第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

第11期

決算年月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

2024年7月

売上高

(千円)

1,634,847

2,275,923

3,129,985

3,662,056

経常利益

(千円)

219,456

86,533

397,273

375,480

親会社株主に帰属する当期純利益

(千円)

157,209

33,848

204,263

229,747

包括利益

(千円)

158,174

38,134

205,661

275,216

純資産額

(千円)

2,184,156

2,130,758

2,313,759

2,775,590

総資産額

(千円)

2,622,378

2,860,423

4,098,898

4,638,134

1株当たり純資産額

(円)

149.64

145.58

160.13

175.37

1株当たり当期純利益金額

(円)

11.20

2.40

14.44

16.21

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

11.04

2.38

14.35

16.15

自己資本比率

(%)

80.63

71.93

55.36

53.59

自己資本利益率

(%)

7.44

1.65

9.44

9.66

株価収益率

(倍)

134.19

281.25

65.24

35.16

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

255,674

74,055

401,473

115,306

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

639,448

104,560

193,351

29,855

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

8,342

139,659

557,805

56,130

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,041,742

923,961

1,756,004

1,900,086

従業員数

(人)

83

109

136

192

(外、平均臨時雇用者数)

-)

8

14

15

26

(注)1.当社は、2020年10月31日をみなし取得日としてリベラルマーケティング株式会社を連結子会社化したことに伴い、第8期より連結財務諸表を作成しているため、それ以前については記載しておりません。

2.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(アルバイト含む。)は年間平均人数を( )外数で記載しております。

3.第8期の自己資本利益率については、連結財務諸表作成移行初年度のため、期末自己資本に基づいて計算しております。

4.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第9期の期首から適用しており、第9期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

(2)提出会社の経営指標等

回次

第7期

第8期

第9期

第10期

第11期

決算年月

2020年7月

2021年7月

2022年7月

2023年7月

2024年7月

売上高

(千円)

1,338,420

1,458,002

1,820,258

2,286,235

1,880,569

経常利益

(千円)

416,640

249,175

201,547

390,057

224,687

当期純利益又は当期純損失(△)

(千円)

295,726

180,453

111,827

263,339

43,776

持分法を適用した場合の投資損失(△)

(千円)

21,697

資本金

(千円)

474,076

476,396

476,567

477,054

477,140

発行済株式総数

(株)

13,958,700

14,130,300

14,132,700

14,171,700

14,172,900

純資産額

(千円)

1,980,826

2,165,785

2,277,954

2,542,269

2,498,663

総資産額

(千円)

2,294,541

2,571,350

2,855,936

3,956,872

2,967,432

1株当たり純資産額

(円)

141.91

153.27

161.18

179.39

176.30

1株当たり配当額

(円)

(うち1株当たり中間配当額)

-)

-)

-)

-)

-)

1株当たり当期純利益金額又は1株当たり当期純損失金額(△)

(円)

21.60

12.85

7.91

18.62

3.09

潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額

(円)

20.80

12.68

7.86

18.50

自己資本比率

(%)

86.33

84.23

79.76

64.25

84.20

自己資本利益率

(%)

17.11

8.70

5.03

10.93

株価収益率

(倍)

112.12

116.96

85.33

50.59

配当性向

(%)

営業活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

222,925

投資活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

376,558

財務活動によるキャッシュ・フロー

(千円)

190,193

現金及び現金同等物の期末残高

(千円)

1,433,859

従業員数

(人)

58

74

93

115

56

(外、平均臨時雇用者数)

5

3

10

15

11

株主総利回り

(%)

173.4

107.6

48.3

67.4

40.8

(比較指標:配当無しTOPIX)

(%)

(95.6

(121.5

(124.0

(148.4

(178.5

最高株価

(円)

2,725

2,700

1,649

1,300

948

(6,370)

最低株価

(円)

1,219

1,012

604

642

550

(3,370)

