第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社は、「豊かで価値あるビジネスを展開し、人々の暮らしぶりに貢献する」という経営理念を掲げており、この経営理念を全取締役・従業員の職務執行上の拠り所としています。

 また、当社は経営理念を実現するための「GSフィロソフィー5箇条」を定めております。5箇条とは「Enjoy Order すべてのお客様にオーダーメイドを楽しんでいただく」、「User Friendly お客様から見て魅力があり、価値ある商品・カウンセリング・サービスをご提供する」、「Social Responsibility 常に社会の一員として責任ある行動を実践する」、「Think Differently 常に常識を疑い、常識にとらわれず、成長・進化していく」、「Act Without Being Afraid Of Risks リスクを恐れず行動し、失敗したらまた立ち向かう」であり、当社ではこれら5箇条のフィロソフィーを軸に経営理念を実現することを経営の基本方針としています。

 

(2)経営戦略及び目標とする経営指標

 当社では上記の経営理念の実現に向け、2024年7月に2027年7月期を最終年度とする中期経営計画を作成しました。

 中期経営計画では、「GS事業でのさらなる収益拡大を狙う」ことを基本方針に掲げ、重点施策として、「全国の政令指定都市、大都市近郊エリアを中心に出店」、「多店舗展開を行うため、人材の採用・育成を強化」、「国内外縫製工場とのネットワーク強化」、「物流機能の効率化」の4つの戦略の推進を掲げております。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 オーダースーツ業界におきましては、原材料価格の高騰や急激な円安の進行による仕入原価上昇等の影響は大きく、厳しい事業環境が続いております。このような経営環境のもと、当社では重点施策の遂行にあたり、以下の課題に取り組みます。

 

(既存事業の更なる強化)

① 来店客数の増加

 全国の政令指定都市及び大都市近郊への新規出店を積極推進することで、新規顧客の獲得に加え、既存顧客の利便性向上に努めます。

 また、お客様にオーダーメイドのプロセスそのものを楽しんでいただけるよう、より快適で魅力的な店舗空間の演出に取り組みます。

② 商品戦略

 当社の商品戦略の根幹である「国内有数の豊富な生地の品揃え(注1)」を維持・強化していくため、オーダースーツ生地を企画から厳選し、魅力ある商品ラインナップを顧客に提供いたします。

 また、当社の特徴である「高いファッション性+お買い得感」を維持しながら、品質にも最大限こだわることで、お買い得感があり、魅力的な商品を提供いたします。(注2)

 加えて、新たな顧客層の開拓を行うため、新商品の開発など、商品ラインナップの強化に取り組みます。

③ 人材育成

 顧客のニーズに的確にお応えして、「また来たい」と思っていただけるような人的サービスを提供できるよう、従業員への教育・研修を強化し、接客力の向上に取り組みます。

④ マーケティング

ネットマーケティングの活用等(インターネット広告やFacebook、Instagram、LINE等のSNS)によるオムニチャネル戦略を積極的に推進し、実店舗への送客効果による店舗売上の拡大を図ります。

 

(レディスオーダースーツの販売強化・オンラインオーダーサービスの強化)

① レディスオーダースーツの販売強化

 女性用ビジネスウェアの潜在需要を開拓するため、女性のニーズに対応する商品企画に取り組みます。

 また、女性客への接客力向上のため、店舗従業員への教育・研修を強化し、女性客が快適にお買い物をしていただけるような店舗環境づくりに取り組みます。

② オンラインオーダーサービスの販売強化

 オンラインオーダーサービスの売上拡大のため、オーダーコンテンツの充実とシステム連携による運営力の向上に取り組みます。

(システム開発による機能の強化)

 顧客データの分析や業務効率を向上させるため、店頭受注システム、基幹システム、電子カルテシステムの機能強化を図ります。

 

(物流の効率化)

 エネルギー価格の高騰に伴う物流費の上昇に対応するため、効率的かつ、コストを最小化する物流網の構築に取り組みます。

 また、お客様に商品をスムーズにお渡しするため、生産委託工場から店舗へのより効率的な商品の流れを構築し、物流業務全般について改善を図ります。

 当社は販売着数が多いため、工場と良好な協力関係を構築しており、店頭で得た顧客ニーズを取り込んだスピーディーなモデル開発が可能となり、オーダースーツ業界におけるSPAモデルを確立しております。(注3)

0102010_001.png

 

(会員制度)

