第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

(1) 経営方針

当社グループは、企業理念に掲げるミッションである「ICTで世の中をもっと便利に」のもと「Update The World 変化し、変化させ、必要不可欠な会社に」を企業ビジョンとしており、インフラテック事業を推進することで、インフラ業界の抱えるデジタル化が遅れた非効率な現場作業や業界特有の多重下請けによる高コスト構造といった課題を解決し、より快適な社会の実現に貢献してまいります。

同時に、顧客へのサービス提供を通じて当社の社員が成長し続けることを支援し、結婚・出産といったライフステージの変化に合わせたテレワークやフレックス勤務の推進、多国籍な人材の登用などを促進するとともに、自律的でフラットな組織を構築し、顧客へ高い付加価値を提供できるプロフェッショナルの育成に努めます。

 

(2) 経営環境

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する等各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調となりました。その一方で、中東地域をめぐる情勢等を背景とした資源価格の高騰、物価の上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような経済環境のもと、当社の事業領域であるモバイルエンジニアリング分野においては、通信キャリア各社が足元の設備投資を抑制するとともに、今後もコスト抑制要請は進むことが予想されます。

 

(3) 中長期的な経営戦略

① 中核事業(モバイルエンジニアリングサービス)の維持・拡大

 モバイルエンジニアリングサービスにおいては、各携帯キャリアの設備投資はピークアウトし、2023年は合計1兆5,463億円と投資総額自体は微減となっています(2022年度は合計1兆7,770億円)。また、2026年には合計1兆2,100億円まで縮小することが予想されております(株式会社MCA「携帯電話基地局市場及び周辺部材市場の現状と将来予測 2023年版」)。

 そのため、6Gエリア構築に向けた情報収集を行いながら体制維持及び新規顧客へのアプローチを行っていきます。

 

② 成長事業(IoTエンジニアリングサービス)の圧倒的成長

 機器設置のフロー案件から監視・保守のストック案件に事業を拡大していきます。また、BLASSaaS(※1)として提供するだけではなく、BPO(Business Process Outsourcing)サービスと組み合わせ、BPaaS(※2)として提供することで事業拡大目指します。これらにより新規顧客開拓、既存顧客深耕を進め、IoTエンジニアリングサービスを第2の柱に事業拡大していきます。また、IoTの顧客に対し、アップセル、クロスセルとなりうる商材・サービスを持っている企業のM&Aも積極的に検討していきます。

 

1:SaaSSoftware as a Service)は、クラウドを介して提供されるサブスクリプション型ソフトウェアサービスで、利用者はインターネット経由で柔軟にアクセス可能。BLASを有償化し、SaaSとして提供。

※2:BPaaS(Business Process as a Service)は、業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし(BPO)、クラウド上のソフトフェア(SaaS)を使って、業務効率化を実現するサービス。

 

③ 育成事業(ITインフラ)の立ち上げ

 これまでその他サービスはRPAのエンジニアリング等を行っておりましたが、サーバーやネットワーク関連のITインフラ領域にも事業拡大を進め、参入障壁の低い保守領域から参入し、より高単位な上流工程に事業拡大を計画しています。

 

 

▼事業ポートフォリオ図

0102010_001.png

 

(4) 目標とする経営指標

 

 当社グループは、企業価値を向上させ株主価値を高めることが重要であると考えており、そのためには、より専門性を高め、事業拡大を進めていくことで収益性を向上させ、継続的な成長を目指すことが重要であると認識し、客観的な経営指標として、EBITDAを重視しております。2024年6月期の売上高およびEBITDAは実績値、2025年6月期は2024年8月14日発表の業績見通し、2026年6月期は2023年10月24日発表の中期経営計画(2024年6月期~2026年6月期)における目標となります。

 

 

2024年6月期

2025年6月期

2026年6月期

売上高(百万円)

6,822

7,920

9,612

EBITDA(百万円)

138

182

753

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 

① 新規顧客及び協力会社の開拓

 当社グループの売上高に占める特定顧客への依存度が高く、その依存度を引き下げ安定的な事業基盤を構築するべく、5GやIoTの普及促進を前提とした新たな通信キャリアやIoT機器メーカーなど新規顧客との取引拡充が喫緊の課題と考えております。また、適正価格による高品質なインフラ構築・運用を全国規模へ拡大するため、国内を網羅するベイシスパートナーズの構築もあわせて拡充していく必要があると考えております。

