当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、「インターネットを通じて、世界をより良くする。」をミッションとして掲げ、インターネットの新たな可能性を開拓することを通じて、世の中に新しい価値を提供し続けていくことを目指しております。当社グループは、このような経営の基本方針に基づいて事業を展開しながら、企業価値並びに株主価値の増大を図って参ります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが重視している経営指標は、売上高及び営業利益であります。また、これらを支える営業上の指標として、ユーザー数、ユーザー当たり売上高等を重視しております。
(3)経営環境
我が国における個人のスマートフォン保有率は前年比1.6ポイント増の78.9%(出典:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」)と伸びる一方、2023年の国内ゲームアプリの市場規模は前年比2.0%減の1兆1,886億円(出典:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書 2024」)となりました。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループでは、新たな収益源の確保を重要課題としており、以下の対処すべき課題を認識しております。
① ゲーム・アニメ事業
ゲーム・アニメ事業は、自社開発だけでなくライセンス型や開発受託等の案件も積極展開し、多層的なパイプライン・事業構造の再構築を推進してまいります。また、多地域・多プラットフォーム展開を基本とした開発体制の構築を目指し、開発体制の強化を進めてまいります。
② メタバース事業
メタバース事業は、収益力の強化と成長に向けた投資の両立を継続してまいります。スマートフォン向けメタバース「REALITY」は国内ライブ配信市場におけるシェア拡大及びグローバルでの収益力の強化を目指し、また、急成長市場であるVTuber事業への投資を継続してまいります。
③ DX事業
DX事業は、事業セグメント内の各事業において、SaaSソリューション等の開発・提供を推進し、現行の労働集約型の事業構造からリカーリング型収益による継続的な成長を目指せる事業構造への転換を目指してまいります。
④ 投資事業
投資事業は、安定的な利益貢献を目指し、インターネット・IT領域を中心に投資する国内外の主要VCファンド及びスタートアップへの投資を中長期で継続して取り組んでまいります。
⑤ 組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の強化
当社グループは、今後、新規事業を展開するにあたって、各事業分野で活躍できる優秀な人材の採用及び育成に取り組んでまいります。また、新規事業分野に潜在する各種リスク群も踏まえて、内部統制及びコンプライアンス体制の充実及び強化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは、サステナビリティ関連リスクのうち、特に気候変動リスクへの対応については、代表取締役社長の諮問機関であるグループリスクマネジメント委員会が、グループリスク対応の中で審議・検討し、取締役会は、グループリスクマネジメント委員会で審議された重要事項について報告を受け、気候変動の対応策等についても監督を行っています。
また当社グループでは、サステナビリティ関連を含む多様化するリスクに備えて、「リスクマネジメント規程」をはじめとする各種社内規程を策定し、リスクマネジメント態勢を整備しています。具体的には、「グループリスク主管部門」及び「グループリスクマネジメント委員会」を設置し、各部門/グループ会社における適切なリスクマネジメントを推進する態勢を整備・運用しています。
(2)重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
・気候変動への対応に関する考え方及び取組
・知的財産への投資に関する考え方及び取組
・人的資本への投資に関する考え方及び取組
それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
①気候変動への対応に関する考え方及び取組
当社グループは、気候変動リスクを特に重要な経営課題と位置付けて、その対応を検討して参りました。そこで、当社は、2022年9月にTCFD提言への賛同を表明するとともに、TCFDの枠組みに基づき、①ガバナンス、②戦略、③リスク管理及び④指標と目標の4分野の開示を行い、気候変動リスクへの対応について報告をしております。詳細については、当社のコーポレートサイトに掲載しております。
https://corp.gree.net/jp/ja/sustainability/social/tcfd.html
②知的財産への投資に関する考え方及び取組
当社グループは、事業展開に合わせ、知的財産の保護や権利化を積極的に行っております。製品・サービスの新規開発やグローバル対応等、事業展開により創出される製品・サービスの保護と新規技術の権利化のため、特許権・商標権等について、適宜調査・審査した上で、積極的に出願を進めております。
また、当社が提供する製品・サービスやソフトウエアが第三者の知的財産権を侵害することのないよう、社内ルール構築、社内教育並びに事業部門・法務部門における事前確認を行っております。
