第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「価値ある食文化の提案」を企業理念とし、ともに働く仲間の幸福を最大限に追求し、当社で働く一人ひとりの経済的利益と精神的成長を達成することで、お客様へ最大の満足を提供し、地域社会へ貢献してまいります。社会に必要とされる「食ブランド」を創造するために、社会の変化の中で新たに生まれたニーズに合った新業態開発、既存業態のブラッシュアップを行い、お客様に喜びと驚きを提供することを目指して事業を行っております。当社グループは常にお客様起点で、価値ある食文化を提案し続けることで、持続的な成長を図り、企業価値の拡大に取り組んでまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、持続的な成長と安定的な収益性を重視する観点から、水産6次産業化モデルの構築と店舗事業における収益基盤の再構築により、中期的に売上高営業利益率5%以上を目標としております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

経済活動・消費活動の回復から外食並びに水産ともに両市場は回復基調にあるなか、当社グループでは水産事業のサプライチェーン構築が順調に進み、漁船から豊洲市場、そして飲食店舗までの水産6次化プラットフォームが完成いたしました。当社グループは、新たに「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンとし、自らが漁船を持つ漁業者として魚を獲り(とる)、低利用魚や未利用魚、廃棄部位等を活用した独自の商品開発を推進することで魚の価値を最大化し(加工=つくる)、飲食・小売事業者として魚を販売する(うる)ことで、「産地活性化プラットフォーマー」として、オンリーワンのビジネスモデルを展開し、新たな市場を開拓(市場の創造=つくる)してまいります。当社グループは、こうした取り組みが、お客様の魚食離れの歯止めになるきっかけになるだけでなく、衰退する我が国の漁業を再興させるものになると考えております。

今後は、水産事業と飲食事業が一体となってグループシナジーを創出するため、漁業への取り組み、水産資源の最大化を図る商品開発、及びグループ全体の安定収益基盤となる「アカマル屋鮮魚店」や「サカナタベタイ」の出店等を推し進め、着実な事業の成長に取り組んでまいります。

 

(4) 経営環境

当社グループが属する外食産業を取り巻く環境は、お客様の価値観や行動様式、ニーズの変化、中食市場の成長に加え、新型コロナウイルス感染症に対する各種政策やワクチンの普及等により、行動制限が緩和され消費活動が活発となり回復傾向ではありますが、原材料価格や人件費及び光熱費等の高騰の影響もあり、予断を許さない経営環境が続いております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 収益改善施策の実施

現在、当社グループは短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。

 

イ.水産事業の6次産業化モデルの構築

当社グループは、「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンに、当社グループ独自の事業ポートフォリオの構築を目的として、既存事業とのシナジーを追求した水産事業の6次産業化モデルを構築いたします。

2020年に静岡県沼津市を起点にスタートした水産プロジェクトは、沼津・下田で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を当社飲食直営店舗で提供するだけでなく、法人営業による販路開拓を行うことによって、事業成長の推進力となりました。また、2023年には提携する漁業者からの鮮魚を漁獲、魚種、相場に関わらず一定の価額で全量買取りする取り組みを開始いたしました。

当社グループは、水産サプライチェーンを構築することを目的として、2021年11月に水産仲卸の株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)、2022年7月に豊洲市場で7社しかない水産物卸売会社(大卸)である綜合食品株式会社(東京都江東区)を子会社化いたしました。また、2023年4月に水産物の小売店(鮮魚店)「漁港産直 積極魚食 『サカナタベタイ』」(千葉県市川市 MEGAドン・キホーテ本八幡店内)を新規出店、2023年10月にエンターテイメント型マグロ解体ショーのパイオニアである一般社団法人全国鮪解体師協会と業務提携、2024年2月に「炙り屋 せん」(東京都江東区、豊洲市場隣接の「豊洲千客万来」内)、及び「船上すし みこう」(東京都新宿区)を新規出店いたしました。両店舗は、SANKO船団が漁獲する朝獲れ鮮魚(船直便)や豊洲大卸の綜合食品及び浜松仲卸のSANKO海商といったグループ会社の仕入力を最大限に活かした新業態の店舗であります。

当社グループは、これからも全国の産地に入り込み、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)と共に地域ビジネスの創出に取り組み、これまで飲食事業で蓄積した3次産業のノウハウを活かした「売れるものを創る」ことで、水産事業の6次産業化モデルの構築を引き続き進めてまいります。

当社は、当社グループのサステナビリティ基本方針に沿った持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を果たすべく、「生産者とともに歩む『産地活性化プラットフォーマー』」を目指してまいります。

 

ロ.店舗事業における収益基盤の再構築(水産シナジー、高効率、ライセンス等)

テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。これまでの串焼きやおでん、煮込み料理を中心とした大衆酒場「アカマル屋」のほか、当社グループシナジーを最大化し、かつ、お客様に還元するための新業態として、「アカマル屋鮮魚店」を開発いたしました。「アカマル屋鮮魚店」は鮮魚店併設型の大衆酒場であり、下田・沼津からの朝獲れ鮮魚や浜松のSANKO海商、豊洲の綜合食品と連携したまぐろの解体ショーの実施など連日お客様で賑わう新しいコンセプトの大衆酒場であります。これら「アカマル屋」のビジネスモデルは、高効率かつ高収益モデルのブランドであり、今後、商圏及び立地条件を見極めたうえで積極的に出店してまいります。なお、東海エリアの大型商業施設内フードコート等で飲食店9店舗を継承した店舗のうち1店舗を、2024年4月に「まぐろの海商」(海鮮どんぶり)として、イオンモール浜松市野フードコート内にリニューアルオープンいたしました。「まぐろの海商」は、マグロ一筋40年のSANKO海商(静岡県浜松市)の目利きが仕入れ、職人が加工するマグロや鮮魚をメインにした丼や、自社船を含むSANKO船団が漁獲する魚と豊洲の大卸・綜合食品の仕入力を最大活用した海鮮をふんだんに活用したメニューを提供しております。

また、大きな固定投資を伴わない受託事業では、今後もこれらの事業について慎重な出店判断を行ってまいります。「東京チカラめし」につきましては、今後もアジア地域でのライセンス契約獲得に取り組んでまいります。

 

ハ.コストの削減

当社グループの取り組みとして、引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。具体的な取り組みとして、業務プロセス及びITシステムの見直しによって業務の省力化を実現することで、人件費等をより一層極小化いたします。さらに本社費用等、様々な施策によりコストを削減いたします。

 

② 財務基盤の強化
イ.資本注入

2023年1月に発行した第5回新株予約権の行使により5億63百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。また、2024年4月に発行した第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第6回新株予約権の行使により2億2百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。

 

ロ.金融機関との関係強化

 前述した収益改善施策の実施による営業収支の改善効果が表れるには一定の時間を要することから、今後も安定した資金繰り管理を目的として金融機関との関係強化と調達交渉に努めてまいります。

 

 

ハ.運転資金の十分な確保

事業の利益管理をより一層強化し、また、経営環境の変化を慎重に見極めながら投資を実行し、確実な回収を実現することで、運転資金の十分な確保に努めてまいります。

 

以上のように、当連結会計年度において進める構造改革の効果が経常的に見込まれることから、収益改善及び財務基盤の強化が図られ、これによって安定的に営業収支が改善する見込みであります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、「環境に対する負荷の低減」、「安全・安心な商品の提供」、「多様な人財が活躍する働きがいのある職場環境づくり」をサステナビリティに関する重要課題として認識しております。これらの重要課題については、取締役会が主体的に取り組む体制としており、具体的には、経営会議において対応方針や諸施策を立案、各種施策の進捗管理を行い、十分に検討・協議した結果を取締役会に報告・提案しております。取締役会では、報告・提案された内容について審議・監督を行っております。

 

(2) 戦略

① サステナビリティ

当社グループの事業活動によって発生する環境負荷を低減し、循環型社会・脱炭素社会の実現に貢献するために、環境負荷低減に向けた取り組みを行っております。

当社グループでは、「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンに自らが漁船を持つ漁業者として魚を獲り(とる)、低利用魚や未利用魚、廃棄部位等を活用した独自の商品開発を推進することで魚の価値を最大化し(加工=つくる)、飲食・小売事業者として魚を販売する(うる)ことで、「産地活性化プラットフォーマー」として、オンリーワンのビジネスモデルを展開してまいります。当社グループは、こうした取り組みを通して、水産資源の最大化をマーケットインの視点で企画・開発することで余すところなく加工してお客様に提供し、持続可能な水産資源の確保に努めてまいります。また、漁師とともに手を携え、ともに日本が世界に誇る魚食文化を守り、漁業者の生活の向上と安定を図りながら、お客様の食卓をより豊かにすることで、“漁師をなりたい職業に”していくことに挑戦してまいります。

 

② 人材

当社グループでは、「全従業員の物心両面の幸福の追求」を経営理念とし、モチベーション向上と勤務時間の適正化に向けた施策を講じることによって、従業員の心身の健康を確保するとともにワーク・ライフ・バランスを実現し、健康で働き甲斐のある職場環境を創出することを目指し、長時間労働の抑制と年次有給休暇の取得促進に労使一体となって取り組みます。

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

・多様な人材・職種に対応する評価制度の導入

当社グループでは、多様な人材を受け入れ、安心して働くことができるよう、適正に評価することを目的に、職種別の評価制度を導入しております。

・教育制度の導入(SANKOカレッジ)