 (注)1.1株当たり配当額及び配当性向については配当を実施しておりませんので、記載しておりません。

2.従業員数は就業人員であり、平均臨時雇用者数(アルバイト含む。)は年間平均人員を( )外数で記載しております。

3.当社は、2020年1月16日付で普通株式1株につき3株の株式分割を行っておりますが、第7期の期首に当該株式分割が行われたものと仮定し、1株当たり純資産額、1株当たり当期純利益金額及び潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額を算定しております。

4.当社は、2020年7月29日をもって東京証券取引所マザーズから東京証券取引所市場第一部へ市場変更いたしました。従いまして、株主総利回りの算定に使用した当社株価は、市場変更以前は同取引所マザーズにおけるものであり、市場変更以降は東京証券取引所(プライム市場、ただし2022年4月3日以前は市場第一部)におけるものであります。

5.最高株価及び最低株価は2019年7月18日より東京証券取引所マザーズにおけるものであり、2020年7月29日より東京証券取引所(プライム市場、ただし2022年4月3日以前は市場第一部)におけるものであります。それ以前については、該当事項はありません。

6.当社は、2020年1月16日付で普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行っております。第7期の株価については株式分割後の最高株価及び最低株価を記載しており、( )内に株式分割前の最高株価及び最低株価を記載しております。

7.第8期より連結財務諸表を作成しているため、第8期以降の持分法を適用した場合の投資利益、営業活動によるキャッシュ・フロー、投資活動によるキャッシュ・フロー、財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物の期末残高は記載しておりません。

8.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)及び「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を第9期の期首から適用しており、第9期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

9.第11期において当期純利益が大幅に減少した要因は、持株会社体制に移行し、会社分割(吸収分割)を行ったこと及び関係会社株式評価損の計上によるものであります。

10.従業員数が第11期において59名減少しましたのは、主として2024年3月1日付で当社を吸収分割会社とし、完全子会社である株式会社Link-U Technologiesを吸収分割承継会社とする会社分割(吸収分割)を行ったことにより従業員の異動があったためであります。

11.第11期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益金額については、潜在株式はあるものの1株当たり当期純損失のため記載しておりません。

12.第11期の自己資本利益率及び株価収益率については、当期純損失のため記載しておりません。

 

2【沿革】

年月

概要

2013年8月

東京都千代田区飯田橋に、インターネットサービス事業を主目的として株式会社Link-U(資本金1,000千円)を設立

2014年10月

本社を千代田区飯田橋から港区六本木に移転

2014年12月

株式会社小学館との協業により、スマートフォンアプリ「マンガワン」をリリース

2016年6月

本社を港区六本木から港区虎ノ門に移転

2017年1月

株式会社スクウェア・エニックス提供のスマートフォンアプリ「マンガUP!」をリリース

2017年8月

株式会社白泉社提供のスマートフォンアプリ「マンガPark」をリリース

2018年10月

本社を港区虎ノ門から千代田区神田駿河台に移転

2019年7月

2019年12月

2020年7月

2020年9月

2021年3月

2021年4月

2022年2月

2022年4月

2022年9月

 

2023年6月

2023年12月

2024年3月

 

2024年3月

2024年5月

東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場

株式会社集英社提供のスマートフォンアプリ「ゼブラック」をリリース

東京証券取引所市場第一部に上場市場を変更

リベラルマーケティング株式会社の株式取得(現・連結子会社)

本社を千代田区神田駿河台から千代田区外神田に移転

和歌山県和歌山市に和歌山オフィス(開発拠点)を設立

株式会社コンパスを持分法適用会社から連結子会社へ異動(現・連結子会社)

東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所の市場第一部からプライム市場に移行

株式会社Brightech及び同社の100%子会社であるバリューコンサルティング株式会社を持分法適用会社から連結子会社へ異動(現・連結子会社)

株式会社ビューンの株式取得(現・連結子会社)

