文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は「企業の永続的な発展を追究し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成
長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する。」ことを経営理念とし、
①社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る。
②直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する。
③事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする。
を経営方針に掲げ、事業を展開しております。
(2)目標とする経営指標
当社は中期的にも収益力の高い企業であり続けようと考えております。装置製造原価率(装置製造原価/販売価格)50%未満としながら売上高を拡大していくことにより売上高営業利益率20%以上を目指しております。売上高の拡大のため、研究開発機市場と生産機市場のそれぞれに対応した製品の拡販に努めるとともに、中期的には海外売上高比率を50%以上に引き上げる方針であります。
(3)経営環境及び優先的に対処すべき課題等
今後の経済環境につきましては、世界経済は緩やかな成長を続けるものと考えられるものの、国内においては、ドル円為替水準や個人消費の動向、海外経済においては、欧米諸国の金融政策、中国における労働市場や不動産市況の調整圧力、ウクライナや中東情勢等、引き続き予断を許さない状況が続くことが予想されます。
このような中にあって、当社は、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」という経営理念のもと、研究開発型企業として成長してきた高度な技術力に更に磨きをかけると同時に、蓄積した技術を生産機市場で活かすことで、事業規模の拡大を図っております。加えて、当社のコアテクノロジーである「薄膜技術」は医療、バイオ、環境といったライフサイエンス及びエネルギー分野に活かすことが可能であり、中期的には当社の新規事業、新分野として成長させることを目指し事業を展開してまいります。
こうした状況を踏まえ、中期経営計画 第44期~第46期(2022年8月1日~2025年7月31日)において、次の7つの課題に取り組んでまいります。
① クラスターツールシステムの拡販
クラスターツールシステムとは、搬送プラットフォームを中心に複数の反応室を接続できる量産用のシステムであり、エッチング工程向けに2021年12月に販売を開始いたしました。当社は非シリコン分野の材料加工のリーディングカンパニーとして本システムを拡販し、量産機市場で複数のトップシェア商品を持つことにより、飛躍的な業容の拡大を目指します。
第45期においては研究開発機関から1台の受注があり、第46期についても引き続き商談の開拓及びデモ実験体制の整備に努めてまいります。
② 海外販売の拡大
当社の事業を成長軌道に乗せるため、将来の成長期待の高い海外への事業展開を積極的に行っております。引き続き現地の営業・サービス人員を強化するとともに、本社からのサポート体制を充実させ、海外市場の開拓を図ってまいります。北米、台湾、中国、韓国の既存主要顧客との繋がりを維持、強化しながら、欧州、インド等の新たなマーケットの確立により、海外売上高比率50%以上を目指してまいります。
③ 生産体制の拡充
売上高の増加に対応し、生産体制の拡充を行います。
当社の生産に関しては、自社の企画設計により協力会社に製造を委託し、製品出荷前に調整、性能・品質検査を行い販売しております。生産量の拡大に伴い、出荷前検査の自社工場スペースの拡大と、新規協力会社の開拓及び既存協力会社の活用を進めてまいります。
④ 成膜装置販売の強化
2020年7月に第二生産技術棟内に開設した成膜装置(CVD装置、ALD装置等)のデモルームの活用によりプロセス開発を強化し、国内外企業からのサンプルのデモ処理や、大学・研究機関・企業など社外との共同研究により、顧客との連携を拡大していく計画であります。
⑤ 新規事業の立ち上げ
現在の製品群であるCVD装置、エッチング装置、洗浄装置を新たな事業領域へ展開し、新規事業として業績へ寄与させることを目指しております。具体的には、第38期よりヘルスケア分野へ進出し、医療分野における滅菌装置の開発、及び医療計測分野におけるヘルスケアチップの加工装置の開発・販売を行っております。
また、新たなマーケット開拓のため、本社新規事業統括部、米国オプトフィルムス研究所での研究開発、国内外の大学や各種クラスターとの共同研究の継続により、薄膜事業に関連する新規事業を創出し、成長を加速させてまいります。
⑥ 更なる成長に向けた人材育成・活用
当社にとって最大の資産は人材であります。当社の人材が更に成長していくこと、新たな人材に加わってもらうことが当社の企業価値を決定し、成長の大きな原動力となります。当社は社員の育成に当たり、その行動指針として“勇気・創造・勤勉”を掲げ、創業者である辻理会長の人材育成、登用についての考え方を集約した「人材育成方針」と、それを達成するための「社内環境整備方針」を、当社ホームページ上にサステナビリティ情報として掲載し、その実践により経営理念の実現を図っております。
⑦ 社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化