人材の育成を目的に、事業領域別、階層別に教育制度(SANKOカレッジ)の導入を実施してまいります。

・フルタイム正社員雇用に限定しない柔軟な雇用の促進(パートナー正社員(CU))

女性活躍を促すことに加え、ミドル・シニア層の技術と経験を活かした働きができるよう、柔軟性の高い勤務条件を個別に設定して、それぞれの環境に合わせた雇用に努めております。

・特定技能人財の積極採用と定着・活躍支援

慣れない環境の中でも安心して働けるよう、サポート体制を構築しながら、業務レベルの把握と指導を行うことで、組織全体のつながりを強化いたします。定期的に全社集会をオンラインとオフラインを組み合わせながら行い、働きぶりや成長を熟視する機会を作ってまいります。

・リモートワークへの対応

コロナ禍を契機に、就業規則の見直しを行いリモートワークへの対応を進めております。社内SNS等を活用したコミュニケーションツールの活用、WEBミーティングの導入等を行い、組織と個人の生産性を維持・向上させる取り組みを実施しております。

 

(3) リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、リスクマネジメント委員会において行っております。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標目標

・常用雇用労働者に占める女性比率を30%以上にすること

※当連結会計年度末時点 29.2%

・毎月の平均残業時間を30時間以下にすること

※当連結会計年度末時点 38.9時間

 

また、当社は女性活躍推進法にも主体的・積極的に取り組んでおり、法令所定の行動計画を厚生労働省が運営する「女性の活躍・両立支援総合サイト」に掲載して公表しております。

今後は、男性の育児休業取得率についても、促進を図ってまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあります。当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避に努め、発生した場合に適切に対応する所存であります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 新型コロナウイルス感染症拡大によるリスクについて

新型コロナウイルス感染症における行動制限の撤廃にともない、行動制限が緩和され経済活動は回復傾向にありますが、消費者の飲食スタイルが大きく変化しております。消費者のニーズに適切に対応できない場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 外食業界の動向及び競合の激化について

当社グループはお客様のニーズの変化を考慮した新規出店や業態開発を行っておりますが、外食市場の縮小、競争の激化などにより既存店の売上が当社グループの想定以上に減少した場合、又は経費削減策が奏功しなかった場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 店舗賃借物件について

当社グループの直営店舗は、賃借物件であり、その賃貸借契約は主に更新可能なものでありますが、賃貸人側のやむを得ない事情により解約又は解除された場合、業績好調な店舗であっても閉店を余儀なくされる可能性があります。
 また、新規出店に際して、商圏の人口、賃料などを総合的に判断した結果、条件に合致する物件が調達できない場合、新規出店の計画が達成できない可能性があります。
 さらに、当社グループは、賃貸借契約締結の際に敷金又は保証金を預託する場合、事前に賃貸人の与信審査を行うなど、賃貸人の信用不安に備えておりますが、これらの敷金又は保証金のうち全部又は一部が倒産その他の賃貸人側の事情により回収不能となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。加えて、定期借家契約の規定により賃貸借契約が早期に解約できない場合、また解約に伴う違約金等の発生、後継テナントがつかないことによる原状回復費用が発生する場合等、店舗閉鎖に伴い想定していなかった費用が発生する可能性があります。

 

④ 食材の調達について

BSEや鳥インフルエンザ等の疫病の発生、異常気象、天候不順、自然災害の発生、為替相場、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化等により、食材の調達が難しくなり、調達価格が上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 食の安全性

当社グループは、食材の安全性確保のため、取引先の協力を仰ぎながら、食品のトレーサビリティを確立しております。加えて、産地、加工工場の現地確認及び添加物、微生物検査基準を遵守した食材を選定するなど、食材の安全を確保するとともに、お客様へ正確な情報の提供に努めております。万一、表示内容に重大な誤り等が発生した場合には信用低下等を招き、店舗売上が減少する他、調達先やメニューの主要食材の見直し等を実施するためのコストが発生するなど、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑥ 営業店舗での食品事故

当社グループの各店舗では、食品衛生法に基づき、所轄の保健所より飲食店営業許可を受け、食品衛生責任者を設置しております。食中毒の発生を未然に防ぐために、品質管理及び衛生管理を徹底し、お客様に安心していただける料理の提供に努めておりますが、万一、食品事故が発生した場合、食材の廃棄処分、損害賠償による損失の発生、一定期間の営業停止などにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

 

⑦ 人材の確保及び教育について

当社グループは、中長期的な飲食事業の展開(直営店及び運営受託店舗の出店等)や新規事業の開発等の各事業拡大を見据え、新卒採用・中途採用、海外人材の採用の他、アルバイト従業員からの社員登用も含めた人材の確保を行っております。また、階層別研修や評価制度を含めた人事制度のさらなる拡充に注力をしていく方針です。しかしながら、人材の確保及び教育が計画どおりに進まない場合には、各事業の拡大計画の遅延又は中止により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ アルバイト従業員に対する社会保険加入の義務化について

