文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
1)経営方針
当社はグループ理念として、ミッション、バリュー、ビジョンを定め、当社グループの経営における基本方針としております。
(1)ミッション
増収増益企業を共創するネットワークの拡大を通じて 一人ひとりがしあわせを実感できる社会を創造する
(2)ビジョン
100社、1000億、1万人
中小企業100社のネットワーク
グループ売上高 1000億円
グループ営業利益 100億円
社 員 数 1万人
(3)バリュー
① 意志
「絶対こうなる」と強烈に思い続ければ必ず実現する、「こうなりたい」程度では実現しない
② 逆算
現状維持は衰退、自らが望む将来像から逆算してゴール、プロセス、スケジュールを具体的な目標にする
③ 勇気
変わる勇気、嫌われる勇気等、真の勇気を持つ、卑怯な行動はしない
④ 努力
一番を目指して競合他社に勝つ努力をし続ける
⑤ 価格
企業の栄枯盛衰は「値決め」で決まる、売上最大・経費最小、原価意識・採算意識を持つ
⑥ 尊重
「ために」ではなく「共に」、互いを尊重し、平等な関係で信頼しあい、それぞれが持てる力を尽くす
2)経営環境
(1)社会環境
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、緩やかに回復の動きがみられました。一方で、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
(2)事業環境
① グループ全体の事業環境
当社は、地域に根差した中小企業の成長支援を行う、「企業支援プラットフォーム」を構築し、子会社に対しグループ共通の価値観や業績向上への取り組みの支援を行うとともに、「企業支援プラットフォーム」のさらなる充実を図るため、資本提携によるグループネットワークの拡大を進める取り組みを行っております。
わが国では、経営者の高齢化が進む中で中小企業の事業承継が社会的な課題として認識されております。また最近では、物価高騰・人手不足などの事業環境の変化に対応し、企業を成長させるため、人への投資、設備投資、М&A、研究開発投資などが注目されております。
中小企業庁が2024年5月に公表した「2024年版『中小企業白書』」によると、わが国におけるМ&Aは増加傾向にあり、特に中小企業において増加していることが示されました。また、中小企業庁においては、令和5年度以降、税制措置や金融措置、補助金などのあらゆる措置を通じて、中小企業のグループ化を進め、中小企業の成長を後押しする施策を推進しており、当社が推進するM&Aの市場は、事業承継や成長を目的としたМ&Aにより、今後も拡大していくものと見込んでおります。
② セグメント別の事業環境
a.建設関連サービス事業
建設関連サービス事業は、発注者の約9割を行政(国、都道府県、自治体など)が占めております。当社グループでは、事業の発注を受け、土木、建築工事に関わる調査計画、設計、施工管理、維持点検等の「建設コンサルタント業務」の提供を行うとともに、発注者である行政の組織の中で、公共工事の発注に伴って発生する工事の監督、積算や検査などの業務を職員(公務員)に代わって行う「発注者支援サービス」も提供しております。
当事業の市場動向について概観しますと、2024年度の公共事業関係費の一般会計予算は、財務省が2024年4月に公表した「令和6年度 国土交通省・公共事業関係予算について」によると、公共事業関係費の一般会計予算は6兆828億円(前年度比+0.0%)であり、前年度と同水準を維持しております。なお当該予算編成にあたっては、「防災・減災・国土強靭化の推進」、「持続的な成長に向けた取組」、「担い手の確保・賃上げへの対応」、「国民の安全・安心の確保」などが基本的な考え方として示されております。
建設投資の見通しについては、(一財)建設経済研究所が2024年4月に公表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し(2024年4月)」によると、2023年度は72兆3,600億円(前年度比5.2%増)と前年度を上回る水準に、2024年度は74兆3,500億円(前年度比2.8%増)と前年度と比べて微増となる予測がされております。うち、政府投資については2023年度が23兆3,000億円(前年度比4.3%増)、2024年度が23兆6,400億円(前年度比1.5%増)となり、微増になると予測されております。
以上より、当事業の市場は、今後も同水準で底堅く推移していくものと見込んでおります。
b.人材関連サービス事業
人材関連サービス事業は、事務スタッフ派遣、建設技術者派遣、製造業派遣を主要な事業としております。その他の関連する事業として、交通誘導や施設の警備等を行う警備事業、日本で受託した図面作成等業務をカンボジアにて行う海外アウトソーシング事業及びカンボジア人技能実習生送出事業を行っております。
当事業の市場動向について概観しますと、まず有効求人倍率については、厚生労働省が2024年4月に公表した「一般職業紹介状況(令和6年3月分及び令和5年度分)」によると、2023年度平均で1.29倍(2022年度平均 1.31倍)と前年をやや下回る動きが見られました。
労働者派遣事業の状況については、厚生労働省が2024年3月に公表した「令和4年(2022年)度労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」によると、派遣労働者数は約215万人(前年度比2.6%増)、派遣先件数は約80万件(前年度比6.1%増)、年間売上高は8兆7,646億円(前年度比6.4%増)となり、いずれも前年度に比べ増加しました。
