当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、経営理念に「人の時間(とき)を、解き放つ。」を掲げ、創業時からの私たちの願いである“もっと人の可能性を広げたい”という想いを持ち成長してまいりました。2023年には、「人の時間(とき)を、解き放つ。」という理念はそのままに、当社が提供する「Uniqueな価値」によって新たな製品やサービスを生み出し、「Forever vivid」を新たなスローガンとして制定しました。
このスローガンのもと、当社が創業以来大切にしてきた、社会に提供したい「Uniqueな価値」を具体的に示し、当社のパーパスをあらためて定義しました。
スローガン
パーパス
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、企業価値の拡大を図るという観点に立ち、「売上高」、「営業利益」及び「親会社株主に帰属する当期純利益」並びに「売上高営業利益率」を重要な経営指標として位置付けております。
(3) 経営環境
当社グループの属する国内化粧品市場は、外出機会の増加により個人消費が回復し、円安によるインバウンド需要も回復しています。一方で、コロナ禍を機に国内化粧品市場の2極化が鮮明となっており、低価格帯市場の拡大傾向が続いています。富士経済「化粧品マーケティング要覧2024 No. 1」によると、2023年1月~12月の化粧品の国内市場規模は3兆816億円となり、前年比約5.1%の成長となりました。一方、当社グループの主力製品である「ザ クレンジングバーム」が属するクレンジング市場については、同じく富士経済「化粧品マーケティング要覧2024 No.1」によると、前年比1.0%増となる1,390億円となっております。クレンジング市場においては、ここ数年バーム剤型が売上高を伸ばしてきましたが、足許ではオイル剤型への回帰が進んでいます。
このような環境の中、当社は、主力商品であるデュオ「ザ クレンジングバーム」が5年連続クレンジング売上No.1※1を獲得、デュオ「ザ クレンジングバーム」に次ぐ商品としてカナデルやクレイエンスを育成するとともに、子会社の株式会社ベネクスを通じてリカバリー事業に参入するなど、アンチエイジングカンパニーへの進化を進めています。
※1 TPCマーケティングリサーチ株式会社調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019年4月~2024年3月/調査時期2024年4月)
(4) 中期経営計画「2024-2027 +Beyond」の取り下げ
① 中期経営計画 主要財務KPI取り下げ
当社は、2023年9月14日に2027年7月期を最終年度とする4カ年経営計画を公表し、これを実現すべく様々な施策に取り組んでまいりました。しかし誠に遺憾ながら、計画の初年度となる2024年7月期の連結業績は計画を大きく下回る結果となりました。当該結果を踏まえ、2027年7月期の計画達成は困難であり定量的な目標について見直しが必要と判断し、主要財務KPIを取り下げることといたしました。
② 取り下げに至る背景
当初、中期経営計画期間においては、2024年7月期を、2023年7月期までの振り返りで定義した課題に対処し、成長戦略を実行できる基盤づくりを実施する構造改革フェーズと位置づけました。そして、2025年7月期以降は成長戦略の実行フェーズと位置づけ、ブランドとチャネル、資本を活用した共創とを組み合わせた成長戦略を通じて、2027年7月期の売上高400億円、営業利益率 10%以上の達成を目指しておりました。
そのため昨年より、財務上の懸念を一掃することに取り組み、また通信販売・リテールともに事業構造の転換や財務規律の整備を進めた結果、初年度において黒字化を達成することができました。またアンチエイジングカンパニーへの進化の基盤となる新成長領域においても、順調な成長を果たしております。
しかしながら、事業環境の変化や競争環境の激化を主な要因として、当社の主力事業である通販事業の売上が当初計画を大きく下回り、またリテール事業も売上の成長を実現するに至りませんでした。加えて、成長領域として位置づけた海外事業においては、処理水問題や中国市場の減速の影響を受け、計画の大幅な修正を余儀なくされました。
③ 中期経営計画の再公表および今後の開示方針について
新しい中期的な財務KPIにつきましては、当社を取り巻く経営環境を総合的に分析、検討した後に改めて設定し、準備ができ次第速やかに公表いたします。
従いまして、当面の間は経営方針や財務状況等を株主及び投資家の皆様に正しくご理解頂くための情報開示のあり方として、単年度ごとの業績見通しを公表することとし、その目標を着実に達成すべく専念してまいります。また、「事業計画及び成長可能性に関する事項」に関しましては、毎年10月末日の開示を予定しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画にて指針とした「Uniqueな価値にこだわりぬく」こと及び長期的に目指す「アンチエイジングカンパニーへの進化」といった数値目標以外の経営方針については、引き続き実現を目指してまいります。
2025年7月期に優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は下記の通りです。
アンチエイジング事業では、ブランドマネジメントと各チャネルの協働により、ブランド、商品、チャネルの最適化を図り、事業の成長を目指してまいります。
ブランドマネジメントにおいては、お客様へ届ける価値を再定義した上で、新商品・新ブランドを投入し、ブランド価値を訴求する新たなコミュニケーション、プロモーションを実行してまいります。
チャネル戦略では、通信販売のみならず、リテール等のチャネルごとに最適なマーケティング・商品戦略を推進してまいります。
まず通販チャネルにおいて、前期より取り組んでおります獲得効率の徹底を継続するとともに、顧客基盤を強化するCRM施策の更なる拡充を推進してまいります。
リテールチャネルでは、ブランドにおける新プロモーションとのタイアップ施策を推進し、店頭での訴求を強化するとともに、卸売先企業との連携を深化し、成長につなげてまいります。
海外では市場動向を注視しつつ、中国本土における越境ECと一般貿易を強化、それ以外のアジアパシフィック市場の開拓も進めます。更に国内において、新たな販路の開拓にも取り組んでまいります。
また、着実に利益を創出できる筋肉質な企業体質の確立を目指し、2025年7月期も引き続き、変動費のコントロールや事業規模に合わせた固定費の適正化などに努めてまいります。
リカバリー事業については、成長市場における事業拡大に注力いたします。また、当社グループとしての連携をさらに強化し、ブランディング、デジタルマーケティング、CRM、新製品開発等により一層取り組み、売上の伸長を目指してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