 

② テクノロジーの強化

 当社グループは、インフラテックによるビジネスモデルの変革を標榜しており、その根幹を担う業務のDX化を推進するため、自社内にシステム開発体制を保持しております。今後は、新しいテクノロジーを取り入れながらさらにDX化の対象となる領域を拡大し、競争優位なシステムの構築を図る必要があると考えております。

 具体的には、まずは自社システムBLASの継続的な機能拡充、また将来的にはBLAS以外にも新たなシステムの開発が必要であると考えており、社内開発体制強化や他社との業務提携などを行います。そのため、DXにおける中長期ビジョンの策定やその推進担当者の選任、作業の標準化、社内システムの見直しを行い社内のDX化を推進します。

 

③ 人材の確保と育成

 当社グループにおいて、優秀な人材の採用および育成は事業を拡大するうえでの重要な課題の一つであると考えております。安定的な採用を維持し人材の定着率を高めるために、積極的な採用を行っていくとともに、人事研修制度の充実、資格取得※の促進や多様な勤務形態の導入等により社員にとって働きがいのある働きやすい環境の整備も実施してまいります。また、生産キャパシティの拡大という観点より協力会社リソースの拡充も必要であり、ベイシスパートナーズの獲得と協力会社社員への指導、育成も進めてまいります。

 

※ 社内エンジニアの48%が国家資格を保有(2024年6月末時点)

 

④ 個人情報の取り扱い及び情報管理体制の強化

 当社グループでは、事業活動を通して顧客が保有する取引先情報や個人情報等の機密性の高い情報を取り扱うことがあります。そのため、情報管理体制をさらに強化することが課題であると考えております。これらの情報の取り扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム国際規格(ISO27001、ISO27017)認証を取得し、個人情報や機密情報に関する取り扱いを社内規程に定めておりますが、今後も社内研修の継続実施等により、セキュリティ意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めて参ります。

 

⑤ 法令遵守の体制強化

 当社グループのサービスは、業務委託契約(準委任契約を含む)により事業を行う場合があります。その場合、労働者派遣事業との違いを明確に認識し、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(1986年4月17日 労働省告示第37号)に従って、事業を運営しております。また、一部の事業につきましては、建設業法、労働者派遣法の適用を受けており、法令遵守の体制をより一層強化することが必要であると考えております。社内においては、入社研修や講習を定期的に実施し、法令遵守の重要性につき継続的に周知徹底を行うなど、法令に則った事業運営に努めてまいります。

 

⑥ 内部管理体制、コーポレート・ガバナンスの強化

 当社グループが今後の事業環境の変化に対応し、また新たに事業拡大を進めるためには、内部管理体制とコーポレート・ガバナンスを強化していくことが重要であると認識しており、その体制を整備し実効性を高めることでリスク管理の徹底や業務の効率化を図ってまいります。

 

⑦ 顧客、パートナー、従業員のエンゲージメントの可視化及び向上

 当社グループは顧客、パートナー、従業員のエンゲージメントや満足度の可視化を図るため各種サーベイを導入しております。まずは2019年より従業員エンゲージメントの可視化と改善アクションを開始しており、具体的にはサーベイの結果を従業員の様々な属性(雇用形態、所属部門、在籍年数、年齢層等)から多面的に分析し、従業員の期待度と満足度の乖離が高い事項を重点対策項目として改善活動に取り組んでおります。また、2020年からはネットプロモータースコア(NPS)を導入し、顧客及びパートナーから自社の強み・課題並びにその要因をヒアリングして現場にフィードバックすることで日々の業務における改善へと繋げ、当社グループのステークホルダー全体に係るエンゲージメントの向上を図ってまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ推進体制を強化し、企業価値向上と持続可能な成長を目指して代表取締役を中心としたプロジェクトチームによりサステナビリティに関する議論を継続して行なっております。特に、人材を「戦略的な資本」として捉え、人事戦略の中核に据えることで、事業目標の達成と社員個々の成長を両立させる体制を構築してまいります。この戦略は、取締役会が監督する体制のもと、組織全体で共有され、各部門において実行されています。