中期経営計画の経営課題として、社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化を掲げ、2022年8月には、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」を立ち上げております。取締役会は同委員会の活動報告を受け、当社の気候変動に関するリスク・機会及びこれに対する対策の状況を把握し、それによる財務への影響や中長期経営計画への影響、更なる環境負荷低減への取り組み等に対する検討を行っております。なお、「サステナビリティへの取り組み」及び「気候変動への対応(TCFD宣言に基づく情報開示)」については、当社ホームページ上にその内容を開示しております。
株主、取引先、従業員等のステークホルダーにとって魅力ある企業を目指し、成長力と収益力の向上を図り、適切な利益配分により企業価値の向上を目指してまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般
当社は、会社の基本方針において、「企業の永続的な発展を追求し、適正な利益を確保することにより、企業を取巻く利害関係者と共に成長する企業を目指して、薄膜技術で世界の産業科学に貢献する。」を経営理念とし、
1) 社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る。
2) 直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する。
3) 事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする。
を経営方針に掲げ、サステナブルな企業を目指し事業を展開しております。
① ガバナンス
当社の企業活動を環境や社会とともに持続的に成長させていくために企業・環境・社会にかかわる様々な課題を検討し、解決に資することを目的とする場として、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」を2022年8月に設置しております。ESG委員会は総務部、社長室、広報・IR室及び経営企画室からの部員、室員で構成されており、気候変動への対応をはじめ、サステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための検討を行います。取締役会は同委員会の活動報告を受けて、これによる財務への影響や中長期経営計画への影響について検討を行い、必要に応じて更なる取り組み等に対する指示を行います。
② リスク管理
当社は、持続的な企業価値向上のために、サステナビリティ項目を含めた全社横断的に対応が必要となるリスク及び機会への対応を、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」で、その方向性の策定や取組の進捗管理を行っております。詳細については、「
(2)気候変動
① ガバナンス
当社は、2006年6月に「環境方針」を制定し、自社の活動・製品の環境への負荷軽減と環境保全活動に向けて積極的かつ継続的に取り組んでおります。
また、中期経営計画第44期~第46期(2022年8月1日~2025年7月31日)において、経営課題として「社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化」を掲げ、ESG委員会を設置いたしました。第44期以降、取締役会にて気候変動への対応につき定例的に活動内容を報告しております。
第45期(2024年7月期)開催の取締役会では、ESG委員会から以下の報告を行いました。
1) 2023年11月24日
・TCFD開示(気候関連財務情報開示)に準拠した第44期(2023年7月期)温室効果ガス排出量
2) 2024年2月14日
・第45期上期電力消費量
・DHLジャパン(株)のGoGreenPlus(従来のジェット燃料に代わる持続可能性が高い代替原料から生産したグリーンな航空燃料であるSAFを使用することにより、輸送に伴う二酸化炭素排出量を削減(インセット)する輸送サービス。理論的にはジェット燃料から二酸化炭素排出量を30%程度削減。)の契約
・設計部省エネ対策(製品容積の減少への取組、グリーン調達の検討、電力計の活用状況)
・(株)Clewが展開しているシェアサイクルサービスのサイクルポートの当社田中宮用地への設置
3) 2024年6月7日
・第44期の地球温暖化ガスScope3(事業活動の上流における原材料の調達や製品の輸配送に伴う排出、下流における製品使用や廃棄による排出)の排出量の試算
② 戦略
気候変動シナリオ分析の結果、当社の事業は財務全体として大きなマイナスインパクトは現れないと予測いたしました。電気自動車等省電力ニーズの高まりによるパワー半導体需要の増加が当社の事業にとっては機会として伸びると分析しております。当社のコア技術である最先端の“薄膜技術”をベースに最先端の製造装置を世界中の製造現場や研究者へ提供し、省エネ、脱炭素社会の実現に貢献していきます。
また、当社製品・技術を顧客に選んでいただけるよう、製造装置自身の省エネ化を進めてまいります。
現状の主な取り組みテーマは以下の通りです。
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・製品容積の減少 |
半導体製造装置の製造現場では、多大な電力を要するクリーンルームでの効率的な装置配置が不可欠です。そのためには、装置設置面積の削減が重要なポイントとなります。更に小さなサイズの装置とすることで納品時における移送コストの削減を行うことができます。 |
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・消費エネルギーの削減 |
より少ない電力消費で当社装置を稼働できるよう省電力が可能となる部品の選択や構成の見直しなどを恒常的に行ってまいります。 |