 GS倶楽部及びGSアプリ倶楽部のサービスを拡充させることで顧客の利便性を高め、来店を促し、顧客満足度の向上に努めます。(注4)

 

(人事制度改革)

 従業員満足度の向上や、従業員一人一人が日々成長を実感できる人事制度の改革に取り組みます。

 東京、大阪にトレーニングショップを設け、実際の店舗実務と同様のシチュエーションで従業員の教育、研修を行い、接客力向上を図ります。

 

(注1)当社は、自ら選別した生地を直接調達することで、約5,000種類の品ぞろえを実現しております。

(注2)価格帯については、当社は2着48,000円、1着38,000円からでありお得感のある価格を実現しております。

(注3)SPAモデルとは、ファッション商品の企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデルで、日本語では「製造小売業」と訳されます。

(注4)GS倶楽部及びGSアプリ倶楽部は、当社顧客の会員サービスであり、会員限定で特典やお得な情報を提供して

おります。会員数は、下記の通り増加しております。

(単位:人)

項目

2016年

5月

2017年

5月

2018年

5月

2018年

7月

2019年

7月

2020年

7月

2021年

7月

2022年

7月

2023年

7月

2024年

7月

GSアプリ

倶楽部会員

29,263

37,734

94,476

155,344

209,266

264,406

328,807

394,500

GS倶楽部

会員

62,090

103,591

124,922

124,699

135,262

140,671

143,359

148,094

151,653

158,903

合計

62,090

103,591

154,185

162,433

229,738

296,015

352,625

412,500

480,460

553,403

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末時点において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社は、「豊かで価値あるビジネスを展開し、人々の暮らしぶりに貢献する」という経営理念を掲げております。さまざまなステークホルダーとの関わりの中、持続的に成長することを目標としています。

環境や人的資本を含む諸課題への対応施策は、中期経営計画及び年度予算において具体化しており、取締役会で承認し、定期的にその進捗を報告しております。

 

(2)戦略

当社では気候変動に影響のある環境への取り組みとして、具体的に以下の取り組みを実施しております。

① オーダー

オーダーは、“必要なものだけ”を作るため、廃棄などのムダがなく、お客様一人一人が望む商品のみを生産し、長くご愛用いただくことで、お客様にも環境にも優しいブランドを目指しております。

② 環境負荷軽減

スーツをお渡しする際に必ず必要となるショップ袋やテーラーバッグについて、環境を意識したものを取り入れております。ショップ袋はプラスチック製のものや紙袋は使用せずに、テーラーバックに関しても環境に影響を及ぼすと言われている可塑剤(かそざい)を使用せず、どちらも環境負荷軽減のため、繰り返し利用できる不織布を使用しております。

③ 生地

スーツの主な材料である生地(服地)について、サステナビリティを推奨する環境に配慮したブランドを積極的に取り扱っております。

 

当社では人的資本への取り組みとして、多様な従業員が働きやすい環境の整備を進めており、具体的には以下の取り組みを実施しております。

① 人事制度改革

従業員満足度の向上や、従業員一人一人が日々成長を実感できるため、東京、大阪にトレーニングショップを設け、実際の店舗実務と同様のシチュエーションで従業員の教育、研修行い、接客力向上を行っております。その他にも状況に応じて様々な研修を実施しております。

② 働き方改革

多様な従業員が働きやすい環境を整備し優秀な人材の確保、従業員の満足度向上を図るため、時短勤務制度、育児・介護休業制度を整備しております。

③ 組織力の強化

全ての従業員が最大の能力を発揮するため、就業環境の整備(各種研修やコンプライアンス管理体制の整備を通じてハラスメント防止策を講じる等)しております。

 

(3)リスク管理

 当社では「リスク管理規程」を作成し、リスク管理を行っております。全社的なリスクの把握と対応のため、管理本部長をリスク管理の統括責任者とするリスク管理・コンプライアンス委員会を設置し、各担当取締役及び各部長と連携しながら、リスクを最小化に向けた取り組みを行っております。

なお、当社のリスク管理及びコンプライアンスにつきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」において記載しております。

 

(4)指標及び目標

 当社は、人材の多様性が中長期的な企業価値の向上のための重要な要素であると認識しており、性別、年齢、国籍等の属性によることなく、意欲と能力によって人材を登用するという方針のもと、各人の能力が最大限に発揮できる社内環境の整備、人材育成を行っております。従いまして、当社では、性別、年齢、国籍等の属性ごとの目標値を定めておりません。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 需要見込みの変動リスクについて

