第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下の通りです。また、将来に関する事項につきましては別段の記載がない限り、本有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」を経営理念として掲げ、「スキー場の運営に関するあらゆる問題を解決し、非日常的な時間と空間を演出することにより、一人でも多くの方に自然の素晴らしさ、ウィンタースポーツの楽しさを味わって頂くこと」をミッションとし、スキーをはじめとした雪上スポーツの醍醐味、自然の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えたいという思いのもと、当社グループはお客様の満足度を高めるべく、新たなソリューションを提供しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、高い収益性をもって成長し続けることを目標としています。目標とする指標に関しては、一部の偏った指標やトレンドに左右されることなく、成長性、収益性、健全性、効率性のバランスを重視し、安定的且つ効率的な高成長を目指すとともに、株主重視の経営を行ってまいります。

 当社グループにおいて、高い自己資本比率のもとで安全性が高い状態にあると判断しており、主たる経営指標としては、収益性及び効率性の高い経営を目指しており、収益性を測定できる、売上高営業利益率の向上を目指しております。具体的には、引き続きキャッシュ・フロー重視の経営を推進することで、売上高営業利益率10%以上を目標として取り組みます。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、スキー場を投資や投機対象の不動産としてではなく、地域活性化の中心的な役割を担う存在として、中長期的な視点で再生に取組んでいくことが重要と考えております。スキー場の持続的な成長を実現するため、ソフト面及びハード面の改善を徹底し、安全な運営、良質なサービスの提供及び適正な収益の獲得を心掛け、「自然、お客様、そして地域社会の全てがハッピーに」なるようなスキー場再生を行ってまいります。

 

(4)経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や企業収益の改善が持続し、景気は緩やかな回復基調で推移しておりましたが、2020年1月以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行により経済活動が停滞状態に陥り、景気の後退色が鮮明となりました。

 また、当社は、グリーンシーズンにおいては2019年10月に大型の台風19号の影響を受け、ウィンターシーズンにおいては記録的暖冬及び小雪となるなど、気候変動の影響を受けております。その他、新型コロナウイルスの蔓延に伴う国内外の人の移動の制限及び外出自粛等により、お客様の動向は大幅に鈍化いたしました。

 これらの気候変動や新型コロナウイルスの影響は今後も継続し、厳しい経営環境が続くと想定されますが、新たにもたらされた新しい生活様式やテレワークの推進等の環境の変化を新たなビジネスチャンスとしてとらえ、今後もグループ一丸となり事業を遂行してまいります。

 

(5)対処すべき課題

①顧客満足度の維持・向上

当社グループでは、顧客満足度が向上するよう努めております。また、顧客対応においては、マニュアルの充実を図るとともに、継続的な社員教育により能力・モラルの向上を図っております。

特に非日常感をもとめて来場されるお客様に対しては、マニュアルの充実・徹底のみならず、顧客満足度を高めていく基本姿勢を再確認し、充実したサービスを提供するよう心掛けております。

スキー場市場においてサービスを重視し、より一層強化するという概念を持ち込むことにより、今後も顧客満足度の維持・向上に常に努めてまいります。

 

②安全対策

スキー場では、鉄道事業法で許可を受ける索道事業者としてリフト運営を行っております。リフト運営上で重大な事故が発生した場合は、索道許可の取り消しにつながることがあります。

当社グループは、特にリフトの安全対策は重点項目としており、グリーンシーズンの点検整備を国土交通省令や整備細則に基づき行い、また中期・長期の整備計画を策定し整備を実施しております。

リフト運行においては、スタッフに対する継続的な安全教育を実施し、各スタッフの安全に対する取組を向上してまいります。また、天候状態を常に監視し、リフト運行中に突発的に発生する災害への対応についても、営業中に対応訓練を繰り返し行うことで、対応能力を高めてまいります。

 

③天候に対する対策

ウィンターシーズンにおいては十分な積雪のもとで、スキー場を開業することが、事業の根幹をなすものであり、自然の積雪に恵まれない場合は、当社グループが保有する降雪機をフル活用することで、効率的かつ効果的な降雪を行い、ウィンターシーズン開始とともに満足してスキーを楽しんで頂ける状況にしてまいります。当社グループのスキー場の一部は、高い山頂にあり、残雪を利用しウィンターシーズン終盤まで十分なコンディションを維持することで、当社グループの優位性を発揮させ、他のスキー場との差別化を図ってまいります。また、想定を超える豪雪や大雨が発生すると、お客様がスキー場へ来場できず、また、お客様が施設利用を取り止めるため、こうした事態に備え、施設やサービスの一層の充実を図ってまいります。

 

④グリーンシーズンの事業の展開

グリーンシーズンにおいては、高山植物を鑑賞頂く山野草園の開業など、地域の特性を活かし、かつ、地域に根付いた商品の開発等を行い、事業を強化してまいります。一年を通じた営業体制を整えることでウィンターシーズンに業績が偏重する季節変動リスクを分散させ、安定したスキー場等の経営を目指してまいります。

 