取締役会はサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、管理するためのガバナンスに関しては、コーポレート・ガバナンス体制と同様となります。当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

 当社グループはインフラテック事業が主要なサービスであり、「ICTで世の中をもっと便利に」というミッションを掲げております。今まで中間業者が担っていたアナログで非効率な業務に対してテクノロジーを駆使して生産性を高め、インフラテックプラットフォームを構築することで多重下請構造を解消し、サステナブルな社会を支えるICTインフラの構築・維持に貢献いたします。

サステナビリティの向上を推進するにあたり目指すべき社会の実現に向け、企業理念・中期経営計画・ステークホルダーからの期待を反映したマテリアリティを特定し、3か年ごとの中期経営戦略の策定に合わせ見直し、設定してまいります。

マテリアリティ特定プロセスは以下のとおりであります。

 

STEP 1:候補となる課題の抽出

ESG・SDGsやSASBスタンダードなどの国際的なコンセンサスや各種ガイドラインを社会課題の主な根拠として参照し、当社事業と強く関連し得る課題を経営陣と従業員を代表した社員複数名で検討を重ね、マテリアリティ要素を抽出しました。

 

STEP 2:重要度の評価

マテリアリティ要素案について、当社経営陣と意見交換を行い、その妥当性を検証するとともに経営課題との関連性を踏まえ、各要素について経済性と社会性の2軸で評価しました。

 

STEP 3:マテリアリティの特定

当社グループの経営会議において、経営陣における協議と承認を得て、マテリアリティとして決定いたしました。

   当社のマテリアリティは「サステナブルな社会を支えるICTインフラを創る・守る」ことと、そこに「関わる人を

   大切にする」ことであります。

サステナビリティに関わる活動をマトリックス図にて重要度を可視化し、各重点テーマでの具体的な取組みをサステナビリティへの取組みとして設定しました。事業推進と共に社会への価値提供を進めてまいります。

0102010_002.png

0102010_003.png

 

「サステナブルな社会を支えるICTインフラを創る・守る」ためには、そこに「関わる人を大切にする」こと、すなわち ICTインフラの知識や経験を豊富に有する人材を育成し活躍させることが、事業戦略を実現する上で最重要であると考えております。

上記マテリアリティを実現するためには、多様な人材を企業組織に受け入れ、 一人一人の能力を最大 限発揮できる人材育成を中心とした組織変革を行い、企業の成長と個人の幸福に繋げられるよう「ダイバーシティ経営」を当社サステナビリティ経営における戦略の根幹にすえ、全社を挙げて力強く推進してまいります。

 

<ミッション実現におけるダイバーシティ経営の位置づけ

0102010_004.png

人的資本経営フレームワーク(田中弦モデル)/Unipos株式会社提供

 

<ダイバーシティ経営のフレームワーク>

0102010_005.png

 

 当社グループの中長期ビジョンである通信インフラエンジニアリングの領域を超えたICTインフラ全般のエンジニアリングカンパニーへの進化を遂げるために、サステナビリティ経営の根幹に据えた「ダイバーシティ経営」を実践します。それを支えるためのフレームとして「人事戦略ポリシー」を策定し、具体的な「人材育成・人材活用方針」を定め推進してまいります。

 

 

当社グループでは、中期経営計画実現に向けた人事戦略の方針として「戦略的な人材活用を通じて、事業目標の達成と社員個人の成長を同時に促進する。」を掲げております。

この人事戦略方針を具体化するために、当社グループは人材を単なるリソースではなく、企業の成長を担う重要な資本と捉えています。そのため、社員の成長を事業戦略の達成と密接にリンクさせ、企業の成長が個人の成長に直結する仕組みを構築します。戦略的な人材活用とは、単なるスキルマッチングを超え、社員が自らの成長を通じて企業目標に貢献できるよう、長期的視点に立った育成・評価のサイクルが機能することを指します。これを実現するために、以下の具体的な施策を実施してまいります。

 