 当社の原材料仕入計画の実行時期については、お客様の商品への需要動向及び原材料在庫状況等を把握した上で、概ね6ヵ月前に仕入計画の実行を行っております。そのため当社においては、常に仕入・販売・在庫計画の実需予測に基づく計画とその実績の乖離要因の分析及び精度向上に努めておりますが、お客様の需要との乖離が顕著に生じた場合には、結果として原材料在庫の回転率の低下等により当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 仕入原価の変動について

 当社の生地仕入については、直接及び間接輸入による割合が大きく、その主な輸入先はイタリアとなっております。直接輸入取引については大部分がユーロ建で、間接輸入取引についてはすべて円建てで行っており、ユーロ建ての場合は当社において発注の都度為替予約を行い、為替相場変動の影響の軽減に努めております。しかし短期的に外国通貨の為替レートに変化が発生した場合には仕入原価に影響を与える可能性があります。

 また、主な生産委託先である中国において、人件費や諸経費等が高騰した場合にも、製品の仕入原価が上昇する可能性があります。

 従って、これらの要因が当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

③ カントリーリスクについて

 当社では、一部の商品については海外で縫製しております。海外の生産拠点やその地域において、政治や経済情勢の悪化やその他の予期せぬ事態の発生により生産活動や物流に問題が生じた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ 店舗展開について

 当社は当事業年度末現在39店舗を運営しております。現在は都心及び全国の主要都市への出店が中心になっておりますが、今後は主要都市に加え、都市郊外エリアへの出店にも注力していく計画であります。ただし、店舗物件で当社の出店条件に合致した物件がなく計画通りに出店できない場合には、計画通りの売上高が計上できない可能性があります。

 従って、これらの要因が当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ 人材の育成、採用について

 当社の主力商品であるオーダースーツの販売では、お客様毎の体型にあった商品を提供するための採寸技術やお客様ニーズに応えるための商品知識が必要になります。当社では店舗従業員を対象に大阪本社及び銀座に常設する「トレーニングショップ」にて社内研修を実施し、店舗従業員の能力向上に努めておりますが、当社の計画通りに人材育成ができなければ、店舗の販売力が低下する可能性があります。

 また、店舗従業員の採用については、新卒採用と中途採用の両方で採用活動を行っておりますが、当社の計画通りに採用することができない場合には、店舗の販売力が低下する可能性があります。

 従って、これらの要因が当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥ 代表取締役への依存の高さについて

 当社GS事業の創業者であり、代表取締役である田城弘志は、当社の事業展開の方向性の決定や、出店戦略の決定等、当社の意思決定過程において重要な役割を果たしております。このため、田城が何らかの事情で通常の職務を遂行できなくなる場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社としては、経営組織の強化や、マネジメントを担い得る人材の採用・育成により、田城個人への依存度を引き下げることでリスクを低減していく方針であります。

 

⑦ 他社との競合について

 当社の主力商品であるオーダースーツは、百貨店、専門店等の既存の競合に加え、新規参入企業の増加により価格及び品揃えにおいて厳しい競争にさらされております。このような状況の下、当社では幅広い品揃えやオーダーバリエーション、居心地の良い店舗空間の演出、スタイリストによる接客等、他社との差別化に努めておりますが、今後もオーダースーツ市場における競争は継続していくものと考えられます。

 従って、この要因が当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 業績の季節変動について

 当社の営むオーダースーツの販売事業は、事業の性質上売上高に季節的変動要因があり、第2四半期、第3四半期及び第4四半期に比し、第1四半期の売上高の割合が低くなります。これらのことから、各四半期の経営成績は変動する可能性があります。

 

⑨ ライフスタイルの変化による要因について

 当社の営むオーダースーツの販売事業は、国内外の景気動向、少子高齢化社会の到来、在宅勤務をはじめとするワークライフバランスの変化、クールビズ・カジュアルウェアの定着等によって売上高に影響を受ける可能性があります。

 当社では、ライフスタイルの変化に応じ、お客様のニーズに合った商品提供を行ってまいりますが、これらの要因は当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 災害等による影響について

 当社の営業拠点は、その多くが首都圏および全国主要都市に集中しております。従って、もしこれらの地域において大規模な地震・風水害等の自然災害やテロ行為が発生した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑪ 感染症の影響について

