文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、企業理念として「PSSバイオシステムネットワークを通じた社会貢献」を掲げ、「PSSはバイオ・ヘルスケア事業において、ユニークなポジションを獲得し、成長に繋げる」を事業推進の指針としています。
具体的には下記2点の方針に基づいて、取り組んでおります。
1.顧客の信頼に応え、高品質製品の安定供給義務責任を果たす。
効率的な事業運営により、営業黒字及び経常黒字を早期に定着させる。
2.顧客ニーズを正確に把握し、競争力のある高付加価値製品をタイムリーに市場に投入する。
開発目標、技術的課題に対し、利用可能資源の見極めと適正配分による確実な遂行と上市を果たす。
この経営方針に基づき、当社が保有する特許技術を活用した装置、試薬、消耗品等をいち早く、世界の多くのお客様に届けられるよう、営業体制、開発体制、組織運営体制、管理体制の強化を図ってまいります。そして、早期黒字化を果たし、大きく飛躍する準備として、足元においては思い切ったコスト削減施策を講じてまいります。
2023年9月29日に発表した「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」において、2027年6月期の数値目標を「連結売上高10,000百万円、連結営業利益1,000百万円」としており、これを「目標とする経営指標」として掲げておりましたが、経営環境の変化の分析結果、第39期連結業績及び事業の抜本的改善策の実施計画等を踏まえ、2024年9月30日に発表した「事業計画及び成長可能性に関する説明資料」の通り、中長期的には、2025年6月期から2027年6月期までの3年間につき、1年度ごとに450百万円から500百万円程度の売上増加を目標とし、2027年6月期末時点では連結営業利益約400百万円を達成することを目標としております。
当社の経常損益は、残念ながら、第36期の770百万円をピークに下落し、当連結会計年度においては△1,010百万円となり、第39期においても無配当とさせていただくこととなりました。
当社グループは、事業の運営体制の全体を徹底的に分析して見直し、次に掲げる課題を解決して、社会に貢献する、夢のある企業に育ててまいります。
①当社グループの中核を成すOEM事業及びODM事業に注力する。
②お客様のニーズを正確に把握し、確かな品質とユニークな発想で、競争力のある高付加価値製品をタイムリーにお届けする。
③適正価格での調達、製造、販売により、営業黒字を早期に定着させる。
④知恵、個性、やる気に満ちた活気ある職場づくりを推進する。
特に、第40期においては、第39期下期より具体的に着手し実行中である「事業の抜本的改善策」を推進し、以下の計画を中心に実施してまいります。
①組織運営体制の再構築
②当社グループの事業拠点の移転統廃合
③サプライチェーンの合理化および最適化の推進
④販売管理費及び外部委託業務の適正管理
⑤パートナー企業と実行する各プロジェクトの着実な推進
これらの施策を着実に実行していくことで、早期に黒字化を実現し、上記(2)に掲げる数値目標を必ず達成できるものと確信しております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方と取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する全体方針
当社グループは、「PSSバイオシステムネットワークを通じた社会貢献」という企業理念のもと、中長期的な企業価値の向上の観点から、事業活動を通じてヘルスケアを始めとするサステナビリティをめぐる様々な社会課題に取り組み、「持続可能な社会の実現」と「当社グループの持続的な成長」の両立を目指しております。
当社グループは、「サステナビリティに関する全体方針」を受け、取締役会でサステナビリティへの取組みの状況確認、検討、審議を行い、推進してまいります。
(3)人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
《人材確保・育成の基本方針》
当社グループは、人種・国籍・宗教・性別・年齢などに関わらず、多様な当社が求める人材を確保、育成、登用していくことが、SDGsの実現、中長期的な当社の企業価値向上につながるものと考えています。そのために、当社が求める人材像と人材マネジメントポリシーを下記の内容で定め、人材育成に取組んでまいります。
〔求める人材像〕
・多様性を活かし、価値を引き上げられる人
・組織を鼓舞し、動かす人
・プロフェッショナルとして極める努力をする人
・自律的に行動する人
〔人材マネジメントポリシー〕
人材マネジメントに関する意思決定の拠り所となる基本思想や原理原則として定めます。
<採用> 私たちは、会社の理念や方針に共感する人、プロ意識を持ち未知の領域に挑戦する人、自律的な成長・組織への貢献意欲がある人を採用します。
<育成> 私たちは、お互いを承認・称賛し合える組織になるために人材育成を行います。そのために、個々の専門性の向上に向けて、リーダシップを発揮し、社内外を巻き込み、業務を推進できる人材をサポートします。
<配置・異動> 私たちは、社員が自律的に考え行動できる環境を整えます。そして、自発的に成長・変革したい人にチャンスを与えられるよう支援します。
<等級・資格> 私たちは、等級・職位に求められる役割を設定し、その役割・責任に応じた処遇を実現します。また、マネジメント力や専門性の高さ等多様な人材に対し、柔軟性ある処遇を実現します。
<評価> 私たちは、成果だけでなく、会社の成長のため、スキルを高める努力をし続ける人を評価します。そして、評価の納得感を高めるために、役割や能力に応じた評価を行います。
<報酬> 会社の成長への貢献、自身の専門性の向上に対して処遇を行い、役割に応じた、安心して仕事ができる報酬水準とします。
《社内環境整備方針》
