第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。

「全従業員の物心両面の幸福と安定を追求致します。世界中の人々の喜びのためにクリエィティブな美しさを宿したジュエリーを創造し提供し続けます。」という当社の経営理念を実現するために下記の経営方針を掲げております。

1.夢あふれる商品を造ります。

2.造り手の満足、買い手の満足、使用者の満足、この三つの満足が成り立つことだけを行います。

3.感謝の心を忘れません。

4.誠実で透明な情報公開を致します。

5.世の為、人の為になる個人であり企業体であり続けます。

なお、当社グループは、経営の基本方針に基づき、魅力的で価値のある商品づくりを行うことが重要な経営課題と考えております。また、安定的な経営基盤確保のため、内部留保に重点を置くとともに株主に対する利益還元を重点課題として認識しています。

 

(2) 目標とする経営指標

将来に亘る事業の存続と発展を期するためには、継続的な新商品の開発研究と、人材確保、並びにこれらの活動を支える利益が不可欠であると考えています。

このため、当社グループでは、営業利益率を重要な経営指標と位置付けています。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

世界的なインフレの進行や資源価格の高騰等、マクロ環境は厳しい状況が続いていますが、一方で海外市場は製品軸・エリア軸ともに深耕の余地が大きく、国内市場は新型コロナウイルス感染症の行動制限の撤廃や雇用者所得の改善等により消費者マインドは向上しつつあります。こうした事業環境下、次の4つの重点課題への取り組むことにより、具体的に成果を上げていきます。

① 海外事業へ重点的に経営リソースを投入する

② 全ての部門で生産効率を重視し、適正価値を適正価格で顧客に届ける

③ 世界市民の一員として、サステナビリティの取組みを加速する

④ 社員エンゲージメントを向上させる

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は「世界中の人々の喜びのためにクリエイティブな美しさを宿したジュエリーを創造し、提供し続けます」という理念に基づき事業を展開しております。

今後においても、オリジナル製品の開発を通じてお客様のニーズや新たな市場を創造し、世界中のブランドと共生することにより、世界で唯一無二のジュエリー、アクセサリーメーカーであり続けたいと考えております。そのために対処すべき課題は以下の通りです。

 

 

(特に優先度の高い対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 技術開発

ジュエリー・アクセサリー等の宝飾品の製造は、機械化が難しく職人の手作業により製造されています。製造工程の機械化ができれば、使用する貴金属の削減や大量生産による市場への安価な製品供給等も可能となります。このため、サプライチェーンの強靭化は当社の海外事業推進上、重要な戦略課題と考えております。加えて、「Dancing Stone」、「スターシリーズ」、「Single Dancing Stone」に次ぐ特許技術等を開発し、安定した収益を継続的に確保して行くために、開発体制の整備を図ることを重要な課題と認識しております。

 

② 新規事業の創出

企業収益を確保し、成長し続けるためには、既存事業の伸長はもとより従来とは異なる成長分野において、新たな事業を創出していくことを重要な課題と認識しております。そのためには社内リソースの活用だけではなく、外部リソースを活用することが重要と考えており、事業提携等のあらゆる可能性を追求してまいります。

 

③ 経営基盤の強化

中長期的成長に不可欠な経営基盤の強化という観点から、財務基盤の強化及び計画的な設備投資を継続して行います。また、常に変化する経営環境にいち早く対応するために、生産性の向上や費用対効果が悪い施策の見直し、徹底的なコスト削減の実施等を行い、コスト水準をもう一段階抑制し、業績改善に向けた経営基盤の強化に努めてまいります。

 

(その他の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)

① 生産性向上のためのシステム活用

当社グループは、一人当たり生産性の向上による全社的なコスト低減に努めております。今後も引き続き、人材育成・教育によりシステム処理能力の向上を図り、BtoBサイトを活用した非対面型ビジネスモデルへの転換やデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進して、利益率の改善に努めてまいります。

 

② 人材の確保及び教育の強化

今後の業容拡大に向け、当社グループの成長に貢献できる優秀な人材の育成・獲得が重要と考えており、特に海外事業を充実させることを目的に実務的なスキル強化・人材育成に取り組んでまいります。また、これまでの価値観に捉われず、変化に柔軟に対応できる人材が必要であると考えており、社内外の研修やOJTを通じて一人ひとりの従業員が業務の見直しや改善提案ができるよう育成してまいります。

