当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」を経営理念として掲げ、株主、取引先、地域社会、従業員などすべてのステークホルダーにとって存在価値のある、良き企業市民として評価され、事業活動を続けてゆくことを目指しております。
その実現のため、当社は秩序ある競争の原理と公正の原則をつらぬく経営活動を基本姿勢とし、今後ますますグローバル化が加速する環境に対処するため、社会環境の変化に対応し顧客から信頼される企業を目指した活動を展開するとともに、企業の社会的責任を自覚し、持続的発展が可能な循環型社会の実現のため環境対策の一層の強化に取り組み、企業価値の向上に努めてまいります。
(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、板紙事業及び美粧段ボール事業の二つの事業を展開しており、岡山本社の工場を生産拠点として中国地方を中心とした地域に根差した事業活動を展開してまいりました。今後も、自らが拠って立つ地域を基盤に事業活動を続けてゆきます。
板紙事業につきましては、段ボール製造用の「中芯原紙」及び紙や布、フィルム、糸などの巻き芯や図面等を収める紙筒の原紙である「紙管原紙」を主要製品として製造しております。板紙の需要は産業活動全般の動向に左右される部分が大きく、近時は新型コロナウイルスの感染拡大の影響による景気の変動で販売量が増減しております。さらに原材料である古紙その他原燃料の価格形成がグローバルな市況に左右される昨今の環境下で経営目標を達成するため、従来にも増して需要に見合った生産体制の構築と更なるコスト低減、営業面では適正価格の維持と新規取引先の開拓に努め、環境の変化に対応した経営に取り組んでまいります。
美粧段ボール事業につきましては、電化製品、青果物、医薬品、飲料、食品などの個装箱や贈答品を主要製品として製造しております。商品包装の簡略化の流れ、主力の青果物で担い手不足による流通量の減少など、厳しい経営環境にあるなかで供給者責任を果たしつつ、ユーザーニーズに合致するパッケージを提供することで、より広く新規顧客の開拓に取り組んでまいります。
競争優位性を確保する施策として、美粧段ボール事業において、段ボールシートへの直接印刷が可能な、日本初導入の6色インクジェットプリンター・Glory1606を導入し、多品種小ロット・バリアブル印刷といった新たなパッケージニーズに対応してまいります。
板紙事業においては、品質の安定化とコストパフォーマンスを実現するため、各工程に自動制御装置を導入し、24時間体制で製造を行っています。
また、製紙工場と加工工場を併設し、美粧段ボール製造の一貫体制を築いています。これにより、品質・納期管理が組織的に可能となり、蓄積された技術とノウハウが活かされ、トータルコストの面でも大きな優位性を発揮します。
当社は、上記の経営の基本方針、経営戦略のもと、サステナブルな企業経営を実現するための重要課題(マテリアリティ)を特定し、人的資本への投資と環境負荷低減を中心に取り組んでいくことといたしました。
また、生産面では従来にも増して需要に見合った生産体制の構築と更なるコスト低減、営業面では適正価格の維持と新規取引先の開拓に努め、以下の項目を重点課題として認識し、全社一丸となって対応してまいります。
1. サステナブルな企業経営を実現するための取組
当社が持続可能(サステナブル)な成長を続けるために、人材を最優先すべき資本のひとつと位置づけ、継続的に投資を行うことで競争力を確保することを目指し、人材育成、社内環境整備に取り組んでまいります。また、環境負荷の低減をはじめとしたESG(環境・社会・企業統治)に配慮した事業運営を行うことで、今後もよき企業市民として地域社会と共生し、企業価値向上に向けた活動を続けてまいります。
2. 営業力の強化
生産・販売の両部門が一体となった体制で非価格競争力を強化し、適正価格の維持と販売量の安定確保を両立させることに努めるとともに採算重視の営業活動に徹します。また、特に美粧段ボール事業ではデジタル印刷を中心とした提案力の強化により新規取引先の開拓を推進し、強固な営業基盤の確立を図るよう役職員一丸となって販売活動を強力に推進してまいります。
3. 省エネ・生産効率向上と製品開発力の向上
コスト競争力は企業存続の条件との認識にたち、原燃料等の価格変動に対処するため、省エネや省力化、生産効率向上に寄与する投資を積極的に推進し、更なるコスト低減策に取り組むとともに、併せてユーザーニーズに合った製品開発力を強化してまいります。
4. 原材料の安定調達と資材調達コストの低減