当社グループは、基本的人権を保護し、性別、年齢、国籍、人種、民族、信条、宗教、社会的身分、疾病、身体障害等による差別やハラスメント行為を排除し、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮して活躍できる健全な職場を目指し、推進してまいります。
《指針及び目標》
当社グループでは、現時点では年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標は定めておりませんが、上記方針を基に戦略を構築したのちに、目標を設定する予定です。
2024年7月1日現在、女性の管理職は7人(部長1人、課長6人)おります。今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。
(4)リスク管理
サステナビリティ関連のリスクと機会を選別、評価、管理するため、取締役会は外部専門家を活用し、網羅的にサステナビリティに関するリスク等に関する現状認識を行い、取締役会において審議するプロセスといたします。
当社グループの経営成績、株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場および事業について
①OEM事業について
当社グループの売上高構成のうち、ELITechGroup等のOEM販売先への依存度が70%強(2024年6月期)と高くなっております。そのため、当社グループの業績は、OEM販売先の売上状況の影響を受けることが予測されます。
このたび、当社とELITechGroupは、OEM製品のより安定した生産と供給を実現するために、2024年7月~2029年6月の5年間を契約期間とするOEM製品の中長期的な供給契約に合意し、契約期間中に総額70億円以上の発注がなされる予定です。このことを受け、大館試薬センターをはじめ、協力会社も含む各生産拠点の継続的な安定稼働と運営の効率化を見込んでいます。
②自社ブランド製品事業について
当社グループは、自社ブランド製品販売としては、海外向けには、装置販売として主としてgeneLEAD XXIV、国内向けには、抽出試薬及びPCR試薬の販売を行っております。依存度としては、30%弱(2024年6月期)となっております。自社ブランド製品の販売は、海外の現地代理店、及び主要診断薬メーカーとの提携により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループでは、営業力のある現地代理店との『Co-blanding』提携戦略、主要診断薬メーカーとの販売提携、薬事推進を強化してまいります。
③人材確保について
当社グループは、バイオテクノロジー企業であり、競争力の維持のためにも専門的な知識・技能を持った優秀な人材の確保は必須であると考えております。しかしながら、人材確保が出来ない場合、必要不可欠な人材が社外に流出する状況になった場合、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
そこで当社グループでは、人材マネジメントポリシーの実践をしてまいります。
(2) 財務・資金調達について
①資金調達について
当社グループは、製品の上市、販売に向けた開発費用、設備投資、運転資金などの資金需要の増加に対応するため、資金調達を行う必要がありますが、資金が計画通りに調達できない場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは健全な財務体質を構築、維持に努め、安心できる格付けを取得するとともに、最新の販売、生産計画に基づいた資金計画の見直しを随時行ってまいります。
②減損について
当社グループは、様々な有形固定資産、技術資産等の無形固定資産を有していますが、事業環境の急激な変化に伴う生産設備の遊休化や稼働率の低下等により減損損失が発生し、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、最新の販売、受注情報に基づいた生産計画の見直しを随時行なってまいります。
(3) 規制・災害・事故について
①経営上の重要な契約等について
当社グループの事業展開上、重要な契約が期間満了、解除、その他の理由に基づき終了した場合や、当社グループに不利な改定が行われた場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
②知的財産権について
当社グループは、競合他社を排除するため、当社グループの技術を特許で保護しております。登録している特許が無効化、消滅した場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
③製造物責任のリスクについて
当社グループが取り扱うすべての製品、パーツ部材等について製造物責任賠償のリスクが内在しております。当社はこれに備えて製造物責任賠償保険に加入しておりますが、臨床試験、検査の過程で製造物の欠陥が発見され、補償額が保険の補償範囲を超える大規模な製造物責任を負う場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
④法的規制について
当社グループの製品は、販売される国ごとの法規制を受けており、当社グループは当該法規制を順守していく方針であります。しかしながら、これらの規制が強化されたり、新たな規制が導入された場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが開発、販売中のIVD検査装置、IVD試薬は関連法規の規制を受けており、営業活動継続のためには当局の承認又は許可が必要になります。当社グループが開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤情報セキュリティ