 

③ 財務体質の強化

当社グループは経営の健全性を保つために、キャッシュ・フローを重視した経営に努めておりますが、今後の事業強化や拡大を図るための資金が必要となります。手元資金に加え、資金調達を実施し、成長に資する財務基盤を構築してまいります。

 

④ 優秀なエージェントの獲得による国際展開・海外事業の拡大

インドを中心とした東南アジア等の各国の経済成長は著しく、それに伴い宝飾品市場も今後より一層拡大すると見込んでおり、当社グループの成長を加速するうえで海外における事業拡大は必須であると認識しております。そのため、今後も継続して既存市場の深耕や新規市場の開拓を推進するため、新たな海外販売代理店及び優秀なエージェントの獲得等によって戦略的なグローバル展開を強化してまいります。

 

 

⑤ 自社ブランドの知名度向上

当社グループは、「Dancing Stone」に関連する特許の期間満了後も競争優位性を確保するために顧客に提供する商品、サービスにおいて信頼感、安心感をブランドとして浸透させることが重要であると認識しております。そのため、商品の品質向上に努めるとともに、新規開発した「Single Dancing Stone」等の拡販に努め、顧客に当社ブランドの知名度を向上させるための施策を積極的に実施してまいります。

 

⑥ 模造品対策

正規取引の機会提供により、模造品製造業者をライセンス契約先に転換する施策を実施しております。現地弁護士事務所と連携し模造品排除の活動を継続的に実行するとともに、模造品対策サービスの活用や販売政策を通じて模造品を駆逐する取組みを進めてまいります。

 

⑦ 自然災害への取り組み

人類が感染症との共存を進めていく中で、また震災や水災等の自然災害に対しても、当社グループは社員及び関係するステークホルダーの健康や安全を最優先に考えて事態に対応します。また、事業継続計画(BCP)等に基づき、非常事態の事業への影響を最小限に止めるよう体制の整備に努めてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループが掲げる「100年企業を創造する」は、社会の公器として事業を持続可能なかたちで発展させ、この実現過程を通じて人類が直面する社会課題をより良い方向に解決していくことを指しています。この社是の実現に向けて、効率的、機能的なガバナンス体制を構築するとともに、社会の財産たる社員がサステナブルに自己実現できる環境の整備に尽力してまいります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

2023年10月27日開催の第36期定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議されたことにより、当社は同日付をもって監査役会設置会社から監査等委員会設置会社へ移行しております。これにより、変化の激しい経営環境に対応するため、取締役会と監査等委員会により業務執行の監査及び監視を行い、経営会議においてグループ経営全般の重要事項を迅速に決定し、効率的かつ透明性の高い経営に努めております。

また、当社グループは、代表取締役社長を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス及びリスクマネジメントの状況を把握し、リスク管理を適切に行うとともに、コンプライアンスの迅速な対応のため全社的なマネジメント体制を整えております。また、リスク・コンプライアンス委員会ではリスク及びコンプライアンスに関する重要項目を設定し、当該項目のモニタリング及びリスク対策に関する協議を定期的に実施しています。重要な情報についてはリスク・コンプライアンス委員会事務局を管掌する取締役により取締役会並びに監査等委員会に報告し、適宜適切な議論を行っております。

 

(2) 戦略

当社グループは、「世界中の人々の喜びのためにクリエイティブな美しさを宿したジュエリーを創造し提供し続ける」ために以下の戦略を実行しています。

① 「知財」を製品差別化の根幹に位置づけ、「共生」を戦略の軸に世界中のジュエリー、アクセサリーブランドに製品を供給します。

② ジュエリー、アクセサリーを世界中の消費者に身近なものとして感じてもらえるように、また地球環境負荷の低減に資するため、セラミック等の新素材の製品化を推進し、高品質低価格商品の拡販に努めます。

③ 社員の物心両面の幸福に貢献します。社員がやりがいを実感できる透明公正な人事制度の構築及びメンテナンスはもちろんのこと、社員エンゲージメントの重要な要素である就業環境の改善に積極的に取り組みます。