 感染症が流行拡大し、感染防止対策として外出自粛要請等による消費マインドの悪化や営業時間の短縮や臨時休業等の措置により当社が運営する店舗の営業活動に影響が出る可能性があります。また、収束の不透明な状況が長期化した場合に、消費の低迷による経済状況の悪化などにより、当社の事業、財政状態及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 減損損失について

 当社は固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 2002年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 2009年3月27日)を適用しております。当社は、店舗の個別物件単位で資産のグルーピングを行っており、今後の店舗の業績推移によっては当社の業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

⑬ 個人情報の管理について

 当社は顧客会員組織「GS倶楽部」及び「GSアプリ倶楽部」の運営に加えて、オーダースーツ注文の都度お客様の個人情報の記載された約定取引書を発行しているため、多くの個人情報を保有しております。これらの情報の取扱いについては、「顧客情報取扱マニュアル」等を制定し、その運用のための管理体制を整える等、個人情報の外部漏洩に関しては細心の注意を払っております。

 しかしながら、万一外部漏洩事件が発生した場合は、社会的信用問題及び賠償問題等が、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑭ 不当景品類及び不当表示防止法について

 当社は、提供するサービスの広告宣伝及び販売促進活動における広告等の取り扱いについて、「不当景品類及び不当表示防止法(以下、「景表法」という。)」に基づく規制を受けております。景表法に違反した場合、不当表示により与えた誤認の排除や再発防止策の実施等の措置命令及び課徴金の納付指示を受ける可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1)財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の資産は、前事業年度末に比べ1億89百万円増加し、75億12百万円となりました。

 流動資産につきましては、前事業年度末に比べ1億38百万円減少し、38億10百万円となりました。主な変動要因は、現金及び預金が2億5百万円、前渡金が1億58百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品が1億38百万円、商品及び製品が52百万円増加したことによるものであります。また、固定資産につきましては、新規出店等により前事業年度末に比べ3億28百万円増加し、37億2百万円となりました。

(負債)

 負債につきましては、前事業年度末に比べ2億1百万円減少し、50億56百万円となりました。

 流動負債につきましては、前事業年度末に比べ11百万円増加し、36億83百万円となりました。主な変動要因は、前受金が95百万円増加したものの、買掛金が85百万円、短期借入金が50百万円減少したことによるものであります。また、固定負債につきましては、前事業年度末に比べ2億12百万円減少し、13億73百万円となりました。主な変動要因は、社債が80百万円、リース債務が71百万円、長期借入金が70百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

 純資産につきましては、前事業年度末に比べ3億90百万円増加し、24億55百万円となりました。主な変動要因は、前期の期末配当96百万円を実施した一方で、新株予約権の行使に伴う自己株式の処分等により自己株式が52百万円減少し、資本剰余金が9百万円減少したことに加えて、当期純利益4億43百万円を計上したことよるものであります。

 

(2)経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、雇用・所得環境の改善やインバウンド需要の拡大等を背景に、景気は緩やかな回復基調となりました。一方で、原材料・エネルギー価格の高騰や円安による物価上昇、不安定な海外情勢等の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 当社が属するオーダースーツ業界におきましても、原材料価格の高騰や円安の影響による仕入原価の上昇など、厳

しい事業環境が続いております。

 このような状況の下、当社におきましては、「Enjoy Order すべてのお客様にオーダーメイドを楽しんでいただ

く」のコンセプトのもと、新業態を含む新規出店や商品ラインナップの強化に取り組んでまいりました。

 まず、当事業年度の新規出店といたしましては、10月に「MARUNOUCHI Global Style なんばパークス店」、「GINZA Global Style COMFORT ならファミリー近鉄奈良店」、「GINZA Global Style PREMIUM 銀座本店」の3店舗を出店し、11月に「GINZA Global Style COMFORT 立川髙島屋S.C.店」、3月に「GINZA Global Style COMFORT 町田東急ツインズ店」、7月には「PREMIUM」業態3店舗目となる「GINZA Global Style PREMIUM KITTE大阪店」を出店いたしました。当該6店舗にはオープンより多くのお客様にご来店いただいており、順調なスタートを切ることができております。

 上記新規出店を含め、当事業年度末の店舗数は39店舗となりました。

 また、新たな商品展開といたしましては、新業態である「PREMIUM」業態でオーダー可能なセミハンドメイドのプレミアムオーダー「Heritage j 2.0」やスペインの人気ドレスシューズブランドである「Berwick 1707」の販売を開始し、新たな顧客層の開拓に取り組んでおります。