1.サステナビリティの考え方
「Forever vivid 人の時間(とき)を、解き放つ。 Untether time.」という企業理念のもと、当社グループは、人、社会、地球のすべてが持続可能であることに貢献していきます。「社会的価値」と「経済的価値」の両立を目指す持続可能なサステナビリティ活動を推進しております。
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サステナビリティ基本方針
~Uniqueな人生を実現する~ Enabling unique pathways through life
『Forever vivid 人の時間(とき)を、解き放つ。 Untether time.』 人生100年時代を迎えた世界で、 年齢や性別に対する先入観から解放され、 自分に自信を持つ“アンチエイジング”という価値観のもと、 一人ひとりが好奇心を持って新たなことにチャレンジできる世界を目指します。
そのために、型にはまらない柔軟な発想力を発揮し、 世の中を変えうるUniqueな価値を提供することで、 様々な社会課題にステークホルダーとともに向き合い、 いつでも、いつまでも輝ける持続可能な社会の実現に貢献します。
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(1)ガバナンス
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当社グループは、持続可能な社会の実現に向け、ESGの各領域でサステナビリティ活動を強化するため、2022年8月にサステナビリティ推進委員会を設置いたしました。サステナビリティ推進員会において、重要課題(マテリアリティ)の特定、優先度の評価、指標および目標値の設定について、審議を行い、取締役会にて決議する体制としております。 また、サステナビリティ推進委員会は、3カ月に1回以上、主に重要課題の各指標に対する取り組み事項、および、目標値の進捗状況のモニタリングを行い、定期的に取締役会に報告しております。具体的な取り組みについては、サステナビリティ推進委員会が中心となり、関連部署をはじめ全社で対応を進めております。 |
サステナビリティ推進体制
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(2)戦略
当社グループでは、社会環境の変化がもたらす社会課題を捉え、持続的な成長を実現する上で重要と考える事項を、環境・社会・ガバナンスの各領域においてマテリアリティとして特定しました。マテリアリティに対する取り組み方針を定め、各課題の解決に向けた具体策の推進に取り組んでおります。
■マテリアリティと取り組み方針、関連するSDGs
(3)リスク管理
当社グループは、事業環境の変化に対応しながら持続的な成長を達成していくため、リスク管理を最重要課題のひとつとして位置付け、取締役会にて定めたリスクマネジメント規定に基づき、リスク・コンプライアンス委員会が全社的なリスク管理の強化に取り組んでおります。このうち、サステナビリティに関する課題やリスクと機会に関するテーマについては、サステナビリティ推進委員会で検討・議論を行い、取締役会に報告しております。
なおサステナビリティに関する課題については、2023年4月に当社グループ及びステークホルダーにとって重要度の高い対応すべき課題をESGの観点から評価し、取締役会の決議を経て、(2)戦略に示したマテリアリティとして特定し、取り組み方針の策定を行いました。マテリアリティに対する取り組み事項については、事業環境の変化によるリスクを認識したうえで、ステークホルダーのニーズの変化や多様化を機会と捉え、持続的に社会的価値と経済的価値を高めていくことにつながる事項を優先して取り組んでおります。
■マテリアリティ特定のプロセス
STEP1:社会課題の抽出
当社グループのお客様、お取引先様、社員、株主・投資家様など社内外のステークホルダーからの期待や要請を分析の上、SASBスタンダードやS&Pグローバル・レーティングをはじめESG評価機関の情報等を参考とし、検討すべき社会課題を整理しました。
STEP2:マテリアリティ分析の実施(課題の評価)
整理した社会課題の中から、当社グループのマテリアリティ候補を抽出し、①ステークホルダーにとっての重要度と、②当社グループの事業にとっての重要度の2つの観点からマテリアリティ分析を実施しました。
STEP3:マテリアリティの特定
マテリアリティ分析の結果を社内の各部署と討議のうえ、特に優先度の高いマテリアリティ候補を9つ選定しました。これら9つを「アンチエイジングがもたらす豊かさの追求」「成長を支える企業基盤」という2つの軸から、5つのマテリアリティに再構成しました。
(4)指標及び目標
当社グループでは、マテリアリティごとに目標を設定して具体的な取り組みを進めることで、持続可能な社会の実現に向けた貢献と企業価値の向上を果たしてまいります。
■マテリアリティと目標
2023年7月期に設定した目標に対し、それぞれ取り組みを行った実績は以下の通りです。
サプライヤーとの協働においては、2024年7月に調達方針を策定・公開し、目標を達成いたしました。今後は、2027年7月期に向け「調達方針の認知向上、および、ヒアリング調査の実施」に取り組み、サプライヤーの皆様とともにサステナブルな調達の推進に取り組んでまいります。
アンチエイジングがもたらす豊かさの追求
成長を支える企業基盤
2.人的資本の考え方
当社グループは創業以来、「Uniqueな価値」を提供することで、何気ない日常を豊かにし、誰もがいつでも輝ける新しい未来に変えていくことにこだわり続けております。今後も「Uniqueな価値」を提供し続けていくためには、なによりもそれを支える社員一人ひとりの個性(Uniqueさ)及び、能力の発揮・成長が欠かせない重要な要素と捉えております。また、変化や競争が厳しい環境下において、人材が価値創造・競争優位の源泉であると位置付け、次の人材戦略の方針と指標を軸に、将来への持続的成長・企業価値向上を実現してまいります。
(1)人材戦略の方針
当社グループが大切にしている価値観をもった人材を育成していくため、人材マネジメントの方針となる人材戦略を設けております。
(2)指標及び目標
マテリアリティごとに目標を設定して、具体的な取り組みを進めております。詳細は
(3)人材に関する取組
①組織風土活性
Purpose/Promiseのもと、組織として個を活かし、成長に繋げる仕組みの整備や運用の統一性はもちろんのこと、ともに働く仲間が同じ価値観を共有できるカルチャーの醸成は欠かせない要素と捉えております。当社は中途社員の割合が高く、多様なバックグラウンドをもつプロフェッショナルが集う組織特性を強みとしており、お互いがプロフェッショナルな知識を共有しあうことで組織の知となるような取り組みを強化してまいりました。