④ SDGsに積極的に取り組みます。

項  目

取組み

気候

気候変動イニシアティブ(※1)に加入し世界的な気候変動対策推進にコミットするとともに、エアコン温度の適正管理、休憩時間の消灯、省電力設備への切り替え、業務のIT化等を通じて温室効果ガスを削減します。

紛争鉱物・ダイヤモンドの不使用

キンバリープロセス(※2)、ドッド・フランク法(※3)の遵守等、サプライチェーンの透明化にコミットします。

地域貢献

地域市民の一員として、当社社屋を緊急災害時避難場所として提供、社屋周辺のごみ拾い活動の実施、社屋にクリスマスイルミネーションを飾り付けて道行く人に癒しを提供させていただきます。

 

(※1)気候変動イニシアティブ(JCI)は、宣言「脱炭素化をめざす世界の最前線に日本から参加する」に賛同し、気候変動対策に積極的に取り組む企業や自治体、団体、NGO等、国家政府以外の多様な主体の情報発信や意見交換を強化するためのネットワーク。

(※2)紛争国の反政府組織やテロリストの資金源となったダイヤモンドの取引に対して、国際連合が制定した輸出入を規制する仕組み。

(※3)「タンタル、錫、タングステン、金(3TG)」を紛争鉱物(コンフリクト・ミネラル)と定義。法の対象となる米国上場企業は、自社製品に使用される紛争鉱物が、これらの地域の武装勢力の資金源となっているかどうかを把握し、年次で開示することを義務付けている。

 

 

(3) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

(人材育成方針)

経営理念の実現のためには、事業推進上必須の要件となるコア・コンピタンスを備えたプロフェッショナル人材が不可欠であり、コア・コンピタンスに基づく人材の多様性の確保と、その人材が充実感を持てる職場環境作りは特に重要な課題と認識しています。人材育成方針としては、「周囲に信頼される」「他人にツケを回さない」ことをベースに、目的目標の完遂に向けて、社員一人ひとりが自律的に考え主体的に活動する人材の育成をオンサイト、オフサイトを通じて図っています。

(社内環境整備)

当社グループの理念に共感し、行動する社員の多様な個性を尊重します。多様な国籍・スキル・経験・性別・バックグラウンドを持った社員がそれらと無関係に適正かつ公正に評価され、個々の能力を最大限発揮できるよう設計され実施している現行制度を一層充実させるとともに、個々のワーク・ライフ・バランスの尊重等によって、すべての社員が最大のパフォーマンスを発揮する職場環境を作ることで、社員の物心両面の幸福を実現します。

 

(4) リスク管理

本章(1)ガバナンスに記載の通りです。

 

(5) 指標及び目標

当社の管理職は、性別、国籍、採用区分、採用年次の区別なく、人事制度に基づき能力や意欲及び適性を総合的に勘案して登用しておりますが、現状では性別、外国人、中途採用者の区分による管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりません。

 

(6) 人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績指標

指標及び目標

過去の実績

有給休暇取得率90%以上の維持

2020年7月期:73%、2021年7月期:86%、2022年7月期:107%

2023年7月期:96%

時間外勤務の2020年7月期対比
25%の削減維持

2021年7月期:△34.18%、2022年7月期:△25.09%

2023年7月期:△28.08%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業活動に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資家の判断上、重要であると考えられる事項については投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループの事業若しくは本株式への投資に関連するリスクを完全に網羅するものではありませんので、この点にご留意ください。

 

(1) 経済状況リスクについて

当社グループは、海外事業に利益の多くを依存しております。このため、インフレーションの高進、金利上昇による世界経済の急激な景気後退及びそれに伴う需要の低下が発生した場合、当社グループが提供する製品の需要の減少や価格競争が激化することによって、当社グループの業績が悪化する可能性があります。当社グループでは、グローバルでの経済状況の変化を注意深く見守り、状況に応じた対応が取れるように対策を行っております。

 

(2) 特定商品への高い依存

当社グループの業績は、当社が開発し、特許を取得している宝石が揺れる仕組み「Dancing Stone」を利用した製品・パーツ販売に大半を依存しており、その割合は2024年7月期実績で全売上高の47.5%となっております。

