第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当中間連結会計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。

また、前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」について重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループに関する財政状態、経営成績の状況の分析・検討内容は、原則として中間連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。

 

(1)業績の状況

当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における我が国経済は、3月に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、17年ぶりに金利を引き上げたことや、6月に実質賃金が27ヶ月ぶりにプラスになるなど、長らく続いたデフレから、物価と賃金が上昇する好循環への転換が進みつつあります。

一方、アメリカ経済の減速懸念がある中、7月末に日本銀行が追加利上げを実施、金利差の縮小から為替が大きく円高に振れ、株価も急激に変動するなど、足元の金融市場は不安定な状況が続いております。これら外部環境の変化が、円安を背景に拡大基調であったインバウンド需要や持ち直す動きが見られた個人消費にどのような影響を与えるかは、引き続き注視が必要な状況にあります。

このような中、髙島屋グループ(以下、当社)では、将来を見据えた成長投資を着実に実行し、外部環境の変化に左右されない本質的な営業力の強化、強靭な経営基盤の構築に向けて取組を進めてまいります。

当社は、2031年に創業200周年を迎えます。そして更にその先も社会に必要とされ存在意義を発揮し続け、持続的成長を果たしていくために当社がどうあるべきかについて、一年以上にわたりグループ全体で議論を重ねてまいりました。その中で、当社が目指す姿を「お客様・従業員・株主・地域社会など、全てのステークホルダーの『こころ豊かな生活を実現する身近なプラットフォーム 』」と定めました。お客様にとっては、当社ならではの商品やサービスの提供を通じて感動体験が得られる場、従業員にとっては、労働条件・環境の改善により、意欲と能力を高め、働きたいと思える場など、ステークホルダーそれぞれの生活を豊かにするために欠かすことのできない存在としてあり続けることです。

その実現に向け、新たな中期経営計画(2024-2026年度)を策定し、初年度はグループの『持続的成長』実現策を着実に実行していく重要な一年と位置づけています。経営課題としては、「ESG経営の推進」、「人材の確保・育成・活躍推進」、「まちづくりの推進」を設定いたしました。

また、当社が成長し続けるためには、有形・無形の経営資源の将来価値を見極めた上で、より成長を見込める事業分野への資源再配分を迅速に行っていくことが必要です。そのため、経営資源の効果性を見極める基準として、投下資本に対する利益率を表す「ROIC」をグループ共通で採用いたしました。事業別に資本コストを上回るROICを設定し、マネジメントしていくことで経営の効率性を高めてまいります。

 

※本年4月にホームページをリニューアルいたしました。その中で、「進取の精神」を持ち続け

る当社の具体的な取組について、動画連載を新たにスタートしております。

https://www.takashimaya.co.jp/#spirit

 

□価値提供の基盤となるESG経営の推進

事業活動を通じて、社会課題の解決に貢献していくことは、社会の一員である企業としての責務であり、全てのステークホルダーがメリットや利益を共に分かち合える仕組みを作りあげなければ、持続可能なビジネスを行うことはできません。

当社ESG経営の象徴的な取組である「TSUNAGU ACTION」におきましては、更なる認知度向上や、社会課題解決と事業成長の両立に向けた取組を全社レベルで強化しております。美しい地球と豊かな資源を未来へつなぐ「PLANET」、日本・地域の伝統や文化を伝え、広げていく「SOCIAL」、すべての人の自由と平等を守り、笑顔に寄り添う「PEOPLE」、という3つのテーマを設定し、企画数を拡充するとともに、通年で展開いたします。更に数値目標を設定し、PDCAサイクルで運営していくことにより、企業価値向上や利益に直結する取組にしてまいります。特徴的な企画は、本年3月より、「TSUNAGU ACTION」Webサイトにおきまして、「背景」や「ものづくりのストーリー」を写真、インタビューなどのコンテンツを充実させるなど、発信を強化しております。