警備業の状況については、警察庁が2023年6月に公表した「令和4年における警備業の概況」によると、2022年12月末現在の、警備業法第4条に基づく認定業者数は1万524業者(前年比165業者、1.6%増)、警備員数は58万2,114人(前年比7,824人、1.3%減)、売上高は3兆5,250億円(前年比713億円、2.1%増)となり、警備員数が減少する中で業者数は増加し、売上高も増加しました。なお、令和5年の「警備業の概況」は、2024年7月に公表されており、2023年12月末現在の、警備業法第4条に基づく認定業者数は1万674業者(前年比150業者、1.4%増)、警備員数は58万4,868人(前年比2,754人、0.5%増)、売上高は3兆3,059億円(前年比2,191億円、6.2%減)となり、業者数および警備員数が増加した一方、売上高は減少しました。これには、調査方法を従来とは異なるWEB調査に変更したことに伴い、令和5年末の回答業者数が大幅に減少したことが影響しております。
外国人の雇用状況については、厚生労働省が2024年1月に公表した「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和5年10月末現在)」によると、外国人労働者数は204万8,675人(前年比12.4%増)、外国人を雇用する事業所数は31万8,775か所(前年比6.7%増)となり、平成19年に届出が義務化されて以降、最高を更新しました。在留資格別では、「専門的・技術的分野の在留資格」が59万5,904人(前年比24.2%増)、次いで、「技能実習」が41万2,501人(前年比20.2%増)、「資格外活動」が35万2,581人(前年比6.5%増)、「身分に基づく在留資格」が61万5,934人(前年比3.5%増)となりました。一方で「特定活動」は7万1,676人(前年比2.3%減)となりました。新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症へ移行し、様々な規制の緩和が影響しているものと考えられます。
わが国では人口の減少と高齢化の進展により、労働力人口が大幅に減少することが懸念されていることから、女性・若者・高齢者・就職氷河期世代等の活躍促進に向けた政策なども検討されております。今後は、限りある労働力に対する需要の高まりとともに、当事業の市場は拡大していくものと見込んでおります。
c.建設事業
建設事業においては、道路工事などのインフラ関連工事や法面工事等の専門工事を全般的に行っております。
当事業の市場動向につきましては、a.建設関連サービス事業 の記載と同様であり、当事業の市場は、今後も同水準で底堅く推移していくものと見込んでおります。
d.介護事業
介護事業においては、通所介護(デイサービス)、認知症対応型通所介護(認知症専用デイサービス)、居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)を行っております。
当事業の市場動向について概観しますと、介護保険事業の状況については、厚生労働省が2024年5月に公表した「介護保険事業状況報告の概要(令和6年4月暫定版)」によると、2024年4月末現在の、介護保険第1号被保険者数(65歳以上の方)は3,591万人(2022年3月 3,589万人、2023年3月 3,585万人)、要介護(要支援)認定者数は710.1万人(2022年3月 689.6万人、2023年3月 694.4万人)、居宅(介護予防)サービス受給者は422.4万人(2022年3月 406.5万人、2023年3月 413.1万人)、地域密着型(介護予防)サービス受給者数は91.0万人(2022年3月 89.4万人、2023年3月 89.6万人)となり、介護保険事業の利用者数は全体として増加傾向にあります。
介護サービスは、要介護者、家族等の生活を支えるうえで欠かせないものであり、人材の不足、燃料価格の高騰等、事業環境の先行きは不透明さを増しておりますが、中長期的に介護事業の社会的必要性は高まるものと考えられることから、当事業の市場は今後拡大していくものと見込んでおります。
3)経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは売上高の中長期的な成長を重視しております。また、安定的な利益確保を目指し、売上高営業利益率を客観的な管理指標としております。
4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。
①個社の利益拡大に向けた支援体制のさらなる強化
当社グループに所属する各社は、所在する各地域において、実績があり成長が見込める企業であり、質の高い経営支援を行うことで、さらなる成長のポテンシャルを発揮できるものと考えております。そのため、従来、中間持株会社が主に担ってきた子会社への経営支援機能を当社に集約し、関連会社支援部、人材育成部、DX推進部を新設することで、個社の利益拡大に向けた支援体制のさらなる強化・充実を図ってまいります。
②手堅いМ&Aの推進
当社グループでは、グループ売上高100億円の達成とグループネットワークの拡大を目指し、М&Aを積極的に推進してまいりました。一方で、借入金も増加し、自己資本比率は一時的に低下しております。今後も持続的にМ&Aを推進するため、投資と借入のバランスを図り、手堅いМ&Aの推進を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティに関する課題について、今後リスクマネジメント委員会にて審議・検討を行うこととしております。リスクマネジメント委員会は、最高責任者を当社代表取締役社長とし、当社総務部を統括部署、当グループ各社を担当部署、当グループ各社社長を担当部署責任者として構成され、原則として年2回開催しています。
またリスクマネジメント委員会にてサステナビリティ課題に関わる重要事項について審議された場合、最高責任者は取締役会に対し、当該事項について報告することとしています。取締役会において必要な報告、審議、指示、監督が行われることで、サステナビリティ課題に関わる重要事項が適切に実施される体制としています。
(2)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティを含むリスク全般に関するモニタリング体制として、代表取締役社長の直轄組織である内部監査室と取締役会の諮問機関であるリスクマネジメント委員会があります。内部監査室とリスクマネジメント委員会が連携し、リスクの対応方針や議題について、優先度を識別・評価し迅速な意思決定を図っております。
