当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
①経営理念
当社グループは「イノベーションとイノベーション人材で世界をフラットにする」という経営理念を掲げ、未就業者(高専生、大学生)を中心とする求職者に対して、「就職活動が景気動向や企業の採用環境に依存しない社会を作る」という命題の実現のために、様々な「学生イベント事業」に取り組んでおります。
現在、世界においては国連加盟193ヶ国が掲げるSDGs(※注1)国際目標がありますが、定められた17の分野における目標の課題解決には、国を超えた協力体制や一人ひとりの行動が重要になると考えられています。また、この行動を推し進めるのは、「未来を担う若年者の持つイノベーションを引き起こす力」だとも考えられております。
当社グループは、事業を通してイノベーション人材が数多く育ち、様々な課題に立ち向かいながら、より良い社会が形成されていく一助を担えるよう、邁進しております。
②メディア総研行動規範
イ 我々の目指すところ
我々は、未就業者(高専生、大学生)を中心とする求職者に対して、就職活動が景気動向や企業の採用環境に依存しないためにも、それぞれが自立した就職活動ができる就職支援システムを提供します。
ロ 我々が大切にする価値観・人生観
(a)我々は、日本・アジアの企業に有為の人材を提供し、社会に貢献します。
(b)我々は、自ら誇りと社会的責務を自覚して行動します。
(c)我々は、限界を設けず、経営理念を実現します。
ハ 社員に求める基本姿勢
(a)我々は、経営感覚及び社会的倫理観を重視し、経営者レベルまで人格を高めます。
(b)我々は、ノブレスオブリージュ(※注2)の考えに基づき、業務領域に属するすべての企業の模範になります。
ニ お客様に対する基本姿勢
我々は、業界の常識を覆すような先進的企画と堅実な企画を併せ持つことで、顧客のニーズに応じてサービスを提供します。
ホ パートナー(協力者)に対する基本姿勢
(a)我々は、競争力を維持する為に、お互いが緊張感を持ちながら、友好関係を維持します。
(b)我々は、コストだけで判断せず、「不可能を可能に」するために、広く門戸を開放します。
※注1:SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月の国連サミットで採択された2016年から2030年の15年間で達成するために掲げられた17の分野目標(Goals)と169のターゲット(具体的目標)で構成される国際目標である。例えば、「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」などがある。
※注2:ノブレスオブリージュ(〈仏語〉noblesse oblige)とは、身分の高い者はそれに応じて果たさねばならぬ社会的責任と義務があるという、欧米社会における基本的な道徳観。もとはフランスのことわざで「貴族たるもの、身分にふさわしい振る舞いをしなければならぬ」の意。当社グループは、ノブレスオブリージュの精神を尊重し、優秀な人材が集う会社として、すべての企業の模範となり、社会の公器として貢献しなければならないと考えている。
(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、就職活動イベントサービスの中でも高専生の就職活動に関する分野のリーディングカンパニーとして、関連する事業の売上拡大と安定的な利益の確保により、高い成長性を継続することを目指しています。そのため、当社グループは、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
(3)経営環境及び中長期的な経営戦略
当社グループが属する就職情報業界は、2008年9月に端を発するリーマンショックの影響から、2009年平均の有効求人倍率が0.47倍(厚生労働省調査)となるなど、企業の求人ニーズが急激に落ち込む事態に直面致しました。その後、金融政策による穏やかな景気回復を背景にして、2018年には平均の有効求人倍率が1.62倍(厚生労働省調査)まで上昇するなど持ち直しの兆しが見えておりましたが、景気回復が伸び悩んだことと併せ、突然の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、再びマイナス局面を迎えました。特に新型コロナウイルス感染症拡大の影響はオンラインでの採用面接が恒常化するなど、学生の就職活動の形態が大きく変化するきっかけとなりました。また、2024年7月においても有効求人倍率は1.24倍(前年同月は1.29倍。厚生労働省調査)となり、労働統計における企業の求人ニーズは新型コロナウイルス感染症が拡大する前の数値にはまだ戻っておりません。
当社グループは、今後も景気動向を含めた採用環境の変化要因を的確に見極め、更なる当社グループ事業の拡大のために以下の中長期的な経営戦略に取り組んでまいります。
①高等専門学校に関する支援サービスに注力
当社グループは、日本全国の高等専門学校58校(公立3校、私立4校を含む)を対象に、高専生向け就職活動イベント<当社主催型・学校主催受託型>を実施しております。また、WEBメディア「月刊高専」を軸に全国の高等専門学校の教員と連携することで、高等専門学校の魅力を発信するとともに、就職活動イベントの運営に関して協力体制を構築しております。