また、これまで期間限定であった「衣料品」「コスメ」の回収について、本年4月より、通年実施に変更いたしました。多くのお客様に不要品をお持ちいただき、上期の回収量は、約10トンと前年1年間の回収量を超える水準まで拡大しております。今後も再資源化、環境負荷の軽減につなげる取組を継続して強化してまいります。

ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公平性)&インクルージョン(包摂性)の観点からは、コンプライアンスを前提にSDGsが目指す「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、全ての人々の人権や価値観を尊重し、人種、年齢、性的指向・性自認、障がいの有無等に関係なく全員が活躍できる仕組みづくりに主体的に取り組んでまいります。また、消費者に身近な企業として、あらゆるお客様が楽しく時間を過ごし、お買物をしていただけるような施設環境や商品・サービスの整備・開発にも積極的に取り組んでおります。

こうした中、本年4月に施行された改正障害者差別解消法への対応として、義務化される「合理的配慮の提供」(障がいのある人から何らかの配慮を求める意思の表示があった場合、社会的障壁を取り除くために、必要な対応を、過度な負担が無い範囲で行うこと)に向け、組織的な体制を施行前から構築してまいりました。今後も障がいのある人との建設的対話を重ね、課題解決に継続して取り組んでまいります。

 

さらに、LGBTQ+など、性的マイノリティ当事者の方々への理解、支援を目的とするAlly活動の一環として、本年4月に特定非営利団体東京レインボープライドが主催するイベントに参加いたしました。加えて、制度面においても本年4月より「配偶者」「親族」「家族」に適用される福利厚生制度の適用範囲を、同性パートナー・事実婚にも適用拡大するなど、安心して働ける環境整備を推進いたしました。引き続き、職場内の正しい理解と風土醸成に取り組んでまいります。

地球環境保全の観点からは、大規模な商業施設運営をはじめとする当社の事業活動が環境に与える影響が大きいことから、再生可能エネルギーの導入拡大などを通じ、脱炭素化の推進や、循環型社会の実現に貢献してまいります。具体的には、再生可能エネルギー由来の電力を事業者から直接調達する契約を締結し、前年4月より、横浜店で消費する電力の一部として供給を受け始めました。さらに、本年5月より高崎店、本年8月には大阪店、京都店にも直接調達契約での供給を開始し、脱炭素化の実現に向け取組を推進しております。

「物流の2024年問題」(本年4月の自動車運転業務における時間外労働の上限規制適用などに伴う諸問題)への対応としては、前年より深夜の検品を見直し、開店前であった納品時間を開店後に切り替えることで、ドライバーの負担軽減につなげる取組を進めてまいりました。さらに、従来百貨店配送品に対応できていなかった「事前に登録いただいたお客様へのお届け予定メール」の送付対応を、本年5月より業界内で先行して対応開始しております。受取日時や場所などを指定いただくことで再配達の削減とお客様の利便性向上につなげてまいります。

 

□人材の確保・育成・活躍推進

当社は、経営理念に「いつも、人から。」を掲げ、これまでも「人」を大切にする経営を実行してまいりました。人材不足が深刻な社会課題となりつつある中、当社の持続的成長に向けては、人材の確保・育成・活躍推進など、人的資本経営の考え方に基づく人材への積極的な投資を行っていくことも最優先の課題です。

当社は、百貨店を核とした商業施設展開を主要事業とするビジネスモデルであり、営業力強化に向けては、「百貨店の販売力を支える人材の確保・育成」が不可欠です。その実現に向け、店頭・営業現場において、お客様の潜在的なニーズまで読み取り、提案を行うことができる「販売のプロ」の育成を進めてまいります。

また、多様なグループ会社を有する当社では、人とノウハウの持続可能性や競争力の確保に向けて「各業務における専門性強化」が重要です。マーケティングや仕入を担う人材や、金融事業の専門人材、デジタル人材など各業務におけるスペシャリスト育成に向けた取組を推進してまいります。