今年度は、経営と部門長との定期的な1on1の実施、若手・中堅社員のマネジメントポジションへの抜擢など、組織変革期として新たな取り組みを開始しております。また、成長を望む従業員が自らの意思でキャリアを選択できる社内公募制度は、2022年より半期毎に実施を継続してきたことで制度自体も根付いてまいりました。
以前から取り組みを行っている、全社情報の共有を目的とした週次での情報配信、縦のコミュニケーションの改善の取り組み、部門を超えた横の交流を促す相互理解ワークショップの開催、社員同士で称賛を送りあうことで日常の活躍を見える化する取り組みも継続して行っており、コミュニケーションの場を積極的に作ることで、組織風土活性に取り組んでおります。
※当社の組織風土活性につながる様々な取り組みについては、当社コーポレートサイトのカルチャーページもご参照ください。
②社員エンゲージメントの向上
社員が仕事、会社へ愛着を持ち、やりがい、働き甲斐を感じることが生産性を高め、業績向上や持続的成長につながるということを基本的な考えとしております。また、組織のパーパスと、社員一人ひとりのパーパスが重なることは、組織を更に成長させるために欠かせない重要な要素です。よって、社員のエンゲージメントを経営における重要指標のひとつと位置付け、全社員向けに定期的にエンゲージメントサーベイを実施し、毎回、状況や課題について経営層で共有・議論を行い、実行計画へ反映しております。
また、社員エンゲージメントの向上をマテリアリティの取り組み事項として掲げ、2027年7月期末の達成を目指し、具体的な取り組みを推進しております。
③人事制度
当社は事業拡大や社員規模に併せて2021年に人事制度を刷新いたしました。人事制度刷新にあたっては、当社の経営方針、当社が求める人物像や価値観、人材戦略方針をふまえて制度の改定を行いました。但し、社員一人ひとりの力の発揮や組織力向上には、現状、制度運用レベルの向上や統一化に関する課題があり、また時間の経過とともに制度内容の更新が必要となっております。
現状の課題解消のために、今年度は評価者研修の実施、1on1や評価フィードバックガイドラインの制定や推進を行うことで運用レベルの向上を図ってまいりました。また、現状の企業フェーズに合致した、人事制度改定に向けた検討も着手しております。
今後は更なる運用レベルの統一化を向上させるだけでなく、人事制度改定に向けた検討を更に進めてまいります。
④教育・研修の充実
社員の成長と組織力の最大化を目的に、研修や資格支援制度を導入しています。役割に応じて求められるスキルを学ぶ階層別研修をはじめ、主体的に専門力強化を目指す社員には資格取得の補助も行っています。15期は20名を超える社員が資格取得支援制度を利用し、30個を超えるアンチエイジングに関する新たな資格を取得いたしました。
また、ともに育ち、育てあい、強く成長し続ける集団であるために、社員の自律を促す取り組みの一環として「UNIPAL Academy」という学び合いの場を新たに開始しました。「UNIPAL Academy」では、社員が自ら企画を行い、講師を務めたり、社外の有識者を招聘したりする等で、お互いのプロフェッショナルな知識を共有するスタイルを取っています。多様なバックグラウンドを持つ社員がいるからこそ実現できる、唯一無二の学びの場となっています。今年度は、ビジネス構造の理解向上の点から「UNIPAL Academy」を通してD2C・マーケティング研修を行い、組織力向上の点からマネジメント層を中心に評価者研修、マネジメント研修を実施いたしました。
今後も更なる人材育成の制度・仕組みは随時更新して取り組んでまいります。
UNIPALについて:創業以来のDNAであり、こだわり続けている価値観である「Unique」と仲間を意味する「PAL」を掛け合わせ、当社で働く社員のことを「UNIPAL(ユニパル)」と呼んでおります。
⑤健康経営
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当社グループ社員、また当社に関わるすべての人々が健康で豊かな生活を送ることのできるウェルビーイングを推進しております。 当社グループでは社員の価値創造を支える基盤として心身ともに健やかに働くことのできる環境が大切であると考え、2022年8月に健康経営宣言を策定いたしました。健康経営宣言に基づく各種施策の推進を通じ、一人ひとりが個性と能力を発揮する社会文化と新たな常識の創造を実現してまいります。 |
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健康経営宣言
すべての人が、健やかで美しく輝く人生の実現へ
プレミアアンチエイジンググループは、アンチエイジング事業のパイオニアとして、社員とその家族、世の中すべての人が年齢にとらわれずいつまでも、 健やかで美しく輝けるための取り組みを推進します。
行動指針
・Uniqueな感性と思考を生み出すために必要な、心と体が健康でウェルビーイングとなる環境の提供をすべての社員とその家族に約束します。
・社員とその家族だけではなく、当社に関わるすべての皆さまにも美しく健やかで輝けるための取り組みを展開してまいります。
健康経営推進体制
取り組み事例
昨年度から実施している独自の健康アンケートの結果をもとに、社員の健康課題の解決に繋がる取り組みを実施しております。今年度は、安全衛生委員会のメンバーが中心となって企画し、社員が講師を務める形で「歯の健康習慣のオンラインセミナー」を行いました。また、連結子会社である株式会社ベネクスと協力し、生産性向上をテーマとした休養学セミナーも定期的に開催しております。
これらのヘルスリテラシー向上につながる取り組みに加え、サークル活動などの社員が主体となって健康増進と社員同士のつながりの促進を目的に行う活動に対する費用補助も行っております。今後も様々な取り組みを通じて、社員の心身の健康の実現に取り組んでまいります。
⑥ダイバーシティの取組
当社グループ社員の多様性は、「Uniqueな価値」を生み出す源泉と考えており、様々な価値観を尊重し、だれもが活躍できる組織づくりを目指し、ダイバーシティ&インクルージョンに取り組んでおります。
当社社員の女性比率は59%で、女性活躍推進に関する取り組みが優良な企業として「えるぼし」の3つ星に認定されております。また、両立支援を含む多様な働き方が選択できる環境の整備として2023年4月からフレックスタイム制度のコアタイム時間を1時間半短縮いたしました。
ダイバーシティ&インクルージョンの取り組みを進めることで、組織力の強化や生産性向上にも繋がると考えており、今後も属性にとらわれず、多様な労働条件の整備や仕事と家庭の両立支援など、だれもが働きやすい職場環境の整備を進めてまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクには、以下のようなものがあります。