また、高専生向け就職活動イベントは、高専生と参加企業が情報を共有する情報サイト「高専プラス」の効果により、高専生の動員数及び参加企業数が増加し、順調に推移しております。なお、2025年3月卒業予定の高専生のうち、全国の就職希望者の約8割が「高専プラス」に登録するなど、高専生向け就職活動イベントの開催に欠かせないツールとなりました。
加えて、2022年10月に技術系転職サイトサービス「転職スイッチ」を開始し、技術系労働者の有料職業紹介事業に参入いたしました。さらには、2023年6月に高専生のスタートアップ支援等を目的に株式会社FUNDINNOと資本業務提携を締結いたしました。これらを通して当社グループの高等専門学校に関する支援サービスを充実させ、事業の拡大を図ってまいります。
②WEB支援サービスの拡大
当社グループは、2020年7月期より新型コロナウイルス感染症の影響を受けた結果、近年では、オンライン形式の就職活動イベントが増加しております。また、動画・DTP制作のノウハウを活かし、学生が会場に来場せずに企業とコンタクトができる「WEB合説サイト」を構築しており、オンライン形式のイベント開催を可能にしております。
当社グループは、従前より対面型のイベントを得意としておりますが、感染症等の流行や、高専生及び大学生の就職活動スタイルの変化等により、就職活動イベントや採用面接の現場では、オンライン形式が定着しており、オンライン形式を前提としたWEBサイトや動画による情報発信の重要性が高まることが予想されています。
今後は、各種就職活動イベントとリンクした形で、積極的にWEBサイト制作や動画制作の提案を行うことで、情報が充実した「WEB合説サイト」の構築を進めていきます。引き続き、学生と企業のニーズを的確に捉え、顧客の囲い込みを実現し、事業規模の拡大を図ってまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは下記の事項を対処すべき課題として取り組みを進めております。
①就職活動イベントにおける品質担保
当社グループは、学生イベント事業において、高専生向け就職活動イベント、大学生向け就職活動イベントを毎年開催しております。これらの就職活動イベントは、参加する学生の確保や企業の出展社数によって収益が左右されますが、足元の景気動向や企業の採用環境の変化により、十分な学生数や出展社数の確保が難しくなる可能性も考えられます。
この課題に対処するために、高専生向け就職活動イベントでは、高等専門学校の教員等と連携し、学校行事や授業の一環として実施することを推進し、より多くの高専生にコンタクトできる仕組みを構築してまいります。また、大学生向け就職活動イベントでは、地方の大学生が首都圏などで効率的に就職活動を行える仕組みを構築するとともに、理工系の女子大学生(リケジョ)に特化したイベントの開催など、イベント運営の改良・改善に取り組んでおります。これにより、企業に対しても優秀な学生の参加率が高く、的確に学生情報が収集できるイベントとして認知度を高めることで、優良企業の囲い込みを図ってまいります。
②既存事業の収益機会の創出及び拡大
新型コロナウイルス感染症の「5類」移行による経済活動再開に伴い、当社グループの特徴である対面形式のイベントが増加しておりますが、近年の感染症拡大の影響から、高専生や大学生の就職活動の意識が変化しており、オンラインイベントへの関心や競合他社による新たな就職ツール開発などが影響し、集客数が確保できず、十分な就職イベントが開催できない可能性も考えられます。
当社グループは、優秀な高専生や大学生をイベントへ動員することができれば、イベント形式を問わず企業のニーズに対応できると考えております。そのため、WEBメディア「月刊高専」を中心に、高等専門学校の教員等と連携し、新たな就職イベント企画やサービスの開発に注力してまいります。
また、高等専門学校では、本科(5年制)卒業後に2年制の専攻科へ進学する道や大学3年への編入学など多様なキャリアパスが用意されております。現在、国立大学及びその大学院の理工系学部は、高専生の編入学を受け入れる需要が高まっており、各研究室が高専生へ入学希望者を募集するなど、高等専門学校と理工系の学部・研究室とのつながりは、強くなる傾向にあります。
当社グループは高等専門学校の教員等と連携しながら、高専生の編入学支援を通じて、国立大学等の各研究室の教授・教員との協力関係を構築することにより、大学生向け就職活動イベントの新しい企画やサービス提供に取り組み、収益の機会を増やしてまいります。
③新規サービスの創出
当社グループは、高専生向けの就職活動イベントや大学生向けの就職活動イベントの開催など、学生イベントを中心に業容を拡大してまいりました。今後も競争優位性を維持し、持続的な成長を遂げるためには、既存事業の収益機会を拡大するだけでなく、求職者市場のニーズに適切に応える新規サービスの創出が不可欠であると考えております。
具体的には、高等専門学校の教員等などと連携した、高専卒業者を中心とする理工系転職サービス「転職スイッチ」を2022年10月に開始いたしました。また、高専生および高等専門学校の支援の幅を広げ、日本国内の潜在的な課題であるアントレプレナー育成の一環として、国内のスタートアップ市場の活性化を目指し、2023年6月に株式会社FUNDINNOと資本業務提携を締結いたしました。これらにより、収益化を早期に推進し、当社グループの持続的な成長に寄与できると考えております。
また、今後も事業機会を見極め、市場が求めるサービスを創出し続けてまいります。
④システム安定性の確保