連結子会社として株式会社Link-U Technologiesを設立

持株会社体制へ移行し商号をLink-Uグループ株式会社に変更し、サーバープラットフォーム事業を株式会社Link-U Technologiesに事業承継

連結子会社として株式会社Link-U Marketingを設立し、株式会社Romanzの株式を取得し孫会社化

株式会社ビューンの株式を追加取得し連結子会社化

 

 

3【事業の内容】

(1)事業の概況

 当社グループは、「あらゆる価値を解放し、ココロ震える体験を世界に。」というグループパーパスのもと、主に自社設計のオリジナルサーバーを基軸としたデータ配信と、そのデータを適切に蓄積・分析・処理するAIソリューションを併せてワンストップで提供するサーバープラットフォームビジネスを展開しております。その中で培ったサーバーインフラ技術、データ処理技術及びコンテンツ処理技術等を強みとして、事業規模を拡大してまいりました。

0101010_001.png

(注)データセンター及び付随する高速回線についてはハウジングサービスを利用しており、通信事業者が所有するデータセンター設備内に、当社グループのサーバーを設置しております。

 

(2)技術の特徴

 当社グループの「マンガサービス」における、サーバープラットフォーム技術には、以下の特徴があります。

 

①ユーザビリティ

・高速配信が可能

ハウジングで利用しているデータセンターにおいて、インターネット回線が集積する東京都千代田区大手町から当社グループのみが利用する専用線を引き込んでおり、自社のみで使用できる環境にある高速なインターネット回線を通じて配信しているため、他社の利用状況の影響を受けず安定した高速配信により快適なユーザー体験を提供できる能力を有しております。

当社グループは高性能なサーバーを自社で保有していることを利点として、仮想化(注1)やルーティング(注2)によるオーバーヘッド(注3)なくサーバーを稼働させております。

ユーザーに快適な使用環境を提供することは、隙間時間の活用やサービスへの接触機会の増加につながり、ユーザー満足度の向上のために重要であると考えております。

 

・コンテンツ処理

マンガに適した画像とするためのトーンをグラデーションにする処理技術(注4)、画像圧縮技術、ノイズリダクション(注5)技術及びアップコンバート(注6)技術を有しております。

その他、パソコン上のブラウザやスマートフォン上での快適な画面の閲覧が可能になる画像表示ソフトウエア(viewer)、データの大量配信に対応した電子認証システム等の技術を有しております。

動画につきましても、画像と同じく圧縮処理技術・ノイズリダクション等の技術を有しております。

 

・通信量削減

ユーザーの読書履歴及びお気に入り登録などから、大量のデータにより学習した情報を基にユーザーが読むであろうコンテンツを予測し、充電中かつWi-Fiに接続しているユーザーの端末への事前の配信を可能にしております。これにより携帯電話回線接続時にダウンロードが不要になることから画像表示に要する時間及び通信量が削減され、電車の中など電波状態の悪い環境におけるコンテンツ閲覧に要する通信環境のハードルが下がり、パケット制限への抵触が回避しやすくなります。

またユーザーの回線状態に合わせてコンテンツのクオリティを自動調整することにより、通信量の削減も可能となっております。

②安定した運用

・サービス停止の防止策

当社グループではサーバーを3重化、ネットワークを2重化した、単一障害点(注7)のない冗長化(注8)構成を基本としております。突発的なサーバーダウンが発生した場合においてもダウンしたサーバーを自動で除外し、残りの2台のサーバーが相互補完する仕組みとなっており、サービスを中断することなく提供することが可能な体制となっております。同様に、ネットワークダウンが発生した場合においても、予備のネットワークに自動で切り替える体制となっております。

 