当社グループは、主に店舗にて多数のアルバイト従業員を雇用しております。今後、アルバイト従業員への社会保険適用範囲の拡大が実施された場合、社会保険料負担の増加などにより人件費が上昇し、当社グループの経営成績に影響が生ずる可能性があります。

 

⑨ 経済事情の急変

年度初めには予想もできなかった経済事情の急変があった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 

 

⑩ 自然災害等の影響について

当社グループの店舗は、首都圏を中心に運営をしており、地震、台風、津波等により、当該エリアの被害が甚大な場合や、火災等により営業の継続が困難となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 商標権の管理について

当社グループは、複数の業態を保有しております。業態の名称については、使用に先立ち、外部の専門家などを通じて、第三者の商標権を侵害する恐れがないか確認し、可能な限り、当社グループにおいてその名称を商標登録することで、第三者に対する権利侵害を回避するとともに、当社グループ権利の確保に努めております。しかしながら、当社グループの使用する名称が第三者のものと類似するなどの理由により、第三者の商標権を侵害していると認められた場合には、当該商標の使用差止め、使用料又は損害賠償の支払い請求がなされる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。  

 

⑫ インターネットなどによる風評被害について

SNSの普及に伴い、インターネット上の書き込みや、それを発端とするマスコミの報道による風評被害が発生・拡散された場合において、当社グループ業態の価値が棄損され、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 「固定資産の減損に係る会計基準」の適用について

当社グループは、営業店舗を中心に設備等を保有しており、直営店舗について営業活動から生ずる損益が、継続してマイナスとなる場合には、「固定資産の減損に係る会計基準」の適用により減損損失が計上され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。  

 

⑭ 水産事業の6次産業化モデルについて

当社グループは、外部環境に大きな影響を受けずに安定的な事業継続を実現する当社独自の事業ポートフォリオの構築を目的として、飲食事業とのシナジーを追求した水産事業の6次産業化モデルを構築しております。しかしながら、水産資源減少や国内外の魚食需要の変動など水産物の需要変化や水産流通の構造変化など予期しない事象の発生により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ M&Aについて

当社グループは、事業の拡大及び競合他社との差別化を図る有効手段のひとつとして、当社グループに関連する事業で、シナジー効果を期待できるM&Aを検討していく方針です。M&Aの実施に際しては、対象企業の財務・法務・ビジネス等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味したうえで決定いたしますが、買収後に事前の調査で把握することができなかった偶発債務の発生等の問題が生じた場合、また事業の展開等が計画通りに進まない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 法的規制について

当社グループは、食品衛生法、食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律(食品リサイクル法)、健康増進法、消防法、エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)、容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器リサイクル法)及びその他の当社グループ事業に関する各種法令による規制を受けております。これらの法的規制が強化された場合、当社グループは社会的責任を第一に考え、法令や各行政機関からの要請には応じる方針であることからも、それに対応するための新たな費用が増加すること等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑰ 海外事業展開拡大に係るリスクについて

当社グループは、アジア地域を中心に現地合弁企業による飲食事業を展開するとともに、同企業へ日本の食材を供給してまいります。当該外国において政治・社会不安、経済情勢の悪化、法令政策の変更、外国為替相場の変動によって海外事業展開に支障が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ 継続企業の前提に関する重要事象等について

当社は、首都圏一等立地に構える大型・空中階の「総合型居酒屋」への需要が減少したこと、及び新型コロナウイルス感染症拡大の時期において、主力事業である都心部の店舗を一気に閉店し、売上高の規模を失う反面事業構造を大きく転換し、新たな事業の柱を構築しに行ったことにより、前事業年度まで6期連続の営業損失を計上しております。なお、当社は2022年6月期より連結財務諸表を作成しており、前連結会計年度まで2期連続の営業損失を計上しております。当連結会計年度においては、営業損失6億83百万円、経常損失6億83百万円、親会社株主に帰属する当期純損失7億11百万円を計上し、営業キャッシュ・フローは8億80百万円のマイナスとなりました。

以上により、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しておりますが、今後の資金計画を検討した結果、当面の事業活動の継続性に懸念はありません。以下に記載のとおり、当該事象又は状況を改善するための対応策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

1.収益改善施策の実施

 現在、当社グループは短・中期的な事業構造改革を推し進めており、収益の改善を目指し次の施策に取り組んでおります。

 

イ.水産事業の6次産業化モデルの構築

当社グループは、「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンに、当社グループ独自の事業ポートフォリオの構築を目的として、既存事業とのシナジーを追求した水産事業の6次産業化モデルを構築いたします。

