第一部 【企業情報】

 

第1 【企業の概況】

 

1 【主要な経営指標等の推移】

(1) 連結経営指標等

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

2024年7月

売上高

(千円)

1,111,508

83,947

246,604

1,331,540

3,137,160

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

68,890

133,332

177,332

15,799

278,876

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(千円)

52,595

130,230

218,161

26,946

248,621

包括利益

(千円)

55,629

128,113

219,369

25,752

250,854

純資産額

(千円)

668,690

561,527

530,746

716,109

1,151,122

総資産額

(千円)

2,747,610

2,306,569

2,250,871

2,661,728

2,869,283

1株当たり純資産額

(円)

538.70

449.36

397.11

510.52

761.11

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

42.39

104.86

164.70

20.00

170.17

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

19.01

162.07

自己資本比率

(%)

24.34

24.34

23.51

26.73

39.99

自己資本利益率

(%)

7.61

21.19

40.05

4.34

26.75

株価収益率

(倍)

28.31

22.99

9.30

241.28

16.34

営業活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

269,403

136,301

144,534

119,417

288,922

投資活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

26,790

63,686

53,797

84,291

23,651

財務活動による
キャッシュ・フロー

(千円)

502,671

194,522

8,808

159,832

152,327

現金及び現金同等物
の期末残高

(千円)

1,964,653

1,571,651

1,390,448

1,266,519

1,699,048

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

(名)

26

7

24

11

22

12

21

15

25

8

 

(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第17期の期首から適用しており、第16期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等になっております。

   2.第15期、第16期及び第17期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

 

 

(2) 提出会社の経営指標等

 

回次

第15期

第16期

第17期

第18期

第19期

決算年月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

2024年7月

売上高

(千円)

1,079,851

78,861

240,495

1,318,392

3,111,688

経常利益又は経常損失(△)

(千円)

71,770

131,677

172,521

18,809

272,115

当期純利益または当期純損失(△)

(千円)

52,879

128,148

213,076

30,256

244,250

資本金

(千円)

292,483

302,515

396,545

474,953

567,402

発行済株式総数

(株)

1,254,960

1,263,360

1,346,160

1,407,560

1,521,200

純資産額

(千円)

671,261

566,180

540,483

729,156

1,159,799

総資産額

(千円)

2,626,731

2,143,728

2,099,107

2,518,700

2,727,797

1株当たり純資産額

(円)

540.77

448.15

404.42

519.88

766.86

1株当たり配当額
(1株当たり中間配当額)

(円)

(―)

(―)

(―)

(―)

15

(―)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

42.61

103.18

160.65

22.69

167.18

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

21.34

159.22

自己資本比率

(%)

25.55

26.41

25.67

28.77

42.38

自己資本利益率

(%)

7.62

20.73

38.55

4.79

25.98

株価収益率

(倍)

28.16

23.37

9.53

212.69

16.63

配当性向

(%)

8.97

従業員数
〔ほか、平均臨時
雇用人員〕

(名)

26

7

24

7

22

9

21

12

25

4

株主総利回り
(比較指標:

配当込みTOPIX)

(%)

32.9

66.1

41.9

132.2

76.6

(%)

(98.1)

(127.3)

(133.0)

(163.6)

(201.4)

最高株価

(円)

5,410

3,550

3,190

4,875

4,960

最低株価

(円)

997

1,200

1,425

1,520

2,547

 

(注) 1.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第17期の期首から適用しており、第16期に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等になっております。

2.第15期、第16期及び第17期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式が存在するものの1株当たり当期純損失であるため記載しておりません。

3.最高株価及び最低株価は、東京証券取引所グロース市場(2022年4月3日までは東京証券取引所マザーズ市場)におけるものです。

 

2 【沿革】

当社の創業者である米山実香(現 取締役管理部長)は2005年9月に国内外のクルーズ乗船券の販売を目的とした株式会社ベストワンドットコムを設立いたしました。その後、2012年2月に代表取締役社長を米山実香から澤田秀太に変更、2022年4月に代表取締役会長を澤田秀太、代表取締役社長を野本洋平とし現在に至っております。

