第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営の基本方針及び経営環境

①経営の基本方針

当社は、「株式会社東武住販は、エコモデルの創造を通して人と環境に優しい暮らしづくりに貢献します」を経営理念として掲げ、「あるものを活かす」をキーワードに中古住宅の買取再生、あるいは売買仲介、賃貸仲介等を営んでおります。

当社の創業者であり、代表取締役社長である荻野利浩氏は、幼少時代を貸家で過ごした経験から持ち家に対する憧憬の念を抱き、不動産業、特に住宅販売を志向しました。また、常務取締役の細江直樹氏と取締役の三浦直樹氏は、当社で長く不動産売買事業に携わり、持ち家を諦めていた顧客層に中古住宅という選択肢を提供してきた実績を数多く有しています。

当社は、顧客に近く地域に密着した不動産事業を展開するため、小規模な店舗を中心に組織を構成しております。主力の不動産事業については、業務執行取締役(営業担当)の管掌の下に地域ごとの不動産営業部が存在し、各店舗が日々の営業活動を行っております。また、セグメントのその他事業に属する事業開発部の中で介護福祉事業が営業活動を行っております。総務部、経理部及び経営企画室は、各営業を支援する事務部門であります。

 

経営環境

ア)不動産売買市場の概況

当社の主力事業である不動産売買事業は、大きく分けて2事業になります。一つ目は、当社が築年数20~40年の中古住宅を買取って、外壁の塗装や水回り品の交換、あるいは駐車場増設等のリフォーム工事を工事会社に委託して、年収300万円前後の一次取得者を中心にリーズナブルな価格で提供する自社不動産売買事業です。二つ目は売主と買主の間に立って不動産の売買契約の締結を支援する不動産売買仲介事業です。

両事業は市場が分かれているわけではなく、需要側も供給側も重複しております。

当社の売上高のうち8割を占める、リフォーム済の中古戸建及び中古マンションの販売は、リフォーム産業新聞によると、「買取再販」に属します。2023年の買取再販の市場規模(同紙「中古住宅・買取再販&リノベ市場データブック2024-2025」)の推計値は、取引額1兆3,300億円(前年比6.4%増)、戸数47,000戸(同6.8%増)と前年を上回りました。同紙の分析によると、在宅時間の増加によって住宅需要が回復したもようです。長期的には空き家問題や環境問題への対応という観点からも中古住宅の活用を目指して、政府が中古住宅の流通市場の整備を図っていることから、買取再販の市場拡大が予想されます。

当該事業における当社の位置づけをみますと20位になります。このランキングの上位には中古マンションを主とする買取再販の事業者が多く、当社の主な取り扱いとなっている戸建住宅に限って言えば、当社は全国で3位になります。

また、不動産売買仲介手数料については、同紙中古住宅・買取再販&リノベ市場データブック2024-2025」によると、2018年に全体で3,127億円(前年比15.4%増)となっております。

政府は空き家対策の一環として、2024年7月から低廉な中古住宅の売買仲介手数料の規制を緩和しており、今後、中古住宅の流通量が増加するものと思われます。当社は、中古住宅が空き家となるリスクを回避して政府の施策を支援するとともに、建て替え等による廃材の増加を抑えて、環境に優しく、また一次取得者の方にリーズナブルな価格で住宅を提供して、人に優しい事業を展開しております。

 

イ)競合他社との競争優位性及び主要製品・サービスの内容

不動産売買事業の自社不動産売買事業では、非価格競争力という点において、当社の財務体質を活かして多くの商品在庫を抱えることができるため、豊富な品ぞろえを顧客に提供できます。また、当社は長らく戸建住宅を中心に売買仲介を取り扱った実績を持ち、買主の方が購入後に実施したリフォーム工事の実例を多く見ているため、必要なリフォーム工事を把握しております。

価格競争力という点においても、当社は自社不動産売買事業に加えて不動産売買仲介事業で新築住宅をも含めた豊富な取引実績を持ち、妥当な価格設定を実現しています。

不動産売買仲介事業では、自社不動産売買事業の取引で培った地元不動産事業者との繋がりが売買の情報を得るのに役立っています。

 

ウ)顧客基盤

主な取り扱いが住宅であることから、不動産売買事業の顧客基盤は、最終消費者である個人となります。直接の取引相手が住宅建設業者あるいは不動産事業者である場合においても最終的には個人が購入者となります。

中古住宅等の売主も不動産事業者が介在する事例も少なからずありますが、個人が非常に大きなウェートを占めます。

また、不動産賃貸事業で賃貸住宅を探していた顧客が1ヶ月の家賃と住宅ローンの月額払いとを比較して、中古住宅へ切り替える事例もあります。

 

エ)営業網

不動産売買事業の営業網について、提出日現在で、当社は山口県、福岡県、広島県、大分県、佐賀県及び熊本県の17市町村で20店舗を営業しております。営業エリアは17市町村とその周辺市町村までカバーしております。

なお、いずれの店舗も自社不動産売買事業及び不動産売買仲介事業を営んでおり、出店候補地を調査するため、進出していない地域(ただし、九州地方及び中国地方に限定されます。)で先行して中古住宅等を買い取りし、販売する事例もあります。

 

オ)金利の動向

物価上昇等によって金利が上昇した場合、ローン金利の負担増加により買主の買控えが懸念されます。

日本銀行は、物価の上昇や賃上げ動向を背景に2024年3月にイールドカーブコントロールを解除し、金融緩和策に一区切りを付けました。さらに日本銀行は2024年7月末に政策金利を0.25%へ引き上げ、徐々に金融政策を転換しております。今後、追加の引締め策により金利が上昇すれば、当社の資金調達に影響を与える可能性があります。当社は、中古住宅の仕入れの多くを借入金によって賄っているため、貸し渋りや金利の負担増加による業績への影響を考慮し、資金調達方法の多様化を検討しております。また、中古住宅の仕入候補を選別する能力を一層高めるとともに販売用不動産の長期滞留を抑制することが重要であると考えております。

 

カ)法令等

当社の主たる事業の前提となる宅地建物取引業免許の有効期間は、2023年11月9日から5年間であり、以降も継続できるものと考えております。

なお、宅地建物取引業法は2016年度の改正により、建物状況調査(インスペクション)に関する説明について重要事項説明書に記載することが義務化されることになりました。この規制を当社は逆手にとって、中古住宅の信頼性を高める機会と捉え、買主への引渡し時に建物状況調査を実施し、その結果を買主に報告しております。

また、2020年4月には改正民法の施行により、瑕疵担保責任が契約不適合責任に変わりました。それを契機に不動産業界が大きく変貌するということにはならないと思われますが、当社は、前述の建物状況調査を実施などにより、契約不適合責任による業績への影響を減らしていく所存です。

 

キ)営業力の強化

当社は、営業体制を支えるのは人材であると考えております。

2026年5月期を最終年度とする第3次中期経営計画においても、営業力の強化を掲げており、中途入社者はじめ採用の強化及び研修の充実を推進しておりますが、住宅販売の際に必要な資格等の問題もあり、十分な人員を確保するに至らず、組織や営業力の向上も発展途上にあると言えます。今後は人材の確保と従業員の離職防止を実現すべく、研修とともに給与及び勤務時間等の雇用条件の改善及び福利厚生の充実を実施してまいります。

また、営業員の営業スキルや不動産情報の収集能力の向上はもちろんのこと、宅地建物取引士はじめ不動産の資格取得やコンプライアンスの意識向上や部下の指導に関するスキルアップも図ってまいります。あわせて営業員向けの様々な研修ツールを整備して、営業力の強化を図ります。

 

あわせて、現場に立つ管理職がOJTを通して、営業員の育成を担っていることから、管理職の能力向上とともに次世代の管理職候補を育成し、営業網の拡大につなげてまいります。

 