⑤グループ経営

グループ会社が運営するレンタル専門店の展開、グループ全体での共同告知や営業活動の強化、効率化による集客増進に加え、レンタル用品、制服及び食材等について、スケールメリットを活かした集中購買、メンテナンス部品等の取得等の費用面の改善により、シナジー効果を積極的に享受できるようにしてまいります。

 

⑥今後のスキー場の取得

当社グループでは、創業以来国内におけるスキー場において、強みや特徴を有するスキー場を取得してまいりました。スキー場の取得及び取得後の改善につながる活動を継続的に実施し、当社グループの企業価値を一層高めてまいります。また、当社グループは、魅力的なスキー場を取得し、事業拡大することを成長戦略の重要な要素と位置付けており、今後も積極的にスキー場を取得していく方針であります。さらに、スキー場の地元関係者や従業員と一体となって、スキー場を改善し、スキー場の価値を高めていくことで、地域の活性化に貢献してまいります。

 

(6)新型コロナウイルスへの対応について

今後の経済情勢は、新型コロナウイルスの影響がどのようになるか、いまだ予測しがたい状況であり、停滞の長期化も懸念されます。

このような状況のもと、当社はグループ組織体制の無理・無駄の見直しを徹底して行い一部再編するとともに、重複する本社機能の統合を図り、現地運営会社への配置転換を積極的に実施することで運営力を強化し、また、外部委託業務の内製化など各種コストを見直すなど、コストコントロールを徹底してまいります。

 また、財務面の備えとして、金融機関から利子補給制度を含めた借入を行うことにより、7月末日時点で4,637百万円の資金を確保し、冬季の営業ができない最悪の場合においても企業継続が行えるよう備えております。営業面においては、ゴンドラやシャトルバス等の施設の消毒や、従業員の感染防止対策の徹底はもちろんのこと、白馬岩岳マウンテンリゾートでは絶景の中で快適に働くことのできるリゾートテレワークを推進するなど、withコロナに対応した自然環境の中での事業を展開してまいります。

 

 

2【事業等のリスク】

 当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のものが考えられます。また、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 なお、新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響、及び同感染症に対する当社グループの対応策については「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(6)新型コロナウイルスへの対応について」をご参照ください。

 

1.当社グループの事業について

(1)安全性に関するリスク

 当社グループは、スキー場の運営を行っており、スキーは自然と向きあうスポーツである以上、お客様の怪我のリスク及び従業員の業務上のミスやトラブルを完全に排除することはできません。当社グループは、リフトの運営にあたり、監督官庁である運輸局の監査を受け、安全性を最重要課題として認識し、適用される規制を遵守し、要求される全ての品質基準を満たすよう努め、索道許可を受けている会社のホームページにて索道安全報告書を開示しております。

 また、当社グループは、ゲレンデ内においてお客様の怪我を未然に防止するため、ゲレンデの整備やパトロールの励行に努めております。更に、当社グループでは、安全性をより一層高めるため、各スキー場の安全管理担当者が相互点検を実施し、相互牽制することで、安全確保に努めております。

 しかしながら、当社グループの努力にもかかわらず、安全性に問題が生じる可能性があります。このような問題は、当社グループのブランド及び信用に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの旅行業では移動手段としてバスの運行をすることがあります。運行便において事故が起きた場合には、販売会社として当社が責任を負う場合も考えられます。

 

(2)経済情勢に関するリスク

当社グループは、日本国内を主たるマーケットとして事業を展開しており、経済情勢の影響を受けております。日本国内においては、少子高齢化、人口減少、消費の低迷、雇用状況の悪化、企業活動の停滞、消費税率の上昇等の問題が指摘されており、また、新型コロナウイルス感染症による経済情勢の悪化も顕在化しております。

 他方、世界においては、人口増加、富裕層の絶対数の増加、経済成長が著しい新興国の台頭等が想定されており、2019年の訪日外国人客数は約3,188万人(前年比約2.2%増。日本政府観光局(JNTO)推計値。)と過去最高となりました。中長期的には当社グループでは今後も引き続き訪日外国人客数の増加が見込まれると考えております。

 そのため、当社グループは一層のインバウンド営業の強化を推進し、当社グループの事業拡大を図ってまいる方針であります。

 しかしながら、日本国内において、少子高齢化、人口減少等の影響により、将来のスキー人口が減少した場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の影響等による世界経済情勢の変化、国内の他のスキーリゾートとの競合激化、大規模地震等の発生、関連する大規模停電または交通手段への悪影響の発生及び災害発生に関連する懸念等により、当社グループへのスキー場及び施設への来場を予定しているインバウンド来場者や国内来場者がキャンセルする場合、当社グループの業績及び財務状態に影響を与える可能性があります。

 