当社では、このようなリスクを把握し、管理するための体制・枠組みとして、プレミアアンチエイジング行動規範、リスクマネジメント規程、コンプライアンス規程ほか社内規程に基づき、役職員がリスク・コンプライアンス意識をもって適切に職務執行を行うことができる体制を確保しております。加えて、リスク管理については、コーポレート本部管掌取締役を委員長としたリスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクマネジメント及びコンプライアンスにおける基本方針、計画及び体制を策定するとともに、各部門に設置したリスクマネジメント担当者を起点として、リスクの分析や管理状況のモニタリングその他必要に応じた指導監督体制を構築しております。
(1) 特定のブランドへの依存及び競争の激化
(発生可能性:高/発生可能性のある時期:長期的/影響度:大)
当社グループは、「Uniqueな感性と思考で生み出した製品やサービスで、すべての人を年齢から解き放ち、新たな価値観で輝かせる。」をパーパスに掲げ、スキンケア事業・ヘアケア事業・インナーケア事業・リカバリー事業など多角的に事業を展開しています。しかしながら、その売上高の大部分は、主力ブランドであるクレンジングバームを中心としたデュオブランドに依存しております。デュオブランドが、競合他社の新製品投入、消費者の嗜好変化、風評被害等により顧客からの支持を失った場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは新規ブランドの開発と育成による事業ポートフォリオの分散を進めています。同時に、既存ブランドの継続的な製品改良と新製品開発にも注力し、顧客ニーズの変化を捉えるためのマーケティング活動を強化しています。さらに、ブランド価値向上のための戦略的な広告宣伝活動を展開し、競争力の維持・向上に努めています。
(2) 原材料調達に関するリスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:長期的/影響度:中)
当社グループの製品には、植物由来成分や機能性成分等、多様な原材料を使用しております。これらの原材料の調達が困難になった場合や価格が高騰した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、複数の調達先の確保によるリスク分散を図るとともに、主要原材料については長期供給契約の締結による安定調達に努めています。また、代替原料の研究開発を推進し、原材料の使用効率向上による原価低減にも取り組んでいます。これらの施策により、原材料調達リスクの軽減と安定的な製品供給の維持を目指しています。
(3) 品質管理リスク
(発生可能性:低/発生可能性のある時期:特定時期無し/影響度:大)
当社グループは、製品の品質管理を徹底しておりますが、製品に重大な品質問題が発生した場合、ブランドイメージの毀損や多額の費用負担が生じ、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、品質管理体制の継続的な強化と改善に取り組んでおり、製造委託先への定期的な品質監査を実施するとともに、トレーサビリティシステムの導入による製品管理の徹底を図っています。また、品質問題発生時の迅速な対応体制を整備し、影響の最小化に努めています。これらの取り組みにより、製品の安全性と品質の確保に万全を期しています。
(4) 新製品開発リスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:中長期的/影響度:大)
当社グループは、常に新たな製品やサービスの開発に取り組んでおりますが、新製品の開発が予定通りに進捗しない場合や、開発した製品が市場で受け入れられない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、市場ニーズの綿密な分析と予測に基づく製品開発を行っています。研究開発体制の強化と外部研究機関との連携を推進し、革新的な製品の創出に努めています。また、新製品の小規模テスト販売による市場反応の確認や、製品開発プロセスの継続的な改善と効率化にも取り組んでいます。これらの施策により、市場ニーズに合致した製品の開発と、開発リスクの低減を図っています。
(5) 法的規制リスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:中長期的/影響度:中)
当社グループの事業は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)、「食品衛生法」、「不当景品類及び不当表示防止法」(景品表示法)等を代表に、様々な法令を遵守した上で運営する必要があります。これらの法令の改正や新たな法規制の制定、または法令の解釈変更等により、当社グループの事業活動が制限される可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、法務部門の強化と外部専門家との連携により、法規制動向の把握に努めています。全社的なコンプライアンス教育を徹底し、製品表示や広告内容の厳格な審査体制を構築しています。また、業界団体との情報交換を通じて規制動向の早期把握に努め、迅速かつ適切な対応を図っています。これらの取り組みにより、法令遵守の徹底と法的リスクの最小化を目指しています。
(6) 為替変動リスク
(発生可能性:高/発生可能性のある時期:中長期的/影響度:中)
当社グループは、海外展開を進めており、2024年7月からアジア最大のドラッグストアチェーンWATSONSにてデュオの「ザ クレンジングバーム」7製品の店舗販売を開始する等、今後さらなる海外売上高の拡大を目指しております。これらの海外展開においては、外国通貨により当社製品の販売等を行います。そのため、為替レートの変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、為替変動を考慮した柔軟な価格設定や、為替変動の影響を最小化する調達・販売戦略の策定を検討し、為替変動が業績に与える影響の抑制に努めています。
(7) 自然災害・感染症等のリスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:特定時期無し/影響度:大)
予期せぬ大規模な自然災害や感染症の流行により、当社グループの事業活動が停滞するリスクがあります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、事業継続計画(BCP)の策定と定期的な見直しを行い、緊急時の対応体制を整備しています。在宅勤務体制の整備とデジタル化の推進により、柔軟な働き方を可能にしています。また、サプライチェーンの多様化と在庫管理の最適化に取り組み、製品供給の安定化を図っています。さらに、オンライン販売チャネルの強化により、販売機会の確保に努めています。これらの対策により、自然災害や感染症の影響を最小限に抑える体制の構築を目指しています。