③経営戦略

国内においては、新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞という直接的な影響は減少しましたが、いまだ、高齢者や基礎疾患を持つ方のリスクが高いことから、様々なところで爪痕が残っています。また、国内経済は緩やかな回復基調にはあるものの人手不足、欧米の金利上昇と円安など、ロシアによるウクライナ侵攻や中東地域での軍事衝突などから、依然、不透明な状況が続いております。住宅市場においても物価・資材の高騰等から住宅価格が上昇しており、それにより安価な中古住宅市場は拡大すると予想されますが、一方、国内外の金利情勢、海外金融が不安要素となっております。

このような外部環境のもと、当社は引き続き不動産売買事業に注力いたします。当社の自社不動産売買事業における中古住宅の平均価格は、1,500万円程度と、年収が300万円~400万円の世帯にとって、現状の支払家賃と毎月の住宅ローン(35年間)の返済額が同程度であることから、非常に負担感が小さく、新築戸建てや、新築マンションの購入を検討している所得層の方々にも将来の所得に対する不安から、住宅ローンを組みやすい中古住宅へシフトする転換点でもあると考えております。また、中古住宅の再生は、建替や新築と比べ、廃棄物削減や持続可能な開発という点において、あるいは、木造住宅が二酸化炭素の貯蔵能力に優れている点において、ESG、SDGsの目標に沿っていることから、今後も十分なニーズがあると見込んでおります。

さらに、政府は空き家対策の一環として、低廉な中古住宅の売買仲介手数料の上限規制を緩和して、不動産事業者による空き家の取り扱いを促進しようとしております。当社にとって不動産売買仲介事業は自社不動産売買事業に次ぐ、大きな収益源ですので、大きな追い風になるものと考えております。これからも地域やその周辺の物件情報をくまなく集め、より多くの不動産を提供してまいります。

経費の面では、引続き効率的な活用に努めてまいります。

具体的な施策については、次のとおりです。

 

ア)営業地域の拡大

当社は、当社を取り巻く事業環境について、国内で少子高齢化、地方から都市部への人口集中及び空き家の増加といった課題がみられる中で、中古住宅に対する需要が拡大し、中古住宅の取引市場も整備されると考えております。たとえば、空き家等の再生促進、中古住宅の取引の際における建物状況調査(インスペクション)等が挙げられ、一般消費者にとって住宅取得の選択肢として中古住宅の魅力が一層高まると考えられます。

当社の営業エリアは山口県、福岡県、広島県、大分県、佐賀県及び熊本県であり、首都圏等の三大都市圏に比べると人口が少なく、人口密度も低い地域ですが、一部の市街地を除いて、戸建住宅が多いという特徴があります。そうした中で、当社の自社不動産売買事業は8割以上が中古の戸建住宅であります。中古の戸建住宅は、使用状況や周辺環境により劣化の進行あるいは程度が物件ごとに大きく異なることから、中古マンションに比べてチェックポイントが多くなり、査定も難しくなります。当社は、社内で中古の戸建住宅の仕入れ、リフォーム、販売及び在庫管理に関する独自のノウハウを蓄積しておりますので、それらのノウハウを個々の営業員に浸透させることにより、競争力を維持できるものと考えております。また、リフォームの難しい中古住宅が増えていることから、更地もしくは新築住宅への転換も選択肢といたします。

また、当社の営業エリアにおける人口動態は一部の地域を除いて、いずれも減少傾向にあります。そこで、当社は、中国地方と九州地方の中古住宅再生No.1企業を目指すことを掲げて、長期的視点に立って営業エリアを広げることにより、そうしたマイナス要因をカバーしてまいります。具体的には、既存店舗の周辺地域に新規出店(いわゆるドミナント出店)を検討してまいります。今後も出店候補地域に対するマーケットリサーチを綿密に実施して、出店の可否を判断してまいります。

なお、店舗拡大のためには、新たな店長やスタッフが必要となるため、店長候補はじめ人材の育成及び採用に最優先で取り組むとともに人事制度を運用して、公正な評価と報酬への正当な反映を実現することにより、離職率を低下させ、営業体制の強化に努めてまいります。

 

イ)仕入れの強化及び販売価格の方針

当社の自社不動産売買事業においては、顧客ニーズに合った立地の中古住宅を多く仕入れることが重要であります。しかしながら、中古住宅を売却する理由は、家族構成の変化や資金事情等、様々な事情があって、秘匿性の高い場合も少なくありません。そうした情報をいち早く得ることが仕入れのポイントでもあります。そこで、各営業地域において、同業他社、金融機関、取引先等の情報ネットワークを強化するとともに直接、中古住宅の保有者からの情報を得るため、WEB広告やテレビコマーシャルを活用する方針であります。

また、当社は、中古住宅を仕入れる際に、地域の取引相場等をもとに販売価格を想定したうえで仕入れているため、仕入価格の見極めが当社にとって業績を大きく左右する重要な要因となります。当社では、仕入れに際して、担当者だけでなく様々な視点から意見を集めるとともに、参考資料として近隣の相場情報、取引実績及び環境等も考慮しております。今後も、地域の特性、取引実績等に関する情報をさらに蓄積して、データベースの構築と情報の共有を一層進めてまいります。

 

ウ)財務基盤の強化

当社は、既存の営業エリアに加えて周辺地域でも積極的に中古住宅を仕入れて、品ぞろえを強化していることから、獲得した利益だけでは仕入資金を賄えないことがあります。そこで、中古住宅の仕入資金については、借入金も大いに活用しております。

一方で、リーマンショック等の不測の事態は予見することが難しく、その影響も測定が困難であります。したがって、そうした不測の事態にも耐えられるだけの財務体質を構築することが必要であり、自己資本比率について60%以上を維持することを目指します。さらに取引金融機関からの信用力向上、直接金融を含めた資金調達の多様化も検討してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社は、2024年7月11日に開示いたしました第3次中期経営計画において、経営指標の明確な目標値を掲げておりません。

これは、第3次中期経営計画が同計画後の成長軌道であるNext Stageに向けた組織強化を優先する必要があると考えているためです。

一方で、当社は安定的な株主還元が必要であると考えており、その指標としてDOE(自己資本配当率)2.5%維持を掲げております。DOEを一定水準維持するために、目標値こそ掲げませんが、ROEの推移を注視してまいります。当社のROEの要因分析は以下のとおりです。

 

ROEの実績と3指標分解

 

2020年5月期

2021年5月期

2022年5月期

2023年5月期

2024年5月期

ROE(株主資本利益率)

9.1%

11.9%

10.7%

9.6%

5.2%

売上高当期純利益率

4.0%

5.0%

5.2%

4.9%

2.9%

総資本回転率

1.38回

1.46回

1.42回

1.39回

1.21回

財務レバレッジ

(自己資本比率の逆数)

1.63倍

1.61倍

1.46倍

1.41倍

1.45倍

 

 

2024年5月期のROEの実績値は、売上高当期純利益率の低下、総資本回転率の低下が大きく響き、5.2%となりました。

売上高当期純利益率が低下した要因としては、自社不動産売買事業において仕入価格が上昇したことに加え、工事事業者の賃上げ等によるリフォーム工事の費用の増加による影響が大きいと見られます。

総資本回転率が低下した要因は、新築建売事業者による低価格施策によって、低廉な新築住宅の販売価格が当社の商品である中古住宅の価格帯と競合することになり、一時的に当社の所有の中古住宅の売れ行きに影響したものと考えられます。

財務レバレッジが上昇した要因は、純資産の増加幅よりも借入金が大幅に増えたことによるものと思われます。

当社は、主力事業である自社不動産売買事業において、1件当たりの仕入価格及びリフォーム工事の費用が主要な原価であり、これらの売上原価の低減に取り組むとともに、販売費及び一般管理費について、人件費、販売及び仕入れのための広告宣伝費や不動産取得税等の租税公課が主要な費用であり、それぞれの費用について、効果や販売と仕入れのバランスを考慮して節減に努めてまいります。さらに、滞留在庫の防止という観点からも自社在庫の維持費用の抑制にも努めてまいります。