特に気候関連リスクに対しては、自然災害を重要なリスクと位置づけ、グループ全体とグループ各社別のBCP(事業継続計画)を策定し、今後も継続してリスクマネジメント委員会にて課題の識別、評価および対応を行うこととしております。
当社グループでは、「増収増益企業を共創するネットワークの拡大を通じて 一人ひとりがしあわせを実感できる社会を創造する」とミッションに掲げており、社員一人ひとりを最優先すべき資本のひとつとして位置付けております。特に海外での事業展開を行っていたり、高齢者の方が多く活躍している警備会社を有している人材関連セグメント、女性割合が多い介護事業セグメント等で、国籍・性別・年齢・社歴・学歴に関係なく多様な人材を確保し、一人ひとりが能動的主体性を最大に発揮する為の育成を行う戦略を策定しております。
人材育成に関する方針として、メイホーフィロソフィを実践することにより能動的主体的な人材を増やし永続的発展的な企業を創造します。フィロソフィ教育を行うことにより社員の主体性や創造性を引き出すことができ、組織全体の一体感や帰属意識を醸成することができます。能動的主体的な人材の育成を通じて、将来の経営を担う次世代のリーダーの輩出を目指しています。将来世代のリーダーを創り続けることにより、持続的な成長と社会課題の解決につなげていきます。
社内環境整備に関する方針については、多様な人材が活躍できる環境作りを目指して取り組んでおります。具体的には個々人の目指すキャリアプランに柔軟に応えることが出来るように、コース別の人事制度を導入しております。また、定期的な1on1ミーティングの実施により、上司と部下の対話型コミュニケーションの場を設けることで、個々人のもつ能力を最大限発揮できるような体制を整備しております。
(4)指標及び目標
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)建設関連サービス事業
① 公共事業への依存
当社グループの建設関連サービス事業は、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、国及び地方公共団体の公共投資予算に大きく左右されます。このため、国及び地方公共団体の公共投資予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 価格競争
公共事業の予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、同業他社との価格競争が激化することにつながりかねず、受注単価が下落した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 業績の季節的変動
当社グループの建設関連サービス事業は、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、受注案件の納期並びに売上高が3月末に集中する傾向にあることから、下記「当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)の各四半期連結会計期間の業績」のとおり、当社グループの売上高及び収益も第3四半期連結会計期間に偏重する傾向がある一方、第3四半期以外の四半期業績については低調な着地となる可能性があります。
当連結会計年度(自 2023年7月1日 至 2024年6月30日)の各四半期連結会計期間の業績
(単位:千円)
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第1四半期 |
第2四半期 |
第3四半期 |
第4四半期 |
合計 |
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売上高 |
820,962 |
1,042,365 |
1,335,562 |
731,195 |
3,930,084 |
|
セグメント利益又は損失(△) |
21,397 |
200,449 |
369,396 |
△136,336 |
454,907 |
④ 工事の瑕疵
当社グループでは、実務訓練や社内教育により、徹底した成果品の品質確保及び品質向上に注力しておりますが、万一、成果品に瑕疵が発生し、入札の指名停止措置などの行政処分を受けるような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(2)人材関連サービス事業
① 景況による影響及び取引先の生産体制
当社グループの人材関連サービス事業は、主として人材派遣サービスの事業を行っており、サービス業、建設業及び製造業への人材派遣の割合が高い状況であります。このため、当社グループが人材派遣する取引先の属する業界が業況不振となる場合や工場の海外移転など生産体制が変化し、人材派遣の受け入れを行わないような状況が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 労働者派遣法等の改正
人材派遣サービスは、労働者派遣法等の労働関連法令による規制を受けております。社会環境の変化に伴い、法令改正や規制強化などが行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 労働・社会保険の加入及び料率の影響
当社グループは、「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」に基づき、雇用する派遣労働者の就業状況等を踏まえ、労働・社会保険に加入させております。このため、労働・社会保険料率が上昇し、当社グループの保険料負担部分が増加した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(3)建設事業
① 公共事業への依存
当社グループの建設事業は、建設関連サービス事業と同様に、国及び地方公共団体からの受注割合が高いため、国及び地方公共団体の公共投資予算に大きく左右されます。このため、国及び地方公共団体の公共投資予算が当社グループの想定以上に削減された場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 取引先の信用リスク