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・会社が排出する温室効果ガスの排出量削減 |
当社の業務活動における電力消費及び研究開発に使用する温室効果ガス(フッ素系ガス)の排出量削減を目指した取り組みを行ってまいります。 |
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・グリーン調達 |
当社では、環境に配慮した原材料・部品を優先的に調達するグリーン調達を、調達先企業と協力して推進しております。 |
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・廃棄物の削減 |
事業活動に伴い排出される廃棄物の量の削減・リサイクル製品の利用促進に継続的に取り組んでおります。 |
③ リスク管理
「ESG委員会」において、省エネに関する社内各部署の取り組みや、各建屋別の電力データを毎期測定し、電力使用量・CO2排出量の推移をモニタリングし、削減策の検討・社内各部署への指示などを実施しております。
今後、当該リスク及び機会にかかる影響を把握・分析するとともに、統合的リスク管理の枠組みにおける管理体制の構築を検討してまいります。
④ 指標及び目標(会社が排出する温室効果ガスの排出量削減)
当社第45期(2024年7月期)の温室効果ガスの排出量(*)は828トン(前期比158トン増)・売上高(億円当たり)の排出量は、10.1トン(前年比1.5トン増)でした。前年比増加の要因は、電力消費(kWh)が前期比10%増加したこと、及び電力事業者のCO2排出係数が増加したことによります。
なお、目標数値については、前年度実績の100%以下としております。
また、温室効果ガスの排出量削減以外の取組に対する目標設定や進捗状況の開示につきましては、今後の課題として検討中であります。
(*)当社京都地域における生産・研究開発・営業活動に係る電力消費のCO2排出換算量及び研究開発に使用するフッ素系ガスの合算量
(3)人的資本
① 戦略
当社にとって最大の資産は人材であります。当社の人材が更に成長していくこと、新たな人材に加わってもらうことが当社の企業価値を決定し、成長の大きな原動力となります。当社は社員の育成に当たり、その行動指針として“勇気・創造・勤勉”を掲げ、創業者である辻理会長の人材育成、登用についての考え方を集約した「人材育成方針」と、それを達成するための「社内環境整備方針」のもと体制・社内環境を整備し、その実践により経営理念の実現を図っております。
<人材育成方針>
1) 仕事は楽しく、面白くあるべきである。一所懸命に楽しく仕事をして、かつ面白い。そして良い結果がついてくる。そんな楽しく、面白い日々が日常である会社とする。
2) “学ぶ”を忘れない。学ぶことを常に念頭に置き、長きにわたり己を磨くことで自らの価値を高めてほしい。特に若手社員は30代までに能力向上に勤しむ癖をつけなければならない。
3) リスキリングにより第一線で活躍できるスキルを身に付けることにより、70歳まで働ける企業としていく。シニア社員が十分社会貢献できるよう再教育することを会社の使命と考える。
4) 外国籍社員の採用を増やし、若手社員の海外経験を増やすことによりグローバル人材の育成を図る。
5) 階層別の教育訓練制度(部長塾、課長塾、成長塾)を発展的に継続し、多角的な視野で経営管理できる人材の育成を図る。
6) たえず組織の新陳代謝を図り、新たな細胞(多様な人材)を積極的に登用していく。人事異動は社員の層を厚くし、組織を重層化する目的もあり、新たな能力の開拓につなげる。女性社員も大きな戦力として、技術職や管理職で活躍をしてもらえるように環境を整備する。
<社内環境整備方針>
1) 法令を遵守し、職場環境の整備や公平な評価・処遇をはじめとする十分な対応を行う。
2) 従業員が自己実現の場と感じることができるよう、安全で働きやすい職場環境の整備に努める。
3) 育児や介護等に係る休暇制度とともに復職後も状況に応じた勤務形態を利用することができるように整備する。
② 指標及び目標
当社は、女性の技術職や管理職を増やし、女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、女性活躍推進法に基づく行動計画及び数値目標として、次の行動計画を策定しております。
○計画策定理由
日本では女性の理工系人材が少なく、技術職の多い当社の従業員全体に占める割合は12.6%(183名中23名)と小さいのが現状です。近年、政府の後押しもあり、理工系等を専攻する女子学生の増加を目標として掲げている大学や高等専門学校が増加しており、今後理系女子学生の数は着実に増加していくものと考えます。当社としては、理系女子学生の採用活動を強化すること等によりその活躍の場を提供し、当社の企業価値を高めるとともに、女性が活躍できる社会づくりに貢献していきたいと考えます。
○計画期間
2022年8月1日 ~ 2027年7月31日
○目標
採用した労働者に占める女性労働者の割合を30%以上とする。
○取組内容
1) HP等の媒体にて、女性技術職社員の活躍をPRする。
2) 新卒採用における理系女子応募者の裾の拡大のため、大学の理系学部、及び高等専門学校の女子学生への多面的なアプローチを実施する。
3) インターンシップ実施について、受入人数の半数以上を女性にする。
4) 女性社員にヒアリングを実施し、職場環境の課題を調査し、女性が活躍できる職場環境の改善を行う。
なお、第45期(2024年7月期)に採用した労働者に占める女性労働者の割合は20.0%でした。また、目標達成に向けて以下の取組を行いました。