 

(3) 対処すべき課題

今後の当社を取り巻く経営環境を展望すると、人口の減少や少子高齢化の影響から空き家が増加することが予想されます。政府は、「いいものを作って、きちんと手入れして、長く使う」社会に移行することが重要であるとして、中古住宅市場の環境整備を進めており、2021年3月に「住生活基本計画」が作成されました。こうした政府の後押しもあり、今後も中古住宅の流通市場及びリフォーム市場は拡大することが期待されます。

 

このような経営環境にあって、当社が処すべき課題として、次の項目があると認識しております。

 

①営業地域の拡大

当社は、現在の営業地域である中国地方及び九州地方においても、顧客ニーズに十分に応えられていないことが課題であると認識しております。

この課題を克服するために、当社は、これまで既存店舗の延長地域へ新規出店するドミナント方式により、営業地域の拡大を図ってまいりました。

また、当社は、新規出店に限らず、既存店舗の周辺地域の物件情報を取りそろえることにも努め、顧客ニーズに応えてまいりました。

今後については、第3次中期経営計画の期間中、新規出店を控えて、次の成長段階における営業地域拡大の基盤づくりとすべく、出店に必要な人材の確保及び教育に努めます。

 

②販売用不動産の仕入れの強化

他の買取再販事業者の増加による競争の激化、あるいは買取りの対象となる中古住宅の老朽化の進行という厳しい環境の中で、当社は、顧客ニーズに適合する中古住宅の在庫を一層拡充することが課題であると認識しております。

この課題を克服するために、当社は、地元を中心に金融機関との良好な関係を維持し、中古住宅の仕入資金を確保いたします。

また、中古住宅の仕入情報を網羅的かつ早期に入手するため、WEBによる情報収集を一層強化するほか、地域に根ざした事業活動や広告を通して知名度を高め、物件の所有者から直接情報を入手できるよう努めてまいります。同様に、同業者、取引先、各金融機関等の保有する情報も非常に重要であり、これらとの関係を引続き強化いたします。あわせて、既存店舗の周辺地域に所在する物件の仕入情報についても、積極的に収集してまいります。

一方で、老朽化の進行等により再生困難な中古住宅については、中古住宅を解体して更地として販売する、あるいは新築住宅を建設することにより、土地の有効活用を進めるとともに空き家対策の選択肢としてまいります。

 

③在庫回転率の維持向上及び有利子負債の抑制

当社の主力である自社不動産売買事業においては、中古住宅を仕入れて、リフォーム工事を施した後に商品化し、販売後に代金の支払いを受けるため、費用を先行的に負担しており、仕入れの資金及びリフォーム等の費用の一部を金融機関からの有利子負債で賄っております。そのため、滞留在庫が増加した場合には、有利子負債も増加し、財務体質が悪化することとなります。

この課題を克服するために、当社は、業務基幹システムを通して自社不動産の在庫管理機能を強化し、保有期間の基準を定めて、その基準に抵触しないよう長期化しつつある中古住宅の早期売却を各店舗に促し、有利子負債の抑制に努めております。

これらの施策により、当社は、自己資本比率60%以上を維持することを目指します。

 

④政府の施策への対応

当社は、政府が中古住宅の流通促進に向けて市場の整備を目指していることを踏まえ、中古住宅に関する情報の透明性の向上、中古住宅の評価方法の改善及び中古住宅の耐久性に関する信頼の向上に向けた取り組みをなお一層強化する必要があると考えております。

そのため、当社は、中古住宅の流通市場において、ホームインスペクション(住宅診断)の結果等、顧客が求める情報の提供に努めるとともに、顧客の満足度のさらなる向上に繋がるよう、顧客へのアンケートの実施や、顧客からのクレームの報告体制の整備等を通じて、顧客の要望の把握に努めております。

また、政府が掲げた「2050年カーボンニュートラルの実現」は、当社の経営理念と繋がるところがあると考えております。特に当社の自社不動産のなかで大きな割合を占める木造戸建住宅は、鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅に比べて二酸化炭素の貯蔵量が多く、二酸化炭素の放出を抑制できる働きがあります。さらにカーボンニュートラルの観点から、リフォーム工事の際に高品質を維持できている住宅部材を交換せず、顧客に説明の上、販売するなど、販売手法を多様化させております。

今後なお一層、中古住宅の流通促進に取り組むことにより、カーボンニュートラルの実現に寄与するとともに、住まいへの新エネルギーの普及についても検討し、可能性のある商品や仕組みを試行してまいります。

 

⑤その他事業の充実

当社は、その他事業(介護福祉事業)において、営業面では顧客の多様なニーズに応えようとしておりますが、依然として事業基盤がぜい弱であると認識しております。

この課題を克服するために、当社は、介護福祉事業について、利便性や安全性の高い商品の品ぞろえを強化し、当社の得意分野である介護用品のレンタルを利用されている顧客層の拡大を図るとともに、シルバー・リフォームの提案力の強化、新たな取引先の開拓等に引き続き努めるほか、経費の一層の見直しをいたします。また、不動産売買事業及び不動産賃貸事業との連携により互いにシナジー効果を図ってまいります。

 

⑥人材の確保と育成

当社は、人材の獲得競争が激しさを増している採用市場において、今後の事業拡大に合わせ、優秀な人材を継続的に確保し、育成することが最も重要であると認識しております。

この課題を克服するために、従来型の採用手法に加え、新たな求人方法を取り入れたほか、採用専用のWEBサイトを一新し、ターゲットを意識した効果的な情報発信を実施しております。

また、社内研修の内容の充実を図り、業界未経験者を含めた業務レベルの向上に取り組むとともに、将来の幹部候補の育成の仕組みを適宜改善すること等により、当社の事業拡大に合わせた組織体制を構築できるよう努めているほか、取引金融機関と協力して、従業員向けに金融リテラシーセミナーを実施するなど、従業員の長期的な生活設計を支援する取組みも実施しております。

なお、当社は一般事業主行動計画(女性活躍推進法及び次世代育成支援対策推進法)を提出しており、「男女共に長く勤められる職場環境を作る」という方針の下、従業員が長く勤められるよう、様々な施策を実施しております。

 

⑦コーポレート・ガバナンスの充実

当社の継続的な事業の発展及び信頼性の向上のためには、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組むことが重要であると認識しております。

この課題を克服するために、当社は、強固な内部管理体制の構築とコンプライアンスの強化に取り組んでまいりました。

まず、強固な内部管理体制の構築については、自浄能力の向上と組織内における内部牽制機能のさらなる強化が課題であるとの認識のもと、部署内でのチェックの精度を高めて自浄能力を向上させることに加え、内部監査室、総務部及び経理部による内部牽制機能を強化することに引き続き努めております。また、社外取締役による助言及び監督や監査役による監査も当社の内部管理体制において重要な機能を果たしており、社外取締役及び監査役は、業務執行取締役らと面談する等して情報を収集し、実効的な監督、監査に引き続き努めております。さらに、高度化された業務基幹システムを通じて事業の状況の正確な把握にも努めております。

次に、コンプライアンスの強化については、当社は、社内規程の適宜見直し、定期的な倫理・コンプライアンス研修や集合研修におけるコンプライアンスプログラムの実施、情報共有、ニュースを素材にしたコンプライアンスの意識付け、業務上の過誤や問題に対する再発防止策の実施等により、各事業の取引の健全性の確保に引き続き努めております。また、内部通報制度を整備しているほか、社内啓蒙活動及び内部監査を通して社内規程の周知徹底に努めるとともに、社外取締役、監査役及び顧問弁護士等からの指摘を基に社内規程を適宜見直して、内容の陳腐化を防いでおります。