事業会社との取引では、一取引における契約金額が多額になり、支払条件によっては、工事代金の回収に長期間を要する場合があります。当社グループは取引先の信用リスク回避の方策を講じておりますが、取引先の信用不安が顕在化し、資金回収が不能となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 労働災害及び事故
建設事業は、その事業の性質上、他の事業と比較して、業務中の事故発生率が高い傾向にあります。当社グループは、社内研修を通じた安全教育や危険予知活動により、従業員に対して安全管理を徹底しておりますが、万一、人命に係る重大な労働災害や事故が発生した場合には、信用力の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
④ 工事の瑕疵
当社グループでは、実務訓練や社内教育により、徹底した成果品の品質確保及び品質向上に注力しておりますが、万一、成果品に瑕疵が発生し、入札の指名停止措置などの行政処分を受けるような事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 人件費の高騰
労働人口の減少等の労働市場の環境変化により、人件費の急激な上昇が生じる可能性があります。その一方で、契約額に人件費の上昇分を転嫁できない場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(4)介護事業
① 安全管理及び健康管理
介護事業は、その事業の性質上、高齢者を対象にサービスを提供しております。このため、利用者の体調悪化や当社グループ施設内での転倒などにより重大な事故に発展する可能性があります。従業員に対して社内研修や実務訓練を通して、利用者の安全・健康管理には万全を期していますが、万一、重大な事故が発生した場合には、お客様から損害賠償請求を受けるだけでなく、当社グループの信用力の低下、業務停止などの行政処分を受けることにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 介護保険制度の改定
介護事業は、介護保険法等の各種関連法令によって規制を受けます。介護報酬制度は3年ごとに改定が行われるため、当社グループの収益源である介護報酬の改定内容が当社グループに対してネガティブな方向で行われた場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 人材確保
介護事業は、介護保険法により有資格者によるサービスが義務付けられており、提供するサービスによっては、必要な有資格者数を確保する必要があります。当社グループでは必要人員数を確保するため、積極的に採用活動を行うとともに、働きやすい職場環境づくりを行うことにより、離職率の低減を行っておりますが、計画通りに有資格者の確保が行えなかったり、想定以上に離職率が高くなったりする場合には、施設の新設ができない、あるいは現在提供しているサービスの停止を余儀なくされるなどにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
(5)全事業共通
① 買収に伴うリスク
当社グループは、将来の当社グループの業績や企業価値の向上に貢献すると判断した場合には、積極的に企業買収を実行することとしております。
しかしながら、企業の売却希望者の減少や買収希望者の増加により、当社グループが取り上げることができる案件数が減少し、計画通りに企業買収を実行できなくなる可能性があります。
また、買収を実行する際には、デューデリジェンスを実施いたしますが、買収後に偶発債務等が確認され、想定外に多額の費用が発生した場合や、企業文化の融和が進まないことなどにより、企図したメリットやシナジーが得られない場合には、投下資金の回収ができなくなる可能性があります。
以上のようなリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
② 新事業領域への進出リスク
現状、新事業領域へ進出する際には、ゼロからのスタートではなく、十分に実績のある企業のM&Aを主な手段として実施する予定であります。
全く知見のない新事業領域における企業をM&Aする場合は、知見のある領域におけるM&Aと比べ、属する業界動向、適用を受ける法令、当該企業の置かれた状況など、より慎重な検討を重ねて実施致しますが、想定していない事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
③ 法的規制
当社グループは、4つの事業を展開しており、事業活動を行う上で、会社法、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、建設業法、建築基準法、建設コンサルタント登録規程、補償コンサルタント登録規程、労働者派遣法、介護保険法等の様々な法規制の適用を受けております。当社グループでは、これらの法規制の遵守を徹底するために、社内規程・マニュアルを整備し、適切な運用を行っておりますが、万一、法規制に抵触するような事態が発生した場合には、業務停止などの行政処分や信用力の低下などにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
④ 自然災害
当社グループは、地域のサポーターとして、特定の地域への進出に留まらず、全国展開を図ってまいります。地震、火災、洪水、津波等の自然災害が発生した際は、当社グループ役職員の人命確保および拠点の維持・確保、業務継続体制の確保に努めておりますが、想定外の自然災害が発生し、事業継続に深刻な支障をきたす場合には、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 情報漏洩
当社グループは、各事業の運営に際し、顧客情報をはじめ業務上取り扱う重要情報を大量に保有しております。当社グループから重要情報が漏洩した場合には、顧客に対する損害賠償責任等による直接的な費用に加え、信用力の低下や社会的な責任問題等が生じ、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑥ 固定資産の減損