さらに、翌年のグループ商業施設の正月営業について、2025年1月1日の元日に加え、新たに1月2日も原則休業日といたしました。また、「カスタマーハラスメントに対する基本方針」を策定し、公表するなど、従業員一人ひとりが誇りとやりがいを持ちながら長く働くことができる環境整備を進めております。引き続き、当社が目指す将来の姿を共有し、前向きな職場風土を醸成することでエンゲージメント向上につなげてまいります。

 

 

 

□まちづくりの推進

当社は、グループ総合戦略として「まちづくり」を掲げ、存在意義を発揮していくための事業戦略の根幹の考え方には、「グループの全員が主役のまちづくりを通じた価値提供」を据えています。

「まちづくり」は、二つの考え方から成り立っております。一つ目は、「街のアンカーとしての役割発揮」、具体的には、人々が集うエリアを大きな「まち」としてとらえ、当社が中心的存在となって、地域社会や行政と連携して賑わいを創出し、まちの魅力を高めることです。二つ目は、「館の魅力最大化」、具体的には、館そのものを「まち」ととらえ、そのまちの魅力を最大化させるため、商業開発や金融、飲食、ECなど、グループ各事業のノウハウを結集し、お客様満足を追求した当社ならではの商業施設づくりを推進することです。つまり、当社が考えるまちづくりは、不動産開発だけを意味するものではありません。グループで提供するあらゆる商品・サービス・空間が全て「まちづくり」の一環ということです。

これら二つの考えに基づき「まちづくり」を具現化していくためには、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していくことが必要不可欠です。今後、人口減少に伴う国内マーケットの縮小や人手不足は、避けられない状況の中、デジタル技術は加速度的に進化しており、企業の業務運営や人々の生活に大きな影響を与えています。そこで、本年から全社横断のDX推進プロジェクトを立ち上げ、デジタル技術を活用した業務変革に取り組んでまいります。既存業務の流れを分析し最適化したうえで、業務をデジタル化して生産性向上を図り、これにより生み出した経営資源を営業力強化に振り向けていきます。また、営業や販売へのデジタル技術の活用方法についても検討を行い、お客様の新しいお買物体験や利便性向上につなげていくことで「まちづくり」を更に推進してまいります。

 

当中間連結会計期間の連結業績につきましては、営業収益は243,431百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は28,760百万円(前年同期比38.2%増)、経常利益は30,238百万円(前年同期比36.3%増)となり、親会社株主に帰属する中間純利益は19,078百万円(前年同期比27.5%増)となりました。

 

事業のセグメント別業績は、次のとおりであります。

なお、当中間連結会計期間より、事業ポートフォリオの最適化、事業別の投資効率、収益性などを明確にするROIC経営を更に推進することに伴い、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況 1 中間連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。また、以下の前年同期比につきましては、変更後のセグメント区分に組み替えた数値を記載しております。

 

<国内百貨店業>

国内百貨店業での営業収益は155,873百万円(前年同期比11.5%増)、営業利益は14,416百万円(前年同期比77.8%増)となりました。

 

国内百貨店業におきましては、増収増益となりました。

売上高は、第1四半期を中心にインバウンド売上高が増大したことに加え、全体売上高の約8割を占める国内顧客売上高が堅調に推移いたしました。商品別においても、消費動向、お客様ニーズの変化を捉え提案できる販売力強化と、ニーズに即応する話題性と品質を両立する品揃え強化を両輪で推進したことで、ラグジュアリーブランドをはじめとする高額品のほか、婦人服、紳士服、化粧品などファッション関連商品も前年から伸長いたしました。また、人気テレビ番組と連動した催や、シーズンに合わせた関連イベントには、多くのお客様にご来場いただきました。さらに、当社のアーカイヴス活動の拠点である髙島屋史料館(大阪)や、新しい生活文化の発信拠点である髙島屋史料館TOKYOを通じ、歴史や文化の発信に努めてまいりました。

