グループの求める人材の確保・育成が想定どおりに進まない場合は、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(11)法的規制について
当社グループの属する不動産業界は、「宅地建物取引業法」、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」、「建築基準法」、「都市計画法」、「国土利用計画法」、「建物の区分所有等に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「不動産の表示に関する公正競争規約」等の法的規制を受けております。当社グループではこれらの法的規制を遵守するように努めておりますが、法令違反が発生した場合や、今後これらの法的規制の改廃や新たな法的規制が設けられる場合には、当社グループの事業活動が制約を受け、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
また、当社グループが事業活動を行うに際し、以下に記載の許認可を得ており、現在、許認可が取消となる事由は発生しておりません。しかしながら、将来何らかの理由により、法令違反等の事象が発生し、監督官庁より業務停止や免許の取消等の処分を受けた場合には、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに当社グループの経営成績や財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
(許認可等の内容)
(12)情報漏洩のリスクについて
当社グループは、不動産売買事業、不動産賃貸管理事業において、事業上の重要情報、顧客・取引先等の機密情報や個人情報等を保有しております。当社グループでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を認証取得するとともに、これらの情報の外部への不正な流出、漏洩を防止するために、社内研修を通じた社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じております。さらにデータベースへのアクセス環境、セキュリティシステムの継続的な改善等により、情報管理体制を強化するとともに情報管理の徹底を図っております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等により、当社グループが保有する機密情報や個人情報等が外部へ流出、漏洩した場合等には、損害賠償請求等が発生するリスクや、信用が失墜するリスクがあり、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(13)システムトラブルについて
当社グループの事業運営は、コンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故、外部システムを含むシステムの何らかのトラブル等により、その通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業活動に重大な影響を与える可能性があります。また、不動産流通機構(レインズ)等、当社グループが不動産売買事業において使用する外部システムがメンテナンスや何らかのシステムトラブル等により使用できなくなった場合には、仕入及び販売活動が滞る可能性があります。
当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性の確保に取り組むとともに、定期的にデータのバックアップを実施しており、システムトラブルによるデータの喪失を極力少なくする運用を行っております。また、不動産流通機構(レインズ)等の外部システムについては予め休止期間等を把握し、事業活動への影響を最小限にするよう努めておりますが、予期せぬシステムトラブル等が発生した場合、又は外部システムの休止期間等が長期化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(14)資金使途に関するリスクについて
当社グループの資金調達は、販売用不動産及び賃貸用不動産を機動的に取得するための資金、新システムの開発費用及び優秀な人材の確保を目的とした採用費用等に充当する予定であります。しかしながら、外部環境等の影響により、目論見どおりに事業計画が進展せず、調達資金が上記の予定どおりに使用されない可能性があります。また、予定どおりに使用された場合でも、想定どおりの効果を上げることができず、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(15)借入金の財務制限条項について
当社グループは、安定的に資金運用を行うため、金融機関から資金調達を行っておりますが、一部の金融機関との取引について、借入契約に財務制限条項が付されたものがあります。これらの条件に抵触した場合には、借入金利の上昇や期限の利益の喪失等、当社グループの経営成績及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があります。
本書提出日現在において財務制限条項の遵守状況は適切に管理されており、財務制限条項の要求基準を安定的に充足するべく業務運営を行っていることから、現状かかる財務制限条項抵触リスクは僅少であると認識しております。
(16)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、役員及び従業員等に対するインセンティブを目的として、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
当連結会計年度末時点における当社の発行済株式総数は5,975,600株であり、これらの新株予約権が全て行使された場合は、新たに122,800株の新株式が発行され、1株当たりの株式価値は希薄化する可能性があります。
(17)訴訟の可能性について
当社グループは、事業運営にあたって法令遵守の徹底及び顧客とのトラブル回避に努めており、本書提出日現在において経営成績及び財政状態に影響を及ぼす重要な訴訟が提起されている事実はありませんが、当社グループが販売した物件における契約の不適合等を原因とするクレームや、賃貸管理する物件における管理状況や入退去時の状況に対する顧客からのクレーム等が訴訟に発展する可能性があります。これらの内容や結果によっては、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(18)大株主について
当社の代表取締役社長である榮章博は、当社の大株主であり、自身の資産管理会社である株式会社ブレインネットの所有株式数を含めると、当連結会計年度末現在で発行済株式の71.7%を所有しております。同氏は、当社設立以来、当社の代表取締役社長として経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動の推進にあたり重要な役割を担っていることから、引き続き代表取締役社長として当社グループの経営を担うことは事業運営上望ましいと考えております。また、同氏は、安定株主として引き続き当社の一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。
当社といたしましても、同氏は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの経営成績や財政状況に影響を与える可能性があります。
