第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項につきましては別段の記載がない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」を経営理念として掲げ、「スキー場の運営に関するあらゆる問題を解決し、非日常的な時間と空間を演出することにより、一人でも多くの方に自然の素晴らしさ、ウィンタースポーツの楽しさを味わって頂くこと」をミッションとし、スキーをはじめとした雪上スポーツの醍醐味、自然の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいという思いのもと、当社グループはお客様の満足度を高めるべく、新たなソリューションを提供しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、高い収益性をもって成長し続けることを目標としています。目標とする指標に関しては、一部の偏った指標やトレンドに左右されることなく、成長性、収益性、健全性、効率性のバランスを重視し、安定的且つ効率的な高成長を目指すとともに、株主重視の経営を行ってまいります。

 当社グループにおいて、高い自己資本比率のもとで安全性が高い状態にあると判断しており、主たる経営指標としては、収益性及び効率性の高い経営を目指しており、収益性を測定できる、売上高営業利益率の向上を目指しております。具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、売上高営業利益率10.1%以上を目標として取り組みます。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、スキー場を投資や投機対象の不動産としてではなく、地域活性化の中心的な役割を担う存在として、中長期的な視点で再生に取組んでいくことが重要と考えております。スキー場の持続的な成長を実現するため、ソフト面及びハード面の改善を徹底し、安全な運営、良質なサービスの提供及び適正な収益の獲得を心掛け、「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」なるようなスキー場再生を行ってまいります。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題

①顧客満足度の維持・向上

当社グループでは、顧客満足度が向上するよう努めております。また、顧客対応においては、マニュアルの充実を図るとともに、継続的な社員教育により能力・モラルの向上を図っております。

特に非日常感をもとめて来場されるお客様に対しては、マニュアルの充実・徹底のみならず、顧客満足度を高めていく基本姿勢を再確認し、充実したサービスを提供するよう心掛けております。

スキー場市場においてサービスを重視し、より一層強化するという概念を持ち込むことにより、今後も顧客満足度の維持・向上に常に努めてまいります。

 

②安全対策

スキー場では、鉄道事業法で許可を受ける索道事業者としてリフト運営を行っております。リフト運営上で重大な事故が発生した場合は、索道許可の取り消しにつながることがあります。

当社グループは、特にリフトの安全対策は重点項目としており、グリーンシーズンの点検整備を国土交通省令や整備細則に基づき行い、また中期・長期の整備計画を策定し整備を実施しております。

リフト運行においては、スタッフに対する継続的な安全教育を実施し、各スタッフの安全に対する取組を向上してまいります。また、天候状態を常に監視し、リフト運行中に突発的に発生する災害への対応についても、営業中に対応訓練を繰り返し行うことで、対応能力を高めてまいります。

 

③天候に対する対策

ウィンターシーズンにおいては十分な積雪のもとで、スキー場を開業することが、事業の根幹をなすものであり、自然の積雪に恵まれない場合は、当社グループが保有する降雪機をフル活用することで、効率的かつ効果的な降雪を行い、ウィンターシーズン開始とともに満足してスキーを楽しんで頂ける状況にしてまいります。当社グループのスキー場の一部は、高い山頂にあり、残雪を利用しウィンターシーズン終盤まで十分なコンディションを維持することで、当社グループの優位性を発揮させ、他のスキー場との差別化を図ってまいります。また、想定を超える豪雪や大雨が発生すると、お客様がスキー場へ来場できず、また、お客様が施設利用を取り止めるため、こうした事態に備え、施設やサービスの一層の充実を図ってまいります。

 

④グリーンシーズンの事業の展開

グリーンシーズンにおいては、高山植物を鑑賞頂く山野草園の開業など、地域の特性を活かし、かつ、地域に根付いた商品の開発等を行い、事業を強化してまいります。一年を通じた営業体制を整えることでウィンターシーズンに業績が偏重する季節変動リスクを分散させ、安定したスキー場等の経営を目指してまいります。

 

⑤グループ経営

グループ会社が運営するレンタル専門店の展開、グループ全体での共同告知や営業活動の強化、効率化による集客増進に加え、レンタル用品、制服及び食材等について、スケールメリットを活かした集中購買、メンテナンス部品等の取得等の費用面の改善により、シナジー効果を積極的に享受できるようにしてまいります。

 

⑥今後のスキー場の取得

当社グループでは、創業以来国内におけるスキー場において、強みや特徴を有するスキー場を取得してまいりました。スキー場の取得及び取得後の改善につながる活動を継続的に実施し、当社グループの企業価値を一層高めてまいります。また、当社グループは、魅力的なスキー場を取得し、事業拡大することを成長戦略の重要な要素と位置付けており、今後も積極的にスキー場を取得していく方針であります。さらに、スキー場の地元関係者や従業員と一体となって、スキー場を改善し、スキー場の価値を高めていくことで、地域の活性化に貢献してまいります。