①事業戦略実現に向けた人材要件・役職要件の明確化

 当社グループでは、事業戦略を効果的に推進するために、各役職に求められるスキルセットとリーダーシップ要件を明確化します。具体的には、現行の事業戦略と各業務プロセスを詳細に分析し、各ポジションに必要とされる専門的スキル(例:技術的スキル、マネジメント能力)と役職に応じたリーダーシップ要件を明確にします。

 また、これらの要件は、採用プロセスにおいての評価基準となるだけでなく、既存の社員のキャリア開発にも活用します。具体的には、ポジションごとに期待される成果や目標を設定し、それに基づいた評価とフィードバックを通じて、社員の成長を促進します。さらに、この要件は社内の育成プログラムと連動させることで、計画的なスキルアップとリーダーシップの開発を推進します。

 

②キャリアパスの明確化

 社員が長期的なキャリアプランを構築し、自己成長を実現できるように、キャリアパスの明確化を図ります。各職種や役職ごとにステージを定義し、各ステージで必要とされるスキルや能力を明確にしてまいります。

 さらに、キャリアパスを進展させる上で必要なスキルや能力を社員が把握できるようにし、キャリアアップに向けた行動計画を立てられる支援体制を整えます。具体的には、メンター制度や成長支援プログラムを導入し、社員が自らのキャリアプラン実現に向けたスキル開発に取り組む環境を提供します。

 

③事業戦略に沿った人材育成

 当社グループの事業戦略に直結した人材育成プログラムを強化します。特に、プロジェクトマネージャー(PM)の育成に焦点を当て、ビジネス基礎力を中心としたポータブルスキルとプロジェクトマネージャーに必要とされるテクニカルスキルの向上を目指した研修プログラムを展開します。

 具体的には、プロジェクト管理、リスク管理、予算管理等の各スキルを強化する研修を導入し、実務に即したスキルを育成します。また、これらの研修は、個々の社員の役割を踏まえた上で事業戦略実現に直結しうる内容で設定されます。

 さらに、研修終了後には、学んだスキルを現場で実践する機会を提供し、実際の業務に直結したスキル定着を支援します。これにより、事業戦略の実行に貢献できるリーダーを育成し、会社全体の競争力を高めます。

 

(3)リスク管理

  当社において、全社的なリスク管理は代表取締役を中心としたリスク管理委員会において、各部門責任者のモニタリングによって行なっており、特に重要なリスク管理は取締役会へと報告され、取締役、監査役による協議を行なっております。 また、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、プロジェクトチームの中でより詳細な検討を行ない、共有しております。優先的に対応すべきリスクの絞り込みについては、当社に与える財務的影響、当社が環境・社会に与える影響などの発生可能性を踏まえ行なわれ、重要なリスクは、取締役の協議を経て戦略、計画へと反映され、取締役会へ報告、監督されます。
 サステナビリティに関するリスクへの対応状況は、プロジェクトチームにおいてモニタリングされ、その内容は取締役会へ報告されます。サステナビリティに関する機会の識別、評価や優先順位付けはプロジェクトチームにておいて行なわれ、重要と認識された機会については取締役の協議を経て、戦略、計画に反映され、取締役会へ報告、監督されます。

 

(4)指標及び目標

 当社グループは、上記(2)戦略において記載した「ダイバーシティ経営」を遂行していくために人材の多様性の確保が重要と考えており、次の指標を用いております。当該指標に関する目標および実績は次のとおりであります。なお、当該指標に関する目標および実績は提出会社における記載となっており、連結子会社の実績は含んでおりません。

 

 

指標

実績

(2023年6月期)

実績

(2024年6月期)

目標

(2026年6月期)

正規雇用社員に占める女性比率

27.1%

26.3%

継続的に30%

前後を維持

管理職に占める女性労働者の割合

3.2%

3.0%

10.0%

係長職級に占める女性労働者の割合

-

20.3%

20.9%

役員に占める女性比率

12.5%

12.5%

20.0%%

女性労働者の育児休業取得率(全従業員)

100%

100%

100%

男性労働者の育児休業取得率(全従業員)

33.3%

25.0%

50.0%

有給休暇取得率(全従業員)

66.0%

68.8%

75.0%

平均所定外労働時間(全従業員)

20.2時間/月

18.6時間/月

14.0時間/月

離職率(正規雇用社員)

6.5%

8.4%

継続的に10%

以下を維持

テレワーク勤務利用率(全従業員)(注)1.