よって、「Dancing Stone」を使用した新製品が、ユーザーニーズに適合しない等の理由により需要が減少した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、製品の品質向上に努めると共に、「テニスチェーン」や「EXL-LOCK」に加え、新規開発した「Single Dancing Stone」等の拡販に努め、各種製品での売上向上を目指してまいります。

 

(3) ブランド価値について

当社グループが事業を成長させるためには、ブランド価値を維持・発展させることが重要であり、当社のブランドを毀損するような、製品リコール及び賠償金等が発生した場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、模造品に関して、当社は模造品の増加を防止するための施策をとっておりますが、模造品の製造や販売が続く場合、当社のブランド価値や経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 国際展開について

当社グループは、国内におけるジュエリー商品及び製品の販売のほか、海外において「Dancing Stone」のパーツ、「テニスブレスレット」、「EXL-LOCK」等の販売を行っております。成長率の高い海外売上高比率を高めるため、連結子会社のCrossfor H.K. Ltd.や歌思福珠宝(深圳)有限公司を中心に、世界の主要市場を開拓する代理店やエージェントの契約を進め、現地事情に即した販売活動を進めることで更なる事業拡大を目指しております。しかし、各国の法令、制度・規制、政治・社会情勢、文化、宗教、ユーザー嗜好、商習慣の違い等をはじめとした潜在的リスクに対処できず、事業を推進していくことが困難となった場合や各国において事業が計画通りに進捗しない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 為替の変動リスクについて

当社グループは、積極的な海外展開を行っておりますが、海外との取引は、米ドル、香港ドル及び中国元等の外貨建てで行われており、外貨建ての取引が増加し、当初想定した為替レートと実勢レートに著しい乖離が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を与える可能性があります。

また、海外子会社の財務諸表は現地通貨にて作成されるため、連結財務諸表作成時に円換算されることになり、為替相場の変動による円換算時の為替レートの変動が、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 原材料の市場動向

当社グループにおける主要製品の主原料購入価格は、金、プラチナ及びダイヤモンド等の海外市況に影響され変動致します。これら主原料の購入価格が急激に変動し、製品の需給状況等によりタイムリーに製品価格に転嫁できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 知的財産権について

当社グループにおいては、売上高に占める特許製品の比率が高くなっております。また、「Dancing Stone」の日本における特許期間は2033年9月13日迄となっており、特許権の権利満了に伴い、他社も同様の技術を利用可能となります。売上高に占める割合が高い製品について、他社も同様な技術を利用可能となった場合は、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を与える可能性があります。

また、当社グループでは知的財産権を確保する措置を講じておりますが、第三者により知的財産が侵害され模造品が流通する等の事態が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

特許権の名称

国名等

登録年月日

登録番号

存続期間満了日

身飾品

(Dancing Stone)

 

 

 

 

 

日本

2013年12月6日

第5424435号

2033年9月13日

アメリカ

2015年10月27日

9167872

2034年3月31日

欧州

2016年12月21日

2848153

2034年3月18日

韓国

2015年8月27日

10-1549448

2034年3月21日

台湾

2016年12月21日

I562744

2034年3月25日

カナダ

2016年8月2日

第2845001号

2034年3月7日

ロシア

2015年10月16日

2568401

2034年3月27日

オーストラリア

2015年8月20日

2014201430

2034年3月12日

メキシコ

2017年12月8日

352807

2034年4月8日

イスラエル

2018年3月1日

231459

2034年3月11日

カンボジア

2016年11月30日

KH/GP00009

2034年3月7日

香港

2017年6月9日

HK1208315

2034年3月27日

タイ

2017年9月21日

57687

2034年3月12日

インドネシア

2019年5月17日

IDP000058865

2034年3月11日

マレーシア

2019年3月26日

MY-169361-A

2034年3月26日

ベトナム

2019年4月2日

1-0020873-000

2034年3月27日

シンガポール

2018年9月13日

10201400864S

2034年3月21日

インド

2021年3月22日

362406

2034年3月21日

ブラジル

2021年8月31日
BR102014013659-2

2034年6月5日

 

 

(8) 景気変動によるリスクについて

当社グループで取り扱っている商品及び製品は生活必需品ではないため、景気変動及び物価上昇に伴う消費者の消費マインドの変化による影響を受け易く、景気が悪化するなど消費環境が変化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(9) 品質管理について