 以上のような取り組みの結果、売上高につきましては、111億67百万円(前年同期比7.3%増)となりました。

 販売費及び一般管理費につきましては、新規出店に伴う人件費や地代家賃、広告宣伝費等が増加したことから53億59百万円(同9.3%増)となりました。

 利益面につきましては、営業利益6億29百万円(同4.5%減)、経常利益6億56百万円(同4.7%減)となりました。当期純利益につきましては、「MARUNOUCHI Global Style 本店」の店舗移転に伴う特別損失29百万円を計上した結果、4億43百万円(同6.2%減)となりました。

 なお、当社はオーダースーツの販売店舗を運営する事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により6億25百万円増加、投資活動で4億49百万円減少し、財務活動により3億86百万円減少いたしました。その結果、前事業年度末に比べ2億5百万円減少し、当事業年度末の資金残高は9億1百万円となりました。

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は6億25百万円(前事業年度は2億67百万円の収入)となりました。これは、主に棚卸資産の増加額2億4百万円、法人税等の支払額2億10百万円があったものの、税引前当期純利益6億34百万円、減価償却費2億32百万円等の要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は4億49百万円(前事業年度は5億50百万円の支出)となりました。これは、主に投資不動産の賃貸による収入82百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出3億71百万円、敷金の差入による支出1億24百万円等の要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は3億86百万円(前事業年度は52百万円の収入)となりました。これは、主に長期借入金の返済による支出2億79百万円、社債の償還による支出1億20百万円、配当金の支払による支出96百万円があったものの、長期借入れによる収入2億29百万円等の要因によるものであります。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社は、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。

 また、資金需要の主なものは、生地の仕入、外注工賃の他、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であり、設備投資にかかる資金需要の主なものは、新規出店に伴う有形固定資産の取得等であります。

 

(5)生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

 当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b 受注実績

 当事業年度の事業部門別の受注実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

GS営業部

11,224

111.7

523

188.1

TANGOYA営業部

180

64.0

2

26.0

合計

11,404

110.4

526

181.6

 

 c 販売実績

 当事業年度の事業部門別の販売実績は、次のとおりであります。

事業部門の名称

当事業年度

(自 2023年8月1日

至 2024年7月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

GS営業部

10,978

108.6

TANGOYA営業部

188

65.1

その他

△100.0

合計

11,167

107.3

 

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

・繰延税金資産の回収可能性

当社は、繰延税金資産の回収可能性の評価について、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(企業会計基準適用指針第26号)」に従い将来の課税所得を見積り、回収可能と認められない金額について評価性引当額を計上しております。当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。

・減損損失にかかる将来キャッシュ・フロー

当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」において対象とされる固定資産について、店舗を最小単位としてグルーピングし、その営業活動から生ずる損益が継続してマイナスとなる場合等の事象が発生した場合には、減損の兆候があると判断し、資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の認識及び測定に当たっては、慎重に検討を行っておりますが、事業計画や経営環境等の前提条件の変化により、追加の減損処理又は新たな減損処理が必要となる可能性があります。

・資産除去債務の計上基準

当社は、店舗は主に賃借物件を利用することとしており、店舗閉鎖時には当社が原状回復義務を負うため、閉鎖に伴い発生が見込まれる原状回復費用の支出見込み額を過去の実績を基礎として算定し、これを現在価値に割り引いた金額を資産除去債務として計上しております。

従いまして、過去の実績と実際の原状回復費用等に差異がある場合、退去時に追加の費用負担若しくは資産除去債務の戻入が発生する可能性があります。

また、原状回復費用の支出見込み額に重要な見積りの変更が生じた場合には、有形固定資産の帳簿価額が増減し、将来の減価償却費に影響を与えることになります。

・契約負債

「GSアプリ倶楽部」・「GS倶楽部」等のポイント制度における将来のポイント使用による売上値引に備えるため、未使用のポイント残高に対して、過去の使用実績から将来使用されると見込まれる金額を見積り計上しております。

 過去の使用実績に重要な変更が生じた場合には、計上する契約負債が増減し、売上高に影響を及ぼす可能性があります。

・棚卸資産の評価基準

当社の棚卸資産の評価方法は、個別法による原価法(収益性の低下による簿価切下げの方法)でありますが、収益性の低下及び長期滞留化した棚卸資産に対して、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号2019年7月4日)に基づき、当社で定めた基準により評価減を計上しております。そのため、将来の市場状況や販売価格の下落等により、追加の評価減が必要となる可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。