(8) 宣伝広告及びマーケティングリスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:短期的/影響度:中)
当社グループでは、当連結会計年度は売上の31.2%投資するなど、広告宣伝活動を積極的に行っておりますが、広告宣伝活動が期待する効果を上げられない場合、顧客獲得が進まず、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、多様な広告媒体の効果測定と最適な媒体ミックスの実現に努めています。ターゲット顧客の詳細な分析に基づくマーケティング戦略の立案を行い、効果的な広告宣伝活動を展開しています。また、SNS運用ガイドラインの策定と徹底により、リスク管理を強化しています。さらに、クチコミマーケティングの強化による自然な認知度向上にも取り組んでいます。これらの施策により、効果的かつリスクの少ない広告宣伝活動の実現を目指しています。
(9) 顧客情報漏えいリスク
(発生可能性:低/発生可能性のある時期:特定時期無し/影響度:大)
当社グループでは、2020年にプライバシーマークを取得するなど、個人情報を適切に保護するための社内体制及び外部機関の認証を受けておりますが、顧客の個人情報が外部に漏えいした場合、信用失墜により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、情報セキュリティ管理体制の継続的な強化に取り組んでいます。従業員に対する情報セキュリティ教育を徹底し、情報管理の重要性について意識向上を図っています。また、外部専門家によるセキュリティ監査を定期的に実施し、脆弱性の早期発見と対策に努めています。さらに、個人情報の暗号化と最小限の取得・保管を原則とし、情報漏えいリスクの低減を図っています。これらの対策により、顧客情報の適切な管理と保護に努めています。
(10) 知的財産権に関するリスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:中長期的/影響度:中)
当社グループの知的財産権が侵害された場合や、逆に当社グループが他社の知的財産権を侵害した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、知的財産権の積極的な取得と管理体制の強化に取り組んでいます。他社の知的財産権に関する調査を徹底し、侵害リスクの低減に努めています。また、社内での知的財産教育を実施し、従業員の意識向上を図っています。さらに、外部専門家との連携により、権利侵害の早期発見と対応を可能にしています。これらの取り組みにより、知的財産に関するリスクの最小化と、自社の知的財産の保護・活用の両立を目指しています。
(11) 在庫リスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:短期的/影響度:中)
当社グループでは、適切な在庫水準の規律を定め、その規律に沿って需要予測を行っております。しかしながら、需給予測を誤り、過剰在庫を抱えた場合、棚卸資産の評価損の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、需要予測精度の向上と柔軟な生産体制の構築に取り組んでいます。在庫管理システムの高度化により、適正在庫の維持に努めています。また、販売チャネルの多様化による在庫リスクの分散や、季節商品の事前予約販売の強化にも取り組んでいます。これらの施策により、在庫リスクの軽減と効率的な在庫管理の実現を目指しています。
(12) 人材確保に関するリスク
(発生可能性:中/発生可能性のある時期:中長期的/影響度:中)
当社グループでは、新卒・中途共に積極的な採用を行い、競争力の源泉でもある優秀な人材の獲得とリテンションに注力しております。しかしながら、必要な人材を確保・育成できない場合、当社グループの成長戦略の遂行に影響を及ぼす可能性があります。
これらのリスクに対し、当社グループでは、魅力的な報酬制度と職場環境の整備に努め、優秀な人材の確保と定着を図っています。社内教育プログラムの充実により、人材育成の強化にも取り組んでいます。また、産学連携による専門人材の育成と確保にも注力しています。さらに、多様な働き方を支援する制度の導入により、幅広い人材の活用を目指しています。これらの取り組みにより、当社グループの成長を支える人材の確保と育成に努めています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して1,132百万円減少し、11,002百万円となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
流動資産は、前連結会計年度末と比較して347百万円減少し、8,882百万円となりました。これは主に、売掛金の減少353百万円によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比較して785百万円減少し、2,120百万円となりました。これは主に、ソフトウエア仮勘定の減少475百万円、繰延税金資産の減少517百万円によるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末と比較して352百万円増加し、4,877百万円となりました。主な増減要因は、次のとおりであります。
流動負債は、前連結会計年度末と比較して742百万円増加し、3,759百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加440百万円、契約損失引当金の増加308百万円によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末と比較して390百万円減少し、1,118百万円となりました。これは主に、長期借入金の減少385百万円によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して1,484百万円減少し、6,124百万円となりました。これは主に利益剰余金の減少1,483百万円によるものです。
その結果、自己資本比率は55.7%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、一部に足踏みもみられるものの、緩やかな回復が続きました。景気の回復を背景に個人消費にも持ち直しの動きがみられましたが、賃金上昇を上回る物価上昇等により消費者マインドは停滞する状況が続いております。国内化粧品市場においては、外出機会の増加により個人消費が回復し、円安によるインバウンド需要も回復しました。一方で、コロナ禍を機に国内化粧品市場の2極化が鮮明となっており、低価格帯市場の拡大傾向が続きました。