当社にとって原材料の安定調達は企業活動を続けていく上で、最重要課題であると同時に、資材調達コストが即収益に大きな影響を及ぼすことを十分認識し、市況動向等を注視し原材料の計画的かつ安定的な調達に努め資材コスト低減を図ってまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、持続的発展および企業価値向上達成の客観的な指標として、営業利益及びROE(株主資本利益率)を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。営業利益5億円、ROE5%を目標としております。当事業年度においては営業利益16億円、ROE10.2%となっております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年8月28日)現在において当社が判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
「すべてのステークホルダーとの調和のもと、共存の精神で200年企業をめざす」という当社の経営理念は、まさにサステナブルな事業活動を継続していくという宣言であります。当社は、地元岡山に根差してステークホルダーとの「共存」を図り、古紙を原料とするビジネスモデルを通じた資源循環型経済の実現を追求することで事業価値を創出し、これまでに培ってきた技術と伝統を次の100年へとつなげていくことを目指しています。そのために、行動規範の遵守、内部統制システムの整備と適正な運用に継続して取組み、SDGsへの対応を含めたサステナビリティへの取組みを積極的に進めてまいります。
①ガバナンス
当社は、以前より気候変動を含むサステナビリティ課題についての取組みは代表取締役社長を最高責任者としておりますが、よりサステナビリティの取り組みを強化・促進するための体制を構築すべく、2024年8月に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を新たに設置しました。このサステナビリティ委員会では、気候変動や人的資本を含むサステナビリティに関する方針や戦略、取り組みの促進、進捗確認をしていきます。また、2024年6月には、当社におけるマテリアリティを策定しており、今後は、このマテリアリティを基にサステナビリティ方針の決定、施策の審議、進捗管理をサステナビリティ委員会で行い、その結果を取締役会へ報告、取締役会による監督を受けてまいります。
ガバナンス体制図については、「
|
会議体 |
役割 |
メンバーの構成 |
|
サステナビリティ委員会 |
サステナビリティ方針決定、施策の審議、進捗管理のレビュー |
委員長:代表取締役社長 委員:取締役、執行役員、本部長、 部長 |
②戦略
<サステナビリティに関する戦略>
当社の経営理念の実現に向けて、当社にとっての社会や環境等のサステナビリティ課題を社内で議論し、マテリアリティを特定、取締役会で議論したうえで「岡山製紙マテリアリティ」として決定しました。今後は、リスクと機会についての特定をさらに進め、マテリアリティへの取り組みを加速し、当社の事業経営にサステナビリティやSDGs対応を取り込んでまいります。
<マテリアリティ特定のプロセス>
当社が直面している事業環境や課題、将来想定される社会課題や環境課題および主なステークホルダーを考慮に入れ、以下のプロセスでマテリアリティを特定しました。
③リスク管理
当社では、取締役会を中心とするガバナンス体制の下、「リスク管理規程」を定め、代表取締役社長が中心となってリスクへの対応を行っております。サステナビリティに関するリスク及び機会については、今後は、新しく設置したサステナビリティ委員会にて各部門担当者から情報を収集し、抽出、識別・特定・評価、管理し、その結果は取締役会へ報告、審議、承認されます。なお、承認された内容は取締役会もしくはサステナビリティ委員会を通じて、各役員の管掌分野において部門ごとに対応を進めてまいります。
また、各部門でのリスク・機会への対応やその進捗およびモニタリング結果は、必要に応じてサステナビリティ委員会または管掌役員から取締役会に報告し、取締役会にて監督してまいります。
④指標及び目標
2024年6月に策定したマテリアリティに対する指標及び目標は、今後、主にサステナビリティ委員会で検討してまいります。
(2)気候変動
<気候変動に関する考え方>
社会的な課題である環境保全の観点から、紙の合理性、安全性が再び見直される中、一製紙メーカーとして、効率化、省資源、省エネルギー化等の技術を駆使し、資源循環経営を進めていく必要があると考えています。気候変動における事業リスクと機会を認識し、事業戦略へ落とし込み、地域のステークホルダーにとって真に役立つ会社として永続すべく、気候変動問題に対応をしてまいります。
①ガバナンス