また、他者による権利侵害についても調査のうえ速やかに適切な対策を講じております。詳細については、当社のコーポレートサイトに掲載しております。
https://corp.gree.net/jp/ja/sustainability/management/intellectual-property.html
③人的資本への投資に関する考え方及び取組
当社グループは、多様性の確保が成長のための強みになるとの認識を持ち、社員のライフステージに合った働き方が出来る環境づくりのためのオリジナルプログラムを運営しております。
また、従業員がお互いに切磋琢磨し合い、一人ひとりの高い成長を実現するために「挑戦できる」、「成長できる」、「称えあえる」、「社会貢献できる」という4つのキーワードに基づき、様々な成長支援制度を導入し、多様な人材が活躍できる職場環境づくりに取り組んでおります。
今後も、人的資本の観点から当社の目指す姿の実現や持続的な成長を推進して参ります。詳細については、当社のコーポレートサイトに掲載しております。
https://corp.gree.net/jp/ja/sustainability/social/
当社グループは、国籍や性別、バックグラウンドを問わない多様な人材の活躍が重要であると考えており、今後も継続して性別、年齢、国籍、入社経路を問わない多様な人材の採用・育成・登用を行って参ります。
また、人的資本に関する指標及び目標に関しては具体的に検討を進めており、整い次第の開示を予定しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 事業環境に係るリスク
Ⅰ スマートフォンゲームについて
スマートフォンゲームの高機能化、多機能化による質の向上に伴う開発難易度の上昇により開発期間が長期化し、開発費が高騰する傾向にあります。
また、競合他社との競争激化に伴い、ユーザー獲得が想定どおりに進まなかった場合やユーザー数が減少した場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 技術革新について
当社グループは、急速な技術革新に柔軟に対応すべく、先端的なテクノロジーに対する知見やノウハウの蓄積、更には高度な技能を習得した優秀な技術者の採用・育成に取り組んでおります。しかしながら、こうした変化に対する適切な対応が遅れた場合、また、これらの対応に伴うシステム投資や人件費等の支出が拡大した場合には、当社グループの技術的優位性やサービス競争力の低下を招き、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業展開に関するリスク
Ⅰ スマートフォンゲームの展開について
当社グループが提供するサービスを、様々なユーザーに継続的に利用していただくため、エンターテインメント性の高いコンテンツを揃えております。しかしながらユーザーの嗜好の多様化、コンテンツの陳腐化に起因する課金ユーザー比率の低下、課金利用の減少等が生じる場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ スマートフォン向けメタバース「REALITY」の展開について
当社グループは、メタバース事業を推進しております。メタバース事業ではスマートフォン向けメタバース「REALITY」を中心に規模を拡大して参りますが、見通しとは異なる状況が発生するなどにより事業の展開が計画どおりに進まない場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ 投資事業について
当社グループは、投資事業においてインターネット・IT領域を中心に投資するベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資をおこなっております。出資先企業の事業計画の達成状況や、将来の成長性又は業績に関する見通しが悪化した場合には、投資の回収が出来ず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅳ 有料課金サービスに関するリスクについて
当社グループが運営する「GREE」や各種スマートフォンゲーム、「REALITY」においては、有料ガチャ(金銭もしくは金銭で購入できる前払式支払手段を直接の対価として行うことができるランダム型アイテム提供方式)が主な収益源となっております。当社グループでは、業界団体が定めるガイドライン等を遵守するとともに、必要な社内規程を整備して事業展開しておりますが、上記ガイドラインや社内規程が適切に運用されない場合、ユーザー数の減少、課金ユーザー比率の低下、課金利用の減少等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅴ 国際展開について
当社グループは各種スマートフォンゲーム、「REALITY」について日本国内に加えて海外での展開を推進しておりますが、各国の法令、制度・規制、政治・社会情勢、文化、宗教、ユーザー嗜好、商習慣の違い、為替等をはじめとした潜在的リスクに対処出来ないことなどにより事業を推進していくことが困難となった場合に、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅵ 新規事業について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるため、今後も引き続き、積極的にビジネス領域の拡大に取り組んでいく考えであります。これによりシステム投資、広告宣伝費等の追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、見通しとは異なる状況が発生するなどにより新サービスや新規事業の展開が計画どおりに進まない場合、投資を回収出来ず、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ システムに関するリスク
