当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当中間連結会計期間(2024年3月1日~2024年8月31日)における国内経済は、社会経済活動の正常化や雇用・所得環境の改善、訪日観光客の増加などを背景に、各種政策の効果もあり、景気は緩やかに回復しております。一方で、不安定な国際情勢によるエネルギー・資源価格の高騰、人件費や物流費の上昇などによる物価上昇、金融資本市場の変動影響など依然として先行き不透明な状況が続いております。当社が経営基盤としている九州におきましては、インバウンド需要の増加に加え、半導体関連産業を中心とした設備投資の活発化による地域経済への波及効果が生じつつありますが、物価の上昇に伴う消費者の節約志向の強まり、業界の垣根を越えた競争の激化やM&Aによる寡占化など当社を含む九州のスーパーマーケット業界を取り巻く経営環境は前年同時期に比べて成長は鈍化しており、厳しさを増しております。
このような状況のもと、当社は、中期経営計画において「成長領域へのシフト」「商品改革」「既存資産の魅力度向上」「生産性・経営効率の向上」「サステナブル経営の推進」を重点施策として取り組みを進めております。
店舗面では、中期経営計画において高速出店を目指している都市部小型SM「マックスバリュエクスプレス」2店舗、調剤併設型ドラッグストアと生鮮食品・弁当・惣菜を扱うスーパーマーケットを融合したフード&ドラッグ「ウエルシアプラス」1店舗を含めて新たに7店舗を出店したほか、「イオンモール香椎浜(福岡県福岡市東区)」の敷地内に新たな商業施設「Kashii iina Terrace(かしい いーな てらす)」をオープンしました。一方で、今後の成長に向けた業態転換及び再開発のため3店舗を閉鎖したことで、当中間期末における店舗数は342店舗となりました。
売上高におきましては、店舗数の増加に加えて、売上構成比の高い食料品の売上が堅調に推移したことで前年同期比104.0%となりました。商品別の動向では、第1四半期は春先の天候影響や前年のトラベル関連商品需要の反動影響等で衣料品の売上が伸び悩みましたが、第2四半期は6月の定額減税開始にあわせたセールスや猛暑対策商品の展開拡大等により衣料品、住居余暇商品の売上は前年を上回りました。食料品では、日常消費に対する節約志向の高まりへの対応として、「しあわせプラス(応援価格)」をはじめとする生活応援施策の品目数拡大やお取引先さまと連携したオリジナル商品の展開、「トップバリュベストプライス」の展開強化など、値ごろ感を重視した訴求を強化したことで売上は引き続き堅調に推移しました。また、販売促進面では、イオングループの公式トータルアプリ「iAEON」の新規会員獲得、アプリクーポン企画などの販促施策強化により需要喚起に努めました。これらの取り組みにより、既存店の売上高は、前年同期比102.7%と伸長しました。
営業総利益におきましては、戦略的に生活応援施策を強化したことで売上総利益率は低下したものの、売上総利益額は前年同期比102.8%、その他の営業収入は前年同期比102.0%となり、営業総利益は前年同期比102.7%となりました。
販売費及び一般管理費におきましては、新規出店や既存店活性化の推進など今後の成長に向けた先行投資に伴う減価償却費の増加に加え、人的投資を積極的に実施した結果としての人件費の増加、前期より出店を開始したイオンウエルシア九州株式会社における先行投資に係る経費が増加しました。さらに、人時生産性の向上を目的としてセルフレジや電子棚札等のDX投資や省力化什器の導入を積極的に実施しましたが、当中間期における効果影響が限定的なものとなったことにより、販売費及び一般管理費は前年同期比106.7%となりました。
以上の結果、当中間期連結会計期間の連結業績は、売上高にその他の営業収入を加えた営業収益が2,620億94百万円(対前年中間期増減率3.9%)となり、過去最高を更新しました。営業利益は28億19百万円(同△48.2%)、経常利益は29億61百万円(同△47.7%)、親会社株主に帰属する中間純利益19億95百万円(同△48.4%)となりました。
当中間期における主な取り組みは以下のとおりです。
(今後の成長に向けた取り組み)
新規出店としては、当中間期においてGMS1店舗、SM3店舗、DS1店舗、HC1店舗、ウエルシアプラス1店舗をオープンしました。
都市部におけるマーケットシェア拡大を目指し、福岡市内へ「近くて便利な、コンパクトスーパーマーケット」をコンセプトとした「マックスバリュエクスプレス」の展開を進めており、当中間期において2店舗を出店、2020年9月の経営統合以降の出店数は計9店舗となりました。都市部におけるお客さまのニーズに合わせ、カット野菜や冷凍食品、出来立て惣菜などの即食・簡便商材や小容量サイズの品揃えを充実し、小型店舗独自の商品開発を進めるなどの取り組みにより、既存店の売上は前年同期比103.2%と好調に推移しました。
