3 【評価結果に関する事項】

(訂正前)

上記の評価の結果、当事業年度末日時点において、当社の財務報告に係る内部統制は有効であると判断しました。

 

(訂正後)

下記に記載した財務報告に係る内部統制の不備は、財務報告に重要な影響を及ぼすこととなり、開示すべき重要な不備に該当すると判断いたしました。したがって、当事業年度末日時点において、当社グループの財務報告に係る内部統制は有効でないと判断いたしました。

 

 

2024年3月期に、当社の連結子会社であるファインシンターインドネシア株式会社(以下「FSI」といいます。)において、2020年3月期から2024年3月期までの棚卸資産の不適切な会計処理により、実態と相違がある資産計上が行われている疑いがあることが判明したため、2024年5月23日、当社とは利害関係を有しない外部の弁護士が委員長を務め、その他の外部専門家を含む委員で構成される特別調査委員会(以下「本特別調査委員会」といいます。)を設置し、本特別調査委員会によって事実関係の調査、本件に類似する事象の有無及び存在する場合の事実確認、調査の結果判明した事実が財務諸表に与える影響の調査、本件の原因分析及び再発防止策の提言、件外調査が実施されました。当社は、2024年9月28日に受領した調査報告書の内容を確認した結果、FSIにおいて、2020年1月から2024年3月までFSI代表取締役社長の指示により、FSI生産管理部にて数量を水増しした棚卸データが作成され、棚卸資産が過大に計上される不適切な会計処理があったことが判明しました。また、当社国内工場において製造されていた部品の一部について、販売予定が無くなったにもかかわらず、複数年にわたって棚卸資産として資産計上されたままとなっていたことも調査の中で判明しました。

これを踏まえ、当社は、過年度の決算を修正するとともに、2021年3月期から2023年3月期までの有価証券報告書及び2022年3月期第1四半期から2024年3月期第3四半期までの四半期報告書について訂正報告書を提出することとしました。なお、2020年3月期に関しては財務諸表に与える影響額は限定的であるため、重要性を勘案し、訂正報告書は提出しないこととしました。

これらの誤りを当社グループの全社的な内部統制、決算・財務報告プロセス及び業務プロセスにおいて発見できなかったことについては、主に下記の内部統制における開示すべき重要な不備があったと認識しております。

 

 全社的な内部統制における開示すべき重要な不備

・コンプライアンスに対する経営陣の姿勢

・コンプライアンス教育・研修

・予算・実績管理

・取締役(会)の体制

・取締役の倫理性

 

 当社の決算・財務報告プロセスにおける開示すべき重要な不備

・棚卸資産(通常品)の評価

滞留品の評価減を計上するための経理ルールが設定されておらず、それに関する統制も設定されていなかった。

 

 FSIの業務プロセスにおける開示すべき重要な不備

・棚卸資産プロセス実地棚卸

運用マニュアルでは財務経理部も棚卸数量データの確認をすることになっていたが、財務経理部での確認がなされていなかった。

 

なお、上記の開示すべき重要な不備につきましては、当該事項の判明が当事業年度の末日後であったため、当事業年度の末日までに是正することができませんでした。

当社は、財務報告に係る内部統制の重要性を認識しており、これらの開示すべき重要な不備を是正するために、本特別調査委員会からの指摘・提言も踏まえ、以下の再発防止策を講じて適正な内部統制の整備及び運用を図ってまいります。

 

 

 海外子会社における牽制機能の強化

(ア)現地スタッフの計画的育成及び現地スタッフへの動機付け

コンプライアンス、会計、社内ルールの教育の強化を行うとともに、Directorなどの経営に関与できる人材の育成や採用を強化します。

(イ)日本人駐在員として赴任する者に対する教育

これまでの赴任者向けの教育に加え、経営層向けのカリキュラムを追加するなど海外赴任前教育の拡充を行います。また、コンプライアンスに関する当社及び全子会社との情報交換会を実施します。

(ウ)現地スタッフが相談しやすい環境づくり

海外赴任者の赴任前後の言語教育の強化を行うなど赴任者が現地のスタッフに積極的に寄り添うことができるような施策を講じることにより、赴任者と現地スタッフ間のコミュニケーションの促進を図ります。

 

 海外子会社との関係性の見直し

(ア)経営陣を含む当社と海外子会社の双方向の議論を行うための制度及び子会社支援体制の構築

グローバル生産支援室を中心として、経営者懇談会の開催を進め、また、実務者クラスでの改善事例・困り事対応の共有会を行います。

(イ)経理部や監査室による現地往査等、海外子会社と直接コミュニケーションをとる方策の検討

経理部・監査室の体制強化を行い、子会社への往査等によるリスク検知・情報共有の強化を行います。

(ウ)定期的なジョブローテーションの検討・見直し

経営を担うグローバル人材の育成計画の強化を行うことにより、定期的なジョブローテーションを継続的に可能とする体制を整えます。

 

 当社における役割と責任の明確化

(ア)短期的な黒字化要求の見直し

本質的な改善を促す管理指標設定などにより、現場力を高め生産性の向上につなげます。収益管理における各部署の役割の明確化を進めます。

(イ)牽制機能の明確化

経理部、生産管理部、品質保証部等における牽制機能業務を明確にし、社内への周知徹底を行います。また、役員相互間での牽制が働くように取締役会の運営の改善も行います。

(ウ)責任の明確化

重要な意思決定において責任部署が曖昧な業務がないか洗い出しを行った上で、責任部署を明確にし、責任者不在の状態をなくします。

(エ)ルールの明確化と周知徹底

在庫管理に関するルールを見直し、当該ルールの運用のため周知徹底を行います。

 

 会計ルールの意味についての周知徹底

役員を含む構成員に対する在庫を含めた会計知識及び収益管理の周知徹底を行います。

 

 当社グループにおける組織風土の見直し

間違いに気づき、全員で解決するという明確な方針をメッセージとして、継続的に発信することによりグループ全体のコンプライアンス意識の醸成を行います。また、役員を含む継続的な教育と情報交換会を実施します。更に、創立記念日である10月1日を「再出発の日」と定め、社長直轄プロジェクト「再出発委員会」を立ち上げ、上下間の隔たりの無い闊達な議論を行い、コミュニケーションを促進することにより、社内の問題点を洗い出し改善を進めてまいります。

 

以上