当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
《理念》
当社グループの経営理念の根幹は、「和の魂」にあります。「和の魂」とは、お互いが持つ個の力を連携し、それを組織の力にしていく「和の精神」であります。「安心」、「安全」、「信頼」という絆作りを追求し、魅力ある会社を創造し、会社の発展と社会に貢献してまいります。魅力ある会社とは、「商品・サービスを買いたい」、「取引したい」、「勤めたい」、「投資したい」会社であります。
1)ミッション
① 「より良いソリューション・顧客満足度の高い製品・サービス」を提供します。
② 世界に通用する「P(人・プロセス・プロダクト)」により社会に貢献します。
③ 「ダイヤモンド経営」を実践します。
2)ビジョン
① 高付加価値を創造する企業を目指します。
② 社員満足度の高い会社を目指します。
③ 社会に認められる製品サービスの開発・創出を目指します。
3)バリュー
品質・環境・技術のバランスを考え、本質を追求した事業を行います。
① 「品質」:品質第一主義に徹した高品質なシステム開発を行い、お客様の信頼に応える事業活動を推進します。
② 「環境」:環境への配慮とは何か、その本質を追求し、地球環境保全に配慮した事業活動を推進します。
③ 「技術」:時代のニーズに合う最適・最先端の技術を取り入れ、さらに、新たなるチャレンジに踏み出すため「半歩先」の技術を習得する努力を続け、お客様が安心できるサービスの提供を目指し、事業活動を推進します。
(2)目標とする経営指標
当社グループは、売上総利益及び営業利益を経営指標の一つとしており、適正な利益の確保と継続的な拡大を経営目標としております。
(3)中長期的な会社の経営戦略
国内の経済活動の活発化により、景気は引き続き緩やかに回復し続けると考えられます。他方、エネルギー価格の高騰や金融市場の変動、地政学的リスクなどの影響により、経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。このような状況下において、企業の戦略的IT投資需要や働き方改革への対応、デジタル化による自動化・効率化・省力化へのシステム投資は堅調に続くものと考えております。
当社はソフトウェア開発関連事業者として常に高品質なシステムの提供に努めてまいりました。今後も引き続き同事業の更なる成長を目指して、品質向上への取り組みと技術力の強化を図るとともに、長年培った各種ノウハウによりDX(デジタルトランスフォーメーション)(*1)関連へも注力してまいります。更に当社のソフトウェア開発技術をベースにクラウド、Webの高度利用を推進し、農業分野では、IoT(*2)、AIなどのIT技術の活用を高めi-農業の具現化に向けて様々な研究への取り組みを促進してまいります。
1)ソフトウェア開発関連
① お取引先との連携強化を図り相互の企業価値の向上に努める。
② 品質を重視した開発体制を継続的に強化。
③ コロナ禍を機にテレワーク制度を整え、家庭生活の充実と生産性向上の好循環の実現を目指し、多様で柔軟な働き方を推進。
2)サービスインテグレーション関連
① 「健康」と「学び」をKeyに、Platinum Fitness(健康増進施設向け会員管理システム)(*3)やPlatinum School(各種スクール向け生徒管理システム)(*4)をクラウドで提供。お客様と安定的かつ長期的な取引関係を構築し、ストックビジネスの成長を推進。
② 提供製品・サービスを継続的に強化し適用範囲を拡大するとともに、サポートサービスを充実。
3)RFID(電子タグ)関連
① 実証実験で蓄積したRFID(*5)技術と長年にわたる商品管理システムのノウハウを融合した新たなRFIDシステムの構築推進。
② 各種ソリューションとの組み合わせにより、対応分野を拡大させるとともに、様々なセンシング技術との連携を図り、IoT分野への参入。
4)CMMI関連
① 外部リードアプレイザー(認定資格者)(*6)と連携し、よりよいコンサルティングサービスの実施。
② CMMI(*7)がソフト開発の品質管理に於いて有効な方法で有ることを、販促セミナーやホームページ等を通じてPRし、CMMIによるプロセス改善活動を継続的に支援。
5)農業に関する活動
① ITで結ぶ農業「i-農業」を目指して様々な農業支援システムの開発。
② 自営圃場において生産活動・実証事業により関連技術の実用化。
(4)会社の対処すべき課題
1)顧客に感動を、当社の強みを再整備し、開発力の強化を図る
① 信頼されるコアパートナーとしての体質強化。
② QCD(*8)、技術力、提案力、柔軟性のある受注体制。
③ 受託・請負の拡大。(パートナーとの連携強化、一括発注の推進)
④ 引き続き部門間連携による活動を推進。
⑤ RFID関連の開発部署としての機能向上。
2)価値あるサービスの継続提供
① 顧客が安心して利用できる、価値あるサービスの継続提供。
② ASP提供会社として責任を持ったサービス活動の推進。
③ 変化する環境に即した製品・サービスの提供。