(3)天候に関するリスク

 当社グループはスキー場を運営しており、小雪によりスキー場の営業日数が減少する場合、また、予想を超える豪雪等、スキー場へのアクセスを阻害する道路事情の悪化により、来場者が減少する場合に、売上高が減少します。また、グリーンシーズンの事業においても、雨天の場合、ツアー旅行中止により、来場者が減少する場合、売上高が減少します。これらのように天候が想定通りでない場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、豪雪や大雨等が発生した場合、安全性を確保するため、リフトを停止させるなどの措置を講じますが、リフトの停止内容によっては、リフト券の払い戻しが発生し、売上高が減少する可能性があります。

 なお、小雪への対策として、人工降雪機の導入を積極的に実施し、安定した積雪量と営業日数を確保することで差別化を図ってまいります。

 

(4)業績の季節変動について

 当社グループの業績は、スキー場のウィンターシーズンの営業を開始してから終了するまでの、通常11月から翌年4月にかけて、第2四半期と第3四半期に偏重する傾向にあります。

 当社グループといたしましては、上記の繁忙期の営業強化を一層進めるとともに上記の繁忙期以外の時期における、例えば、山頂からの雲海を望む展望テラスの建設、大型遊具施設の導入など、グリーンシーズンの事業の強化に向けて、お客様の需要拡大を一層推進してまいる方針であります。

 なお、2020年7月期における四半期別の売上高、営業利益又は営業損失及び経常利益又は経常損失の推移は次のとおりであります。

 

連結損益計算書に関する情報

(単位:千円、%)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

金額

構成比

売上高

873,562

14.4

2,335,200

38.5

2,608,035

43.0

246,688

4.1

6,063,487

100.0

営業利益又は営業損失(△)

△293,182

△92.4

493,881

155.7

811,331

255.7

△694,750

△219.0

317,279

100.0

経常利益又は経常損失(△)

△293,139

△75.4

496,029

127.6

807,265

207.6

△621,354

△159.8

388,799

100.0

(注)上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(5)特定事業・特定エリアへの依存について

 当社グループの事業は、スキー場の運営を展開することであります。当社グループは、スキー場事業に特化することにより、事業の深化を追求することができ、サービス向上やノウハウ向上などのメリットが大きい反面、事業多角化がなされていないため、事業リスクの分散が実現できておらず、大規模な地震や災害等の発生等のイベントリスクへの対応力が十分ではありません。

 また、HAKUBA VALLEYエリアにおけるスキー場事業の収益が当社グループの大半を占めており、同エリアにおける収益の動向が当社グループの動向に与える影響は大きくなっております。

 大規模な地震や災害等の発生等によりスキー場運営に重大な支障をきたした場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(6)固定資産の減損会計の適用に関するリスク

 当社グループは、スキー場の事業買収を進めており、スキー場の設備投資を毎期実施しておりますが、この結果、連結貸借対照表の総資産に占める固定資産の残高は、事業の特性上多額に上っております。減損会計の基準に基づき、スキー場等のキャッシュ・フローを創出する単位で、定期的に減損会計適用の可否を判定しており、その結果、減損損失を計上する可能性があります。かかる減損損失の計上は当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)税金負担について

 当社グループは、過年度に生じた税務上の繰越欠損金があるため、課税所得が減殺され、納税負担額が軽減されております。今後、業績の推移によっては、税務上の繰越欠損金の全額を使用し、納税負担額を軽減できる可能性や繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があり、税制の改正内容によっては、同様に、税務上の繰越欠損金の全額を使用し、納税負担額を軽減できる可能性や繰越欠損金の繰越期間の満了により欠損金が消滅し、納税負担額を軽減できない可能性があります。繰越欠損金が解消された場合、通常の税率に基づく法人税等が発生し、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(8)競合に関するリスク

 当社グループの属するスキー場事業の業界においては、索道に関する免許を国土交通省から取得し、継続して安全な運営が求められるため、参入障壁は高い状況にある一方で、新規のスキー場開発が進まない状況下で、当社グループと同様にスキー場の取得を進め、事業拡大を行っている競合他社があります。一方、当社グループでは、雇用を継続し、地元自治体や関係者との関係を強化し、お客様の満足度を高めるサービスを展開しております。また、当社グループのすべてのスキー場一体で営業活動を進めることで、営業活動を効率的に行っており、スキー場それぞれの強みや特徴を生かすことにより、競合他社が対象とするよりも幅の広い顧客層を取り込み、多様なサービスを展開し、競合他社に対する優位性を確保しております。

 しかしながら、これらの競合に対応するための各種方策の実施に伴うコストの増加や競争激化に伴う販売単価の低下による利幅の縮小等により、当社グループの事業展開や業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9)スキー場の取得に関するリスク

 当社グループでは、創業以来国内におけるスキー場において、強みや特徴を有するスキー場の運営や取得の機会を模索し、進めてまいりました。当社グループにおいて、魅力的なスキー場を取得し、事業拡大することは、成長戦略の重要な要素であり、当社グループは、大規模なものや重要性の高いものも含め、スキー場の取得の可能性を常に検討しております。このような事業取得に関しては、以下に掲げるような問題が生じ、当社グループの事業取得が想定通りに進捗しない場合、中長期的な成長目標を実現することができない可能性があります。