当社は、最善の経営体制を目指し、今後もさらなるコーポレート・ガバナンスの充実を図るべく、強固な内部管理体制の構築とコンプライアンスの強化に引き続き取り組んでまいります。

なお、コーポレートガバナンス・コードは、上場企業に対し、攻めのガバナンスを通して、より一層の株主重視の経営及び体制強化を促すとともに、企業の進化を目指しているものであります。当社は、その趣旨に沿ってコーポレート・ガバナンスの充実とともに企業価値の向上及び株主還元の拡充に向けて取り組み、実効性の高いコーポレート・ガバナンス体制の構築に引き続き努めてまいります。

 

これらの課題に対して長期的に、かつ包括的に取り組むため、当社は、長期的な目標の達成に向けて2021年4月に第2次中期経営計画を策定し、主力事業を中心とした成長を目指しました。しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、郊外の中古住宅、特に戸建住宅へのニーズが高まったことに対して、当社としても郊外の拠点を中心に営業力を強化すべく、営業員の採用増加を図りましたが、人員の採用数が想定を下回ったことに加え、物流コストの上昇などによる資材価格の上昇や取引先の工事業者の工賃引き上げにより、リフォーム費用が増加したことなどから、緩やかな成長にとどまり、成長目標値を達成できませんでした。

そこで、当社は、2024年7月に第3次中期経営計画(以下、「本計画」といいます。)を策定し、以下のとおり4つの経営戦略を設定した上で、次の成長段階である「Next Stage」を目指して本計画の期間中、組織の強化を図ります。

 

4つの経営戦略

 

1.人材育成強化に向けた仕組みづくり

  (人的資本経営に向けて)

・報酬制度の見直し

・目標管理制度の改善

・研修制度の再構築

2.ビジネスモデルの再構成

・不動産売買モデルのリファイン

→買取再販の利益率向上×在庫回転率向上

→仲介強化による利益率向上

・新たなビジネスモデルの構築

3.業務プロセス改革プロジェクト推進

・営業支援システム導入と活用

・営業バックオフィスの整備

・営業ミドルマネジメント機能の強化

4.組織整備とガバナンス強化

・組織体制:部門新設・機能強化

・コーポレートガバナンス体制の強化

 

 

上記4つの経営戦略の下、当社は本計画の最終年度となる2026年5月期の目標値を以下のとおり、設定いたしました。

 

第3次中期経営計画の数値目標

 

最終年度(2026年5月期)の目標値

売上高

7,500百万円

経常利益

320百万円

税引後当期純利益

220百万円

自社不動産の販売件数

450件

 

 

当社は、さらなる高みを目指して第3次中期経営計画を着実に実行し、次の成長段階に備えてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティに関する考え方

当社は、「第1企業の概況 2沿革」に記載のとおり、創業者が本店所在地である下関市で設立した不動産会社であり、創業当初は不動産の売買仲介事業が中核を担っておりました。その後2009年1月ごろから不動産売買仲介事業の発展形として、現在の主力事業である中古住宅の買取再販事業(自社不動産売買事業)に注力しております。

わが国における戸建住宅に対する固定観念とは、30年経過したところで、既存住宅を取り壊し、新たに住宅を建てるということでした。

そのような慣習があるにもかかわらず、当社が中古住宅の買取再販事業に着目した背景には、環境に対する世界的な危機感の高まりがあります。地球環境や資源節約の観点から良質な既存住宅を適切にメンテナンスし、必要に応じリフォームし、次世代にわたり使っていく必要があるとの認識のもと、「物を作る(消費する)時代から、物を活かす(活用する)時代へ」というスローガンとともに、中古住宅の買取再販事業に注力してまいりました。その際に、以下のとおりの経営理念を掲げることといたしました。

『株式会社東武住販は、エコモデルの創造を通して人と環境に優しい暮らしづくりに貢献します』

このように、当社は住まいの循環型社会を実現することを理念に掲げております。これは、当社の事業の成り立ち上、また地域的な特性上、中古の戸建住宅の取り扱いが多いという特徴があるためです(自社不動産販売件数のうち8割以上、不動産売買仲介事業のうち6割)。特に中古住宅ストックの約9割が木造住宅であることから(2023年の住宅・土地統計調査)、生産時の二酸化炭素排出量が少ないうえに、二酸化炭素の貯蔵能力の大きい木材が多く使用される戸建住宅の流通量を高めることは自然環境の保護に大きく貢献するものと考えられます。

当社は、線状降水帯の発生が多いとされる九州に14ヶ所の店舗(全20店舗のうち7割)を有しており、自社不動産もその多くが九州地方に保有しておりますので、サステナビリティ・プロジェクト・チームが地球温暖化の進行による多雨の現象を調査しておりますが、今後も様々な気象情報を収集してまいります。

また、当社は営業地域のご支援により今日に至っているという認識のもと、当該地域の活性化を重要課題と捉え、当社の事業拡大を通して、雇用の機会創出及び住宅を提供することに加え、あらゆる機会で地域への支援及び地元PRをすることが課題の解決に繋がると考えます。

 

(2)具体的な取組

〈ガバナンス〉

当社は、社長を委員長とするサステナビリティ委員会を設置しており、その下部組織としてサステナビリティ・プロジェクト・チームを編成しました。当該チームはサステナビリティに関する情報を収集・集約するとともに従業員が当社のサステナビリティに関する考え方に沿った活動をしているかをモニタリングし、それらの結果をサステナビリティ委員会へ報告することとしております。

これらの委員会の活動により規程の改定やシステム変更が必要と判断した場合には、取締役会及び経営会議へ報告及び提案するものとしております。

 

〈戦略〉

(人材の多様性の確保を含む人材育成の方針や社内環境整備の方針)

当社が今後も不動産事業を中核としていくためには、事業の推進力たる従業員を増やし、かつ、従業員の能力を向上させることが欠かせないと認識しております。これまでも、当社は中途採用を中心に採用活動を行い、入社後のフォローアップ研修、階層別研修及び管理職就任研修を実施して、個人の能力向上に努めておりますが、あわせて制度面でも女性向けの制服を廃止し、女性従業員の意識にあわせて改善を行っているほか、公休日数の増加や金融資産形成の支援セミナーの開催など従業員の生活改善にも努めております。今後も社内制度や仕組み等のインフラのさらなる向上を進めるとともに女性活躍推進法など事業主行動計画に基づく実践をとおして、人材の多様性を確保してまいります。

あわせて、従業員の定着を図るべく、福利厚生及び給与等の待遇のさらなる改善を図るとともに、社内の就業環境においても働きやすい職場を実現するため、ハラスメント防止、労働時間の管理及び安全衛生等の面で様々な施策を実施しております。

当社では、産休中の従業員とコミュニケーションをとり、該当者の要望を受け入れるなど職場復帰を支援しております。

 

〈リスク管理〉

当社はリスクをある事象の変動に関する不確実性と捉えております。当社においては、前述のサステナビリティ・プロジェクト・チームはサステナビリティに関する考え方に基づき、様々な要素を調査し、サステナビリティ委員会へ報告します。サステナビリティ委員会は報告されたリスクを評価し、規程の改定やシステム変更など必要な措置を取締役会や経営会議等へ報告・提案します。

仮にあるリスクに当社のビジネスチャンスがあると判断される場合には、サステナビリティ委員会は当該ビジネスチャンスのリスクに関する許容度やリターンなどに関する調査を経営企画室や関連部署へ委任し、参入の可否及び必要な策を検討してまいります。

なお、当社は気候変動が事業に及ぼす影響を調査しておりますが、すでに本店や店舗において浸水被害が発生しております。当社は線状降水帯など多雨や海面上昇といった現象が当社及び当社の事業に与える影響を調査するとともに、それらの原因として挙げられている気温上昇について、モニタリングを継続している状況であります。

