文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「“ひとの未来”に貢献する事業を創造し続ける」というビジョンのもと、「マーケティングで価値ある体験を提供し続ける」サービスを提供することで、ユーザー及び取引先企業に対し、事業環境の動向、顧客ニーズの変化等に対応した満足度の高いサービスを提供し、当社グループの企業価値・株主価値の最大化を目指し続けることを経営の基本方針としています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループが重視している経営指標は、売上高及び営業利益、並びにROEであり、事業成長に向けた最適な資本構成を目指すため、中長期的な資本効率としてのROE目標を15%に設定し、加えて総資産回転率目標を1回転以上に設定いたしました。いずれも投資家が当社グループを理解する上で重要な指標として認識しております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、ふるさと納税事業を中心とするコンシューマ事業においては、ユーザーの獲得と自治体への支援活動を強化し、周辺事業を拡大してまいります。インターネット広告事業においては、競争力強化のため広告主と媒体社(メディア)双方に対して、それぞれの価値を最適化・最大化するための広告効果向上を図ります。これら2つの事業領域においてアセットの最適配分と相乗効果を最大限に発揮し、さらにはアプリ運営や海外市場など新しい成長事業を推進することで企業価値を高めてまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後の更なる事業拡大及び、企業価値の向上を持続するため、以下を課題として認識し、取り組む所存であります。
① 新規ユーザーの獲得とユーザーエンゲージメントの強化
当社グループの持続的な成長のためには、当社グループ及び当社グループのサービスの認知度を向上させ、新規ユーザーを獲得することでユーザー数を拡大していくことが必要不可欠であると認識しております。そのため、効率的で効果の高い広告宣伝活動や、「ふるなび」ブランドを活用した事業展開を拡大してまいります。
また、既存ユーザーのニーズを汲み取り、サービス品質を高め続けると共に、顧客満足度の高い周辺サービスを開発することで、エンゲージメントをより強化し、長期的に当社グループのサービスをご利用していただけるよう努めてまいります。
② 新規事業の創出
当社グループが持続的な成長を実現するための戦略として、既存事業の成長を図る施策に加え、既存事業のアセットを活用した新規事業の開発に取り組み続けることが重要であると考えております。特に、「ふるなび」を基点とした周辺事業への投資により、新たな収益事業の創出に注力してまいります。
③ 既存事業の安定収益化と事業ポートフォリオの拡大
当社グループの成長を実現するためには、既存事業の基盤強化による安定収益化が不可欠であると認識をしております。収益力の高い既存事業を中長期にわたりより安定的な収益源とするために、市場プレゼンスを高める施策を推進してまいります。
また、市場環境の変化に対応し、事業ポートフォリオの再構築を進めながら、ユーザーセグメントの異なる事業を組み合わせたポートフォリオを構築する等、ビジネスモデルを多様化することで将来にわたる収益を確保し、持続的な成長に繋げてまいります。
④ 事業提携、企業買収への積極的な取り組み
今後の更なる収益基盤の安定化及び、持続的な成長を図るためには、次の成長を担う新規事業及び既存事業からの派生事業の創出により、収益源の多様化を実現することが必要不可欠であると考えております。そのためには、自社による事業開発のみならず、事業提携やM&A等による新たな事業・サービスへの投資を実行することで、成長への挑戦を継続してまいります。
⑤ 広告配信性能の向上
インターネット広告事業は、競合環境及び事業環境の変化等により、広告配信性能の競争優位性を確保することが必要不可欠であると認識しております。当社グループでは、統計処理及び機械学習等における広告配信技術を高め、豊富なユーザーデータを基に効率の良い広告配信枠の買付を実施し、より競争力ある広告配信サービスの提供を図ってまいります。
⑥ 開発体制の強化
当社グループを取り巻く事業環境は、技術革新及び市場の変化のスピードが速く、日々新たな対応が求められる環境にあります。このような環境の中、更なる事業拡大のため、技術領域への投資、品質の高い開発手法の導入及び人工知能技術などの研究を一層加速させ、機動的で競争力重視のサービス開発体制の整備を図ってまいります。
また、当社グループの事業はウェブ上で運営されていることから、システムを安定的に稼働させ、問題の発生時には迅速な解決が求められていると認識しております。快適な状態でユーザーにサービスを提供するために、システムを安定的に稼働させるための技術の開発及び人員確保等に努めてまいります。
⑦ 優秀な人材の育成と確保
当社グループの更なる成長のためには、社員全員が企業理念や経営方針を深く理解し、「Smile × Growth ×
Team」というValuesを体現していくことが必要不可欠であると考えております。そのために、社員の成長を支え
る制度や社員間、部署間のコミュニケーションを高める仕組みの整備を行うと共に、誰もが安心・安全に活躍
