当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業等のリスクはありません。また、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当第1四半期連結累計期間(2023年9月1日~2023年11月30日)においては、世界的な物価高や各国の金融引き締めに加え、不安定な国際情勢等、世界経済の減速懸念があるものの、我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響の軽減や、インバウンド需要の復調等により、景気は緩やかな回復基調で推移しました。一方、円安基調で推移していた為替相場において、2023年11月末にかけて円高傾向が見られ、引き続き為替動向を注視してまいります。
当社グループは、国内及びベトナムを中心とするアセアンにおいて、カーボンニュートラルやSociety5.0等、持続可能で豊かな社会の実現に向けて、ダイナミックにChallenge&Innovationする企業集団を目指し、長年培ってきた電気設備・電気通信設備工事の技術や経験を活かし、再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備等様々な社会インフラの構築及び保守メンテナンス、老朽化したインフラ設備の更新工事等のEPC(Engineering、Procurement、Construction)事業に取り組んでおります。また、現中期経営計画の実現に向けて、昨年から新たに立ち上げたCRE(不動産)事業を両輪とする「両利きの経営」により、事業の多角化を図るとともに、事業を通じてサステナブルな社会構築を目指しております。
a サステナブル経営を目指して
-1. 環境保全への取り組み
当社グループではサステナブル経営のもと、森林保有や使用電力の再エネ化等脱炭素や環境保全への取り組みを行ってまいりました。当社が現在保有する森林は合計31haとなり、引き続きカーボンニュートラル実現や水資源保全に向けて保有森林の拡大を進めてまいります。この内、那智勝浦の保安林(16.7ha)は、都市に立地する企業の緑地管理による地域への社会貢献として高い評価を受け、2022年9月にSEGES*1よりExcellent Stage2の認定を受けました。2023年9月には、センサーカメラを設置し、生物多様性の保全への取り組みを強化する等、引き続きネイチャーポジティブの実現に努めてまいります。
-2. 太陽光パネルのライフサイクルサポートへ
当社グループでは、太陽光発電所の建設やO&M(オペレーション&メンテナンス)に20年以上取り組んでおり、2023年2月には、太陽光パネルのライフサイクルにわたりサポートするため、J&T環境株式会社(JFEグループ及び、東京電力・中部電力のグループ会社である株式会社JERAが出資するリサイクル企業)と業務提携いたしました。今後太陽光パネルの大量廃棄が予想されており、リサイクルまでサポートすることにより循環型社会の構築に貢献してまいります。
-3. 人材育成への取り組み
建設工事の需要が高まる一方、日本国内においては人口減少が続き、電気工事を含む建設業の高度技術者の不足が大きな課題となっています。
当社グループでは、前年度に行ったJESCO AKUZAWA株式会社及びマグナ通信工業株式会社のM&Aにより、資格保有者が大幅に増加しました(1級電気工事施工管理技士105名、1級電気通信工事施工管理技士48名)。引き続き、Webを活用した自社教育システム「JESCOアカデミー」による技術者教育を幅広く活用するとともにグループ間での連携強化を図り、シナジー効果の創出に努めてまいります。
b 当期業績について
国内EPCにおいては、国土交通省による建設投資額見通しは引き続き増加傾向となっており、当社においても、今後拡大が期待される再生可能エネルギーや無線通信インフラ設備を注力分野とし、さらなる事業拡大に努めております。
再生可能エネルギー分野では、エネルギー高騰や企業の脱炭素化により需要が高まる工場の屋根やゴルフ場のカーポート等に設置する自家消費型太陽光発電設備の受注が拡大しております。
一方、再生可能エネルギー設備の増加に伴う出力制御が拡大し、系統用蓄電池*2の需要が高まっており、今後積極的に取り組んでまいります。
無線通信インフラ関連分野では、2050年を展望した国土強靭化計画に基づき、河川監視システムや防災無線システム等防災減災関連設備工事に取り組んでまいりました。さらに、総務省の「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」の2030年末5G人口カバー率99%実現に向けて、移動体通信設備工事の全国展開を行ってまいりました。
アセアンEPCにおいては、ベトナムに拠点を持つ3社を中心に事業を展開しております。注力分野であるエンジニアリング事業では、設計拠点を5拠点体制とし、設計人員も2023年8月期末の220名から20名増員し、12月末では240名となりました。さらに300名体制の早期構築に向けて増員を進めるとともに、専門教育により技術力強化やBIM*3要員拡大に取り組んでおります。
また、JESCO ASIA社では、2022年12月にベトナム政府より、国際空港の入札参加資格となる35,000V以下の電気事業ライセンスを取得し、国際空港の電気設備設計にも注力しております。これにより、ホーチミン市東部にハブ空港として建設されるロンタイン国際空港の電気設備詳細設計、ハノイ市のノイバイ国際空港第2ターミナルビル拡張工事の電気設備詳細設計を元請グループとして受注したのに続き、ロンタイン国際ハブ空港のカーゴビル電気設備詳細設計を受注いたしました。