 

〈指標及び目標〉

(人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標)

当社は、女性活躍推進法に基づく事業計画を提出しており、以下の目標を掲げております。これは採用による人員増もさることながら、既存社員の定着を図ることがより重要と判断しているためです。

 

目標値(2027年12月31日

実績値(2024年5月31日)

正社員の勤続年数

8

8.1

 

 

なお、当社の従業員の勤続年数は、2024年5月期で以下のとおりとなっております。

数値が改善している背景には、給与体系の見直しや公休日数の増加など主に待遇の改善が寄与していると思われます。今後も、目標値の見直しを含め平均勤続年数のさらなる長期化を目指して、様々な施策を実施してまいります。

単位:年

 

2017年

5月期

2018年

5月期

2019年

5月期

2020年

5月期

2021年

5月期

2022年

5月期

2023年

5月期

2024年

5月期

男性

5.4

5.6

6.0

6.5

7.3

7.6

7.9

8.1

(100.0)

(102.7)

(110.8)

(118.6)

(134.5)

(139.5)

(144.3)

(148.8)

女性

4.4

4.7

4.8

4.9

5.3

6.4

7.0

8.1

(100.0)

(107.0)

(109.7)

(111.6)

(122.0)

(146.6)

(161.6)

(185.7)

全体

5.1

5.3

5.6

5.9

6.6

7.2

7.6

8.1

(100.0)

(103.9)

(110.3)

(116.4)

(129.7)

(141.4)

(149.8)

(160.0)

 

(注)1.勤続年数は小数第1位まで算出し、第2位を四捨五入しております。

2.( )内は2017年5月期の勤続年数を100として小数第1位まで算出し、第2位を切り捨てております。

 

また、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異は、「第1企業の概況 5従業員の状況」をご覧ください。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 事業環境について

①  顧客の購入意欲について

当社の不動産売買事業においては、景気、金利、地価、税制及び政策等によって、中古住宅に対する顧客の購入意欲が大きく左右されます。

当社においては、需要の高い不動産をタイムリーに提供できるようにするために、これらの外部動向について分析を行い、あわせて地域の特性と需要に応じた不動産のタイムリーな仕入れ、魅力ある中古住宅にするためのリフォーム工事、顧客の購入意欲を喚起する広告宣伝及び営業活動を行っております。

しかしながら、今後の景気の悪化、物価上昇による可処分所得の減少を含めた実質所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、税制及び政策の変更等があった場合は、顧客の購入意欲の減退につながり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②  競合について

当社の不動産売買事業は、仕入れや販売に関する当社独自のノウハウこそあるものの、技術の独自性等に基づくものではないため、参入障壁は高くありません。特に景気の低迷や節約志向が拡大傾向にある経済環境においては、一例として買取再販のフランチャイズチェーンに加入する等して、当社と類似する事業を展開する事業者が参入する事例もあります。その場合、中古住宅等の仕入れで競合が発生することもあるため、一部には仕入価格の上昇となることも想定されます。

当社は、中古住宅のリフォーム、仕入れの見極め等、様々なノウハウの蓄積に努め、マニュアルとしてまとめております。また、中国地方及び九州地方において中古住宅等の取引の実績も積み重ねて、同業者、取引先などの人脈や情報ネットワークを構築してきたほか、地元での知名度向上にも努めてまいりました。さらに中古住宅等の仕入れにおいては、仕入れに多額の資金を必要とする等、財務の面で負担が大きいため、財務体質の強化にも努めております。

しかしながら、競合他社の参入に伴い、差別化のための各種方策等が必要になった場合、又は当社の提供する不動産に競争力がないと顧客が判断した場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  販売用不動産の仕入れ及び工事原価について

当社の自社不動産売買事業においては、顧客ニーズの高い立地の不動産を、安価かつ安定的に仕入れることが重要となります。

当社においては、中古住宅等の売却情報を同業他社、金融機関及び取引先等のルートで入手しており、今後もこれらのネットワークを拡大及び強化する方針であります。あわせて、WEB広告あるいはテレビコマーシャル等を通して一般の方からも直接に中古住宅の売却情報を得られるよう努めております。また、リフォームにおいても、キッチン、バス、トイレ等の水回り設備を除き、可能な範囲で既設部分の再利用を提案することで、低価格化を実現しております。

しかしながら、競争激化や一部の商品市況の上昇等、経済環境の変化に伴う仕入価格の上昇、建材価格の上昇や工事業者側の人手不足による人件費の上昇等があった場合、あるいは当社の再生基準に適合する中古住宅を十分に確保できなかった場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④  販売用不動産及び仕掛販売用不動産等について

当社の自社不動産売買事業においては、中古住宅等を仕入れており、常に一定規模の棚卸資産を所有するよう努めております。当事業年度末の総資産に占める販売用不動産及び仕掛販売用不動産等の割合は、69.9%となっております。

当社においては、今後も、積極的に中古住宅等を仕入れてまいりますが、並行して、中古住宅等の在庫管理をより高度化するとともに販売力の強化も推進することにより、引渡しまでに要する期間を短縮し、需給バランスに配慮した在庫回転率の向上に努めていく方針であります。

しかしながら、経済環境の変化等により期限までに引渡しできなかった場合、又は顧客の住宅ローン審査の結果、引渡しができなかった場合等、滞留在庫が大幅に増加すると当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤  工事協力会社について

当社の自社不動産売買事業においては、各店舗の地域ごとに、当社が設定した一定の技術水準を満たす工事協力会社を選定し、リフォーム工事を発注しております。また、実際のリフォーム工事においては、工事協力会社と当社との間で打合せや報告により、厳格な品質管理及び工程管理を実現しております。さらに、工事協力会社の代替を可能にするため、キッチン等の住宅設備については同一の規格品を使用しております。

しかしながら、今後の営業地域の拡大や取り扱い物件の増加等に伴い、工事協力会社をタイムリーに確保することができなかった場合、又は様々な感染症の再拡大・自然災害・安全保障の危機等による経済活動の停滞が長期化する等の要因により工事協力会社の経営破綻等が発生した場合は、代替業者との調整に伴う工事遅延等が発生し、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥  契約不適合責任について

当社の自社不動産売買事業においては、宅地建物取引業法及び住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき、中古住宅については引渡し後2年間、新築住宅については引渡し後10年間の契約不適合責任を負っております。

当社においては、仕入れの時に入念な現況調査を行い、基礎部分で致命的な欠陥がある等、再生に適さないと判断した場合には買取りの対象から除外する、あるいは建屋を解体して更地にすることにより、当社の提供する中古住宅の品質を一定に維持しております。また、リフォーム施工時においては、法定水準を満たすような厳格な品質管理を、顧客への引渡し時においては、建物状況調査(インスペクション)を実施しております。

しかしながら、引渡し後の不動産が契約内容に適合していないと判断される場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦  自然災害等について

当社の自社不動産売買事業においては、台風や地震等の自然災害等により中古住宅の購入に対する顧客の購入意欲が減退する可能性、あるいは引渡し前の中古住宅が破損倒壊するおそれがあります。

当社は、中国地方及び九州地方に本店含めて20店舗を出店しております。現在、店舗を構える山口県、福岡県、広島県、大分県、佐賀県及び熊本県については、地震保険の保険料が最も低い地域となっております(出所:損害保険料算出機構 始期が2022年10月1日以降の契約に適用される保険料率)。ただし、当社の取得した中古住宅については、1981年6月以降に建築された物件であっても必要に応じて補強工事を行い耐震性能を高めております。

また、当社の営業エリアでは、台風や豪雨、特に線状降水帯の発生が多い地域と言われており、これらの気象災害による損失が発生する場合がありますので、損害保険による補償により当該損失を抑制しております。