77.6%

87.2%

継続的に80%

前後を維持

プロジェクトマネージャー認定者数

(注)2.

-

69人

110人

(注)1.全従業員を対象とし、週1回以上のテレワーク勤務を利用している者を集計しております。

2.社内の育成プログラムを受講し、実務経験を経て認定要件を満たした者を集計しております。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しています。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

① 事業環境及び顧客の動向について

 当社グループは通信事業者(移動体通信キャリア)を主たる顧客としており、当社グループが展開するモバイルエンジニアリングサービス(通信インフラの施工や通信システム運営管理要員の提供等)は、利用機器であるスマートフォンが生活必需品となったことで定常的な需要があり、国内外の経済情勢や景気動向等の影響を受けづらいものであると考えております。しかしながら、2020年春にサービスが開始された第4のキャリアの参入や政府から通信キャリア各社に対する通信料金の見直し要求もあり、顧客間における競争激化や予測しえぬ業績悪化に伴い今後普及が期待される5G通信に対する設備投資費の縮小、内製化等により当社グループの提供するサービス領域が縮小する場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、モバイルエンジニアリングサービスに加えて第二の柱としてIoTエンジニアリングサービスを立ち上げ、その拡大をもってリスクの低減に努めております。

 

② 法的規制等について

 当社グループのモバイルエンジニアリングサービスの施工業務においては、「一般建設業(電気工事業、電気通信工事業)」等の許認可を得てサービスを提供しているほか、顧客先への派遣業務について「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)の関係法規の規制を受けております。当社グループは法令遵守に努めており、当該法的規制等に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由により当該許認可等が取消となり、業務の全部若しくは一部の停止処分を受けた場合や新たな許可を取得することができなくなった場合、若しくは法的規制が変更となった場合、また新たな法規制により当社グループの事業展開に何らかの制約を受ける場合等には、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、顧問弁護士事務所による許認可維持要件の定期確認、その他にも日々の事業活動においてセルフチェックリストを用いることで、リスクの低減に努めております。

 

③ 自然災害・不測の事故等について

 当社グループでは、地震や津波、台風等の自然災害、新型コロナウイルス等の感染症、テロリストによる攻撃等が発生した場合、また事業遂行上重要な要素となっている情報システム・通信ネットワークがこれらの要因や停電等により遮断・停止となった場合には、担当・責任者を定め即座に対策本部を設置する他、情報収集や対策を速やかに実行できる体制を構築しております。しかしながら、これらの自然災害・不測の事故等が発生した場合、円滑な事業運営の阻害や事業活動の中断を通じて、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、BCP対策を整備・運用中であります。

 

④ 情報セキュリティについて

 当社グループは、事業の性質上、個宅へ訪問しIoT機器を設置するなど顧客の機密情報及び個人情報に接する機会があり、また多くの顧客情報を保有しております。当社グループでは、業務における情報セキュリティ品質確保を重要な経営課題と認識し、「情報システム管理規程」及び「個人情報保護規程」を定め、情報セキュリティ推進体制を確立し、情報管理の強化を進めております。これらの方針・体制の下、顧客や社内の情報管理取り扱いをはじめとした情報セキュリティについて、社内ルールを運用徹底し、従業員の意識向上を図るべく教育・啓発活動に取り組んでおります。また、情報システム面からも、顧客より預かる情報資産並びに当社の情報資産を適切に保護するための体制を構築し、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO27001を2009年12月に、ISO27017を2024年6月に認証取得しております。

 このように当社グループでは、顧客情報の保護、管理に徹底して取り組んでおりますが、万が一、情報漏洩等の情報セキュリティに関する問題が発生した場合には、賠償費用の発生や取引停止、当社グループの信用失墜を招き以降の営業活動に支障をきたすなどして、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。そのため、定期的なセキュリティ教育のほかISMSの定期監査を受け、また、個人情報漏洩時に損害を補填する保険にも加入をしております。

 

