当中間連結会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
当社は首都圏でスーパーマーケット事業を展開する㈱マルエツ、㈱カスミ及びマックスバリュ関東㈱の完全親会社たる持株会社であります。文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の状況
〔当期の経営環境〕
当中間連結会計期間の消費環境は、当社の主力である食品の物価が総じて上昇を継続するなか、家計支出は調理食品や外食を除き物価上昇を下回る水準に止まり、消費者の生活防衛意識の高まりはより一層顕著となりました。また、高齢化が進む地方ではインフレによるコストの上昇が深刻な問題となっており都市部との経済格差が拡大しているように実感されます。関東圏に店舗を展開する当社にとって、地域ごとに異なるこうした二極化に迅速に対応していくことが求められております。また、労働力確保のためには労働条件の改善や賃上げが必須となっているため、労務費や物流費の上昇が販管費全体に与える影響は大きく、これまでとは異なる次元の省力化や経営効率化が喫緊の課題となっております。
このような環境の下、当社グループは当中間連結会計期間に「マルエツ草加デリカセンター」を本格稼働させ、伸長する調理食品の品揃えの充実をはかるとともに、店舗作業の軽減化を目指し、当社グループの約500店舗への商品供給を開始しました。
また、㈱いなげやとは、2024年11月の経営統合に向けた準備を推進し、商品の共同調達、物流・プロセスセンターの整備と効率化、バックオフィス統合による業務効率化、キャッシュレスやポイントカード等の共同施策、ネットビジネスの更なる拡大など、統合効果を最大限に発揮できる体制を模索してまいりました。
〔当期の経営成績〕
当中間連結会計期間は、㈱マルエツにおける客数伸長により営業収益が前年同期比101.6%と前年を上回り、売上総利益も利益率の改善により前年同期比101.9%を確保することができましたが、物価の上昇や競争環境の激化への対応として加工食品を中心に価格訴求を強化したことから、売上総利益率は想定した水準を下回りました。一方前年同期比104.0%となった販管費は、労務費や物流費の上昇、セルフレジを含む決済機能の強化、さらには「マルエツ草加デリカセンター」への投資等を織り込みほぼ想定した水準となりました。以上のことから、営業利益は前年同期に対し減益となりました。また子会社において税制改正に伴う外形標準課税の税率変更を織り込んだため、当中間期の中間純利益の減少に影響しました。
㈱マルエツにおいては来店客数及び客単価が前年同期を上回ることで営業収益は増収となりました。また売上総利益をはじめとした数値が改善し経常利益は前年同期に対し増益を確保しましたが、最終利益は外形標準課税の税率変更の影響により前年同期に対し減益となりました。
一方、㈱カスミは、客数が回復傾向にあり、客単価も前年同期を上回ったことで営業収益は増収が図れたものの、売上総利益率が前年同期に対して0.9%悪化し、更には外形標準課税の税率変更の影響も受けたことで最終利益は前年同期に対し12億円の減益となりました。
また、マックスバリュ関東㈱は、前期末に店舗を閉鎖した影響により営業収益が前年同期比99.0%となり、さらに販管費が1.3%増加したことで、営業利益は前年同期比を下回り、最終利益は前年同期に対し2億円の減益となりました。
これらの結果、当中間連結会計期間における連結業績は、営業収益が3,583億94百万円(前年同期比1.6%増)、営業損失が6億50百万円(前年同期は営業利益18億79百万円)、経常損失が5億21百万円(前年同期は経常利益18億89百万円)、親会社株主に帰属する中間純損失が21億42百万円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純利益3億84百万円)となりました。
〔店舗数〕
当中間連結会計期間において、㈱マルエツが3店舗、㈱カスミが2店舗を新設しました。一方、経営資源の効率化を図るため、㈱マルエツが1店舗、㈱カスミが2店舗を閉鎖し、当社グループの当中間連結会計期間末の店舗数は、531店舗となりました。
〔主要子会社〕
㈱マルエツでは、おいしいデリカ商品の提供と品揃えの拡充を図るため、「マルエツ草加デリカセンター」で開発・製造したオリジナルブランド 「まいごころ」(おにぎりや巻き寿司などの米飯商品)「うまごころ」(おかず等のお惣菜商品)の品揃えを拡大するとともに、デリカ既存商品のリニューアルを実施いたしました。新規出店は、マルエツ 上井草駅前店、マルエツ プチ 浅草橋三丁目店、マルエツ 大宮サクラスクエア店の3店舗をオープンし、既存店14店舗で活性化を行いました。また、生産性向上施策としてセルフレジを累計229店舗、電子棚札を累計150店舗へ拡大いたしました。お客さまに寄り添う接客・サービスとして、オンラインデリバリーは累計48店舗、来店宅配サービスの「らくらくクマさん宅配便」は累計215店舗へそれぞれ拡大いたしました。「移動スーパー」は新たに1車両増加し、計3車両30カ所で展開しています。
㈱カスミでは、消費頻度の高い商品の店頭価格の引き下げを行い、お客様の来店頻度の向上に注力いたしました。6月には埼玉県三郷市内に、ブランデ業態として3店舗目となるBLANDE MISATO店をオープンし、店内には酒類を提供するバーカウンターの設置や対面販売加工に加えデジタルを利用した鮮魚の加工注文システムを導入するなど、新たな顧客サービスの提供を開始いたしました。また、既存店舗の大型活性化を6店舗実施いたしました。
