文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、「仕事を通じて、全従業員の人間性を高め、物心両面の幸福を追求すると同時に、地域社会の幸福に貢献する」という企業理念に基づき、「医・食・住」の環境が整った地域社会の形成を目指し、主力の駐車場事業、不動産事業及び駐車場等小口化事業を中心に、メディカルサービス事業、RV事業のほか、各種事業に取り組んでおります。
駐車場事業におきましては、人と街に優しい駐車場を数多く提供し、より安全で快適な交通社会の実現に貢献してまいります。
不動産事業におきましては、人へ、街へ、次世代へ末永く愛される快適な住環境を提供し、地域社会への貢献を目指しております。
駐車場等小口化事業におきましては、不動産特定共同事業を通じて、より多くのお客様に安心安全な駐車場等の小口化投資商品を提供し、お客様の長期安定的な資産運用をサポートし、ゆとりある未来を創造することを目指しております。
その他各種事業におきましても、「地域社会の幸福に貢献する」という企業理念の具現化を目指し、事業活動に取り組んでまいります。
(2)中長期的な会社の経営戦略
当社グループは、主力事業である駐車場事業、不動産事業及び駐車場等小口化事業のほか、各種事業に取り組んでおります。主力事業の収益拡大に加え、その他事業についても、顧客満足に努め着実に収益力を向上させるとともに、主力事業とのシナジーを高めてまいります。
主力事業の収益拡大を図るために、物件仕入力の強化に努めております。優良物件を確保し、不動産特定共同事業の活用により、解約リスクが小さく収益力の高い駐車場の拡大と、新築マンションの安定供給の継続に努めてまいります。
以上の重点施策とあわせて今後の業容拡大を図っていくために、優秀な人材の確保・育成に取り組むとともに、各人の人間力向上及びコンプライアンス意識の向上に努めてまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社は、当社グループの業績拡大、持続的な事業成長、その他企業価値の向上のためには、収益力の向上が重要であると認識しております。そのため、売上高及び利益率を重要な指標と捉え、売上高経常利益率をKPIに定めております。
売上高については、主力である駐車場事業における「駐車場車室数」、駐車場等小口化事業における「預かり資産」、不動産事業における「新築マンション引渡戸数」を重要な指標とし、売上高の向上のため、中長期的に各指標の目標達成に向けた進捗管理を行ってまいります。利益率については、企業価値、競争優位性、付加価値等を測るための重要な指標となります。主力である駐車場事業における各駐車場の利益率の改善のほか、駐車場用地の借上及び駐車場機器の仕入れ、駐車場等小口化事業における不動産等の仕入れ、不動産事業におけるマンション用地の仕入れ及び建築コスト並びに各事業における資金調達コスト等を抑えることで、利益率の向上を図ってまいります。数値目標としましては、売上高経常利益率10%の達成を目標としております。
(4)経営環境、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
今後のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和等により社会経済活動は回復基調にありましたが、ウクライナ情勢の長期化による原材料及びエネルギー価格の高騰や急激な為替変動等の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、地域社会の幸福に貢献するという理念のもと、主力の駐車場事業及び不動産事業、駐車場等小口化事業を中心にメディカルサービス事業、RV事業の他、各種事業に取り組んでおります。
当社グループの継続的な成長を図るために、次に掲げる取り組みを強化してまいります。
①駐車場事業の拡大
新型コロナウイルス感染症の収束による経済活動の回復に伴い、駐車場利用者が徐々に回復しております。今後も安定収益確保のために、月極獲得の強化や地価高騰に対応すべく料金設定の見直しをタイムリーに行うと同時に、駐車場美化、メンテナンスの充実等を常に実践しユーザーの信頼を高めることで、各駐車場の持てるポテンシャルを最大限に引き出し収益の向上に努めてまいります。
また、新規駐車場の開発は、当社グループの将来の収益基盤になるということのみならず、慢性的な駐車場不足という社会問題の解決に貢献するという観点からも、当社グループにとって最重要課題の一つと考えております。 そのために、駐車場用地の借上及び取得のいずれにおいても、情報収集力・提案能力等の更なる強化を図るとともに、駐車場の運営力・サービス力を高めることにより土地建物・駐車場オーナー等の信頼の維持向上に引き続き努めてまいります。
②不動産(新築マンション)の販売強化
新築マンション販売につきましては、アメリカの金融引き締めに伴う金利上昇等による消費マインドの低下が懸念される中、ロシアのウクライナ侵攻及び円安による原材料の高騰等を要因とし、事業環境は不透明な状況となっております。このような環境の中で、エリアの需給動向を的確に見極め、顧客の多様化、高度化する価値観・ニーズに対応できるマンション開発を行ってまいります。また、マンション販売に当たっては販売代理会社と連携し、開発したマンションの早期完売を目指すべく営業活動を行ってまいります。