1) 2024年6月3日の産業経済紙面にて当社の女性技術職社員の活躍を紹介した。
2) 育児短時間勤務規程について、対象者を3歳までの子を養育する従業員から、小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員に変更した。
3) 長時間労働の削減に取り組み、時間外労働勤務時間が前期比約9%削減した。
また、上記以外の取組に対する目標設定や進捗状況の開示につきましては、今後の課題として検討中であります。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社ではこれらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、その発生を回避するための対応策を中期経営計画や年度計画の課題に組み入れ、また、リスクが顕在化した場合に備え、ガバナンス体制の強化、維持を進めております。一方、経営環境の変化の中で適切にリスクテイクしていくことにより今後の企業の持続的な成長に繋がるとの考えにより、それぞれのリスクについて悪影響を回避するとともに、リスクテイクの認識も強化し対応しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 市場変動リスク
当社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売を行っております。当社の関わる化合物半導体及び電子部品製造装置の販売マーケットにおいて、5G(第5世代移動通信システム)の普及に伴いその「高速・大容量」「低遅延」「多接続」という特色を生かした新たな事業領域での開発投資が幅広い企業で進み、本格生産への移行が進んでおります。加えて、6G(Beyond5G~普及が進んでいる5Gの性能をさらに進化させた次世代の移動通信システム)を中心とした情報ネットワーク基盤の実現に向けた世界最高レベルの研究開発環境の整備が進められており、研究開発向けの半導体等電子部品製造装置の需要が拡大しております。その反面、ニーズや経済環境の変化によっては、需給バランスが大きく崩れることもあり、これに伴う顧客の設備投資の凍結や減産、計画変更等が発生した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、急激な需要増加に対応できなかった場合には、顧客に製品をタイムリーに供給できず、機会損失が生じるなど、当社業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社では、原則販売代理店を通さない直販体制を構築しており、既存顧客については営業・技術担当者が直接顧客の設備投資動向を把握することを可能にしております。また、創業当初より繋がりの深い国内外の大学や研究機関から常に最先端技術や情報を得ることができ、最新の市場動向を把握した上で、製品開発や設備投資、生産、人員計画の適正化を図っております。
(2) カントリーリスク
当社は、北米、欧州、中国、台湾、韓国、東南アジア、インド等の世界各国で事業を行っており、今後も海外市場での拡販は当社の重要な経営課題となっております。しかしながら、海外事業展開においては、各国の法令、政治・社会情勢、文化宗教、商慣習の違いに起因する問題に対処できないことにより、想定通りの成果を上げることができない可能性があり、この場合には当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、ウクライナ情勢や米中対立の長期化が、当社の関わる化合物半導体及び電子部品製造装置のマーケットにも影響を与える事態になれば、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、自国第一主義が進展した場合、各国の技術開発競争がより一層加速することが予想され、研究機関や民間企業が次世代の最先端技術の研究に対する取り組みを強化させることになれば、当社の関わる事業領域において新たなマーケットが創出される可能性があります。
当社では、海外子会社・事業所社員は責任者含め原則現地採用としており、本社の日本人社員が出張やリモートにて現地を支援する体制としております。現地サイドの情報を適時、的確に把握することで、リスクの早期発見とリスク発現時の適切な対応に努めております。
(3) 資材等の調達に関するリスク
当社の生産活動には、原材料、部品等が適時、適切に納入されることが必要ですが、原材料、部品等の一部については、その特殊性から仕入先や外注先が限定されているものや代替の困難なものがあります。世界的に半導体製造装置需要が拡大する一方で、仕入先や外注先の災害や事故、人手不足や後継者難による廃業・倒産等で、部品の安定的調達が確保できない可能性があります。その場合は、製品の出荷遅延による機会損失等が発生し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、仕入先や外注先と長年にわたり良好な関係を維持し、複数社購買を実施するなど安定的な調達を図っております。加えて、重要部品の先行手配や仕様共通化等の対策により、安定供給体制の確立と在庫の適正化に取り組んでおります。
(4) 人材の確保に関するリスク
当社の持続的成長を実現するため、高度なスキルを有する管理者、技術者、営業担当者、メンテナンス・サービス要員の確保と育成は極めて重要であり、社員の教育を体系的・継続的に実施する必要があります。しかしながら、必要な人材の確保が計画通りに進まなかった場合には、当社の将来の成長と業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、人材の育成・活用を中期経営計画の課題として取り組んでおり、多様な人材の確保と育成のため、海外の大学への直接求人の実施、シニア社員の活用・待遇の見直し、社内研修体系の制度化等を進めております。また、女性の技術職や管理職を増やし、女性が活躍できる雇用環境の整備を行うため、「採用した労働者に占める女性労働者の割合を30%以上とする」を目指として、行動計画を策定しております。