2020年に静岡県沼津市を起点にスタートした水産プロジェクトは、沼津・下田で水揚げされた近海物の鮮魚や加工品等を当社飲食直営店舗で提供するだけでなく、法人営業による販路開拓を行うことによって、事業成長の推進力となりました。また、昨年には提携する漁業者からの鮮魚を漁獲、魚種、相場に関わらず一定の価額で全量買取りする取り組みを開始いたしました。

当社グループは、水産サプライチェーンを構築することを目的として、2021年11月に水産仲卸の株式会社SANKO海商(静岡県浜松市)、2022年7月に豊洲市場で7社しかない水産物卸売会社(大卸)である綜合食品株式会社(東京都江東区)を子会社化いたしました。また、2023年4月に水産物の小売店(鮮魚店)「漁港産直 積極魚食 『サカナタベタイ』」(千葉県市川市 MEGAドン・キホーテ本八幡店内)を新規出店、2023年10月にエンターテイメント型マグロ解体ショーのパイオニアである一般社団法人全国鮪解体師協会と業務提携、2024年2月に「炙り屋 せん」(東京都江東区、豊洲市場隣接の「豊洲千客万来」内)、及び「船上すし みこう」(東京都新宿区)を新規出店いたしました。両店舗は、SANKO船団が漁獲する朝獲れ鮮魚(船直便)や豊洲大卸の綜合食品及び浜松仲卸のSANKO海商といったグループ会社の仕入力を最大限に活かした新業態の店舗であります。

当社グループは、これからも全国の産地に入り込み、地域の皆様(地元漁師や漁協その他水産事業者、地方自治体等)と共に地域ビジネスの創出に取り組み、これまで飲食事業で蓄積した3次産業のノウハウを活かした「売れるものを創る」ことで、水産事業の6次産業化モデルの構築を引き続き進めてまいります。

当社は、当社グループのサステナビリティ基本方針に沿った持続的な成長と、中長期的な企業価値の向上を果たすべく、「生産者とともに歩む『産地活性化プラットフォーマー』」を目指してまいります。

 

ロ.店舗事業における収益基盤の再構築(水産シナジー、高効率、ライセンス等)

テレワークの定着や外出自粛等の影響から、お客様の消費行動の中心は都市部から郊外に分散されつつあり、この傾向は今後も続くものと想定されます。これまでの串焼きやおでん、煮込み料理を中心とした大衆酒場「アカマル屋」のほか、当社グループシナジーを最大化し、かつ、お客様に還元するための新業態として、「アカマル屋鮮魚店」を開発いたしました。「アカマル屋鮮魚店」は鮮魚店併設型の大衆酒場であり、下田・沼津からの朝獲れ鮮魚や浜松のSANKO海商、豊洲の綜合食品と連携したまぐろの解体ショーの実施など連日お客様で賑わう新しいコンセプトの大衆酒場であります。これら「アカマル屋」のビジネスモデルは、高効率かつ高収益モデルのブランドであり、今後、商圏及び立地条件を見極めたうえで積極的に出店してまいります。なお、2024年4月には、承継した店舗のうち1店舗を「まぐろの海商」(海鮮どんぶり)として、イオンモール浜松市野フードコート内にリニューアルオープンいたしました。「まぐろの海商」は、マグロ一筋40年のSANKO海商の目利きが仕入れ、職人が加工するマグロや鮮魚をメインにした丼や、自社船を含むSANKO船団が漁獲する魚と豊洲の大卸・綜合食品の仕入力を最大活用した海鮮をふんだんに活用したメニューを提供しております。

また、大きな固定投資を伴わない受託事業では、今後もこれらの事業について慎重な出店判断を行ってまいります。「東京チカラめし」につきましては、今後もアジア地域でのライセンス契約獲得に取り組んでまいります。

 

ハ.コストの削減

当社グループの取り組みとして、引き続きコストの見直し及び削減をより強力に進めてまいります。具体的な取り組みとして、業務プロセス及びITシステムの見直しによって業務の省力化を実現することで、人件費等をより一層極小化いたします。さらに本社費用等、様々な施策によりコストを削減いたします。

 

2.財務基盤の強化
① 資本注入

2023年1月に発行した第5回新株予約権の行使により5億63百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。また、2024年4月に発行した第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第6回新株予約権の行使により2億2百万円を調達いたしました。調達した資金は、運転資金、新規出店資金及び新規事業資金等に充当してまいります。

 

② 金融機関との関係強化

前述した収益改善施策の実施による営業収支の改善効果が表れるには一定の時間を要することから、今後も安定した資金繰り管理を目的として金融機関との関係強化と調達交渉に努めてまいります。

 

③ 運転資金の十分な確保

事業の利益管理をより一層強化し、また、経営環境の変化を慎重に見極めながら投資を実行し、確実な回収を実現することで、運転資金の十分な確保に努めてまいります。

 