・事業買収及び事業拡大の適当な機会が得られないこと

・買収の際に、他社と競合する場合を含め、対象事業の所有者との間で買収条件について合意できないこと

・買収に必要な資金を有利な条件で調達できないこと

・事業買収の結果として、想定する利益やキャッシュ・フローの獲得を実現できないこと

 

(10)法規制の遵守に関するリスク

 当社グループは、索道事業の許可を国土交通省より受けており、鉄道事業法の法的規制を受けております。また、鉄道事業法以外に、古物営業法、景品表示法、食品衛生法、旅行業法、労働法等の規制を受けており、当社グループによるスキー場の運営において、事業活動の様々な側面に適用されます。特にかかる規制の不遵守が発生した場合、当社グループは損害賠償請求や行政処分により多額の費用を負担することがあります。当社グループに適用のある法規制に違反した場合、当社グループの信用が失われ、また、厳格な罰則又は多額の損害を伴う規制上の処分又は私法上の訴訟提起が行われる可能性があります。更に、当該法規制の内容が大幅に改正され、若しくはその解釈に大幅な変更が生じ、又はより高い基準若しくは厳格な法規制が導入された場合、コンプライアンス体制構築に係る費用又は資本的支出が増加する可能性があります。

 

(11)電力の供給に関するリスク

 当社グループの特に繁忙期において、索道の運転、館内照明など、電力にほぼ依存して、エネルギーの供給を受けております。現在の日本において、電力供給の課題が顕在化する中で、当社グループへ電力供給が適切に行われない場合、運営に大きな制約を受けることに直面する可能性があり、その結果、長期に亘って当社グループの収益性又は成長戦略に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)個人情報保護について

 当社グループのスキー場事業は、個人のお客様に無記名のリフト券を販売し、料飲を楽しんで頂くことが多く、個人情報に接する機会は多くありませんが、シーズン券を販売する個人のお客様から個人情報を得る機会があります。このため、「個人情報の保護に関する法律」を遵守し、「営業管理規程」、「情報セキュリティ管理規程」等の関連規程の適切な整備・運用と従業員への教育により、個人情報の管理には万全を期しております。

 しかしながら、結果として、重要な個人情報が社外に流出すること等により、個人情報の保護が損なわれた場合に、当社グループの社会的信用が失墜し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(13)訴訟等の可能性について

 当社グループは、コンプライアンス体制の整備及びその運用により、安全な運営を推進し、人身事故を含む重大な事故が生じないように努めており、訴訟及びクレーム等の発生の回避に尽力しております。

 しかしながら、今後、当社グループが運営するスキー場において重大な事故の発生等、これらに起因する訴訟やその他の請求が発生する可能性があります。これらの訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び事業の展開に影響を与える可能性があります。

 

(14)システムトラブルについて

 当社グループは、お客様へのリフト券の発券、取引業務の遂行、経営陣への情報提供及び財務に関する報告書の作成等を正確かつ効率的に行うため、情報システムを利用しております。当社グループは、情報システムの安全性には最善を尽くしておりますが、例えば、災害や事故により、情報システムが支障をきたした場合、お客様へのサービス提供等に支障をきたす可能性があります。更に、システムの欠陥、コンピュータウィルスの侵入、外部からの不正手段によるコンピューター内へのアクセス等により、お客様へのサービス提供等に支障をきたす可能性があります。これらの事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

2.組織体制について

(1)親会社が支配権を有することに伴うリスク

 当社グループの新規株式公開に際して、当社グループの親会社である日本駐車場開発株式会社は当社の議決権比率67.7%(2020年7月31日現在)を所有しており、その結果、会社法で定める当社グループ取締役及び監査役の選解任、合併その他の組織再編の承認、重要な事業の譲渡、当社グループ定款の変更及び剰余金の配当等の当社グループの基本的事項についての決定権又は拒否権を引き続き有することとなります。株主総会の承認が必要となる全ての事項の決定に関して、他の株主の意向にかかわらず日本駐車場開発株式会社が影響を与える可能性があります。なお、事前承認事項及び事前通知事項はなく、当社グループが独自に経営の意思決定を行っております。

 当社グループと日本駐車場開発株式会社及びその連結子会社との間の主な関係等については、以下のとおりであります。

① 日本駐車場開発グループとの取引関係について

 当社グループは、本書提出日現在、日本駐車場開発株式会社とは経営に重要な影響を与えるような取引を行っておりません。

 今後、当社グループが日本駐車場開発グループと取引を行う場合は、当社グループの取締役会において事前承認を必要としております。なお、日本駐車場開発株式会社からの当社グループの独立性確保の観点も踏まえ、重要な取引については取締役会に対して定期的に報告を行うとともに、管理部門における取引開始時のチェック、監査役監査や内部監査における取引の内容等の事後的なチェックを行う等、健全性及び適正性確保の仕組みを整備し、更に強化していきます。