当社設立以後の当社グループに係る沿革は、次のとおりであります。

 

年  月

事  項

2005年9月

国内外のクルーズ乗船券の販売を目的とした株式会社ベストワンドットコムを渋谷区松濤に資本金1,050万円で設立

2005年12月

東京都へ第3種旅行業登録(東京都知事登録旅行業第3-5693号)

2006年1月

オンライン旅行予約サイト「ベストワンクルーズ」運用開始

2014年9月

ハネムーンクルーズ専門サイト「HUNEMOON」オープン

2014年12月

観光庁へ第1種旅行業に変更登録(観光庁長官登録旅行業第1980号)し、自社企画旅行を販売開始

一般社団法人日本旅行業協会(JATA)へ加盟

2016年3月

株式会社ファイブスタークルーズ(現連結子会社)を完全子会社化

2017年8月

本社を新宿区富久町に拡大移転

2018年4月

東京証券取引所マザーズに当社株式上場

2018年12月

株式会社えびす旅館(現連結子会社)を完全子会社化

2019年5月

プライバシーマーク取得

2020年7月

国内旅行事業の開始

2021年2月

一般社団法人東京都旅行業協会への加盟及び全旅クーポン会への入会

2021年4月

バスツアー専門サイト「ベストワンバスツアー」オープン

2021年10月

ホテル・旅館専門予約サイト「ベストワン宿泊予約」オープン

2021年11月

後払い決済ができるホテル予約サイト「minute」を事業譲受

2022年1月

オリジナル国内ツアー専門予約サイト「ベストワン国内ツアー」オープン

2022年4月

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所グロース市場に移行

2022年7月

国内旅行予約サイト「ベストワン国内ダイナミックパッケージ」オープン

2023年4月

共同運航での初めてのチャータークルーズ(MSCベリッシマ横浜発着)を実施

2023年5月

国内旅行予約サイト「ベストワン格安航空券」オープン

2024年6月

当社単独での初めてのチャータークルーズ(コスタセレーナ金沢発着)を実施

 

 

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社(株式会社ベストワンドットコム)及び当社の連結子会社2社(株式会社ファイブスタークルーズ、株式会社えびす旅館)によって構成されております。当社は、オンライン旅行会社として、海外・国内クルーズの乗船券やパッケージ旅行、フェリーの乗船券、バスツアー・ホテル・国内ツアー・ダイナミックパッケージ等の国内旅行を販売しております。株式会社ファイブスタークルーズは、クルーズ旅行に特化したオンライン旅行会社として、主に個人顧客をターゲットに、海外・国内クルーズの乗船券やパッケージ旅行の販売を行っており、クルーズ旅行に必要な航空券、ホテル、送迎、オプショナルツアーなど様々な旅行商品を提供しております。株式会社えびす旅館は、京都駅前にて宿泊施設の運営を行っております。9室の宿泊特化型ホテルとして、主に外国人旅行客に向けた予約販売を行っております。

当社グループは、全セグメントの売上高の合計額、営業損益の合計額に占める「旅行業」の割合がいずれも90%を超えるため、セグメント情報は記載せず主要な事業についてその特徴を記載します。

 

(当社グループの特徴)

(1) インターネット販売

当社グループでは、国内を含む世界中のクルーズ乗船券やパッケージクルーズ旅行、国内旅行全般を、当社WEBサイトへの掲載、WEBサイトへの集客によって販売しており、店舗を運営しておりません。

販売チャネルをインターネットに限定し、お客様とのやり取りについては、メール及び電話を主な手段とすることで店舗運営にかかる固定費等のコスト削減を図っております。

 

(2) オンライン予約対応

当社グループでは、専門スタッフによるお客様のサポートに加え、24時間対応のオンライン予約を強化しており、クルーズ乗船券やパッケージ旅行の空室料金照会と予約が24時間いつでも可能です。