以上のように、当連結会計年度において進める構造改革の効果が経常的に見込まれることから、収益改善及び財務基盤の強化が図られ、これによって安定的に営業収支が改善する見込みであります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループは、第1四半期連結会計期間において、株式会社ジーエス(2023年12月1日付で株式会社綜合食品販売に商号変更)及び株式会社サンヘイ(2023年12月1日付で株式会社ジーエスサンヘイに商号変更)は重要性が増したことから連結の範囲に含めております。また、第2四半期連結会計期間において、2023年12月25日付で、株式会社 SANKO INTERNATIONALを新設したことから連結の範囲に含めております。

さらにAKIKO SERVICE AND TRADING JOINT STOCK COMPANYを第4四半期連結会計期間より持分法適用の範囲に含めております。

 

当連結会計年度(2023年7月1日~2024年6月30日)における連結業績は、売上高は93億28百万円(前年同期比31.0%増加)、営業損失は6億83百万円(前年同期は営業損失7億48百万円)となりました。また、経常損失は6億83百万円(前年同期は経常損失7億49百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は7億11百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失7億84百万円)となりました。

 

当社を取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の撤廃にともない、経済・社会活動の正常化による人流の回復や個人消費の持ち直しとインバウンド需要の増大等が下支えとなり、外食事業においては需要の高まりが見られました。

一方で、少子高齢化に伴う労働人口の減少、原材料価格やエネルギー価格の高騰、急激な円安進行による物価高が外食事業のコストを押し上げる要因になっていること、さらには福島第一原発のALPS処理水問題に端を発する水産物の輸出先国による輸入制限措置や全国的な漁獲量の減少傾向が水産事業の回復に水を差す形となっていることなど、不透明な状況が続いております。

 

このような状況の中、当社グループは、「とる うる つくる 全部、SANKO」をスローガンに、飲食事業で培った強みを活かして水産の産地に入り、生産者とともに歩む「産地活性化プラットフォーマー」として「価値ある食文化の提案」を行うべく、水産の6次産業化を成長基盤とするために事業構造を大きく転換してまいりました。

 

水産事業においては、漁業者の生活の安定と向上とお客様満足の両立を目的として、2023年9月に下田の漁業者から、漁獲、魚種、相場に関わらず全量買取りする取り組みを開始いたしました。この取り組みをSANKO船団と称し、自社専用船とともに朝獲れの新鮮な魚介類を、当社直営店舗に多段階流通を経ずに卸す試み(“DAY-ゼロ便”)を始めており、お客様から大変なご好評をいただいております。SANKO船団は、2024年6月末日時点で自社船を含めて計5隻(月間漁獲高目標値3.5トン)となっており、今後もこの取り組みの輪を広げ、漁業者とお客様がともに幸せになる取り組みを進めてまいります。

また、2023年4月に出店した小売店(鮮魚店)「漁港産直 積極魚食『サカナタベタイ』」(千葉県市川市 MEGAドン・キホーテ本八幡店内)では、近年魚食離れが進む我が国において、魚の食べ方、美味しさ、種類や旬などをお客様に知ってもらうため『漁港産直』の鮮魚だけでなく『積極魚食』を謳い、飲食店の料理人が監修するサカナ惣菜や希少部位、未利用魚などを無駄なく活用することで、「サカナタベタイ!」と若年者層から高齢者層まで幅広く支持されるお店づくりに努めており、今後の出店につながるノウハウを得ました。加えてグループ会社の水産6次産業化の強みを活かした新業態として2024年2月に「炙り屋 せん」(東京都江東区、豊洲市場隣接「豊洲千客万来」内)及び「船上すし みこう」(東京都新宿区)を新規出店いたしました。

水産流通カテゴリーに属するグループ会社の状況は、豊洲市場の大卸である綜合食品株式会社については、当社グループ傘下に入ったことによるシナジー効果と新たに強化している水産物の海外輸出の効果もあり売上高が回復傾向にあります。浜松市場の仲卸である株式会社SANKO海商については、「仲卸からの脱却」を経営方針として掲げ、強みであるマグロ加工と商品開発力を生かし、「マグロ餃子」「マグロメンチ」などの新商品を投入するなど、利益体質への転換を進めております。

さらに、当社は2024年7月に千葉市地方卸売市場の仲卸である株式会社津田食品(千葉県千葉市)と資本業務提携契約を締結いたしました。この資本業務提携により、当社グループの沼津・下田・浜松・豊洲の水産商品を中心とした既存の調達リソース及び各所飲食店・小売店の販路に、同社が持つ千葉エリア他の販路・物流機能が加わり、水産資源の付加価値を高める加工・流通部門を強化してまいります。

なお、水産卸売業で扱う輸出取引は福島第一原発のALPS処理水問題により大きな影響を受けたことから、今後は北米や欧州など輸出の仕向地を拡げることで地政学リスクを考慮しつつ、さらなる輸出取引の拡大を行ってまいります。