(5) 新製品開発リスク
当社は、半導体製造装置業界におけるCVD装置、エッチング装置、洗浄装置において、顧客が求めるニーズに対応した研究開発を継続的に実施し、新製品をタイムリーに市場投入してまいりました。しかしながら、技術革新や製品開発のスピードが速い半導体製造装置業界において、将来のニーズを予測し、それに見合った新製品を開発し続けることは容易ではありません。他社製品に対して優位性ある新製品をタイムリーに適正な価格で市場に投入できない場合、市場の技術トレンドや製品仕様が当社の開発内容と異なる方向に向かった場合、あるいは当社の新製品の開発が著しく遅れた場合は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、社内にて常に業界における最先端技術や情報を共有し、研究開発テーマや技術開発に関する事項を決定する機関として、代表取締役会長、代表取締役社長、技術開発統括部長、営業統括部長などを構成員とする技術戦略会議を毎月開催しております。また、同会議にて新製品の開発等に著しい遅延が生じないよう、その進捗を管理しております。
(6) 環境対応に関するリスク
当社を取り巻くステークホルダーをはじめ、世界全体でサステナビリティに関する社会的要請が高まっております。こうした中、脱炭素社会への移行に伴う各国の気候変動政策、環境法令や業界行動規範、技術革新や顧客ニーズ等に適切に対応できなかった場合には、社会的信用の低下や製品競争力の低下等により、当社業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、中期経営計画の課題として社内環境対策(サムコ環境方針)への取り組み強化を掲げ、2022年8月には「社内気候変動対策チーム」を、代表取締役社長を委員長とする「ESG委員会」に改組いたしました。取締役会は同委員会の活動報告を受けて、当社の気候変動に関するリスク・機会及びこれらへの対策の状況を把握し、これによる財務への影響や中長期経営計画への影響、更なる環境負荷低減への取り組み等に対する検討を行っております。
(7) その他のリスク
当社が事業を遂行するにあたって、上記の主要なリスク以外にも、経営環境の変化により、場合によっては当社の業績に影響を及ぼすことが想定されるその他のリスクとして、以下のようなものがあります。なお、これらは、当社に関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載された項目以外のリスクも存在します。
① 特定地域、特定顧客への販売依存度
生産用途向け製品の売上高比率の増加に伴い、海外の特定地域や国内外の特定顧客からの受注が集中することにより、期毎の売上高が大きく増減する可能性があります。特定地域、特定顧客の設備投資が低迷し装置需要が減少した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
② 製造物責任
当社が提供する製品は、厳しい品質管理のもとに設計・製造されておりますが、万一顧客に深刻な損失をもたらした場合には損失に対する責任を問われる可能性があります。更に、これらの問題による当社の企業イメージの低下は、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権
当社は、独自技術の専有化、他社製品との差別化及び競争力強化のために、様々な技術やノウハウを開発しており、その技術やノウハウが第三者の特許権その他の知的財産権を侵害しないよう厳重に管理しております。しかしながら、既に多くの特許権その他の知的財産権が存在し、日々新しい特許権その他の知的財産権が次々と取得される中で、見解の相違などにより第三者から特許権侵害等で提訴される可能性があります。また、当社の事業展開に必要な技術についてライセンスを取得できなかった場合には、当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
④ 債権回収
当社は顧客に関する信用リスクの管理強化策や軽減策を実施しておりますが、経済状況の急変により予想外の倒産や支払遅延が発生した場合には、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 為替変動
当社の海外取引のうちアジア向けは原則日本円建、欧米向けは原則米国ドル建でありますが、今後も海外取引を拡大する方針であり米国ドル建の取引が増加することになれば為替予約を活用したとしても為替変動リスクを被る可能性があります。また、当社は外貨建資産(未予約の現預金等)も保有しております。そのため、円建資産に転換する場合だけでなく財務諸表作成のための換算においても為替変動の影響を受ける可能性があります。
⑥ 情報セキュリティ
当社は、事業遂行に当たり、重要情報や取引先等の秘密情報を有しております。これらの情報については、サイバー攻撃等による不正アクセスや改ざん、データの破壊、紛失、漏洩等が発生する可能性があります。サーバーダウン等による事業の停止や、これらの情報が第三者に漏洩し不正使用された場合にも、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 災害等による影響