・耐障害性の高さ

データベースサーバーにおいて、マルチマスタ方式(注9)を採用しております。一般的にはマスタ・スレーブ方式(注10)が採用されておりますが、マスタデータを更新してからスレーブデータに更新されるまでにタイムラグが発生し、マスタサーバーに不具合が発生した場合、マスタ・スレーブの切替の処理が必要というデメリットがあります。マルチマスタ方式を採用することにより、マスタ・スレーブの切替の処理が不要となり、障害発生時に自動フェイルオーバー(注11)によるサービスの継続が可能となっております。

 

③高コストパフォーマンス

・低コストでの運用

コンテンツの電子配信事業者は、クラウドサーバー事業者を活用することが通常であるなかで、当社グループは用途、配信量に応じたサーバーハードウェアを自社設計する方針としており、画像・動画の高速大量配信に特化したオリジナルサーバーを高性能・低コストで調達することができます。通常、サーバーの台数が増加するほど、サーバー間の連携をとるためのシステムは複雑になり、サーバーの監視に要する人的コストは高まります。当社グループはサーバー1台の性能を高めることにより、少数のサーバーにより運営しております。それにより複雑なシステムを構築する必要がなく、また監視対象が少ないため、保守に要する労力も削減しております。

 

・サーバーコスト抑制

当社グループは圧縮率の高いフォーマットであるAVIF(注12)やWebP(注13)といったフォーマットを採用しております。コンテンツの容量を削減することにより、サーバーを構築するうえで確保する必要のある容量を削減、サーバーに必要なコストを抑制しております。

 

・AIを用いた運用コストの抑制

当社グループはリコメンド作品の選定、サムネイルの切り出しにAIを用いて自動化しております。従来は作品のリコメンドを手動で行っておりましたが、人間が把握できる作品の数には限界があることや、リコメンドスキルの属人化が課題でした。AIを用いることで、これらの課題を解決した上でコストを削減しております。また、サムネイルの切り出しにおいても、AIが候補を複数提示し、その中から最適なものを人間が選ぶことで、手動で切り出していた時と比較し、大幅にコストを削減しております。

 

④マーケティング

・迅速なフィードバック

当社グループは高速なデータベースの集計処理を可能とする技術を有しております。データの高速取得は、データ分析の容易さに直結するため、リアルタイムで取得したユーザーの動向を、サービスに対して迅速にフィードバックを行うことが容易となっております。

 

⑤セキュリティ

・著作権保護技術

動画コンテンツにおいては、DRM(注14)としてGoogle Inc.が提供するWideVine(注15)を採用した実績があります。

 

(注)1.仮想化:サーバーなどのハードウエアリソースを、物理的な構成にとらわれずに、論理的に統合や分割することができる技術のこと。1台のサーバーを複数台のサーバーであるかのように論理的に分割して、それぞれにOSを動作させることが可能。

2.ルーティング:送信元から宛先まで、データを転送すること。

3.オーバーヘッド:コンピューターが処理する際の、当該処理を実行するために必要となる付加的な負荷。

 

4.トーンをグラデーションにする処理技術:目の細かいトーンを潰してグラデーションにすることでデータ量を削減する技術。

5.ノイズリダクション:音声や映像等といった信号に含まれるノイズを抑圧・軽減する、信号処理の一種。

6.アップコンバート:多層構造のニューラルネットワークを用いた機械学習である深層学習を利用して、低解像度の画像を高解像度の画像に近づける技術。低解像度の画像と高解像度の画像を大量に準備し、低解像度を不正解、高解像度を正解とPCに学習させ、低解像度の画像からPCに正解(高解像度の画像)を導き出させる。

7.単一障害点:その単一箇所が停止するとシステム全体が停止するような箇所。

8.冗長化:システムの一部に何らかの障害が発生したケースに備えて、障害発生後もシステム全体の機能を維持するため、予備装置を普段から配置、運用しておくこと。

9.マルチマスタ方式:複数のデータベースサーバーが本番データベースのみで構成される。更新が全てのデータベースに遅延なく反映され、常に同じデータを格納する方式。全てのデータベースは更新/検索ともに可能となっている。