当社では代表取締役社長を中心とした環境管理体制のもと、気候変動への対応を含む環境改善を推進しています。代表取締役社長に任命されたエネルギー管理統括者による、省エネ法に基づいたエネルギー管理体制の整備をはじめ、省エネ推進の取組みとして、省エネに関する改善提案等を省エネ推進会議によって評価し実行しています。
2024年8月には、代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を新たに設置し、気候変動を含むサステナビリティ方針や戦略、取り組みの促進、進捗確認をしていきます。
詳細については、「
②戦略
現在認識している、気候変動におけるリスクと対応策は以下の通りです。今後はマテリアリティの具体的な指標と目標を設定することで、気候変動におけるより実効性のある取り組みへと深化させてまいります。
|
リスク |
|
主な事業への影響 |
対応策 |
|
移行リスク |
化石燃料由来のエネルギー調達コストの増加 |
再エネ等、低炭素エネルギーへの移行による化石燃料由来のエネルギー調達コストや電力コストが増加 |
・天然ガスへの切り替え ・環境配慮型ガスタービン発電機の設置 ・発電・蒸気利用効率の向上による省エネ化 |
|
GHG排出に関する規制の強化 |
炭素税導入や排出権取引の導入及び強化により、エネルギー消費コストやカーボンクレジットの運用コストが増加 |
||
|
資源循環・リサイクル規制強化 |
工場排水の不純物に対する対応強化によるコスト増加 |
高機能排水処理設備の設置による工場排水の不純物除去の性能向上 |
|
|
持続可能な原料の調達 |
FSC認証の取得の必須化 |
FSC認証の取得 |
|
|
物理的リスク |
気候変動による異常気象事象の激甚化 |
大規模な自然災害発生による拠点の被災やサプライチェーンの寸断などによる生産能力の低下及び稼働停止、製造コストの増加 |
・リスク管理規定を定め、緊急事態対策規定を策定 ・被害を初期のうちに最小限に防止する体制整備 |
なお、当社のビジネスモデルを考慮すると古紙の再利用や水資源は重要と認識しており、今後これらについてもさらに検討、取り組みを進めてまいります。
③リスク管理
気候変動に関するリスクと機会は、全社のサステナビリティに関するリスクと機会に統合され、管理されています。詳細については、「
④指標及び目標
気候変動への主な対応として、エネルギー使用量削減、非化石エネルギーへの転換、CO2排出量の削減を進めています。具体的な指標と目標は今後サステナビリティ委員会を中心に検討、設定してまいります。
なお、経年のScope1,2の実績は以下の通りです。Scope1,2の削減目標は現在検討中であり、Scope3については今後算定を検討してまいります。
(3)人的資本
<人的資本に関する考え方>
当社は資源循環型産業の企業として、古紙を原料とした包装資材のビジネスモデルを創業から110年余続けており、長い間培ってきた高い技術と信頼を得て前進し続けております。次の100年にもこの技術と信頼をつなげていくには、人材への取組みは重要と認識しており、多様な人材の確保・維持・育成と働きがいのある職場環境、職場の安全性の確保など実現していくためあらゆる取り組みを促進してまいります。
①ガバナンス
2024年8月に代表取締役社長を委員長とするサステナビリティ委員会を新たに設置し、人的資本を含むサステナビリティ方針や戦略、取り組みの促進、進捗確認をしていきます。
詳細については、「
②戦略
<人材育成方針>
当社は一世紀以上の歴史がある板紙メーカーとして、主に製造のスペシャリストを多数擁しており、それが事業を支える基盤であると考える一方で、板紙・美粧段ボールによるパッケージ事業ともに経営環境は日々変化しており、その変化に対応して事業をリードする自律的で広い視野を持った人材もまた必要であると考え、現場のスペシャリストと融合するリーダー層両輪の獲得・育成を目指しています。
少子化による働き手の減少から従業員の確保が年々困難になるなかで、地域に根差したメーカーとして地元から多くのスペシャリスト候補を採用し技術を次代に継承するとともに、当社を進化させる知見ある人材は性別、出身地域、職歴等にとらわれず積極的に採用していきます。
当社では従来から中途採用を積極的に活用しており、管理職の6割以上が中途採用出身者です。
<社内環境整備方針>
1.ダイバーシティ&インクルージョンの推進
最も重要なステークホルダーのひとつである従業員について、育児・介護との両立等ワークライフバランスを支援する仕組みを導入し、高齢者・女性等の多様な社員が活躍できる職場環境を整備することで、来る労働人口減少時代へのレジリエンスを高めてまいります。
高齢者については2022年から65歳定年制を導入しており、スペシャリストとしての経験を活かし、モチベーションを保って働ける環境を整えていきます。