(19)地政学的リスクについて
本書の提出日現在、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻をはじめ、パレスチナ・イスラエルにおける紛争の勃発等が続き、地政学的リスクに関する収束時期を見通すことは困難な状況が続いております。
現状、いずれの紛争についても当社グループの事業への影響は限定的ですが、同情勢が長期化することで引き起こされる物価の高騰や為替相場の変動等により景気動向が減速することで、顧客の業績悪化や購買行動が急激に変化した場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、デフレーションからインフレーションの転換を契機とする賃上げの機運の高まりや、企業収益の堅調な推移を背景に回復傾向にありましたが、マイナス金利政策の解除や利上げなどの日銀政策の中、不安定な状況も見受けられます。
個人消費の持ち直しやインバウンドの回復による追い風要因はあるものの、世界経済の浮沈や地政学リスク等の影響については今後も注視していく必要があるものと認識しております。
当社グループが所属する不動産業界の中古マンション市場では、公益財団法人東日本不動産流通機構によると、2024年7月度の首都圏の中古マンションの成約㎡単価及び成約価格はいずれも前年同月比上昇となりました。一方で、成約件数は東京都区部と神奈川県を中心に微減しており、状況を注視する必要があるものと認識しております。
このような市場環境の中、当社グループでは、既存のIT重説や媒介契約の電子契約に加え、2024年7月から不動産売買取引の電子契約サービスを開始いたしました。物件の所在地や顧客の居住地を問わないスムーズな取引の実現に向けて、不動産取引のDX化を一層推進してまいりました。また、各エリアにおける需給バランスの動向を見極めつつ、機動的な取引により市場の変動に対応しております。
また、不動産投資クラウドファンディング「LSEED」は、不動産投資を小口化することで新たな顧客層を取り込むことができ、また、資金調達手段の一つとしても有用であることから、積極的なファンド組成を行ってまいりました。
その結果、当連結会計年度の業績は、売上高77,790百万円(前連結会計年度比22.2%増)、営業利益2,785百万円(同83.2%増)、経常利益2,518百万円(同84.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,840百万円(同86.3%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(不動産売買事業)
不動産売買事業の当連結会計年度における実績は、「買取販売及び買取リフォーム販売」件数が合計5,673件、「仲介」件数が1,175件となりました。これら取引件数の構成比率を取扱不動産の種別でみると、「ワンルームタイプ」55%、「ファミリータイプ」45%となりました。同様に築年数別では、「築古」78%、「築浅」22%となりました。また、売上高の構成比率を販売先の属性別でみると、不動産業者向け47%、個人向け43%、法人向け10%となりました。
その結果、セグメント売上高は76,696百万円(前連結会計年度比22.2%増)、セグメント利益は5,952百万円(同37.9%増)となりました。
※ 当社グループは、中古マンションを直接仕入れ、販売を行うケースを「買取販売及び買取リフォーム販売」とし、当社グループが仲介会社となるケースを「仲介」に区別しております。さらに取扱い不動産の種別を床面積(30㎡未満:「ワンルームタイプ」、30㎡以上:「ファミリータイプ」)、築年数(築20年以内:「築浅」、築20年超:「築古」)の区分で管理しております。
(不動産賃貸管理事業)
不動産賃貸管理事業では、賃貸管理戸数を重要な経営管理指標として、その戸数を月次で管理しながら、通期予算の達成に向けた管理物件の受託と解約防止に向けたサービス活動を実施しております。当連結会計年度における実績は、賃貸管理総戸数が前連結会計年度末から1,151戸増加の8,430戸と好調に推移しました。
その結果、セグメント売上高は1,094百万円(前連結会計年度比23.2%増)、セグメント利益は141百万円(同2.6%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態は、総資産27,156百万円(前連結会計年度末比36.1%増)、負債18,278百万円(同42.5%増)、純資産8,877百万円(同24.5%増)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は21,692百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,887百万円の増加となりました。主な要因は、取扱い物件の仕入れ強化に伴う販売用不動産の増加5,122百万円、現金及び預金の増加663百万円によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は5,463百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,308百万円の増加となりました。主な要因は、賃貸用不動産の取得による土地の増加605百万円及び建物の増加409百万円、新システム構築によるソフトウエア(ソフトウエア仮勘定を含む)の増加89百万円によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は14,154百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,871百万円の増加となりました。主な要因は、販売用不動産の仕入を目的とした資金調達による短期借入金の増加2,388百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加982百万円及び未払法人税等の増加499百万円であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は4,123百万円となり、前連結会計年度末に比べ580百万円の増加となりました。主な要因は、賃貸用不動産の取得を目的とした資金調達による長期借入金の増加562百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は8,877百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,745百万円の増加となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上1,840百万円及び配当金の支払110百万円に伴う利益剰余金の増加1,730百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ930百万円増加し、3,423百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は1,838百万円(前年同期は2,391百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上2,752百万円があった一方で、販売用不動産の買取強化に伴う棚卸資産の増加4,985百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1,042百万円(前年同期は1,299百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入1,038百万円があった一方で、有形固定資産の取得による支出2,097百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は3,810百万円(前年同期は3,081百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,622百万円があった一方で、短期借入金の純増加額2,388百万円及び長期借入による収入4,166百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