できる環境の構築に努めてまいります。
また、組織の規模拡大による機動性の低下等の発生を防ぐため、事業展開に応じた組織体制の整備と適切な人
員配置により、効率化と意思決定の機動性確保を図ってまいります。これらを通じて、一人一人が高い実行力を
発揮し、ビジネスの遂行や効率的な仕組み作りを可能にする組織を実現いたします。
⑧ サステナブルな社会の実現
当社グループのビジョン「“ひとの未来”に貢献する事業を創造し続ける」の実現に向け、事業をはじめとし
た企業活動を通じ社会課題の解決に取り組み、全てのステークホルダーにとって魅力的な企業として、継続的な
企業価値の向上を目指しております。
当社グループは優先的に取り組むべき課題として、「人々のQOLの向上」「社会的価値の創造」「持続可能な街
づくり」「地域の魅力創出」の4つの重要課題(マテリアリティ)を特定しており、ふるさと納税事業「ふるな
び」と「企業版ふるさと納税」を活用した地域支援により、社会課題の解決とサステナブルな社会の実現に貢献
してまいります。
また、事業を通じた社会課題解決への取り組みであるグリーンエネルギー事業では、ソーラーシェアリング
(営農型太陽光発電)施設をはじめとした発電施設に加え、EV充電サービス「ふるなびEVチャージ」の設置が順
調に進んでおり、持続可能な循環型社会を実現するための事業を創造し続けており、この事業を推進し収益化
を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、事業成長はもとより、持続可能な環境や社会への貢献による持続的な企業価値の向上が重要な経営課題であると認識しており、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を経営直轄機関として設置し、全社横断的な取り組みとして推進しております。
同委員会では、当社グループの気候変動によるリスクや経営改革の機会を中心としたサステナビリティに関する課題の抽出や目標の設定、活動内容の決定と実施及び評価と新たな課題の抽出等を行い、それをもとに社会課題の解決に向けた戦略を立案・実行し、透明性の高い情報開示を実施します。
なお、サステナビリティ委員会での審議・報告事項については取締役会へ報告され、重要事項の意思決定にあたっては、独立社外取締役諮問委員会からの助言を受けたうえで議論を進めます。
サステナビリティ委員会にて評価されたリスクは、全社のリスク管理を担うリスク管理委員会へ報告され、他のリスクと取りまとめを行い、四半期に一度取締役会へ報告されます。なお、サステナビリティ委員会が緊急度と事業への影響度の観点から重要度が高いと評価されたリスクについては、サステナビリティ委員長より取締役会へ報告されます。
取締役会では、必要に応じ、リスク再評価の指示や対応策の再設計、強化の指示等を通して、リスク管理委員会の臨時対策本部への切り替え検討や協議等、リスクへの適切な対応を講じております。
①人的資本経営の推進
<人材の育成及び社内環境整備に関する方針>
当社グループは、経営戦略と連動した人材戦略に基づいた強い組織であり続けることが「“ひとの未来”に貢献する事業を創造し続ける」というグループビジョンの実現に必要不可欠であると考えております。
当社グループビジョンの実現を支える行動指針として「Smile × Growth × Team」というValuesを掲げ、協力性の高さや熱量を持って仕事にコミットする強みを活かしながら、社員の成長を支える制度や、社員間、部署間のコミュニケーションを高める仕組みの整備によって、一人一人が高い実行力を獲得・発揮し、ビジネスの遂行や効率的な仕組み作りを可能とする組織を実現します。
また、性別、年齢、国籍はもとより、学歴、採用の種別や入社年次を問わず、多様な発想や価値観を持つ人材を確保します。そして、誰もが安心・安全に活躍できる環境を整えることで、多様性を実現し、組織の強みをさらに発揮しつづけることで、グループビジョンの達成と企業価値の向上を実現します。
(注)「人的資本経営の推進」の詳細情報については「
https://www.i-mobile.co.jp/sustainability/diversity.html
②気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)への対応
<環境方針>
当社グループは、環境課題の解決によって、当社の掲げる4つの重点課題(①人々のQOLの向上、②社会的価値の創造、③持続可能な街づくり、④地域の魅力創出)の解決に貢献するものと考えております。
気候変動や大気・水質汚染、生物多様性など、社会の環境問題において、当社事業が社会に与える負の影響は限定的であると考えておりますが、今後の事業成長及び、環境問題の課題解決に資する事業展開へ果敢に挑戦し、持続可能な社会の実現と継続的な企業価値向上の両立を目指してまいります。
<持続可能な社会実現に向けた当社グループの考え方>
当社グループは、気候変動に伴う事業活動を収益拡大の大きな機会と捉え、グリーンエネルギー事業と関連事業(既存事業とのシナジーを活かしたサービス及びM&Aや事業提携による事業展開)を始めとした事業を推進してまいります。
(注)「気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)への対応」の詳細情報については「