こうした状況の下、当社グループは、厳しい事業環境下においても着実に利益を創出できる筋肉質な企業体質の確立に向け、通販事業の立て直し、ブランドマネジメントの強化及びコスト構造の改善等の施策に取り組んでまいりました。
当連結会計年度における売上高は、子会社の株式会社ベネクスを通じて行っているリカバリー事業の売上が伸長したものの、当社で行っているアンチエイジング事業の売上が減収となり、全体では20,359百万円(前期比22.9%減)となりました。一方、営業利益は、アンチエイジング事業の減収により売上総利益が減少したものの、リカバリー事業の利益の伸長に加え、通販事業において獲得効率・転換率を重視した新規獲得方針に基づき広告宣伝費を中心とした販売費を効率運用したことや、事業規模に合わせた人件費・システム費等の固定費の適正化に努めたことから、139百万円(前期は営業損失611百万円)となり、経常利益は円安による為替差益の増加により161百万円(前期は経常損失631百万円)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純損失は、ソフトウエア仮勘定に係る減損損失及び契約損失並びに契約損失引当金繰入額を特別損失として計上したこと、及び繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額に計上したことから1,483百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失733百万円)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
なお、当社グループは、従来「アンチエイジング事業」のみの単一セグメントでありましたが、当連結会計年度より「アンチエイジング事業」「リカバリー事業」の2つの報告セグメントに変更しました。
アンチエイジング事業
(単位:百万円)
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2023年7月期 前連結会計年度 |
2024年7月期 当連結会計年度 |
前年度比 (%) |
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売上高 |
25,501 |
18,338 |
△28.1 |
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営業損失(△) |
△719 |
△139 |
- |
売上高
アンチエイジング事業の売上高は、18,338百万円(前期比28.1%減)となりました。
「デュオ」ブランドでは、「ザ クレンジングバーム」が5年連続クレンジング売上No.1(*1)を獲得し、シリーズ累計の出荷個数が2024年2月末に5,000万個を突破しました。しかしながら、市場全体でバーム剤型からオイル剤型へのシフトが継続するとともに、低価格バーム商品との競争が激化していることから、売上高は通信販売・卸売販売ともに減少しました。このような状況を打開するため、新たなテレビCMや美容家・インフルエンサーによるイベント、SNS等を通じて、ブランド価値、商品価値の理解を促進するコミュニケーションを引き続き強化するとともに、通販事業では継続率向上施策やロイヤル顧客の継続促進に注力、リテール事業では、デジタル媒体と店頭でのプロモーションを連動させた認知向上施策を実施してまいりましたが、これらの施策は十分な効果が得られるまでに一定の期間を要するため、効果は未だ限定的となりました。
「カナデル」ブランドにおきましても、美容家・インフルエンサーを活用した投稿・動画配信を通じて顧客にとっての価値訴求を継続しました。また、通販事業においては、獲得効率とその後の転換率を重視する新規獲得方針を徹底、リテール事業では、美容家・インフルエンサーとの連動に加え、店舗でのポイント施策等を実施し、店頭での訴求を強化してまいりました。しかしながら、オールインワン市場の厳しい競争環境が続いたことから売上高は前期実績を下回りました。
「クレイエンス」ブランドは、カラートリートメントの競争激化や広告コストの高止まりの影響を受けたものの、売上高はほぼ計画どおりの推移となりました。新規獲得施策に関しては獲得効率重視に方針を変更し、かかる費用を抑制いたしました。また、CRM施策強化による転換率改善に注力するとともに、美容家・インフルエンサーを活用し、正しい使い方を含む商品理解促進のコミュニケーションを継続しています。
この他、昨年度新たに投入したインナーケア事業のサプリメント「シントー リポソーム ビタミンC」は、インフルエンサー施策の強化により新規獲得件数が拡大、高濃度ビタミンCブランド「シーマニア」は配荷店舗数が6,300店舗に拡大するなど、いずれもテストマーケティングで好調を維持しましたが、主力ブランドの売上高の減少を補うには至っておりません。
営業損益
損益面では、通販事業において獲得効率・転換率を重視した新規獲得方針に基づき広告宣伝費を中心とした販売費を効率運用し、事業規模に合わせた人件費・システム費等の固定費の適正化に努めましたが、減収により売上総利益が減少したことから、営業損失は139百万円(前期は営業損失719百万円)となりました。
リカバリー事業
(単位:百万円)
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2023年7月期 前連結会計年度 |
2024年7月期 当連結会計年度 |
前年度比 (%)*2 |
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売上高 |
899 |
2,020 |
- |
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営業利益 |
106 |
278 |
- |
売上高
売上高は、旗艦製品のスタンダードドライプラスや移動時の休養をコンセプトとして新しい休養シーンの提案を行ったリカバリームーヴなどの新製品が販売をけん引、グループ間における事業連携やサプライチェーンの強化も貢献し、過去最高収益を達成する2,020百万円となりました。
営業利益
売上高の伸長により、営業利益も過去最高を更新する278百万円となりました。
*1 TPC マーケティングリサーチ株式会社調べによるブランド別クレンジングに関する調査(調査対象期間:2019 年 4 月~2024 年 3 月/調査時期:2024 年4月)
*2 リカバリー事業の売上高及び営業利益の増減率については、リカバリー事業が前連結会計年度の第3四半期連結会計期間より開始したことから記載しておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、4,753百万円(前連結会計年度末比94百万円増)となりました。