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものが考えられます。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.当社グループの事業について

(1)特定事業・特定エリアへの依存について

 当社グループの事業は、スキー場の運営を展開することであります。当社グループは、スキー場事業に特化することにより、事業の深化を追求することができ、サービス向上やノウハウ向上などのメリットが大きい反面、事業多角化がなされていないため、事業リスクの分散が実現できておらず、大規模な地震や災害等の発生等のイベントリスクへの対応力が十分ではありません。

 また、HAKUBA VALLEYエリアにおけるスキー場事業の収益が当社グループの大半を占めており、同エリアにおける収益の動向が当社グループの動向に与える影響は大きくなっております。

 大規模な地震や災害等の発生等によりスキー場運営に重大な支障をきたした場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)経済情勢に関するリスク

当社グループは、日本国内を主たるマーケットとして事業を展開しており、経済情勢の影響を受けております。日本国内においては、少子高齢化、人口減少、消費の低迷、雇用状況の悪化、企業活動の停滞、消費税率の上昇等の問題が指摘されております。

 他方、世界においては、人口増加、富裕層の絶対数の増加、経済成長が著しい新興国の台頭等が想定されており、2018年の訪日外国人客数は約3,119万人(前年比約8.7%増。日本政府観光局(JNTO)推計値。)と過去最高となりました。当社グループでは今後も引き続き訪日外国人客数の増加が見込まれると考えております。

 そのため、当社グループは一層のインバウンド営業の強化を推進し、当社グループの事業拡大を図ってまいる方針であります。

 しかしながら、日本国内において、少子高齢化、人口減少等の影響により、将来のスキー人口が減少した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。また、世界経済情勢の変化、国内の他のスキーリゾートとの競合激化、大規模地震等の発生、関連する大規模停電または交通手段への悪影響の発生及び災害発生に関連する懸念等により、当社グループへのスキー場及び施設への来場を予定しているインバウンド来場者がキャンセルする場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)法規制の遵守に関するリスク

 当社グループは、索道事業の許可を国土交通省より受けており、鉄道事業法の法的規制を受けております。また、鉄道事業法以外に、古物営業法、景品表示法、食品衛生法、旅行業法、労働法等の規制を受けており、当社グループによるスキー場の運営において、事業活動の様々な側面に適用されます。特にかかる規制の不遵守が発生した場合、当社グループは損害賠償請求や行政処分により多額の費用を負担することがあります。当社グループに適用のある法規制に違反した場合、当社グループの信用が失われ、また、厳格な罰則又は多額の損害を伴う規制上の処分又は私法上の訴訟提起が行われる可能性があります。更に、当該法規制の内容が大幅に改正され、若しくはその解釈に大幅な変更が生じ、又はより高い基準若しくは厳格な法規制が導入された場合、コンプライアンス体制構築に係る費用又は資本的支出が増加する可能性があります。

 

(4)業績の季節変動について

 当社グループの業績は、スキー場のウィンターシーズンの営業を開始してから終了するまでの、通常11月から翌年4月にかけて、第2四半期と第3四半期に偏重する傾向にあります。

 当社グループといたしましては、上記の繁忙期の営業強化を一層進めるとともに上記の繁忙期以外の時期における、例えば、山頂からの雲海を望む展望テラスの建設、大型遊具施設の導入など、グリーンシーズンの事業の強化に向けて、お客様の需要拡大を一層推進してまいる方針であります。

 なお、2019年7月期における四半期別の売上高、営業利益又は営業損失及び経常利益又は経常損失の推移は次のとおりであります。

 

 

連結損益計算書に関する情報                                   (単位:千円、%)

 

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

売上高

868,026

13.1

2,319,151

35.0

2,843,949

42.9

597,476

9.0

6,628,604

100.0

営業利益又は営業損失(△)

△240,178

△38.1

398,010

63.2

931,575

147.9

△459,624

△73.0

629,782

100.0

経常利益又は経常損失(△)

△240,530

△37.9

398,610

62.8

930,950

146.6

△454,037

△71.5

634,992

100.0

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(5)競合に関するリスク

 当社グループの属するスキー場事業の業界においては、索道に関する免許を国土交通省から取得し、継続して安全な運営が求められるため、参入障壁は高い状況にある一方で、新規のスキー場開発が進まない状況下で、当社グループと同様にスキー場の取得を進め、事業拡大を行っている競合他社があります。一方、当社グループでは、雇用を継続し、地元自治体や関係者との関係を強化し、お客様の満足度を高めるサービスを展開しております。また、当社グループのすべてのスキー場一体で営業活動を進めることで、営業活動を効率的に行っており、スキー場それぞれの強みや特徴を生かすことにより、競合他社が対象とするよりも幅の広い顧客層を取り込み、多様なサービスを展開し、競合他社に対する優位性を確保しております。

