名 称 BSインベストメント株式会社
所在地 東京都港区北青山二丁目5番1号
普通株式
3 【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】
当社は、2024年8月5日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに関して、当該時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
当社は、上記の決議に際して、本公開買付けが開始される際に、当社取締役会が本公開買付けに関して設置した特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)に対して、本特別委員会が2024年8月5日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる本特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
その後、2024年8月29日、当社は、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠商事」といいます。)から、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬に見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受け、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。そして、当社は、本特別委員会に対して、本特別委員会から2024年8月5日付で入手した答申書(以下「2024年8月5日付答申書」といいます。)の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。その後、2024年9月19日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件(下記「(2)意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に定義します。)が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。当該連絡を受け、本特別委員会は、2024年8月5日以降に本取引(下記「(2)意見の根拠及び理由」の「①本公開買付けの概要」に定義します。)に影響を及ぼしうる重要な状況変化や事象等が発生しているか否かについて事実関係の確認等]を行うとともに、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年8月5日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年9月30日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の答申書(以下「2024年9月30日付答申書」といいます。2024年8月5日付答申書及び2024年9月30日付答申書の概要並びに本特別委員会の具体的な活動内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を提出いたしました。
その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年9月30日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年9月30日現在においても、2024年8月5日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。
以上より、当社は、2024年9月30日開催の当社取締役会において、当社の取締役(取締役合計7名のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏を除く取締役4名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、2024年8月5日開催及び2024年9月30日開催の上記各取締役会における決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」に記載の方法により決議されております。
本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。
公開買付者は、繊維製品の製造・販売等の事業を行う会社及びその持株会社に対する投融資並びにこれらに付帯関連する一切の業務を目的として、2019年1月9日に伊藤忠商事の完全子会社として設立され、本書提出日現在、伊藤忠商事が、その発行済株式のすべてを保有する株式会社であるとのことです。本書提出日現在、公開買付者は株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)プライム市場に上場している当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)33,584,300株(所有割合(注1):44.44%)を所有しているとのことです。伊藤忠商事は、本書提出日現在、当社株式を所有していないとのことです。
公開買付者の完全親会社である伊藤忠商事が、2024年8月5日付「株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する公開買付けの開始予定に関するお知らせ」(以下「2024年8月5日付伊藤忠商事プレスリリース」といいます。)において公表していたとおり、公開買付者は、2024年8月5日、以下の①から⑦の前提条件(以下「本前提条件」といいます。)が充足されていること(又は公開買付者により放棄されていること)を条件に、当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化することを目的とする一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として当社株式のすべて(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得するため、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を4,350円として、本公開買付けを実施することを決定し、2024年11月上旬頃までに本公開買付けを開始することを目指していたとのことです。
① 本取引の実行に必要な競争法上のクリアランスの取得が完了(注2)していること
② 当社取締役会において、本公開買付けへの賛同の意見表明及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の決議がなされ、本公開買付けの開始時点においてもそれが変更、追加又は修正されず有効であること
③ 本取引の検討を行った本特別委員会が、当社の取締役会に対して、本公開買付けに賛同すること、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること及び本取引を行うことについて、肯定的な内容の答申を行い、本公開買付けの開始時点においても当該答申の内容が変更、追加又は修正されず有効であること
④ 本取引のいずれかが法令等に違反するものではなく、また、司法・行政機関等に対して、本取引のいずれかを制限又は禁止することを求める旨のいかなる申立て、訴訟又は手続も係属しておらず、本取引のいずれかを制限又は禁止する旨のいかなる司法・行政機関等の判断等も存在しておらず、かつ、その具体的なおそれもないこと
⑤ 当社によって公表(法第166条第4項)されていない当社の業務等に関する重要事実(法第166条第2項)が存在しないこと
⑥ 法第27条の11第1項ただし書に定める当社又はその子会社の業務又は財産に関する重要な変更その他の本公開買付けの目的の達成に重大な支障となる事情が生じていないこと
⑦ その他本取引の実行が客観的に不可能又は著しく困難となる事情が発生又は判明していないこと
(注1)「所有割合」とは、当社が2024年8月5日に公表した「2025年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社四半期決算短信」といいます。)に記載された2024年6月30日現在の発行済株式総数(76,924,176株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,388,839株)を控除し、当社が2024年6月13日に公表した「譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ」に記載の2024年7月12日付で処分された自己株式数(31,700株)を加えた株式数(75,567,037株)に占める割合(小数点以下第三位を四捨五入。所有割合の記載について以下同じとします。)をいいます。以下同じとします。
(注2)日本及び中国における競争法上の届出に係る承認又は待機期間の満了をいうとのことです。
今般、公開買付者は、日本及び中国における競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことを受けて、2024年9月30日、本前提条件がいずれも充足されていることを確認し、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを決定したとのことです。なお、2024年8月5日付伊藤忠商事プレスリリースに記載された本公開買付けの内容及び条件からの変更はないとのことです。
公開買付者は、本公開買付けにおいて当社の株主を公開買付者のみとすることを目的としているため、買付予定数の下限を16,793,700株(所有割合:22.22%)としており、本公開買付けに応じて応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の数の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。他方、公開買付者は、本公開買付けにおいては、当社株式のすべて(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することを企図しているので、買付予定数の上限は設けておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(16,793,700株)以上の場合は、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。
なお、買付予定数の下限(16,793,700株)は、本公開買付けが成立した場合に公開買付者が所有することとなる当社の議決権数の合計が当社の議決権総数の3分の2以上となるように、当社四半期決算短信に記載された2024年6月30日現在の発行済株式総数(76,924,176株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(1,388,839株)を控除し、当社が2024年6月13日に公表した「譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分に関するお知らせ」に記載の2024年7月12日付で処分された自己株式数(31,700株)を加えた株式数(75,567,037株)に係る議決権の数(755,670個)に3分の2を乗じた数(503,780個)から、公開買付者が所有する当社株式(33,584,300株)に係る議決権の数(335,843個)を控除した議決権の数(167,937個)に、当社の単元株式数である100株を乗じた数であるとのことです。このような買付予定数の下限を設定した理由は、本取引は当社の株主を公開買付者のみとし、当社株式を非公開化することを目的としているところ、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより、当社株式のすべて(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できずに、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載する株式併合の手続を行う場合には、会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じとします。)第309条第2項に規定する株主総会における特別決議が要件とされていることから、当該手続が確実に実行可能となるよう、本公開買付け後に公開買付者が特別決議に必要となる当社の総株主の議決権の数の3分の2以上を所有することになるようにするためであるとのことです。
公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、本公開買付けにより当社株式のすべて(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)の実施を予定しているとのことです。(下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」をご参照ください。)
なお、当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、下記「(4)上場廃止となる見込み及びその事由」に記載のとおり、本公開買付けの結果次第では、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があり、また、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の各手続を実施することになった場合には、所定の手続を経て上場廃止となります。
公開買付者の親会社である伊藤忠商事は、1950年7月に旧株式会社大阪証券取引所及び東京証券取引所に株式を上場しているとのことです。伊藤忠商事は、伊藤忠グループ(伊藤忠商事並びに当社を含むその子会社189社及び関連会社75社(2024年6月30日現在)から成る企業グループ。以下同じとします。)を構成しており、国内外のネットワークを通じて、繊維カンパニー、機械カンパニー、金属カンパニー、エネルギー・化学品カンパニー、食料カンパニー、住生活カンパニー、情報・金融カンパニー、第8カンパニー(注1)(注2)が人々の暮らしを支える様々な商品やサービスを提供するため、原材料等の川上から川下のコンシューマービジネスまでを包括的に事業領域とし、多角的なビジネスを展開しているとのことです。
その中でも、繊維カンパニーは、「ファッションアパレル部門」及び「ブランドマーケティング部門」により構成され、繊維原料から最終製品、ファッションから産業用・工業用繊維資材、インテリア製品に至る様々な分野で事業を展開し、伊藤忠商事の企業価値向上にも寄与しているとのことです。
(注1)「カンパニー」とは、伊藤忠商事内にある事業部門を、独立性を高めた1つの会社とみなした組織であるとのことです。それぞれのカンパニーに経営資源と権限を委譲することで、カンパニーが責任をもって迅速かつ柔軟な経営を行い、それぞれの分野のニーズに対応した事業を展開しているとのことです。
(注2)「第8カンパニー」とは、他7カンパニーと協働し、特に生活消費分野に強みを持つ伊藤忠商事の様々なビジネス基盤を最大限活用しながら、異業種融合・カンパニー横断の取組を加速させ、市場や消費者ニーズに対応した「マーケットインの発想」による新たなビジネスの創出・客先開拓を行う組織であるとのことです。
一方、当社は、2024年6月30日現在、当社、連結子会社11社及び関連会社7社から成る企業グループ(但し、公開買付者及び伊藤忠商事(以下「公開買付者ら」といいます。)を除きます。)を構成しており、当社グループは、主にスポーツウェア及びその関連商品の製造・販売に関する事業活動を行っております。当社は、「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」を企業理念とし、一人一人のいきいきとしたライフスタイルの創造に貢献すべく、コーポレートブランドでもある『デサント』のほか、『ルコックスポルティフ』、『アリーナ』及び『マンシングウェア』等、多角的なブランド展開により、様々な競技シーンに根ざした商品開発を進め、スポーツ本来の「体を動かす楽しさ」、「競い合う楽しさ」を提供してまいりました。
当社は、1935年に創業し、1957年より『デサント』ブランドの展開を開始、1958年2月に、スポーツウェアの製造販売を主たる目的として株式会社石本商店へ改組いたしました。その後、1961年には『デサント』ブランドの商標登録が実現し、同年9月、株式会社デサントに社名を変更いたしました。1980年3月の証券会員制法人東京証券取引所市場第一部への株式上場後、当社は、1994年12月に、中国現地法人のBEIJING DESCENTE CO.,LTD.を、2000年11月に韓国現地法人の韓国デサント株式会社(現DESCENTE KOREA LTD.)を設立し、以降2010年代にかけて、両国における製造販売・研究開発拠点の展開を推進いたしました。それと並行して、2017年4月に、日本事業の再構築と強化を目的として、当社の日本事業を会社分割の方法により、当社の完全子会社であるデサントジャパン株式会社へ承継、2022年4月には当社の海外物販事業も同社へ譲渡したことで、当社は純粋持株会社体制へ移行し、現在に至っております。併せて、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、当社株式の上場市場は、市場第一部からプライム市場へ移行いたしました。
当社は、2021年5月に策定した中期経営計画“D-Summit 2023”において、「日本・韓国・中国地域別戦略の実行」「日本事業の収益改善」「モノづくりの強化」の各戦略を推し進め、日本・韓国・中国で収益力を高めた結果、連結経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益は2年連続で過去最高益を更新しました。
そして、更なる収益拡大及び企業価値の向上に向け、当社は、2024年5月13日に、新たな中期経営計画“D-Summit 2026”(以下「当社中期経営計画」といいます。)を策定・公表いたしました。
当社中期経営計画においては、日本・韓国・中国でのエリア別戦略を含む「成長のための投資」及び事業基盤構築等の「基盤の強化のための投資」を基本戦略とし、積極的な投資により当社グループとして、持続的な成長を目指しております。当社中期経営計画の戦略骨子は以下のとおりです。
I. 成長戦略
1. 日・韓・中エリア別戦略 ~ブランディングの推進~
日本では、DTC(注3)事業の拡大を『デサント』に集中して推進し、同ブランドのDTC比率を80%にすることを目指します。韓国では、成功している『デサント』『アンブロ』の更なるブランド価値向上・認知拡大に向けた旗艦店の出店及び『ルコックスポルティフ』『マンシングウェア』の商品企画・マーケティングの見直しによるリブランディングに取組みます。中国では、成長を続ける『デサント』のほか、『ルコックスポルティフ』『アリーナ』『マンシングウェア』を加えた4ブランドでの規模拡大を目指します。
(注3)DTC(Direct to Consumer)とは、自社で企画・製造した商品を、小売業者や卸売業者等を介さずに、自社の直営店や自社ECを通じて直接消費者に販売することをいいます。
2. モノづくり力の強化
当社グループの強みであり競争力の源泉であるアパレル開発を更に磨き上げるほか、アパレル開発で培ったノウハウをシューズ・アクセサリーへも展開し、アパレルのイメージにリンクしたトータルコーディネートの提案に取組みます。
3. 新規事業の立ち上げ
グループとしての更なる成長に向けて、新ブランド『コウノエ』によるウェルネス事業への取組のほか、スポーツを遊ぶヒト・モノ・場所の情報を提供するサービス事業参画を目指します。
II. 基盤強化
1. 人的資本の拡充
当社グループの成長に必要な人材の根幹となる要件として2024年4月に「人材戦略スローガン」を新たに設定しました。今後、日本では女性管理職比率やエンゲージメントスコア等を指標とした専門性の高い人材育成と人員の最適配置を行い、人的資本の向上に取組みます。
2. デジタル経営基盤の確立
現在のデジタルニーズに対応したデジタル経営基盤を確立すべく、日本事業及び韓国事業においてERP(注4)の刷新等、DX(注5)推進を図ります。
(注4)「ERP(Enterprise Resource Planning)」とは、企業の持つ経営資源を一元管理し、業務を効率化するためのシステムをいいます。
(注5)「DX(Digital Transformation)」とは、デジタル技術によって、ビジネスモデルや組織を変革することをいいます。
3. サステナビリティ経営の実践
上記の成長戦略を環境負荷軽減にも取組みながら進めます。「長く使えるモノづくり」の推進、GHG(注6)の排出抑制、またマルチステークホルダーとの共生等、持続可能な成長を実践します。
(注6)「GHG(Greenhouse Gas)」とは、地球温暖化をもたらす原因物質である温室効果ガスをいいます。
伊藤忠商事は、1971年に当社に資本参加して以降、1980年代に筆頭株主、2000年5月には当社株式8,768,000株(2000年3月末の総株主の議決権の数に対する割合にして11.55%(小数点以下第三位を四捨五入。比率の計算について以下同じとします。))を所有するに至って当社の主要株主となる等、資本関係を強化することで、当社とのパートナーシップを深めてきたとのことです。その後、伊藤忠商事は、2008年1月31日の取締役会において、当社と伊藤忠商事の更なる発展に向けて、業務及び資本関係を強化していくことについて決議し、市場内外で当社株式を取得した結果、伊藤忠商事が所有する当社株式は、2008年1月31日現在の11,787,000株(2007年9月末の総株主の議決権の数に対する割合にして15.74%)から2008年5月には14,987,000株(2008年3月末の総株主の議決権の数に対する割合にして20.01%)となり、当社は伊藤忠商事の持分法適用関連会社となりました。
また、伊藤忠商事は、2009年11月にかけて市場内外で当社株式2,750,000株を取得し、その後、海外戦略の推進、物流・生産のバックアップ等様々な戦略的取組を推進し、更なる強固なパートナーシップを構築することを目的として、2009年12月には市場外で当社株式1,168,000株を取得する等、当社株式を買い増したとのことであり、2010年3月末時点で伊藤忠商事が所有する当社株式は、19,235,000株(2010年3月末の総株主の議決権の数に対する割合にして25.67%)となりました。
その後、伊藤忠商事は、2018年7月から同年10月にかけて当社株式の買い増しを行ったとのことです。具体的には、2018年7月に市場外での相対取得により769,300株を取得して20,004,300株(2018年3月末の総株主の議決権の数に対する割合にして26.56%)、2018年8月に市場外での相対取得により1,300,000株を取得して21,304,300株(2018年3月末の総株主の議決権の数に対する割合にして28.28%)、2018年10月に市場内での買付け及び市場外での相対取得により1,650,000株を取得して22,954,300株(2018年9月末の総株主の議決権の数に対する割合にして30.46%)を各時点においてそれぞれ所有するに至りました。
更にその後、伊藤忠商事は、公開買付期間を2019年1月31日から2019年3月14日として、当社の企業価値向上のため、伊藤忠グループと当社との資本関係の強化、当社の経営体制見直し及び健全なコーポレートガバナンス再構築を通じた、当社の成長戦略及び施策について伊藤忠グループと当社とが建設的な協議を行える協力関係を構築することを目的に、伊藤忠商事の完全子会社であるBSインベストメントを通じて当社株式の公開買付け(以下「前回公開買付け」といいます。)を実施いたしました。前回公開買付けの詳細については2019年1月31日付で公開買付者らが公表した「株式会社デサント株式(証券コード:8114)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」をご参照ください。
前回公開買付けの成立により、BSインベストメントは2019年3月22日に当社株式7,210,000株を取得し、伊藤忠商事及びBSインベストメントが所有する当社株式の合計は30,164,300株(2018年9月末の総株主の議決権の数に対する割合にして40.02%)となりました。2019年6月には、当社定時株主総会にて当社の株主の皆様のご賛同を得て、経営体制を見直しました。その後、伊藤忠商事は、伊藤忠商事出身者であり代表取締役社長に就任した小関秀一氏をはじめとする新経営体制の下で当社と事業方針を検討し、実態として営業赤字状態に近い状態にあると推定・分析していた日本事業については業務プロセスの整備・改善による立て直し・黒字化を進め、韓国事業への過度な依存から脱却させるとともに、中国事業についても伊藤忠商事がリードし、事業パートナーである安踏体育用品有限公司及びその子会社である安迪体育用品有限公司(以下これらを総称して「ANTAグループ」といいます。)と協調しながら業界内でも類稀なる大きな成長を実現させてきたと考えており、このように各事業展開地域において当社の企業価値向上の支援を進めてきたとのことです。なお、2020年3月には、伊藤忠商事が所有する当社株式22,954,300株のすべてについて、BSインベストメントが市場外での相対取引により取得し、BSインベストメントは当社株式30,164,300株を所有するに至りました。その後、BSインベストメントは、2023年5月から同年11月にかけて当社株式を市場内での買付けにより取得することで、本書提出日現在、当社株式33,584,300株(所有割合44.44%)を所有するに至っております。