当社グループでは、外注及び自社で製品を製造しております。品質基準を定め、外注先及び自社製造担当者の品質管理に関して指導・育成を行うほか、自社製品を納品する際には検品して、製品の品質の確保に努めております。当社グループは製品の特性に応じて最適な品質が確保できるよう、徹底した品質管理に取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質に関する問題が発生し、リコール、訴訟等に発展した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 個人情報の漏えいについて

当社グループは個人情報を含む多数の顧客情報を取得し管理しております。当社グループでは個人情報の取扱いと管理には細心の注意を払い、情報管理の重要性を周知させるべく社内でのルール化やその手続の明確化及び徹底を図っておりますが、当社グループが扱う情報について、外部からのアクセス、システム運用における人的過失、従業員の故意による顧客情報の漏えい、消失、改ざん、又は不正利用等が生じる可能性があり、そのような事態に適切に対応できず信用の失墜、又は損害賠償請求による損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 人材の確保について

当社グループは、海外売上高比率が高くなっております。グローバルな事業展開において継続的に事業を発展させるためには、海外の宝飾品市場に知見のある人材の確保、育成を継続的に推進していくことが重要となります。

事業の継続的発展のために必要な経験者の通年採用を積極的に展開し、また、公平な評価・処遇制度の充実等、社員のモチベーションを向上する仕組みを構築し、社員の定着と育成に努力しておりますが、必要な人材を予定通り確保、育成できない場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 小規模組織であることについて

2024年7月末における当社グループ組織は、役員10名及び従業員74名と小規模であり、内部管理体制もこのような規模に応じたものとなっております。また、今後事業拡大に伴い内部管理体制の一層の充実を図る方針ではありますが、当社グループが事業拡大や人員の増強に即応して、適切かつ十分な組織的対応ができるか否かは不透明であり、これらが不十分な場合には組織的効率が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 特定人物への依存について

当社グループの運営は、代表取締役社長である土橋秀位をはじめとする主要な経営陣に大きく依存しております。当社グループは事業の拡大に伴い、過度に経営陣に依存しない体制を構築すべく、経営組織の強化を図っておりますが、現時点において何らかの理由により、主要な経営陣の業務遂行が困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 有利子負債依存度について

当社グループは、設備投資や運転資金等に必要な資金を主に金融機関からの借入により調達しており、有利子負債が3,191,232千円(2024年7月末現在)、有利子負債依存度が61.2%と高い状態にあります。今後は、営業活動によるキャッシュ・フローの拡大から創出される余剰資金等により有利子負債依存度の改善を進め、財務体質の強化に努める方針ではありますが、新たな設備投資等に伴う金融機関からの借入の増加や金融情勢の変動により金利が大幅に上昇した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 自然災害、事故等のリスクについて

当社グループ施設の周辺地域において、大地震や津波、台風、洪水等の自然災害あるいは予期せぬ事故等が発生し、施設に物理的な障害が生じて当社グループの販売や物流、仕入活動が阻害された場合、通常の事業活動ができなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(16) 製造設備の減損損失のリスク

当社グループは、テニスチェーン等の製品の製造、その生産能力向上、品質向上又は生産性向上等のため製造設備等の設備投資を継続的に行っております。

有形固定資産については資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行っております。かかるテストの結果、これらの資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識する必要性が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識並びに分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財務状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度(2023年8月1日~2024年7月31日)の連結売上高は3,413,982千円(前期比13.6%増)となりました。

海外売上高は、世界的に伸長したインフレ経済下においても実質賃金の増加や株高等に支えられた個人消費は力強く、タイ、インド、韓国、米国等、当社グループの主力市場への売上は前連結会計年度に比べて堅調に推移しました。また中国については、大陸向けの売上は不動産市況の低迷を受けた個人消費が低調であったため、マーケット規模に応じた売上を確保することができませんでした。一方香港においては、同地で開催された展示会においてプロモーションを兼ねた製品販売を強化し、前連結会計年度を大幅に上回る売上を計上しました。こうした結果、当連結会計年度の海外売上高は1,258,595千円44.3%増)と大幅な増収を達成しました。