 

飲食事業においては、業績回復が著しい「アカマル屋」が、既存店2019年(コロナ前)同月対比で100%を超え続けるなど、コロナ禍で変化したお客様ニーズにマッチするブランドとして成長を続けております。2024年2月「アカマル屋」野方店、2024年5月に累計15店舗目となる「アカマル屋」ひばりヶ丘店を新規出店しました。また、水産の6次産業化を目指す当社グループのシナジー効果を最大化できる「アカマル屋鮮魚店」(現在5店舗)では、まぐろの解体ショーを定期的に実施しているほか、SANKO船団の漁獲の最大活用により、魚価の相場の高騰に関わらず、原価の抑制を実現できるだけでなく、「DAYゼロ鮮魚」(漁獲からお客様のテーブルまでを24時間以内につなぐ取り組み)によって産地における魚本来の価値をお客様にダイレクトに伝え、お客様満足ならびに漁業者の生活の安定と向上の両方を達成するブランドとして育成しております。

なお、「アカマル屋」は、投資効率の高いブランドであり、引き続きブランドの磨き上げを行い、商圏及び立地条件を見極めたうえで積極的に出店してまいります。

 

また、当社は、2023年12月より東海エリアの大型商業施設内フードコート等で飲食店9店舗を承継し運営を開始、地位承継時に一時的な出店経費が発生いたしましたが、大型商業施設内の飲食ノウハウを蓄積し今後の積極的な出店を視野に入れてまいります。2024年4月には、承継した店舗のうち1店舗を「まぐろの海商」(海鮮どんぶり)として、イオンモール浜松市野フードコート内にリニューアルオープンいたしました。マグロ一筋40年の目利きが仕入れ、自社船を含むSANKO船団が漁獲する魚と豊洲の大卸・綜合食品の仕入力を最大活用した海鮮をふんだんに活用したメニューを提供しております。さらに、2024年7月より水産6次産業化による独自の強みを活かした新メニューを各店舗へ展開、鮮度抜群の新鮮な魚介類を使用した海鮮丼や、サクサクの天ぷらが楽しめる天ぷらセット、ボリューム満点の定食や天丼メニューなど、多彩な料理を取り揃え、お客様満足度を追求してまいります。

 

官公庁等を中心とする食堂施設の運営受託事業は、「産地活性化プラットフォーマー」として、農林水産省内の職員食堂である「あふ食堂」を中心に官公庁食堂群を活用し、全国自治体・各種団体と連携し全国産地の郷土料理や食材をテーマにしたイベントの開催に取り組むことで、食堂運営受託の枠を超えた産地活性化への挑戦と食堂利用のお客様満足を官民一体で両立させる取り組みを推進いたしました。「令和6年能登半島地震」により甚大な被害を受けた石川県の生産者の方々へ、「いま、私たちにできること」として、当社受託食堂で漁業者の方々を応援する企画の実施や、石川県食材を使ったメニュー販売、当社運営受託の6省庁10店舗にて、石川県食材の情報発信など行いました。こうした取り組みが同じ漁業関係者・水産加工事業者の支援に繋がり、提供する商品を食べて応援消費することで、再開に向け努力されている地元石川県の方々の一助となりますことを切に願っております。

運営受託店舗については、2024年5月九段第二合同庁舎(東京都千代田区)内地下一階に「東京チカラめし」をお召し上がりいただける「東京チカラめし食堂」、同月東京大学医学部附属病院内の職員食堂に「あふ東大病院食堂」を新規出店しました。

 

こうした取り組みの結果、飲食事業部門として、コロナ禍の影響が漸次的に薄れた2023年以降、緩やかに売上が回復し、事業ユニットとして黒字転換を果たしました。

当社の経営上の課題は、コロナ禍において戦略的に撤退した飲食店舗の売上高を補完することであり、水産サプライチェーンの構築とともに、これを最大活用した(「アカマル屋鮮魚店」等の)店舗出店が達成されることで、会社の業績回復に寄与するものであると認識しております。

 

出退店につきましては、直営店18店舗及び運営受託店2店舗を新規出店いたました。また、直営店1店舗、運営受託店1店舗及びフランチャイズ店(海外ライセンス店)2店舗を閉店いたしました。これにより当連結会計年度末における店舗数は、直営店55店舗(うち運営受託店12店舗)まで回復し、フランチャイズ店(運営委託店舗含む)は海外(香港)2店舗、国内2店舗で計4店舗となりました。

 

また、当社は、急激な経済成長を続けるベトナムにおいて、ハイエンド顧客のニーズにマッチする日本食レストランを運営するために、ベトナム現地法人であるHOANG SON INVESTMENT AND CONSULTANCY LIMITED COMPANYと合弁会社(AKIKO SERVICE AND TRADING JOINT STOCK COMPANY)を2024年5月に設立いたしました。