一方、第2四半期、特に8月においては大きく円高に振れたことで、インバウンド売上高の減速リスクが顕在化しております。この状況の中、これからもあらゆるお客様の多様なニーズに応える上質な商品やサービスの拡充、知的欲求に応える文化発信を継続して推進し、実店舗の強みを生かしたワンストップでのお買物体験を提供することで商業施設としての魅力を高め、インバウンド売上高に頼らない収益基盤の構築を図ってまいります。

ECにおきましては、前年より、各店で行っていた出荷作業を共通の倉庫で一元化することで配送リードタイムを短縮するなど、オンラインストアの利便性向上に取り組んでまいりました。さらに、本年8月には、主力商品である化粧品の専門オンラインストア「TBEAUT(ティービューティー)」が誕生いたしました。今後もお客様のニーズに基づいた品揃えの拡充や利便性を高める取組を同時に推進いたします。また実店舗を持つ強みを生かし、店頭とECの相互送客により顧客接点を創出し、新たなお客様の獲得、売上高の増大につなげてまいります。

商品利益率は、利益率の高いファッション関連商品以上に利益率の低い高額商品売上高が大きく伸長するなど、商品構成比の変化による影響もあり、前年を下回りました。しかしながら、商品利益額は、売上高増大による効果が大きく、前年を上回りました。今後も重点取引先と連携した正価品強化など商品利益率改善に向けた取組も同時に進め、更なる利益額の拡大を図ってまいります。

また、販売管理費は前年からの増加を最小限に抑制することができました。ベースアップなど人的資本投資や、新規ブランドの導入など営業力強化につなげる費用は適正に投下する一方、店舗運営体制の更なる効率化などコスト削減に向けた取組も同時に進めたことにより、総額営業収益に対する販売管理費比率は前年を下回る水準となりました。

今後も品揃えや販売力強化による売上高の増大や、商品利益率、商品利益額の改善、コスト削減に向けた一連の取組を継続し、更なる利益拡大を図ってまいります。

 

<海外百貨店業>

海外百貨店業での営業収益は16,634百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は3,917百万円(前年同期比5.5%増)となりました。

 

 海外百貨店業におきましては、増収増益となりました。

 シンガポール髙島屋は、為替影響により増収増益となったものの、国内顧客において、長引くインフレによる生活防衛意識の高まりやシンガポール通貨高による海外流失など、先行きは不透明な状況にあります。さらに、ツーリストにおいても、中国からのお客様の売上高は、依然回復が鈍く、コロナ禍以前の水準に戻らない状況が続いております。今後も外部環境の動向を注視しながら、品揃えの拡充や集客策の強化を図り、内需の取り込み、ツーリストの拡大につなげてまいります。

ベトナムは、景況感の悪化に伴い内需の鈍化がみられましたが、ホーチミン髙島屋において、成長領域である子供用品、お客様からの支持の高い化粧品や食料品などの売場改装や品揃え強化に向けた取組を推進したことにより、増収増益となりました。

タイのサイアム髙島屋は、お客様ニーズに基づいた日本ブランドの品揃え拡充や物産イベントの実施などの対策を実行してまいりましたが、内需の低迷による影響が大きく、減収となりました。一方、商品利益率の改善、コスト削減に向けた取組を推進したことにより、赤字幅は縮小しております。また、本年3月末にオープンした日本の家具・インテリア用品専門店は、堅調に推移しており、今後も収益改善に向けた取組を推進し、黒字化を早期に実現してまいります。

上海高島屋は、市場変化に対応した新たなテナントの誘致など収益基盤の強化に継続して取り組んでおりますが、長引く中国経済の低迷の影響が大きく、減収減益となりました。

引き続き、各国の景気、消費動向やリスク分析を踏まえながら、適切に経営資源を投下し、持続的な成長につなげてまいります。

 

<国内商業開発業>

国内商業開発業での営業収益は20,368百万円(前年同期比9.0%増)、営業利益は3,923百万円(前年同期比13.3%減)となりました。

 