国内売上高は、当連結会計年度を通じて、売上の絶対額を追求するのではなく、適正な売上総利益率の確保に取り組んでおります。販売チャネル別に円安及び地金の高騰に対応した企画提案を行い、通販事業者や大手小売店への成果は顕在化しております。しかしながら、地方において取引先店舗や催事に客足が戻り切るに至らない等の影響もあり、当連結会計年度の国内売上高は2,155,386千円1.0%増)と前連結会計年度に比べて微増に留まりました。

売上総利益は、利益率の高い海外売上高比率が前連結会計年度に比べて高まった結果、1,140,343千円(前期比30.4%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、未来への成長エンジンと位置づけ、第2四半期連結会計期間より新基幹システムの減価償却を開始したこと及び海外展示会への出展を加速した結果、1,156,821千円(前期比7.3%増)となりました。

営業利益は、第3四半期に比べて棚卸資産の評価損計上額が21,681千円増加したこと、並びに当連結会計年度末に向けて棚卸資産の圧縮に取り組んだ過程において、当連結会計年度の製造労務費及び経費の棚卸資産額への配賦額が減少し、売上原価額へ配賦額が一時的に増加した影響を受け、営業損失16,477千円(前連結会計年度は営業損失203,777千円)となりました。

営業外収益は、前連結会計年度から大きな変動はなく42,122千円となりました。営業外費用は、前年同期に比べて支払利息が4,559千円増加しましたが、前連結会計年度に計上した抗菌サービスに係る棚卸評価損が20,264千円減少したことから、合計で32,077千円となりました。

この結果、経常損失は6,432千円(前年同期は経常損失224,159千円)、税金等調整前当期純利益は、当連結会計年度末に第5回ストックオプションの権利消滅処理を行い、新株予約権戻入益35,575千円を計上したことから29,201千円(前年同期は税金等調整前当期純損失217,983千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は28,391千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失272,400千円)となりました。

当連結会計年度の業績は、全ての利益項目において前連結会計年度に比べて改善致しましたが、期初に開示した業績予測を達成することができませんでした。この結果は誠に遺憾であり、各ステークホルダーの皆様に謹んでお詫び申し上げます。しかしながら、これまで進めてきた施策は着実に成果を上げており、当社グループがグローバルで唯一無二のジュエリー・アクセサリーブランドであり続け、未来に向けて着実に成長していくため、以下の施策を継続して実施していきます。

具体的には以下の通りです。

1)世界中のブランドと共生できるオリジナル製品の開発

・フレキシブルバングルの開発

 

2)グローバル拡販の加速

・北米市場の深耕

3)デジタルトランスフォーメーションの推進

・クロスフォー for Business(※1)と基幹業務システムの連携による全世界を対象としたデジタルマーケティングと受注自動化への備え

4)事業の拡大とサステナビリティへの取組み

・RJC(※2)への加盟手続きの開始

 

※1「クロスフォー for Business」とは、企業間の取引(モノやサービスの売買など)をインターネット上で行うサイトです。

※2「RJC(Responsible Jewellery Council:責任あるジュエリー協議会)」とは、金及びダイヤモンドを取り扱う宝飾業界を対象とした、社会・環境責任の範囲をカバーする規範と規格を開発する国際的な非営利組織です。

 

b.財政状態の状況

ⅰ.資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ41,517千円減少し、5,218,136千円となりました。これは主に、商品及び製品が356,434千円、有形固定資産が56,137千円減少し、現金及び預金361,695千円増加したこと等によるものであります。

ⅱ.負債の部

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ24,443千円減少3,427,526千円となりました。これは主に、長期借入金(1年以内返済予定を含む)が179,093千円減少し、短期借入金140,000千円増加したこと等によるものであります。

ⅲ.純資産の部

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ17,074千円減少し、1,790,610千円となりました。これは主に、剰余金の配当を12,710千円、新株予約権の取崩を35,575千円行ったことにより減少し、新株予約権の行使に伴い資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,650千円、親会社株主に帰属する当期純利益28,391千円の計上に伴い、利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ324,540千円増加し、909,385千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により獲得した資金は483,116千円(前期は406,378千円の支出)となりました。