当社グループが保有する固定資産の価値が、経済情勢等の変化に伴う収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性を反映させるように固定資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失として計上する必要が出てくることとなるため、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑦ 資金調達に対する金利の変動
当社グループは、金融機関から多額の借入を行っております。現行の借入金利が変動により高くなり、金利負担が増加したり、今後の資金調達における金利負担も増加したりすることにより、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑧ ホールディングス化後の社歴が浅い故に、期間業績比較を行うために十分な期間の財務情報がないことについて
当社グループは1981年7月に設立した有限会社メイホーエンジニアリング(1990年11月に株式会社メイホーエンジニアリングに改組)を前身としております。
2017年2月に、数々のM&Aにより複数セグメント、複数会社体制となったグループの組織体制を見直し、株式会社メイホーエンジニアリングから株式移転により当社を新設し、ホールディングス体制に移行しており、ホールディングス体制への移行後の社歴は浅くなっております。当社は今後もIR活動などを通じて経営状態を積極的に開示してまいりますが、当社の過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。
⑨ 大株主との関係について
当連結会計年度末現在、当社代表取締役であり筆頭株主である尾松豪紀の所有株式は、同氏の配偶者である尾松恵子の所有株式数を含めると、発行済株式(自己株式を除く。)の総数の過半数となります。
今後も相当数の当社株式を保有し引き続き筆頭株主となる予定ですが、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。しかしながら大株主が当社の事業その他に関して有する利益は他の株主の利益と異なる可能性があり、その保有方針や議決権の行使方針によっては、取締役の選解任、企業結合取引等の当社の重要な決定に影響を与えるなど、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑩ 特定の人物への依存について
代表取締役である尾松豪紀は、当社グループにおける経営の最高責任者であり、経営方針の決定をはじめ、事業戦略の立案や実行など当社グループの発展において重要な役割を果たしております。
同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑪ 訴訟等について
当社グループでは、コンプライアンス委員会の開催や社外の専門家との連携のほか、社内規程・マニュアルの整備などにより、法令等遵守体制の強化を図っておりますが、法規制等の改正動向に適時適切に対応できない場合や契約条件の解釈の齟齬などを原因として、当社グループが第三者から訴訟等を受ける可能性があります。
また、当社グループでは、実務訓練や社内教育により徹底した成果品確保及びサービスの向上に注力しておりますが、万一、成果品やサービスに瑕疵が発生した場合、取引先から訴訟を受ける可能性があります。
以上のようなリスクが顕在化した場合、当社グループの業績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
⑫ 配当政策について
当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題として認識しており、将来の事業拡大と財務体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的な配当を実施していくことを基本方針としておりますが、いまだ内部留保が充実しているとはいえず、2017年2月に純粋持株会社として設立されて以来、配当を行っておりません。将来的には、内部留保の充実状況及び取り巻く事業環境を勘案しながら株主への利益の還元を目指してまいります。しかしながら、現状においては配当実施の可能性およびその実施時期等については未定であります。
なお、当社の剰余金の配当につきましては、「会社法第459条第1項の規定に基づき、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」を定款に定めております。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は7,612,471千円となり、前連結会計年度末に比べ3,465,603千円増加いたしました。
流動資産は3,579,214千円となり、前連結会計年度末に比べ1,154,882千円増加いたしました。これは主に、契約資産が408,066千円、流動資産のその他(電子記録債権等)が307,294千円、現金及び預金が224,938千円、売掛金が214,848千円増加したことによるものであります。
固定資産は4,033,258千円となり、前連結会計年度末に比べ2,310,721千円増加いたしました。これは主にのれんが1,967,350千円、建設仮勘定が155,271千円、繰延税金資産が59,767千円、無形固定資産のその他(顧客関連資産等)が57,232千円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は5,592,329千円となり、前連結会計年度末に比べ3,570,574千円増加いたしました。
流動負債は2,426,979千円となり、前連結会計年度末に比べ982,180千円増加いたしました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が322,872千円、買掛金が320,955千円、未払費用が244,958千円増加したことによるものであります。