東神開発株式会社におきましては、本年の「玉川髙島屋S・C」改装工事影響や、前年に「京都髙島屋S.C.」の増築した専門店部分を株式会社髙島屋に引き渡した反動が大きく、減益となりました。一方、計画値に対しては、投資計画や経費の精査などによるコスト削減に加えて、前年10月に開業した「京都髙島屋S.C.」のテナント賃料収入増加等により、着実に進捗しております。さらに、「柏髙島屋ステーションモール」は、地域ニーズの高いテナントの導入など、段階的にリニューアルを実施しており、複合型コミュニティスペース「BeARIKA(ビーアリカ)」が本年9月にオープンいたしました。引き続き、その地域に欠かすことのできない魅力的なSCを実現することでリアル施設ならではの体験価値の向上と新たなお客様層の開拓を進めてまいります。

 

<海外商業開発業>

海外商業開発業での営業収益は7,828百万円(前年同期比21.6%増)、営業利益は3,136百万円(前年同期比46.3%増)となりました。

 

海外商業開発業におきましては、増収増益となりました。

トーシンディベロップメントシンガポールPTE.LTD.では、賃料収入が増加したことに加え、費用減もあり、増収増益となりました。

また、段階的に開発を進めるベトナム事業についても、増収増益となりました。本年8月には、ベトナムのハノイに学校不動産賃貸事業の2校目となるバイリンガルスクールを開校いたしました(共同事業者であるエデュフィット社<Edufit International Education Corporation Joint Stock Company>が運営)。

今後もハノイでの住宅・オフィス・商業の複合開発事業や、ハノイ、ホーチミンに次ぐベトナム第3の都市であるハイフォンでの大規模都市開発事業への参画など、成長ドライバーと位置づけるベトナム開発には集中的に投資を行い、シンガポールに次ぐ第2の収益の柱として、成長性と収益性を追求してまいります。

 

<金融業>

金融業での営業収益は8,982百万円(前年同期比4.3%増)、営業利益は2,291百万円(前年同期比1.6%増)となりました。

 

 髙島屋ファイナンシャル・パートナーズ株式会社におきましては、収益の柱であるカード事業の取扱高伸長と、年会費収入の増加により、増収増益となりました。

 カード事業では、「まちづくり戦略」を進める中、百貨店・専門店、及びWebサイトでの新規会員の獲得強化により、新規発行口座数がコロナ禍以前の2019年度を超える水準まで拡大いたしました。また、百貨店・外部加盟店ともに取扱高が伸長する中、特に百貨店での利用が好調に推移いたしました。さらに、前年8月に発行を開始したビジネスオーナー・個人事業主を対象とするビジネスカード「タカシマヤカード《ビジネスプラチナ》アメリカン・エキスプレス®」は、会員獲得・利用額とも順調に拡大しております。このカードを起点に、ビジネスの成長につながる幅広いソリューションを提供する会員向けのBtoBビジネスがスタートしており、今後も更なる魅力向上につなげてまいります。

ライフパートナー事業では、本年からスタートした新しいNISA制度(株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になる制度。本年1月からは、投資非課税保有期間の無期限化、口座開設期間の恒久化、年間投資枠の拡大などを図った新制度に移行)にあわせ「タカシマヤのカード積立」の積立上限月額を5万円から10万円に引き上げ、利用促進を図ってまいりました。また、NISAと保険を組み合わせた相談コーナーの設置や、セミナーコンテンツの拡充などの取組を推進したことにより、相談数・申込数が着実に増加しております。

 ソーシャルレンディング事業では、本年1月の第1号、2月の第2号ファンドに続き、4月以降に4つのファンドを組成しております。引き続き、「髙島屋ファンディング」として取り扱いの幅を広げ、顧客接点の拡大を図ってまいります。