b.受注実績
当社グループは受注生産形態を行っていないため、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討事項
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本文の将来や想定に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載されているとおりであります。
なお、経営成績の分析については、以下のとおりであります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、不動産売買事業における取扱い件数が増加したことと、不動産賃貸管理事業における賃貸管理戸数の増加等により、前連結会計年度に比べ14,143百万円増加し、77,790百万円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ11,228百万円増加し、65,914百万円(前連結会計年度比20.5%増)となりました。これは、主に不動産売買事業における取扱い件数が増加したことによります。この結果、当連結会計年度の売上総利益は11,876百万円(同32.5%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ1,650百万円増加し、9,090百万円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。これは、主に不動産の仕入を目的とした広告宣伝費1,243百万円(同20.5%増)及び従業員増に伴う給料手当及び賞与3,633百万円(同26.6%増)によるものであります。この結果、当連結会計年度の営業利益は2,785百万円(同83.2%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度に比べ60百万円増加し、107百万円(前連結会計年度比130.9%増)となりました。これは、主に不動産売買契約の解約に伴う違約金収入81百万円(同177.2%増)によるものであります。また、営業外費用は、前連結会計年度に比べ169百万円増加し、374百万円(同82.4%増)となりました。これは、主に借入金及び社債に対する支払利息180百万円(同91.6%増)及び主に当座貸越枠のアレンジメントフィーに対する支払手数料148百万円(同96.2%増)によるものであります。この結果、当連結会計年度の経常利益は2,518百万円(同84.9%増)となりました。
(特別損益、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、242百万円となりました。これは、主に賃貸用不動産の売却に伴う固定資産売却益241百万円によるものであります。法人税等は、前連結会計年度に比べ422百万円増加し、912百万円(前連結会計年度比86.2%増)となりました。この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,840百万円(同86.3%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載されているとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における運転資金需要のうち主なものは、販売用不動産の仕入資金、従業員の賞与や法人税等の支払いのための短期資金であります。
今後は、引き続き販売用不動産の仕入を強化していく他、必要な設備投資を継続していく予定であります。
(財務政策)
当社グループの運転資金、設備投資については、原則として営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、必要に応じて金融機関からの借入による資金調達によっております。
運転資金に関しては、手許資金を勘案の上、不足が生じる場合は短期借入金による調達で賄っております。設備投資については、手許資金、長期借入金による調達を基本としておりますが、資金需要が短期間の場合には、短期借入金による調達で賄っております。
資金調達については、事業計画に基づく資金需要、金利動向等の資金調達環境、社債発行費用等の資金調達コスト、既存借入金の返済スケジュール等を勘案し、調達規模、調達手段を適宜判断して実施していくこととしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
損益及び資産の状況に影響を与える見積りは、過去の実績やその時点での情報に基づき合理的に判断しておりますが、見積りそのものに不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.販売用不動産の評価
当社グループは、販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回った場合には、正味売却価額をもって連結貸借対照表価額としております。正味売却価額の算出に用いた主要な仮定は販売見込額であり、近隣の取引事例や直近の販売実績等に基づき算出しております。経済情勢や不動産市況の悪化等により、正味売却価額が見込以上に下落した場合、又は滞留資産が増加した場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
b.固定資産の減損
当社グループは、固定資産について、資産又は資産グループから得られる営業損益の継続的なマイナス、又は継続的なマイナスの見込等を減損の兆候とし、減損の兆候があると認められた場合には、減損損失の認識の要否を判定しております。判定には将来キャッシュ・フローの見積金額を用いており、減損損失の認識が必要と判断された場合には、帳簿価額が回収可能価額を上回る金額を減損損失として計上しております。将来キャッシュ・フローを算出するにあたっては、事業計画を基準として合理的な見積りを行っております。事業計画や市場環境の変化により、見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループが経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、経常利益、取引件数、賃貸管理戸数としております。
当連結会計年度における経常利益は2,518百万円(前連結会計年度比84.9%増)となりました。また、「買取販売及び買取リフォーム販売」の取引件数は5,673件(同18.6%増)、「仲介」の取引件数は1,175件(同0.17%減)となり、賃貸管理戸数は8,430戸(同15.8%増加)となりました。
引き続き当該経営指標の向上に努めてまいります。
該当事項はありません。