しかしながら、今後当社の営業地域において不測の自然災害が発生した場合あるいは水回り品等を生産するメーカーのサプライチェーンに何らかの支障が発生し、水回り品等の供給が止まった場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧  有利子負債への依存と資金調達について

当社の自社不動産売買事業においては、常に仕入代金の支払いが販売代金の入金より先行しますが、当該仕入資金は、主に金融機関からの借入により調達しております。なお、当事業年度末の総資産額に占める有利子負債の割合は、24.4%となっております。

当社においては、事業運営に応じた機動的な調達という観点から、また、不動産に関する情報収集といった副次的な観点からも、金融機関からの借入を今後も継続していく方針であり、金融機関との良好な関係を構築しております。一方で金融機関への依存リスクや金利変動リスクにも配慮していく必要があると認識しており、60%以上の自己資本比率を維持することを目指しております。

仮に、金融環境の変化に伴い、支払利息の負担が増加し、借入による調達がタイムリーに行えない場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 法令等について

①  法的規制や免許・許認可事項について

当社の各セグメントにおいては、以下のような法令等に基づいて事業を運営しており、これらの法的規制を受けております。

セグメントの名称

主な適用法令

不動産売買事業

民法、宅地建物取引業法、都市計画法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、住宅の品質確保の促進等に関する法律、下請法、個人情報の保護に関する法律、犯罪による収益の移転防止に関する法律、建築士法、建設業法等

不動産賃貸事業

宅地建物取引業法、不当景品類及び不当表示防止法、不動産の表示に関する公正競争規約、マンション管理の適正化の推進に関する法律、下請法、個人情報の保護に関する法律等

不動産関連事業

保険業法、特定商取引に関する法律、外国為替及び外国貿易法、個人情報の保護に関する法律、金融商品の販売等に関する法律等

その他事業

介護保険法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、下請法、個人情報の保護に関する法律等

 

 

当社においては、これらの法令等の遵守のために、朝礼でのコンプライアンス重視の考えの唱和、関連する社内規程の整備、社内勉強会の実施や社外研修制度の活用、内部監査室や監査役による法令遵守の確認に加え、内部通報制度の運用等、積極的なコンプライアンス活動に取り組んでおります。

なお、当社の不動産売買事業においては、事業活動を推進するに際して、以下のとおり、宅地建物取引業法に定める宅地建物取引業免許、建設業法に定める一般建設業許可を得ております。前者においては、一定人数の資格取得者の登録義務等が許可要件として定められており、後者においては、専任技術者の設置等が許可要件として定められております。

 

免許、登録等の別

番 号

有効期間

取消条項

宅地建物取引業免許

国土交通大臣

(7)第5407号

自 2023年11月9日

至 2028年11月8日

宅地建物取引業法

第66条及び第67条

一般建設業許可

山口県知事許可

(般-3)第14622号

自 2022年3月27日

至 2027年3月26日

建設業法

第3条

 

 

当社におきましては、過去において、これら許可要件の欠格事実はありません。

しかしながら、今後これらの法令等の改正や新たな法令等により規制強化が行われた場合、何らかの事情により法令遵守ができなかった場合、又は今後何らかの事情により免許、許可及び登録の取り消し処分が発生した場合は、事業活動に大きく影響して、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②  個人情報の管理について

当社の事業活動全般においては、仕入先、顧客(潜在顧客含む。)等に関して、住所、氏名等の個人情報を多く有しております。

当社においては、個人情報の保護に関する法律に従い、個人情報の管理に関する社内規程を整備し、当該規程に沿って情報の一元管理を図るとともに、電子記録媒体に対する使用を制限する等により、漏えい防止策に取り組んでいるほか、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(いわゆるマイナンバー法)等に基づき、社内規程及び基本方針を整備して、マイナンバーを取り扱う担当者及び機種等を厳しく限定したうえで、漏えい防止に取り組んでおります。

しかしながら、不測の事態により、当社が保有する個人情報が外部へ漏えいした場合、あるいはマイナンバー制度において適切な対応ができない場合は、当社の信用の毀損や対応コストの負担につながり、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③  訴訟等について

当社は、現時点において業績に重要な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。

当社においては、顧客等との間でトラブルが発生した場合、担当者からリスク情報の報告を受けて、訴訟の可能性を事前に把握するよう努め、これら情報を顧問弁護士と共有するとともに、適時、取締役会に訴訟の可能性のある事案を報告することにより、迅速かつ適切な対応を心がけております。

しかしながら、販売した不動産における契約不適合や債権未回収等の権利関係をめぐった顧客等との間でトラブルが発生した場合、又はリフォーム工事期間中に近隣からの騒音クレーム等が発生した場合は、これらに起因する訴訟が発生し、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他

①  人材の確保と育成について

不動産業界の競争激化の中で業績拡大を図るためには、専門的なスキルを持つスペシャリスト、全体を統括できるマネージャーの確保が重要であると考えております。

当社においては、これらの人材を確保するため、従業員の採用の強化、教育研修の充実を推進しております。また、人事制度を通して、公正な評価と報酬への正当な反映を実現するとともに、時差出勤の周知及び有給休暇5日以上取得の徹底等、職場環境の改善に努め、退職金制度の導入や金融リテラシーセミナーの開催等、福利厚生や待遇の充実を図っております。これらの施策によりモラールの向上及び退職者数の抑制に努めているほか、採用担当者を置いてより多くの優秀な人材を採用する等の体制強化を図っております。また、勉強会や階層別研修等の各種研修を通じて従業員の能力向上及び知識の蓄積を図るとともに話し合い等を通して、現場における問題意識の共有にも努めております。

しかしながら、一定の採用ができなかった場合、教育研修の効果が十分でなかった場合、多くの人材の社外流出が発生した場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

②  特定人物への依存について

当社代表取締役社長である荻野利浩氏は、当社創業者であり、2024年5月31日時点において筆頭株主として発行済株式総数2,712,400株(うち自己株式は1,914株)に対して1,047,700株(持株比率38.65%)を所有し、最高経営責任者として経営方針や経営戦略の決定等、当社の事業活動上の重要な役割を果たしております。

当社においては、同人に対して過度に依存しないよう、合議制や権限委譲を推進することにより意思決定の合理化を図るとともに、経営管理ツールの高度化を進めております。

しかしながら、現時点において、同人が何らかの理由により経営者として業務を遂行できなくなった場合は、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 経済活動・金融市場の大きな変動について

新型コロナウイルス感染症の影響は、感染症の落ち着き及び治療法の向上等により経済活動への影響は縮小しており、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に及ぼす影響は小さくなっております。しかしながら今後、同様の新型感染症の拡大や、その他安全保障の危機の高まり、自然災害やその激甚化等により、経済活動及び金融市場に大きな影響、変動があり長期化した場合、当社の仕入活動、販売活動及び価格変動により、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

ア)財政状態について

当事業年度末における総資産は6,291,119千円となり、棚卸資産の増加等によって前事業年度末に比べ622,497千円増加しました。

当事業年度末における負債合計は2,099,677千円となり、短期借入金及び長期借入金の増加等によって前事業年度末に比べ505,337千円増加しました。

当事業年度末における純資産合計は4,191,441千円となり、当期純利益の計上によって前事業年度末に比べ117,159千円増加しました。

 

イ)経営成績について

当事業年度におけるわが国経済は、自動車などの堅調な輸出がけん引役となり、国内企業の多くが好業績となったことを背景に、賃金の引上げが相次ぎ、個人消費の下支え要因となりました。また、日本銀行がイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)を終えるなど、徐々に金融政策の正常化を進めていることも景気の緩やかな回復を示しております。しかしながら、中国の大手不動産企業の経営不安など、海外における不透明な要因が景気に与える影響について予測が困難であることから、先行きに対して慎重な見方もあります。