当社グループは、「WEB合説サイト」や「高専プラス」といったインターネット上での各種サービスを提供しておりますが、様々な要因によるシステム障害が発生し、学生や企業への満足なサービス提供に支障を来す可能性があります。
この課題に対処するために、サーバーの増強、安定した通信回線の確保、負荷分散システムの導入などのハードウェア的な取り組みはもとより、システム監視・管理体制の充実などソフトウェア的な側面も重要になります。
今後もシステム部門を中心に、組織全体での監視・管理体制の強化を図るために、持続的にシステムへの投資やIT人材の採用・増強を行い、システムの安定性を確保する取り組みを進めてまいります。
⑤経営管理体制の強化
当社グループは、将来の事業拡大と持続的な成長を達成するためには、事業及び組織運営上の課題を明確に把握し、改善することが不可欠になります。そのためには、コンプライアンスの遵守だけでなく、効果的な経営管理体制の構築とコーポレート・ガバナンスの強化が極めて重要であると認識しております。
この課題に対処するために、全ての役員及び従業員に対して定期的な教育を実施し、コンプライアンスの遵守と経営管理体制の重要性について幅広く認識を広めております。
⑥優秀な人材の確保と労働生産性の向上
当社グループは、持続的な成長を達成するためには、就職活動イベント企画、WEBサイト構築、システム開発など、高付加価値なサービスを提供できる人材をより多く確保することと、生産性を持続的に向上させることが不可欠だと認識しております。
この課題に対処するために、当社グループでは、優れた人材を獲得するために持続的な採用活動を行い、従業員への教育・研修体制を充実させるとともに、様々なシステムを構築し連携させることで、組織全体の生産性向上に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社の取締役会は、気候変動などの地球環境問題への配慮、従業員の健康・労働環境への配慮や公正・適切な処遇、取引先との公正・適切な取引など、サステナビリティをめぐる課題への対応はリスクの減少のみならず、収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識し、中長期的な企業価値の向上の観点から議論をしています。その実現に向けては、あらゆるステークホルダーとのエンゲージメントが重要であると認識しており、公正かつ透明性の高い経営の実現と、多様な人材が活躍し、働きやすい環境の整備に取り組んでおります。詳細は、「
(2)戦略
①人的資本に関する戦略
当社グループの人材の育成及び社内環境整備に関する方針として、様々な人材が多様な働き方で能力を発揮できるようにテレワークや選択式時差出勤などを採用しております。また、女性役員・女性管理職の比率を上げるための取り組みも進めてまいります。
②事業を通じた社会問題の解決
当社グループは、持続的な成長と企業価値向上の実現に向けて、以下をSDGsの主要目標として取り組んでまいります。
(3)リスク管理
サステナビリティに関する全社的なリスク管理に関して、当社グループは、持続的な成長を確保するために「倫理・コンプライアンス規程」を定めており、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、「
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資者の判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)事業環境に関するリスク
①企業の人材採用ニーズについて
当社グループは、高専生や理工系の大学生向けの就職活動イベントを主たる事業としているため、企業の採用ニーズに影響を受ける可能性があります。
当社グループの提供する就職活動イベントは、中途採用よりも景気変動の影響を受けにくい新卒採用向けのサービスでありますが、当社グループの想定を上回る景気悪化等の発生により、企業の雇用水準が低迷する事態が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②システム開発について
当社グループの就職活動イベントは、全国各地において対面形式で開催するのが主流ではありますが、就職活動環境の変化を考慮し、学生及び企業のニーズを捉え、今後も機能面やセキュリティ面に優れ、かつ、利便性の高い「WEB合説サイト」の機能の充実や学生と企業の情報を効率的にマッチさせる「企業情報サイト(高専プラス)」によるサービス向上が必要であると考えております。
当社グループは自社内でシステムに関する「要件定義」「機能定義」「構成管理」「計画立案」等のいわゆる上流工程のシステム開発を行っており、また、信頼のある外部委託先とも連携することで、スピードを重視した開発体制を構築できております。
しかしながら、当初計画に沿ったシステム開発が行われない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③感染症リスクへの対策について
当社グループは、新型コロナウイルス感染症などの感染症リスクを「倫理・コンプライアンス規程」に基づきリスク管理の対象リスクに指定しており、社内外からの最新情報に基づき、イベント開催方法及び各種感染症対策等の判断を行っております。