イオンウエルシア九州株式会社では、8月に「ウエルシアプラス鳥栖蔵上店(佐賀県鳥栖市)をオープン、当中間期末時点における展開店舗数は福岡県、熊本県、佐賀県に計6店舗となりました。当中間期においては、今後の高速出店に向けた店舗オペレーションの確立と資格取得者の確保、ビューティアドバイザーをはじめとする専門スタッフの育成に取り組んだことで、強みとする食品の売上拡大に加え非食品部門の売上構成比が高まり、店舗の収益力強化につながりました。
新たな顧客接点創出の取り組みとして、「イオンの移動販売」では、4月に「イオン島原店(長崎県島原市)」で取り組みを開始し、当該サービス実施店舗数は当中間期末時点で計4店舗となったほか、当社のオフィス向けキャッシュレス無人店舗「スマートNICO」については、各企業の事業所のほか大学や医療介護施設にも拡大し、当中間期末時点で計30か所になりました。また、「Uber Eats」「Wolt」を利用した商品配達サービスを当中間期において13店舗に導入し計117店舗まで拡大しました。
「決済」「ポイント」「クーポン」「お得な情報」が一つのアプリで完結できるイオングループの公式トータルアプリ「iAEON」の新規会員獲得とアプリクーポンを活用した販促施策の強化に取り組んでおり、当社店舗をお気に入り店舗に登録いただいた会員数は前期末から約13万人増加し約70万人となりました。
(収益力・生産性・経営効率向上の取り組み)
店舗面では、既存施設の資産価値を高める取り組みとして、既存店の活性化投資を推進しました。このうち、「イオンモール香椎浜」においては、当期において段階的にリニューアルを進めております。地域のお客さまがより快適に、居心地よく過ごしていただける空間を提供するべく、4月に直営売場や専門店の配置を見直し、新たな商品・売場・専門店の導入を進めたほか、6月にはショッピングセンター敷地内に新たな商業施設をオープンしました。今後さらに、11月末には新たに飲食店が出店する予定です。また、「イオン宮崎店(宮崎県宮崎市)」では、ショッピングセンター全体の大規模リニューアルにあわせて売場のゾーニングを見直し、お客さまの回遊性改善に努めたほか、衣料品売場ではネクストエイジ(若年層)、セカンドライフ(シニア層)、デイリーカジュアル、スポーツライフ、オケージョン等、年齢別・シーン別の売場構築に取り組みました。
商品面では、政府による定額減税開始に合わせてセールスを実施し消費喚起に努めたほか、猛暑への対策企画として「イオン COOL de ACTION」を実施、暑さを軽減して夏を快適に過ごせる商品の展開を拡大しました。また、エシカル消費への対応として環境配慮型商品の展開を拡大しており、環境とからだに優しい商品を集めた当社独自の新たなショップ「b!olala(ビオララ)」の展開では、当中間期において「イオンモール香椎浜」「イオン宮崎店」に新たに導入し、計4店舗となりました。日常消費に対する節約意識の高まりへの対応として、「しあわせプラス(応援価格)」ではオリジナル商品の展開や非食品部門における対象商品を拡大したほか、「トップバリュ」「WAONボーナスポイント」等の生活応援企画の取り組みを強化し、引き続きより値ごろ感を重視した訴求を強化しました。
生産性・経営効率向上の取り組みでは、生産性向上につながるセルフレジや電子棚札などのDX関連投資を積極的に実行し、当中間期末におけるセルフレジ導入店舗数は253店舗、電子棚札の導入店舗数は前期末時点に比べ88店舗増加し計226店舗となり、対象となる店舗への導入を完了しました。また、最適な値引率を提示して食品ロスを低減する「AIネビキ」や食品レジの最適人員配置を提示して勤務シフト作成人時を低減する「AIシフト」の導入などAIの活用を進めたほか、店舗オペレーション効率改善のための什器導入、電気使用量の低減のための省エネ機器導入・入替、販促施策のデジタルシフトなどに継続して取り組みました。
(地域貢献・持続可能な社会の実現に向けた取り組み)
食品廃棄物削減に関する理解と協力推進を目的として2019年に3店舗で取り組みを開始した「フードドライブ(食品の寄附活動)」は、当中間期末時点で281店舗に拡大しました。さらに多くのお客さまにご理解と周知をいただけるよう、4月に寄附による回収重量累計100トン達成記念イベントを福岡県・佐賀県・鹿児島県の3店舗で実施しました。
お買い物を通してできる社会貢献として4月に実施した「環境特別WAONボーナスポイント」の取り組みでは、対象の環境配慮型商品の販売実績に基づき、7月に4,954,135円を寄附金として宮崎県綾町に贈呈いたしました。寄附金は、綾町の森の再生のために活用される予定です。