女性活躍では女性の育休取得、復職については高い実績があるため、今後は管理職等多様なポジションで活躍できる環境を整えていきます。
2.健康と安全が確保された環境づくり
従業員の心身の健康・活力が事業活動の原動力であるとの考えのもと、それを妨げる労働災害の撲滅と、健康経営を強力に推し進めてまいります。
健康経営に関しては、従来から当社では、法令で定めがある特定業務従事者以外の従業員についても健康診断を年2回実施しており、その受診率はほぼ100%です。また、経済産業省及び日本健康会議の「健康経営優良法人2023(中小規模法人部門)」の継続認定を受けています。認定を機に禁煙外来受診補助を制度化するなど、健康の保持増進を図る取組を進めています。
安全に関しては、毎月、安全衛生に関する会議の開催と職場パトロールを実施し、労働災害の防止とともに快適な職場環境の形成に努めております。
③リスク管理
人的資本に関するリスクと機会は、全社のサステナビリティに関するリスクと機会に統合され、管理されています。詳細については、「
④指標及び目標
当社では、上記「②戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次の通りであります。
|
指標 |
目標 |
2023年度実績 |
|
|
|
|
|
|
|
|
|
健康経営優良法人の認定 |
認定を維持 |
認定 |
|
|
|
|
|
|
|
|
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年8月28日)現在において当社が判断したものであります。
また、以下に記載したリスクは主要なものであり、これらに限られるものではありません。
(1)国内需要の減少及び市況価格の下落
当社の事業分野別売上高は、板紙事業9割弱、美粧段ボール事業1割強の構成で推移しております。いずれの事業も内需型であり、国内景気の影響を大きく受けます。国内景気の後退による需要の減少や市況価格の下落が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社においては多方面への営業活動及び開発力の強化による新規取引先の発掘、販売代理店を介した原紙の海外輸出の推進、また需要に見合った生産を実施することで、需要及び適正な販売価格の維持に努めております。
(2)原燃料購入価格の上昇
当社が購入する原燃料価格に関しては、主原料の古紙は中国・アジア地域と国内需給動向によって、主燃料の産業用ガスは国際市況や為替相場によってそれぞれ価格が変動し、購入価格が上昇した場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、複数の仕入先の確保や備蓄量の安定的な確保を行うことでリスクの低減をはかっております。
(3)災害による影響
台風、豪雨、地震といった自然災害、事故等の不測の事態が発生した場合には、生産能力の低下や製造コストの増加等により、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの対策として当社はリスク管理規程を定め、その具体的対応策として緊急事態対策規程を策定しております。また、実際に自然災害が発生した場合には、直ちに対策本部を立ち上げ、被害を初期のうちに最小限に防止する体制を整備しております。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況の概要
当事業年度における板紙業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行や政府による各種政策効果もあり、国内の産業活動全般の正常化が進み、緩やかに景気の回復が続く一方、原燃料価格の高止まりや為替相場の円安基調等もあり、先行きは不透明となっています。
こうした経営環境のなか、当社の主要製品である段ボール原紙他板紙の国内販売量は、物価上昇による消費の抑制等の影響で需要が減退し、販売数量は減少しました。また、原料古紙や主な燃料であるLNGの価格は高い水準にはありますが、前期に実施した板紙製品の価格改定が浸透しました。
この結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当事業年度末の総資産は、前事業年度末と比べ2,832百万円増加して17,822百万円となりました。負債は、前事業年度末と比べ1,130百万円増加して5,586百万円となりました。純資産は、前事業年度末に比べ1,701百万円増加して12,236百万円となりました。
b.経営成績