Ⅰ システム等に関連する設備投資負担について
当社グループは、サービスの安定稼働やユーザー満足度の向上を図るためには、サービスの成長に即してシステムやインフラに対する先行投資を行っていくことが必要であると認識しております。今後予測されるユーザー数及びトラフィックの拡大、並びに新サービスの導入及びセキュリティの向上に備えての継続的な設備投資、又はこうしたリスクの低減を見据えたクラウドサービスへの移行を実施しておりますが、実際のユーザー数及びトラフィックが当初の予測から大幅に乖離する場合には、設備投資の前倒しや当初の計画よりも多額の投資負担を余儀無くされ、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ サービス及びシステムの障害並びにインターネット接続環境の不具合について
当社グループは、サービス及びそれを支えるシステム、並びにインターネット接続環境の安定した稼働が事業運営の前提であると認識しており、安定的なシステム運用体制の構築に努めております。しかしながら、予期せぬ自然災害や事故、ユーザー数及びトラフィックの急増や大規模なクラウドサービスの障害、ネットワーク経由の不正アクセスやコンピューターウィルスの感染など、様々な問題が発生した場合にはサービスの安定的な提供が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 経営体制に関するリスク
Ⅰ 特定人物への依存について
当社グループの代表取締役会長兼社長である田中良和は、創業者であると同時に創業以来当社グループの事業推進、経営方針や事業戦略の決定及びその遂行において重要な役割を担って参りました。
当社グループでは、取締役会や経営会議等において役員及び社員への情報共有や権限委譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 人材の確保について
当社は、事業戦略の遂行、更なる事業展開、企業成長に伴い、継続的に幅広く優秀な人材を採用・育成し続けることが必須であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が要求されていることから、当該人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持に積極的に努めて参ります。しかしながら、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画どおりに進まなかった場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ 内部管理体制について
当社グループでは、企業価値の持続的な増大を図るためにコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、更には健全な倫理観に基づく法令遵守の徹底が必要と認識しており、内部管理体制の充実に努めております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ コンプライアンスに関するリスク
Ⅰ コンプライアンス体制
当社グループでは、今後企業価値を高めていくためにはコンプライアンス体制が有効に機能することが重要であると考えております。そのため、コンプライアンスに関する社内規程を策定し、社内研修、ポータルサイトへの掲載等の手段により周知徹底を図り、コンプライアンス体制の強化に取り組んでおります。
しかしながら、これらの取組みにも関わらずコンプライアンス上のリスクを完全に解消することは困難であり、今後の当社グループの事業運営に関してコンプライアンス上問題のある事態が発生した場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 当社グループが提供するサービスの安全性及び健全性の維持について
当社グループが提供するサービスにおいて、不特定多数のユーザーが利用していることから、様々な問題が発生するリスクが潜在しております。また、ユーザー数の拡大や多様化に伴い、ユーザーがより安心して安全に利用出来る環境を整備していくことが事業者に求められております。
当社グループでは、これらの問題について、以下のような取り組みを行っております。
(a) 利用規約による禁止行為の明確化
(b) 投稿等の監視体制及びユーザーへの教育、啓発
(c) 「利用環境向上委員会」の設置
(d) 青少年の保護及び健全育成、利用環境の向上に向けた対応
これらの施策により、当社グループが提供するサービスについては現段階において一定の安全性・健全性は保たれているものと認識しており、今後も、監視人員の拡充や関連システムの機能強化、ユーザーへの啓発・教育活動を推進する方針であります。しかしながら、当社グループが提供するサービスに関連して何らかの問題が発生した場合には、当社グループが法的責任を問われるほか、当社グループ及び当社グループが提供するサービスの信頼性やブランドが毀損し、サービスの安定的な提供が困難となり、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ 不正行為等によるリスクについて