また、当社グループは、高専生や理工系の大学生を中心とする専門性の高い人材を主体にイベントを開催しており、参加企業は、主に上場企業・大手企業などの優良企業であることから、感染症が収益に与えるリスクは最小限にとどめており、業績への影響は軽微であると判断しております。
しかしながら、近年の新型コロナウイルス感染症の拡大・蔓延により、当社グループの特徴である対面形式のイベントからオンライン形式イベントへ開催形式の変更を余儀なくされ、また、一部の業種において、業績の低迷に伴う新規採用意欲の低下などがみられたように、これらの感染症などの影響が長期化する場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)当社グループの事業内容及びサービスに関するリスク
業績の季節変動について
当社グループが提供する高専生及び理工系の大学生向け就職活動イベントは、年間の就職活動イベントの開催時期の決定について、学生及び企業のニーズ、競合企業の状況等を勘案して決定しておりますが、高専生及び理工系の大学生の就職活動時期・日本経済団体連合会から発表される「採用選考に関する指針」などの影響を受け、変動する可能性があります。
なお、現在は、12月から翌年3月にかけて、高専生及び理工系の大学生向け就職活動イベントを実施していることから、当社グループの売上高もそれらの期間と重なる第2四半期から第3四半期に偏る傾向があります。そのため、採用選考の流れに大きな変化がある場合、当社グループの通年の売上への影響は僅少なものの、四半期売上に影響を及ぼす可能性があります。
(2024年7月期の売上高並びに営業利益及び営業損失)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
通期 |
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売上高(百万円) |
127 |
642 |
262 |
121 |
1,155 |
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営業利益又は営業損失(△) (百万円) |
△67 |
331 |
26 |
△100 |
189 |
(3)法的規制及び知的財産権等に関するリスク
①個人情報の保護について
当社グループは、事業の性格上、就職活動を行う高専生及び大学生に関して住所・氏名・連絡先等の収集を必要とし、当社グループではこれらの個人情報等を厳重に管理しております。当社グループは、個人情報の収集とその利用に対する法的規制を遵守し、また、取引先、高等専門学校・大学の担当職員等の関係者、学生の各方面からの信頼性を一層高めるために、経済産業省の外郭団体である「一般財団法人日本情報経済社会推進協会」が付与する「プライバシーマーク(認定番号:第18860278号)」の認定を2020年5月に受けております。また、個人情報を収集するシステムに関しては、第三者機関のセキュリティ検査を実施するなど、適切に個人情報を管理する仕組みを構築しております。
当社グループでは上記のとおり、個人情報等の管理について細心の注意を心掛けておりますが、当社グループにおいて何らかの理由により個人情報等の漏洩が生じた場合には、当社グループの顧客等の当社グループに対する信頼の著しい低下等により、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②電気通信事業について
当社グループは、電気通信事業法上の電気通信事業者として届出を行い受理されております。現在において、当社グループの事業に対する同法による規制強化等が行われるという認識はありませんが、社会情勢の変化等により、当社グループの事業運営を制約する規制強化等が行われる可能性は否定できません。当社グループは、これらの法規制を遵守した運営を行ってきており、今後の社内教育や体制の構築等を行っていく予定であります。万が一、かかる規制の強化がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、近年、インターネット関連事業を規制する法令は度々変更・追加がなされており、今後新たな法令等の規制がなされた場合には、当社の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
③知的財産権について
当社グループの提供する商品・サービスが第三者の特許権、著作権等の知的財産権を侵害する可能性については、弁理士等の外部専門家を通じて調査を行っておりますが、当社グループの提供する商品・サービスに関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。
また、将来当社グループが提供する商品・サービスに関連して、当社グループが知的財産権を取得するよりも前に他の事業者等が特許権その他の知的財産権を取得する可能性があります。
これらの場合、当社グループに対する訴訟等が発生し、当社グループが提供するサービスに影響が出る可能性があるほか、当該訴訟等への対応のために必要となるコストの発生により当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)組織体制に係るリスク
①優秀な人材の確保及び育成について
当社グループの事業が継続的に成長していくためには、優秀な人材の確保、人材の育成及び定着は、経営上の重要な課題であります。当社グループは、必要な人材を確保するため十分な採用予算を確保し、また社員に対する教育を通じ、当社グループの将来を担う優秀な人材の確保・育成に努めております。また、競合企業の給与水準を考慮した給与モデルを設定するなど、待遇改善に着目することで、定着率の向上を図っております。