固定負債は3,165,350千円となり、前連結会計年度末に比べ2,588,394千円増加いたしました。これは主に長期借入金が2,478,934千円、退職給付に係る負債が41,178千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は2,020,142千円となり、前連結会計年度末に比べ104,971千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を87,891千円計上し同額の利益剰余金が減少したこと、為替換算調整勘定が17,796千円減少したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は26.5%(前連結会計年度末51.2%)となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、個人消費や設備投資に持ち直しの動きがみられるなど、緩やかに回復の動きがみられました。一方で、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境は、建設関連サービス事業及び建設事業では、公共投資が底堅く推移しました。人材関連サービス事業では、雇用情勢に改善の動きがみられるなか、派遣労働者数にも増加の動きがみられました。介護事業では、介護報酬の改定や高止まりする運営コストの影響を受けながらも、高齢者人口の増加により需要は堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは、グループ経営基盤の強化、グループネットワークの拡大に取り組んでまいりました。建設関連サービス事業においては、2023年7月3日付で株式会社フジ土木設計(北海道旭川市)の株式の取得(当社の孫会社化)を行いました。建設事業においては、2023年11月1日付で今田建設株式会社、ハーミット株式会社を傘下にもつ今田建設ホールディングス株式会社(大阪府大阪市浪速区)の株式の取得(当社の孫会社化)を行いました。また、人材関連サービス事業においては、2024年2月1日付で株式会社レゾナゲートを傘下にもつイギアルホールディングス株式会社(東京都渋谷区)の株式の取得(当社の孫会社化)を行いました。なお、今田建設ホールディングス株式会社は、2024年4月1日付で今田建設株式会社に、イギアルホールディングス株式会社は、2024年5月1日付で株式会社レゾナゲートに、それぞれ合併いたしました。以上より、当社を含むグループネットワークの会社数は、前年同期比で4社増加し、22社となりました。
株式会社フジ土木設計は、第1四半期連結会計期間より、今田建設ホールディングス株式会社(現、今田建設株式会社)は、第2四半期連結会計期間より、イギアルホールディングス株式会社(現、株式会社レゾナゲート)は、第3四半期連結会計期間より当社グループの業績に貢献しております。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高10,347,883千円(前年同期比40.4%増)、営業利益146,669千円(同68.3%減)、経常利益88,581千円(同82.1%減)、親会社株主に帰属する当期純損失87,891千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益269,858千円)となりました。なお、株式会社フジ土木設計、今田建設ホールディングス株式会社ならびにイギアルホールディングス株式会社の株式取得に伴うアドバイザリー費用等及びМ&Aの取り組みに伴う費用として163,723千円が販売費及び一般管理費に含まれております。また、今田建設ホールディングス株式会社の株式の取得資金調達に伴う費用として81,500千円を営業外費用に計上しております。加えて、税効果会計適用後の法人税等の負担率が高率になっておりますが、これは税効果を認識しないのれんの増加等によるものであります。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の減少は大型のМ&Aの一時的な費用に起因している部分が大きく、当連結会計年度限りの一時的な利益減少であると考えております。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント別の売上高及び利益は、連結相殺消去前の数値を記載しております。
(建設関連サービス事業)
建設関連サービス事業においては、株式会社フジ土木設計(2023年7月グループ加入)の売上高が寄与したことなどから、売上高は3,930,084千円(前年同期比4.6%増)となりましたが、前年に発生した災害復旧業務による利益が剥落したこと、外注費の増加による原価上昇、一部の業務において工期の延期が発生したことなどから、セグメント利益は454,907千円(同22.5%減)となりました。
また、受注高については、株式会社フジ土木設計の受注高が寄与したことなどから、3,948,966千円(同2.3%増)となり、受注残高は2,255,588千円(同12.3%増)となりました。
(人材関連サービス事業)
人材関連サービス事業においては、株式会社レゾナゲート(2024年2月グループ加入)の売上高が寄与したことに加え、既存の人材派遣事業が好調に推移したこと、また岐阜市が発注する大型の警備案件を受注したことなどから、売上高は2,436,632千円(前年同期比84.1%増)となり、セグメント利益は、124,479千円(同22.5%増)となりました。
(建設事業)
建設事業においては、株式会社三川土建(2023年1月グループ加入)、今田建設株式会社ならびにハーミット株式会社(2023年11月グループ加入)の売上高が寄与したこと、請負工事の一部に増額変更があったことなどから、売上高は3,190,496千円(前年同期比99.8%増)となりました。一方、株式取得に伴う一時費用やのれん償却額の増加、一部工事の工期延期や受注時期の遅れなどから、セグメント損失が49,148千円(前連結会計年度はセグメント利益158,981千円)となりました。