さらに当社は、急激に進行する円安を背景として、国外の成長市場に対して我が国が誇る水産資源等を積極的に輸出するために、株式会社ガリュウトレーディングと合弁契約を締結し、2023年12月に新会社である株式会社 SANKO INTERNATIONALを設立いたしました。

このように、当社グループの水産資源の国内調達力とこれまで培ってきた飲食事業のノウハウを、成長著しい特定の海外市場に展開することで将来の収益の柱となる事業の育成を開始いたしました。

 

財務面では、2023年1月に発行した第5回新株予約権の行使により5億63百万円を調達し、また、2024年4月に発行した第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第6回新株予約権の行使により2億2百万円を調達しました。手元流動性を高めるとともに、調達資金を成長戦略へ投資することで確実な成長と業績の向上に努めてまいります。

 

(資産)

当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ90百万円減少し23億83百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金4億43百万円減少、売掛金1億23百万円増加及び有形固定資産1億89百万円増加によるものであります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ42百万円減少し20億55百万円となりました。この主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債85百万円増加、その他流動負債1億5百万円減少によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し3億27百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失7億11百万円、第5回新株予約権行使、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の株式転換請求及び第6回新株予約権行使により株主資本が6億81百万円増加したことによるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ4億69百万円減少し、これに新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額25百万円を加味した結果、4億44百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況につきましては次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は、8億80百万円(前年同期は7億69百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純損失を6億93百万円計上、売上債権の増加額1億16百万円及びその他流動負債の減少額1億12百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は、2億86百万円(前年同期は74百万円の獲得)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出2億21百万円及び差入保証金の差入による支出54百万円があったことによるものです。

 

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、6億98百万円(前年同期は6億5百万円の獲得)となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入5億53百万及び新株予約権付社債の発行による収入2億円があったことによるものです。

 

(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2023年6月

2024年6月

自己資本比率(%)

15.1

13.6

時価ベースの自己資本比率(%)

169.1

172.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

 

自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
 (注1)各指標は、いずれも財務数値より計算しております。
 (注2)株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
 (注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
 (注4)有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている
          全ての負債を対象としています。

(注5)キャッシュ・フロー対有利子負債比率とインタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、
    キャッシュ・フローがマイナスのため表示しておりません。

 

(3) 販売実績

業態別

第48期

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

アカマル屋

1,682

134.1

焼肉万里

279

118.0

金の蔵

161

69.6

運営受託

492

100.8

水産事業

5,463

131.6

その他業態

1,249

165.0

 

(注) 当社グループは、単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略し、業態別に記載しております。

 

(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、見積りが必要な事項につきましては、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき、見積りや判断を行っております。しかし、見積り及び判断は不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、売上高につきましては、93億28百万円になりました。原材料価格や人件費及び光熱費等の高騰の影響もあり、営業損失は6億83百万円、経常損失は6億83百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は7億11百万円となりました。

 

③ 財政状態の分析

当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ90百万円減少し23億83百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金4億43百万円減少、売掛金1億23百万円増加及び有形固定資産1億89百万円増加によるものであります。

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ42百万円減少し20億55百万円となりました。この主な要因は、1年内償還予定の転換社債型新株予約権付社債85百万円増加、その他流動負債1億5百万円減少によるものであります。

当連結会計年度末における純資産の部は、前連結会計年度末に比べ47百万円減少し3億27百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失7億11百万円、第5回新株予約権行使、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債の株式転換請求及び第6回新株予約権行使により株主資本が6億81百万円増加したことによるものであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金の源泉は主に、「現金及び現金同等物」、「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「財務活動によるキャッシュ・フロー」であります。

一方、当社グループの主な運転資金需要は、当社グループ販売商品に係る原材料費、店舗運営に係る人件費及び店舗オーナーへの支払賃借料等であり、主な設備投資需要は、新規出店、店舗改修に係る投資資金であります。したがいまして、運転資金と設備投資資金については、営業活動によるキャッシュ・フロー及び財務活動によるキャッシュ・フローで充当しております。

なお、詳細は「(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2023年11月28日開催の取締役会において、株式会社牧原水産が運営する飲食店舗9店舗を運営する決議及び同日付けで同店舗の契約上の地位の移転に関する契約を締結し、2023年12月1日付で同店舗の運営を開始いたしました。

また、当社は、2024年3月27日付の取締役会において、EVO FUNDを割当先とする第2回無担保転換社債型新株予約権付社債(以下、「本新株予約権付社債」といいます。)及び第6回新株予約権(以下、「本新株予約権」といいます。)の発行並びに金融商品取引法による届出の効力発生を条件として本新株予約権付社債及び本新株予約権の買取契約をEVO FUNDとの間で締結することを決議し、2024年4月12日に払込が完了いたしました。

本新株予約権の詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況 ③ その他の新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。