伊藤忠商事は、前回公開買付け以降、当社グループにおける伊藤忠グループ出身者数を増やしたほか、伊藤忠グループの従業員の当社グループへの出向者数を増やすことで、経営・現場両面において相互理解を深め、当社と建設的な協議を行える協力関係を築き、当社の株主、社員、取引先等すべてのステークホルダーの皆様の利益のために尽力してきたとのことです。なお、本書提出日現在、伊藤忠グループ出身者8名が当社グループに在籍するほか、伊藤忠グループより14名が当社グループに出向しております。
伊藤忠商事によれば、前回公開買付け後から現在に至るまで、当社からの伊藤忠グループに対する人材派遣要請はもはや常態化しつつあるとのことです。伊藤忠商事としては、当社の更なる成長・発展のためには、伊藤忠グループからの追加的な人材補強及び資金提供、オペレーション及びデジタル関連ノウハウ等の共有も含めて当社グループと伊藤忠グループの各社の連携を深めることが必要とは認識しているものの、伊藤忠商事と当社がそれぞれ独立した上場企業として存在し、また現状の当社の資本構成上、当社が創出する価値・利益の半分以上が伊藤忠商事以外の株主に帰属する状況下において、伊藤忠商事株主の観点からは当社グループへの投資に伴うコスト・リターンのバランスが取れていないとも捉えられる可能性もあり、当社グループの企業価値の最大化を図る機動的かつ効果的な施策を実行するためには一定の限界があると考えているとのことです。
また、上記の価値・利益流出だけに留まらず、伊藤忠商事としては、当社が伊藤忠商事の持分法適用関連会社でありながら上場を維持する現状は、当社の一般株主と伊藤忠商事の間で利益相反が生じるリスク等の構造的な課題を有しており、伊藤忠商事と当社との間の取引や情報共有等において、極めて慎重に対応しているところ、新型コロナウイルス感染症の流行以前からの売上高成長率や売上高利益率の観点から分析するに、当社は、当社の競合企業が成長するスピード感での市場への対応ができていない状況にあると考えているとのことです。
伊藤忠商事は、衣料品等の日本における市場規模は横ばいに近い状態が続いており、今後は日本の人口減少に伴い市場規模が縮小する可能性も高いと考えているとのことです。一方で、グローバルアパレル市場規模は今後も拡大すると見込んでいるとのことですが、グローバル化の更なる進展により、特に当社が主要市場とするスポーツ業界におけるブランド/アパレル企業による国をまたいだ市場獲得競争はより熾烈になる可能性が高いと考えているとのことです。
また、デジタル社会の到来やSX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)(注7)に向けた取組への社会的要請への対応の重要性も益々高まりつつあり、グローバル競争下での生き残りをかけてこれまでに無い柔軟な対応が求められている状況となっており、かかる要請への対応は一過性・短期的なものに留まらず中長期の視点で取組む必要があり、特にSXについてはブランドとしての価値観・取組姿勢及びその取組が生み出す価値が市場に浸透するまでは一定の期間を要すると考えているとのことです。
伊藤忠商事としては、当社が、当社の社員による優れた企画・開発力や、高いブランド力を有していると認識しており、前回公開買付け時においては、伊藤忠商事は、このような当社の強みを十分に発揮できることを総合的に考慮の上、当社の独自性を維持する観点から、引き続き当社株式の上場を維持する方針としていたとのことです。しかしながら、伊藤忠商事は、前回公開買付け以降、当社との相互理解を深めて協力関係を強化する過程で、当社グループの日本事業・韓国事業・中国事業に関して、ブランディング・ものづくりの観点を中心に組織間・地域間での相互的な情報共有や協力関係を深めさせる等、グローバルかつ有機的に連携させ、地域間のシナジーを発揮していけば、当社グループの「モノづくりへのこだわり」が生み出す価値観・商品を日本・韓国・中国、また左記以外の地域においてもより広めていくことができるとの考えに至ったとのことです。また、伊藤忠商事としては、当社において中国事業は近年存在感を急速に高めつつあると認識しているところ、中国市場の景気の先行きに不透明感ありと見る向きもあるとのことであり、不測の事態の際には伊藤忠商事と当社による機動的かつ一体的な対応が不可欠であり、両社が密な連携を行い入念な準備を行う必要があるとも考えているとのことです。
(注7)「SX(サステナビリティ・トランスフォーメーション)」とは、社会の持続可能性に資する長期的な価値提供を行うことを通じて、企業の長期的かつ持続的な成長原資を生み出す力の向上と更なる価値創出へと繋げていくため、経営や事業を変革させることを指すとのことです。
伊藤忠商事は、上記の状況に対する取組・施策を迅速かつ柔軟に実行するためには、公開買付者が当社株式を非公開化することで、上記のとおり現状の当社との資本関係では限定的となっている伊藤忠商事による当社の経営への関与を高め、また一般株主からの短期的な収益向上の要請を排した状況下において、当社グループと伊藤忠グループとの連携を更に強化していくことが必要であり、また、当社の持続的な企業価値向上にとって最適な選択であると考えたとのことです。非公開化後は、当社の株主は公開買付者のみとなるため、これまでは当社の一般株主と伊藤忠商事の間で利益相反が生じるリスク等の観点から迅速に実施することが容易ではなかった、デジタル経営基盤の確立やSXの推進等の中長期的な利益のための投資や、当社における利益増加の一部が当社の一般株主に帰属することから実施することが容易ではなかった伊藤忠グループからの資金提供、オペレーション及びデジタル関連ノウハウ等の共有並びに更なる人材派遣等を含む、当社グループと伊藤忠グループの各社の連携に関する施策を積極的に実施することが可能になると考えているとのことです。
以上のとおり、各国単位を超えた連携・シナジーの追求及び不測の事態・不確実性への迅速な対応の観点から、伊藤忠商事は、当社を伊藤忠商事の完全子会社とすることが両社の企業価値向上に資するとの結論に至ったとのことです。
具体的には、伊藤忠商事は、本取引により伊藤忠グループや当社グループに不利益や悪影響が生じることは想定されない一方で、本取引により当社を伊藤忠商事の完全子会社とし、伊藤忠商事の機能を最大限活用することで、以下のような取組やシナジー効果を期待できると考えているとのことです。
(i)伊藤忠商事が強みとするブランド・衣料品生産オペレーションノウハウを活用したブランド運営・生産連携強化
伊藤忠商事は、総合商社の中でも特に非資源事業に強みを有していると認識しており、特に繊維カンパニーにおいては、繊維原料からアパレル、ブランド、アクセサリー、コスメ、繊維資材まで、幅広く繊維関連の事業を展開しているとのことです。また、伊藤忠商事は、スポーツ・カジュアル、メンズ・レディース、ハイエンド・プライスコンシャス等シーンを選ばず多岐にわたるブランドの運営経験・ノウハウを有するほか日本では衣料品の大部分が輸入により供給されると認識しているところ、スポーツカテゴリーにおいては特に重要となる日本国外における衣料品生産及び日本国内外における素材開発において高いオペレーション能力を有すると認識しているとのことです。伊藤忠商事として、当社は、日本・韓国・中国を中心に高機能かつ高品質でデザイン性に優れたスポーツアイテムを提供していると認識しており、その「モノづくりへのこだわり」は日本・韓国・中国いずれのエリアにおいても浸透し、優れた価値・商品を世の中に送り出していると認識しているとのことです。
一方で、伊藤忠商事として、当社は、韓国・中国のこれまでの事業成長経緯もあって各国のローカル色が依然強い傾向で、事業展開地域間でのブランドマーケティング方針、商品企画開発・生産情報、売れ筋を含む販売情報や顧客動向の共有が十分かつタイムリーには行われていない状況にあり、本国である日本によるブランド発信及び商品企画開発・生産体制の連携に改善の余地があると考えているとのことです。特に、商品企画開発・生産体制については、各地域間で十分に連携できていない結果、商品の発売時期や顧客嗜好・品質基準等の観点で、共通化・効率化の余地があると考えているとのことです。また、逆に企画開発スケジュールの各地域間の不整合から不十分な情報に基づき発注の意思決定をしなければならず、本来取る必要の無いリスクを取る事態も発生していると認識しているとのことです。
当社の日本・韓国・中国のローカルに根差した活動の良さは引き続き活かしながらも、上記のように当社との資本関係が限定的である現状においては実施が困難である、デジタル経営基盤の確立やSXの推進等の中長期的な利益のための投資、伊藤忠グループからの資金提供、オペレーション及びデジタル関連ノウハウ等の共有並びに更なる人材派遣等を含む、当社グループと伊藤忠グループの各社の連携に関する施策も含めて伊藤忠商事が有するオペレーションノウハウを注ぎ込み、当社において、特にブランド本国としての日本のブランド運営能力を強化するとともに、ブランドマーケティング・商品企画開発・生産・販売の各段階における当社の事業展開地域間連携の高度化を図ることで、シナジーを創出するとのことです。
(ii)海外事業の強化・拡大
伊藤忠商事として、当社は、2013年3月期~2016年3月期を中心としたDESCENTE KOREA LTD.の韓国における急成長、及び2016年7月に設立したDESCENTE CHINA HOLDING LTD.(以下「DCH」といいます。)の急成長を経て、日本のいちスポーツブランドから東アジアで存在感を発揮できるスポーツブランドへ成長してきたと認識しているとのことですが、一方で、各事業展開地域において成長できる余地が限定的となっている面もあると認識しているとのことです。伊藤忠商事は総合商社として、世界61ヶ国における約90拠点でのグローバルネットワークとトレードや資本・業務提携を通じて培ってきたビジネス経験を有しており、特に繊維カンパニーにおいては、当社にとって有益となるような、欧米の著名ブランドや中国の大手企業集団との強いコネクションを有していると認識しているとのことですが、伊藤忠商事が当社に対してこれらのグローバルなビジネス経験及びコネクションの共有をはじめとする経営資源を投下するにあたっては、当社における利益増加の一部が当社の一般株主に帰属することに伴う一定の制約が存在しているとのことです。本取引による当社株式の非公開化後は、伊藤忠商事の有するグローバルなビジネス経験及びコネクションの当社における更なる活用を可能とする等、伊藤忠商事の有する経営資源をより積極的に投下することで、事業展開地域間での連携を強化するだけでなく、下記のとおり、各事業展開地域における特性を踏まえ、当社の更なる成長に貢献するための柔軟かつ機動的な施策を実施するとのことです。
(a)韓国
韓国においては、現状、伊藤忠商事出身者及び出向者がリードする形で事業支援・組織体制の整備を行ってきたものの、韓国事業の経営が伊藤忠商事出身者・出向者によってなされているにもかかわらず、上場会社同士の適切な距離感を確保する観点から、伊藤忠商事としては十分な経営情報へのアクセスが確保できず、結果として、伊藤忠商事も経営状況に応じた機動的な支援ができない状況にあるとのことです。本取引後は、当社が伊藤忠商事の完全子会社となることで、伊藤忠商事出身者・出向者による個人レベルの支援のみならず、伊藤忠商事が有する海外子会社ガバナンスのノウハウを注ぎ込みDESCENTE KOREA LTD.及びその子会社の管理・報告体制を整備し、同時に当社人員の海外子会社経営管理能力の底上げを図ることにより、当面は伊藤忠商事出身者及び出向者がリードするものの、中長期的には当社が組織として安定的に日本本社からグリップできる体制に発展させ、当社が当社中期経営計画で掲げるリブランディングや上記各事業展開地域の連携を着実に実行できるようにするとのことです。
(b)中国
中国においては、DCHが躍進しており、中国の売上高が日本・韓国を上回るようになっていることを踏まえ、事業パートナーであるANTAグループとの良好かつ良い緊張感のある関係性を持続・発展させるとのことです。
(c)欧米・その他
当社は前回公開買付け以降、経営資源が不足していたことから日本・韓国・中国に集中する方針を掲げており、2020年3月期にディストリビューションビジネスを除き、欧米事業から撤退しました。一方、当社中期経営計画においては、日本・韓国・中国+αの方針を打ち出しているところ、本取引後、伊藤忠商事は、伊藤忠商事の海外店・ディストリビューションネットワークを活用することにより、当社の欧米・その他地域への再進出の動きを加速するとのことです。特に欧州においては国々や事業パートナーの出自によって商慣習が異なる場合もあり、各国の商慣習に精通した人材が当社の進出を支援するとのことです。また一般的に、日本発ブランドが欧米市場で浸透し、事業が相応の規模に成長し収益化するまでには現地小売業者との信頼関係の構築やブランド投資に相当程度の時間及び資金を要するものの、特にスポーツビジネス・スポーツマーケティングの領域では欧米市場が先行している部分も多く、定性的にも欧米でのブランド露出を高めることによりグローバルでのブランド価値向上が期待できることから、当社株式の非公開化により一般株主からの短期的な収益向上の要請を排した状況下において、腰を据えて中長期的な視点で取組む方針とのことです。
(iii)伊藤忠グループの総合力を活用した新たな商流・顧客体験・ビジネスの創出
伊藤忠グループは、各カンパニーの独立性を高めることで事業分野別に迅速かつ柔軟な経営を行う一方で、企業グループ全体のネットワークやビジネス基盤を最大限活用することで、統合的な視点に立ったビジネス運営を行っているとのことです。上記のとおり、一般株主が存在する現状の当社との関係性においては、伊藤忠グループの総合力を活用することが当社として限定的にならざるを得ないところ、本取引を通じて伊藤忠商事の機能を最大限活用できる状態を実現することで、以下のような新たな商流・顧客体験・ビジネスの創出を加速させることができると考えているとのことです。
(a)伊藤忠グループが保有する環境配慮型素材に関わるバリューチェーン(注8)を活用し、当社の競争力を高めるとのことです。サステナブル素材の更なる活用を行い、中長期的視野に立った環境配慮型ビジネスモデルを構築、持続可能な商品開発を行い、地球環境に配慮したビジネスを推進するとのことです。伊藤忠商事は、商業化までの難易度が極めて高いと考えているポリエステルケミカルリサイクル技術の技術ライセンスをパートナーと共同で有するほか、かかる技術を活用した繊維原料を生地にする豊富な開発実績及び中国・東南アジアを中心とした日本国内外の生産基盤・販売実績を有しているとのことです。他にも、日本国内外での繊維製品の回収サービスを支える静脈物流の整備や家庭や企業から排出される使用済みプラスチックのガス化処理技術の普及、欧州企業と提携したナイロン・セルロース繊維の先端技術開発等に豊富な知見を有しているとのことです。当社は、伊藤忠商事が有するサプライチェーンを活用し環境配慮型ビジネスを推進できるとともに、当該分野では先行する欧米の先端技術情報へのアクセスも拡大可能となるとのことです。
(注8)「バリューチェーン」とは、企業における各事業活動がどのような付加価値を生み出すかに着目し、単純に合計した価値ではなく複雑に絡み合い連鎖した価値のことを指すとのことです。
(b)伊藤忠グループが保有するシューズに関わるバリューチェーンを活用し、当社の競争力を高めるとのことです。企画・開発・サプライチェーンマネジメント・販売に関わるノウハウを投入し、当社における商品開発力の強化と展開アイテムの拡充を推進するとのことです。伊藤忠グループは、シューズ企画開発・販売に長年の実績を有するほか、日本・海外の大手シューズブランド各社への販売や、東南アジアを中心とした生産工場からの仕入を通じて有数の取引実績を有しており、顧客層やニーズに合わせて様々なブランドを通じて販売を行っているとのことです。当社は、伊藤忠商事が有するサプライチェーンを活用し、豊富な工場にアクセスできるようになるほか、特に日本においてはVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)(注9)に関する伊藤忠商事のノウハウを活用し、より消費者に商品価値を強く認識いただくことで、顧客体験及び販売力を向上させ、また、販売を通して捕捉する消費者ニーズを当社が保有するスポーツシューズの研究開発拠点「DISC(DESCENTE INNOVATION STUDIO COMPLEX) BUSAN」(デサントイノヴェーションスタジオコンプレックスプサン)でのシューズの研究開発に活かし、研究開発から販売に至る好循環を創出、現状アパレル偏重となっている収益を多様化することが可能となるとのことです。
(注9)「VMD(ビジュアルマーチャンダイジング)」とは、店舗において顧客の視覚に訴えかける売り場づくりをすることを指すとのことです。
(c)伊藤忠商事は「ビジネス課題・消費者接点を起点としたDX(デジタル・トランスフォーメーション)」を基本として、デジタルバリューチェーンの拡充、優れたテクノロジーやノウハウ、データの蓄積を進めているとのことです。当社は、企業理念である「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」の下、スポーツ本来の「体を動かす楽しさ」や「競い合う楽しさ」を提供する活動を通して、一人一人のいきいきとしたライフスタイルの創造に貢献しております。伊藤忠商事としては、今後、当社が強みを持つ衣料品販売という枠組を超えて、デジタルツールの開発・提供や体験型イベント運営等スポーツ全般を切り口とした良質な顧客体験として提供することで、当社が保有するブランドの価値を高めるとともに、新たな収益の創出に取組むとのことです。
なお、伊藤忠商事によれば、本取引が成立した場合、当社株式の上場が廃止されることとなりますが、上場廃止に伴うデメリットとして、一般的には、資本市場から資金調達を行うことができなくなることや、取引先を含む外部からの社会的信用の獲得、知名度の維持といった上場会社であることによるメリットを享受できなくなることが挙げられるとのことです。しかしながら、伊藤忠商事として、資金調達においては、伊藤忠グループの潤沢なキャッシュ(現金及び現金同等物600,435百万円(2024年3月末、連結))を活用できることから、資金調達に関する影響はないと考えているとのことです。また、当社と取引先の信頼関係は既に一定程度構築されており、上場廃止を理由に既存の取引関係が大きく剥落することはないと考えられること、当社においてこれまでの事業運営により積み重ねられてきた社会的信用や知名度は、上場廃止により直ちに失われるものではなく、むしろ当社が伊藤忠商事の完全子会社となることで国内・海外ともに維持・向上することが期待されることから、伊藤忠商事としては、本取引後も、かかるデメリットによる影響は僅少であり、上記の当社の企業価値向上が見込まれるメリットを上回らないものと考えているとのことです。
伊藤忠商事は、上記の背景、目的、期待するシナジー効果を念頭に、2024年2月に、当社及び伊藤忠商事のより一層の企業価値向上を実現するために、当社株式の非公開化によって、当社と伊藤忠商事の利害をこれまで以上に高い水準で一致させ、経営資源を迅速かつ柔軟に相互活用できる体制を整えることが最善であるとの結論に至り、当社株式の非公開化に関する初期的な検討を開始したとのことです。
2024年2月下旬、伊藤忠商事は、公開買付者ら及び当社から独立した公開買付者のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として野村證券株式会社(以下「野村證券」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとして長島・大野・常松法律事務所を選任し、当社株式の非公開化に係る協議・交渉を行う体制を構築したとのことです。そして、2024年3月5日には、伊藤忠商事から当社に対し、当社株式の非公開化に関する検討を開始した旨を書面で通知したとのことです。
その後、伊藤忠商事は、2024年4月下旬から同年7月中旬まで、本取引の実現可能性の精査を目的として当社に対するデュー・ディリジェンスを実施するとともに、並行して、当社の事業、財務及び将来計画に関する多面的かつ総合的な分析を基に、当社及び本特別委員会との間で、本取引の意義・目的や、本取引によって創出が見込まれるシナジー効果、本取引後の経営体制・事業方針、業界の見通しについて複数回にわたり協議を実施したとのことです。具体的には、伊藤忠商事は、2024年4月19日に、当社及び本特別委員会より上記2024年3月5日付通知に記載の本取引の意義・目的に関して書面による質問を受領し、2024年5月10日に、当該質問に対して書面による回答を行ったとのことです。更に、伊藤忠商事は、2024年5月17日に、当社及び本特別委員会より、主に本取引後の当社の将来像に関する追加の質問を書面により受領したため、2024年5月27日開催の本特別委員会において、当社及び本特別委員会に対して、当該追加質問に対する回答を行うとともに、伊藤忠商事が考える本取引の意義・目的に関する説明を改めて行い、当社及び本特別委員会との間でこれらに対する質疑応答を行ったとのことです。更に、伊藤忠商事は、当社及び本特別委員会より、本取引の意義・目的と伊藤忠グループ全体としての事業戦略との相関関係について更なる理解を深めることを目的として、上記2024年5月27日開催の本特別委員会における伊藤忠商事による本取引の意義・目的の説明及び質疑応答を踏まえた、主に本取引後の当社の将来像に関する追加の質問を受領したため、2024年7月12日開催の本特別委員会において、当該追加質問に対する回答を行うとともに、改めて伊藤忠商事が考える本取引の意義・目的に関する説明を行い、当社及び本特別委員会との間でこれらに対する質疑応答を行ったとのことです。
また、伊藤忠商事は、2024年6月17日以降、当社との間で、本公開買付価格に関して複数回にわたる交渉を重ねてきたとのことです。具体的には、伊藤忠商事は、伊藤忠商事が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスにより得られた情報、当該情報を前提として公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券が実施した初期的な当社株式価値分析及び当該情報を前提として伊藤忠商事で実施した初期的な当社株式価値分析内容を総合的に勘案し、2024年6月17日、本公開買付価格を3,600円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,360円に対して7.14%のプレミアム(小数点以下第三位を四捨五入。プレミアムの数値(%)について以下同じとします。)、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,401円(小数点以下を四捨五入。終値の単純平均値の計算について以下同じとします。)に対して5.85%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,425円に対して5.11%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,472円に対して3.69%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第1回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月19日、伊藤忠商事は当社より、第1回目提案書における本公開買付価格(3,600円)は、当社株式価値に関する当社の第三者算定機関及び本特別委員会の第三者算定機関による初期的な分析を考慮すると、当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、同月27日、伊藤忠商事は当社に対し、本公開買付価格を3,800円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,420円に対して11.11%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,390円に対して12.09%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,409円に対して11.47%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,451円に対して10.11%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第2回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月28日、伊藤忠商事は当社より、第2回目提案書における本公開買付価格(3,800円)は、当社株式価値に関する当社の第三者算定機関及び本特別委員会の第三者算定機関による初期的な分析を改めて考慮しても、当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、2024年7月2日、伊藤忠商事は当社に対し、本公開買付価格を3,900円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,330円に対して17.12%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,404円に対して14.57%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,406円に対して14.50%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,442円に対して13.31%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第3回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月9日、伊藤忠商事は当社より、第3回目提案書における本公開買付価格(3,900円)は、依然として当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、当社の直近業績や当社の同日株価終値と類似取引におけるプレミアム水準等を踏まえて、本公開買付価格を4,800円近辺とすることについて検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、同月11日、伊藤忠商事は、本公開買付価格は、市場株価に対するプレミアム水準よりも当社株式の本源的価値を基礎として検討されるべきであるとの考えの下、当社に対し、本公開買付価格を4,800円近辺とすることは困難である旨を回答するとともに、本公開買付価格を4,000円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,770円に対して6.10%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,431円に対して16.58%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,422円に対して16.89%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,435円に対して16.