⑤ システムやサービスの品質について

当社グループは、システムやサービスに対する顧客の要求が常に高度化、複雑化し続けるなか、常に顧客のニーズに答えかつ安全なサービス提供を追求し続けております。

当社グループ独自に構築している業務管理システム「BLAS」を強みとしており、プロジェクトの進捗状況を一元管理するほか、「機器の現地設置、ネットワーク工事」、「機器設定、動作確認」においてAI(画像認識)を用い、リアルタイムに進捗や成果物管理が可能となる機能を実装しており、事後の報告書作成までも自動作成することで、事務工数並びに当該コストを低減しております。また、「BLAS」を導入し、作業を類型化することで、作業ミスを低減し、作業ミスや通信不具合による疎通未確認などの設備トラブルを回避することにも寄与しております。

 しかしながら、当社グループではコントロール出来ない外部要因によって重大なシステム障害やその他の欠陥が生じた場合には、賠償費用の発生や取引停止、当社グループの信用失墜を招き以降の営業活動に支障をきたすなどして、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 特定取引先・業界に対する依存度が高いことについて

 当社グループは情報通信ネットワークの構築・施工等を主な事業としていることから、各通信事業者との取引比率が高く、特にソフトバンク株式会社に対する売上高は当連結会計年度において2,172,092千円(34.5%)であり、この傾向は今後とも継続することが見込まれます。当社グループにおいては特定の通信事業者への依存リスクを低減するためにIoTエンジニアリングサービスにて新たな業界への新規顧客開拓を進めております。

 しかしながら、他業界の新規顧客の開拓が進まず、情報通信業界の市況動向や技術革新等によりソフトバンク株式会社はじめ各通信事業者の設備投資行動が変化した場合、また何かしらの理由により継続的な取引が不可能となった場合、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 競合について

 通信インフラ市場、リモートモニタリング関連市場については将来にわたり成長が見込まれる市場であるため、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性がありますが、先行して事業を推進していくことで、全国規模のベイシスパートナーズやプロジェクトマネジメントにおける独自のノウハウを蓄積してきたことが優位性につながっており、実際に競合する状況は限定的であると考えております。例えば、大手通信工事会社が得意とする大型基地局の建設は、工事単価は高いものの技術進歩による機器の小型化が進んでおり長期的には飽和状態になると考えます。一方、小型モバイル機器やIoT機器の作業は簡易で件数も膨大ながら、工事単価が低くなることが予想されますが、当社グループでは作業の効率化を通じて十分な利益を確保して受託するよう努めております。

 しかしながら、今後当社グループにおいて十分な差別化や機能・サービスの品質向上が図られなかった場合や、新規参入の増加により競争が激化した場合には、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 重大な人身・設備事故等の発生について

 当社グループは、建設工事現場における人身・設備事故を未然に防ぐため、「安全・品質の確保」に対する取り組みは万全を期し、管理を強化することで事故の発生防止に日々努めています。

 しかしながら、不測の事態により重大な人身・設備事故を発生させた場合、顧客からの信頼を低下させるほか、損害賠償義務の発生や受注機会の減少等により、当社グループの財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 内部管理体制について

 当社グループでは、現在の規模においては適正な内部管理体制を構築していると考えておりますが、今後の事業拡大に合わせて、内部管理体制の一層の充実・強化を図る必要があると認識しております。

 しかしながら、今後当社グループの事業規模の拡大に応じた体制構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業や財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 優秀な人材の獲得、育成について

 当社グループでは今後の企業規模拡大に伴い、当社グループの理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用し、強固な組織を構築していくことが重要であると考えております。今後、積極的な採用活動を行っていく予定ではありますが、当社グループの求める人材が十分に確保、育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、当社グループの事業展開や財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

⑪ 業務委託先との取引関係について

 当社グループは、個人又は法人に業務委託契約により一部を委託しております。当社グループでは全国規模でインフラの構築・運用の拡大を図るため、これら委託先であるベイシスパートナーズとの良好な関係を構築しておりますが、何らかの理由により維持継続できなくなった場合や、今後見込まれる新規パートナー企業の開拓が困難となる場合には、当社グループの事業展開や財務状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社では、業績向上に対する意欲向上を目的として、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社の役員及び従業員等に付与しております。当事業年度末、新株予約権の株数は26,000株であり、当社発行済株式数の1,862,411株に対する潜在株式比率は1.4%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、新株予約権の内容は、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」に記載のとおりです。