しかしながら、必要な人材の採用が想定どおり進捗しない場合、あるいは育成した役職員が退職した場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②システム人員の確保及び教育について
当社グループが事業展開している就職情報業界では、学生と企業をつなぐ人工知能を用いたマッチングの仕組みや機能性の高いWEB面接システムの開発など技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に早く、インターネット関連の技術革新やその変化に柔軟に対応する必要があります。
当社グループにおいても、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制を構築するだけではなく、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。しかしながら、当社グループが技術革新や顧客ニーズの変化に適時に対応できない場合、または、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多くの費用を要する場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③新規事業について
当社グループは、業容拡大に向けて2022年10月より転職情報サイト「転職スイッチ」を開始いたしました。また、高専生及び高等専門学校の支援の幅を広げ、日本国内の潜在的な課題であるアントレプレナー育成の一環として、国内のスタートアップ市場の活性化を目指し、2023年6月に株式会社FUNDINNOと業務資本提携を締結いたしました。新規事業開始に際しては、予め市場環境の把握や事業の回収可能性を十分に調査・検討するとともに、事業開始後も予実管理や進捗管理を通じ、定期的なサービス等の改良改善を行うことで、早期の収益化に努める方針であります。
しかしながら、安定的な収益を上げるためには、ある程度期間を要する場合があり、新規事業計画が順調に進まなかった場合には、人件費や広告費等の先行投資により、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。
④小規模組織について
当社グループの従業員は63名(2024年7月31日現在)であり、従業員一人当たりの業務領域が広汎に亘ることがあります。人材育成の観点では好ましい環境である一方、急速に業務量が増加する局面において役職員の負荷が増大し、業務効率に影響を与える可能性があります。
当社グループは、今後、事業拡大に応じた人員増強、内部管理体制の充実を図る方針でありますが、事業の拡大に応じた人員増強が順調に進まなかった場合や内部管理体制の充実がなされなかった場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤特定人物への依存について
当社の創業者であり代表取締役社長である田中浩二は、当社創業以来当社グループの事業に深く関与しており、当社グループの経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。当社グループは特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図っており、同氏に過度に依存しない経営管理体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の業務執行が困難になった場合、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)その他のリスク
①新株予約権の行使による株式価値の希薄化
当社グループでは、当社の役職員に対するインセンティブを目的として新株予約権を付与しており、当連結会計年度の末日現在における発行済株式総数に対する潜在株式数の割合は2.4%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合には、当社グループの株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
②当社代表取締役田中浩二の持株比率について
当社の代表取締役である田中浩二は、当連結会計年度の末日現在で発行済株式(自己株式を除く)の総数に対する所有株式数の62.59%を保有しております。
同氏は大株主である一方、経営者としての受託者責任を負う身であり、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益や様々なステークホルダーの権利・立場に配慮しながら慎重に行う方針であるほか、将来的には役職員に対する各種インセンティブプランの実施や業容に応じた株主づくり等により同氏持株比率は相対的に減少するものと考えております。
なお、もとより、経営陣における業務執行は、法令・諸規程等に基づき行うことはもちろん、取締役会においては、社外取締役や監査役を含めた活発な議論を行うほか、取締役相互間の監督機能と監査役及び監査役会の能動的・積極的な権限行使を通じてコーポレート・ガバナンスの実効性を担保し、少数株主の利益が害されることのないよう努めてまいります。