3)i-農業の具現化を促進
① アグリテック(農業と技術の融合)の活用を促進しスマート農業(*9)の存在感を高める。
② 「㈱ルーツ」、「浅小井農園㈱」の連携をさらに進め、農業生産効率を強化。
4)サスティナブル(持続可能)な企業を目指して
① 「経営改善」の推進。
② 未来に向けた社員の養成、中期的な視点での人材育成。
(組織間の人材交流、業務を通じての育成、人格、品格の向上)
③ 新規登用人材の活躍と、その活躍を支援する体制。
④ 「品質向上」の再構築。
⑤ 全社的な「営業活動の強化」。
⑥ コロナ禍を経た価値観の変化への対応。
(5)その他、会社の経営上重要な事項
該当事項はありません。
*1.DX(デジタルトランスフォーメーション) 既存のビジネスから脱却して、IoTやAIなどのIT技術を活用することによって、新たな価値を創出すること。
*2.IoT(Internet of Things) コンピュータなどの情報・通信機器だけでなく、世の中に存在する様々な物体(モノ)に通信機能を持たせ、インターネットに接続したり相互に通信することにより、自動認識や自動制御、遠隔計測などを行うこと。
*3.Platinum Fitness(プラチナ・フィットネス) 子会社㈱フィット・コムが、フィットネスクラブ、スイミングスクール、ダンススクール、ゴルフスクールなど健康増進施設向けに提供しているサービス「CLUB・NET」の中核となる会員管理システム。
*4.Platinum School(プラチナ・スクール) 英会話教室・塾、各種スクールの生徒の管理や受講申し込みをインターネット上で管理するシステム。
*5.RFID(Radio Frequency Identification) 微小な無線チップにより人やモノを識別・管理する仕組み。
*6.リードアプレイザー CMMIを用いて組織のプロセスを評定することを、CMMIの管理元であるCMMI Instituteから認定されている有資格者。
*7.CMMI 米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所が開発したソフトウェア開発プロセスのモデルで、5段階で評価。
*8.QCD Quality(品質)、Cost(費用)、Delivery(納期)の頭文字を繋いだもの。
*9.スマート農業 ロボット技術や情報通信技術 (ICT)を活用して、省力化・精密化や高品質生産を実現する等を推進している新たな農業。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社取締役会は、企業理念に基づく事業活動が、サステナビリティ(持続可能性)への取り組みと考えており次の項目に配慮して、持続可能な未来社会を実現するため、地球(環境)に優しい企業を目指し、高品質な製品・サービスの提供を通じて、お客様と共に継続的に発展して参ります。
・気候変動などの地球環境問題への配慮
・人権の尊重、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇
・取引先との公正・適正な取引
・自然災害等への危機管理
(1)ガバナンス
当社は、サステナビリティ(持続可能性)を経営の重要課題の1つと認識しており、取締役会、マネージャー会議の場で、サステナビリティに関するリスク管理やKPIの検討、実行状況の監視、監督を行っております。
(2)戦略
① 気候変動などの地球環境問題への配慮
・「環境方針」を定め「顧客へのサービス向上と環境に関する貢献」を最重点テーマとして、省資源、省エネルギーに努め、環境に配慮した製品及びサービスを提供するとともに、持続可能な社会に貢献する事業活動を推進します。また、2000年11月、国際規格ISO14001を認証取得いたしております。
・農業分野にて、ITを利用した「i-農業」を推進しており、食の安全、食の危機を救うことを目的の一つとしております。
② 人権の尊重
・事業内容の拡大に応じ女性・外国人・中途の採用に努めてまいります。
・農業分野に於いて栽培の自動化の推進過程で障害者雇用を検討しております。
③ 従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇
・個人の能力が組織の中で最大限に活かされるようオフィス環境を整えております。
・当社の働き方改革として、テレワーキング、デュアル・ライフ・バランスを推進しております。
④ 取引先との公正・適正な取引
行動規範を定め取締役会、マネージャー会議、期首の経営方針伝達で全員に重要性を伝えております。
⑤ 自然災害等への危機管理
BCPを策定しており、緊急時には当日に80%以上の社員の在宅勤務が可能な体制を取っております。
また、帰宅困難者のために水や食料品を備蓄しております。
(3)リスク管理
当社では、想定できるリスク発生の可能性について各部門、各グループ会社から情報収集し、リスク事由、その発生可能性の程度を洗い出し、マネージャー会議等を通じて適切な指針・方針を伝達するなどリスク発生の回避に努めており、重要な問題につきましては取締役会で適切かつ迅速に対応しております。