 しかしながら、これらの競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストの増加や競争激化に伴う販売単価の低下による利幅の縮小等により、当社グループの事業展開や業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)スキー場の取得に関するリスク

 当社グループでは、創業以来国内におけるスキー場において、強みや特徴を有するスキー場の運営や取得の機会を模索し、進めてまいりました。当社グループにおいて、魅力的なスキー場を取得し、事業拡大することは、成長戦略の重要な要素であり、当社グループは、大規模なものや重要性の高いものも含め、スキー場の取得の可能性を常に検討しております。このような事業取得に関しては、以下に掲げるような問題が生じ、当社グループの事業取得が想定通りに進捗しない場合、中長期的な成長目標を実現することができない可能性があります。

・事業買収及び事業拡大の適当な機会が得られないこと

・買収の際に、他社と競合する場合を含め、対象事業の所有者との間で買収条件について合意できないこと

・買収に必要な資金を有利な条件で調達できないこと

・事業買収の結果として、想定する利益やキャッシュ・フローの獲得を実現できないこと

 

(7)安全性に関するリスク

 当社グループは、スキー場の運営を行っており、スキーは自然と向きあうスポーツである以上、お客様の怪我のリスク及び従業員の業務上のミスやトラブルを完全に排除することはできません。当社グループは、リフトの運営にあたり、監督官庁である運輸局の監査を受け、安全性を最重要課題として認識し、適用される規制を遵守し、要求される全ての品質基準を満たすよう努め、索道許可を受けている会社のホームページにて索道安全報告書を開示しております。

 また、当社グループは、ゲレンデ内においてお客様の怪我を未然に防止するため、ゲレンデの整備やパトロールの励行に努めております。更に、当社グループでは、安全性をより一層高めるため、各スキー場の安全管理担当者が相互点検を実施し、相互牽制することで、安全確保に努めております。

 しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、安全性に問題が生じる可能性があります。このような問題は、当社グループのブランド及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループの旅行業では移動手段としてバスの運行をすることがあります。運行便において事故が起きた場合には、販売会社として当社が責任を負う場合も考えられます。

 

(8)天候に関するリスク

 当社グループはスキー場を運営しており、小雪によりスキー場の営業日数が減少する場合、また、予想を超える豪雪等、スキー場へのアクセスを阻害する道路事情の悪化により、来場者が減少する場合に、売上高が減少します。また、グリーンシーズンの事業においても、雨天の場合、ツアー旅行中止により、来場者が減少する場合、売上高が減少します。これらのように天候が想定通りでない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、豪雪や大雨等が発生した場合、安全性を確保するため、リフトを停止させるなどの措置を講じますが、リフトの停止内容によっては、リフト券の払い戻しが発生し、売上高が減少する可能性があります。

 

(9)固定資産の減損会計の適用に関するリスク

 当社グループは、スキー場の事業買収を進めており、スキー場の設備投資を毎期実施しておりますが、この結果、連結貸借対照表の総資産に占める固定資産の残高は、事業の特性上多額に上っております。減損会計の基準に基づき、スキー場等のキャッシュ・フローを創出する単位で、定期的に減損会計適用の可否を判定しており、その結果、減損損失を計上する可能性があります。かかる減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)のれんに関するリスク

 第14期連結会計年度における、2019年7月31日現在、当社グループの無形固定資産は48,860千円であり、そのうちのれんが18,382千円を占めており、のれんの効果が発現する期間を合理的に見積り、当該期間にわたり均等償却しております。また、当社グループが将来新たに企業買収を行うことにより、新たなのれんを計上する可能性があります。当社グループは、当該のれんについて定期的に減損の兆候の有無を評価することが求められています。当該のれんについて減損が生じていると判断される場合、当社グループは減損損失を計上する必要があり、当該減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)金利の変動に関するリスク

 当社グループは、必要資金の一部を有利子負債で調達しており、将来的な資金需要に応じて今後も金融機関からの借入による資金調達を新たに行う可能性があります。2019年7月31日現在、当社グループの有利子負債の残高は120,000千円です。また、当社グループは将来の企業買収のために追加で借入を行う可能性があります。金利の大幅な上昇があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)税金負担について

 当社グループは、過年度に生じた税務上の繰越欠損金があるため、課税所得が減殺され、納税負担額が軽減されております。今後、業績の推移によっては、税務上の繰越欠損金の全額を使用し、納税負担額を軽減できる可能性や繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があり、税制の改正内容によっては、同様に、税務上の繰越欠損金の全額を使用し、納税負担額を軽減できる可能性や繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があります。繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(13)電力の供給に関するリスク