当社グループは、第三者が提供するプラットフォームを介して、各種ゲームや「REALITY」などを配信しております。これらのプラットフォーム上で、一部の悪質なユーザーがアイテム等を不正な方法で入手して利用する等の行為が発覚しており、不正防止のための取り組みが課題となっております。このような不正行為の存在は当社グループの意図するところではなく、システム面での防止策のみならず利用規約での禁止やユーザーへの啓発を積極的に行うとともに、違反者には利用停止や強制退会を含む厳正な措置を行う等の対策を取っております。
万が一、当社グループのサービスを利用した不正行為が発生した場合には、当社グループの信頼性やブランドが毀損すること等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅳ 法的規制について
当社グループは、インターネットサービス等事業者として、インターネットに関連する法的規制その他の法規制の遵守は経営上の重要課題であると認識しております。規制を受けるものとして「電気通信事業法」、「資金決済に関する法律」、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」、「個人情報の保護に関する法律」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「下請代金支払遅延等防止法」及び「フリーランス・事業者間取引適正化等法」等の各種法令や、各法令の監督官庁が定める省令・指針・ガイドライン等があります。このような法令の制定や改正、監督官庁による行政処分、新たな規制の策定又は改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの事業に適用のある法令のうち、特に重要な規制は以下のとおりです。「個人情報の保護に関する法律」については後述します。
(i) 「電気通信事業法」
当社グループは、電気通信事業法の定めに従って「電気通信事業者」として届出を行っているため、通信の秘密の保護等の義務が課されております。当社グループにおいてはその法律に沿った運用を行っておりますが、当社グループが本法令に違反し行政処分等を受けた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(ii) 「資金決済に関する法律」
「GREE」内のゲーム内専用通貨「GREEコイン」及び他社プラットフォーム内で当社グループ名義で配信している各ゲームの専用通貨等が適用の対象となります。当社グループは、その法律に沿った運用を行っておりますが、当社グループが本法令に違反し行政処分等を受けた場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
更に、当社グループが海外事業を展開する上では、商取引、広告、景品、個人情報、プライバシー、未成年保護、独占禁止、知的財産権、消費者保護、暗号資産等に関する現地の法規制並びに事業展開及び投資を行うために必要とされる現地政府の許認可等、諸外国・地域の法規制が適用されます。これらの法規制等の改正や新たな法規制の策定により当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅴ 個人情報保護について
当社グループでは、インターネットサービスの提供を通じ、ユーザーの個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務及び各国の個人情報保護法遵守の義務を課されております。当社グループは、個人情報の外部漏洩・改ざん等の防止のため、個人情報を取り扱う際の業務フローや権限体制を明確化し、個人情報保護規程をはじめとした個人情報管理に関連する規程や規則等を制定し、個人情報保護に関する意識の向上を図ることで、同法及び関連法令等の法的規制の遵守に努めております。
しかしながら、当社グループの関係者や業務提携・委託先などの故意又は過失、コンピューターシステムの瑕疵、コンピューターウイルス、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等により個人情報が外部に流出したり、悪用される事態が発生した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を追及される可能性があるほか、当社グループ並びに当社グループのサービスの信頼性やブランドが毀損し、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅵ 第三者との係争について
当社グループは、法令遵守を基本としたコンプライアンス活動の推進により、役員、従業員の法令違反等の低減努力を実施しております。しかしながら、ユーザー、取引先、従業員その他第三者との予期せぬトラブル、訴訟等が発生する可能性があります。また、後述のとおり知的財産権に関する訴訟の可能性もあります。係る訴訟の内容及び結果によっては、多大な訴訟対応費用の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 知的財産権に関するリスク
Ⅰ 知的財産権の保護に関する方針について