また、当社はISO9001(品質)、ISO27001(情報セキュリティ)、ISO14001(環境)の認証を取得しており、それらを有機的かつ効率的に結び付けて当社の実情に合った総合的なマネジメントシステムを構築しております。
よって、認証機関による審査や内部監査では、それぞれの認証の目的や規格の要求範囲にとどまらず経営も含め幅広く対象としております。
当社に於いて、ISOは最も有効な運用・監視ツールと位置付けており、その運用はISO事務局が担っております。
(4)指標及び目標
サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する当社の実績を長期的に評価、管理するための指標及び目標につきましては、人材育成及び社内環境整備に関する方針を含め、引き続き検討してまいりますが、今後とも、サステナビリティに関する戦略を継続的に進めてまいります。
当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下の通り記載しております。当社はこれらリスクの発生を認識した上で、その発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものでありますが、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。
(1)事業環境等
日本の経済情勢は、国内での経済活動の活発化によって、景気は緩やかながらも回復の動きが続きました。一方で、世界的な政治情勢の変動による資源価格の上昇や物価高、さらに海外のインフレ抑止対策による利上げや個人消費の伸び悩みなどの影響がありました。
情報サービス産業においては、企業のIT投資意欲は幅広い業種にわたり、新しい戦略的で厳選されたIT需要や働き方改革・人手不足への対応やデジタル化による自動化・効率化・省力化等システム投資への需要は堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは引き続き新分野への受注活動にも注力しつつ、更なる採算性の重視、ISO9001(*1,2)、CMMI(*3)を基準としたプロセス改善による生産性・品質の向上及び高度化する技術に対応すべく技術者の教育に努めております。しかしながら、取り扱う技術や顧客ニーズの変化など当社を取り巻く事業環境が急激に変化した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
*1.ISO 品質・環境等マネジメントシステムに関わる国際標準規格。
*2.ISO9001 1987年に制定され1994年、2000年に改訂された品質マネジメントシステムに関わる国際標準。
*3.CMMI 1999年、米国カーネギーメロン大学ソフトウェア工学研究所が開発したソフトウェア開発プロセスの能力成熟度を評価・判定するモデル。
(2)受託開発案件について
当社グループが行う受託開発においては、次のような事態により経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
① 当社グループの想定を超える納期や検収時期の変更によりプロジェクトの収支が悪化したり、売上計上の遅延により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 業務の請負に際しては、各工程毎に見積りを行いますが、案件が大型化することに伴い、すべてのコストを正確に見積ることの困難さが増し、そのため、実績額が見積り額を超えた場合には、低採算又は採算割れとなる可能性があります。
③ 品質管理には万全を期しておりますが、想定外の不具合が生じた場合、損害賠償の発生やその後の事業活動への影響、販売先あるいはユーザーの信頼を喪失する可能性があります。
④ 受託開発案件の一部について外部の協力会社に外注を行っておりますが、何らかの影響で外注体制に支障をきたした場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、ISO9001及びCMMIに基づく開発プロセス管理、改善によりその品質・納期・コスト・リスク等プロジェクトの管理を徹底しております。また、経営陣と各部門の責任者が、適時リスクの高い案件への対応方針を協議し、決定しております。更に、売上後の追加原価の発生に備えて、プログラム保証引当金を計上しております。
(3)主要取引先との取引について
当社グループの主要取引先であるSCSK㈱、㈱大塚商会の最近2期間における当社グループ売上高に占める割合は、それぞれ2023年7月期(37.3%、23.2%)、2024年7月期(37.6%、22.1%)となっております。
現状では、両社との取引は安定的に推移しておりますが、今後両社の事業動向によっては、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
これらの対応策は、次のとおりであります。