② 当社グループ役員の日本駐車場開発株式会社の役員との兼任について

 当社取締役の川村憲司は、日本駐車場開発株式会社の取締役副社長を兼務しており、渥美謙介は同社の常務取締役を兼務しております。

 川村憲司については、日本駐車場開発株式会社において海外事業展開を指揮し、グローバルな企業経営を推進しており、豊富な実務経験を生かした当社経営戦略等への提言等をいただだくことで取締役会のさらなる機能強化を図ることが期待できるため、取締役として適任であると判断いたしました。

 渥美謙介については、日本駐車場開発株式会社において会社経営ならびに財務最高責任者としての、豊富な実務経験を生かした当社経営戦略等への提言等をいただくことで取締役会のさらなる機能強化を図ることが期待できるため、取締役として適任であると判断いたしました。

 なお、当社の業務執行を行わない取締役候補者であり、独立性を害するものではありません。

③ 日本駐車場開発株式会社出身の従業員について

 当社グループ従業員のうち、一定程度は日本駐車場開発株式会社の出身者であります。日本駐車場開発株式会社及び当社グループを除く子会社に在籍していた当社グループの従業員で、当社グループにおいて重要部門の決裁権を有するような役職者については発令の都度、当社グループに転籍しております。役職者以外の従業員については、出向による受け入れを行い、役職者に昇進した段階で当社へ転籍させるものとしております。

 

(2)経営陣及び従業員に関するリスク

 当社グループが持続的に成長するためには、リーダーシップのある経営陣及び有能な従業員を継続して雇用し、かつ、育成することが必要となります。また、当社グループは、新たな従業員を雇用し、教育し、その技術及び能力を育成しなければなりません。計画外の退職が生じ、又は現経営陣の適切な後継者の育成に失敗した場合には、当社グループの組織的ノウハウが失われ、当社グループの競争優位性が損なわれる可能性があります。

 従業員の雇用に関する競争の激化、従業員の退職率の上昇又は従業員の福利厚生費の増加に起因するコストの増加により、当社グループの業績が悪影響を受ける可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

(1)経営成績

 当連結会計年度における当社グループの経営成績の状況は、以下の通りでした。

(ウィンターシーズン)

当連結会計年度におけるウィンターシーズン事業(2019年12月から2020年4月)は、記録的暖冬及び小雪となりましたが、グループ8スキー場中6スキー場は小雪対策投資を継続していたことから、前年並みのスキー場オープンとなりました。また、売上単価の高いスキー場から小雪対策投資を実施していたことから、グループ全体の売上平均単価は前期比上昇し、2020年2月まではグループ全体の来場者数が減少する中でも売上高は昨年を超過し推移しておりました。しかしながら、3月前半より新型コロナウイルス感染症の拡大による団体顧客の減少やイベント等の中止があり、4月7日に東京など7都府県を対象に発令された緊急事態宣言を受け、オープンしていたスキー場を順次早期クローズさせることとなりました。

なかでも、売上単価の高い川場スキー場については、シーズン当初から山麓エリアまで滑走面積を拡大させることができ、それを積極的にPRしたこと等により来場者数は前期比25%増となりました。同様に、売上単価の高いめいほうスキー場も12月の自然降雪による積雪は山頂エリアでも20cm程度しかありませんでしたが、人工降雪を行うことにより一定の来場者数を確保し、また、飛騨高山エリアからのインバウンドの集客等によるレンタル等の付帯収入もあり、売上単価は前期比上昇しました。HAKUBA VALLEYエリアでは、白馬岩岳スノーフィールドはシーズンを通した積雪不足により過半数のコースがクローズとなり、来場者数は前期比で55%減少しました。白馬八方尾根スキー場も下山コースや山麓を中心に滑走可能エリアが限られ、12月から4月までの来場者数は前期比で23%減少しました。

新型コロナウイルス感染症の影響については、3月前半より団体顧客やバスツアーのキャンセルが増加するものの、平日は一般顧客が例年に比べ増加する傾向もありました。しかし、3月の三連休後の東京都による外出等自粛要請から一般顧客も減少し、4月7日に東京など7都府県を対象に発令された緊急事態宣言により、オープンしていたスキー場を順次早期クローズさせたことから、グループ全体の来場者数は3月単月で前期比27%、4月単月で79%の減少となりました。

インバウンドについて、HAKUBA VALLEYエリアの全10スキー場の来場者数合計は375千人となり、小雪にも関わらず前期比2%の増加となりました。しかしながら、積雪が豊富で全面オープン可能となったスキー場に集客があったことから、HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場及びHAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールドは前期比で減少し、HAKUBA VALLEY栂池高原スキー場は増加しました。めいほうスキー場では飛騨高山エリアに無料の自社バスを運行し誘客を図ることで、特にアジア圏の来場者が増加しました。また、竜王スキーパーク、川場スキー場においてもインバウンドの来場者数は増加しております。なお、インバウンドは12月後半から2月後半までの期間の来場が中心であるため、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は限られました。

 