当社が属する不動産業界におきましては、国土交通省の調査「主要都市の高度利用地地価動向報告」(2024年6月公表)によれば、2024年第1四半期(2024年1月1日~2024年4月1日)の主要都市・高度利用地80地区の地価動向は、2023年第4四半期(2023年10月1日~2024年1月1日)に比べ、80地区全てが上昇(前回79地区)となり、2007年の当該統計の開始以来、初めて商業地及び住宅地の全ての地区が上昇となりました。

また、当社の主力事業である中古住宅の売買の状況については、公益社団法人西日本不動産流通機構(西日本レインズ)に登録されている物件情報の集計結果である「市況動向データ」の調査(2024年6月公表)によると、中国地方では、2023年6月から2024年5月までの中古戸建住宅の成約件数は、前年同期間に比べて12.5%増となりました。九州地方では、同期間の中古戸建住宅の成約件数は、前年同期間に比べて16.7%増となりました。

このような環境の中、当社は、2023年7月に糸島店(福岡県糸島市)を4年ぶりに出店したほか、新たな顧客管理システムを導入し、業務の効率化を図るなど主力の不動産売買事業に注力いたしました。

しかし、不動産売買事業の売上高が前事業年度を下回ったことなどにより、当事業年度の売上高は7,263,972千円(前事業年度比5.3%減)となりました。売上高が減少したことに加え、システム関連費など販売費及び一般管理費が増加したことから、営業利益は311,889千円(同43.2%減)、経常利益は309,394千円(同43.5%減)、当期純利益は212,890千円(同43.5%減)となりました。

なお、事業別の業績は、次のとおりであります。

 

(a)不動産売買事業

自社不動産売買事業については、自社不動産の販売件数が下期に231件と持ち直したものの、新築建売事業者の低価格施策の影響などを受けて、上期の販売件数が182件と前年同期の231件を下回ったため、通期では413件と前事業年度の459件を大幅に下回りました。また、平均販売単価は15,927千円と前事業年度に比べ716千円上回りました。

不動産売買仲介事業については、不動産売買仲介件数が減少したものの、高額物件を取り扱ったことなどから、仲介手数料は前事業年度を上回りました。

これらの結果、不動産売買事業の売上高は、6,945,840千円(前事業年度比5.5%減)となりました。営業利益は、売上高の減少に加えて、仕入価格の上昇による原価の上昇などにより、790,327千円(同19.6%減)となりました。

 

 

(b)不動産賃貸事業

不動産賃貸仲介事業については、賃貸仲介件数が減少したものの、仲介手数料の平均単価が上昇し、賃貸仲介手数料が前事業年度を上回ったことにより、売上高は前事業年度を上回りました。

不動産管理受託事業については、不動産管理の受託件数の増加により管理料が前事業年度を上回りましたが、請負工事高が前事業年度を大幅に下回ったことから、全体の売上高は前事業年度を下回りました。

自社不動産賃貸事業については、収益物件の新規獲得により売上高は前事業年度を上回りました。

これらの結果、不動産賃貸事業の売上高は202,164千円(前事業年度比0.9%減)となりました。営業利益は、売上高の減少に加え、人件費の増加などにより、34,204千円(同11.6%減)となりました。

 

(c)不動産関連事業

保険代理店事業については、火災保険の新規契約の獲得により付保率が改善し、契約件数も増加いたしました。しかし、保険契約期間の短縮による保険料の平均単価の低下により、売上高は前事業年度を下回りました。

これらの結果、不動産関連事業の売上高は、33,343千円(前事業年度比2.1%減)となりました。営業利益は、売上高の減少などにより、16,641千円(同6.5%減)となりました。

 

(d)その他事業

介護福祉事業については、物品販売が増加したものの、介護用品レンタル売上高が減少したことに加え、介護用のリフォーム工事等の請負工事が減少したことから、売上高は前事業年度を下回りました。

これらの結果、その他事業の売上高は、82,624千円(前事業年度比0.4%減)となりました。また、売上高の減少から、1,072千円の営業損失(前事業年度は268千円の営業損失)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、棚卸資産及び法人税等の支払が増加したものの、税引前当期純利益310,582千円(前期比 43.3%減)を計上したことに加え、短期借入金及び長期借入金の増加等により、前事業年度末に比べ19,888千円増加し、当事業年度末には767,498千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況及び増減の要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は388,814千円(前事業年度は97,690千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益310,582千円及び減価償却費37,704千円を計上したものの、棚卸資産の増加額529,521千円に加え、法人税等の支払額188,969千円の影響によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は101,459千円(前事業年度は11,486千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の獲得による支出95,412千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は510,162千円(前事業年度は98,297千円の使用)となりました。配当金の支払額100,304千円があったものの、短期借入金の借入による増加額429,960千円に加え、長期借入による増加額180,507千円(長期借入れによる収入と長期借入金の返済による支出の差引き)によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

ア) 生産実績

当社が営む不動産売買事業、不動産賃貸事業、不動産関連事業及びその他事業では生産実績を定義することが困難であるため、「生産実績」は記載しておりません。

 

 

イ) 仕入実績

当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自  2023年6月1日

至  2024年5月31日)

仕入高(千円)

前事業年度比(%)

不動産売買事業

3,689,244

△1.3

不動産賃貸事業

13

不動産関連事業

その他事業

1,143

△97.2

合計

3,690,401

△2.3

 

(注) 1.不動産売買事業の仕入高は、中古住宅等の仕入れが主な項目となります。当事業年度は中古住宅等の仕入れ件数が減少したことにより減少いたしました。

2.その他事業の仕入高は、介護福祉事業の物品販売の仕入れが主な項目となります。当事業年度は、請負工事が減少したことにより減少しました。

 

ウ) 受注実績

不動産売買事業のリフォーム事業、不動産賃貸事業の不動産管理受託事業及びその他事業の介護福祉事業において受注販売を行っておりますが、いずれも受注から売上高計上まで期間が短期であるため、「受注実績」は記載しておりません。

 

エ) 販売実績

当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

当事業年度

(自  2023年6月1日

至  2024年5月31日)

売上高(千円)

前事業年度比(%)

不動産売買事業

6,945,840

△5.5

不動産賃貸事業

202,164

△0.9

不動産関連事業

33,343

△2.1

その他事業

82,624

△0.4

合計

7,263,972

△5.3

 

(注) 1.主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

2.不動産売買事業の販売高は、中古住宅等の販売が主な項目となります。当事業年度は、販売価格が上昇したものの、自社不動産販売件数が413件と前事業年度の459件を下回ったため、販売高が減少しました。

3.不動産賃貸事業の販売高は、不動産賃貸仲介手数料、不動産賃貸物件の管理料、賃貸物件の賃貸収入及びリフォーム工事等が主な項目となります。当事業年度は、賃貸仲介手数料、賃貸収入、管理料は増加しましたが、請負工事の減少により、販売高が減少しました。

4.不動産関連事業の販売高は、不動産の火災保険料の代理店手数料が主な項目となります。当事業年度は、付保率が上昇し、火災保険の新規契約件数が増加したものの、保険契約期間の短縮による保険料の平均単価の低下により、販売高が減少しました。

5.その他事業の販売高は、介護福祉事業の物品のレンタル収入及び販売並びにリフォーム工事が主な項目となります。当事業年度は、物品販売は増加したもののレンタル売上及び請負工事が減少したことにより、販売高が減少しました。

 

 

オ)不動産売買事業の地域別販売実績

当事業年度における不動産売買事業の地域別の販売実績を自社不動産売買事業と不動産売買仲介事業に分けて示すと、次のとおりであります。

 

 

当事業年度

(自  2023年6月1日

至  2024年5月31日)

売上高

(千円)

構成比

(%)

前事業年度比(%)

 

山口県

自社不動産売買事業

1,271,030

18.3

△17.7

 

不動産売買仲介事業

143,280

2.1

3.9

 

 

5店舗計

1,414,310

20.4

△15.9

その他

自社不動産売買事業

315,407

4.5

△22.5

 

