第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

 また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。なお、本半期報告書に記載の数値は国際会計基準(IFRS)ベースで表示しております。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

財政状態

 当中間連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。

 前連結会計年度末に比べ資産合計は41,661百万円増加し、1,292,749百万円となり、負債合計は17,377百万円増加し、283,416百万円となりました。また、資本合計は24,283百万円増加し、1,009,332百万円となりました。これは、利益剰余金が前連結会計年度末に比べ35,323百万円増加したこと、自己株式が11,544百万円減少したこと、その他の資本の構成要素が22,494百万円減少したこと等によるものであります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の78.7%から78.0%になりました。

 主な増減は資産では、現金及び現金同等物が1,970百万円減少、売上債権及びその他の債権が13,520百万円増加、棚卸資産が6,243百万円増加、その他の金融資産が4,412百万円増加、その他の流動資産が5,906百万円増加、有形固定資産が10,856百万円増加、のれんが1,970百万円減少、無形資産が1,179百万円減少、持分法で会計処理されている投資が5,834百万円増加、繰延税金資産が1,088百万円減少しました。負債では、仕入債務及びその他の債務が10,743百万円増加、未払法人所得税等が12,962百万円増加、その他の金融負債(流動)が8,539百万円減少、その他の流動負債が2,316百万円増加しました。

 

経営成績

 当中間連結会計期間(2024年4月1日~2024年9月30日)における経済環境は、これまで進んできた世界的なインフレが減速し、欧米の中央銀行が相次いで政策金利を引き下げたことで大きな転換期を迎えました。米国では、インフレ率が低下し、失業率がやや上昇したものの、歴史的に見て安定的な雇用情勢が個人消費を支え、景気のソフトランディングへの期待が高まっています。欧州においても、実質所得の増加による個人消費の回復から、景気の持ち直しが見られました。一方、中国ではIT関連機器や電気自動車(EV)の輸出が好調な反面、長引く不動産不況と厳しい雇用環境により国内需要が低迷し、景気は減速しました。日本では、物価上昇を上回る賃金上昇により個人消費に回復が見られたことや、好調な企業業績が設備投資を後押しすることで、景気は緩やかに回復しました。なお、為替相場は、歴史的な円安水準にあった第1四半期連結会計期間から一転し、米国の連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測がある中で、日銀が利上げに踏み切ったことで急速に円高が進みました。

 このような中、当社グループの主要な市場においては、データセンター向けの高容量ハードディスクドライブ(HDD)やタブレット端末の生産が想定を上回り、当社製品の需要が増加しました。

 なお、当中間連結会計期間の対米ドル為替レートは、前中間連結会計期間と比較し10.2%円安の1ドル153.6円となり、円安による影響は、営業利益で171億円の増益要因となりました。

 以上の結果、売上収益は前中間連結会計期間と比較し16.1%増(以下の比較はこれに同じ)の521,723百万円となりました。また、営業利益は69.5%増の109,267百万円、税引前中間利益は69.6%増の108,932百万円、中間利益は80.8%増の80,009百万円、親会社の所有者に帰属する中間利益は80.9%増の79,975百万円となりました。

 

 

セグメント別の経営成績

① インダストリアルテープ

 基盤機能材料は、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。ハイエンドスマートフォン向け組み立て用部材は、主要顧客の生産前倒しに加え、採用モデルの拡大により需要が増加しました。また、半導体メモリやセラミックコンデンサー等の生産に使用される工程用材料の需要が、引き続き緩やかに回復しました。自動車材料は自動車生産台数の減少により低調に推移しました。

 以上の結果、売上収益は178,745百万円(7.6%増)、営業利益は25,375百万円(45.9%増)となりました。

 

② オプトロニクス

 情報機能材料は、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。タブレット端末の生産が好調に推移したことにより光学フィルムや透明導電性フィルムの需要が大幅に増加しました。また、中華系のハイエンドスマートフォンの生産増加や車載ディスプレイの大型化に伴い、光学フィルムに加え、透明粘着シートや工程保護フィルム等の周辺部材の需要が増加しました。