① 取引先に特化したサービスの提供と開発効率化を図ります。
② 多種多様なニーズに応えるべく、技術者のマルチスキル化を図ります。
③ 得意業種に特化した戦略の下、技術者のスペシャリストの育成を図ります。
(4)情報管理について
当社グループは、事業活動において、顧客の機密事項を取り扱う場合があります。現在まで、顧客の機密情報の流出による問題は発生しておりませんが、今後不測の事態により、顧客の機密情報や個人情報の漏洩に類する事態が生じた場合には、信用失墜や損害賠償により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、ISO27001(ISMS)(*4)の認証取得、プライバシーマークの付与認定取得による情報セキュリティ対策の強化に取り組んでおります。また、情報漏洩、不正アクセスの増加などの社会情勢及びテレワークに対応すべく、継続的に開発環境、製品サービス環境、設備などのセキュリティ強化、情報セキュリティ教育を実施しております。
*4.ISO27001 2005年に制定された情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際標準規格。企業が自身の情報セキュリティを確保・維持するために、ルールに基づいたセキュリティレベルの設定やリスクアセスメントの実施等を継続的に運用する仕組みです。
(5)優秀な人材の確保と育成
当社グループにおいては、事業活動において顧客の高度で高品質のニーズに応えるべく、優秀な技術者の確保が必要なものと認識しております。また、情報サービス業界に関わる労働市場の逼迫により当社グループが必要とする優秀な人材が適時に確保できない場合、当社グループの経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
このため、当社グループでは、人材の育成と実務能力の向上を目的として、様々な教育制度を実施するとともに、パートナー政策により継続的に人材の確保を行っております。また、「Daiwa Computer 未来プロジェクト」(*5)の具現化により人財価値の向上に努めるとともに、当社グループ社員のキャリアプラン・教育全般を支援することを目的に2022年2月に「人材育成センター」を設置いたしました。
*5.Daiwa Computer 未来プロジェクト 「設立50周年(それ以降)に向け、当社の持続可能なビジョンを次世代メンバーにより検討し、素案を策定すること」「ビジョン策定プロセスを通じて、ビジネスとマネジメントを学び、組織とのエンゲージメント(一体感)を高めること」を目標観とした当社の取組み。
経営成績等の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、国内での経済活動の活発化によって、景気は緩やかながらも回復の動きが続きました。一方で、世界的な政治情勢の変動による資源価格の上昇や物価高、さらに海外のインフレ抑止対策による利上げや個人消費の伸び悩みなどの影響がありました。
情報サービス産業においては、企業のIT投資意欲は幅広い業種にわたり、新しい戦略的で厳選されたIT需要や働き方改革・人手不足への対応やデジタル化による自動化・効率化・省力化等システム投資への需要は堅調に推移しました。
このような状況の中、当社グループは引き続き新分野への受注活動にも注力し、また、働き方改革に伴う生産性の向上や業務の効率化を目指し、更なる採算性の重視、品質の向上に努めてまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、次のとおりとなりました。
売上高は、ソフトウェア開発関連での受注が堅調に推移したことから、3,291百万円(前期比9.5%増)となり、売上総利益は、売上高の増加に伴い1,059百万円(前期比10.3%増)となりました。販売費及び一般管理費は494百万円(前期比8.1%増)、営業利益は565百万円(前期比12.2%増)となりました。経常利益につきましては、営業外収益が43百万円、営業外費用が8百万円であったことから、600百万円(前期比16.6%増)となりました。また、連結子会社である浅小井農園㈱に関する減損損失を計上したことにより、税金等調整前当期純利益は544百万円(前期比5.6%増)、税金費用は201百万円(前期比8.5%増)となりました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は342百万円(前期比4.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、以下のとおりであります。
(ソフトウェア開発関連事業)
受注が堅調に推移したことにより、売上高は2,525百万円(前期比8.9%増)となり、営業利益は441百万円(前期比18.2%増)となりました。
(サービスインテグレーション事業)
ASPサービスは堅調に推移したものの、開発案件の減少等により、売上高は609百万円(前期比0.2%減)となり、営業利益は164百万円(前期比3.5%減)となりました。