10.マスタ・スレーブ方式:1つの本番データベース(マスタ)と複数の複製データベース(スレーブ)で構成される。アプリケーションからの更新はマスタデータベースが受付け、マスタデータベースの更新データが順次スレーブデータベースに反映される方式。スレーブデータベースは検索用途に限定される。

11.フェイルオーバー:稼働中のシステムで問題が生じてサーバーが停止してしまった際に、待機サーバーに切り替える仕組み。

12.AVIF:動画コーデックを応用した静止画フォーマット。

13.WebP:Google Inc.が開発しているオープンな静止画フォーマット。

14.DRM:動画などのデジタルデータの無制限な利用を防ぎ、コンテンツを保護する技術の総称。

15.WideVine:Google Inc.が提供する著作権保護技術。

 

(3)サービスの内容

 当社グループの事業は「インターネットサービス事業」の単一セグメントであり、当該事業セグメントは、上記の技術を基盤とした3つのサービスから構成されております。3つのサービスとは「リカーリングサービス」、「初期開発・保守開発サービス」、その他にスポットで発生する「その他サービス」であり、それぞれのサービス概要は以下のとおりであります。

 

①リカーリングサービス

 「リカーリングサービス」は、当社の持続的な収益基盤となるレベニューシェア(注16)収益及び月額固定収益(サブスクリプション)で構成されております。①サーバーの調達、システムの構築及びデータセンター設置のサーバー保守運用、②継続するスマートフォンアプリケーションの開発・アップデート並びに③サービス運用及び広告運用の組み合わせ、もしくは単体でこれらのサービスを提供しております。これら開発・運営サービスの提供の他、コンテンツの調達・提供サービスも提供しております。

 事業領域としては、電子書籍配信サービスに注力しております。電子書籍配信サービスでメインのサービスは、その配信者(コンテンツホルダー)又は配信者からサービス運営を受託した企業とのレベニューシェア契約を締結しているサービスであり、株式会社小学館が提供するマンガアプリである「マンガワン」及び株式会社集英社が提供するマンガアプリである「ゼブラック」においては上記サーバー、アプリ開発及びサービス運用の3サービスをまとめて提供しており、株式会社スクウェア・エニックスが提供する「マンガUP!」及び株式会社白泉社が提供する「マンガPark」では、サーバーサービスを提供しております。電子書籍配信サービスではマンガコンテンツをメインに配信しておりますが、その他に当社グループの技術を活用しながら動画コンテンツ、小説コンテンツ及び音声コンテンツも配信し、他サービスとの差別化を図り、付加価値の向上に努めております。

 

(注)16.レベニューシェア:企業間の提携手段のひとつ。支払額が固定された委託契約ではなく、企業が互いにパートナーとして提携し、リスクを共有しながら、相互の協力で生み出した利益を予め決めておいた配分率で分け合うこと。

 

 マンガアプリの主な収益構造は、ユーザーからの課金及び広告収入となっております。

 「マンガワン」については、ライフ、SPライフ、チケットの3種類のポイントがあり、それぞれのポイントを使用することでマンガを閲覧することが可能となっております。ライフは1日に2回4ポイントまで回復します。SPライフは広告主の提供するサービスの利用、課金の際のおまけポイント等により入手可能です。チケットは、ユーザーがApple Inc.やGoogle Inc.といったプラットフォーム運営事業者による課金決済を通じて入手できるポイントになります。

 当社グループが提供するマンガアプリは無料ポイントを付与するフリーミアムモデル(注17)により、ユーザーのマンガ閲覧に対する敷居を下げ、アプリに慣れ親しんでもらいたいと考えております。またアプリオリジナル作品を提供するアプリもあり、ユーザー獲得に努めております。