https://www.i-mobile.co.jp/sustainability/tcfd.html
①人的資本経営の推進
<人材の育成及び社内環境整備に関する指標及び目標>
当社グループは、「多様性」、「パフォーマンス発揮/機会提供」、「働き方支援」といった、成長基盤となるマテリアリティに取り組むことで、グループビジョンの実現と企業価値の向上を目指しております。その一環として、社員一人一人の成長意欲を支援する制度に加え、社員相互の学びにより、様々な価値観や考え方、知識や経験を高められるように、多種・多様なテーマを題材とする社内勉強会の実施、さらには、コミュニケーション活性化を目的とした、社内クラブ活動や社員同士の会食費を負担する制度などによるコミュニケーションの推進支援をしております。また、柔軟な働き方による生産性の向上、社員及び部門間の連携強化による創造性の発揮や業務の効率化を実現するために、2024年7月に本社を移転しました。
(注)エンゲージメントスコア:エンゲージメントサーベイツールを活用して社員エンゲージメントを可視化したもの
②気候変動(TCFD提言に基づく情報開示)への対応
<気候変動に関する指標及び目標>
当社グループは、気候関連リスク・機会を管理するための指標として、CO2排出量を算定いたしました。
当社グループは、グリーンエネルギー事業及び周辺事業の推進、本社等事業所における排出量削減により、2050年までには、バリューチェーン全体のCO2(二酸化炭素)の排出を実質ゼロにし、脱炭素社会の実現を目指します。
実績は、以下のとおりです。
CO2排出量実績(集計範囲:当社グループ全体 単位:t-CO2/kWh)
(注)Scope3については、今後、必要なデータの収集と分析を行い、順次情報開示の検討を進めてまいります。
Scope1:自社における直接排出
Scope2:自社におけるエネルギー起源の間接排出
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) インターネット広告市場について
インターネット広告市場は、インターネットの普及と技術革新により急速に拡大してまいりました。インターネット広告の市場規模の拡大は今後も継続していくと考えておりますが、外国資本によるプラットフォームの台頭及び個人情報保護気運の高まり、プライバシーに関する規制の強化や広告審査基準の厳格化などの規制並びに、景気の悪化や顧客動向、消費活動の変化による広告の減少などにより、当初想定していた収益を確保することができず、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 技術革新について
科学技術の飛躍的な進化による技術革新のスピードや、顧客ニーズの変化は早く、それに基づく新サービスが常に生み出されております。当社グループでは、そうした事態に対応するために、常に業界動向を注視し、迅速かつ適切な対応をしていく方針であります。しかしながら、何らかの要因のため、当社グループにおいて当該変化等への対応が遅れた場合、サービスの陳腐化、競争力低下等が生じる可能性があります。また、対応可能な場合であったとしても、既存システム等の改良、新たな開発等による費用の増加等が発生する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 競合について
当社グループは、コンシューマ事業及びインターネット広告事業の2つの事業領域において展開しておりますが、当該分野においては、多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。引き続き各事業の拡大及び競争力の維持・強化に努めてまいりますが、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) ふるさと納税事業について
当社グループのふるさと納税事業において、税制改正などの法的規制に限らず、政府や省庁、地方自治体等からの指導や要請等の影響を受ける可能性があります。政府や省庁、地方自治体等が行う指導や要請等があった場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 法的規制について
現時点において、当社グループの主力事業の継続に直接的に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しておりますが、今後インターネットの利用者及び事業者を規制の対象とする法令、行政指導、その他の規則等が制定され、また近年の広告規制の強化が当社にも及んだ場合には、代替手段の開発に多額の投資が必要となり、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。また、Apple Inc.が運営するApp StoreやGoogle LLCが運営するGoogle Playなどのプラットフォーム事業者の事業方針に変更等があった場合、当社グループのサービスを継続することが困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 広告主及びパートナーサイトの参加審査について