 

 

 

⑬ 資金使途について

 当社グループが計画する公募増資による資金の使途につきましては、主にインフラテック事業を基盤とした新規事業やサービス拡大に備えたシステムの増強・開発への投資、人材獲得のための採用費及び教育のための費用等に充当する予定です。

 しかしながら、急激に変化する事業環境に対してより柔軟に対応するため、現時点における計画以外の使途にも充当する可能性があります。資金使途計画が変更となる場合には、速やかに開示いたします。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を出すことができず、当社グループの財務状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

⑭ 多額の借入及び財務制限条項への抵触について

当社グループは、金融機関を貸付人とする借入契約を締結し多額の借入を行っており、2024年6月期末の当社グループ総資産に占める有利子負債比率は25.1%となっております。当社が締結している借入契約には、財務制限条項が付されております。かかる財務制限条項に抵触する場合、貸付人の請求があれば当該契約上の期限の利益を失うため、ただちに債務の弁済をするための資金の確保が必要となり当社の財政状態及び資金繰りに影響を及ぼす可能性があるとともに、かかる資金の確保ができない場合は、当社グループの存続に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、財務制限条項は、後記「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結貸借対照表関係)」に記載しております。

 

⑮ 経営者への依存について

当社グループの創業者である代表取締役社長の吉村公孝は、創業以来当社グループの経営方針や事業戦略の決定をはじめ当社グループの企業運営全般にわたり重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会やその他重要会議等における役員及び社員への情報共有や権限移譲を進めるなど組織体制の強化を図りながら、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの経営執行を継続することが困難となる事態が生じた場合、当社グループの事業運営及び経営成績に影響を与える可能性があります。そのため、次世代の幹部人材を育成するための研修を継続実施しており、有事の際における備えをしております。

 

⑯ 情報システムのトラブルについて

当社グループでは、業務の特性上、自社開発のシステムを利用しており、専門業者であるデータセンターの利用等により、データの保全、電源確保、対不正アクセス等の対策を講じています。しかしながら、大規模な災害・停電、システムやネットワーク障害、不正アクセスやコンピューターウイルス等による被害が発生した場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰ M&Aについて

当社グループは、M&Aを重要な成長戦略の一つとして位置付け、今後積極的に推進していく方針です。M&Aについては、既存事業とのシナジーやリスク等について十分な検討を行うことによりリスク低減を図る方針ですが、当初想定した事業のシナジー効果等が得られないなど、デューデリジェンスの限界等から法的もしくは事業上の新たなリスク要因が発生したり、期待した投資のリターンが得られない等の可能性があり、これらに起因して当社グループの事業又は業績に影響を及ぼす可能性があります。また、期待した収益を得られず、保有する投資有価証券やのれん等の減損損失等が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における総資産は3,935,311千円となりました。これは主に現金及び預金970,857千円、売掛金1,874,027千円、仕掛品302,858千円、のれん214,153千円、及び投資その他の資産233,735千円等であります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は1,968,459千円となりました。これは主に短期借入金700,000千円、買掛金386,697千円、未払費用281,381千円及び長期借入金(1年以内返済予定の長期借入金を含む)288,750千円等であります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は1,966,852千円となりました。

この結果、自己資本比率は50.0%となり、1株当たり純資産額は1,057円63銭となりました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなど各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調となりました。その一方で、中東地域をめぐる情勢等を背景とした資源価格の高騰、物価の上昇等により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような経済環境のもと、当社の事業領域であるモバイルエンジニアリング分野においては、通信キャリア各社が足元の設備投資を抑制するとともに、今後もコスト抑制要請は進むことが予想されます。

一方で通信事業者以外では、IoTエンジニアリングサービスで展開しているスマートメーター設置サービスにて生活インフラ業界におけるスマートメーター設置が進み、引き続き堅調に推移しております。また、IoT機器設置だけでなく、顧客先にエンジニアが常駐し、監視・保守を行うストック案件も順調に増加しております。2023年9月より一般提供を開始したSaaS「BLAS(ブラス)」の販売や、機器の初期設定などを行うキッティング業務などのサービスの拡充が進み、新規取引顧客も順調に増加しております。