当社グループは、法令遵守及び企業の社会的責任に鑑み、知的財産権の保護は重要な課題であると認識しております。そのため、当社グループの役員及び従業員による第三者の知的財産権の侵害が発生せぬよう、社内規則の整備や社内教育の充実により防止策を徹底しております。しかしながら、過失により当社グループの役員及び従業員が第三者の知的財産権を侵害する事態が発生した場合には、当社グループが損害賠償を含む法的責任を負う可能性があるほか、当社グループ並びに当社グループのサービスの信頼性やブランドが毀損し、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは、当社グループの知的財産権の保護に努めておりますが、その対応のために多額の費用が発生した場合や、当社グループの知的財産権が適切に保護されず、当社グループの競争優位性が保持されない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ 特許に関連する動向について
当社グループは、現時点において、当社グループの事業・サービスに対して重大な影響を及ぼす特許に関わる問題・事象は無いものと認識しております。但し、インターネット関連技術においては、特許権の範囲が不明確であることから、潜在的なものも含めた特許紛争の対応に係る費用が膨大となること等により、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅲ 当社グループのサービスに掲載されるコンテンツについて
当社グループが提供するコンテンツについては、担当事業部門及び法務部門が第三者の知的財産権侵害が行われていないことを確認する体制を確立しております。しかしながら、第三者の知的財産権の内容や見解の相違等によって、意図せず当社グループに対して知的財産権侵害の責任が追及された場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、外部デベロッパーが提供するコンテンツやユーザー自身が投稿するコンテンツについては、規約の整備等により第三者の知的財産権侵害のリスクを低減するよう努めていますが、当社グループの法的責任を追及され、意図せず訴訟等の紛争に発展した場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 業務提携、M&A(企業買収等)に関するリスク
Ⅰ 他社との業務・資本提携等について
当社グループでは、業務・資本提携、合弁等を通じた事業の拡大に取り組んでおります。当社グループと提携先・合弁先の持つ事業運営ノウハウ等を融合させることにより、大きなシナジー効果を発揮することを目指しておりますが、当初見込んだ効果が発揮されない場合、又はこれらの提携等が解消された場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
Ⅱ M&Aによる事業拡大について
当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるにあたり、これらを加速する手段のひとつとして、M&Aを活用する場合があります。M&Aに当たっては、被買収企業の財務内容や契約関係等についての詳細な事前審査を行い、十分にリスクを吟味した上で決定しておりますが、被買収企業に偶発債務の発生や未認識債務の判明等事前の調査で把握出来なかった問題が生じた場合、また、事業の展開等が計画どおりに進まない場合、当社グループの事業展開及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、買収により、当社グループが従来行っていない新規事業が加わる際には、その事業固有のリスク要因が加わります。
(1)業績等の概要
①業績
我が国における個人のスマートフォン保有率は前年比1.6ポイント増の78.9%(出典:総務省「令和5年通信利用動向調査の結果」)と伸びる一方、2023年の国内ゲームアプリの市場規模は前年比2.0%減の1兆1,886億円(出典:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書 2024」)となりました。
このような環境のもと、当社グループはゲーム・アニメ事業、メタバース事業、DX事業、コマース事業、投資事業の各セグメントにおいて積極的な投資に取り組んでまいりました。
当連結会計年度の当社グループ業績は、売上高61,309百万円(前連結会計年度比18.7%減)、営業利益5,981百万円(同52.1%減)、経常利益7,123百万円(同45.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益4,630百万円(同50.1%減)となりました。
なお、当連結会計年度より、前連結会計年度において「インターネット・エンタメ事業」に含めていた事業を独立した「ゲーム・アニメ事業」、「メタバース事業」、「DX事業」、「コマース事業」、「その他」に区分しており、「投資・インキュベーション事業」について「投資事業」へ名称を変更しております。
また、対前連結会計年度の増減及び増減率については、前連結会計年度の数値を変更後の区分方法に組み替えた数値に基づいて作成しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
a.ゲーム・アニメ事業
既存スマートフォンゲームの長期運営体制による収益安定化及び海外展開による収益力向上に取り組むとともに、新規タイトルの開発を進めてまいりましたが、当連結会計年度は新規タイトルのリリースがなく軟調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高44,837百万円(前連結会計年度比16.4%減)、営業利益6,925百万円(同9.4%減)となりました。
b.メタバース事業