受注高については、新たにグループに加入した会社の受注高が寄与したことなどから、3,708,338千円(同82.4%増)になり、受注残高は2,815,329千円(同162.3%増)となりました。
(介護事業)
介護事業においては、新型コロナウイルス感染症による休業や利用者控えが終息し、利用者数が回復したことなどから、売上高は792,052千円(前年同期比12.1%増)、セグメント利益は、食材費、燃料費、光熱費が高止まりしている状況の中、経費削減や業務の効率化を図り127,249千円(同23.7%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して224,938千円増加し、1,351,071千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは662,143千円の増加(前連結会計年度は1,138,422千円の増加)となりました。資金増加の主な内訳は、のれん償却額293,134千円の計上、減価償却費150,182千円の計上、立替金の減少額143,036千円、未払費用の増加額87,994千円、シンジケートローン手数料81,750千円の計上によるものであります。資金減少の主な内訳は、契約負債の減少額100,734千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,703,256千円の減少(前連結会計年度は532,275千円の減少)となりました。資金減少の主な内訳は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,911,777千円によるものであります。資金増加の主な内訳は、定期預金の払戻による収入185,928千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,265,629千円の増加(前連結会計年度は372,857千円の減少)となりました。資金増加の主な内訳は、長期借入れによる収入3,130,000千円によるものであります。資金減少の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,403,997千円、社債の償還による支出293,759千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
当社グループが営んでいる事業では、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載しておりません。
a.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|||
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
建設関連サービス事業 |
3,948,966 |
+2.3 |
2,255,588 |
+12.3 |
|
建設事業 |
3,708,338 |
+82.4 |
2,815,329 |
+162.3 |
|
合計 |
7,657,305 |
+29.9 |
5,070,916 |
+64.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.人材関連サービス事業及び介護事業については、受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
建設関連サービス事業 |
3,930,084 |
+4.6 |
|
人材関連サービス事業 |
2,436,632 |
+84.1 |
|
建設事業 |
3,190,496 |
+99.8 |
|
介護事業 |
792,052 |
+12.1 |
|
セグメント間の内部売上高 |
△1,380 |
- |
|
合計 |
10,347,883 |
+40.4 |
(注)主要な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
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相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
|
|
国土交通省 |
915,837 |
12.4 |
1,055,691 |
10.2 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・内容検討等
(売上高)
当連結会計年度の売上高は10,347,883千円となり、前連結会計年度に比べ2,977,072千円増加いたしました。これは主にセグメント間取引を除いた売上高が、建設関連サービス事業で173,859千円、人材関連サービス事業で1,123,780千円、建設事業で1,593,965千円、介護事業で85,469千円、前連結会計年度より増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は7,689,262千円となり、前連結会計年度に比べ2,542,112千円増加いたしました。これは主に売上高の増加に伴い外注費等が増加したこと、人員増に伴い人件費が増加したことによるものであります。この結果、売上総利益は前連結会計年度に比べ434,960千円増加し2,658,621千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,511,952千円となり、前連結会計年度に比べ750,650千円増加いたしました。これは主に株式の取得(当社の孫会社化)に伴い取得関連費用が発生しのれん償却額が増加したこと、業務委託手数料が増加したことによるものであります。この結果、営業利益は前連結会計年度に比べ315,689千円減少し146,669千円となりました。また売上高営業利益率は1.4%(前連結会計年度は6.3%)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は56,317千円となり、前連結会計年度に比べ11,332千円増加いたしました。これは主に為替差益が18,694千円増加したことによるものであります。一方で営業外費用は114,405千円となり、前連結会計年度に比べ102,693千円増加いたしました。これは主にシンジケートローン手数料が新たに81,750千円発生したこと、支払利息が25,308千円増加したことによるものであります。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ407,051千円減少し88,581千円となりました。