そのため、当連結会計年度は「BPaaSモデルと親和性の高いIoTエンジニアリングサービスの推進を通じてBPaaSモデルの基盤を作る期」と位置付け、IoTエンジニアリングサービスに経営リソースをシフトさせ事業成長を進めてまいりました。BPaaS(Business Process as a Service)とは、業務プロセスを外部企業へアウトソーシングし(BPO)、クラウド上のソフトフェア(SaaS)を使って、業務効率化を実現するサービスであり、IoT機器の設置や運用保守をBPOで請けるだけでなく、SaaSであるBLASを活用しBPaaSモデルとして推進することで中長期の事業成長を目指しております。

 

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は6,822,403千円、営業利益79,274千円、経常利益76,342千円、親会社株主に帰属する当期純利益13,158千円となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は970,857千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、38,956千円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益56,342千円、減価償却費37,203千円、未払費用の増加118,277千円といった増加要因が、売上債権の増加12,256千円及び法人税等の支払額155,335千円の減少要因を上回ったことによるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、317,271千円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出4,417千円、無形固定資産の取得による支出36,943千円及び連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出267,751千円によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、187,498千円の収入となりました。これは主に長期借入れによる収入315,000千円の増加要因が、短期借入金の純減額100,000千円、自己株式の取得による支出3,304千円及び長期借入金の返済による支出26,250千円を上回ったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

6,353,855

-

2,355,090

-

(注) 当社グループはインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

6,822,403

-

(注)1.当社グループはインフラテック事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

2.当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

ソフトバンク株式会社

2,172,092

31.8

SBエンジニアリング株式会社

707,016

10.4

東京電力パワーグリッド株式会社

694,594

10.2

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、6,822,403千円となりました。

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度における売上原価は、5,226,474千円となりました。

 この結果、売上総利益は1,595,928千円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、1,516,653千円となりました。

 この結果、営業利益は79,274千円となりました。

(営業外損益、経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、1,792千円、営業外費用は、4,724千円となりました。

 この結果、経常利益は76,342千円となりました。

(特別損益、当期純利益)

 当連結会計年度における特別損失は19,999千円、法人税、住民税及び事業税は、38,554千円となりました。また、法人税等調整額は

4,630千円となりました。

 この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は13,158千円となりました。

 

c.キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローの分析につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

d.経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

e.資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。 当社グループは、事業上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針とし、営業活動によるキャッシュ・フローにより獲得した自己資金に加え、一部資金を銀行借入等により調達しており、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は970,857千円となっており、当面事業を継続していくうえで十分な流動性を確保しております。

 

f.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 これまで進捗を追っていたKPIにつきまして事業環境、ビジネスモデルの変化により、当該指標がそれらの目的を果たさず投資者の投資判断に影響を及ぼさなくなったと考えられるため取りやめることとなりました。

 

 理由としましては、IoTエンジニアリングサービスにおいては、設置台数を成長を示すKPIとしていましたが、売上高の因数分解としては設置台数×単価や対応作業×件数、月額単価×作業数などサービス拡大に伴い様々なケースが発生しており、設置台数のみをKPIとして成長性を示すことが難しくなりました。実際に設置台数は計画未達ではありますが、IoTエンジニアリングサービス自体の売上計画は達成となっており、成長性と連動せず、目的を果たしておりません。

 また、稼働人員数については安定性を判断するKPIとしておりましたが、こちらもストック要素の強い案件が、従量課金形態を取っており、稼働数では表せないケースなどが発生しておます。

これらの状況を鑑みたときに当該指標が目的を果たさず投資者の投資判断に影響を及ぼさなくなったと考えられるため取りやめることとなりました。

 なお、KPIにつきましては引き続き適切な指標について検討していく予定です。

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は2023年10月31日開催の取締役会において、株式会社アヴァンセ・アジルの全株式を取得し、子会社化することを決議し、インターライフホールディングス株式会社との間で株式会社アヴァンセ・アジルの株式に関する株式譲渡契約を締結しました。なお、当該契約に基づき、2023年11月30日付で全株式を取得しています。

 詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。