第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当中間会計期間において、当半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当中間会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績の状況

当中間会計期間におけるわが国経済は、国内外の人の流れの活発化に伴うインバウンド需要の回復や雇用・所得環境の改善等の要因から社会経済活動の正常化が進み、緩やかな回復基調で推移いたしました。一方で、ウクライナ紛争の長期化、中東情勢の緊迫化、世界的な原材料価格の高騰や円安による物価高に加えて、欧米を中心とした不安定な金融情勢等の要因もあり、景気の先行きは依然として不透明な状態が続きました。

自転車業界におきましては、電動アシスト自転車などの高機能商材への移行による買い替えサイクルの長期化や、物価高による生活防衛意識の高まりに起因する消費マインドの低下により、新車の買い替えは低調に推移しました。その一方で、修理メンテナンスをしながら1台の自転車を長く利用する傾向は一段と強まりました。こうした背景から、自転車販売において、品揃えや専門性、技術力を有する自転車専門チェーン店への需要が一層高まってきました。

当社におきましては、「持続可能な社会の実現」「当社の持続的な成長」を目指し、自転車の新しい価値創造企業としてより良い自転車ライフを実現するため取組んできました。まず、OMO(注)強化の一環では「ネットで注文、お店で受取り」サービスの基盤強化を中心に、人気商材の確保や競争力のある販売価格の設定、効果的なキャンペーン施策などを行ない、主に電動アシスト自転車の販売を伸ばすことができました。また、店舗では、今年で創業75周年を迎えたことを記念し、お客様へ日頃の感謝の気持ちをお届けするため、人気商材において特別価格での感謝還元キャンペーンを実施しました。新商品では、高い機能性とデザインに加え、値ごろ感のある価格で人気のあさひブランド電動アシスト自転車「ENERSYS(エナシス)」シリーズから、通勤や日々の買い物に最適な仕様の「ENERSYS U(エナシスユー)」や、安心・安全の装備と力強いアシスト力で、毎日の通学を楽しく快適にしてくれる「ENERSYS MELTY(エナシスメルティ―)」を新たに上市し、ラインナップの充実を図りました。そのほかにも、修理メンテナンスについては、前年度に修理工賃の価格改定を行ないましたが、依頼件数は依然増加傾向にあり、需要増加に対応するためのサービス提供体制を整備しました。これらの取組みにより、当社の強みである全国展開の店舗網やECでの販売体制、並びに修理技能を有する専門人材の育成など、収益基盤を更に強化し、厳しい状況下でも対応できる強靭な体制を醸成し、増収増益を達成することができました。

また、2026年2月期に最終年度を迎える中期経営計画「あさひVISION2025」の進捗として、重点戦略である「お客様との関係性強化(CRM強化)」「既存店の活性化(店舗・EC)」「事業領域の拡大」「新しい店舗スタイルの開発」について、収益性の向上や自転車業界全体の活性化を目指し取組んできました。まず、「お客様との関係性強化(CRM強化)」では、あさひ公式アプリからの定期点検やお買い得情報の発信などに加え、サイクルメイト加入者のアプリ会員化の促進や、お客様の行動履歴情報を活用したマーケティング施策を強化し、情報発信に対する反応数が増加しました。「既存店の活性化(店舗・EC)」では、従来の新車販売対応を中心としていた店舗レイアウトや在庫量などを見直し、EC販売や修理・メンテナンス、リユースなどの増加にも対応できるよう最適な運営体制の構築を目指しており、特にOMO強化として、商品やサイト、web広告などの機能ごとの強化や、EC化率の拡大に合わせた店舗オペレーションの最適化を行なってきたことで、EC化率の大幅な上昇に寄与しました。「事業領域の拡大」では物価高による節約意識の影響を受け、自転車業界でリユース商品への需要が高まりを見せています。当社ではリユース事業の拡大に向けて、6月からはシティサイクル(一般自転車)の取り扱いを開始するとともに、商材を十分に確保するための買取対象店舗数の拡大や買取後の商品化作業の効率化、 広告や店頭での認知拡大に向けた告知強化などを行ない、買取、商品化、再販売の一貫体制を更に強化しました。引き続き、お客様が不要になった自転車を積極的に買取し、商品化作業を行ないリユース商品として販売することで、資源の有効活用並びに低炭素社会・循環型経済への貢献を目指していきます。「新しい店舗スタイルの開発」では、新たな店舗形態の一つである「都市型店舗」の出店戦略として、大阪市浪速区に関西初となる「浪速幸町店」をオープンしました。「ネットで注文、お店で受取り」サービスとの親和性が高いエリアへの出店によるOMO強化や都市部の修理需要への対応など、地域と密着した運営体制で収益性を高めていきます。