また、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は、425百万円となりました。(前年同期は2,422百万円の獲得)主な収入の要因は、売上債権の減少353百万円、棚卸資産の減少323百万円、主な支出の要因は、税金等調整前当期純損失902百万円、未払金の減少270百万円、未払消費税等の減少252百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、540百万円となりました。(前年同期は900百万円の使用)主な収入の要因は、敷金及び保証金の回収による収入277百万円、主な支出の要因は、有形固定資産の取得による支出629百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により獲得した資金は、183百万円となりました。(前年同期は179百万円の獲得)主な収入の要因は、短期借入金の増加440百万円、主な支出の要因は、長期借入金の返済による支出230百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年比(%) |
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アンチエイジング事業 |
3,275 |
△31.5 |
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リカバリー事業 |
822 |
- |
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合計 |
4,097 |
- |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.リカバリー事業の前年比については、リカバリー事業が前連結会計年度の第3四半期連結会計期間より開始したことから記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年比(%) |
|
アンチエイジング事業 |
18,338 |
△28.1 |
|
リカバリー事業 |
2,020 |
- |
|
合計 |
20,359 |
- |
(注)1.リカバリー事業の前年比については、リカバリー事業が前連結会計年度の第3四半期連結会計期間より開始したことから記載しておりません。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
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金額 (百万円) |
割合(%) |
金額 (百万円) |
割合(%) |
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株式会社井田両国堂 |
4,188 |
15.9 |
2,542 |
12.5 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」の「注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているとおりであります。
(棚卸資産)
棚卸資産の連結貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法を採用しており、棚卸資産の評価に際して、その判定は個別品目ごとに行っております。営業循環過程から外れた棚卸資産については、収益性の低下の事実を適切に反映するため帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。
営業循環過程から外れた棚卸資産の識別に用いた主要な仮定は、棚卸資産の滞留期間と将来における販売又は使用見込数量です。一定の滞留期間を超える棚卸資産は規則的に帳簿価額を切り下げております。また、一定の滞留期間を超過しない棚卸資産についても、将来の販売又は使用見込数量を超過する場合は当該超過分の帳簿価額を切り下げております。
市場環境が悪化して、営業循環過程から外れた棚卸資産が大幅に増加した場合には、追加の評価損が発生する可能性があります。
(返金負債)
返金負債の計上にあたっては、売上げた製品が品質上の欠陥等の理由で、返品される損失額を見積って計上しております。返金負債の見込額については、過去の返品実績を勘案の上、合理的に見積り判断しておりますが、実際の返品実績が見積りと異なる場合、返金負債の計上金額が変動する可能性があります。
(契約負債)
契約負債の計上にあたっては、過去の使用実績率に基づき将来使用されると見込まれる金額を計上しております。契約負債の見込み額については、ポイントの使用実績率などから将来の使用見込率を合理的に見積り判断しておりますが、今後、使用実績率に影響を与える変化が生じた場合には、契約負債の計上金額が変動する可能性があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産の計上にあたっては、将来の課税所得見込み及びタックスプランニングに基づき、繰延税金資産の回収可能性を検討しており、将来減算一時差異等のうち、将来の税金負担額を軽減する効果を有していると判断した部分についてのみ、繰延税金資産を計上することとしております。将来の課税所得の見積りの前提にした条件や仮定に変更が生じ、見直しが必要となった場合、繰延税金資産及び法人税等調整額の計上額に重要な影響を与える可能性があります。
(固定資産の減損損失)
固定資産の減損損失の計上にあたっては、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、そこから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額の合計を下回る場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、並びに減損損失の認識及び測定にあたっては、取締役会で承認された事業計画に基づいて将来キャッシュ・フローを算定しておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
売上高は前期比6,041百万円減の20,359百万円となりました。これは、リカバリー事業は順調に売上を伸ばしたものの、アンチエイジング事業において、主力の「デュオ」の売上が、クレンジング市場全体でバーム剤型からオイル剤型へのシフトが継続したことや、低価格バーム製品への流出が止まらなかったことから、通信販売・卸売販売ともに減少したことによるものです。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は前期比2,898百万円減の4,258百万円となりました。売上原価は製品原価が大部分を占めて構成されております。当連結会計年度においては、売上高の減少に伴い売上原価も減少しましたが、前期には財務体質の改善を目指した構造的な改革を推進するため棚卸資産の評価損を計上していたことから、当期の原価率は低下しております。