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第4回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月12日、伊藤忠商事は当社より、第4回目提案書における本公開買付価格(4,000円)は、当社の直近株価の状況等を踏まえても当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、同月16日、伊藤忠商事は当社に対し、本公開買付価格を4,050円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,905円に対して3.71%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,472円に対して16.65%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,442円に対して17.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,434円に対して17.94%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第5回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月18日、伊藤忠商事は当社より、第5回目提案書における本公開買付価格(4,050円)は、当社の直近株価の状況等を踏まえても当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、同月25日、伊藤忠商事は当社に対し、本公開買付価格を4,180円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,930円に対して6.36%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,655円に対して14.36%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,521円に対して18.72%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,445円に対して21.34%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第6回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同月26日に、伊藤忠商事は、本特別委員会委員長である吉岡浩一氏及び当社の本取引に係る交渉担当役員である嶋田剛氏と面会し、本公開買付価格を4,600円とするよう検討を行うことを直接口頭で要請されたとのことです。その上で、同月29日、伊藤忠商事は当社より、当社の一般株主の利益に配慮する観点では当社の市場株価の状況等を考慮せざるを得ず、第6回目提案書における本公開買付価格(4,180円)では応諾できないとして、提案内容の再検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、同月31日、伊藤忠商事は当社に対し、本公開買付価格4,300円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,970円に対して8.31%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,765円に対して14.21%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,553円に対して21.02%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,458円に対して24.35%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)を最終提案とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第7回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同日、伊藤忠商事は当社より、当社の一般株主の利益に配慮する観点から、最終提案とされる4,300円を更に引き上げ、本公開買付価格を4,400円とすることについて検討を要請する書面を受領したとのことです。
かかる要請を受けて、2024年8月1日、伊藤忠商事は当社に対し、第7回目提案書からの本公開買付価格の更なる引き上げは困難であるものの、当社と伊藤忠商事の双方にとっての本公開買付けの戦略的重要性及び当社として一般株主の利益に対して更なる配慮が必要との考えを踏まえ、第7回目提案書において最終提案とした4,300円を更に引き上げ、本公開買付価格4,350円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,985円に対して9.16%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,775円に対して15.23%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,560円に対して22.19%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,463円に対して25.61%のプレミアムをそれぞれ加えた金額とのことです。)を改めて最終提案とすることを含む本取引に関する提案書(以下「第8回目提案書」といいます。)を提出したとのことです。これに対し、同日、伊藤忠商事は当社より、2024年8月5日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを承認する旨の決議がなされることを条件として、第8回目提案書における提案を受諾する旨の回答を書面にて受領し、合意に至ったとのことです。
これらの協議・交渉を経て、伊藤忠商事は、2024年8月5日付で、本前提条件が充足されていること(又は公開買付者により放棄されていること)を条件に、本取引の一環として当社株式のすべて(但し、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得するため、本公開買付価格を4,350円として、本公開買付けを実施することを決定したとのことです。
その後、2024年8月29日、伊藤忠商事は、当社に対して、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬に見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を行ったとのことです。そして、2024年9月19日、伊藤忠商事は、当社に対して、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を行ったとのことです。
今般、公開買付者は、上記「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、2024年9月30日、本前提条件がいずれも充足されていることを確認し、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを決定したとのことです。なお、公開買付者は、本前提条件の充足を確認する過程で、2024年8月5日付伊藤忠商事プレスリリースの公表以降、2024年9月30日現在において、当社の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断したことから、2024年8月5日に決定した本公開買付価格を変更しないこととしているとのことです。
(i)検討体制の構築
当社は、伊藤忠商事より、2024年3月5日に、本取引に関して当社と協議を開始したい旨の申入書を受領いたしました。これを受けて当社は、当社の主要株主かつ筆頭株主である公開買付者が伊藤忠商事の完全子会社であり、伊藤忠商事は、公開買付者を通じて、当社株式33,584,300株(所有割合:44.44%)を間接的に所有し、当社を持分法適用関連会社としていること、また、当社の取締役3名(小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏)が、過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有していたことを踏まえると、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、本取引の是非や取引条件の妥当性についての交渉及び判断が行われる過程全般にわたってその公正性を担保するため、速やかに、公開買付者らから独立した立場で本取引について検討・交渉等を行うことができる体制を構築いたしました。
具体的には、同年3月28日に実施した当社取締役会において、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として大和証券株式会社(以下「大和証券」といいます。)をそれぞれ選任する旨を決議いたしました。
同時に、森・濱田松本法律事務所の法的助言を踏まえ、本取引について当社内で検討、交渉及び判断を行うにあたり、上記の伊藤忠商事出身の取締役3名は、本取引と特別の利害関係を有すると考えられることから、当社取締役会における審議及び決議には一切参加せず、また、本取引に関する協議・交渉にも一切参加しないこととする旨を決議いたしました。なお、当社の専務執行役員である土橋晃氏は、当社のCFOの地位にあり、当社における定量面での検討に精通しており、当社の事業計画の策定やこれに基づく当社の企業価値の算定に不可欠な人員であるところ、同氏は過去に伊藤忠商事の役職員であったものの、独立した特別委員会の設置等公正性を担保するための措置を講じていること、同氏は伊藤忠商事との交渉には関与せず、交渉に必要な事業計画の策定にのみ関与すること、当該事業計画は別途本特別委員会で承認すること、同氏は現在伊藤忠商事との間で何ら関係を有していないこと、その他当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)に独立性の観点から問題がないことを前提として、同年4月17日付の当社取締役会での決議をもって、同氏が当社の事業計画の作成に関与することを承認しております。
更に、上記3月28日開催の取締役会での決議により、(a)当社取締役会において本取引の承認をするべきか否か(本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かを含む。)について検討し、当社取締役会に勧告を行うこと及び(b)当社取締役会において、本取引の実施について決定すること(本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)が、当社の一般株主にとって不利益なものでないかについて検討し、当社取締役会に意見を述べることを目的として、吉岡浩一氏(当社独立社外監査役(現当社社外取締役))、松本章氏(当社独立社外監査役)及び笠原安代氏(当社独立社外取締役)の3名から構成される本特別委員会を設置いたしました。(本特別委員会の設置等の経緯、検討の経緯及び判断内容等については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)
なお、本特別委員会は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「④ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」及び「⑤ 特別委員会における独立した法律事務所からの助言」に記載のとおり、本特別委員会に付与された権限に基づき、2024年4月18日、独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業(以下「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」といいます。)を、独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社プルータス・コンサルティング(以下「プルータス・コンサルティング」といいます。)をそれぞれ選任する旨を決定しております。
なお、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券並びに当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所について、それぞれの独立性の程度、専門性及び実績等を確認した上でこれらの選任を承認しております。また、本特別委員会は、当社の専務執行役員である土橋晃氏は、当社のCFOの地位にあり、当社における定量面での検討に精通しており、当社の事業計画の策定やこれに基づく当社の企業価値の算定に不可欠な人員であるところ、同氏は過去に伊藤忠商事の役職員であったものの、その他の公正性を担保するための措置が講じられていることを前提に、伊藤忠商事との交渉には関与せず、交渉に必要な事業計画の策定にのみ関与すること、当該事業計画は別途本特別委員会で承認すること、同氏は現在伊藤忠商事との間で何ら関係を有していないこと、その他当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)についても、独立性・公正性の観点から問題がないことを確認の上、同氏が当社の事業計画の作成に関与することを承認しております。更に、本特別委員会は、当社が本取引のために事業計画を作成するにあたり、事前に当社から作成方針について説明を受け、また、その作成過程においても、複数回、事業計画案の内容、重要な前提条件及び進捗状況等について説明を受けるとともに、プルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、最終的な事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について合理性を確認し、承認をしております。
(ii)検討・交渉の経緯
上記の検討体制の構築後、当社は、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や伊藤忠商事から本公開買付価格を含む本取引の条件についての提案を受けた時等の交渉上重要な局面における意見・指示・要請等に基づいた上で、大和証券から当社株式の価値算定結果に関する報告、伊藤忠商事との交渉方針に関する助言その他財務的見地からの助言を受けるとともに、森・濱田松本法律事務所から本取引における手続の公正性を確保するための対応についてのガイダンスその他の法的助言を受けながら、本取引の是非及び取引条件の妥当性について、慎重に検討を重ねてまいりました。
具体的には、当社は、本特別委員会から伊藤忠商事に対する書面及びインタビューを通じて、伊藤忠商事より、本取引の目的及び経緯・背景、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他影響の内容、当社及び伊藤忠商事のシナジーの創出に向けた具体的な施策、並びに本取引後に想定している当社の経営体制や成長戦略等について説明を受け、これに対する質疑応答を実施し、当社としての本取引の意義や目的、企業価値向上余地の有無について検討を深めました。具体的には、2024年4月19日に、当社及び本特別委員会は、伊藤忠商事に対して、上記2024年3月5日付の申入書に記載の本取引の意義・目的に関して書面による質問を送付し、これに対して、2024年5月10日に、伊藤忠商事より、当該質問について書面による回答を受領いたしました。更に、2024年5月17日に、当社及び本特別委員会は、本取引の検討を深めるべく、伊藤忠商事に対して、主に本取引後の当社の将来像に関する追加の質問を書面により送付の上、本特別委員会の場における回答及び説明を要請いたしました。その後の2024年5月27日開催の本特別委員会において、当社及び本特別委員会は、伊藤忠商事より、当該追加質問に対する回答とともに伊藤忠商事が考える本取引の意義・目的に関する説明を改めて受け、伊藤忠商事との間でこれらに対する質疑応答を行いました。当社及び本特別委員会は、上記2024年5月27日開催の本特別委員会における伊藤忠商事による回答及び説明を精査いたしましたが、本取引の意義・目的と伊藤忠グループ全体としての事業戦略との相関関係について更なる理解を深めるべく、伊藤忠商事に対して、上記2024年5月27日開催の本特別委員会での説明及び質疑応答を踏まえ、主に本取引後の当社の将来像に関する追加の質問を送付の上、本特別委員会の場における回答及び説明を要請いたしました。その後の2024年7月12日開催の本特別委員会において、当社及び本特別委員会は、伊藤忠商事より、当該追加質問に対する回答とともに、改めて伊藤忠商事が考える本取引の意義・目的に関する説明を受け、伊藤忠商事との間でこれらに対する質疑応答を行いました。
上記の検討と並行して、当社は、本公開買付価格を含む本取引の諸条件についても、伊藤忠商事との間で継続的に協議及び交渉を行ってまいりました。2024年6月17日、当社は、伊藤忠商事から、伊藤忠商事が当社に対して実施したデュー・ディリジェンスにより得られた情報、当該情報を前提としてファイナンシャル・アドバイザーである野村證券が実施した初期的な当社株式価値分析及び当該情報を前提として伊藤忠商事で実施した初期的な当社株式価値分析内容を総合的に勘案し、本公開買付けにおける本公開買付価格を3,600円(前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,360円に対して7.14%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,401円に対して5.85%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,425円に対して5.11%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,472円に対して3.69%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第1回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月19日、当社は、伊藤忠商事に対して、第1回目提案書における本公開買付価格(3,600円)は、当社株式価値に関する当社の第三者算定機関及び本特別委員会の第三者算定機関による初期的な分析を考慮すると、当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、伊藤忠商事に対して、提案内容の再検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、同月27日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格を3,800円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,420円に対して11.11%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,390円に対して12.09%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,409円に対して11.47%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,451円に対して10.11%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第2回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月28日、当社は、伊藤忠商事に対して、第2回目提案書における本公開買付価格(3,800円)は、当社株式価値に関する当社の第三者算定機関及び本特別委員会の第三者算定機関による初期的な分析を改めて考慮しても、当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、2024年7月2日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格を3,900円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,330円に対して17.12%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,404円に対して14.57%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,406円に対して14.50%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,442円に対して13.31%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第3回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月9日、当社は、伊藤忠商事に対して、第3回目提案書における本公開買付価格(3,900円)は、依然として当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、当社の直近業績や当社の同日株価終値と類似取引におけるプレミアム水準等を踏まえて、本公開買付価格を4,800円近辺とすることについて検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、同月11日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格は、市場株価に対するプレミアム水準よりも当社株式の本源的価値を基礎として検討されるべきであるとの考えの下、当社に対し、本公開買付価格を4,800円近辺とすることは困難である旨とともに、本公開買付価格を4,000円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,770円に対して6.10%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,431円に対して16.58%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,422円に対して16.89%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,435円に対して16.45%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第4回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月12日、当社は、伊藤忠商事に対して、第4回目提案書における本公開買付価格(4,000円)は、当社の直近株価の状況等を踏まえても当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、同月16日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格を4,050円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,905円に対して3.71%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,472円に対して16.65%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,442円に対して17.66%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,434円に対して17.94%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第5回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月18日、当社は、伊藤忠商事に対して、第5回目提案書における本公開買付価格(4,050円)は、当社の直近株価の状況等を踏まえても当社の一般株主の利益に配慮したものとは到底いえないとして、提案内容の再検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、同月25日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格を4,180円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,930円に対して6.36%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,655円に対して14.36%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,521円に対して18.72%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,445円に対して21.34%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)とすることを含む第6回目提案書を受領いたしました。これに対し、同月26日に、本特別委員会委員長である吉岡浩一氏及び当社の本取引に係る交渉担当役員である嶋田剛氏が伊藤忠商事の担当者と面会し、本公開買付価格を4,600円とするよう検討を行うことを直接口頭で要請した上で、同月29日、当社は、伊藤忠商事に対して、当社の一般株主の利益に配慮する観点では当社の市場株価の状況等を考慮せざるを得ず、第6回目提案書における本公開買付価格(4,180円)では応諾できないとして、提案内容の再検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、同月31日、当社は、伊藤忠商事から、本公開買付価格4,300円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,970円に対して8.31%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,765円に対して14.21%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,553円に対して21.02%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,458円に対して24.35%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)を最終提案とすることを含む第7回目提案書を受領いたしました。これに対し、同日、当社は、伊藤忠商事に対して、当社の一般株主の利益に配慮する観点から、最終提案とされる4,300円を更に引き上げ、本公開買付価格を4,400円とすることについて検討を要請いたしました。