③駐車場小口化商品の販売強化
駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」販売部門につきましては、収益力のある駐車場用地等の仕入れを継続的に行い、効果的な広告宣伝活動、既存組合員様の追加購入・顧客紹介等により販売の拡大を図ってまいります。
この部門を一層強化することにより、当社グループの主力である駐車場事業及び不動産事業の業績拡大にもつなげてまいります。
④メディカルサービス事業のサービス強化
メディカルサービス事業につきましては、当社の提供する財務コンサルティングに加え、外部パートナーとの連携を強化し、関与する医療機関の事業運営の最適化を支援することで、更なる付加価値の提供を行ってまいります。
⑤RV事業の収益力向上
RV事業につきましては、キャンピングカー市場が拡大する中、販売やカスタマイズ等の受注強化に取り組み、収益は改善傾向にあります。引き続き、製造から、販売・カスタマイズまでワンストップでサービスが提供できる強みを活かし、安定した売上・利益の構築を図ってまいります。
⑥その他の収益力向上
当社グループでは、主力事業の他、温浴施設の運営及び警備事業等、各種事業に取り組んでおります。各事業において顧客満足に努め、着実に収益力を高めるとともに、主力事業とのシナジーを高めてまいります。
当社グループは、各課題に取り組むに当たり、優秀な人材の確保・育成が重要であると考えております。人材採用から教育に至るまで、各事業課題に合わせ適正かつ充実したサポートを行い、社員の定着化・教育を図ってまいります。
また、企業倫理の徹底とコンプライアンス経営の確立になお一層努力してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方及び取り組み
当社グループのサステナビリティ基本方針は、『企業は社会の公器である』との基本的考えを念頭に、次のような企業理念の実践を通じて、持続的成長を通じて社会的課題を解決します。
1.企業経営の長期ビジョンを掲げ、事業の持続的成長を通じて社会的課題を解決します。
2.真のグローバル企業となることを目標に、公正かつ透明性の高い経営を実現します。
3.企業の持続的成長にはあらゆるステークホルダーとの対話が重要であると考え、全てのステークホルダーと責任ある対話を行い、強固な信頼関係を構築します。
当社グループは、グループ共通の企業理念のもと、様々な事業を通じて、「人・街・社会をつなぎ、地域社会の幸福に貢献する」を実現すべく、付加価値の高いサービスや商品の提供により、社会の持続的な発展に努め、株主・投資家、お客様、取引先、従業員、地域社会などさまざまなステークホルダーの皆様の期待に応えることを重視しております。
そのためには、人材の多様性の確保、雇用の拡大及び人材育成、すなわち「人的資本経営」は、最も重要な課題であると考えております。
(2)ガバナンス
当社グループは、「企業理念」および「社是」にかかげた基本理念を遵守し、企業価値の維持向上を図るために、株主の皆様を始め投資家、お客様、取引先および地域社会を含めたあらゆるステークホルダーの皆様に信頼される経営を目指すことが大切であると認識し、この目的の達成のために、法令および規程等の遵守に基づく企業倫理の重要性を全ての従業員が意識し、常に変化する社会環境および経済環境に的確に対応した迅速な経営判断と健全性の向上を経営上の重要な課題と位置づけ、経営管理体制の整備ならびに強化を図る方針としております。
当社は、グループ各社のサステナビリティに関連する取り組みについて、リスク・コンプライアンス委員会やグループ会議等において、重要課題・リスクおよび機会の特定を行うとともに、対応に係る具体策を策定の上、取締役会において当該報告内容に関する審議および管理・監督を行ってまいります。
(3)戦略
当社グループの人的資本経営については、「企業理念」および「社是」にかかげた基本理念に加え、全従業員が誠実かつ適切な行動をするための共通の価値観・倫理観を示した行動規範を定めるとともに、多様な人材の能力と各人が個性を積極的に発揮できる企業風土の醸成のため、以下の基本方針を定めております。
1.企業風土の醸成
社員一人ひとりがダイバーシティの重要性を理解し、多様な人材が活躍できる企業風土の醸成に努めます。
2.女性と外国人の活躍推進
性別、年齢、国籍にとらわれず、女性や外国人の採用・育成・登用を推進するように努めます。
3.キャリア形成と能力開発の支援
個人がもつ能力と個性の発揮を促すため、社員一人ひとりのキャリア形成と能力開発を支援します。
4.両立支援の充実
社員一人ひとりの事情に合わせ、多様で柔軟な働き方ができるよう、両立支援を充実します。
当社グループでは、これら方針のもと、人材の採用・育成および社内環境整備に関する戦略について、経営企画部が中心となり企画・立案し、実施しております。
具体的な取り組みについては以下のとおりです。
1.人材の採用についての取り組み
採用人数にとらわれず、企業理念への共感のほか、積極性・リーダーシップおよび自社独自の選考基準にて採用活動を行っております。新卒採用においては、ジョブ型採用や内定者交流会を通じて、事業及び業務内容を十分に伝えるなどの施策を講じております。また、人事担当のみならず現場の管理職及び先輩社員もリクルーターとして積極的に参加し、入社後のミスマッチの防止を図っております。