 なお、「マンガワン」の収益は、まずユーザーの課金額からプラットフォーム手数料を差し引いた金額がプラットフォーム運営事業者からコンテンツホルダーへ、また広告料が広告代理店からコンテンツホルダーへ支払われます。次に両者を合計した金額から、レベニューシェア料率に基づいた配分額がコンテンツホルダーから当社へ支払われます。また「マンガUP!」等の共同開発があるサービスの収益は、コンテンツホルダーから共同開発先へ支払われた配分額からサービス運用のための諸費用を控除したうえで、レベニューシェア料率に基づいた配分額が共同開発先から当社へ支払われます。

 

(注)17.フリーミアムモデル:制約の範囲内では無償でサービスを利用でき、制約以上のサービス利用のために課金等が必要となるモデル。

 

 当社グループはもともとクラウドサーバーを独自の技術で効率的に運用することにより、顧客のサーバー費用の削減を提案し、収益化に繋げてきました。その成長により得た資金でオンプレミスサーバー(注18)での管理が可能になり、ビジネス規模を拡大してまいりました。レベニューシェアのコンテンツ配信サービスはオンプレミスサーバーでの配信を核とし、画像処理技術やデータ分析を付加価値として提供することが評価され獲得した案件であり、今後も当社グループ事業の中核をなしていくと考えております。しかしながら、クラウドサーバーからオンプレミスサーバー管理へ環境は変わりましたが、従来営んできたような顧客のサーバー費用の削減に貢献し、当社グループの収益化に繋がるサーバー保守運用サービスについても、ストック型のビジネスとして案件を拡大してまいります。その一例として、株式会社メディアシークが運営する、QRコードリーダーアプリ「ICONIT」のサーバー保守運用を行っております。

 

(注)18.オンプレミスサーバー:自社運用サーバー。

②初期開発・保守開発サービス

 「初期開発・保守開発サービス」は、リカーリングサービス案件獲得のための受託開発を提供するサービスです。取引先の新規サービス立ち上げ時、既存サーバーからの乗り換え時に、当社グループがその後のサービス保守運用も見据えたサーバープラットフォームやアプリケーション等をワンストップで提供します。またサービスのアップデートのための開発も請け負っております。

 当社グループはリカーリングサービスの拡大による持続的な成長に努めております。そのためには初期開発においてクオリティの高い成果物、納期の遵守等の顧客ニーズを確実に満たす必要があります。また、その後の保守運用において、安定的なサービス運用及びユーザー動向をサービスに反映するための適時のアップデート対応なども必要となってまいります。今後も技術力を基礎とした開発サービスの提供により取引先からの信頼を獲得し、リカーリングサービス案件の獲得に努めてまいります。

 

③その他サービス

 「その他サービス」は、上記の2サービスには分類されないWebサイト開発などスポットの開発案件を主として構成されております。

 

 サービスの収益構造としては、初期開発売上及び保守開発売上と、レベニューシェア収益及び月額固定収益(サブスクリプション)から構成されるサーバープラットフォームの継続利用料になります。

 取引先のニーズに合わせてサービス毎に自社で設計したオリジナルサーバーを提供しており、クラウドのサービス等へスイッチングする場合には、最適化された環境から汎用的な環境へと移行することによるコストが高くなるため、案件の失注を防ぎ安定的な収益の獲得に貢献しております。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

(1)リカーリングサービス

① リカーリングサービスで主力になっている「マンガワン」の事業系統図は以下のとおりであります。

 

0101010_002.png

(注)1.ユーザーの課金額からプラットフォーム手数料(Apple Inc.やGoogle Inc.などのプラットフォーム運営事業者による代金回収代行業務及び売上管理業務に対する手数料)を差し引いた金額が、プラットフォーム運営事業者からコンテンツホルダーへ支払われます。

2.プラットフォーム運営事業者及び広告代理店から支払われた収益額のうち、当社グループへの配分額がコンテンツホルダーより支払われます。

 

② 上記レベニューシェア契約の他に、取引先企業に対する継続開発及びサーバー保守運用等、継続した収益が見込める案件をリカーリングサービスとしております。

 