 当社グループの特に繁忙期において、索道の運転、館内照明など、電力にほぼ依存して、エネルギーの供給を受けております。現在の日本において、電力供給の課題が顕在化する中で、当社グループへ電力供給が適切に行われない場合、運営に大きな制約を受けることに直面する可能性があり、その結果、長期に亘って当社グループの収益性又は成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)個人情報保護について

 当社グループのスキー場事業は、個人のお客様に無記名のリフト券を販売し、料飲を楽しんで頂くことが多く、個人情報に接する機会は多くありませんが、シーズン券を販売する個人のお客様から個人情報を得る機会があります。このため、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、「営業管理規程」、「情報セキュリティ管理規程」等の関連規程の適切な整備・運用と従業員への教育により、個人情報の管理には万全を期しております。

 しかしながら、結果として、重要な個人情報が社外に流出すること等により、個人情報の保護が損なわれた場合に、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(15)知的財産権に係わるリスク

 当社グループは、会社名及び運営するスキー場の名称について商標登録を行っており、今後新たなサービスの展開を行っていくに際しても関連する名称の商標登録を行っていく所存です。一方、他社の著作権や肖像権を侵害しないようサイト上に掲載する画像等については十分な監視・管理を行っており、現在、当社グループは第三者の知的財産権を侵害していないものと認識しております。

 しかしながら、今後も当社グループに対して知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、そのような事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(16)訴訟等の可能性について

 当社グループは、コンプライアンス体制の整備及びその運用により、安全な運営を推進し、人身事故を含む重大な事故が生じないように努めており、訴訟及びクレーム等の発生の回避に尽力しております。

 しかしながら、今後、当社グループが運営するスキー場において重大な事故の発生等、これらに起因する訴訟やその他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び事業の展開に影響を与える可能性があります。

 

(17)システムトラブルについて

 当社グループは、お客様へのリフト券の発券、取引業務の遂行、経営陣への情報提供及び財務に関する報告書の作成等を正確かつ効率的に行うため、情報システムを利用しております。当社グループは、情報システムの安全性には最善を尽くしておりますが、例えば、災害や事故により、情報システムが支障をきたした場合、お客様へのサービス提供等に支障をきたす可能性があります。更に、システムの欠陥、コンピュータウィルスの侵入、外部からの不正手段によるコンピューター内へのアクセス等により、お客様へのサービス提供等に支障をきたす可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(18)業歴が短いことについて

 当社は、2005年12月に設立され、現在は14期目であります。当社グループの業歴は短く、過去の業績トレンドが、事業の傾向や今後の見通しの評価において、必ずしも有用性があるとは限らない可能性があります。

 

2.組織体制について

(1)親会社が支配権を有することに伴うリスク

 当社グループの新規株式公開に際して、当社グループの親会社である日本駐車場開発株式会社は当社の議決権比率67.2%(2019年7月31日現在)を所有しており、その結果、会社法で定める当社グループ取締役及び監査役の選解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社グループ定款の変更及び剰余金の配当等の当社グループの基本的事項についての決定権又は拒否権を引き続き有することとなります。株主総会の承認が必要となる全ての事項の決定に関して、他の株主の意向にかかわらず日本駐車場開発株式会社が影響を与える可能性があります。なお、事前承認事項及び事前通知事項はなく、当社グループが独自に経営の意思決定を行っております。

 当社グループと日本駐車場開発株式会社及びその連結子会社との間の主な関係等については、以下のとおりであります。

① 日本駐車場開発グループとの取引関係について

 当社グループは、本書提出日現在、日本駐車場開発株式会社とは経営に重要な影響を与えるような取引を行っておりません。

 今後、当社グループが日本駐車場開発グループと取引を行う場合は、当社グループの取締役会において事前承認を必要としております。なお、日本駐車場開発株式会社からの当社グループの独立性確保の観点も踏まえ、重要な取引については取締役会に対して定期的に報告を行うとともに、管理部門における取引開始時のチェック、監査役監査や内部監査における取引の内容等の事後的なチェックを行う等、健全性及び適正性確保の仕組みを整備し、更に強化していきます。

② 当社グループ役員の日本駐車場開発株式会社の役員との兼任について

 当社取締役の川村憲司は、日本駐車場開発株式会社の取締役副社長を兼務しております。

 これは、日本駐車場開発株式会社において海外事業展開を指揮し、グローバルな企業経営を推進しており、豊富な実務経験を生かした当社経営戦略等への提言等をいただだくことで取締役会のさらなる機能強化を図ることが期待できるため、取締役として適任であると判断いたしました。なお、当社の業務執行を行わない取締役候補者であり、独立性を害するものではありません。