当社は災害等による影響を最小限に留めるため必要とされる安全対策や事業の早期復旧のための対策を実施しておりますが、大規模な台風や地震等の自然災害、疫病の流行、テロ、大規模な停電、火災、事故等の不測の事態が発生した場合、本社機能や製品生産に影響を与え、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当事業年度における世界経済は、総じて緩やかに成長したものの、欧米諸国やわが国の政策金利動向、中国における労働市場や不動産市況の調整圧力、ウクライナや中東情勢等、先行きに不透明感を残す状況が続きました。
半導体等電子部品業界におきましては、チャットGPTに代表される生成AI(人工知能)の急速な活用拡大等を背景に、ロジック半導体市場やメモリ市場で需要が回復いたしました。また、供給面でもここ数年で各国が自国での半導体の生産能力を急速に高めており、市場規模の拡大が続きました。このような環境の中、当社の関わる化合物半導体及び電子部品製造装置の販売マーケットにおいては、5G(第5世代移動通信システム)の普及に伴いその「高速・大容量」「低遅延」「多接続」という特色を生かした新たな事業領域での開発投資が進み、本格生産への移行が着実に進んでおります。加えて、6G(Beyond5G~普及が進んでいる5Gの性能をさらに進化させた次世代の移動通信システム)を中心とした情報ネットワーク基盤の実現に向けた世界最高レベルの研究開発環境の整備が進められており、研究開発向けの半導体等電子部品製造装置の需要が拡大しております。
その結果、国内売上高は4,408百万円(前期比14.3%減)、海外売上高は3,794百万円(前期比41.3%増)となり、海外売上高比率は46.3%となりました。また、当事業年度の受注高は8,146百万円(前期比0.9%減)となり、当事業年度末の受注残高は5,361百万円(前期比1.0%減)となりました。
以上の結果、当事業年度における業績は、売上高が8,203百万円(前期比4.8%増)、営業利益は2,017百万円(前期比8.5%増)、経常利益は2,088百万円(前期比8.4%増)、当期純利益は1,471百万円(前期比7.7%増)となりました。
主な品目別の売上高は、次のとおりであります。なお、当社は半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるためセグメント毎の記載はしておりません。
(CVD装置)
「化合物半導体分野」では半導体レーザーや高周波デバイスの加工用途での販売があり、1,632百万円(前期比25.7%増)となりました。
(エッチング装置)
「化合物半導体分野」では半導体レーザーや高周波デバイス、パワーデバイス、LEDの加工用途、「シリコン半導体分野」の欠陥解析用途などでの販売があり、4,671百万円(前期比18.0%増)となりました。
(洗浄装置)
「化合物半導体分野」では半導体レーザーや高周波デバイスの加工用途での販売がありましたが、国内で大型機の販売が振るわず、605百万円(前期比27.3%減)となりました。
(部品・メンテナンス)
既存装置のメンテナンスや部品販売、装置の移設・改造などですが、大口先の工場稼働率が一時的に低下したこともあり、1,293百万円(前期比25.7%減)となりました。
② 財政状態の状況
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、11,188百万円で前事業年度末に比べ1,012百万円増加いたしました。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、4,927百万円で前事業年度末に比べ308百万円増加いたしました。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、2,833百万円で前事業年度末に比べ157百万円増加いたしました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、982百万円で前事業年度末に比べ7百万円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、12,299百万円で前事業年度末に比べ1,155百万円増加いたしました。自己資本比率は76.3%と前事業年度末に比べ1.0ポイント上昇いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べ1,263百万円増加し、4,637百万円(前事業年度末比37.4%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は1,642百万円(前期に使用した資金は189百万円)となりました。その主な内容は、法人税等の支払額が666百万円、棚卸資産の増加が245百万円に対して、税引前当期純利益が2,088百万円、売上債権及び契約資産の増加が561百万円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は292百万円(前期に使用した資金は75百万円)となりました。その主な内容は、定期預金の払戻による収入が2,680百万円に対して、定期預金の預入による支出が2,691百万円、有形固定資産の取得による支出が255百万円であったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は103百万円(前期に使用した資金は325百万円)となりました。その主な内容は、短期借入金の純増額が300百万円に対して、配当金の支払額が361百万円、長期借入金の返済による支出が39百万円であったことによるものであります。
(2)生産、受注及び販売の実績