安全への取組みについても重点を置いて進めております。お客様の安全な輸送のため、索道設備や降雪機器のメンテナンスや更新・新規導入も順次進めております。グループ内の人材交流による技術や営業ノウハウの共有のほか、安全管理のための共通ルールや労働災害の防止と快適な職場環境の形成等を図るため、労働安全衛生マネジメントシステムの導入・運用に取り組んでおります。

ウィンターシーズンの施設別の来場者は次のとおりです。

 

スキー場別来場者数                                 (単位:千人)

運営スキー場

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

HAKUBA VALLEY白馬八方尾根スキー場

396

299

75.5%

HAKUBA VALLEY白馬岩岳スノーフィールド

119

52

44.2%

HAKUBA VALLEY栂池高原スキー場

285

242

85.1%

HAKUBA VALLEY鹿島槍スキー場

93

81

87.3%

竜王スキーパーク

222

203

91.5%

川場スキー場

146

183

125.4%

めいほうスキー場

188

169

89.9%

菅平高原スノーリゾート

239

231

96.3%

1,691

1,463

86.5%

 

その他の施設における来場者数                              (単位:千人)

会社名

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

川場リゾート㈱

10

10

98.1%

めいほう高原開発㈱

3

3

98.8%

14

13

98.3%

 

運営受託の施設における来場者数                             (単位:千人)

施設名及び会社名

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

金剛山ロープウェイ

19

-

-%

信越索道メンテナンス㈱

0

-

-%

19

-

-%

(注)1.スキー場の来場者数については、リフト券の販売数に基づいて記載しております。HAKUBA VALLEY白馬岩

岳スノーフィールドは、2018年10月にオープンしました「HAKUBA MOUNTAIN HARBOR」の利用者数を含めて

記載しております。HAKUBA VALLEY栂池高原スキー場は、2018年8月にオープンしました「Xtrem

Aventures HAKUBA TSUGAIKE WOW!」の利用者数を含めて記載しております。

2.菅平高原スノーリゾートの来場者数については、「TARO AREA・DAVOS AREA」の来場者数を表示しており

ます。

3.その他の施設における来場者数において、川場リゾート㈱及びめいほう高原開発㈱は、主におにぎり店の

来場者(レジ通過者数)の合計を記載しております。

4.直営及び運営受託を明確化するため、運営受託である金剛山ロープウェイ及び信越索道メンテナンス㈱を

運営受託の施設における来場者数に分類しております。信越索道メンテナンス㈱は、金剛山ロープウェイ

に併設する施設の宿泊者数を記載しております。

5.運営受託の施設については、2019年3月から運休しており、また、2019年8月に運営受託契約を終了して

いるため、当連結会計年度の運営受託の施設における来場者は生じておりません。

 

(グリーンシーズン)

当連結会計年度におけるグリーンシーズン事業(2019年8月から同年11月初旬、2020年4月下旬から同年7月)の来場者数は308千人(前期比16.4%減)となりました。2018年10月にオープンした白馬岩岳マウンテンリゾートにおいては”HAKUBA MOUNTAIN HARBOR”の来場者数が2019年8月、9月は前期比純増となり、また、ヨガレッスン等体験イベントの定期的な開催や、地域の様々なワインや食事を楽しむことができる信州ワインサミット等の大型イベントを開催し、来場者数は順調に推移し前期比5.6%増加しました。

なお、紅葉のピークとなる2019年10月は超大型の台風19号及び台風後の旅行のキャンセル等による集客減と週末での悪天候が重なり、索道を稼働した施設の来場者数は10月単月で前年同月比28千人(同37.5%)の減少となりました。

また、例年は2020年4月下旬から施設ごとにグリーンシーズン営業を開始しますが、緊急事態宣言に伴い、白馬岩岳マウンテンリゾートは5月16日(当初予定4月29日)、竜王マウンテンパークは例年ゴールデンウイークの営業を行いますが今年は休止し、5月23日から人数制限などを行った上でのオープンとなりました。なお、HAKUBA VALLEY国際山岳リゾート白馬八方尾根及びHAKUBA VALLEY栂池高原は当初予定どおり6月1日にオープンしております。

各施設とも天候に恵まれる日は近県のお客様を中心に来場がありましたが、バスツアーの激減や新型コロナウイルス感染症拡大に伴う継続した外出自粛、並びに関東甲信越地方では梅雨明けが8月1日と13年ぶりの長期化となったことにより、5月から7月の索道を稼働した施設の来場者数は39千人(前期比66.7%減)となりました

なお、キャンプ場などのアウトドア施設を運営するめいほう高原では、7月22日にジップラインやバギーパークを新設したアクティビティパーク”ASOBOT”をオープンし、集客の強化を図りました。

グリーンシーズンの施設別来場者は次のとおりです。

 

索道を稼働した施設における来場者数                           (単位:千人)

施設名

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

HAKUBA VALLEY国際山岳リゾート白馬八方尾根

93

73

78.2%

HAKUBA VALLEY白馬岩岳マウンテンリゾート

91

96

105.6%

HAKUBA VALLEY栂池高原

85

64

75.9%

竜王マウンテンパーク

98

74

75.2%

369

308

83.6%

 