このように、同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役社長であるため、今後も当社の安定株主であるだけでなく、株主をはじめとするステークホルダーの期待に沿うべく今後も行動するものと認識しておりますが、同氏の投資行動により、当社グループの事業運営に何らかの影響があった場合、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績ひいては当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は1,550,265千円となり、前連結会計年度末と比べ191,973千円の増加となりました。これは主に、売掛金が32,897千円、のれんが120,448千円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は245,073千円となり、前連結会計年度末と比べ69,623千円の増加となりました。これは主に、未払法人税等が16,567千円、退職給付に係る負債が22,617千円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,305,191千円となり、前連結会計年度末と比べ122,349千円の増加となりました。これは、新株予約権の行使により資本金及び資本剰余金がそれぞれ8,690千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が105,069千円増加したこと等によるものであります。
②経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動は徐々に正常化しつつあります。しかしながら、世界的な金融引き締めに伴う急激な為替変動や資源・エネルギー価格の高騰、中東情勢の緊迫化、中国経済の先行き懸念などの影響により、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの事業領域である人材・就職支援業界においては、2024年7月の有効求人倍率は1.24倍(前年同月は1.29倍、厚生労働省調査)、完全失業率が2.7%(前年同月は2.7%、総務省統計局調査)となっており、数値では、新型コロナウイルス感染症拡大前の水準までは、明確に回復していないものの、経済活動・社会活動の活性化に伴い、企業の求人ニーズは堅調に推移しております。
このような環境の中、当社グループは、事業の柱である「高専生のための合同会社説明会」のほか、全国の高等専門学校が主催する「学内合同企業説明会」の受託を中心に事業を展開しました。高専生向け就職活動イベントは、高専生と参加企業が情報を共有する情報サイト「高専プラス」の定着もあり、すべてのイベントが盛況に開催され、多くの高専及び出展企業から高い評価を得ました。2025年3月卒業予定の高専生のうち、全国の就職希望者の大多数にあたる約6,000人が新たに「高専プラス」に登録し、高専生向け就職活動イベントの開催において欠かせないツールとなっています。
大学生向けの就職活動イベントについては、当社が長年取り組んできた「理工系業界研究セミナー」のイベント開催数を減らしたものの、これまでの集客力を活かし、全国の理工系女子学生に限定した就職活動イベント「理工系女子学生のためのキャリア交流会」では開催イベント数を増やすなど、企業のニーズに応えるイベント企画の改善に取り組みました。
しかしながら、2022年10月に開始した技術系転職サイトサービス「転職スイッチ」は、収益への寄与を見込んでおりましたが、高等専門学校の教員等と連携を行ったものの、想像以上に高等専門学校卒業生の人材ニーズの高まりと人材不足から、教員等と情報を共有する間もなく高専卒業者の転職が進んでおり、子会社を中心とした人材紹介に関する予算を下回る結果となりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は1,155,112千円(前期比20.9%増)となり、営業利益は189,706千円(前期比6.4%減)、経常利益は193,816千円(前期比3.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は105,069千円(前期比13.6%減)となりました。
なお、当社グループは、主たる事業である学生イベントの開催日が第2、第3四半期連結会計期間に集中する傾向があり、通常、第2、第3四半期連結会計期間の売上高は第1、第4四半期連結会計期間の売上高と比べて著しく増加する傾向にあります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、1,108,429千円となり、前連結会計年度末と比較して27,554千円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金収支は128,249千円の資金増加(前連結会計年度末は163,256千円の資金増加)となりました。これは主に、法人税等の支払額が76,660千円あったものの、税金等調整前当期純利益が195,412千円、減価償却費が18,520千円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金収支は117,975千円の資金減少(前連結会計年度末は161,394千円の資金減少)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が117,553千円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金収支は17,280千円の資金増加(前連結会計年度末は8,629千円の資金増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入17,380千円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