かかる要請を受けて、2024年8月1日、当社は、伊藤忠商事から、第7回目提案書からの本公開買付価格の更なる引き上げは困難であるものの、当社と伊藤忠商事の双方にとっての本公開買付けの戦略的重要性及び当社として一般株主の利益に対して更なる配慮が必要との考えを踏まえ、第7回目提案書において最終提案とした4,300円を更に引き上げ、本公開買付価格4,350円(同日の前営業日時点の東京証券取引所プライム市場における当社株式の株価終値3,985円に対して9.16%のプレミアム、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値3,775円に対して15.23%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値3,560円に対して22.19%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値3,463円に対して25.61%のプレミアムをそれぞれ加えた金額です。)を改めて最終提案とすることを含む第8回目提案書を受領いたしました。これに対し、同日、当社は、これまでの交渉経緯、第三者算定機関による当社株式の株式価値算定結果や当社株式の株価水準等を総合的に考慮し、当該価格は当社の一般株主が享受すべき利益が確保されたものであり、合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであると考え、伊藤忠商事に対し、2024年8月5日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することを承認する旨の決議がなされることを条件として、第8回目提案書における提案を受諾し、合意に至りました。
その後、2024年8月29日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬に見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。そして、2024年9月19日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。
(iii)判断内容
以上の経緯の下、当社は、2024年8月5日開催の当社取締役会において、森・濱田松本法律事務所から得た法的助言、大和証券から得た財務的見地からの助言、大和証券より2024年8月2日付で取得した当社株式の株式価値に関する算定書(以下「本株式価値算定書(大和証券)」といいます。)の内容、本特別委員会が、プルータス・コンサルティングより2024年8月2日付で取得した当社株式の株式価値に関する算定書(以下「本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)」といいます。)及び本公開買付価格である1株当たり4,350円が、当社の一般株主にとって、財務的見地から公正である旨のフェアネス・オピニオン(以下「本フェアネス・オピニオン」といいます。)を踏まえ、本特別委員会から取得した2024年8月5日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当か否かについて、慎重に協議・検討を行いました。
その結果、当社としても、以下のとおり、本取引が当社の企業価値向上に資するものであるとの結論に至りました。
前回公開買付け以降、伊藤忠商事と当社は、伊藤忠商事出身の社長及びCFOのリーダーシップの下、各事業においてコスト削減や収益拡大に向けた取組を実行してまいりました。
具体的には、赤字経営であった欧米子会社の清算を通じて、損失の削減に取組みました。更に、中国事業での更なる収益拡大のため、2020年7月にはDCHの資本再編を実行し、中国での『デサント』ブランドの商標権をDescente China IP Limited(DCHと当社の合弁会社)に譲渡する一方で、当社におけるDCH株式の保有比率を30%から40%に引き上げたことにより、当社に帰属する利益は継続して増加しています。加えて、日本事業においては、事業構造改革を断行し、広告宣伝費や販売促進費の見直しのほか、商品点数の削減や返品・値引き率の改善等による卸売事業の改革に加え、DTC比率の向上を目指して出店した『デサント』ブランド直営店の収益化を果たし、日本事業の収益も改善しています。また、韓国事業は、2019年7月以降の日本製品不買運動、2020年3月以降のコロナ禍により収益が悪化したものの、『デサント』『アンブロ』の徹底したブランディングの実行により、2022年度からは収益を回復させてまいりました。これらの取組により、前回公開買付け後の5年間を通して、日本・韓国・中国でバランスよく安定的な収益を上げる体制が確立され、当社における連結経常利益と親会社株主に帰属する当期純利益の2年連続過去最高益を達成いたしました。
このように、伊藤忠商事が公開買付者を通じて当社を持分法適用関連会社とし、当社が上場を維持している現状の関係性を踏まえた取組が一定程度奏功した一方で、当社には、アパレル以外のアクセサリー及びシューズの売上伸長や日本におけるDTCビジネスの売上高構成比の拡大、日本、韓国及び中国における既存ビジネスに加えた新規の事業の収益化等の課題も依然として存在しており、これらの解決が当社の更なる企業価値向上には不可欠であると考えております。
加えて、昨今の暖冬や猛暑等の気候変動を含む環境問題の顕在化は当社の生産面において仕入値の高騰やサプライチェーンにおける混乱、また消費者の行動変化やスポーツのできる環境変化等をもたらす可能性があり、これらは当社の事業戦略や財務に直接的な影響を及ぼす問題であると認識しています。また、当社の属するアパレル業界は、参入障壁が低く、ブランドの入れ替わりの激しい業界であることから、当社も、常に厳しい競争環境にさらされております。更に、当社は、海外売上比率が半分以上を占めており、主に日本、韓国及び中国を中心に事業を展開しておりますが、これらの地域においては、2023年の合計特殊出生率について、日本では1.20、韓国では0.72と、それぞれ過去最低値を記録し、中国においても過去2年連続で人口減少に転じる等、少子高齢化や人口減少が深刻化しております。これにより、将来的な市場規模の縮小が見込まれると同時に、市場獲得に向けた競争が一層激化することが想定されます。
一方、世界のスポーツ用品市場のうち、健康意識や健康志向の高まり、ファッション嗜好や可処分所得水準の高さを背景に、北米市場が世界最大のスポーツ用品市場であると同時に、欧州市場もスポーツ用品への需要が旺盛かつ利益創出力が高い地域であると当社は認識しております。しかしながら、当社においては、北米におけるスキーウェアの販売を主たる事業として1982年8月に設立したDESCENTE NORTH AMERICA INC.は長年にわたり業績が低迷、北米における『デサント』ブランドのアスレチックウェアの事業拡大とゴルフウェア事業の新規展開を目的として2018年3月に設立したDESCENTE ATHLETIC AMERICAS INC.は事業拡大ができなかったことで、いずれも2021年3月に清算し、当社は欧米地域より小売事業を撤退いたしました。上記東アジア地域における市場規模縮小化が加速していることを踏まえると、当社の事業展開地域である日本・韓国・中国以外の市場への進出及び需要の取込は、当社にとって喫緊の課題であると認識しているところ、欧米市場の存在感はますます無視できないものとなっており、当社は、同地域へ再度進出する可能性も改めて検討すべき局面に立っております。
当社は、前回公開買付けから5年が経過した現在において、本取引を通じて伊藤忠商事の完全子会社となることは、同社との人的関係や取引関係を更に強化し、伊藤忠商事が有する国内外における多数の拠点、取引先や情報等のネットワークやコネクション、海外ビジネスを得意とする人材をはじめとした円滑な経営資源の共有をもたらすものであると考えております。これらは、本取引による当社株式の非公開化を通じて、伊藤忠グループと当社の間に未だ存在する情報共有上の制約等を含む、両社の緊密な協働を妨げる障壁を排除することで得られるものであると同時に、上記の当社の課題や、当社が当社中期経営計画において掲げる諸目標の達成に向けた取組を加速させるとともに、一層厳しさを増している上記の事業環境を乗り越える上で後押しとなり、当社の中長期的かつ持続的な成長及び企業価値の向上に資するものであると考えております。特に、伊藤忠グループは世界61ヶ国に展開する約90の拠点を通じて蓄積してきた、海外における事業展開・ビジネス戦略に関するノウハウや知見、海外の商習慣や現地での交渉・折衝に精通した人材に強みがあると当社は認識しております。上記の欧米における小売事業撤退は、人材を主とする経営資源の不足がその一因であったと当社は考えており、今後、当社が新たな国や地域に進出する際には、現地において安定した収益を創出できる強固な事業基盤を構築する上で、上記のような伊藤忠グループの強みや経営資源は強力な後ろ盾となると考えております。
また、当社は、株式の非公開化に伴う一般的な懸念として、企業信用力の低下、人材採用への影響や資本市場を通じた資金調達手段がなくなること等が挙げられると理解しております。当社は、コーポレートブランドである『デサント』をはじめとし、日本発のスポーツアパレルメーカーとして、国内外において既に一定の知名度及びアパレル市場における地位を獲得し、それに伴い強固な経営基盤を築き上げてきたと自負しており、本取引を通じて伊藤忠商事の完全子会社となることで、日本を代表する総合商社の一つである伊藤忠商事が有するネームバリューを含む経営資源が当社にとっての付加価値、ひいては当社が今後持続的な成長を遂げる上で強固な後ろ盾となると考えております。従って、上記のような非公開化に伴う一般的な懸念は、当社においては特段生じないものと見込んでおります。なお、上記「(ii)検討・交渉の経緯」に記載のとおり、当社は、伊藤忠商事との協議を重ねる中で、本取引の意義・目的を含め理解を深めるべき点については、伊藤忠商事との質疑応答等を通じて検討してまいりましたため、本取引特有の懸念やディスシナジーに関する個別の検討は行っておりません。
加えて、本取引を通じて、当社が伊藤忠商事の完全子会社となることで、当社としては、以下(a)~(d)のシナジーが創出され、当社の企業価値の向上が期待できると考えております。
(a)海外で活躍できる人材の育成及び国内における人材交流等人的資本の強化
当社は、海外展開においては、商品企画等の各国での現地化を通じ、現地の消費者の皆様のニーズに合わせた展開が可能となり、ブランドイメージを維持しながら拡大・発展してまいりました。他方、今後中長期的に海外で継続的に発展していくためには、海外拠点でマネジメントとして活躍できる人材の確保及び育成が課題であると認識しております。昨今はキャリア採用や新卒外国人の採用に注力することで、体制の強化を進めておりますが、海外ビジネスに精通した人材を多く擁す伊藤忠グループとの間での人材交流を積極的に推進するとともに、伊藤忠グループの海外拠点へ当社から従業員を出向させることで、当社の従業員が海外ビジネスへの知見を深める機会の拡大化に繋がるものと考えております。
また、当社においては、上記の海外人材の採用のみならず、韓国や中国等に人材を定期的に派遣し海外研修を行う等、海外で活躍できる人材の育成にも注力しております。これに加えて、伊藤忠グループが、全世界で海外収益拡大を担う優秀な人材の採用・育成・活用・登用を行うために構築している「タレントマネジメントプロセス」の仕組を導入し、グローバルマネジメント人材の育成に向けた「グローバルディベロップメントプログラム」、「短期ビジネススクール派遣」といった研修プログラム等の、伊藤忠グループが有する人材育成のための教育制度やノウハウを活用することで、当社のビジネスに精通し、高い専門性を有しながらも、海外で活躍できる人材を育成するための体制が強化され、既存人材の効果的な活用と継続的な当社の成長に繋がることが期待されます。
また、海外だけでなく、国内においても、伊藤忠商事及び伊藤忠グループ傘下の企業と当社間において、従業員の出向やその受入を含む積極的な人材交流を推進することで、当社の従業員に対して新たなキャリアパスを提供でき、多様なキャリア形成を促進することができると考えております。また、上記の人材交流によって、当社の既存事業の枠組にとらわれない知識及び技術の取得や意見交換の活性化を促し、柔軟な発想に基づいた、従業員発信型のイノベーションや商品開発に繋がると考えております。加えて、伊藤忠商事は、メディアにおいても、法務担当人材の能力の高さが取り上げられる等、同社の管理部門においては、高い専門性を備えた人材の育成が奏功しているものと当社は認識しております。伊藤忠商事における上記のような人材との交流や育成方法を取入れることで、当社におけるコーポレート機能を担う人材のスキルを底上げし、当社の経営基盤の強化に繋げてまいりたいと考えております。
(b)伊藤忠グループのネットワークを活用した仕入及び商品開発力の強化
上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、伊藤忠商事は、総合商社として、世界61ヶ国における約90拠点でのグローバルネットワークとトレードや資本・業務提携を通じて培ってきたビジネス経験を有しており、特に繊維カンパニーにおいては欧米の著名ブランドや、中国の大手企業集団との強いコネクションを有していると認識しているとのことです。当社としては、伊藤忠商事の有するこれらのコネクションや信用力を活かし、新たな仕入先の開拓を進めることで、当社単独の仕入ルートでは網羅していない様々な特徴や性質を持った服飾資材やテキスタイルをより早く・多く・幅広く取扱うことが期待できると考えております。併せて、伊藤忠グループが手掛ける他ブランドとの共同仕入を通じたボリューム・ディスカウントによる仕入コストの削減や、伊藤忠グループの中核会社である伊藤忠ロジスティクス株式会社と協働の下、当社自社ECに関わる物流の効率化等についても、その可能性を模索してまいります。
また、伊藤忠商事のコネクションと交渉力を活用し、他ブランドとの接点を増やすとともに、それらのブランドとの共同企画や商品開発を通じて、新たな顧客層の開拓、ブランド価値向上に向けた施策を推進していくことも考えられます。
伊藤忠グループとの間でこれらの連携を深めることを通じ、経営の効率性向上とともに、当社が中期経営計画において取組の一つとして掲げる、ブランド間での機能・ナレッジ共有の促進や、当社の強みの一つである、トップアスリートからのアパレルの機能性に対する要望を商品化により実現してきた商品開発力・実現力の向上に繋がっていくものと考えております。
加えて、当社においてはこれまで、スポーツ用品の中でも、アパレルを主軸として事業を行ってまいりましたが、DISC OSAKAをはじめとするアパレル研究開発拠点のノウハウや縫製技術を転用し、当社のアパレルのイメージにリンクしたシューズやアクセサリーのアパレル以外の商品開発を推進することで、商品のラインアップの拡充ひいては売上伸長へ繋げてまいりたいと考えております。伊藤忠商事は、アパレルブランドのみならず、シューズ・バッグ・雑貨等も数多くのブランドを手掛ける中で、商材毎の市場動向を熟知し、広告戦略や市場戦略についても深い知見を有していると当社は認識しております。当社がシューズやアクセサリーの商品を積極的に打ち出す上で、当社の既存のアパレルとの相乗効果を創出し、当社ブランド全体として価値を向上させるためには、スポーツアパレル業界全体としてのトレンドだけではなく、商材レベルに落とし込んだ市場分析や販売戦略が求められるところ、伊藤忠グループが様々な商材やブランドを取り扱う中で培ってきた上記の知見を活かすことで、より効果的かつ戦略的なマーケティングが可能となり、当社ブランド価値を維持・向上しつつ、取扱商品の拡充及び売上伸長を実現できると考えております。
(c)伊藤忠グループ傘下の企業との連携の強化
本公開買付けを通じて、当社と伊藤忠グループが同一グループとなり、利益相反問題に阻害されることなく情報等の共有の幅が広がることで、伊藤忠グループが販売権やライセンス権取得を通じて吸収してきた、海外特に欧米のブランドの事業戦略やブランド戦略に係るノウハウや成功体験を、当社が展開するブランドにも適用することで、当社が現在注力している日本・中国・韓国エリアのみならず、欧米含めグローバルに通用するブランドとしての価値やプレゼンスの向上が見込め、ブランドそのものの体質・基盤の強化に寄与するものと考えております。また、上記「(a)海外で活躍できる人材の育成及び国内における人材交流等人的資本の強化」に記載した双方向の人材交流に加えて、伊藤忠グループ傘下の企業との連携を深め、ブランドを横断した企画や商品開発に取組んでまいりたいと考えております。また、各々が事業上有している課題認識や解決策を互いに共有し合うことで、当社の成長戦略や企業価値向上に向けた取組の一助とするほか、伊藤忠商事主導の下、同一グループとして、スポーツアパレル業界を取り巻く事業環境や時流に即して、当社が単独で取組むよりも大規模な事業戦略の展開や改革に挑戦できると考えております。
また、2022年1月、フランスにおいて、企業が売れ残った新品の衣類を焼却や埋め立てによって廃棄することを禁止する衣類廃棄禁止法が施行される等、アパレル業界において過剰生産・過剰廃棄が大きな環境問題となっています。当社においても、過剰生産・過剰廃棄から脱却するべく、適正な商品量の生産に取組み、産業廃棄物の削減を推進しており、当社(物流センター、工場及びオフィス)における国内産業廃棄物量は2021年度に554トン、2022年度には412トンと25%程度の削減に成功しています。伊藤忠グループにおいても、サステナビリティを意識した取組として、ファッション業界が抱える、衣類の大量廃棄問題を解決するために、従来の「Take(資源を採掘して)」「Make(作って)」「Waste(捨てる)」というリニアエコノミー(直線型経済)の中で利用されることなく廃棄されていた繊維を有効活用し、サーキュラーエコノミー(循環型経済)(注1)を実現することを目指し、RENU🄬Projectを立ち上げています。当該プロジェクトは、廃棄された衣料品や生産時に発生した残反・裁断くず(生地)を原料とした再生ポリエステル繊維を提供しています。伊藤忠グループとの連携を通じて、当社は、当社独自の取組と並行して、上記プロジェクトが提唱するサーキュラーエコノミーの仕組に当社の商流を組込むとともに、これらの再生素材を活用した生産を推進することで、サステナビリティを意識した経営体制を一層強化し、当社中期経営計画に掲げる「長く使えるモノづくり」を推進してまいりたいと考えております。
(注1)「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」とは、資源の価値を長く保全・維持し、資源の投入や廃棄を最小化し、資源を効率的に循環させる経済システムをいいます。
更に、アパレル事業以外においても、当社は、伊藤忠商事が有する購買・顧客データの活用ノウハウを通じて、当社の更なる販売力の強化及び消費者接点の拡大を推進したいと考えております。伊藤忠グループの株式会社ファミリーマートでは、バーコード決済機能付きアプリ「ファミペイ」が2024年4月に累計2,000万ダウンロードを達成する等、デジタルの顧客基盤を拡大し、マーケティングを強化しています。また、伊藤忠商事及び株式会社ファミリーマートは、『ファミリーマート』の国内16,270店舗(2024年5月末時点)のリアル店舗の購買データを活用し、消費者ニーズに合わせたID単位での広告配信を行うデジタル広告配信事業を展開しています。当社として、伊藤忠グループは、上記のように消費者との直接的な接点を通じて得られる購買・顧客データの活用ノウハウを有しているものと認識しております。本取引を通じて伊藤忠商事の完全子会社となることで、データ活用やデジタルマーケティングのノウハウ等の共有が可能となり、当社として、当社の会員制度「CLUB DESCENTE」の新規会員の取込にかねてから課題認識を有しているところ、それらのノウハウ等を、当該会員制度への呼び込みに加え、当社のマーケティング戦略に活かすことで消費者接点の拡大が期待できると考えております。
(d)DX化推進による当社DTCビジネスの拡大
当社は、『デサント』ブランドを中心として、日本国内におけるDTCビジネスの展開を促進しております。具体的には、店舗の業態変化及び売場の改装を通じて、『デサント』ブランドの直営店事業は前年比70%伸長しております。加えて、自社ECにおいては商品ディテール画像の拡充等による利便性の改善に積極的に取組み、当社売上高に占めるDTC比率は2023年度で44%と2020年度から約8%比率を高めておりますが、当社が目標としているDTC比率55%は未達となっております。
海外スポーツブランドでは、スマートフォンアプリとの連携も含め、実店舗へデジタルテクノロジーを積極的に導入し、DTCビジネスモデルの強化に取組んでいるところ、当社においても、デジタルニーズの高まりを受けたDX化の推進は、DTCビジネスの更なる伸長に必須であると認識しております。伊藤忠グループは、情報・金融カンパニーの中核を担うシステムインテグレーターである伊藤忠テクノソリューションズ株式会社を通じて、通信キャリアや大手企業を中心とした約10,000社の顧客に対してITソリューションやサービスを提供する等、DX化のあらゆる問題に対する深い知見やそれらを解決する高い技術力を有しているものと当社は認識しております。当社としては、当社株式の非公開化を通じて同一のグループとなることで、上記の知見や技術力を活用して、当社単独では解決できないDX化上の課題に対して、グループ一丸となって解決に取組んでまいりたいと考えております。また、オンライン会員に対する実店舗来店特典の充実化や、実店舗の立地を踏まえた顧客属性や購買傾向等、リアルタイムのデータを反映した実店舗陳列商品のアップデートや在庫補充等、DX化によるより良い顧客体験提供のためのアイデアをグループ間で共有し、当社における、デジタルと実店舗のシームレスな顧客体験の創出の可能性を模索しつつ、当社のDTCビジネスの伸長に向けた取組を加速してまいりたいと考えております。
また、本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件については、下記(a)~(e)に記載の本公開買付価格に関する交渉経緯、第三者算定機関による当社株式に係る株式価値算定結果、本特別委員会からの2024年8月5日付答申書の提出や当社株式の株価水準等を総合的に考慮した上、本公開買付価格(4,350円)は当社の一般株主が享受すべき利益が確保されたものであり、合理的な諸条件により当社株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、公開買付価格を含む本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置が十分に講じられており、一般株主の利益が確保されていると認められます。