当事業年度の経営成績は、売上高は11,511百万円(前事業年度比5.9%増)、営業利益は1,681百万円(前事業年度比174.0%増)、経常利益は1,779百万円(前事業年度比156.8%増)、当期純利益は1,157百万円(前事業年度比133.8%増)となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
(板紙事業)
当事業関連では、板紙需要の減少を受け販売数量が前期比3.1%減となりましたが、前期に実施した製品価格改定の効果等により、売上高は10,240百万円(前事業年度比6.9%増)、セグメント利益は1,685百万円(前事業年度比155.0%増)で増収増益なりました。
(美粧段ボール事業)
当事業関連では、主力の青果物向け製品は堅調だったものの、製品価格改定に伴うシェア移動等により、売上高は1,270百万円(前事業年度比1.6%減)と減収となりました。損益については製品価格改定の効果等により、セグメント損失は3百万円(前事業年度はセグメント損失47百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ1,631百万円増加し、6,595百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得た資金は、前事業年度比1,372百万円(248.6%)増の1,924百万円となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益1,659百万円及び減価償却費312百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前事業年度比11百万円(5.9%)減の185百万円となりました。
収入の主な内訳は、利息及び配当金の受取額81百万円であり、支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出265百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前事業年度比312百万円(74.5%)減の107百万円となりました。
これは主に、配当金の支払額82百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
板紙事業(千円) |
10,510,809 |
106.9 |
|
美粧段ボール事業(千円) |
1,270,895 |
98.4 |
|
合計(千円) |
11,781,705 |
105.9 |
(注)板紙事業の生産実績は板紙の生産数量(自家消費分を含む)に平均販売価格を乗じた金額を、また美粧
段ボール事業の生産実績は販売金額を記載しております。
b.受注実績
板紙事業については、顧客が特定しているため需要を予測して見込生産を、また美粧段ボール事業は、受注生産を行っておりますが、いずれの製品も受注から生産・納入に至るまでの期間が短く期末における受注残高は少ないので、次に記載する販売実績を受注実績とみなしても大差はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年6月1日 至 2024年5月31日) |
前年同期比(%) |
|
板紙事業(千円) |
10,240,958 |
106.9 |
|
美粧段ボール事業(千円) |
1,270,895 |
98.4 |
|
合計(千円) |
11,511,853 |
105.9 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであり、不確実性を内在、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果とは大きく異なる可能性もありますので、ご留意ください。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表作成に当たって、当事業年度末における資産・負債の報告数値、当事業年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定については、過去における実績や状況に応じ合理的と考えられる要因等に基づいて行っておりますが、不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
総資産は、17,822百万円で前事業年度末の14,990百万円に比べ、2,832百万円増加いたしました。内訳としては流動資産が1,812百万円の増加、固定資産が1,019百万円の増加であります。
流動資産増加の主な要因は、税引前当期純利益の計上による営業キャッシュ・フロー増加による現金及び預金1,631百万円の増加であります。また、固定資産増加の主な要因は、保有銘柄の株価上昇による投資有価証券892百万円の増加であります。