当社グループが保有する機密情報及び個人情報については、厳正な管理に務めておりますが、これらの情報の流出により問題が発生した場合には、当社グループの社会的信頼の低下等、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 継続企業の前提に関する重要事象等について
当連結会計年度において、コロナ禍の収束傾向を受けた海外販売の減少に加え、日本国内においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の分類が2023年5月8日より5類へ移行した影響を受けたことにより、日本国内における自社ブランド製品である全自動PCR検査装置及びそれに付随する専用試薬・消耗品の販売が減少し、売上高が著しく減少しました。
一方で、大館試薬センター第二工場に対する投資に伴う減価償却費負担の増加や新製品開発投資に伴う費用負担の増加及びコロナ禍の収束傾向を受けて、一部製品の評価損や一部設備の減損損失を計上した結果、当連結会計年度は、2期連続して重要な営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。
これにより、一部の金融機関と締結している借入契約の財務制限条項に抵触し、長期借入金に係る期限の利益を喪失することとなりました。
これらの状況から、当連結会計年度末日時点においても、依然として、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しております。
これに対して、当社グループでは、当該状況を解消すべく、経営方針を全面的に見直して第39期下期経営方針を定め、会社を挙げて以下の様々な事業の抜本的改善策を策定して取り組んできた結果、その改善効果が着実に現れてきております。
①事業の抜本的改善策について
役員報酬削減を初めとする人件費削減、外部委託業務の見直し、拠点の移転統廃合等、様々な施策を実施し、グループ収益力向上を図っております。
②事業の収益改善策について
従来より強固な協力関係にあり、第39期においては当社グループの売上の約40%強を構成するELITechGroupとの5年間のOEM製品供給契約の締結合意により、装置、試薬、消耗品の収益改善の具体化につながっております。
また、このことにより、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金を活用して建設した、大館試薬センター第二工場の稼働率の大幅な向上が見込まれ、製品供給能力の向上と製造原価率の低減が図られ、利益率も改善されることにより、第40期以降の利益確保の基盤が整いつつあります。
③資金調達及び財務制限条項対応
資金面では、メインバンクを中心に既存取引銀行と緊密な関係を維持しており、今後も継続的な支援が得られるものと考えております。当社子会社であるエヌピーエス㈱のメインバンクとは2024年6月返済期限の短期借入金について、および当社のメインバンクとは2024年8月返済期限の短期借入金について、それぞれ同月借換えをおこないました。これにより、当面の間の運転資金及び金型等の設備投資資金において、資金繰りに重要な懸念は無いと判断しております。
なお、財務制限条項に抵触している長期借入金260百万円については、当報告書提出日現在、期限の利益喪失免除が確定しております。
従いまして、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象及び状況は存在するものの、重要な不確実性は認められないものと判断しております。
経営成績等の概要
当連結会計年度におけるわが国経済は、世界的にはウクライナを取り巻く情勢の長期化やインフレの継続、中国の景気減速等がグローバルな経済活動に影響を与えており、依然として経済状況につき予断を許さない状況が続いております。
バイオ検査装置業界においても例外ではなく、物資の単価高騰や人件費、運送費の高騰により、経営環境はより一層、厳しさを増しております。
このような状況の中、当社グループは第39期第2四半期決算短信にてご報告申し上げた第39期下期経営方針及び本年3月28日付で公表しました「当社グループの事業の抜本的改善策の実施に関するお知らせ」でご報告申し上げた基本方針に沿って、当社グループ全体の収益構造強化のための具体的計画を立案し、実行してまいりました。
当連結会計年度は、売上高は3,979百万円(前年同期比24.6%減)、売上総利益は950百万円(前年同期比29.6%減)となりました。主な前年同期比減収減益要因としては、自社ブランド製品販売においては、コロナ禍の収束に伴うPCR検査数の減少及び市場への新製品投入の遅れ、OEM製品販売においては、北米の取引先の経営悪化に伴う注文調整による減少、世界的な海上輸送の遅延の影響による取引先への納入遅延、及び糖鎖解析及びHPV検査事業においては立上げ準備に時間を要したことによります。また、収益構造強化の一連施策の中で長期滞留在庫等に対する棚卸評価損を計上したことも、売上総利益の押下げ要因となりました。
一方、費用面では、下期において販売管理費の大幅な削減施策に社員一丸で取り組み、販売費及び一般管理費は、1,906百万円(前年同期比22.6%減)となりました。これらの結果、営業損失は956百万円(前年同期の営業損失1,112百万円)となりました。
経常損失は1,010百万円(前年同期の経常損失1,141百万円)となり、また、事業の抜本的改善策の一環としての大館試薬センターへの核酸抽出試薬製造事業統合及び他の事業拠点の統廃合等の過程における固定資産の減損損失計上、並びに事業構造改善策の実施に係る事業構造改善費用の計上などにより、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、1,121百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純損失1,324百万円)となりました。