その他の施設における来場者数                              (単位:千人)

会社名

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

㈱鹿島槍

12

7

60.5%

川場リゾート㈱

40

36

90.5%

めいほう高原開発㈱

25

21

84.8%

78

65

83.8%

 

運営受託の施設における来場者数                             (単位:千人)

施設名及び会社名

2019年

7月末累計

2020年

7月末累計

前期比

金剛山ロープウェイ

22

-

-%

信越索道メンテナンス㈱

1

-

-%

24

-

-%

 

(注)1.索道を稼働した施設における来場者数については、主にリフト券の販売数に基づいて記載しておりま

す。索道とは、ゴンドラ、ロープウェイ及びリフトを指します。HAKUBA VALLEY栂池高原は、2018年

8月にオープンしました「Xtrem Aventures HAKUBA TSUGAIKE WOW!」の利用者数を含めて記載してお

ります。

2.その他の施設における来場者数において、㈱鹿島槍は、HAKUBA VALLEY鹿島槍スポーツヴィレッジの来場

者及びグリーンシーズンでのスノーボードトレーニング施設の来場者の合計を記載しております。川場リ

ゾート㈱は、サバイバルゲーム場、スケートボードパーク施設の来場者及びおにぎり店の来場者等(レジ

通過者数)を含めて記載しております。めいほう高原開発㈱は、主におにぎり店の来場者(レジ通過者数)、キャンプ施設及び体験型企画旅行の来場者の合計を記載しております。

3.直営及び運営受託を明確化するため、運営受託である金剛山ロープウェイ及び信越索道メンテナンス㈱を

運営受託の施設における来場者数に分類しております。信越索道メンテナンス㈱は、金剛山ロープウェイ

に併設する施設の宿泊者数を記載しております。

4.運営受託の施設については、2019年3月から運休しており、また、2019年8月に運営受託契約を終了して

いるため、当連結会計年度の運営受託の施設における来場者は生じておりません。

 

 これらにより、連結業績は売上高が6,063,487千円(前期比8.5%減)、営業利益は317,279千円(前期比49.6%減)、経常利益は388,799千円(前期比38.8%減)となり、特別利益に固定資産売却益375,524千円、特別損失に減損損失138,809千円を計上したことや、法人税調整額235,050千円などにより、親会社株主に帰属する当期純利益は139,465千円(前期比77.0%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フロー

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)前連結会計年度末に比べ2,261,221千円増加し、4,637,248千円(前期比95.2%増)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、1,006,653千円(前期は1,043,769千円の収入。)となりました。主な増加要因
は、税金等調整前当期純利益620,445千円、減価償却費542,397千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額
90,785千円、固定資産売却益375,524千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、603,424千円(前期は828,832千円の支出。)となりました。主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出998,147千円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出83,328千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、1,857,991千円(前期は128,502千円の支出。)となりました。主な増加要因は、短期借入による収入1,530,000千円、長期借入による収入1,090,000千円であり、主な減少要因は、短期借入金の返済による支出530,000千円、自己株式の取得による支出102,045千円であります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(2)受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループの主たる事業はスキー場事業であり、全事業セグメントの合計額に占める割合が著しく低いため、売上区分別に記載しております。

売上区分の名称

前連結会計年度

(自 2018年8月1日

至 2019年7月31日)

当連結会計年度

(自 2019年8月1日

至 2020年7月31日)

販売高(千円)

前期末比

販売高(千円)

前期末比

スキー場事業

 

 

 

 

リフト券売上

3,838,769

101.5%

3,614,667

94.2%

料飲売上

917,992

106.8%

841,885

91.7%

レンタル売上

544,193

112.0%

548,643

100.8%

その他売上

1,327,649

102.6%

1,058,289

79.7%

合計

6,628,604

103.2%

6,063,487

91.5%

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はありません。

 

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 本項に記載した将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる各種の要因に関して仮定設定、情報収集を行い、見積金額を算出しておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

②経営成績に関する分析

 本項における前連結会計年度の数値については、第1四半期連結会計期間より実施している事業損益管理の見直しによる影響を反映しております。

 なお、事業損益管理の見直しによる影響については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表等 注記事項(表示方法の変更)(売上原価と販売費及び一般管理費の表示区分変更)」に記載しております。

(売上高)

 当連結会計年度の売上高は、6,063,487千円(前連結会計年度は6,628,604千円、前連結会計年度比8.5%減)となりました。

 これは、4月7日に東京など7都府県を対象に発令された緊急事態宣言により、オープンしていたスキー場を順次早期クローズさせたことによるものです。

売上原価、売上総利益

 当連結会計年度の売上原価は、3,919,370千円(前連結会計年度は4,050,736千円、前連結会計年度比3.2%減)となりました。これは、早期クローズ、休業等に伴う連動原価の減少によるものです。以上の結果、売上総利益は2,144,116千円(前連結会計年度は2,577,868千円、前連結会計年度比16.8%減)となりました。