この結果、売上総利益は前期比3,142百万円減の16,100百万円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業損益)
販売費及び一般管理費は前期比3,893百万円減の15,961百万円となりました。これは主に広告宣伝費を中心とした販売費を効率的に運用し、事業規模に合わせて固定費を中心とした一般管理費を適正化したことによるものです。なお、売上高に対する広告宣伝費6,358百万円の比率は31.2%となり前期の32.6%から1.4ポイント減少しました。
この結果、営業利益は139百万円となりました。
(営業外損益及び経常損益)
営業外収益は前期比24百万円増の49百万円となりました。これは主に為替差益の発生によるものであります。また、営業外費用は前期比17百万円減の27百万円となりました。これは主に貸倒引当金繰入額がなくなったことによるものであります。
この結果、経常利益は161百万円となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)
特別損失は1,063百万円となりました。これは主にソフトウエア仮勘定に係る減損損失及び契約損失並びに契約損失引当金繰入額を特別損失として計上したことによるものです。また、法人税等については繰延税金資産を取り崩し法人税等調整額に計上したことから前期比506百万円増の581百万円となりました。
この結果、親会社株主に帰属する当期純損失は1,483百万円となりました。
③ 財政状態の分析
当社グループは、財務体質の改善を目指した構造的な改革を推進するため、前期に棚卸資産の評価損を計上しました。今期も引き続き在庫管理を徹底し、適正な棚卸資産の水準を維持しています。また当連結会計年度においては、ソフトウエア仮勘定の減損を実施するなど資産の透明性・健全性を向上させています。なお、純損失の計上に伴い株主資本が減少したものの、自己資本比率は55.7%と健全性は維持しています。
財政状態の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」をご参照ください。
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末から94百万円増加し4,753百万円となりました。当社グループにおける広告宣伝費の多くは、新規定期顧客を獲得するための投資に位置付けられる費用であり、投資額を回収するまでには一定の期間を要します。
当社キャッシュ・フローの状況の分析の詳細につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要の主なものは製造費用、販売費及び一般管理費に含まれる広告宣伝費、業務委託費であります。これらの運転資金につきましては内部資金または銀行からの借入により資金調達することとしております。また、一時的な資金の不足については当座貸越枠等により、十分な借入金の与信枠を設定し、必要資金を適時に確保する体制を整えております。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑧ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高、営業利益及び親会社株主に帰属する当期純利益並びに売上高営業利益率を重要な経営指標として位置付けております。
前連結会計年度及び当連結会計年度の経営指標は、次のとおりであります。売上高営業利益率は当連結会計年度が0.7%となり、前連結会計年度を上回ることとなりました。
また、新規顧客獲得において、デジタルマーケティングを主軸に広告宣伝費を投下しておりますが、その大半が成果報酬形式による支出となるため、売上高の変動費と位置付けられ、費用対効果を確保したコントロールを行っております。売上高広告宣伝費率は当連結会計年度が31.2%となり、前連結会計年度を下回っておりますが、多額に計上されております。
今後も引き続き売上原価の低減、費用削減に取り組むことによって、売上高及び営業利益の増加、売上高営業利益率の上昇を目指してまいります。
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当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
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金額(百万円) |
前年比(%) |
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売上高 |
20,359 |
△22.9 |
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営業利益 |
139 |
- |
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当期純損失(親会社株主に帰属する当期純損失)(△) |
△1,483 |
- |
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売上高営業利益率 |
0.7% |
3.0 |
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広告宣伝費 |
6,358 |
△26.1 |
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売上高広告宣伝費率 |
31.2% |
△1.4 |
当社は、2023年9月14日開催の取締役会において、当社の完全子会社であるプレミア・ウェルネスサイエンス株式会社を吸収合併することを決議し、同日付で合併契約を締結し、2023年11月1日付で吸収合併いたしました。詳細は、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)に記載のとおりであります。
当社グループは、「デュオ」ブランドのコンセプトである「自然×科学」、つまり肌への優しさと効果を両立させるためのサイエンスをしっかりと取り入れ、肌を土台から立て直すという発想の「ハイブリッドコスメ」の開発を進めています。厳選した原材料とテクノロジーを掛け合わせ、価格を上回る価値をお客様に提供することをモットーに、技術部門と商品企画部門が連携して製品の開発を進めております。取扱商品を継続的に拡大し、特定商品に過度に依存しないよう製品のリリースを随時行っております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は