(b)当該措置が講じられた上で、当社及び公開買付者らから独立した本特別委員会の実質的な関与の下、伊藤忠商事との間で真摯かつ継続的に交渉を重ね、当初の伊藤忠商事からの提案価格である3,600円から引上げられた価格であります。
(c)当社及び公開買付者らから独立した本特別委員会から取得した2024年8月5日付答申書において、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付価格を含む本取引の取引条件の妥当性が確保されていると判断されています。
(d)下記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されている、大和証券による当社株式に係る株式価値算定結果のうち、市場株価法に基づく算定結果の上限値を上回るものであり、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内であります。
(e)本公開買付けの公表日の前営業日である2024年8月2日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値の3,730円に対して16.62%、過去1ヶ月間(2024年7月3日から2024年8月2日まで)の終値単純平均値3,817円に対して13.96%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっております。しかしながら、当社株式の市場株価の終値は、2023年11月21日には4,480円であったものの、その後低下を続け2024年2月15日に3,085円まで下落し、また、その後同年3月18日に3,640円まで一時高騰したものの同年4月17日に3,030円に下落し、更に、同年5月13日に再び3,810円まで高騰したもののその後程なく3,200円~3,300円台まで落ち着いていたという経緯からも見られるとおり短期間で高騰下落を繰り返す等、従来からボラティリティが高い傾向にあるところ、足元の株価については、当社の持分法適用関連会社であるDCHの発行済株式総数の54%を有する合弁の相手方であるANTAグループが2024年7月8日に同社の2024年度第2四半期(2024年4月1日から同年6月末までの四半期)の売上成長率に係る速報値を公表した後、当社株式の市場株価は当該公表日の前日終値3,430円(同日から1ヶ月を遡った期間の終値平均は3,396円)から高騰を続け、上記の株価推移に至っております。当社としては、2024年7月9日以降の当社株式の市場株価は、ANTAグループが同日に公表した当該売上成長率に係る速報値により、当社の連結業績の好転を期待した思惑買いの影響もあると考えられ、また、2024年8月5日に当社が公表した2024年度第1四半期の決算公表の内容を踏まえていないもの(なお、2023年7月にANTAグループが同社の2023年度第2四半期(2023年4月1日から同年6月末までの四半期)の売上成長率に係る速報値を公表した際も同様の当社株式の市場株価の高騰が見られ、その後数週間で株価が下落いたしました。)と考えております。従って、当社としては、短期間での急速な株価変動の影響を除外すべく、より長い期間での株価との比較においてプレミアムの水準を考慮することが適切であり、本公開買付けの公表日の前営業日及び過去1ヶ月の株価との比較のみをもって本公開買付価格の妥当性が損なわれるものとはいえないと考えております。
他方、本公開買付価格は、当社株式の終値の本公開買付けの公表日の前営業日である2024年8月2日から遡った過去3ヶ月間(2024年5月7日から2024年8月2日まで)の終値単純平均値3,567円に対して21.95%、過去6ヶ月間(2024年2月5日から2024年8月2日まで)の終値単純平均値3,469円に対して25.40%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となっております。一般にPBRが高い銘柄は既に株式市場において企業価値が高く評価されているため、公開買付け案件及びM&A案件における市場価格に対するプレミアム比率は低くなる傾向にあるところ、2024年6月30日の当社のPBRは約2.2倍となっております。経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降に公表され、2024年5月31日までに公開買付けが成立した非公開化を目的とした上場子会社への公開買付け案件及びMBO案件のうち対象会社のPBRが2倍超の事案17件のうち、過去3ヶ月平均の株価からのプレミアム水準が20~30%の案件が6件で最頻値であり、同様に、過去6ヶ月平均の株価からのプレミアム水準が20~30%の案件が5件で最頻値であることも踏まえると、本公開買付価格は、本公開買付価格の当社株式の過去3ヶ月の株価及び過去6ヶ月の株価からは相応のプレミアムが付された水準にあると考えております。
以上より、当社は、2024年8月5日開催の当社取締役会において、本公開買付けに関して、当該時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議いたしました。
当社は、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、本特別委員会が2024年8月5日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる本特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
その後、2024年8月29日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬にそれぞれ見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受け、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。そして、当社は、本特別委員会に対して、2024年8月5日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。その後、2024年9月19日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。当該連絡を受け、本特別委員会は、2024年8月5日以降に本取引に影響を及ぼしうる重要な状況変化や事象等が発生しているか否かについて事実関係の確認等を行うとともに、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年8月5日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年9月30日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2024年9月30日付答申書を提出いたしました。
その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年9月30日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年9月30日現在においても、2024年8月5日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。
以上より、当社は、2024年9月30日開催の当社取締役会において、当社の取締役(取締役合計7名のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏を除く取締役4名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。
なお、2024年8月5日開催及び2024年9月30日開催の上記各当社取締役会における決議の方法は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑧ 当社における利害関係を有しない取締役全員の承認及び利害関係を有しない監査役全員の異議がない旨の意見」をご参照ください。
④ 本公開買付け後の経営方針
公開買付者らは、上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の取組を実施してシナジー効果を着実に実現させ、伊藤忠商事及び当社の企業価値向上に努めていくとのことです。なお、本取引後の当社の役員体制につきましては、本書提出日現在において未定であり、今後当社と協議の上、上記諸施策の実行や経営基盤の更なる強化に向けた最適な体制の構築を検討していく予定であるとのことです。
また、本公開買付け成立後の当社の従業員に関しては、原則として引き続き雇用を継続すること及び原則として現状の雇用条件を従業員に不利益に変更しないことを予定しているとのことです。また、公開買付者らは、本公開買付け成立後の当社の経営方針として、当社の経営の自主性を維持・尊重することを基本としつつ、本公開買付け成立後の当社の経営方針の詳細については、本公開買付け成立後、当社と協議の上で決定していくことを予定しているとのことです。
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。
野村證券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から当社の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価が存在することから市場株価平均法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の株式価値の算定を行い、公開買付者は、野村證券から2024年8月5日付で株式価値算定書(以下「公開買付者算定書」といいます。)を取得したとのことです。なお、野村證券は公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。また、伊藤忠商事は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載の諸要素を総合的に考慮し、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
野村證券による当社の株式価値の算定結果の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」をご参照ください。
(i)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、伊藤忠商事から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年8月2日付で、大和証券より本株式価値算定書(大和証券)を取得いたしました。
なお、大和証券は、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有しておりません。また、当社は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載のとおり、当社及び公開買付者において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、大和証券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。なお、本取引に係る大和証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれておりますが、当社は、同種の取引における一般的な実務慣行等も勘案の上、上記の報酬体系により大和証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選定しました。
(ii)当社株式に係る算定の概要
大和証券は、複数の算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社の市場株価の動向を勘案した市場株価法及び当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、当社は、2024年8月2日付で大和証券より本株式価値算定書(大和証券)を取得しました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :3,469円から3,817円
DCF法 :3,373円から4,851円
市場株価法では、2024年8月2日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値3,730円、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,817円、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,567円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値3,469円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,469円~3,817円と算定しております。
DCF法では、当社が作成した事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,373円~4,851円までと算定しております。なお、割引率は、当社連結事業につき8.17%~10.17%を採用しており、中国持分法事業につき11.10%~13.10%を採用しております。継続価値の算定にあたっては永久成長率法を採用し、永久成長率は、当社連結事業につき1.0%~2.0%とし、中国持分法事業につき4.5%~5.5%として算定しております。
大和証券がDCF法による分析に用いた事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度は含まれております。具体的には、韓国での新規オフィス契約、国内のシステム投資及び水沢工場の建て替え工事の終了に伴い、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増加(2026年3月期:13,345百万円、対前年度比62.2%増、2027年3月期:20,702百万円、対前年度比55.1%増)を見込んでおります。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味しておりません。
なお、DCF法で算定の前提とした当社財務予測の数値は以下のとおりです。
当社の取締役会は、2024 年8月5日開催の取締役会から2024年9月30日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(大和証券)に影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えており、大和証券及び森・濱田松本法律事務所から受けた助言も踏まえ、本株式価値算定書(大和証券)は引き続き有効であると考えております。
(i)算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係
本特別委員会は、本諮問事項(下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」の「(i)設置の経緯」において定義します。)の検討を行うにあたり、当社及び公開買付者らから独立した第三者算定機関としてのファイナンシャル・アドバイザーであるプルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定及び本取引における取引条件についての当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性についての意見表明を依頼し、2024年8月2日付で、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得いたしました。
なお、プルータス・コンサルティングは、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けに関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るプルータス・コンサルティングの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておりません。
(ii)当社株式に係る算定の概要
プルータス・コンサルティングは、複数の算定手法の中から当社株式の価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式の価値について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社の市場株価の動向を勘案した市場株価法を、当社と比較的類似する事業を手掛ける上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、当社業績の内容や予想等を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社の1株当たりの株式価値の分析を行い、本特別委員会は、2024年8月2日付でプルータス・コンサルティングより本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)を取得しました。
上記各手法に基づいて算定された当社株式の1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法 :3,469円から3,817円
類似会社比較法 :3,244円から3,394円
DCF法 :3,594円から5,353円
市場株価法では、2024年8月2日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日の終値3,730円、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,817円、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,567円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値3,469円を基に、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,469円~3,817円と算定しております。
類似会社比較法では、当社と類似性があると判断される類似上場会社として、美津濃株式会社、株式会社ゴールドウイン、ヨネックス株式会社、FILA Holdings Corp.を選定した上で、企業価値に対するEBIT及びEBITDAの倍率を用いて算定を行い、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,244円~3,394円までと算定しております。
DCF法では、当社が作成した事業計画を基に、2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析し、当社株式の1株当たりの株式価値の範囲を3,594円~5,353円までと算定しております。なお、割引率は、9.8%~ 13.8%を採用しており、継続価値の算定にあたっては倍率法を採用し、企業価値に対するEBITの倍率は8.6倍~12.9倍、として算定しております。
プルータス・コンサルティングがDCF法による分析に用いた事業計画には、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、フリー・キャッシュ・フローの大幅な増減を見込んでいる事業年度は含まれております。具体的には、国内のシステム投資及び水沢工場の建て替え工事の終了に伴い、フリー・キャッシュ・フローが2026年3月期から2027年3月期にかけて56.7%増になることを見込んでおります。また、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、上場維持コストの削減効果を除き、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、上記算定には加味しておりません。
なお、DCF法で算定の前提とした当社財務予測の数値は以下のとおりです。
プルータス・コンサルティングは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等を原則としてそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、すべて正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証を行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。加えて当社の財務予測に関する情報については、当社の経営陣による算定時点で得られる最善の予測と判断に基づき合理的に作成されたことを前提としております。但し、プルータス・コンサルティングは、算定の基礎とした当社の事業計画について、複数回のインタビューを行いその内容を分析及び検討しております。また、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会がその内容、重要な前提条件及び作成経緯等の合理性を確認しております。
(iii)本フェアネス・オピニオンの概要
本特別委員会は、2024年8月2日付で、プルータス・コンサルティングから、本公開買付価格である1株当たり4,350円が、当社の一般株主にとって財務的見地から公正である旨の本フェアネス・オピニオンを取得しております(注)。本フェアネス・オピニオンは、当社が作成した事業計画に基づく当社株式の価値算定結果等に照らして、本公開買付価格である1株当たり4,350円が当社の一般株主にとって財務的見地から公正であることを意見表明するものです。
なお、本フェアネス・オピニオンは、プルータス・コンサルティングが、当社から、当社グループの事業の現状、事業見通し等の開示を受けるとともに、それらに関する説明を受けた上で実施した当社株式の価値算定結果に加えて、本公開買付けの概要、背景及び目的に係る当社との質疑応答、プルータス・コンサルティングが必要と認めた範囲内での当社グループの事業環境、経済、市場及び金融情勢等についての検討並びにプルータス・コンサルティングにおけるエンゲージメントチームとは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行されております。
(注)プルータス・コンサルティングは、本フェアネス・オピニオンの作成及び提出並びにその基礎となる株式価値の算定を行うに際して、当社から提供され又は当社と協議した情報及び基礎資料、一般に公開されている資料について、それらが正確かつ完全であること、当社株式の株式価値の分析・算定に重大な影響を与える可能性がある事実でプルータス・コンサルティングに対して未開示の事実はないことを前提としてこれらに依拠しており、独自にそれらの調査、検証を実施しておらず、その調査、検証を実施する義務も負っておりません。
プルータス・コンサルティングが、本フェアネス・オピニオンの基礎資料として用いた当社の事業見通しその他の資料は、当社の経営陣により当該時点における最善の予測と判断に基づき合理的に作成されていることを前提としており、プルータス・コンサルティングはその実現可能性を保証するものではなく、これらの作成の前提となった分析若しくは予測又はそれらの根拠となった前提条件については、何ら見解を表明していません。
プルータス・コンサルティングは、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、当社及びその関係会社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)に関して独自の評価又は鑑定を行っておらず、これらに関していかなる評価書や鑑定書の提供も受けておりません。従って、プルータス・コンサルティングは当社及びその関係会社の支払い能力についての評価も行っておりません。
プルータス・コンサルティングは、法律、会計又は税務の専門機関ではありません。従って、プルータス・コンサルティングは本公開買付けに関する法律、会計又は税務上の問題に関して何らかの見解を述べるものでもなければ、その義務を負うものではございません。
本フェアネス・オピニオンは、本特別委員会が当社から委嘱を受けた事項に対する答申を行うに際しての検討に供する目的で、本公開買付価格の公正性に関する意見を財務的見地から表明したものです。従って、本フェアネス・オピニオンは、本公開買付けの代替的な選択肢となり得る取引との優劣、本公開買付けの実施によりもたらされる便益、及び本公開買付け実行の是非について、何ら意見を述べるものではございません。
本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格が当社の一般株主にとって財務的見地から公正か否かについて、その作成日現在の金融及び資本市場、経済状況並びにその他の情勢を前提に、また、その作成日までにプルータス・コンサルティングが入手している情報に基づいてその作成日時点における意見を述べたものであり、その後の状況の変化により本フェアネス・オピニオンの内容に影響を受けることがありますが、プルータス・コンサルティングは、そのような場合であっても本フェアネス・オピニオンの内容を修正、変更又は補足する義務を負いません。また、本フェアネス・オピニオンは、本フェアネス・オピニオンに明示的に記載された事項以外、又は本フェアネス・オピニオンの提出日以降に関して、何らの意見を推論させ、示唆するものではありません。