これは主に、棚卸資産の減少額319,509千円、仕入債務の増加額47,855千円、税金等調整前当期純利益29,201千円等の増加要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は72,574千円(前期は165,014千円の支出)となりました。

これは主に、無形固定資産の取得による支出23,544千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は104,641千円(前期は415,551千円の収入)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出529,092千円等の減少要因があったものの、長期借入による収入350,000千円等の増加要因によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、ジュエリー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

a.生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年8月1日

2024年7月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

ジュエリー事業

2,273,638

90.1

合 計

2,273,638

90.1

 

(注) 金額は、製造原価によっています。

 

b.受注実績

当社グループでは、概ね受注から販売までの期間が短く、また、一部については見込生産を行っているため、受注実績の記載を省略しております。

 

c.販売実績

当社グループの販売実績を地域別に示すと次のとおりであります。

地域別

当連結会計年度

(自 2023年8月1日

2024年7月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

国内向け商品及び製品販売

2,155,386

101.0

海外向けパーツ、製品販売

1,258,595

144.3

合 計

3,413,982

113.6

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SWAROVSKI MANUFACTURING(THAILAND) CO., LTD.

301,766

10.0

366,869

10.7

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 b.財政状態の状況」をご参照ください。

 

 

(経営成績の分析)

a.売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ407,860千円増加し、3,413,982千円となりました。

売上高の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ142,070千円増加し、2,273,638千円となりました。主な要因は、当連結会計年度の売上高が前連結会計年度に比べて407,860千円増加したこと、さらに相対的に国内売上高よりも売上原価率の低い海外売上高の比率が前連結会計年度に比べて増加したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ265,790千円増加し、1,140,343千円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ78,489千円増加し、1,156,821千円となりました。

この結果、当連結会計年度の営業損失は、16,477千円(前期は営業損失203,777千円)、営業利益率は△0.48%(前期は△6.8%)となりました。

 

販売費及び一般管理費、営業利益の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ7,222千円増加し、42,122千円となりました。

また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ23,203千円減少し、32,077千円となりました。

この結果、当連結会計年度の経常損失は、6,432千円(前期は経常損失224,159千円)となりました。

営業外損益、経常利益の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

e.特別損益、税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ13,954千円増加し、35,633千円となりました。

特別損益、税金等調整前当期純利益の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は、29,201千円(前期は税金等調整前当期純損失217,983千円)となりました。

 

f.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税等は810千円となりました。主な要因は、法人税等調整額△2,946千円を計上したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、28,391千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失272,400千円)となりました。

 

 

(経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)

a.売上高・売上原価

当社グループは、売上高を地域別、商品及び製品別、顧客別に分析しております。当連結会計年度においては売上高に占める海外売上高の比率が前連結会計年度に比べて上昇し、業績回復につながりました。

今後の安定成長に向けては、売上総利益率の高い海外売上高を伸長させることが必須の条件であり、また同時に特定地域、顧客、商品及び製品に売上を依存しないよう販売ポートフォリオの適正化も進めていく必要があると考えております。

b.棚卸資産

当連結会計年度は前連結会計年度に比べて棚卸資産が317,875千円減少し、1,984,752千円となりました。海外大手ブランドの発注ロットに迅速に対応していくためには、一定の棚卸資産を保有することは必要ですが、キャッシュ・フローを安定させる目的からも、商品及び製品販売マトリクス戦略に従った商品及び製品別適正在庫残高の管理を一層進めていく必要があると考えております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

キャッシュ・フローの状況の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための地金購入費用及びその加工費であります。それらの財源は営業キャッシュ・フロー及び金融機関から調達した有利子負債であり、状況に応じて充当しております。

また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、PSIに基づいた在庫の適正化及び売上債権の適正管理に努めてまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は新製品の開発活動として製品の成型方法及び製造技術の開発を行い製品の試作・製品化を行っております。新製品の開発は代表取締役社長が中心となって企画・立案しております。代表取締役社長のジュエリー業界での長年の経験と豊富な知識から生み出される独創的なアイデアをもとに、企画室の担当及び生産部の技術責任者がスタッフとして新製品の開発に加わり、製品化が進められます。

当連結会計年度における研究開発費の総額は32,427千円であります。

当社グループは、ジュエリー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。