マックスバリュ関東㈱では、「〝おいしい″〝ありがとう″があふれる買物体験を創出する」というビジョンの実現にむけ「商品変革」「デジタル変革」「店舗変革」を取り組みの柱とし、独自の提供価値を追求いたしました。「商品変革」では地域のお客さまのライフスタイルにあわせた商品・サービスの強化を行い、青果・鮮魚部門での「対面販売の強化」、こだわり商品である「MeetsValu(ミーツバリュ)」の展開拡大、新鮮な素材を店内で加工し、惣菜で提供する「生鮮惣菜の強化」を実施いたしました。また、8月には千葉県市原市と協業し2車両目となる「移動スーパー」を同市にて運行開始いたしました。
〔環境・社会貢献〕
当社グループは、脱炭素社会の実現に向け、使用する電力の再エネ化や節電の推進、冷媒フロンの自然冷媒化、低GWP化に取り組み、廃棄物の削減ではフードロス削減や環境配慮型資材の導入、更にはお客さまとの協働による資源の店頭回収に注力しております。また2024年8月には当社グループで2例目となる食品残さの「再生利用事業計画(食品リサイクル・ループ)」が、農林水産省、環境省、経済産業省の大臣認定を取得しております。
また、「統合報告書2023」を2024年5月に開示し、当社グループが重要課題として設定した各項目について、具体的なロードマップと達成水準を設定しながら目標達成に向けた取り組みを推進しています。
㈱マルエツにおいては「北陸応援フェア」を開催し、収益の一部を能登半島地震の被災地域の生活支援として寄付いたしました。
なお、当社グループでは、事業会社ごとに地域社会の課題解決に向けて、地域の特性やニーズに合わせた社会貢献活動、お客さまとともに取り組む食品支援活動や募金活動、あるいは地域行政との包括連携協定、買物困難地域への移動スーパーの運行などの活動を通じて、地域とのつながりの強化に努めております。
今後も、グループをあげて地域課題に寄り添った活動に取り組んでまいります。
〔参考情報〕
主要連結子会社では、当中間連結会計期間における㈱マルエツ単体の営業収益は1,988億50百万円(前年同期比3.2%増)、㈱カスミ単体の営業収益は1,371億56百万円(前年同期比0.2%増)、マックスバリュ関東㈱単体の営業収益は221億72百万円(前年同期比1.0%減)の結果となりました。
(資産の部)
当中間連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ134億76百万円増加し、2,989億82百万円となりました。
流動資産は、43億61百万円増加し、790億71百万円となりました。これは主に、未収入金が86億51百万円増加した一方で、現金及び預金が50億59百万円減少したことによるものであります。
固定資産は、91億15百万円増加し、2,199億10百万円となりました。これは主に、有形固定資産が100億16百万円増加した一方で、投資その他の資産が13億14百万円減少したことによるものであります。
(負債の部)
当中間連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ165億85百万円増加し、1,518億40百万円となりました。
流動負債は、121億55百万円増加し、948億12百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金93億5百万円、1年内返済予定の長期借入金22億円がそれぞれ増加した一方で、未払法人税等が20億18百万円減少したことによるものであります。
固定負債は、44億30百万円増加し、570億27百万円となりました。これは主に、長期借入金が11億50百万円増加したことによるものであります。
(純資産の部)
当中間連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ31億9百万円減少し、1,471億41百万円となりました。これは主に、利益剰余金が31億69百万円減少したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当中間連結会計期間末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ50億59百万円減少し、160億74百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前中間純損失6億65百万円、減価償却費74億30百万円、未収入金の増加94億41百万円、仕入債務の増加93億5百万円等により、64億61百万円の収入(前年同期比82億80百万円の収入の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出121億61百万円、貸付けによる支出50億円、貸付金の回収による収入50億2百万円、無形固定資産の取得による支出19億78百万円等により、138億11百万円の支出(前年同期比1億26百万円の支出の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入55億円、長期借入金の返済による支出21億50百万円、配当金の支払額10億26百万円等により、22億90百万円の収入(前年同期比53億85百万円の収入の増加)となりました。
(当社による㈱いなげやの完全子会社化に関する株式交換契約及び経営統合契約締結)
当社及び㈱いなげや(以下「いなげや」)は、2024年4月18日付の両社の取締役会決議により、当社を株式交換完全親会社、いなげやを株式交換完全子会社とする株式交換を実施することを決定し、2024年4月18日、両社間で株式交換契約を締結するとともに、当社、㈱マルエツ、㈱カスミ、マックスバリュ関東㈱、いなげや、及びイオン株式会社、は当社によるいなげやの経営統合に関する経営統合契約を締結いたしました。