プルータス・コンサルティングは、当社への投資等を勧誘するものではなく、その権限も有しておりません。本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格が当社の一般株主にとって財務的見地から不利益なものではなく公正なものであることについて意見表明するにとどまり、本公開買付け実行の是非及び本公開買付けに関する応募その他の行動について意見表明や推奨を行うものではなく、当社の発行する有価証券の保有者、債権者、その他の関係者に対し、いかなる意見を述べるものではありません。従って、プルータス・コンサルティングは本フェアネス・オピニオンに依拠した株主及び第三者の皆様に対して何らの責任も負いません。
また、本フェアネス・オピニオンは、本公開買付価格に関する当社取締役会及び本特別委員会の判断の基礎資料として使用することを目的としてプルータス・コンサルティングから提供されたものであり、他のいかなる者もこれに依拠することはできません。
本特別委員会は、2024年8月5日付答申書の提出から2024年9月30日時点までの状況を考慮しても、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンに影響を与える前提事実に大きな変更はないと考えており、プルータス・コンサルティング及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた助言も踏まえ、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンは引き続き有効であると考えております。
当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所プライム市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、公開買付者によれば、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後に、下記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことですので、かかる手続が実行された場合には、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従い、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所プライム市場において取引することはできません。
公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより当社株式のすべて(公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付け成立後、以下の本スクイーズアウト手続を実施することを予定しているとのことです。
① 株式売渡請求
本公開買付けの成立により、公開買付者が、当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至り、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「本売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式のすべてを売り渡すことを請求(以下「本株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。本株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を本売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して本株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社がその取締役会の決議により本株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、本売渡株主の個別の承諾を要することなく、公開買付者は、本株式売渡請求において定めた取得日をもって、本売渡株主が所有する当社株式のすべてを取得するとのことです。公開買付者は、本売渡株主が所有していた当社株式の対価として、各本売渡株主に対し、当社株式1株当たり本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者より本株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会において、公開買付者による本株式売渡請求を承認する予定です。上記手続に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の手続として、本株式売渡請求がなされた場合には、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、本売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められております。なお、かかる申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的に裁判所が判断することになります。
② 株式併合
本公開買付けの成立後、公開買付者が、当社の総株主の議決権の90%以上を所有するに至らなかった場合には、公開買付者は、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第180条に基づき、当社株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を2024年12月月を目途に開催することを当社に要請する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者からこれらの要請を受けた場合には、これらの要請に応じる予定です。また、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。
本臨時株主総会において本株式併合の議案についてご承認いただいた場合には、本株式併合がその効力を生ずる日において、当社の株主は、本臨時株主総会においてご承認をいただいた本株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。本株式併合をすることにより、株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、端数が生じた当社の株主に対して、会社法第235条その他の関係法令の定めに従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じとします。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却すること等によって得られる金銭が交付されることになります。公開買付者は、当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを、当社に要請する予定とのことです。
なお、本株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者のみが当社株式のすべて(当社が所有する自己株式を除きます。)を所有することを企図し、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことです。
また、本株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした規定として、本株式併合がなされた場合であって、本株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する株式のうち1株に満たない端数となるもののすべてを公正な価格で買い取ることを請求できる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が会社法上定められています。当該申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。
上記①及び②の各手続については、関係法令の改正、施行及び当局の解釈等の状況によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があるとのことです。但し、その場合でも、本公開買付けが成立した場合には、本公開買付けに応募しなかった当社の株主(公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該当社の株主に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、公開買付者と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定です。
なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記の各手続における税務上の取扱いについては、当社の株主の皆様が自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。
当社は、公開買付者の親会社である伊藤忠商事の子会社ではなく、本公開買付けは支配株主による公開買付けには該当いたしません。また、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注)にも該当いたしません。もっとも、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、当社の主要株主かつ筆頭株主である公開買付者が伊藤忠商事の完全子会社であり、伊藤忠商事は、公開買付者を通じて、当社株式33,584,300株(所有割合:44.44%)を間接的に所有し、当社を持分法適用関連会社としていること、当社の取締役7名のうち、過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有していた者が3名(小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏)存在していることを踏まえ、当社及び公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保しつつ、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
(注)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員である取引、又は公開買付者が対象者の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって対象者の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。
なお、公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本書提出日現在、当社株式33,584,300株(所有割合:44.44%)を所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、かえって本公開買付けの成立を不安定なものとし、本公開買付けに応募することを希望する当社の一般株主の利益に資さない可能性もあるため、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことです。もっとも、当社及び公開買付者らにおいて、本公開買付けの公正性を担保するための措置として、以下の措置を実施していることから、当社及び公開買付者らとしては、当社の一般株主の皆様の利益には十分な配慮がなされていると考えております。また、本特別委員会は、2024年8月5日付答申書において、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件は設定されていないものの、他の適切な公正性担保措置が講じられていることを踏まえると、当社の一般株主について相当程度の配慮が行われていると認められる旨判断しており、当社としても同様に判断しております。なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するにあたり、公開買付者ら及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである野村證券に対して、当社の株式価値の算定を依頼したとのことです。
野村證券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から当社の株式価値算定にあたり採用すべき算定手法を検討の上、市場株価が存在することから市場株価平均法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、将来の事業活動の状況を算定に反映するためにDCF法を算定手法として用いて当社の株式価値の算定を行い、公開買付者は、野村證券から2024年8月5日付で公開買付者算定書を取得したとのことです。なお、野村證券は公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して、重要な利害関係を有していないとのことです。また、公開買付者は、野村證券から取得した公開買付者株式価値算定書における当社の株式価値の算定結果に加え、2024年4月下旬から同年7月中旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に考慮し、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、野村證券から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得していないとのことです。
野村證券により上記各手法において算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は、それぞれ以下のとおりとのことです。
市場株価平均法 :3,469円から3,930円
類似会社比較法 :3,211円から3,985円
DCF法 :3,589円から4,607円
市場株価平均法では、2024年8月2日を基準日として、東京証券取引所プライム市場における当社株式の基準日終値3,730円、直近5営業日の終値単純平均値3,930円、直近1ヶ月の終値単純平均値3,817円、直近3ヶ月の終値単純平均値3,567円、直近6ヶ月の終値単純平均値3,469円を基に、当社株式1株当たり株式価値の範囲を3,469円から3,930円までと算定しているとのことです。
類似会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性等を示す財務指標との比較を通じて当社の株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を3,211円から3,985円までと算定しているとのことです。
DCF法では、当社より受領(当社から受領した事業計画にフリー・キャッシュ・フローは含まれていないとのことです。)し、公開買付者らにて修正の上提供された2025年3月期から2029年3月期までの5期分の事業計画における収益や投資計画、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮した2025年3月期以降の当社の将来の収益予想に基づき、当社が将来生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を分析評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を3,589円から4,607円までと算定しているとのことです。なお、DCF法の前提とした当社の事業計画について、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれていないとのことです。また、当該事業計画は、本取引の実行を前提としたものではなく、本取引の実行により実現することが期待されるシナジーについては、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味されていないとのことです。
公開買付者は、野村證券から取得した公開買付者算定書における当社の株式価値の算定結果に加え、2024年4月下旬から同年7月中旬まで実施した当社に対するデュー・ディリジェンスの結果、当社の取締役会による本公開買付けへの賛同の可否及び本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等を踏まえ、最終的に2024年8月5日、本公開買付価格を4,350円とすることを決定したとのことです。
その後、公開買付者は、2024年9月30日現在において、当社の業況や本取引を取り巻く環境等に重大な変化が見られず、当社の企業価値に重大な影響を与える事象はないと判断したことから、本公開買付価格を変更しないこととしているとのことです。
なお、本公開買付価格である4,350円は、本公開買付けの開始予定についての公表日(2024年8月5日)の前営業日である2024年8月2日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値3,730円に対して16.62%のプレミアムを加えた価格、直近1ヶ月間の終値単純平均値3,817円に対して13.96%のプレミアムを加えた価格、直近3ヶ月間の終値単純平均値3,567円に対して21.95%のプレミアムを加えた価格、直近6ヶ月間の終値単純平均値3,469円に対して25.40%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
また、本公開買付価格である4,350円は、本書提出日(2024年10月1日)の前営業日である2024年9月30日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値4,345円に対して0.12%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。
公開買付者は、2023年5月から同年11月にかけて、市場取引の方法により、当時の市場株価(同年5月から同年11月にかけて行われた当社株式取得の取得単価の平均は3,905円)にて当社株式を取得しており、本公開買付価格(4,350円)は上記取得に係る取得単価の平均(3,905円)よりも445円高い価格とのことです。これは、公開買付者らが本公開買付けによる当社株式の取得を決定した2024年8月5日の前営業日である同年8月2日の市場における終値3,730円が当時の市場株価による上記取得に係る取得単価の平均(3,905円)に対して4.48%下落しているものの、本公開買付価格は当該終値に対して16.62%のプレミアムを加えていることによるとのことです。
また、本公開買付価格(4,350円)は、前回公開買付けにおける公開買付価格(2,800円)と比較して1,550円高い価格ですが、これは、前回公開買付け後に当社株式の市場株価の水準が上昇していること(前回公開買付けの公表日の前営業日である2019年1月30日の当社株式の終値が1,871円であった一方、本公開買付けの開始予定の公表日である2024年8月5日の前営業日である同年8月2日の終値は3,730円とのことです。)に加えて、前回公開買付けと本公開買付けのそれぞれにおいて、当該各時点の当社の事業計画及びそれを踏まえた当社株式に関する株式価値算定結果が変動したことによるものとのことです。
(注)野村證券は、当社の株式価値の算定に際して、公開情報及び野村證券に提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性についての検証は行っていないとのことです。当社及びその関係会社の資産又は負債(金融派生商品、簿外資産及び負債、その他の偶発債務を含みます。)について、個別の資産及び負債の分析及び評価を含め、独自に評価、鑑定又は査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っていないとのことです。当社より受領し、公開買付者らにて修正の上提供された当社の財務予測(利益計画その他の情報を含みます。)については、公開買付者らの経営陣により現時点で得られる最善かつ誠実な予測及び判断に基づき合理的に検討又は修正されたことを前提としているとのことです。野村證券の算定は、2024年8月2日までに野村證券が入手した情報及び経済条件を反映したものであるとのことです。なお、野村證券の算定は、公開買付者の取締役会が当社の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としているとのことです。
上記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載のとおり、当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、伊藤忠商事から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として、大和証券に対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年8月2日付で、大和証券より本株式価値算定書(大和証券)を取得いたしました。なお、大和証券は、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けに関して記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
(i)設置の経緯
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社取締役会における意思決定に至る過程」に記載のとおり、当社は、2024年3月28日に開催された取締役会における決議により、本特別委員会を設置いたしましたが、かかる本特別委員会の設置に先立ち、当社は、2024年3月上旬から、公開買付者らから独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本公開買付けに係る検討、交渉及び判断を行うための体制を構築するため、森・濱田松本法律事務所の助言も得つつ、公開買付者らとの間で重要な利害関係を有しない当社の独立社外取締役及び独立社外監査役に対して、伊藤忠商事から2024年3月5日に本取引の実施に向けた検討・協議を開始したい旨の申入書を受領した旨、本取引に係る検討・交渉等を行うにあたっては、本特別委員会の設置をはじめとする本取引に係る取引条件の公正性を担保するための措置を十分に講じる必要がある旨等を個別に説明いたしました。また、当社は、並行して、森・濱田松本法律事務所の助言を得つつ、本特別委員会の委員の候補となる当社の独立社外取締役及び独立社外監査役の独立性及び適格性等について確認を行うとともに、公開買付者らとの間で重要な利害関係を有していないこと、及び本取引の成否に関して一般株主の皆様とは異なる重要な利害関係を有していないことについても確認を行いました。その上で、森・濱田松本法律事務所の助言を得つつ、協議した結果、異議がない旨確認されたことから、当社は、弁護士としての豊富な経験・幅広い見識を有する吉岡浩一氏(当社独立社外監査役(現当社社外取締役))、会計士としての豊富な経験と専門的知見を有する松本章氏(当社独立社外監査役)及び事業経営に関して相当の知見を有する笠原安代氏(当社独立社外取締役)、の3名を本特別委員会の委員の候補として選定いたしました。
その上で、当社は、「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社取締役会における意思決定に至る過程」に記載のとおり、2024年3月28日の取締役会における決議により本特別委員会を設置するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)(a)当社の企業価値の向上に資するかという観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、(b)当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断した上で、当社取締役会において本取引の承認をするべきか否か(本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否かを含みます。)について検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、並びに(ⅱ)当社取締役会において、本取引の実施について決定すること(本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含みます。)が、当社の少数株主の皆様にとって不利益なものでないかを検討し、当社取締役会に意見を述べること(以下これらを総称して「本諮問事項」といいます。)を諮問いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置にあたり、(ⅰ)当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととすること、及び(ⅱ)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引の承認をしないこととすることを決議するとともに、本特別委員会に対し、(ⅰ)当社と伊藤忠商事の間で行う交渉の過程に実質的に関与すること(必要に応じて、伊藤忠商事との交渉方針に関して指示又は要請を行うことを含む。)、(ⅱ)本諮問事項に関する検討及び判断を行うに際し、必要に応じ、自らの財務のアドバイザー若しくは第三者算定機関及び法務のアドバイザーを選任若しくは指名すること(この場合の費用は当社が負担する。)又は、当社の財務若しくは法務等に関するアドバイザーを指名若しくは承認(事後承認を含む。)すること、(ⅲ)必要に応じ、当社の役職員その他本特別委員会が必要と認める者から本諮問事項の検討及び判断に合理的に必要な情報を受領すること、について権限を付与することを決議しております。