プラットフォーム事業において、スマートフォン向けメタバース「REALITY」のコンテンツ拡充及び機能拡充を進めるとともに、グローバル展開を進めてまいりました。また、費用効率化による収益構造の改善にも取り組んだ結果、プラットフォーム事業は通期黒字化を達成しました。VTuber事業における積極的な投資を継続しながらも、メタバース事業全体で堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高7,245百万円(前連結会計年度比8.7%増)、営業利益206百万円(前連結会計年度は営業損失337百万円)となりました。
c.DX事業
前連結会計年度に終了した大型案件の影響を受けつつも、マーケティングDX事業を中心にDX支援案件数を着実に積み上げ、堅調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,664百万円(前連結会計年度比4.0%増)、営業利益938百万円(同9.0%減)となりました。
d.コマース事業
コマース事業全体で「メディア×SaaS」戦略を推進、メディア事業で培ってきたメディア力を活かし、安定収益基盤であるSaaS事業の強化を進めてまいりましたが、当連結会計年度はメディア事業が軟調に推移しました。また、当連結会計年度に新たに開始したHR事業への積極的な投資も継続してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高1,245百万円(前連結会計年度比2.0%減)、営業利益1百万円(前連結会計年度は営業損失5百万円)となりました。
e.投資事業
インターネット・IT領域を中心に投資するベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資に取り組んでまいりましたが、当社グループ出資ファンドにおける保有株式の売却による収益が減少したこと等により軟調に推移しました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,638百万円(前連結会計年度比69.7%減)、営業損失88百万円(前連結会計年度は営業利益5,875百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ2,994百万円増加し、当連結会計年度末の残高は77,288百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、3,502百万円(前連結会計年度は4,590百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額2,232百万円及び営業投資有価証券の増加1,584百万円があった一方、税金等調整前当期純利益7,174百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は、23百万円(前連結会計年度は439百万円の支出)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入284百万円があった一方、投資有価証券の取得による支出372百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は、999百万円(前連結会計年度は3,264百万円の獲得)となりました。これは主に、社債の発行による収入6,000百万円があった一方、社債の償還による支出5,000百万円及び配当金の支払額1,973百万円があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
インターネットを利用したサービスの提供及びベンチャーキャピタルやスタートアップへの投資を事業としており、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。
b.受注実績
概ね受注から役務提供の開始までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
ゲーム・アニメ事業 |
44,837 |
△16.4 |
|
メタバース事業 |
7,245 |
8.7 |
|
DX事業 |
5,664 |
4.0 |
|
コマース事業 |
1,245 |
△2.0 |
|
投資事業 |
2,638 |
△69.7 |
|
その他 |
153 |
△0.5 |
|
調整額(注1) |
△475 |
- |
|
合計 |
61,309 |
△18.7 |
(注)1.調整額はセグメント間の取引消去であります。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
販売高(百万円) |
割合(%) |
販売高(百万円) |
割合(%) |
|
|
Apple Inc. |
24,974 |
33.1 |
18,613 |
30.4 |
|
Google Inc. |
19,310 |
25.6 |
15,583 |
25.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成し
ております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見
積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があり
ます。
重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結