③ 日本駐車場開発株式会社出身の従業員について

 当社グループ従業員のうち、一定程度は日本駐車場開発株式会社の出身者であります。日本駐車場開発株式会社及び当社グループを除く子会社に在籍していた当社グループの従業員で、当社グループにおいて重要部門の決裁権を有するような役職者については発令の都度、当社グループに転籍しております。役職者以外の従業員については、出向による受け入れを行い、役職者に昇進した段階で当社へ転籍させるものとしております。

 

(2)経営陣及び従業員に関するリスク

 当社グループが持続的に成長するためには、リーダーシップのある経営陣及び有能な従業員を継続して雇用し、かつ、育成することが必要となります。また、当社グループは、新たな従業員を雇用し、教育し、その技術及び能力を育成しなければなりません。計画外の退職が生じ、又は現経営陣の適切な後継者の育成に失敗した場合には、当社グループの組織的ノウハウが失われ、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。

 従業員の雇用に関する競争の激化、従業員の退職率の上昇又は従業員の福利厚生費の増加に起因するコストの増加により、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

(3)当社組織が少人数編成であることについて

 当社は2019年7月31日現在、当社取締役7名、当社監査役4名、従業員31名で構成されております(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含んでおります。)。比較的少人数による組織となっており、内部管理体制もこのような組織規模に応じたものとなっております。また、業容拡大にあわせて円滑に業務を運用していくために、優秀な人材の確保とその育成は重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。

 今後も組織体制の強化を図るべく、優秀な人材採用を積極的に進めてまいりますが、雇用環境が逼迫する中で計画どおりに人材が採用できない場合、あるいは人材が流出する場合には、業容拡大に支障が生じ、今後の事業展開に大きな影響を与える可能性があります。

 

3.その他

配当政策

 当社は、創業以来当事業年度を含めて、内部留保に努め、今後の事業拡大に活用していく所存でありますので、配当を実施しておりません。しかしながら、株主への利益還元についても重要な経営課題と認識しており、将来の事業展開と財務体質の強化等を考慮しながら、安定した配当を継続実施していく方針でありますが、現時点では実現可能性及びその実施時期等については未定であります。

 また、内部留保資金については、当社グループの競争力の維持強化に充当し、収益力向上を図るための設備投資及び効率的な体制整備に活用する所存であります。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)経営成績

 当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況は、以下の通りでした。

(ウィンターシーズン)

 当ウィンターシーズンは寒気の流入が遅く、想定より遅れての営業開始となりましたが、1月にはまとまった自然降雪に恵まれ、4月にも寒気流入と自然降雪があり、2月から4月の3か月の合計ではグループ全体で前年を上回るお客様にご来場をいただきました。

また、このような小雪のシーズンのはじまりでしたが、数年来進めている人工降雪能力を向上させる投資が効果を奏しました。例えば、HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場のリーゼンコースやめいほうスキー場のメインコースをはじめとして各スキー場の上部エリアからオープンできる仕組みを強化したことにより、想定よりは遅れたものの近隣エリアの中では比較的早期に営業を開始することができました。その後は、自然降雪に恵まれたため、主要な滑走エリアの拡張・維持ができ、10連休となった今年のゴールデンウィーク期間までお客様に春スキーやスノーボードを楽しんでいただくことができました。また、白馬岩岳の山頂に昨秋誕生した”HAKUBA MOUNTAIN HARBOR”(白馬マウンテンハーバー)をはじめ、2015年にオープンした北志賀竜王の”SORA terrace”(ソラテラス)等の場内施設についても物販や飲食等付帯するサービスを強化しており、シーズンを通じて賑わいました。

次に、訪日外国人(以下「インバウンド」といいます。)に関しまして、当ウィンターシーズンは前年を上回り過去最高の来場数となりました。オーストラリア、ニュージーランド地域からHAKUBA VALLEYエリアへの来場数は安定しており、これに加えアジア地域からの来場者が増加いたしました。特に、グループや家族連れが目立ちました。HAKUBA VALLEYエリアのなかでは白馬岩岳スノーフィールド、栂池高原スキー場への来場者数が前年比大きく伸びており、これらを含む当社グループの4スキー場への来場者総数は、228千人(前年同期比8.8%増)となりました。これらの結果、当ウィンターシーズンのスキー場別来場者数は1,691千人(前年同期比1.6%増)となりました。ウィンターシーズンの施設別の来場者は次のとおりです。

 

スキー場別来場者数                                 (単位:千人)

運営スキー場

2018年

7月末累計

2019年

7月末累計

前年同期比

HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場

409

396

96.9%

HAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールド

121

119

98.7%

HAKUBA VALLEY栂池高原スキー場

271

285

105.1%

HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場

93

93

100.6%

竜王スキーパーク

202

222

110.1%

川場スキー場

134

146

108.8%

めいほうスキー場

186

188

101.1%

菅平高原スノーリゾート

247

239

97.1%

1,664

1,691

101.6%

 