建設部門においては、ベトナムにおける不動産開発会社の融資及び社債発行への規制強化等により、一部の工事で2022年末頃より発生した中断や延期が継続しており、引き続き注視してまいります。
このような状況のもと、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、売上高24億80百万円(前年同四半期比0.4%減)、営業利益48百万円(前年同四半期比49.4%減)、経常利益56百万円(前年同四半期比35.9%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益43百万円(前年同四半期比193.6%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。
a 国内EPC事業
注力分野である自家消費型太陽光発電設備工事及び無線通信インフラ関連設備工事が順調に推移し、また、前期にM&AいたしましたJESCO AKUZAWA株式会社及びマグナ通信工業株式会社につきましても、順調に進捗したことにより増収となりました。
一方、前期には高収益案件があったため、減益となりました。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高22億2百万円(前年同四半期比30.0%増)、セグメント利益88百万円(前年同四半期比42.6%減)となりました。
b アセアンEPC事業
エンジニアリング部門においては、DXの活用により国内設計部門との一体化のもと、現在注力している技術力強化及び技術員の増員等が新規顧客の獲得に寄与し、順調に推移いたしました。
一方、建設部門においては、ベトナムにおける規制強化等が引き続き建設業に影響を与えており、中断している工事の再開時期の遅れにつながっており、減収減益となりました。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高1億95百万円(前年同四半期比72.5%減)、セグメント損失21百万円(前年同期はセグメント利益12百万円)となりました。
c 不動産事業
両利きの経営の柱の一つとして、2022年1月に設立いたしましたJESCO CRE株式会社においては、不動産の賃貸借事業をベースに、リニューアルによるバリューアップ等幅広く事業に取り組んでおり、保有ビルの賃貸管理収入等が順調に推移したことにより、売上・セグメント利益ともほぼ前年度並みなりました。
当第1四半期連結累計期間における当セグメントの経営成績は、売上高81百万円(前年同四半期比1.2%減)、セグメント利益11百万円(前年同四半期比59.6%減)となりました。
<受注高、売上高及び繰越受注残高>
(単位:百万円)
*1 SEGES:公益財団法人都市緑化機構が、企業等によって創出された良好な緑地や取り組みを評価し、社会・
環境に貢献している、良好に維持されている緑地であることを認定する制度。
SEGES…Social and Environmental Green Evaluation System
*2 系統用蓄電池:電力ネットワーク(系統)や再生可能エネルギー発電所等に接続する大規模な蓄電池。
*3 BIM:ICTを活用し、3次元の建設デジタルモデルに建築物のデータベースを含めた建築の新しいワークフロー
を提供する設計ソフト。
BIM…Building Information Modeling
(財政状態の状況)
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、108億54百万円となり、前連結会計年度末に比べ14億7百万円の増加となりました。これは、販売用不動産が14億90百万円増加したこと等によるものであります。当第1四半期連結会計期間末における固定資産は、72億88百万円となり、前連結会計年度末に比べ30百万円の減少となりました。これは、有形固定資産が24百万円、無形固定資産が14百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における資産合計は、181億47百万円となり、13億76百万円の増加となりました。
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、69億43百万円となり、前連結会計年度末に比べ19億39百万円の増加となりました。これは短期借入金が20億37百万円増加したこと等によるものであります。当第1四半期連結会計期間末における固定負債は、48億62百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億76百万円の減少となりました。これは、長期借入金が3億67百万円減少したこと等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、118億6百万円となり、15億63百万円の増加となりました。
当第1四半期連結会計期間末における純資産合計は、63億40百万円となり、前連結会計年度末に比べ1億87百万円の減少となりました。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の33.4%から当第1四半期連結会計期間末は30.0%になりました。
(2) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。