当社グループのインターネット広告事業において、広告及びパートナーサイトの適法性が非常に重要となります。当社グループでは、広告主又はパートナーサイト運営者がアドネットワーク関連事業のサービスに登録をする際、当社グループの独自の基準に基づき、広告主が提供するバナー、又はパートナーサイトが公序良俗に反しないか、「不当景品類及び不当表示防止法」、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「特定商取引に関する法律」等の法律に抵触する恐れがないか等の審査を行い、当社グループの基準に反する事項が存在する場合には、登録を許可しない体制となっております。当社グループは、登録を許可した後においても定期的なモニタリングを行っておりますが、広告やパートナーサイトが公序良俗や法令に反する商品・サービスの提供、コンテンツの掲載を行った場合に、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) パートナーサイトの監視体制について
当社グループのインターネット広告事業において、パートナーサイトの品質管理のために、定期的に不正の調査を実施しております。故意による悪質な違反行為を行っていると判断される場合は、即時にアカウントを停止することもあります。このような取り組みにもかかわらず、予期せぬ要因によりこれらの対応に不備が生じ、広告主から訴訟を起こされた場合には、当社グループの信用が低下し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 内部管理体制について
当社グループは、グループ企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置づけ、多様な施策を実施しております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 特定人物への依存について
当社グループにおいて、専門的な知識、技術、経験等の重要なノウハウを有し、経営、業務執行について重要な役割を果たしている、役員、幹部社員等が何らかの理由により退任、退職など、当社グループの業務を継続することが困難になり、後任者の採用が難航した場合、当社グループの経営活動に支障が生じ、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。その時期は想定されるものではありませんが、当社グループでは当該リスクに対応するため、特定の人物に過度に依存しない体制を構築するべく、組織の見直しや積極的な情報共有、幹部の育成等により経営組織の強化を図っております。
(10)システムトラブルについて
当社グループは、各種サービス提供をインターネット環境において行っており、システムの安定的な稼働が業務遂行上必要不可欠なものとなっております。そのため、当社グループは、常時ネットワークを監視し、日常的に保守管理も行っております。また、継続的な設備投資により、システム障害を未然に防ぐ体制も整えております。しかしながら、システムへの一時的な過負担、ソフトウエアの不備、未知のコンピューターウィルスの侵入や人的な破壊行為、テロ攻撃、地震や台風等の自然災害といった事象が発生し、当社グループのシステムに障害が発生した場合、当社グループの事業が大きな影響を受け、当社グループの業績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(11)個人情報管理について
当社グループは、コンシューマ事業及びインターネット広告事業において、利用者の個人情報を入手しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。当社グループにおいては、当該義務を遵守すべく、個人情報や取引データの取扱いに際し細心の注意を払い、ネットワークの管理、独自のプライバシー・ポリシーの制定・遵守、内部監査によるチェック等により、個人情報保護に関し十分な体制構築が行われていると考えております。しかしながら、不測の事態により、個人情報が外部に流出した場合には、当社グループに対する損害賠償の請求や信用力の低下により、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(12)知的財産権について
当社グループは、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように、細心の注意を払って事業活動を行っておりますが、現在のインターネット関連分野における技術の進歩の早期化、グローバル化により、当社グループの事業領域における知的財産権の現状を完全に把握することは困難であります。当社グループの事業分野での当社グループが認識していない知的財産権が既に成立している場合又は新たに当社グループの事業分野において第三者による著作権等が成立する場合には、第三者の知的財産権等を侵害することによる損害賠償請求や差止請求権等又は当社グループに対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)新規事業への投資について