その他の施設における来場者数                           (単位:千人)

会社名

2018年

7月末累計

2019年

7月末累計

前年同期比

川場リゾート㈱等

9

10

115.5%

めいほう高原開発㈱

3

3

102.2%

金剛山ロープウェイ(運営受託)

24

19

76.3%

信越索道メンテナンス㈱

0

0

89.9%

38

33

88.4%

(注)1.スキー場の来場者数については、リフト券の販売数に基づいて記載しております。

2.その他の施設における来場者数において、川場リゾート㈱等及びめいほう高原開発㈱は、主に

おにぎり店の来場者(レジ通過者数)の合計を記載しております。信越索道メンテナンス㈱は

金剛山ロープウェイに併設する施設の宿泊者数を記載しております。2019年3月15日より金剛山

ロープウェイ(運営受託)は施設を所有する自治体の指示により運休しております。

 

 

ウィンターシーズンの主な取組みは以下のとおりです。

HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場は今シーズンで開業60周年を迎え、これを記念した企画を開催いたしました。また、開業30周年となった川場スキー場とめいほうスキー場でも特別企画として「30周年記念シーズン券」を期間限定で販売し、これにちなんだイベントも開催しました。その他、各スキー場においては、リピーターのお客さま向けの施策を強化し、家族連れやグループ向けのイベントも多く開催いたしました。

また、当社は昨年に営業体制を拡充し、デジタル化の進展を見据えた営業施策や広報活動等を推進しております。具体的には、WEB上でのチケット販売やマーケティング、イベント誘致、カーシェアやレンタカーサービス、各種法人や団体等への販促活動に注力しております。その他、共通リフト券や優待サービス・協賛等に関して法人や団体等への提案も前年に続き積極的に進めております。また、地域と連携し、国内はもとよりインバウンドのお客さまへの営業活動やサービスの改善にも継続して取り組んでおります。一方、施設の運営に係る原価や人件費等の販売管理費も増加いたしました。

 

安全への取組には重点を置いて進めております。お客様の安全な輸送のため、索道設備や降雪機器のメンテナンスや更新・新規導入も順次進めております。グループ内の人材交流による技術や営業ノウハウの共有のほか、安全管理のための共通ルールや労働安全マネジメントシステムの導入に取り組んでおります。

 

(グリーンシーズン)

当社グループでは、ウィンターシーズン事業の業績全体に占める割合が高いため、年間を通しての事業シーズナリティを小さくするべくグリーンシーズン(5月中旬から11月中旬)の営業活動にも注力しております。豊富な観光資源及び雄大な自然の魅力を発信し、運営施設内のリフト、ロープウェイやゴンドラ及び宿泊施設・店舗等を運営する事業を地域と連携して進めております。

当グリーンシーズンの全体の来場者数は、昨年秋にオープンしたHAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾートのテラス事業(HAKUBA MOUNTAIN HARBOR)により過去最高となりました。しかし、来場者数が増加する6月と7月の週末での悪天候が重なり、また、夏休みが始まり来場者数が著しく増えていく7月20日以降においても、関東甲信地域の梅雨明けが7月29日(前年は6月29日・例年は7月21日)となり、全体の来場者数は計画で見込んでいた水準には達成しませんでした。

当第4四半期はこのような悪天候の影響を受けましたが、HAKUBA VALLEY国際山岳リゾート白馬八方尾根のうさぎ平テラスの屋上にビーチリゾートをイメージした絶景リラクシングテラス”HAKUBA MOUNTAIN BEACH”をオープンさせ、多くのお客様にご来場いただいております。HAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾートにおいては、昨年秋のHAKUBA MOUNTAIN HARBORのオープンに続き、株式会社スノーピーク監修のもと、ゴンドラリフト山頂駅付近に”IWATAKE GREEN PARK”(岩岳グリーンパーク)を7月に新たにオープンさせ、様々なお客様にご満足いただけるようリゾートの空間を拡張させております。

また、2015年にオープンし4期目のグリーンシーズンとなった北志賀竜王の雲海の見られるテラスSORA terrace、岐阜県のめいほう高原では、手ぶらでアメリカンスタイルのバーベキューを楽しんでいただけるよう施設をリニューアルする等、各地で営業にも注力しております。

このように当社グループがグリーンシーズンの強化のために取り組んでいる新しい企画の事業化が成果をあげております。一方、これに係る原価や人件費等の経費も増加いたしました。

以上の結果、グリーンシーズンの来場者は472千人(前年同期比5.4%増)となりました。グリーンシーズンの施設別来場者は次のとおりです。

 

 

索道を稼働した施設における来場者数                        (単位:千人)