(特別利益、特別損失、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は1,797千円となり、前連結会計年度に比べ667千円増加いたしました。これは主に固定資産売却益が515千円増加したことによるものであります。一方特別損失は10,890千円となり、前連結会計年度に比べ8,199千円増加いたしました。これは主に固定資産除却損が7,802千円増加したことによるものであります。
法人税等(法人税等調整額を含む)は167,378千円となり、前連結会計年度に比べ56,835千円減少いたしました。これは課税所得が前連結会計年度に比べ減少したこと等によるものであります。税金等調整前当期純利益に対する税金費用の比率は210.6%で、前連結会計年度の45.4%から165.2ポイント増加しておりますが、これは税効果を認識しないのれんの増加等によるものであります。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は87,891千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益269,858千円)となりました。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、適用を受ける法令の改正等には細心の注意を払い情報収集に力を入れる等、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因について低減し、適切な対応に努めてまいります。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は大きく分けて、運転資金需要と投資資金需要の二つがあります。
運転資金需要の主なものは、従業員に対する給与等の人件費、建設事業及び建設関連サービス事業における外注費、材料費等の取引先への支払いによるものであり、投資資金需要の主なものは、既存事業の拡大や新規事業への進出を目的とした企業買収資金や設備投資資金であります。
運転資金需要に対しては、事業で生み出す営業キャッシュ及び手許流動性資金で賄うことを基本方針としつつ、一時的に資金需要が偏った場合には、金融機関からの短期借入金で賄っており、投資資金需要については、金融機関からの長期借入金で賄っております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、売上高の中長期的な成長を重視しております。また、安定的な利益確保を目指し、売上高営業利益率を客観的な管理指標としております。当連結会計年度における営業利益率は1.42%(前年同期比4.86ポイント減)でした。引き続き当該指標が改善されるよう努めてまいります。なお、過年度の指標の推移は次のとおりであります。
|
項目 |
2020年6月 |
2021年6月 |
2022年6月 |
2023年6月 |
2024年6月 |
|
売上高(千円) |
5,233,755 |
5,274,487 |
6,112,595 |
7,370,810 |
10,347,883 |
|
営業利益(千円) |
286,174 |
383,819 |
342,809 |
462,358 |
146,669 |
|
営業利益率(%) |
5.47 |
7.28 |
5.61 |
6.27 |
1.42 |
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
(1)連結子会社の株式取得による企業統合
当社の連結子会社である株式会社メイホーエクステックは、2023年10月12日開催の取締役会において、株式会社今田建設ホールディングスの発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、2023年10月12日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
なお、2024年1月17日開催の取締役会において、今田建設ホールディングス株式会社を消滅会社、今田建設株式会社を存続会社とする吸収合併を決議し、2024年2月1日付で合併契約を締結しました。
当社の連結子会社である株式会社メイホーアティーボは、2024年1月17日開催の取締役会において、株式会社イギアルホールディングスの発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、2024年1月17日付で株式譲渡契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。
なお、2024年2月13日開催の取締役会において、イギアルホールディングス株式会社を消滅会社、株式会社レゾナゲートを存続会社とする吸収合併を決議し、2024年3月13日付で合併契約を締結しました。
(2)完全子会社の吸収合併
当社は、2024年8月13日開催の取締役会において、当社を存続会社、株式会社メイホーエクステックを消滅会社とする吸収合併を決議し、2024年8月13日付で合併契約を締結しました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
(3)現物配当による子会社株式の取得
当社は、2024年8月13日開催の取締役会において、当社の完全子会社である株式会社メイホーエンジニアリング及び株式会社メイホーアティーボより、それぞれ同社が保有する全ての子会社株式を現物配当により取得する決議を行いました。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」をご参照ください。
該当事項はありません。