売上構成は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の現金及び預金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ531百万円減少して1,895百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
減価償却費409百万円や棚卸資産の減少額247百万円などの資金の増加はあったものの、税金等調整前当期純損失1,102百万円などの資金の減少などにより、営業活動によるキャッシュ・フローは106百万円の減少(前年同期は6百万円の減少)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
国庫補助金による収入2,018百万円などにより、投資活動によるキャッシュ・フローは2,056百万円の増加(前年同期は213百万円の減少)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
長期借入金の返済による支出2,499百万円などにより、財務活動によるキャッシュ・フローは2,508百万円の減少(前年同期は154百万円の減少)となりました。
生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の生産実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注実績を売上構成ごとに示すと、次のとおりであります。なお、当社グループ製品は、受注生産を基本としております。
当連結会計年度の販売実績を売上構成別に示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.売上構成間の取引については、相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析・検討内容は、原則として連結財務諸表に基づいて分析した内容であります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度は、売上高は3,979百万円(前年同期比24.6%減)となりました。主な前年同期比減収減益要因としては、コロナ禍の収束傾向の影響を受けて海外販売が減少したことと、自社ブランド製品である全自動PCR検査装置及びそれに付随する専用の試薬・消耗品の販売は当初計画どおりに推移したものの、日本国内においても新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染症法上の位置づけが2023年5月より5類へ移行されたことによる販売減少の影響を受けたことに加えて、日本国内におけるPCR試薬(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査用)保険収載価格の引き下げが行われたことによるものです。
上記の減収要因に加えた減益要因として、コロナ禍の収束傾向にある最新の事業環境を鑑みて、特注機として上市販売予定の数製品を棚卸資産評価損として計上したことにより、売上原価は3,029百万円(前年同期比22.9%減)、売上総利益は950百万円(前年同期比29.6%減)となりました。
費用面においては、研究開発費は216百万円(前年同期比42.4%減)でしたが、「東京都PCR等検査無料化事業」や自社販売製品のサポート活動への対応費用の増加により、販売費及び一般管理費は、1,906百万円(前年同期比22.6%減)となりました。
営業外損益では、受取利息、為替差益等の営業外収益は14百万円(前年同期比46.8%減)を計上した一方、支払利息等の営業外費用は68百万円(前年同期比21.6%増)を計上いたしました。
上記の結果、営業損失は△956百万円(前年同期の営業損失は△1,112百万円)、経常損失は△1,010百万円(前年同期の経常損失は△1,141百万円)となりました。
事業の抜本的改善事業の一環としての大館試薬センターへの核酸抽出試薬製造事業統合及び他の事業拠点の統廃合等の過程における固定資産等の減損損失計上、並びに事業構造改善施策の実施に係る費用の事業構造改善費用計上などにより、親会社株主に帰属する当期純損失につきましては、△1,121百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失△1,324百万円)となりました。なお、1株当たり当期純損失金額は△40.59円(前年同期は1株当たり当期純損失金額△47.93円)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末の資産合計は6,396百万円となり、前連結会計年度末に比べて3,365百万円の減少となりました。現金及び預金、商品及び製品、受取手形、売掛金及び契約資産等の減少により流動資産が1,261百万円の減少、建物及び構築物、機械装置及び運搬具等の減少により固定資産が2,103百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の負債合計は2,253百万円となり、前連結会計年度末に比べて2,285百万円の減少となりました。主な要因としては、1年以内返済予定の長期借入金等の流動負債が47百万円減少、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金が入金されたことを受けて、2021年に締結したシンジケートローンのうち2,018百万円を当初契約どおりに返済したこと等により、長期借入金等の固定負債が2,238百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は4,142百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,079百万円の減少となりました。主な要因としては、利益剰余金の減少であります。