空室や料金の問い合わせを行い、その回答を以て検討を始める、という従来の検討行動では、営業時間や連絡手段、場所による制約がありましたが、オンラインでの空室料金照会と予約受付は、曜日や時間を問わず検討、予約したいというお客様のニーズに対応しております。

 

(3) 多様な商品ラインナップとAPI連携

当社グループでは、お客様が検索できる商品の拡充を図るため、国内外の97社(2024年10月8日時点)の船会社と契約し、当社WEBサイトへのコース登録総数は約52,500コース(2024年10月8日時点)となっております。また、複数の船会社とのAPI連携(注)を行うことにより、従来のコース登録に必要とした作業時間削減と、提携船会社が掲載している全てのコースが当社WEBサイトへ自動で掲載され、リアルタイムな空室状況及び料金の反映が実現しており、API連携によるコース登録数は7,665コース(2024年10月8日時点)となっております。

また、当社グループでは、クルーズ乗船券の取扱い(手配旅行)により、価格帯や期間などのお客様の多様なニーズへの対応が可能であり、パッケージツアー(募集型企画旅行)が主体の他社との差別化を図っております。

 

 

 

船会社とのAPI契約(2024年10月8日時点)

提携船会社

掲載コース数

MSCクルーズ(イタリア)

1,422

ロイヤルカリビアンインターナショナル(アメリカ)

1,056

シーボーンクルーズ(ノルウェー)

966

ホーランドアメリカライン(アメリカ)

960

プリンセスクルーズ(アメリカ)

795

コスタクルーズ(イタリア)

759

セレブリティクルーズ(アメリカ)

720

ノルウェージャンクルーズライン(アメリカ)

577

キュナードライン(イギリス)

256

カーニバルクルーズ(アメリカ)

154

合計

7,665

 

(注) API連携とは、Application Programming Interfaceの略で、ソフトウェアコンポーネントが互いにやり取りするのに使用するインターフェースのこと。具体的には船会社各社が持つ予約システムの機能や情報を当社WEBサイトで利用することをいいます。

 

(4) 独自商品

当社は、旅行業法に基づく第一種旅行業者に登録しており、自社でクルーズツアーを企画しております。

国内外の多くの船会社との契約を背景にしたコース選択の多様さや、インターネット販売ならではの機動力を生かし、船会社特別料金を反映した期間限定ツアーなどを発表し、多くのお客様にご利用を頂いています。また、近年ではチャータークルーズの催行も行っております。

 

(5) 専門スタッフによる接客・提案

当社グループは、クルーズ旅行に関して、提案経験の豊富なスタッフがお客様のサポートを行っております。

近年、インターネットの普及により、個人が能動的に様々な情報を検索、取得、発信することが可能となりましたが、クルーズ旅行に関する情報が普及しておらず、購買経験が無いお客様も多いことから、旅行会社によるアドバイスや商品提案に一定のニーズがあると把握しております。

このニーズに応えるため、24時間対応のオンライン予約と、専門スタッフによるメールや電話対応を2つの柱とすることで、初めてクルーズを検討するお客様にも安心のサポートを提供しています。

多店舗運営ではなく1拠点ですべての接客対応を行うことにより、商品知識や接客・提案に関する知識が共有蓄積されやすく、専門性を高めやすい販売体制となっております。

また、取引船会社による社内研修会の定期開催や、入社後半年以内の乗船研修など、教育訓練にも注力し、他社との差別化を図っております。

 

(6) IT・マーケティングの強みとその内製化

インターネット販売を支えるのが、技術力とマーケティング力であります。そのため、旅行の企画や手配等の業務だけでなく、WEBサイト構築やWEBマーケティングに関わる主要業務を内製化しております。

開発経験豊富なエンジニアの採用により、当社WEBサイトのユーザビリティや各種機能について日常的に向上を図るとともに、船会社とのAPI連携や、その他の商品登録のスピード化などに取り組んでおります。