お客さまの利便性向上とともに、ペーパーレスによりイオンの目指す「イオンでの買物体験を通じて、日々のくらしそのものが自然とサステナブルにつながる社会をつくる」一環として、6月より「電子レシート(レシートレス機能)」の提供を開始しました。利用促進キャンペーン等の実施により、開始から8月末までの電子レシート発行件数は108万件を超えており、このレシート紙削減効果をCO₂排出量に換算すると約2.7トンの削減につながっています。
九州エリアにおける流通小売業のサステナビリティ推進を目的に、九州地区の賛同する企業とともに2023年に設立した九州流通サステナビリティサロンにおける取り組みの一環として、大塚製薬株式会社と協業し、官民連携による熱中症対策としてクーリングシェルターを推進しました。
循環型社会に貢献する取り組みの一環として、2022年4月よりお取引先さまと連携して回収イベント等で不要になった衣料品の回収に取り組んでいます。今年度は一部店舗で衣料品常設回収の実証実験を行っておりましたが、9月より規模を拡大してGMS42店舗に回収ボックスを設置し、不要になった衣料品や雑貨・ホビー用品の常設回収を開始しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当中間連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ159億84百万円増加し、1,874億99百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ126億92百万円増加し、624億45百万円となりました。これは主に現金及び預金が92億43百万円増加したことによるものです。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ32億91百万円増加し、1,250億54百万円となりました。これは主に有形固定資産が39億59百万円増加したことによるものです。
(負債)
当中間連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ151億97百万円増加し、1,364億24百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末に比べ205億7百万円増加し、1,048億53百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が115億80百万円増加し、さらに1年内返済予定の長期借入金が返済期日到来に伴い、長期借入金より振り替えられたこと等により48億21百万円増加したことによるものです。
固定負債は、前連結会計年度末に比べ53億10百万円減少し、315億71百万円となりました。これは主に長期借入金が返済期日到来に伴い、1年内返済予定の長期借入金へ振り替えられたこと等により45億74百万円減少したことによるものです。
(純資産)
当中間連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ7億86百万円増加し、510億75百万円となりました。これは主に利益剰余金が7億44百万円増加したことによるものです。
(2)キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、147億44百万円となりました。なお、当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動による資金の増加は198億24百万円となりました(前年同期は100億31百万円の増加)。これは主に、当中間期末が銀行休業日であったことにより仕入債務及び預り金が増加したことによるものです。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動による資金の減少は75億7百万円となりました(前年同期は61億48百万円の減少)。これは主に、有形固定資産の取得により資金が減少したことによるものです。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動による資金の減少は30億74百万円となりました(前年同期は16億69百万円の減少)。これは主に、長期借入金の返済により資金が減少したことによるものです。
(3)資本の財源及び資金の流動性
当中間連結会計期間における資金需要は、運転資金(その主なものは商品の仕入、広告宣伝費、人件費及び設備関連費用等)及び資本的支出であり、その資金源泉は営業活動によって得られた資金と借入金により賄いました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当中間連結会計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
当中間連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。