当社グループは、今後も事業規模の拡大やグループ事業構成の最適化を図り収益源の多様化を実現するために、他社の買収や合併(M&A)、グループ会社の売却や合併等を含め、積極的に新規事業・サービスに取り組んでいく方針であります。その市場性や採算性、計画や買収金額の妥当性などを調査検証した上で新規事業・サービスの開始を行い、事業運営を行っておりますが、市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた事業計画を実現できない可能性があります。さらに、新規事業・サービスの立ち上げには先行投資として人材採用や研究開発又は設備投資等が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(14)人的資源について
当社グループは、創業以来、順調に事業規模を拡大してまいりましたが、さらなる業容拡大及び顧客ニーズの多様化に対応した新たなサービスの展開のためには、営業体制及び開発体制の強化が重要であり、優秀な人材を適切な時期に十分に確保、育成する必要があります。そこで、適切かつ十分な優秀な人材を採用できなかった場合、または離職等の発生により多くの人員が社外へ流出した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15)代表者への依存について
当社グループの創業者であり現代表取締役である田中俊彦と野口哲也は、創業以来当社グループを牽引してまいりました。両氏はデジタルマーケティング事業に関して、先見性による事業創造力や市場分析を基にした開発技術力に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略、技術的判断の決定、遂行において極めて重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会や本部長会議における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、両氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により両氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)自然災害に係るリスクについて
当社グループの主要な事業拠点である東京もしくは、サーバー等重要な設備の設置拠点において、地震、台風、火災等大規模な災害による設備の損壊や電力供給の制限等の事態が発生した場合には、当社が提供するサービスの継続に支障を来す可能性があります。当社グループでは、こうした事態が発生した場合に備え、事業継続計画(BCP)を策定し、適切かつ速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めております。同計画では最大14日以内の復旧を想定しておりますが、その復旧までの期間もしくは、想定を大きく超える甚大な災害となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2023年8月1日~2024年7月31日)におけるわが国経済は、社会活動の正常化が進み、インバウンド需要の回復に伴う景気浮揚効果がみられる一方、物価高による内需の低迷を背景に実質賃金の伸び率もマイナスが続く等、景気回復には足踏みもみられます。
当社グループは「“ひとの未来”に貢献する事業を創造し続ける」というグループビジョンの下、「コンシューマ事業」と「インターネット広告事業」の2つのセグメントによって構成されております。コンシューマ事業の主たる事業領域であるふるさと納税市場において、2023年度のふるさと納税受入額は前年度比約1.2倍の1兆1,175億円となり、初めて1兆円を突破しました。受入件数も前年度比約1.1倍の5,894万件、さらに、ふるさと納税の控除適用者数(ふるさと納税を実際に行い住民税控除適用された人数)も前年度比約1.1倍の約1,000万人と過去最高となり※1、「地方創生の実現」という本来の趣旨に沿った制度として広く認知されつつある一方、ふるさと納税の利用率※2は16.6%と低く、市場拡大による成長余地が大きいと見込まれております。
また、インターネット広告事業の主たる事業領域である国内インターネット広告市場における2023年のインターネット広告費は、前年比107.8%の3兆3,330億円と好調な成長を続けており※3、サーチ広告やソーシャルメディア広告、動画広告が牽引し、今後も市場は堅調に推移することが見込まれております。しかしながら、世界的な人々の行動・消費生活の変化は、広告単価の低迷など当社の主力であるアドネットワーク事業へ大きな影響を及ぼしており、予断を許さない状況が続いております。
このような事業環境の下、当社グループは、インターネットマーケティング企業として、祖業であるインターネット広告(アドネットワーク)事業で培ったテクノロジーとマーケティング・ノウハウを多角的に活用し、新たな市場の開拓と成長事業分野への投資を推し進め、さらなる企業価値の向上に努めております。