 

不動産売買仲介事業

8,568

0.1

△35.0

 

1店舗計

323,975

4.7

△22.9

 

合計

自社不動産売買事業

1,586,437

22.8

△18.7

 

不動産売買仲介事業

151,848

2.2

0.5

 

 

6店舗計

1,738,286

25.0

△17.3

 

福岡県

自社不動産売買事業

4,048,171

58.3

3.1

 

不動産売買仲介事業

139,051

2.0

△2.3

 

 

11店舗計

4,187,222

60.3

2.9

その他

自社不動産売買事業

968,267

13.9

△14.9

 

 

不動産売買仲介事業

52,063

0.8

19.0

 

3店舗計

1,020,331

14.7

△13.7

 

合計

自社不動産売買事業

5,016,439

72.2

△0.9

 

不動産売買仲介事業

191,115

2.8

2.7

 

 

14店舗計

5,207,554

75.0

△0.8

全店

自社不動産売買事業

6,602,877

95.1

△5.9

 

 

不動産売買仲介事業

342,963

4.9

1.7

 

 

全20店舗計

6,945,840

100.0

△5.5

 

(注) 1.自社不動産売買事業の販売高は、中古住宅等の販売が主な項目となります。

2.不動産売買仲介事業の販売高は、不動産売買仲介手数料が主な項目となります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

詳細につきましては、「第5 経理の状況  1 財務諸表等  (1) 財務諸表  注記事項  重要な会計方針」に記載しております。

 

② 財政状態に関する分析

ア)資産

当事業年度末における総資産は6,291,119千円となり、前事業年度末に比べ622,497千円増加しました。流動資産は5,437,449千円となり、前事業年度末に比べ557,282千円増加しました。これは主として、仕掛販売用不動産等が182,476千円減少したことによるものの、自社不動産の販売件数が想定を下回ったことにより、販売用不動産が711,637千円増加したためであります。固定資産は853,670千円となり、前事業年度末に比べて65,214千円増加となりました。これは主として、土地が70,468千円増加したことによるものであります。

 

イ)負債

流動負債は1,171,649千円となり、前事業年度末に比べ370,955千円増加しました。これは短期借入金の429,960千円増加によるものであります。固定負債は928,027千円となり、前事業年度末に比べ134,382千円増加いたしました。これは主として長期借入金の増加額127,570千円によるものであります。

 

ウ)純資産

純資産は4,191,441千円となり、前事業年度末に比べ117,159千円増加しました。これは主として、剰余金の配当 100,306千円があったものの、当期純利益の計上額212,890千円によるものであります。

以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の71.9%から66.6%となりました。

 

③ 経営成績に関する分析

ア)売上高及び営業利益

売上高は、自社不動産売買事業における販売件数が413件と前事業年度の459件を下回ったことから、7,263,972千円(前事業年度比5.3%減)となりました。減少の要因としては、糸島店を出店したほか、自社保有の在庫件数が高水準を維持していたものの、新築建売事業者の低価格施策などの影響を受けたことによるものです。

不動産売買仲介事業においては、件数が減少したものの、収益物件の取り扱いなどにより1件当たりの平均手数料が上昇したことにより仲介手数料は前事業年度を上回りました。

また、不動産賃貸仲介事業及びその他事業いずれも請負工事高が減少したことにより前事業年度を下回りました。不動産関連事業については、火災保険の年限の短縮により平均単価が低下し、売上高は、前事業年度を下回りました。

売上総利益は、売上高が減少したことに加え、仕入価格の上昇などから自社不動産売買事業における売上高原価率が上昇したことにより、2,007,260千円(同8.8%減)となりました。

販売費及び一般管理費は、システム関連費用の増加から設備維持費が24.6%増加したことに加え、最大のウエートを占める人件費も管理職向け譲渡制限付株式の付与に伴う費用計上から0.6%増加したことにより1,695,371千円(同2.7%増)となりました。

以上の結果、営業利益は311,889千円(同43.2%減)となりました。

 

イ)営業外損益及び経常利益

営業外損益(純額)は、2,494千円の損失(前事業年度は1,805千円の損失)となりました。これは、営業外収益が顧客の事情による違約金収入が増加したものの、借入金の増加により支払利息が大幅に増加したためであります。

以上の結果、経常利益は309,394千円(前事業年度比43.5%減)となりました。

 

ウ)特別損益及び税引前当期純利益

特別利益は、土地及び社有車の売却による固定資産売却益1,187千円(前事業年度は計上なし)を計上しました。

なお、特別損失は、計上しておりません。

以上の結果、税引前当期純利益は310,582千円(前事業年度比43.3%減)となりました。

 

エ)法人税等(法人税等調整額を含む)

法人税等は、法人税等調整額が△4,472千円と前事業年度に比べ3,513千円増加、及び税引前当期純利益の減少により法人税、住民税及び事業税が前年度に比べ76,686千円減少したことから、97,691千円(前事業年度比42.8%減) となりました。

 

オ)当期純利益

以上の結果、当期純利益は212,890千円(前事業年度比43.5%減)となり、1株当たり当期純利益金額は78.53円(同43.9%減)となりました。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社は、2024年7月11日に将来の成長に向けて取組むべき優先課題を整理し、次なる成長段階「Next Stage」に当社が向かうための「4つの経営戦略」をベースとする第3次中期経営計画を策定しました。なお、第3次中期経営計画に係る「4つの経営戦略」の詳細については「第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 対処すべき課題」をご覧ください。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標と位置づけられる第3次中期経営計画において、当社は本計画の最終年度となる2026年5月期の目標値を以下のとおり、設定いたしました。

 

第3次中期経営計画の数値目標

 

最終年度(2026年5月期)の目標値

売上高

7,500百万円

経常利益

320百万円

税引後当期純利益

220百万円

 

 

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況の分析

現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて19,888千円増加し、767,498千円となりました。

当事業年度のキャッシュ・フローの状況及び増減要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析  (1)経営成績等の状況の概要  ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当期は、税引前当期純利益310,582千円を計上したものの、棚卸資産の増加額が上回り、法人税等の支払額により営業キャッシュ・フローがマイナスとなりました。また、有形固定資産の取得により投資活動によるキャッシュ・フローもマイナスとなりました。一方で、短期借入金の増加及び長期借入の収入等により、財務活動によるキャッシュ・フローはプラスとなりました。

今後も、中古住宅等の積極的な仕入れにより、営業キャッシュ・フローがマイナスとなる可能性がありますが、当社は、自社所有の中古住宅等の売買回転率の向上を図ることにより、営業キャッシュ・フローの改善に努めてまいります。

 

(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① 資金需要

当社は、主力の自社不動産売買事業において中古住宅等の仕入れ及びリフォーム工事の費用の支払等の資金需要が大きいと認識しております。さらに政府が空き家対策を進めていることから、リフォームできない中古住宅への対応として更地もしくは新築住宅の建築も選択肢とする必要があるため、今後も、当社の資金ニーズはますます強くなると考えております。また、当社の収益性及び将来の転売等を視野に入れて収益物件を取得することも重要と認識しております。費用の面でも、第3次中期経営計画に沿って営業員を積極的に採用することに加え、従業員の研修にもなお一層注力していくことから、今後、人件費を中心に増える見通しであります。

営業員の充実により当社の営業力が高まることにより、第3次中期経営計画の後には、不動産売買事業の店舗の出店や移転に伴う費用の支出も予想されます。これらの資金の必要額は個別には大きくないものの、まとまると流動性の面で無視できないと考えます。

 

② 財源

上記の資金需要に対する財源としては、利益剰余金に加え、長期・短期の借入金を活用してまいります。当社は、資金需要の金額あるいは時期に応じて機動的な借入れができるよう、金融情勢に注意を払いつつ、金融機関と良好な関係を継続してまいります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。