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ613百万円増加し、3,675百万円となりました。各キャッシュ・フローの増減状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は593百万円(前期は324百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益544百万円、減価償却費34百万円、減損損失56百万円、売上債権の減少による資金の増加155百万円、法人税等の支払額197百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は79百万円(前期は130百万円の支出)となりました。
これは主に、投資有価証券の償還による収入100百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は76百万円(前期は121百万円の支出)となりました。
これは主に、配当金の支払額69百万円によるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
・資金需要の主な内容及び方針
当社グループは、適正な利益の確保と継続的な事業拡大を図るべく、中長期的な会社の経営戦略に基づき、各種設備、教育・人材育成等への投資を推進しております。サービスインテグレーション関連では、継続的なサービス機能の向上に加え、サーバー等インフラの強化への投資も行っております。RFID(電子タグ)関連では、各種ソリューションとの組み合わせによる、対応分野の拡大、様々なセンシング技術との連携を図りIoT分野への参入に向けてのシステム投資を行っております。さらに、農業に関する活動においては、自営農場での生産活動・実証事業による関連技術の実用化に向けた新分野への投資や大学との共同研究も重要視しております。
・資金調達
これらの資金需要につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応する考えでありますが、必要に応じて、金融機関からの借入等により対応する所存であります。資金の調達に関しては主要な取引金融機関とは良好な関係を維持しております。
なお、当社グループの2024年7月末時点における銀行借入等を通じた有利子負債が79百万円であるのに対し、現金及び現金同等物は3,675百万円と有利子負債を大きく上回り、強固な財務基盤を実現しております。
・株主還元に関する考え方
株主還元については、財務状況、収益動向、また将来の事業投資に備えての内部留保などを総合的に勘案した上で、成長を続ける当社グループのキャッシュ・フローを、企業価値の向上とその水準の維持を図ることに最大限活用し、業績拡大に応じた配当の増額を図りたいと考えております。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
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第44期 |
第45期 |
第46期 |
第47期 |
第48期 |
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2020年7月期 |
2021年7月期 |
2022年7月期 |
2023年7月期 |
2024年7月期 |
|
自己資本比率(%) |
81.9 |
82.5 |
84.0 |
83.1 |
83.3 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
97.4 |
78.9 |
73.9 |
63.5 |
70.6 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
0.1 |
0.1 |
0.1 |
0.3 |
0.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
510.0 |
427.2 |
316.2 |
358.6 |
582.9 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、これらの見積りに基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成に用いた重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前期比(%) |
|
ソフトウェア開発関連事業(千円) |
1,773,788 |
107.0 |
|
サービスインテグレーション事業 (千円) |
275,240 |
95.7 |
|
その他(千円) |
87,894 |
199.5 |
|
合計(千円) |
2,136,923 |
107.4 |
(注)金額は製造原価によっております。