2.社員育成のための取り組み
新入社員研修では、人事担当者が自社独自の研修プログラムを構築し、当社経営陣との対話や人材育成を専門とする企業へのアウトソーシング等、幅広い内容にて実施しております。入社2年目以降の社員および中途採用者についても、今後のキャリアプランや希望業務等を伺う『キャリアデザインアンケート』を実施し、中長期的なキャリア形成や将来展望等の相談にも真摯に対応しております。
3.中堅および管理職・役員のための取り組み
管理職育成のための取り組みについては、スキルアップに向けた資格取得の推進、外部研修によるマネジメント能力の向上、eラーニングの活用等により次世代の経営幹部候補の育成に取り組んでおります。
4.多様性の推進
当社グループは、主力事業が駐車場事業であるため、従来比較的男性従業員の割合が高い状況にありましたが、近年では女性の積極採用を進めており、女性の働きやすい職場環境を作ることが重要であると考えております。そのため、当社では、時短勤務制度の拡充、女性管理職の登用、女性労働者の育児休業復帰の促進等を行っております。有能な人材の発掘、斬新なアイデアの喚起、社会の多様なニーズへの対応を行うことは、企業価値向上に不可欠と考えており、年齢、性別、国籍に限らず、学歴や価値観等の多様性を受け入れ、広く人材を活用することで生産性を高めてまいります。
2024年6月末時点における実績は、従業員(臨時従業員を除く)に対する女性比率は39.9%、女性管理職比率は7.1%となっており今後も女性の活躍を積極的に推進してまいります。
一方、当社は事業基盤が国内であり外国人の採用及び管理職の登用実績はありませんが、今後、必要と判断とされる場合には、積極的に採用を行ってまいります。
5.社内環境の整備についての取り組み
社内環境の整備についての取り組みとして、従業員エンゲージメントおよびワークモチベーション向上のため、当社グループ全社員参加対象の社員間交流イベントの実施や永年勤続表彰制度、従業員持株会制度、財形貯蓄制度等、勤続年数に応じた特別休暇の付与、T-Lounge(リラクゼーションスペース)の設置等を行っております。
今後も経営企画部が主体となり、更なる社内環境整備、福利厚生制度の拡充を目指してまいります。
(4)リスク管理
当社グループでは、事業運営やサステナビリティに関するリスクに対して、各種規程の制定・整備により、リスクの抽出及び対応の検討・決定を行い適切なリスク管理を行うための体制を構築しております。当社グループは取締役会直轄の「リスク・コンプライアンス委員会」を設置しており、当委員会において、予測されるリスクを分析・評価した上で優先的に対応すべきリスクを抽出し、対応に係る具体策を策定の上、取締役会に報告し、取締役会において当該報告内容に関する審議および管理・監督を行ってまいります。
(5)指標及び目標
当社グループでは、上記「
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
また、当社は障害者雇用にも積極的に取り組んでおり、法定雇用率を上回っております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループといたしましては、これらのリスクを認識し、リスクの予防、回避及び発生時の適切な対応に努める所存であります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末(2024年6月30日)現在において当社グループが判断したものであり、事業のリスクはこれらに限られるものではありません。
以下の各事項において、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化したときに当社グループの経営成績等の状況に与える影響について合理的に予見することが困難な場合には、その可能性の程度や時期・影響についての記述は行っておりません。なお、当社グループはリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、リスク管理の基盤としての内部統制システムと代表取締役を委員長とするリスク・コンプライアンス委員会において、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスク顕在化の予防を図っております。
①駐車場事業におけるリスク
(i)駐車場用地の確保
当社グループの駐車場事業を拡大するためには、採算の見込める駐車場用地の確保が必要となります。当社グループは、主に土地所有者と賃貸借契約を締結することによって駐車場用地を確保しております。しかしながら、地価の高騰による土地所有者の売却意向の増加や、有効な土地利用の選択肢が増加することで、当社グループの駐車場用地の確保が困難になる可能性があります。また、地価の高騰により賃借料が上昇した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(ⅱ)土地所有者との賃貸借契約が解約される可能性