出退店の状況につきましては、関東地域に2店舗、関西地域に2店舗を新規出店しました。また、中国地域の1店舗がフランチャイズ契約を終了し直営店になりました。この結果、当中間会計期間末の店舗数は、直営店520店舗、FC店17店舗のあわせて537店舗となりました。

これらの結果、当中間会計期間における売上高は46,420,805千円(前年同期比6.1%増)となりました。また、営業利益は4,763,891千円(同12.9%増)、経常利益は4,843,224千円(同11.0%増)、中間純利益は3,265,116千円(同11.8%増)となりました。

なお、当社の事業は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)  Online Merges with Offlineの略。ECと店舗が融合して、情報入手から購入、利用までをお客様の体験価値としてご提供する仕組み。

 

(中間会計期間の季節性)

 当社は事業の性質上、業績に次のとおり季節的変動があります。

 主要販売商品である自転車及び自転車関連商品は、春の入学・入社シーズンが最需要期となるため、上半期の売上高は下半期に比べ多くなる傾向があります。一方で、固定費部分の上半期・下半期の割合はほぼ一定であるため、営業利益の割合は上半期に偏る傾向があります。

(参考)

 

第48期(2023年2月期)

第49期(2024年2月期)

上半期

下半期

通期

上半期

下半期

通期

金額
(千円)
(%)

金額
(千円)
(%)

金額
(千円)
(%)

金額
(千円)
(%)

金額
(千円)
(%)

金額
(千円)
(%)

売上高

41,725,707

55.8

32,986,400

44.2

74,712,107

100.0

43,763,626

56.1

34,312,789

43.9

78,076,416

100.0

売上総利益

19,954,138

55.1

16,241,713

44.9

36,195,852

100.0

20,706,039

55.5

16,599,225

44.5

37,305,264

100.0

営業利益

4,263,063

83.1

864,573

16.9

5,127,637

100.0

4,218,701

85.9

693,376

14.1

4,912,078

100.0

 

(注) 比率は、通期に対する割合です。

 

(2) 財政状態の状況

当中間会計期間末における流動資産は、前事業年度末に比べて2,487,862千円(8.5%)増加し、31,726,798千円となりました。これは主に、現金及び預金の増加5,490,281千円、商品の減少2,827,407千円、未着商品の減少178,559千円等によるものであります。固定資産は、前事業年度末に比べて55,573千円(0.2%)増加し、23,370,510千円となりました。これは主に、建物の増加144,479千円、ソフトウエア仮勘定の増加112,041千円、建設仮勘定の減少138,920千円等によるものであります。

この結果、総資産は、前事業年度末に比べて2,543,435千円(4.8%)増加し、55,097,309千円となりました。

 

当中間会計期間末における流動負債は、前事業年度末に比べて23,412千円(0.2%)減少し、14,414,666千円となりました。これは主に、未払法人税等の増加821,825千円、未払費用の増加264,628千円、預り金の増加163,190千円、買掛金の減少800,929千円、未払金の減少477,121千円等によるものであります。固定負債は、前事業年度末に比べて21,324千円(1.9%)増加し、1,173,089千円となりました。これは主に、資産除去債務の増加15,669千円、株式報酬引当金の増加5,850千円等によるものであります。

この結果、負債合計は、前事業年度末に比べて2,087千円(0.0%)減少し、15,587,756千円となりました。

 

当中間会計期間末における純資産合計は、前事業年度末に比べて2,545,523千円(6.9%)増加し、39,509,553千円となりました。これは主に、中間純利益の計上による増加3,265,116千円、剰余金の配当による減少509,409千円、自己株式の取得による減少113,045千円等によるものであります。

この結果、自己資本比率は71.7%(前事業年度末は70.3%)となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当中間会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ5,489,010千円増加(前年同期は4,000,830千円増加)し、14,990,076千円となりました。

 当中間会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、得られた資金は7,458,212千円(前年同期は6,134,758千円の獲得)となりました。収入の主な内訳は、税引前中間純利益4,830,131千円、棚卸資産の減少額3,046,661千円、減価償却費776,021千円等であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少額800,929千円、未払金の減少額247,360千円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、使用した資金は1,265,949千円(前年同期は1,400,203千円の使用)となりました。支出の主な内訳は、新規出店に係る有形固定資産の取得による支出993,302千円、無形固定資産の取得による支出171,506千円、差入保証金の差入による支出113,780千円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、使用した資金は703,252千円(前年同期は733,725千円の使用)となりました。支出の内訳は、配当金の支払額590,206千円、自己株式の取得による支出113,045千円であります。

 

3 【経営上の重要な契約等】

  当中間会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。