上記の当社取締役会においては、当社の取締役7名のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏は伊藤忠商事の出身者であるため、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、当社取締役における審議及び決議がこれらの問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、これらの3氏を除く4名の取締役において審議の上、全員一致により上記の決議を行っております。また、上記の取締役会においては、出席した監査役の全員が上記決議につき異議はない旨の意見を述べております。
また、当社の取締役のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏は、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、これらの問題による影響を受けるおそれを排除する観点から、上記取締役会を含む本取引に係る取締役会の審議及び決議には一切参加しておらず、かつ、当社の立場で本取引の協議及び交渉に一切参加しておりません。
なお、本特別委員会の各委員に対しては、その職務の対価として、本取引の成否にかかわらず固定報酬を支払うものとされております。
(ii)検討の経緯
本特別委員会は、2024年3月28日より2024年8月2日までの間に合計19回開催されたほか、各会日間においても必要に応じて都度電子メールを通じて報告・情報共有、審議及び意思決定等を行う等して、本諮問事項に係る職務を遂行いたしました。具体的には、本特別委員会は、まず、その独立性及び専門性・実績等を検討の上、2024年4月18日、公開買付者ら及び当社から独立した独自のリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を、公開買付者ら及び当社から独立した独自のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてプルータス・コンサルティングを選任する旨を決定いたしました。本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所及びプルータス・コンサルティングが公開買付者ら及び当社の関連当事者には該当しないこと、及び本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有していないこと、その他取引における独立性に問題がないことを確認しております。
また、本特別委員会は、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関である大和証券並びに当社のリーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所について、その独立性及び専門性・実績等に問題がないことを確認の上、その選任を承認しております。
更に、本特別委員会は、当社の専務執行役員である土橋晃氏は、当社のCFOの地位にあり、当社における定量面での検討に精通しており、当社の事業計画の策定やこれに基づく当社の企業価値の算定に不可欠な人員であるところ、同氏は過去に伊藤忠商事の役職員であったものの、その他の公正性を担保するための措置が講じられていることを前提に、伊藤忠商事との交渉には関与せず、交渉に必要な事業計画の策定にのみ関与すること、当該事業計画は別途本特別委員会で承認すること、同氏は現在伊藤忠商事との間で何ら関係を有していないこと、その他当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に独立性・公正性の観点から問題がないことを確認の上、同氏が当社の事業計画の作成に関与することを承認しております。
その上で、本特別委員会は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的助言及び森・濱田松本法律事務所から聴取した意見を踏まえ、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置について検討を行っております。
本特別委員会は、伊藤忠商事から、本取引を提案するに至った背景、本取引の意義・目的、本取引実施後の経営体制・経営方針等についての説明を受け、質疑応答を行っております。
また、本特別委員会は、当社から、本取引の意義・目的、本取引が当社の事業に及ぼす影響、本取引実施後の経営体制・経営方針等に関する当社の見解及び関連する情報を聴取するとともに、これらに関する質疑応答を行っております。
加えて、本特別委員会は、プルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言も踏まえつつ、当社の作成した事業計画の内容、重要な前提条件及び作成経緯等について当社から説明を受け、質疑応答を行った上で、これらの合理性を確認し、承認をしております。その上で、上記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、プルータス・コンサルティング及び大和証券は、当社の事業計画の内容を前提として当社株式の価値算定を実施しておりますが、本特別委員会は、プルータス・コンサルティング及び大和証券から、それぞれが実施した当社株式の価値算定に係る算定方法、当該算定方法を採用した理由、各算定方法による算定の内容及び重要な前提条件について説明を受け、質疑応答及び審議・検討を行った上で、これらの事項について合理性を確認しております。また、上記「(3)算定に関する事項」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」及び「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、本特別委員会は、2024年8月2日付で、プルータス・コンサルティングから本フェアネス・オピニオンの提出を受けておりますが、その際、プルータス・コンサルティングから、本フェアネス・オピニオンの内容及び重要な前提条件について説明を受け、これを確認しております。
また、本特別委員会は、当社の伊藤忠商事との交渉について、随時、当社や当社のアドバイザーから報告を受け、プルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言及びアンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的見地からの助言も踏まえて審議・検討を行い、当社の交渉方針につき、適宜、必要な意見を述べました。具体的には、本特別委員会は、当社が伊藤忠商事から本公開買付価格の各提案を受領次第、当社より本公開買付価格に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、公開買付者からできる限り有利な取引条件を引き出すためにその提案内容を審議・検討し、当社に対して計7回にわたり、伊藤忠商事に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨の意見を述べました。当社が当該意見に従って伊藤忠商事と交渉を行ったこと等により、当社と公開買付者との間の協議・交渉過程に実質的に関与いたしました。
その結果、当社は、2024年8月1日、伊藤忠商事から、本公開買付価格を1株当たり4,350円とすることを含む提案を受け、結果として、本公開買付価格を、伊藤忠商事の当初提示額である3,600円から4,350円にまで引き上げております。
更に、本特別委員会は、大和証券から、2024年8月5日付プレスリリース「伊藤忠商事株式会社の子会社であるBSインベストメント株式会社による当社株式に対する公開買付けの開始予定に係る賛同の意見表明及び応募推奨に関するお知らせ」のドラフトの内容について説明を受け、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から助言を受けつつ、充実した情報開示がなされる予定であることを確認しております。
(iii)判断内容
本特別委員会は、以上の経緯の下で、アンダーソン・毛利・友常法律事務所から受けた法的見地からの助言、プルータス・コンサルティングから受けた財務的見地からの助言並びに2024年8月2日付で提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの内容を踏まえつつ、本諮問事項について慎重に協議・検討を重ねた結果、同年8月5日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の2024年8月5日付答申書を提出しております。
(a)答申内容
1. 当社取締役会は、本公開買付けの開始予定に係る公表の時点で、本公開買付けについて賛同するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を表明することが妥当であると考えられる。
2. 当社取締役会における本取引についての決定(本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は、当社の少数株主の皆様にとって不利益なものではないと考えられる。
(b)答申理由
i. 企業価値の向上・目的の合理性
以下の点を踏まえると、(i)本取引により想定されるシナジーは合理的なものということができ、伊藤忠商事の想定と当社の想定との間に矛盾・齟齬もなく、本取引の実行は、当社が認識する経営課題の解決に資することが認められること、(ii)上場を維持したままでの大胆な事業変革等の他の手法によるのではなく、本取引によるべき理由として説明された内容も合理的なものであると認められ、本取引によることも相当であると考えられること、(iii)本取引による当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものも見受けられないことから、本公開買付けを含む本取引は企業価値の向上に資するものであって、その目的は合理的と認められる。
・ 当社には、アパレル以外のアクセサリー及びシューズの売上伸長や日本におけるDTCビジネスの売上高構成比の拡大、日本、韓国及び中国における既存ビジネスに加えた新規の事業の収益化等の課題も依然として存在しており、これらの解決が当社の更なる企業価値向上には不可欠であると考えている。加えて、昨今の暖冬や猛暑等の気候変動を含む環境問題の顕在化は当社の生産面において仕入値の高騰やサプライチェーンにおける混乱、また消費者の行動変化やスポーツのできる環境変化等をもたらす可能性があり、これらは当社の事業戦略や財務に直接的な影響を及ぼす問題であると認識している。また、当社の属するアパレル業界は、参入障壁が低く、ブランドの入れ替わりの激しい業界であることから、当社も、常に厳しい競争環境にさらされている。更に、当社は、海外売上比率が半分以上を占めており、主に日本、韓国及び中国を中心に事業を展開しているが、これらの地域においては、少子高齢化や人口減少が深刻化している。これにより、将来的な市場規模の縮小が見込まれると同時に、市場獲得に向けた競争が一層激化することが想定されている。
・ 一方、健康意識や健康志向の高まり、ファッション嗜好や可処分所得水準の高さを背景に、北米市場が世界最大のスポーツ用品市場であると同時に、欧州市場もスポーツ用品への需要が旺盛かつ利益創出力が高い地域であると当社は認識している。当社は欧米地域より小売事業を撤退しているが、上記東アジア地域における市場規模縮小化が加速していることを踏まえると、当社の事業展開地域である日本・韓国・中国以外の市場への進出及び需要の取込は、当社にとって喫緊の課題であると認識しているところ、欧米市場の存在感はますます無視できないものとなっており、当社は、同地域へ再度進出する可能性も改めて検討すべき局面に立っている。
・ 上記経営課題の解決、及びその実現へ向けた戦略の一環として、当社が最適であると考える施策を講じることは、一般論としては当社の企業価値の向上に資するものであるといえる。
・ 伊藤忠商事として、当社は、韓国・中国のこれまでの事業成長経緯もあって各国のローカル色が依然強い傾向で、事業展開地域間でのブランドマーケティング方針、商品企画開発・生産情報、売れ筋を含む販売情報や顧客動向の共有が十分かつタイムリーには行われていない状況にあり、本国である日本によるブランド発信及び商品企画開発・生産体制の連携に改善の余地があると考えているところ、当社の日本・韓国・中国のローカルに根差した活動の良さは引き続き活かしながらも、当社との資本関係が限定的である現状においては実施が困難である、デジタル経営基盤の確立やSXの推進等の中長期的な利益のための投資や、伊藤忠グループからの資金提供、オペレーション及びデジタル関連ノウハウ等の共有並びに更なる人材派遣等を含む、当社グループと伊藤忠グループの各社の連携に関する施策も含めて伊藤忠商事が有するオペレーションノウハウを注ぎ込み、当社において、特にブランド本国としての日本のブランド運営能力を強化するとともに、ブランドマーケティング・商品企画開発・生産・販売の各段階における当社の事業展開地域間連携の高度化を図ることで、シナジーを創出する。
・ また、伊藤忠商事として、当社は、各事業展開地域において成長できる余地が限定的となっている面もあると認識しているところ、伊藤忠商事の有する経営資源をより積極的に投下することで、事業展開地域間での連携を強化するだけでなく、各事業展開地域における特性を踏まえ、当社の更なる成長に貢献するための柔軟かつ機動的な施策を実施する。
・ 加えて、伊藤忠商事として、一般株主が存在する現状の当社との関係性においては、伊藤忠グループの総合力を活用することが当社として限定的にならざるを得ないところ、本取引を通じて伊藤忠商事の機能を最大限活用できる状態を実現することで、新たな商流・顧客体験・ビジネスの創出を加速させることができると考えている。
・ また、当社によれば、当社としても、本取引により、①海外で活躍できる人材の育成及び国内における人材交流等人的資本の強化、②伊藤忠グループのネットワークを活用した仕入及び商品開発力の強化、③伊藤忠グループ傘下の企業との連携の強化、並びに④DX化推進による当社DTCビジネスの拡大といったシナジーの創出を見込むことができると考えている。
・ そして、上記の想定されるシナジーの内容は、相互に矛盾する点や明らかに客観的事実に反している点は見当たらず、合理的なものであると考えられる。また、伊藤忠商事と当社が想定するシナジーは、伊藤忠グループのノウハウ・ネットワークを利用したブランド運営や開発・生産の強化、人材育成や海外事業の強化といった点で概ね合致しており、相互に矛盾又は齟齬は認められない。
・ また、伊藤忠商事としては、当社の更なる成長・発展のためには、追加的な人材補強及び伊藤忠グループからの資金提供、オペレーション及びデジタル関連ノウハウ等の共有も含めて当社グループと伊藤忠グループの各社の連携を深めることが必要とは認識しているものの、伊藤忠商事と当社がそれぞれ独立した上場企業として存在し、また現状の当社の資本構成上、当社が創出する価値・利益の半分以上が伊藤忠商事以外の株主に帰属する状況下において、伊藤忠商事株主の観点からは当社グループへの投資に伴うコスト・リターンのバランスが取れていないとも捉えられる可能性もあり、当社グループの企業価値の最大化を図る機動的かつ効果的な施策を実行するためには一定の限界があると考えている。加えて、伊藤忠商事としては、当社が伊藤忠商事の持分法適用関連会社でありながら上場を維持する現状は、当社の一般株主と伊藤忠商事の間で利益相反が生じるリスク等の構造的な課題を有しており、伊藤忠商事と当社との間の取引や情報共有等において、極めて慎重に対応しているところ、新型コロナウイルス感染症の流行以前からの売上高成長率や売上高利益率の観点から分析するに、当社は、当社の競合企業が成長するスピード感での市場への対応ができていない状況にあると考えている。更に、伊藤忠商事としては、当社において中国事業は近年存在感を急速に高めつつあると認識しているところ、中国市場の景気の先行きに不透明感ありと見る向きもあるとのことであり、不測の事態の際には伊藤忠商事と当社による機動的かつ一体的な対応が不可欠であり、両社が密な連携を行い入念な準備を行う必要があるとも考えている。
・ 以上のとおり、各国単位を超えた連携・シナジーの追求及び不測の事態・不確実性への迅速な対応の観点から、伊藤忠商事は、当社を伊藤忠商事の完全子会社とすることが両社の企業価値向上に資するとの結論に至ったとのことである。
・ また、上場を維持しながら、大胆な事業変革に着手する場合、一時的な業績の悪化等によって株価が下落することがあり、一般株主に負担を強いることになる可能性があるが、当社が伊藤忠商事の完全子会社になった場合は、そのような懸念がなくなり、業界動向を踏まえたスピード感をもった施策やより中長期的な視点からの抜本的な施策・改革が実施しやすくなるとともに、一人株主の下、迅速な意思決定が可能な体制が構築できる。
・ 以上の点に鑑みると、上場を維持したままでの大胆な事業変革等のほかの手法によらず、本取引による企業価値向上の実現を目指すという判断は、合理的なものと考えられる。
・ なお、伊藤忠商事及び当社によれば、本取引後、現在の経営体制の変更、当社従業員の人員削減、処遇の変更、伊藤忠商事の他のグループ会社への配置転換等、及び当社の事業ポートフォリオの再編や経営資源の再配分についての大きな変更は想定されていない。また、当社は、コーポレートブランドである『デサント』をはじめとし、日本発のスポーツアパレルメーカーとして、国内外において既に一定の知名度及びアパレル市場における地位を獲得し、それに伴い強固な経営基盤を築き上げてきたと自負しており、本取引を通じて伊藤忠商事の完全子会社となることで、日本を代表する総合商社の一つである伊藤忠商事が有するネームバリューを含む経営資源が当社にとっての付加価値、ひいては当社が今後持続的な成長を遂げる上で強固な後ろ盾となると考えていることから、当社としては、企業信用力の低下、人材採用への影響や資本市場を通じた資金調達手段がなくなること等非公開化に伴う懸念は特段生じないものと見込んでいる。伊藤忠商事としても、資金調達においては、伊藤忠グループの潤沢なキャッシュを活用できることから、資金調達に関する影響はないと考えている。また、当社と取引先の信頼関係は既に一定程度構築されており、上場廃止を理由に既存の取引関係が大きく剥落することはないと考えられること、当社においてこれまでの事業運営により積み重ねられてきた社会的信用や知名度は、上場廃止により直ちに失われるものではなく、むしろ当社が伊藤忠商事の完全子会社となることで国内・海外ともに維持・向上することが期待されることから、伊藤忠商事としては、本取引後も、かかるデメリットによる影響は僅少であり、当社の企業価値向上が見込まれるメリットを上回らないものと考えている。そのため、本取引による当社の企業価値向上に対する重大な支障となる事情として認められるものは特に見受けられない。
ii. 手続の公正性
以下の点を踏まえると、本取引では、(ⅰ)取引条件の形成過程において実質的にも独立当事者間取引といえる状況が確保され、(ⅱ)一般株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保という視点から見ても充実した公正性担保措置が採用され、かつ、実効性をもって運用されていると認められるから、結論として、本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性は確保されていると認められる。
(ア) 特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得
・ 本特別委員会の委員は当社独立社外役員3名で構成されており、各委員について、公開買付者ら及び本取引の成否から独立した当社の独立社外役員で構成される特別委員会を設置しており、その設置時期、権限等からみても、本特別委員会が公正性担保措置として有効に機能していると認められる。
(イ) 当社における独立した検討体制の構築
・ 当社は、伊藤忠商事より、2024年3月5日に、本取引に関して当社と協議を開始したい旨の申入書を受領後、本公開買付けに関する検討(当社の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含む。)並びに公開買付者らとの協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、伊藤忠グループ各社の役職員を兼務していない当社の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続している。
・ 当該チームの設置に際して、当社は、同年3月28日開催の取締役会において、当社の取締役のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏は過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有しており、本取引と特別の利害関係を有すると考えられることから、当社取締役会における審議及び決議には一切参加せず、また、本取引に関する協議・交渉にも一切参加しないこととする旨を決議している。また、当社の専務執行役員である土橋晃氏は、当社のCFOの地位にあり、当社における定量面での検討に精通しており、当社の事業計画の策定やこれに基づく当社の企業価値の算定に不可欠な人員であるところ、同氏は過去に伊藤忠商事の役職員であったものの、独立した本特別委員会の設置等公正性を担保するための措置を講じていること、同氏は伊藤忠商事との交渉には関与せず、交渉に必要な事業計画の策定にのみ関与すること、当該事業計画は別途本特別委員会で承認すること、同氏は現在伊藤忠商事との間で何ら関係を有していないこと、その他当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)に独立性の観点から問題がないことを前提として、同年4月17日付の当社取締役会での決議をもって、同氏が当社の事業計画の作成に関与することを承認している。
(ウ) 意思決定のプロセス
・ 当社については、2024年8月5日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(取締役合計7名のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏を除く取締役4名)の全員一致で、当該時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨することが決議される予定である。また、上記取締役会には、当社の監査役3名全員が出席し、出席した監査役はいずれも上記決議を行うことについて異議がない旨の意見を述べられる予定である。なお、当社の取締役のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏は過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有していたところ、構造的な利益相反の問題による影響を受ける可能性を排除する観点から、上記取締役会における審議及び決議には一切参加しない予定であり、また、当社の立場において本取引の協議及び交渉には一切参加していない。また、当社取締役会は、本公開買付けへの賛否を含め、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこととされており、本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引の承認をしないこととされていること等を踏まえれば、本取引に関する当社の意思決定の恣意性は排除され、意思決定のプロセスの公正性、透明性及び客観性が確保されているといえる。
(エ) 本特別委員会における独立した法律事務所からの助言の取得
・ 本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとしてアンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、同事務所から、本特別委員会における本諮問事項に関する検討及び審議に関する法的助言を受けている。
(オ) 当社における独立した法律事務所からの助言の取得
・ 当社は、本公開買付けに係る当社取締役会の意思決定の過程における公正性及び適正性を確保するために、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、同事務所から、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点等について、必要な法的助言を受けている。
(カ) 本特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得
・ 本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてのプルータス・コンサルティングに当社株式の株式価値の算定及び本取引における取引条件についての当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性についての意見表明を依頼し、2024年8月2日付で本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得している。