負債は、5,586百万円で前事業年度末の4,456百万円に比べ、1,130百万円増加いたしました。内訳としては流動負債が846百万円の増加、固定負債が283百万円の増加であります。
流動負債増加の主な要因は、未払金225百万円の増加、及び未払法人税等が260百万円増加したことであります。また、固定負債増加の主な要因は、繰延税金負債236百万円の増加であります。
純資産は、12,236百万円で前事業年度末の10,534百万円に比べ、1,701百万円増加いたしました。主な要因は利益剰余金1,073百万円の増加、及びその他有価証券評価差額金617百万円の増加であります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当社の主要な販売品目である板紙につきまして、新型コロナウイルス感染症の5類移行や政府による各種政策効果もあり、国内の産業活動全般の正常化が進み、緩やかに景気の回復が続く一方、原燃料価格の高止まりや為替相場の円安基調等もあり、先行きは不透明となっています。
このような状況の下、当事業年度の板紙製品(中芯原紙・紙管原紙)の販売状況につきましては、販売数量が前事業年度比で96.9%と減少しました。これは年度計画の101.0%の達成率でした。
板紙販売数量は減少したものの、原料古紙や主な燃料であるLNG等の価格高騰による損益の悪化に対応するため、2022年2月及び2022年10月に実施した板紙製品の価格改定が浸透した効果で板紙事業は6.9%の増収となりました。
他方、美粧段ボール製品の販売状況につきましては、青果物の贈答用向け美粧ケースが、前事業年度比94.3%とやや苦戦するとともに、通信機器の梱包資材は得意先の国外への生産移転の影響で、大きく売り上げを落としました。これらの販売の減少を販売先の多様化、特に段ボールシートへの直接印刷が可能な、日本初導入の6色インクジェットプリンター・Glory1606を用いた製品の拡販で補い、売上高は前事業年度比で1.6%の減少となりました。
以上より、当事業年度の売上高は11,511百万円となり、前事業年度に比べ641百万円(5.9%増)の増収となりました。
(営業利益)
当社の営業利益については、板紙製品の売上高、板紙製造の原料である古紙の価格、および主な燃料であるLNGの価格が大きな影響を与えます。
まず、原料古紙価格については、当社の主要な材料であることからその調達価格は利益に大きな影響があります。当事業年度におきましては、需要の減退以上に国内の古紙発生量の減少や円安の影響による海外への流出の影響が大きく、古紙調達価格は比較的高い水準で推移しました。
次に、LNG価格についても、前事業年度からは下がったものの、高い水準で推移しました。LNG使用量は前事業年度比で1.2%増とほぼ横ばいで、調達価格が前事業年度比22.2%の下落のため、LNG購入総額では21.3%の減少となり、当事業年度の増益に寄与しました。
以上より、当事業年度の営業利益は1,681百万円となり、前事業年度に比べ1,068百万円(174.0%増)の増益となりました。
当社の目標とする経営指標のひとつである営業利益5億円については達成することができました。
(経常利益)
当事業年度の経常利益は1,779百万円となり、前事業年度に比べ1,086百万円(156.8%増)の増益となりました。
なお、当社の営業外収益の約83%は保有株式の受取配当金であります。
(当期純利益)
当事業年度の当期純利益は1,157百万円となり、前事業年度に比べ662百万円(133.8%増)の増益となりました。
ROEは10.2%となり、当社の目標とする経営指標のひとつであるROE5%を達成することができました。
また、1株当たり当期純利益は前事業年度から148円81銭増加し、250円19銭となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の資金需要のうち主なものは、製品製造のための原材料・燃料の購入のほか、製造に係る労務費・経費、販売費及び一般管理費、生産設備の取得及び既存設備の改善等に係る投資であります。これらの資金需要について、当社はすべて自己資金でまかなっておりますが、現状キャッシュ・フローについて大きな懸念はないものと認識しております。
該当事項はありません。
古紙を原料として製品を製造する当社は、環境との調和をテーマに環境負荷軽減を意識した生産技術の開発をはじめとして、常に顧客のニーズに応えるための品質改善、より付加価値の高い製品の産出、印刷技術の向上、生産の効率化など生産現場に密着した活動を行っております。
当事業年度における研究開発費の総額は