当社は、半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の実績については、当社の品目別に記載しております。
① 生産実績
当事業年度の生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別 |
当事業年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
|
CVD装置(千円) |
1,740,273 |
117.0 |
|
エッチング装置(千円) |
4,627,723 |
113.1 |
|
洗浄装置(千円) |
352,957 |
36.1 |
|
部品・メンテナンス(千円) |
1,392,908 |
76.6 |
|
合計(千円) |
8,113,862 |
96.9 |
(注) 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当事業年度の受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
CVD装置 |
1,833,524 |
141.7 |
1,348,715 |
117.5 |
|
エッチング装置 |
4,736,604 |
99.9 |
3,527,574 |
101.9 |
|
洗浄装置 |
383,943 |
50.8 |
102,593 |
31.6 |
|
部品・メンテナンス |
1,192,442 |
83.4 |
383,097 |
79.1 |
|
合計 |
8,146,515 |
99.1 |
5,361,980 |
99.0 |
(注) 金額は販売価格によっております。
③ 販売実績
当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
|
品目別 |
当事業年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
前年同期比(%) |
|
CVD装置(千円) |
1,632,783 |
125.7 |
|
エッチング装置(千円) |
4,671,056 |
118.0 |
|
洗浄装置(千円) |
605,956 |
72.7 |
|
部品・メンテナンス(千円) |
1,293,363 |
74.3 |
|
合計(千円) |
8,203,159 |
104.8 |
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自 2022年8月1日 至 2023年7月31日) |
当事業年度 (自 2023年8月1日 至 2024年7月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
スカイワークスフィルターソリューションズジャパン(株) |
798,511 |
10.2 |
- |
- |
2.当事業年度のスカイワークスフィルターソリューションズジャパン(株)については、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
(流動資産)
当事業年度末における流動資産の残高は、11,188百万円で前事業年度末に比べ1,012百万円増加いたしました。売掛金が673百万円、契約資産が132百万円減少した一方、現金及び預金が1,290百万円、電子記録債権が251百万円、棚卸資産が191百万円増加したのが主な要因であります。
(固定資産)
当事業年度末における固定資産の残高は、4,927百万円で前事業年度末に比べ308百万円増加いたしました。建物が19百万円減少した一方、建設仮勘定が181百万円、投資有価証券が68百万円、機械及び装置が48百万円増加したのが主な要因であります。
(流動負債)
当事業年度末における流動負債の残高は、2,833百万円で前事業年度末に比べ157百万円増加いたしました。買掛金が146百万円、未払法人税等が50百万円減少した一方、短期借入金が300百万円、契約負債が62百万円増加したのが主な要因であります。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は、982百万円で前事業年度末に比べ7百万円増加いたしました。長期借入金が39百万円減少した一方、退職給付引当金が29百万円、役員退職慰労引当金が12百万円増加したのが主な要因であります。
(純資産)
当事業年度末における純資産の残高は、12,299百万円で前事業年度末に比べ1,155百万円増加いたしました。繰越利益剰余金が1,110百万円、その他有価証券評価差額金が45百万円増加したのが主な要因であります。自己資本比率は76.3%と前事業年度末に比べ1.0ポイント上昇いたしました。
② 経営成績の分析
当事業年度の売上高、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益、経常利益、特別利益及び特別損失、当期純利益の詳細は以下のとおりであります。
(売上高)
売上高は前事業年度より4.8%増加し、8,203百万円となりました。国内売上高は前事業年度より14.3%減少し4,408百万円となり、海外売上高は前事業年度より41.3%増加し3,794百万円となりました。その結果、海外売上高比率は46.3%となりました。
(売上総利益)
売上総利益は前事業年度より8.4%増加し、4,193百万円となりました。売上総利益率は、前事業年度より1.7ポイント上昇し、51.1%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は前事業年度より8.3%増加し、2,176百万円となりました。
(営業利益、経常利益)
営業利益は前事業年度より8.5%増加し、2,017百万円となりました。