地域産業振興などの社会課題を解決する機能を持つふるさと納税事業においては、「ふるなび」ブランドの認知度向上とプロモーション活動を推進し、契約自治体や会員を増やすと共に、自治体との共創による飲食や宿泊等、独自企画の体験型返礼品の拡充を図るほか、新たにふるさと納税業務代行サービスを開始しました。インターネット広告事業においては、アドネットワーク事業から成長市場であるインフルエンサーマーケティング事業やアプリ運営事業へのリソースのシフトによる事業ポートフォリオの最適化を進めております。さらに、社会課題を解決することで地方創生を実現するグリーンエネルギー事業の実証実験では、耕作放棄地を活用したソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)施設が当連結会計年度において新たに8ヶ所稼働を開始し、これにより当社が運営する太陽光発電所(営農型+野立て※4)は合計14ヶ所※5となりました。また、ふるさと納税事業での地方自治体や宿泊施設との連携を活かし、電気自動車のインフラ構築を促進するEV充電サービス「ふるなびEVチャージ」においても、初期目標の100台設置を目指し、当初計画に対して順調に進捗しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は、18,735百万円(前年同期比114.1%)、営業利益は3,549百万円(同100.7%)、経常利益は3,459百万円(同100.7%)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,420百万円(同100.7%)となりました。
※1 出典:総務省自治税務局市町村税課「ふるさと納税に関する現況調査結果」、2024年8月2日公表
なお、ふるさと納税受入額等の実績は、住民税の計算期間と異なり、自治体の事業年度(4月1日~翌年3月31日)の状況を集計したものであります。
※2 ふるさと納税の利用率は「総務省発刊:各年度の課税における住民税控除額の実績等」及び「総務省発刊:各年度の市町村税課税状況等の調」を参考に当社にて算出
※3 出典:株式会社電通「2023年 日本の広告費」、2024年2月27日発表
※4 土地に直接、太陽光発電設備を設置して売電する方法
※5 本有価証券報告書開示時点では18ヶ所の太陽光発電所(営農型+野立て)が稼働しております。
セグメント別の業績は次のとおりです。
なお、各セグメント別の売上高は、セグメント間の内部売上高及び振替高を含む数値を記載しております。
また、当連結会計年度の期首に一部費用の配賦方法を変更しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に記載のとおりです。
(コンシューマ事業)
コンシューマ事業では、ふるさと納税事業「ふるなび」及び周辺事業としてトラベル事業、レストランPR事業並びにポイントサービス事業を展開しております。主力事業であるふるさと納税事業「ふるなび」では、ふるさと納税市場の安定した高成長が継続する中、競争優位性確保のための市場シェア20%の目標実現に向け、継続的なプロモーションの実施や、顧客の利便性とニーズを考慮したポータルサイトの機能の向上に努めました。さらに、周辺事業である「ふるなびトラベル」では、体験型返礼品の拡充に加え、宿泊・飲食店などの提携施設数が前年同期比でおよそ2倍に拡大するなど、ユーザー体験の向上を通じて、顧客の継続的な利用を促進しております。これらの施策が顧客層の拡大及びリピーターの増加に寄与し、前年同期比で寄附件数や会員数は順調に伸長しました。また、ふるさと納税業務代行サービスを開始し、業務効率化と経費削減等のサポートに加え、自治体の魅力発信の強化など、自治体との連携を強化しております。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は15,950百万円(前年同期比120.1%)、セグメント利益は3,446百万円(同115.8%)となりました。
(インターネット広告事業)
インターネット広告事業では、アドネットワーク事業、インフルエンサーマーケティング事業、メディアソリューション事業、広告代理店事業(サイバーコンサルタント社)、アプリ運営事業(オーテ社等)を展開しております。アプリ運営事業では、開発期間を短縮できる環境の整備などを進め、Android版とiOS版の同時リリースの実現に加え、他社との開発連携による新規タイトルのリリースを強化した結果、当連結会計年度においては、当初計画を超える5本の新規タイトルをリリースしました。また、「交換コイン」※6を導入するなど、ユーザーのリテンション向上にも注力しました。さらには、新たな収益の獲得に向けて、他社との協業によるポイ活※7市場に参入したことなどにより、売上高は順調に回復しております。インフルエンサーマーケティング事業においては、インフルエンサー登録者数及び稼働率を伸ばすため、多様な料金プランの提供を開始するとともに、広告主への外部商材の提案など総合的なサポート体制の構築も進めております。また、メディアソリューション事業においては、稼働パートナー数が過去最高を更新したことに加え、新たな広告フォーマットが収益に寄与し、業績は安定的に推移しております。一方で、アドネットワーク事業での当社の主要顧客や業界全体での広告費予算の減少が当社収益に与える影響が依然として大きく、売上高・セグメント利益共に前年同期比で減収減益となりました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は2,756百万円(前年同期比86.7%)、セグメント利益は333百万円(同49.9%)となりました。
※6 懸賞にはずれてもコインが付与され、そのコインを貯めることで景品へ交換ができる仕組み