イ 生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ロ 受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
ハ 販売実績
当社グループは、学生イベント事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
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就職活動イベント(千円) |
992,713 |
29.3 |
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企画制作(千円) |
162,398 |
△13.5 |
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合計(千円) |
1,155,112 |
20.9 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10に該当する相手先がないため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②経営成績及び財政状態の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,155,112千円(前期比20.9%増)となりました。主な内訳としましては、就職活動イベントサービスの売上が992,713千円、企画制作サービスの売上が162,398千円によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は281,050千円(前期比17.2%増)となり、売上総利益は874,061千円(前期比22.2%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は684,355千円(前期比33.5%増)となりました。これは主に事業拡大を目的とした人員体制強化による給料及び手当158,766千円等が主な要因です。この結果、当連結会計年度の営業利益は189,706千円(前期比6.4%減)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益はポイント収入額1,478千円や代理店手数料1,321千円等、営業外費用は社宅の解約に伴う解約金317千円となり、この結果、当連結会計年度の経常利益は193,816千円(前期比3.9%減)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は固定資産売却益2,231千円、特別損失は固定資産除却損635千円となり、この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は105,069千円(前期比13.6%減)となりました。
財政状態の分析内容については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
③キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、就職活動イベント開催及び企画制作等の原価(人件費・外注費)、販売費及び一般管理費、また、新たなシステム開発などへの投資資金があります。経常運転資金は、自己資金で賄うことを考えておりますが、新たな投資への資金需要については、株式上場時の新株発行による調達資金の活用及び金融機関からの調達を予定しております。
⑤経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
当社グループは、売上高及び売上高営業利益率を重要な経営指標と位置付けております。
今後も引き続き、付加価値の高い就職活動イベントの実施、就職活動に関連する各種サービスの充実、効率的な事業体制の構築に努め、売上高及び営業利益率の改善を目指してまいります。
⑥経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因については、上記「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑦経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり認識しております。
(株式譲渡契約)
当社は、株式会社アドウィルの株式を取得(子会社化)するため、2024年4月23日付で株式譲渡契約を締結しました。なお、株式譲渡は2024年5月8日付で実行されています。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
該当事項はありません。