 回路材料は、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。生成AIの普及によるデータセンター向けのストレージ需要の高まりやHDDのさらなる高容量化により、CIS(Circuit Integrated Suspension)の需要が大幅に増加しました。また、高精度基板はハイエンドスマートフォンの生産が堅調に推移したことにより需要が増加しました。

 以上の結果、売上収益は286,755百万円(24.6%増)、営業利益は96,115百万円(66.1%増)となりました。

 

③ ヒューマンライフ

 ライフサイエンスは、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。核酸受託製造において、米国マサチューセッツ州の拠点に新設した工場で、将来商用化が見込まれる案件の生産を開始しました。また、核酸材料(NittoPhaseTM)は、一部顧客の商用薬向けに需要が増加しました。核酸医薬の創薬においては、難治性の癌治療薬の臨床第1相試験が第1四半期連結会計期間に完了し、ライセンスアウトに向けて、引き続き取り組んでまいります。

 メンブレン(高分子分離膜)は、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。各種産業用途向けの需要が中国を中心に減少する一方で、インドにおいて、排水規制強化に伴い、排水・廃液のゼロ化に貢献するZLD(Zero Liquid Discharge)の需要が増加しました。

 パーソナルケア材料は、前中間連結会計期間に対して売上収益が伸長しました。おむつ向け衛生材料の新製品と生分解性技術を用いた環境貢献型製品の拡販を進め、収益性が改善しました。

 以上の結果、売上収益は65,184百万円(6.6%増)、営業損失は4,560百万円(前年同期は営業損失5,427百万円)となりました。

 

④ その他

 当セグメントには未だ十分な売上収益を伴っていないその他製品が含まれております。主として、開発者向けにフレキシブルセンサのキット販売を行っております。

 以上の結果、売上収益は1百万円(70.8%減)、営業損失は3,587百万円(前年同期は営業損失2,906百万円)となりました。

 

 当中間連結会計期間において、マネジメント体制の変更を行った結果、「インダストリアルテープ」の一部関連事業を「オプトロニクス」へ移管しております。

 当該変更を反映した組替後の数値で前中間連結会計期間との比較を行っております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は340,298百万円となり、前連結会計年度末より1,970百万円減少(前年同期は22,485百万円の減少)しました。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、増加した資金は106,490百万円(前年同期は48,670百万円の増加)となりました。

 これは主に、税引前中間利益108,932百万円、減価償却費及び償却費32,302百万円、仕入債務及びその他の債務の増減額11,836百万円、前受金の増減額1,096百万円、利息及び配当金の受入額1,449百万円による増加、売上債権及びその他の債権の増減額18,524百万円、棚卸資産の増減額9,557百万円、法人税等の支払額又は還付額15,815百万円による減少の結果であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は67,328百万円(前年同期は30,386百万円の減少)となりました。

 これは主に、有形固定資産及び無形資産の取得による支出56,787百万円、定期預金の増減額3,877百万円、関係会社株式の取得による支出6,256百万円による減少の結果であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、減少した資金は36,640百万円(前年同期は52,979百万円の減少)となりました。

 これは主に、リース負債の返済による支出3,207百万円、自己株式の増減額15,016百万円、配当金の支払額18,388百万円による減少の結果であります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、中期経営計画「Nitto for Everyone 2025」において環境系未財務指標の一つとしてCO2排出量を設定し、「Nittoグループカーボンニュートラル2050」の達成に向けた取組みを行っております。2024年8月26日にSBT※認定を取得し、さらなる気候変動への対応を加速するために、2025年度のCO2排出量(Scope1+2)の目標を550kton/年から470kton/年へ上方修正しました。脱炭素社会の実現に向けての活動を更に加速していきます。

 

 ※SBTとは、Science Based Targetsの略で、パリ協定で採択された科学的根拠に基づく目標(産業革命前比で気温上昇を1.5℃未満に抑える目標)と整合した、企業が設定する「温室効果ガス排出削減目標」を指しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当中間連結会計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当中間連結会計期間におけるグループ全体の研究開発費の金額は23,021百万円であります。

 なお、当中間連結会計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。