・ 本フェアネス・オピニオンにおいては、本特別委員会が当社及び公開買付者らからの独立性及び財務に関する専門性に問題がないことを確認して選任したプルータス・コンサルティングが、当社から提供を受けた事業、業務及び見通しについての情報等についての検討並びに当社の過去及び現在の事業、業務、財務状況及び見通しについての当社の経営陣からの確認等を実施した上で、プルータス・コンサルティングにおける本公開買付けの担当者とは独立した審査会におけるレビュー手続を経て発行したものであり、本フェアネス・オピニオンの提出にあたって参考とされたプルータス・コンサルティングによる株式価値算定の方法及び内容について不合理な点は認められないことから、本フェアネス・オピニオンの発行手続及び内容についても不合理な点は認められない。
(キ) 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
・ 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、伊藤忠商事から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するために、当社及び公開買付者らから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としての大和証券に当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年8月2日付で本株式価値算定書(大和証券)を取得している。
(ク) マーケット・チェック
・ 公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間(以下「本公開買付期間」という。)を、法令に定められた最短期間である20営業日としているものの、本公開買付けの開始予定の公表から実際の公開買付け開始までに2ヶ月以上を要することを見込んでいるため、当社の一般株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切な判断を行う機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者(以下「対抗的買収提案者」という。)にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付けの公正性を担保することを企図している。
・ 更に、公開買付者らと当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意を行っていない。
(ケ) マジョリティ・オブ・マイノリティ
・ 公開買付者は、本公開買付けにおいて、「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)に相当する買付予定数の下限は設定していないが、マジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、本公開買付けへの応募を希望する一般株主(すなわち、当社株式の売却機会を希望する株主)の利益に資さない可能性もあり得るところであり、他の公正性担保措置が行われていることも踏まえると、当社の一般株主について相当程度の配慮が行われていると認められる。
(コ) 一般株主への情報提供の充実とプロセスの透明性の向上
・ 本取引では、公開買付者及び当社の開示資料において、本特別委員会に付与された権限の内容、本特別委員会における検討経緯や交渉過程への関与状況、2024年8月5日付答申書の内容、本特別委員会の委員の報酬体系等、本株式価値算定書(大和証券)、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンの概要、本取引の実施に至るプロセスや交渉経緯等について充実した情報開示がなされる予定となっており、当社の株主等に対し、取引条件の妥当性等についての判断に資する重要な判断材料は提供されていると認められる。
(サ) 強圧性の排除
・ 公開買付者は、本公開買付けにおいて当社株式のすべてを取得するに至らなかった場合には、本株式売渡請求をすること又は本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しているところ、本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定する予定であることが明らかにされていること、また、本株式売渡請求の場合は当社の株主に裁判所に対する価格決定申立権が、本株式併合の場合は当社の株主に株式買取請求権及びそれに伴う裁判所に対する価格決定申立権が、それぞれ確保されていることを踏まえると、強圧性が生じないように配慮がなされていると認められる。
iii. 取引条件の妥当性
以下の点を踏まえると、本取引の交渉状況やスキーム等の妥当性を前提に、本公開買付価格については、その妥当性が認められ、また、本取引においては、一般株主が本公開買付け又は本スクイーズアウト手続のいずれによって対価を得たとしても、当社株式1株当たり本公開買付価格と同額の対価を得ることが確保されていることから、本公開買付けを含む本取引の条件の妥当性は確保されていると認められる。
(ア) 交渉状況の確保
・ 伊藤忠商事による当初の提示額(1株当たり3,600円)を出発点として、当社及び本特別委員会が、大和証券及びプルータス・コンサルティングから取得した暫定的な株式価値算定結果及び本特別委員会における審議・検討に基づく本特別委員会からの買付価格の引上げ要請を踏まえ、大和証券及びプルータス・コンサルティングの助言を受けながら伊藤忠商事と交渉を重ねた結果、伊藤忠商事から、7度にわたり買付価格を引き上げる提案を引き出した上、最終的に本公開買付価格(1株当たり4,350円)での合意に至ったものとのことである。そして、かかる一連の交渉においては、その進行過程において、当社又は大和証券から、本特別委員会の場で又は電子メールにて適時に本特別委員会に対して共有及び説明がなされ、随時本特別委員会による方針の確認を得ながら行われた。その結果、最終的な本公開買付価格は、当初に伊藤忠商事が提示した価格から相応の上積みがされており、当社として、一般株主にとってできる限り有利な取引条件で本取引が行われることを目指して交渉がされたことが経緯として認められることからすれば、本取引における本公開買付価格の合意は、当社と伊藤忠商事との間において、独立当事者間に相当する客観的かつ整合性のある議論を踏まえた交渉の結果なされたものであることが推認され、合意プロセスの透明性や公正性を疑わせるような事情は見当たらない。
(イ) 株式価値算定と本公開買付価格の関係
・ 算定の前提となる当社作成の事業計画(以下「本事業計画」という。)は、2025年3月期から2029年3月期までの当社の財務予測として、本取引の実施を前提としないスタンドアローン・ベースで作成されており、公開買付者ら又はそれらの関係者がその作成に関与し、又は影響を及ぼした事実は窺われず、また、当社は、公開買付者らとの交渉において、本事業計画について公開買付者らに対して一定の説明を行っているが、公開買付者らの指示により、又はその意を汲んで、策定又は修正が行われたという事実も窺われないことからすれば、本事業計画については、その策定プロセスに、公開買付者らの圧力が介在した事実は認められず、また、その内容において不合理な予測となっている点は認められない。
・ 大和証券及びプルータス・コンサルティングによる企業価値評価手法の選択、並びにそれぞれの算定方法及び算定根拠について、いずれも不合理な点は見当たらず、本特別委員会は、当社株式の株式価値の検討に当たり、大和証券及びプルータス・コンサルティングが作成した本株式価値算定書(大和証券)及び本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)に依拠することができるものと評価した。
・ 本公開買付価格である1株当たり4,350円は、大和証券及びプルータス・コンサルティングによる市場株価法並びにプルータス・コンサルティングによる類似会社比較法に基づく算定レンジの上限を上回り、大和証券によるDCF法による算定結果のレンジの中間値(4,112円)を上回り、その範囲内に入る価格であり、また、プルータス・コンサルティングによるDCF法による算定結果のレンジの下限を優に上回り、その範囲内に入る価格であると認められることから、本公開買付価格は、大和証券及びプルータス・コンサルティングにより算定された当社株式の株式価値との比較の観点からしても、一般株主にとって不利益ではない水準に達していると考えられる。
・ 本取引においては、当社株式の市場株価は従来からボラティリティが高い傾向にあるところ、足元の株価について短期間での急速な株価変動の影響を除外すべく、より長い期間での株価との比較においてプレミアムの水準を考慮することが適切であり、直前営業日及び過去1ヶ月の株価との比較のみをもって本公開買付価格の妥当性が損なわれるものとはいえないこと、非公開化を目的とした上場子会社への公開買付け案件及びMBO案件のうち対象会社のPBRが2倍超の事例との比較では本公開買付価格は、本公開買付価格の当社株式の過去3ヶ月の株価及び過去6ヶ月の株価からは相応のプレミアムが付された水準にあることを勘案すれば、本公開買付価格の水準は、不合理とはいえない。
(ウ) スキーム等の妥当性
・ 本取引においては、一段階目に公開買付けを行い、二段階目に株式売渡請求又は株式併合を行うという手法が想定され、かかる手法は、この種の非公開化取引においては一般的に採用されている方法であり、かつ、二段階目のいずれの手続においても、裁判所に対する売渡価格の決定の申立て又は株式買取請求後の価格決定の申立てが可能であること、本取引の方法は、株主が受領する対価が現金であることから、対価の分かり易さ、並びにその価値の安定性及び客観性が高いという点で望ましく、当社の完全子会社化を迅速に行うという要請と、一般株主等による十分な情報に基づく適切な判断の機会と時間の確保を両立させることができるという観点でも、特に株式等を対価とする株式交換等の組織再編よりも望ましいと考えられること、本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主に対価として交付される金銭が、本公開買付価格に各株主の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一になるように算定される予定であることも明らかにされていることから、買収の方法として公開買付けを伴う二段階買収の方法を採用し、買収対価を現金とすることには、合理性が認められる。
iv. 総括
上記のとおり、本取引は当社の企業価値の向上に資するものと考えられ、本取引の目的には合理性があると考えられること、本取引においては一般株主の利益を図る観点から公正な手続が実施されていると考えられること、本取引に係る公開買付価格等の条件については妥当性が確保されていると考えられることから、 (i)当社取締役会は、本公開買付けの開始予定に係る公表の時点で、本公開買付けについて賛同するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を表明することが妥当であると考えられ、また、(ii)当社取締役会における本取引についての決定(本公開買付けについて当社取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを含む。)は、当社の少数株主の皆様にとって不利益なものではないと考えられる。
2024年8月29日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬に見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受け、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。そして、当社は、本特別委員会に対して、2024年8月5日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。その後、2024年9月19日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。当該連絡を受け、本特別委員会は、2024年8月5日以降に本取引に影響を及ぼしうる重要な状況変化や事象等が発生しているか否かについて事実関係の確認等を行うとともに、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年8月5日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年9月30日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2024年9月30日付答申書を提出いたしました。
上記「(3)算定に関する事項」の「③ 特別委員会における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書及びフェアネス・オピニオンの取得」に記載のとおり、本特別委員会は、本諮問事項の検討を行うにあたり、当社及び公開買付者らから独立した第三者算定機関としてのファイナンシャル・アドバイザーであるプルータス・コンサルティングに対して、当社株式の株式価値の算定及び本取引における取引条件についての当社の一般株主にとっての財務的な観点からの公正性についての意見表明を依頼し、本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを取得いたしました。なお、プルータス・コンサルティングは、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けに関して、記載すべき重要な利害関係を有しておりません。
本特別委員会は、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして、アンダーソン・毛利・友常法律事務所を選任し、本特別委員会における本諮問事項に関する検討及び審議に関する法的助言を受けております。なお、アンダーソン・毛利・友常法律事務所は、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、アンダーソン・毛利・友常法律事務所に対する報酬は、本取引の成否にかかわらず、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、本取引の成立を条件とする成功報酬は含まれておりません。
上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社取締役会における意思決定に至る過程」に記載のとおり、当社は、当社の主要株主かつ筆頭株主である公開買付者が伊藤忠商事の完全子会社であり、伊藤忠商事は、公開買付者を通じて、当社株式33,584,300株(所有割合:44.44%)を間接的に所有し、当社を持分法適用関連会社としていること、また、当社の取締役3名(小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏)が、過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有していたことを踏まえると、本取引が構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が類型的に存する取引に該当することに鑑み、公開買付者らから独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。
具体的には、当社は、伊藤忠商事より、2024年3月5日に、本取引に関して当社と協議を開始したい旨の申入書を受領後、本公開買付けに関する検討(当社の株式価値算定の基礎となる事業計画の作成を含みます。)並びに公開買付者らとの協議及び交渉を行うプロジェクトチームを設置し、そのメンバーは、伊藤忠グループ各社の役職員を兼務していない当社の役職員のみから構成されるものとし、かかる取扱いを継続しております。
当該チームの設置に際して、当社は、同年3月28日開催の取締役会において、上記の伊藤忠商事出身の取締役3名は、本取引と特別の利害関係を有すると考えられることから、当社取締役会における審議及び決議には一切参加せず、また、本取引に関する協議・交渉にも一切参加しないこととする旨を決議いたしました。また、当社の専務執行役員である土橋晃氏は、当社のCFOの地位にあり、当社における定量面での検討に精通しており、当社の事業計画の策定やこれに基づく当社の企業価値の算定に不可欠な人員であるところ、同氏は過去に伊藤忠商事の役職員であったものの、独立した本特別委員会の設置等公正性を担保するための措置を講じていること、同氏は伊藤忠商事との交渉には関与せず、交渉に必要な事業計画の策定にのみ関与すること、当該事業計画は別途本特別委員会で承認すること、同氏は現在伊藤忠商事との間で何ら関係を有していないこと、その他当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)に独立性の観点から問題がないことを前提として、同年4月17日付の当社取締役会での決議をもって、同氏が当社の事業計画の作成に関与することを承認しております。
また、当社は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含む。)についても、独立性・公正性の観点から問題がないことを確認の上、本特別委員会の承認を受けております。
当社は、当社及び公開買付者らから独立したリーガル・アドバイザーとして、森・濱田松本法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点等に関する法的助言を受けております。
また、森・濱田松本法律事務所は、当社、公開買付者及び伊藤忠商事のいずれの関連当事者にも該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。なお、本取引に係る森・濱田松本法律事務所に対する報酬はタイムチャージ方式によるもののみであり、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬は含まれておらず、本取引の成否からの独立性が認められます。
当社は、森・濱田松本法律事務所から得た法的助言、大和証券から得た財務的見地からの助言及び本株式価値算定書(大和証券)の内容、本特別委員会を通じて提出を受けた本株式価値算定書(プルータス・コンサルティング)及び本フェアネス・オピニオンを踏まえ、本特別委員会から入手した2024年8月5日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る諸条件が妥当か否かについて、慎重に協議・検討を行った結果、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社取締役会における意思決定に至る過程」に記載のとおり、2024年8月5日開催の当社取締役会において、本公開買付けに関して、当該時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨を決議しております。
上記の取締役会においては、当社の取締役全7名のうち、代表取締役である小関秀一氏、取締役である諸藤雅浩氏、及び取締役である清水源也氏は、過去に伊藤忠商事の役職員の地位を有していたところ、構造的な利益相反の問題による影響を受ける可能性を排除する観点から、これらの3氏を除く4名の取締役において審議の上、全員一致により上記の決議を行っております。また、上記の取締役会に出席した監査役(監査役全3名(うち社外監査役2名))の全員が上記決議に異議はない旨の意見を述べております。なお、上記決議に先立って2024年8月3日に開催された当社監査役会においても、出席した監査役(監査役全3名(うち社外監査役2名))の全員一致で、当社取締役会が本公開買付けに関して、2024年8月5日時点における当社の意見として、本公開買付けが開始された場合には、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対し当社株式について本公開買付けに応募することを推奨することを決議することにつき異議がない旨を決議しております。
当社は、上記取締役会においては、本公開買付けが開始される際に、本特別委員会に対して、本特別委員会が2024年8月5日付で当社取締役会に対して表明した意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問すること、及びかかる本特別委員会の意見を踏まえ、本公開買付けが開始される時点で、改めて本公開買付けに関する意見表明を行うことを併せて決議しておりました。
その後、2024年8月29日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法上のクリアランスの取得を2024年9月下旬に見込んでいることから、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受け、本公開買付けに関する諸条件について改めて検討を行う準備を開始いたしました。そして、当社は、本特別委員会に対して、2024年8月5日付答申書の意見に変更がないか否かを検討し、当社取締役会に対し、変更がない場合にはその旨、変更がある場合には変更後の意見を述べるよう諮問いたしました。2024年9月19日、当社は、伊藤忠商事から、日本及び中国の競争法に基づく必要な手続及び対応が完了したことから、本前提条件が充足されることを前提に、本公開買付けを2024年10月1日に開始することを予定している旨の連絡を受領いたしました。当該連絡を受け、本特別委員会は、2024年8月5日以降に本取引に影響を及ぼしうる重要な状況変化や事象等が発生しているか否かについて事実関係の確認等を行うとともに、上記諮問事項について検討を行った結果、2024年8月5日付答申書の内容を変更すべき事情は見当たらないことを確認し、2024年9月30日に、当社取締役会に対して、従前の意見に変更がない旨の2024年9月30日付答申書を提出いたしました。その上で、当社は、本特別委員会から提出された2024年9月30日付答申書の内容を最大限に尊重しながら、当社の業況や本取引を取り巻く環境を踏まえ、本公開買付けに関する諸条件について改めて慎重に検討を行った結果、2024年9月30日現在においても、2024年8月5日時点における本公開買付けに関する意見を変更する要因はないと判断いたしました。以上より、当社は、2024年9月30日開催の当社取締役会において、当社の取締役(取締役合計7名のうち、小関秀一氏、諸藤雅浩氏及び清水源也氏を除く取締役4名)の全員一致で、改めて、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、上記の取締役会に出席した監査役(監査役全3名(うち社外監査役2名))の全員が上記決議に異議はない旨の意見を述べております。なお、上記決議に先立って2024年9月30日に開催された当社監査役会においても、出席した監査役(監査役全3名(うち社外監査役2名))の全員一致で、当社取締役会が、改めて本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募することを推奨することを決議することにつき異議がない旨を決議しております。
公開買付者は、本公開買付けに関しては、本公開買付期間を20営業日としているものの、本公開買付けの開始予定の公表から実際の公開買付け開始までの期間が約2ヶ月に亘るため、当社の一般株主の皆様の本公開買付けに対する応募についての適切な判断機会及び公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は確保されているものと考えているとのことです。また、公開買付者らは、当社との間において、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意は一切行っていないとのことです。公開買付者らは、このように、上記の本公開買付けの開始までの期間と併せ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。
公開買付者は、上記「(5)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載のとおり、(ⅰ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、公開買付者が本公開買付けの成立により取得する株式数に応じて、本株式売渡請求をすること又は本株式併合を行うこと及び本株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む本臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主の皆様に対して、株式買取請求権又は価格決定申立権が確保されない手法は採用しないこと、(ⅱ)本株式売渡請求又は本株式併合をする際に、当社の株主の皆様に対価として交付される金銭は本公開買付価格に当該各株主(当社及び公開買付者を除きます。)の所有する当社株式の数を乗じた価格と同一となるように算定されることを明らかとしていることから、当社の株主の皆様が本公開買付けに応募するか否かについて適切に判断を行う機会を確保し、これをもって強圧性が生じないように配慮しているとのことです。
該当事項はありません。
4 【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】
(注1)役職名、所有株式数及び議決権の数は本書提出日現在のものです。
(注2)取締役の笠原安代、吉岡浩一、滝澤美帆の3名は、社外取締役であります。
(注3)監査役の松本章、柿田徳宏の2名は社外監査役であります。
5 【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】
6 【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】
7 【公開買付者に対する質問】
8 【公開買付期間の延長請求】