また、マーケティングについても広告代理店等を利用せず、自社で蓄積した経験・知識を活用して、WEBマーケティングによる集客や利用顧客のリピーター化の向上を図っております。

 

(当社グループの主な運営サイト)

(1) ベストワンクルーズ

ベストワンクルーズは、国内外のクルーズ乗船券とパッケージツアーをオンラインで検索、予約可能なサイトであります。乗船券、自社企画ツアーの販売に加え、各提携旅行会社企画のパッケージツアーを販売する為、取扱いコース数は約52,500コース(2024年10月8日時点)が登録されております。

 

(2) フネムーン

ハネムーンを検討しているカップルへ向けたクルーズ専門サイトです。ハネムーンにかける日数、予算などの調査に基づき、若年層でも楽しめるクルーズコースに限定して紹介しております。

ベストワンクルーズとは別サイトとして独自のマーケティングを行うことで、当初クルーズを検討していなかったハネムーナーへもアプローチし、クルーズ旅行認知の向上を図っております。

 

(3) ファイブスタークルーズ

高級船専門のクルーズ旅行会社として、子会社(株式会社ファイブスタークルーズ)が運営しております。「すべてのお客様に初めての感動体験を」を謳い、クルーズ旅行を身近な旅行スタイルとして提案する当社とは対照的に、社名通り5つ星のラグジュアリー客船(注)と、その他の客船のスイートに限定して富裕層、シニア向けに販売を行っております。

これにより様々な顧客属性、嗜好に対応できる販売体制をグループで構築しております。

 

(注) 具体的には以下の船会社を指します。(「クルーズ教本」日本外交客船協会/日本旅行業協会 より)

キュナードライン、シーボーンクルーズライン、リージェントセブンシーズ、クリスタルクルーズ、シルバーシークルーズ、ハパグロイドクルーズ

 

[事業系統図]

 


 

 

4 【関係会社の状況】

 2024年7月31日現在

名称

住所

資本金

(千円)

主要な事業

の内容

議決権の所有

(又は被所有)

割合(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社ファイブスタークルーズ

東京都新宿区

20,000

旅行業

100.0

役員の兼務3名

管理業務の業務受託

株式会社えびす旅館

京都府京都市南区

1,000

宿泊業

100.0

役員の兼務1名

(その他の関係会社)

 

 

 

 

 

ゴーディアン・キャピタル・シンガポール・プライベート・リミテッド

シンガポール

資産の運用

(24.3)

 

(注) 1.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

2.特定子会社に該当する会社はありません。

3.「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (6)大株主の状況」では、第2位株主がGOLDMAN SACHS INTERNATIONALとなっておりますが、ゴーディアン・キャピタル・シンガポール・プライベート・リミテッドのカストディアンであると考えられます。

 

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

当社グループは、旅行業の割合が高く、旅行業以外の事業に関しては重要性が乏しいと考えられるため、従業員数はセグメント別ではなく部門別に記載しております。

2024年7月31日現在

部門の名称

従業員数(名)

旅行部

21

(8)

経営企画部

1

 

管理部

3

 

合計

25

(8)

 

(注) 従業員数は就業人員であり、臨時従業員数は( )内に年間平均雇用人数を外数で記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年7月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

25

(4)

32.1

3.8

3,517

 

 

2024年7月31日現在

部門の名称

従業員数(名)

旅行部

21

(4)

経営企画部

1

 

管理部

3

 

合計

25

(4)

 

(注) 1.従業員数は就業人員(使用人兼務役員の人数を含みます)であり、臨時従業員数は( )内に年間平均雇用人数を外数で記載しております。

2.平均年齢及び平均勤続年数は、一般従業員におけるものであり、臨時従業員を含めてのものではありません。

3.平均年間給与は、一般従業員におけるものであり、臨時従業員を含めてのものではありません。なお、平均年間給与には賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループには、労働組合は結成されておりませんが、労使関係は安定しております。