(2)受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
|||
|
受注高 |
前期比(%) |
受注残高 |
前期比(%) |
|
|
ソフトウェア開発関連事業(千円) |
2,599,498 |
103.1 |
666,027 |
112.4 |
|
サービスインテグレーション事業 (千円) |
485,810 |
85.8 |
116,371 |
82.7 |
|
その他(千円) |
89,867 |
149.0 |
23,376 |
254.3 |
|
合計(千円) |
3,175,175 |
100.9 |
805,774 |
108.5 |
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前期比(%) |
|
ソフトウェア開発関連事業(千円) |
2,525,989 |
108.9 |
|
サービスインテグレーション事業 (千円) |
609,515 |
99.8 |
|
その他(千円) |
155,834 |
210.6 |
|
合計(千円) |
3,291,339 |
109.5 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
SCSK㈱ |
1,119,873 |
37.3 |
1,236,918 |
37.6 |
|
㈱大塚商会 |
696,169 |
23.2 |
727,514 |
22.1 |
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
(1)財政状態の分析
① 資産
当連結会計年度末の資産合計は6,121百万円となり、前連結会計年度末に比べ361百万円の増加となりました。
これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産が156百万円、のれんが62百万円、投資有価証券が31百万円それぞれ減少したものの、現金及び預金が613百万円増加したことによるものであります。
② 負債
当連結会計年度末の負債合計は1,020百万円となり、前連結会計年度末に比べ44百万円の増加となりました。
これは主に、借入金が5百万円、受注損失引当金が7百万円それぞれ減少したものの、未払法人税等が12百万円、退職給付に係る負債が25百万円それぞれ増加したことによるものであります。
③ 純資産
当連結会計年度末の純資産合計は5,101百万円となり、前連結会計年度末に比べ317百万円の増加となりました。
これは主に、利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益342百万円の計上により増加したものの、剰余金の配当により69百万円減少し、その他有価証券評価差額金が45百万円増加したことによるものであります。
(2)経営成績の分析
「経営成績等の概要 (1)経営成績」をご参照下さい。
(3)キャッシュ・フローの状況
「経営成績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」をご参照下さい。
該当事項はありません。
セグメント別の研究開発の状況は、以下のとおりであります。
(1)ソフトウェア開発関連事業
該当事項はありません。
(2)サービスインテグレーション事業
該当事項はありません。
(3)その他
該当事項はありません。
(4)全社費用
当社は、農業のICT化への取組みに関する研究開発活動として、2016年4月1日に公立大学法人大阪府立大学(以下、「大阪府立大学」)と、「植物工場の栽培環境実測と統合環境制御による作物の品質・生産性向上に関する研究」を研究題目とした共同研究契約を締結しました。
また、当社は、農林水産省の「2016年度農業界と経済界の連携による先端モデル農業確立実証事業」に「メロン養液栽培による循環型農業確立コンソーシアム」の経済界側代表として応募し、2016年4月21日に先端農業連携創造機構より承認されました。
2017年4月には、大阪府立大学の「新世代植物工場研究開発実証評価プロジェクト」へ参画し、2016年4月の大阪府立大学との「人工光型植物工場に関する共同研究による参画」に加え、参画企業との連携をもって生産品の栽培・販売に向けての研究・検証を進めております。
2017年12月には、帝燃産業株式会社との共同研究契約を締結し、LPガスでのメロン栽培の暖房の最適化を行っております。
2020年9月より、国立大学法人静岡大学と共同研究契約を締結し、静岡大学内の農知創造研究所と近未来に予想される食糧危機問題に対し、定量的かつ省力化されたエコロジカルな次世代栽培システムを構築し、問題解決に寄与することを目的に共同研究を実施しております。また、静岡大学との共同研究により、温室メロンの網目の品質を認識可能な等級判定AI(人工知能)の研究開発に成功しており、等級判定の認識精度が向上しております。
上記の研究開発活動に係る支出については、特定のセグメントに帰属しない全社費用として管理する方針としております。なお、当連結会計年度における研究開発費は、