経常利益は前事業年度より8.4%増加し、2,088百万円となりました。
(特別利益及び特別損失)
特別利益はありませんでした。
特別損失はありませんでした。
(当期純利益)
当期純利益は前事業年度より7.7%増加し、1,471百万円となりました。
当事業年度の経営成績は前事業年度に比べ増収増益となりました。
なお、業績の詳細、主な品目別の売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
③ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、装置製造原価率(装置製造原価/販売価格)、売上高営業利益率、海外売上高比率を中長期的な経営の重要指標としており、当事業年度における各指標等の実績は次のとおりであります。
今後についても、更なる原価低減、コスト低減に取り組みながら、海外販売の拡大を進めることで、引き続き中長期的な経営の重要指標の目標達成に努めてまいります。
|
|
中長期的な 目標 |
実績 |
|
装置製造原価率 |
50.0%未満 |
46.0% |
|
売上高営業利益率 |
20.0%以上 |
24.6% |
|
海外売上高比率 |
50.0%以上 |
46.3% |
④ 経営成績に重要な影響を与える要因や、当該要因への対応について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の運転資金需要のうち主なものは、材料費、労務費、外注費、諸経費や、販売費及び一般管理費等の費用であります。当社は、マーケットの設備投資需要の増減により、月次や四半期単位の売上高の変動が大きくなる傾向があり、製品の製造に必要な資金需要が一時的に増加する可能性があります。その変動に対して機動的に対処できるよう、常に潤沢な手元資金を確保しております。
投資を目的とした資金需要は、主に技術開発、生産拠点及び機械装置等の設備投資によるものであります。
当社の運転資金及び設備投資資金は主として自己資金によって賄っており、必要に応じて借入れによる資金調達を実施しております。
当社の資金状況は、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高が前事業年度末に比べ1,263百万円増加し、4,637百万円(前事業年度末比37.4%増)となりました。キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、直近5事業年度におけるキャッシュ・フロー指標の推移は、次のとおりであります。
|
|
第41期 |
第42期 |
第43期 |
第44期 |
第45期 |
|
自己資本比率 (%) |
77.9 |
78.0 |
75.2 |
75.3 |
76.3 |
|
時価ベースの自己資本比率 (%) |
203.9 |
204.0 |
168.7 |
288.8 |
212.8 |
|
債務償還年数 (年) |
0.8 |
1.4 |
0.8 |
- |
0.7 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
245.5 |
140.8 |
303.5 |
- |
360.9 |
(注) 1.各指標は、下記の基準で算出しております。
・自己資本比率:自己資本/総資産
・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
・債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.第44期の債務償還年数及びインタレスト・カバレッジ・レシオは、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。当社は、財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な見積りは、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社は、「薄膜技術で世界の産業科学に貢献する」ことを経営理念としており、「社員の創造性を重視し、常に独創的な薄膜技術を世界の市場に送る」、「直販体制を採用し、ユーザーニーズに対応した製品をタイムリーに提供する」、「事業が社会に果たす役割を積極的に認識し、高い付加価値を目標とし、株主、取引先、役員、従業員に対し、適切な成果の配分をする」ことを経営の基本方針としております。この目標達成のため、技術革新の著しい半導体等電子部品業界の基礎研究から応用研究まで、幅広い研究開発に取り組んでおります。
本社研究開発センターは、装置開発の活性化を目的とした複数のテーマ別にプロジェクトを運営しており、既存装置の改良、改善、新製品の開発、営業支援のためのデモ実験等を行っております。研究開発体制の更なる強化を図るべく、2024年12月完成予定で研究開発センター別館の建設を進めております。2020年7月に第二生産技術棟内に開設した成膜装置のデモルームの活用により、ALD装置を中心とする薄膜形成装置の開発とナノレベルの酸化膜や窒化膜を中心とした成膜プロセス技術の開発、薄膜特性の基礎研究や物性評価などに注力しております。また、米国オプトフィルムス研究所では、新たな半導体材料に係る基礎研究を行っております。一方、社外との共同研究も積極的に実施しており、有望なテーマがあれば、大学等の研究機関と共同研究を行っております。
上記活動に伴い、当事業年度の研究開発費は
なお、当社は半導体等電子部品製造装置の製造及び販売事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。