(経営成績等に重要な影響を与える要因について)
当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「経営成績等の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載しておりますので、ご参照ください。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、以下のとおりであります。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数により算出しております。
2.キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
3.有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
4.利払いは、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を利用しております。
5. 2020年6月期、2021年6月期、2023年6月期及び当連結会計年度のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費用及び部品購入のほか、研究開発費を含めた販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、工具器具及び備品購入等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金の調達は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としておりますが、必要に応じて株式及び新株予約権発行による資金調達を行う場合があります。
なお、当連結会計年度末における借入金による有利子負債の残高は1,366百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,895百万円となっています。
(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、経営者による資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社は、DNA/RNA(核酸)自動抽出装置等について複数の会社とOEM契約を締結しております。いずれの会社とのOEM契約も、供給先試薬メーカー向けに要求に基づいて製造した製品に関してOEM先に独占的に供給するという契約内容となっております。
2024年6月30日現在の主なOEM契約は、以下のとおりであります。
(注) QIAGEN GmbHとの契約は、キアゲングループ向けの全装置に関する包括開発契約であります。
当社は、事業運営と設備投資のための安定的な資金確保を目的として、株式会社千葉銀行をアレンジャーとする金融機関10行との間でシンジケートローン契約を締結しております。本契約の概要は以下のとおりであります。
シンジケートローン契約日 2021年2月26日
シンジケートローン契約金額 総額 3,000百万円
(内訳:分割実行可能期間付タームローン 3,000百万円)
なお、当該契約にある財務制限条項に関しては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」および「第5 経理の状況 2.財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
当社グループは、企業理念に基づく研究開発指針として、「PSSバイオシステムコンセプトの提案:シンプルな技術ゆえに可能となった、高精度、コンパクト、汎用性が高く、メンテナンスが容易なシステム。多様な分野におけるユーザーフレンドリーかつオープンシステムを創造していきます。」を掲げており、その実現のため、当連結会計年度の研究開発活動におきましては、研究開発費216百万円(前年同期比42.4%減)を費用計上し、以下にご説明するテーマを中心に研究開発活動を進めてまいりました。
(直近の開発テーマ)
直近の「当社新規技術による製品化重点テーマ」は、以下の2点であります。
(1) PBMC Accumulator
PBMCとは、Peripheral Blood Mononuclear Cellsすなわちヒト末梢血単核細胞を指しております。当社が独自に開発した「電極チップ」技術を搭載し、疾病の免疫研究の基盤となるPBMCを効率的に自動で分離する装置の実現を目指しております。さらに当社の独自技術であるMagtration® Technologyの発展改良技術として発案しているSwing Magtridge Systemとの組み合わせにより、磁気ビーズを用いた免疫担当細胞の特異的な自動分離装置の開発にも着手しています。
(2) GlycoBIST & LuBEA
多項目の反応を同時に検出できることを最大の特徴とする測定ツールであるBIST(ビスト)の開発を進めており、これまでに、「糖鎖」の簡易定量技術としてGlycoBISTが利用できることを確認しております。診断用マーカーを捉え、疾病の早期発見に寄与するため、当社グループが長年にわたり開発してきたBISTおよびその専用装置であるLuBEAによる診断システムの上市を目指しております。
直近においては、非侵襲的検査の実現が待たれている腎臓疾患のひとつである「IgA腎症」診断用のGlycoBISTを作製し、医療機関等と連携することにより臨床データの取得・検証試験を進めております。
(中長期開発テーマ)
上記に掲げております直近の開発テーマの推進とともに、様々な病院、検査室、研究機関等の臨床検査現場の検査ニーズに応えられるよう、当社および当社グループが保持する特許技術および独自技術を活かした要素技術開発を行ってまいります。