施設名

2018年

7月末累計

2019年

7月末累計

前年同期比

HAKUBA VALLEY国際山岳リゾート白馬八方尾根

105

93

88.9%

HAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾート

34

91

263.6%

HAKUBA VALLEY栂池高原

81

85

104.8%

竜王マウンテンパーク

112

98

88.3%

金剛山ロープウェイ(運営受託)

41

22

54.9%

375

392

104.6%

 

その他の施設における来場者数                           (単位:千人)

会社名

2018年

7月末累計

2019年

7月末累計

前年同期比

㈱鹿島槍

12

12

103.3%

川場リゾート㈱等

34

40

118.2%

めいほう高原開発㈱

24

25

104.3%

信越索道メンテナンス㈱

1

1

74.5%

72

79

109.9%

(注)1.索道を稼働した施設における来場者数については、リフト券の販売数に基づいて記載しており

ます。索道とは、ゴンドラ、ロープウェイ及びリフトを指します。2019年3月15日より金剛山

ロープウェイ(運営受託)は施設を所有する自治体の指示により運休しております。

2.その他の施設における来場者数において、㈱鹿島槍は、HAKUBA VALLEY鹿島槍スポーツヴィレッジ

の来場者及びグリーンシーズンでのスノーボードトレーニング施設の来場者の合計を記載して

おります。

 川場リゾート㈱等は、主に川場リゾート㈱のサバイバルゲーム場、スケートボードパーク施設

の来場者及びおにぎり店の来場者(レジ通過者数)を含めております。

 めいほう高原開発㈱は、主におにぎり店の来場者(レジ通過者数)、キャンプ施設の来場者及び

体験型企画旅行の来場者の合計を記載しております。

 信越索道メンテナンス㈱は、金剛山ロープウェイに併設する施設の宿泊者数を記載しております。

 

 これらにより、連結業績は売上高が6,628,604千円(前年同期比3.2%増)、営業利益は629,782千円(前年同期比0.8%増)、経常利益は634,992千円(前年同期比3.5%増)となり、また親会社株主に帰属する当期純利益は、繰延税金資産の計上額が増加したこと等により、607,015千円(前年同期比60.1%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)前連結会計年度末に比べ86,434千円増加
し、2,376,027千円(前期比3.7%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれ
らの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、1,043,769千円(前期は774,560千円の収入。)となりました。主な増加要因
は、税金等調整前当期純利益522,156千円、減価償却費495,362千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額
80,162千円、未払金の減少額15,424千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、828,832千円(前期は624,408千円の支出。)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出758,320千円、有形固定資産除却による支出42,841千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、128,502千円(前期は219,507千円の支出。)となりました。主な減少要因は、長期借入金の返済による支出60,000千円、リース債務返済による支出67,001千円であります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの主たる事業はスキー場事業であり、全事業セグメントの合計額に占める割合が著しく低いため、売上区分別に記載しております。

売上区分の名称

前連結会計年度

(自 2017年8月1日

至 2018年7月31日)

当連結会計年度

(自 2018年8月1日

至 2019年7月31日)

販売高(千円)

前期末比

販売高(千円)

前期末比

スキー場事業

 

 

 

 

リフト券売上

3,781,243

105.6%

3,838,769

101.5%

料飲売上

859,150

90.5%

917,992

106.8%

レンタル売上

485,853

100.7%

544,193

112.0%

その他売上

1,293,829

113.7%

1,327,649

102.6%

合計

6,420,077

104.4%

6,628,604

103.2%

 (注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はありません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる各種の要因に関して仮定設定、情報収集を行い、見積金額を算出しておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

 

(2)経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度の売上高は、6,628,604千円(前連結会計年度は6,420,077千円、前連結会計年度比3.2%増)となりました。

 これは、グリーンシーズンのHAKUBA VALLEYエリア及びウィンターシーズンの竜王スキーパークにおける来場者が増加したことによるものであります。

② 売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、2,800,712千円(前連結会計年度は2,678,617千円、前連結会計年度比4.6%増)となりました。これは、主にHAKUBA VALLEYエリアの新規施設投資に伴う減価償却費の増加及び期間雇用従業員の賃金改定に伴う人件費の増加によるものであります。以上の結果、売上総利益は3,827,892千円(前連結会計年度は3,741,459千円、前連結会計年度比2.3%増)となりました。

また、売上総利益率は、前年同期比0.5ポイント減の57.8となりました。

③ 販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、3,198,109千円(前連結会計年度は3,116,598千円、前連結会計年度比2.6%増)となりました。これは、業務委託費用の増加及び川場30周年イベントに伴う広告費の増加によるものであります。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、629,782千円(前連結会計年度は624,860千円、前連結会計年度比0.8%増)となりました。

また、営業利益率は、前年同期比0.2ポイント減の9.5となりました。

④ 営業外損益、経常利益

当連結会計年度における営業外収益は15,277千円(前連結会計年度は6,686千円、前連結会計年度比128.5%増)となりました。これは、主に災害損失引当金の戻入があったことによるものです。