財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は128,788百万円(前連結会計年度末比3,981百万円増)となりました。
流動資産は112,276百万円(前連結会計年度末比4,909百万円増)となりました。主な増加要因は「現金及び預金」、流動資産の「その他」及び「受取手形、売掛金及び契約資産」がそれぞれ505百万円、292百万円、283百万円減少した一方、「金銭の信託」及び「営業投資有価証券」がそれぞれ3,500百万円、2,531百万円増加したことによるものであります。
固定資産は16,511百万円(前連結会計年度末比927百万円減)となりました。主な減少要因は「繰延税金資産」が435百万円増加した一方、「投資有価証券」、「建物及び構築物」及び投資その他の資産の「その他」がそれぞれ1,011百万円、117百万円、105百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は33,257百万円(前連結会計年度末比1,001百万円増)となりました。
流動負債は15,021百万円(前連結会計年度末比5,369百万円減)となりました。主な減少要因は「未払金」及び「賞与引当金」がそれぞれ351百万円、156百万円増加した一方、「1年内償還予定の社債」及び「契約負債」がそれぞれ5,000百万円、882百万円減少したことによるものであります。
固定負債は18,236百万円(前連結会計年度末比6,371百万円増)となりました。主な増加要因としては「社債」及び固定負債の「その他」がそれぞれ6,000百万円、371百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は95,530百万円(前連結会計年度末比2,980百万円増)となりました。主な増加要因は、「利益剰余金」が2,752百万円増加し、また「自己株式」が228百万円減少したことによるものであります。
企業の安定性を示す自己資本比率は、当連結会計年度末は73.7%であります。また、支払い能力を示す流動比率は当連結会計年度末は747.4%となっております。
③経営成績の分析
売上高は、61,309百万円(前連結会計年度比18.7%減)となりました。売上高の分析につきましては、「(1)業績等の概要 ①業績」をご参照ください。
売上原価は、27,068百万円(前連結会計年度比6.1%減)となりました。
主な減少要因は、協業ゲーム運営に係る業務委託費等の減少によるものであります。
販売費及び一般管理費は28,258百万円(前連結会計年度比17.2%減)となりました。
主な減少要因は、決済代行手数料の減少によるものであります。
営業外収益は、1,347百万円(前連結会計年度比66.1%増)となりました。
主な増加要因は、為替差益の増加によるものであります。
営業外費用は、205百万円(前連結会計年度比7.6%減)となりました。
主な減少要因は、暗号資産評価損の減少によるものであります。
特別利益は、72百万円(前連結会計年度比77.3%減)となりました。
主な減少要因は、投資有価証券売却益の減少によるものであります。
特別損失は、21百万円(前連結会計年度比97.0%減)となりました。
主な減少要因は、投資有価証券評価損の減少によるものであります。
④キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑦資本の財源及び資金の流動性
当社グループは将来の経営環境の変化への対応や新規事業の開発等のために必要な資金を内部留保しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、ゲーム・アニメ事業における開発費、各事業における広告宣伝費等の営業費用になります。また、重要課題である新たな収益源の確保のため、ゲーム・アニメ事業の継続成長、DX事業の強化、メタバース事業の推進に取り組んでいく方針であります。これらの資金需要は自己資金でまかなうことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施致します。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は77,288百万円となっております。
(1)主要な取引契約
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相手先の名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
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Apple Inc. |
Apple Developer Program License Agreement |
iOS搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約 |
1年間(1年毎の自動更新) |
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Google Inc. |
Google Play デベロッパー販売/配布契約 |
Android搭載端末向けアプリケーションの配信及び販売に関する契約 |
定めなし |
(2)その他の経営上の重要な契約
該当事項はありません。
当社グループは、スマートフォン向けゲームコンテンツの開発を行っております。当連結会計年度においては、ゲーム・アニメ事業、メタバース事業において