※7 「ポイント活動」の略で、ポイントを貯めたり、貯まったポイントを活用することなどの総称
②財政状態
当連結会計年度末における総資産は24,488百万円(前連結会計年度末比2,766百万円の増加)となりました。これは、主に現金及び預金が2,384百万円増加したことによるものであります。
負債は8,855百万円(同1,212百万円の増加)となりました。これは、主に未払法人税等が460百万円減少したものの、未払金が580百万円、預り金が550百万円及び販売促進引当金が465百万円増加したことによるものであります。
純資産は15,633百万円(同1,553百万円の増加)となりました。これは主に、利益剰余金が配当金の支払いにより772百万円減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により2,420百万円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)の残高は、前連結会計年度末より2,384百万円増加し、18,602百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は3,793百万円(前連結会計年度は4,388百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額1,589百万円があったものの、税金等調整前当期純利益3,446百万円、前払費用の減少699百万円、預り金の増加547百万円及び販売促進引当金の増加465百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は747百万円(前連結会計年度は378百万円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出336百万円、有形固定資産の取得による支出311百万円及び無形固定資産の取得による支出149百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は683百万円(前連結会計年度は2,059百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額771百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の状況
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度における販売実績の著しい変動の要因は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は総販売実績
の100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
そのほか、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況 ② 財政状態」をご参照ください。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況については、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社グループは、今後も更なる収益基盤の安定化及び持続的な成長を図るために、収益源の多様化を実現する必要があると考えており、自社による新規事業の創出及び拡大のみならず、業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資に積極的に取り組んでいく方針であります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、広告作業実施のための媒体料金及び制作費の支払等並びに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費です。また、当社グループ及び当社グループのサービスの知名度を向上させ、新規ユーザーの獲得とユーザーエンゲージメント強化のための広告宣伝費及び、事業開発とシステム開発に係る人件費であります。投資を目的とした資金需要は、主に業務提携、M&A等の新たな事業・サービスへの提携・投資及び設備投資等によるものであります。これらの資金需要は自己資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施致します。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが重視している経営指標のうち、中長期的な資本効率として設定しましたROEにつきまして、当連結会計年度は16.4%となりました。今後も目標の15%に対して業績の向上と併せて資本効率についても注視し、事業基盤の維持及び持続的な成長のために必要な株主資本の水準を保持しつつ、業績の動向を踏まえた安定的な配当の実施及び柔軟な自己株式の取得により、株主還元を着実に充実させてまいる所存でございます。
該当事項はありません。
当社グループは、市場変化に迅速に対応し、より収益性の高い魅力あるサービスを提供するために、新技術等を取り入れた高付加価値を生み出すシステムの研究開発活動を行っております。
なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は