0101010_003.png

 

(2)初期開発・保守開発サービス

 リカーリングサービス案件獲得のための開発案件になります。

 スマートフォンアプリケーション、Webシステム等の開発やサーバーシステムの構築等の案件となっております。取引先に納入する単純な取引であるため、事業系統図の記載を省略しております。

 

(3)その他サービス

 その他サービスについては、売上金額が小さくまたその商流が多様であるため、事業系統図の記載を省略しております。

 

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

(千円)

 

(所有)

 

リベラルマーケティング㈱

岡山県岡山市北区

5,900

マッチングプラットフォームの構築と運営

71.0

役員の兼任あり

㈱コンパス

(特定子会社)

(注)2

東京都千代田区

73,750

デジタル出版代行

48.1

役員の兼任あり

営業取引

㈱Brightech

(注)2

東京都千代田区

1,000

ソフトウエアの企画、開発、製造、販売

50.0

役員の兼任あり

営業取引

債務保証

バリューコンサルティング㈱

東京都千代田区

3,000

ITコンサルティング・アドバイザリー

0

(100.0)

㈱Link-U Technologies

(注)3

東京都千代田区

1,000

サーバープラットフォーム事業

100.0

役員の兼任あり

営業取引

債務保証

債務被保証

資金援助あり

㈱Link-U Marketing

東京都千代田区

1,000

マーケティング事業

100.0

役員の兼任あり

資金援助あり

㈱Romanz

(注)2

東京都渋谷区

20

Vtuber・ストリーマーを活用したプロモーションイベント企画

0

(40.0)

役員の兼任あり

㈱ビューン

(特定子会社)

東京都千代田区

49,000

インターネットを利用したコンテンツ配信サービス

66.0

役員の兼任あり

営業取引

(持分法適用関連会社)

 

(千円)

 

 

 

㈱アムリンク

東京都港区

50,000

電子書籍分野における各種システムの企画、開発、運営

33.3

役員の兼任あり

営業取引

㈱Studio Moon6

東京都千代田区

70,000

電子書籍配信事業

50.0

営業取引

ITFホールディングス㈱

東京都千代田区

100,005

特定目的会社

0

(40.0)

 

 

(米ドル)

 

 

 

Comikey Media Inc.

米国オレゴン州

933,934.19

グローバルマンガプラットフォームの運営及びローカライズ事業

50.0

営業取引

(注)1.議決権の所有割合の()内は、間接所有割合であります。

2.持分は100分の50以下でありますが、実質的に支配しているため子会社としております。

 

3.㈱Link-U Technologiesについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

主要な損益情報等   (1)売上高     805,368千円

           (2)経常利益    121,908千円

           (3)当期純利益    83,611千円

           (4)純資産額     84,611千円

           (5)総資産額   1,575,255千円

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2024年7月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

全社(共通)

192

26

合計

192

26

(注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.当社グループは、インターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員の記載は行っておりません。

3.従業員数が当連結会計年度において56名増加しましたのは、主として業務拡大に伴う採用によるものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2024年7月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

56

(11)

32.4

2.0

4,310

 (注)1.従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数(アルバイト含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.当社は、インターネットサービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員の記載は行っておりません。

4.従業員数が当事業年度において59名減少しましたのは、主として2024年3月1日付で当社を吸収分割会社とし、完全子会社である株式会社Link-U Technologiesを吸収分割承継会社とする会社分割(吸収分割)を行ったことにより従業員の異動があったためであります。

 

(3)労働組合の状況

 労働組合は結成されておりませんが、労使関係については円満に推移しております。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ①提出会社

2024年7月31日現在

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)(注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)2.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

21.4

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公表義務の対象ではないため、記載を省略しております。

 

 ②連結子会社

 連結子会社は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)及び「育児休

業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定による公

表義務の対象ではないため、記載を省略しております。