営業外費用は10,066千円(前連結会計年度は17,859千円、前連結会計年度比43.6%減)となりました。これは主に前期に計上した貸倒損失によるものです。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、634,992千円(前連結会計年度は613,687千円、前連結会計年度比3.5%増)となりました。

また、経常利益率は、前期末比と同率の9.6となりました。

⑤ 特別損益、当期純利益

当連結会計年度における特別利益は、7,197千円(前連結会計年度は5,069千円、前連結会計年度比42.0%増)となりました。

当連結会計年度における特別損失は、120,033千円(前連結会計年度は64,570千円、前連結会計年度比85.9%増)となりました。これは金剛山ロープウェイ事業に関わる減損損失を計上したものです。この結果、税金等調整前当期純利益は522,156千円となりました。

 

法人税、住民税及び事業税に法人税等還付税額と法人税等調整額を合わせた税金費用は△91,897千円(前連結会計年度は146,644千円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は607,015千円(前連結会計年度は379,075千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 

また、当期純利益率は9.2%となりました。

 

(3)経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループは、スキー場事業を展開しております。収益の大半は、ウィンターシーズンに集中しており、降雪の状況、景気変動による個人消費に大きく影響を受ける傾向にあり、当社グループの経営成績に影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

② 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループでは、運転資金及び投資資金については、当連結会計年度末における現預金が有利子負債を超過していることから、手許資金を中心とし、市中銀行からの借入により補完して賄う方針としております。当社グループの事業活動における資金需要は、主に当社グループの運営に伴う人件費を中心とする営業費用の支出及び設備投資に伴う支出であり、これを主に売上高の収入により賄っており、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。

 

(5)財政状態の分析

① 流動資産

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比して110,628千円増加し、2,878,421千円(前連結会計年度末比4.0%増)となりました。これは主に現金及び預金の増加であります。

② 固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比して623,151千円増加し、4,007,036千円(前連結会計年度末比18.4%増)となりました。項目別の状況は以下のとおりであります。

(有形固定資産)

 当連結会計年度末における有形固定資産は、前連結会計年度末と比して477,718千円増加し、3,295,821千円(前連結会計年度末比17.0%増)となりました。これは、主に設備投資によるものであります。

(無形固定資産)

 当連結会計年度末における無形固定資産は、前連結会計年度末と比して42,217千円減少し、48,860千円(前連結会計年度末比46.4%減)となりました。これは、主にのれんの償却による減少であります。

(投資その他の資産)

 当連結会計年度末における投資その他の資産は、前連結会計年度末と比して187,649千円増加し、662,354千円(前連結会計年度末比39.5%増)となりました。これは、主に繰延税金資産の増加によるものであります。

③ 流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比して24,701千円増加し、559,667千円(前連結会計年度末比4.6%増)となりました。これは、主にリース債務の増加によるものであります。

④ 固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比して84,256千円増加し、273,599千円(前連結会計年度末比44.5%減)となりました。これは、主にリース債務によるものであります。

⑤ 純資産

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比して624,821千円増加し、6,052,191千円(前連結会計年度末比11.5%増)となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加が要因であります。

 当連結会計年度末の売上高営業利益率は9.5%となり、前連結会計年度と比べ、0.2ポイント減少いたしました。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

次のウィンターシーズンに向けた取組みとして、HAKUBA VALLEYはグリーンシーズンに投資したHAKUBA MOUNTAIN BEACH 及び HAKUBA MOUNTAIN HARBORをウィンターシーズンにも活かし、施設の改善による付加価値向上を図るとともに、国内及びインバウンドの来場者増に努めてまいります。また、米国コロラド州ブルームフィールドに拠点をおくベイルリゾート株式会社と長期アライアンス契約を締結し「EPIC PASS(エピックパス)」と提携しましたが、今後もアライアンスを継続し、世界的な認知度を高めインバウンドを誘致してまいります。日帰り圏の川場スキー場やめいほうスキー場等では、シーズン券の販売強化を継続し新規顧客の獲得と囲込み・再来場への誘致に努めてまいります。

グリーンシーズンの今後の取組として、HAKUBA VALLEYエリアにおいてはHAKUBA MOUNTAIN HARBOR、Xtrem Aventures HAKUBA TSUGAIKE WOW!が2シーズン目となりますので、これまでの運営手法を振り返り、改善を積み重ねてまいります。また、めいほう高原では8月10日に”GRACE STELLAサイト”(グラースステラサイト。ログハウス)がオープンしました。当社グループは年間を通しての事業シーズナリティを小さくするべく、グリーンシーズンの投資は継続的に検討し、適宜適切に実施してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。