 さらに、アライアンスやM&Aを通じ、事業拡大や新しい領域の開拓を進めてまいります。本年3月には、不動産投資やアセットマネジメントを展開する株式会社Fantaと新たに提携いたしました。今後は両社でヘルスケア施設を対象とした投資法人創設を目指して協業し、収益拡大を図るとともに、高齢化時代における社会課題解決にも貢献してまいります。また、本年6月には、ヴァスト・キュルチュール株式会社の株式の過半数を取得し、子会社化いたしました。株式取得により、当社は、成長分野ともいえるIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)市場での事業を拡大するとともに、IFAに関する経営ノウハウ、人材を当社内に取り入れることで、金融事業の強化につなげてまいります。これにより、当社の顧客に対してはヴァスト・キュルチュール株式会社のクオリティの高いプライベートバンクサービスを提供する一方、同社の顧客に対しては百貨店の上質な商品やサービスを提供するなど、双方の顧客により豊かな生活を提案することが可能となります。

 

<建装業>

建装業での営業収益は15,425百万円(前年同期比15.9%増)、営業利益は1,177百万円(前年同期比804.3%増)となりました。

 

髙島屋スペースクリエイツ株式会社におきましては、ホテルなどの大型物件やラグジュアリーブランドを中心とした商業施設の受注が増加し、増収増益となりました。引き続き、専門人材の育成、補強により、営業力とデザイン力を駆使した先行提案営業の強化を図り、安定的な収益基盤の構築につなげてまいります。

 

 

<その他の事業>

その他の事業全体での営業収益は18,318百万円(前年同期比3.3%減)、営業利益は783百万円(前年同期比24.2%増)となりました。

 

通信販売業のクロスメディア事業におきましては、通販カタログの計画的な部数、ページ数の削減の影響により減収となった一方、コスト削減効果もあり赤字幅が縮小いたしました。その他の事業全体におきましても、クロスメディア事業の影響が大きく減収増益となりました。今後も各事業におきまして、業界競争力の獲得により、持続的な成長を実現してまいります。

 

(2)財政状態に関する説明

当中間連結会計期間末の総資産は、1,298,559百万円と前連結会計年度末に比べ28,084百万円増加しました。これは、売上増加に伴う受取手形、売掛金及び契約資産の増加11,207百万円、海外子会社における円安に伴う為替換算影響等による使用権資産の増加8,171百万円、持分法適用関連会社の業績伸長等に伴う投資有価証券の増加3,341百万円が主な要因です。

負債については、797,638百万円と前連結会計年度末に比べ5,964百万円の増加となりました。これは、有利子負債(社債及び借入金)の減少4,554百万円、海外子会社における円安に伴う為替換算影響等によるリース債務の増加9,733百万円が主な要因です。

純資産については、500,921百万円と前連結会計年度末に比べ22,119百万円増加しました。これは親会社株主に帰属する中間純利益による利益剰余金の増加19,078百万円及び配当金の支払いによる利益剰余金の減少3,154百万円、海外子会社における円安に伴う為替換算調整勘定の増加6,390百万円が主な要因です。

以上の結果、自己資本比率は36.6%(前連結会計年度末比0.9ポイント増)となりました。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、32,208百万円の収入となり、前年同期が21,061百万円の収入であったことに比べ11,147百万円の収入の増加となりました。主な要因は、税金等調整前中間純利益が8,464百万円増加したことなどによるものです。

投資活動によるキャッシュ・フローは、17,953百万円の支出となり、前年同期が15,517百万円の支出であったことに比べ2,435百万円の支出の増加となりました。主な要因は、短期貸付金の純増減額が1,933百万円増加したことなどによるものです。

財務活動によるキャッシュ・フローは、12,687百万円の支出となり、前年同期が10,994百万円の支出であったことに比べ1,692百万円の支出の増加となりました。主な要因は、長期借入れによる収入が13,000百万円増加したものの、長期借入金の返済による支出が14,500百万円増加したことなどによるものです。

これらに換算差額を加えた結果、当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ6,302百万円増加し、99,201百万円となりました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当中間連結会計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。