 また、売上総利益率は、前期比3.5ポイント減の35.4となりました。

販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、1,826,836千円(前連結会計年度は1,948,086千円、前連結会計年度比6.2%減)となりました。これは、広告費及びのれん償却の減少によるものです。以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、317,279千円(前連結会計年度は629,782千円、前連結会計年度比49.6%減)となりました。

 また、営業利益率は、前期比4.3ポイント減の5.2となりました。

営業外損益、経常利益

 当連結会計年度における営業外収益は91,500千円(前連結会計年度は15,277千円、前連結会計年度比498.9%増)となりました。これは、緊急事態宣言による休業等に伴う、受取助成金が増加したことによるものです。

 営業外費用は19,981千円(前連結会計年度は10,066千円、前連結会計年度比98.5%増)となりました。これは主に和解金によるものです。

 以上の結果、当連結会計年度の経常利益は、388,799千円(前連結会計年度は634,992千円、前連結会計年度比38.8%減)となりました。

 また、経常利益率は、前期比3.2ポイント減の6.4となりました。

特別損益、当期純利益

 当連結会計年度における特別利益は、384,468千円(前連結会計年度は7,197千円)となりました。

 当連結会計年度における特別損失は、152,821千円(前連結会計年度は120,033千円、前連結会計年度比27.3%増)となりました。これは当社グループの一部資産グループについて減損損失を計上したものです。この結果、税金等調整前当期純利益は620,445千円となりました。

 

 法人税、住民税及び事業税に法人税等調整額を合わせた税金費用は440,838千円(前連結会計年度は△91,897千円)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は139,465千円(前連結会計年度は607,015千円、前連結会計年度比77.0%減)となりました。

また、親会社株主に帰属する当期純利益率は前期比6.9ポイント減の2.3%となりました。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

 当社グループは、スキー場事業を展開しております。収益の大半は、ウィンターシーズンに集中しており、降雪の状況、景気変動による個人消費に大きく影響を受ける傾向にあり、当社グループの経営成績に影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④資本の財源及び資金の流動性についての分析

(キャッシュ・フローの状況)

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループでは、運転資金及び投資資金については、当連結会計年度末における現預金が有利子負債を超過していることから、手許資金を中心とし、市中銀行からの借入により補完して賄う方針としております。当社グループの事業活動における資金需要は、主に当社グループの運営に伴う人件費を中心とする営業費用の支出及び設備投資に伴う支出であり、これを主に売上高の収入により賄っており、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。

 

⑤財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比して2,205,646千円増加し、5,084,068千円(前連結会計年度末比76.6%増)となりました。これは主に現金及び預金の増加であります。

固定資産

 当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比して91,029千円増加し、4,098,065千円(前連結会計年度末比2.3%増)となりました。項目別の状況は以下のとおりであります。

・有形固定資産

 当連結会計年度末における有形固定資産は、前連結会計年度末と比して332,749千円増加し、3,628,570千円(前連結会計年度末比10.1%増)となりました。これは、主に設備投資によるものであります。

・無形固定資産

 当連結会計年度末における無形固定資産は、前連結会計年度末と比して1,915千円増加し、50,775千円(前連結会計年度末比3.9%増)となりました。これは、主にソフトウェアの投資によるものであります。

・投資その他の資産

 当連結会計年度末における投資その他の資産は、前連結会計年度末と比して243,635千円減少し、418,719千円(前連結会計年度末比36.8%減)となりました。これは、主に繰延税金資産の減少によるものであります。

流動負債

 当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比して1,259,260千円増加し、1,818,928千円(前連結会計年度末比225.0%増)となりました。これは、主に短期借入金の増加によるものであります。

固定負債

 当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比して1,047,572千円増加し、1,321,171千円(前連結会計年度末比382.9%増)となりました。これは、主に長期借入金の増加によるものであります。

純資産

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比して10,157千円減少し、6,042,033千円(前連結会計年度末比0.2%減)となりました。これは、主に自己株式の取得によるものであります。

 

⑥経営戦略の現状と見通し

 新型コロナウイルスの影響は当期末から2022年7月末までの約2年間をかけて回復するとの仮定のもと、業績予想を立てております。

 来シーズンについては、インバウンドを一切見込まないなど来場者数は減少を見込んでおります。一方で、コロナ禍を機に、グループ組織体制の無理・無駄の見直しを徹底して行い一部再編するとともに、重複する本社機能の統合を図り、現地運営会社への配置転換を積極的に実施することで運営力を強化し、また、外部委託業務の内製化など各種コストを見直すなど、コストコントロールを徹底してまいります。

 小雪に対する抜本的な対策は引き続き実施いたします。人工降雪機の導入を積極的に実施し、安定した積雪と営業日を確保することで差別化を図ってまいります。また、グリーンシーズンにおいては、白馬エリア、竜王エリアを中心に山頂エリアやアクティビティへの投資を行ってまいりましたが、ゴンドラやロープウェイを保有していない川場リゾートやめいほう高原開発においてもベースエリアを活用したアクティビティへ投資を行い、グリーンシーズン事業の確立を目指してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 該当事項はありません。