当社グループの直営店方式においては、駐車場用地の大部分を土地所有者との賃貸借契約にて確保しております。土地所有者との当該契約期間は原則1年間とし、期限到来後は1年毎の自動更新となっております。契約期間内に解約する場合には、原則として一方の当事者が相手方に3ヵ月前に書面で通知することにより相手方の了承を得ることなく解約が成立する内容となっております。したがいまして、当社グループの意思とはかかわりなく、突発的な解約が発生する可能性があります。今後、収益性の高い駐車場の解約が多発した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
②不動産事業におけるリスク
(i)不動産市況及び金利動向等の影響
当社グループが行う不動産事業は、景気及び金利動向並びに住宅税制等の影響を受けやすいため、景気後退やそれに伴う企業収益の悪化及び個人消費の落ち込み、大幅な金利の上昇、税制の変化等が生じた場合には、顧客の購買意欲の減退等により販売価格の低下が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える場合があります。また、経済情勢の変化により、土地仕入代金、建築費等の上昇並びに供給過剰による販売価格の下落が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(ⅱ)不動産引渡し時期等による業績の変動
当社グループの不動産事業における売上計上基準は、物件の売買契約締結時点ではなく、顧客へ物件を引渡した時点で売上を計上する引渡基準としております。そのため、四半期毎の業績については、物件の引き渡し時期や規模等により売上高や利益が大きく変動するため、四半期毎の業績が大きく変動する可能性があります。また、天災その他予測し得ない事態による工事期間の遅延等、不測の事態により引渡時期が遅延することが考えられ、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
③駐車場等小口化事業におけるリスク
「トラストパートナーズ」の完売時期等による業績の変動
当社グループの「トラストパートナーズ」の売上計上基準は「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」(日本公認会計士協会会計制度委員会報告第15号2014年11月4日)に基づき、販売総額の概ね95%以上の契約となった時点で売上計上することとしております。これに対し、広告宣伝費等の販売費については、発生時の計上としております。そのため、四半期の業績については、完売時期(95%以上の契約時期)により、売上高や利益が変動するため、四半期ごとの業績が大きく変動する可能性があります。
④メディカルサービス事業における貸倒リスク
当社グループは、メディカルサービス事業における営業貸付金に対して、十分な貸倒引当金を計上しておりますが、コロナ禍における貸出先の経営不振等により、元本返済の猶予及び金利減免要請があった場合、引当金の大幅な積み増しが生じる可能性があります。それにより、当社グループの業績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。
⑤法的規制
当社グループが展開する事業は、駐車場事業においては「駐車場法」、不動産事業においては「国土利用計画法」「宅地建物取引業法」「建築基準法」「都市計画法」「住宅の品質確保の促進に関する法律」「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」、駐車場等小口化事業においては「不動産特定共同事業法」「金融商品取引法」、その他の事業においては「警備業法」「公衆浴場法」「製造物責任法」「食品衛生法」「貸金業法」等の法規制を受けることになります。今後、これら法規制が変更された場合や新たな法規制が設けられた場合には新たな義務や費用負担が発生することがあります。特に、連結子会社が免許を取得している「宅地建物取引業法」では、第65条、第66条において、業務の停止、免許の取消等となる要件を定めており、これに該当した場合、連結子会社に対して業務の停止命令、免許の取消処分が行われることがあります。当社グループは法規制等の遵守を徹底しており、係る要件に該当する事実は無いと認識しておりますが、今後、何らかの事由により法規制等の遵守が困難になった場合や規制の強化によりコスト負担が増加した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑥個人情報の漏洩
当社グループが保有する主な個人情報は、駐車場事業、不動産事業、駐車場等小口化事業、ウォーター事業、温浴事業等における各種顧客情報及び会員情報等の個人情報であります。これら個人情報の取り扱いについては、プライバシーマークを取得し、情報管理に対する全社的な意識の向上を図るとともに、「個人情報保護基本規程」の定めに基づき、電磁データについては基幹業務システムにて一括管理し、基幹業務システムのセキュリティ強化のための対策を講じております。しかしながら、不測の事態により個人情報が外部に漏洩した場合には、当社グループの信用失墜により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
⑦有利子負債依存度
当社グループは、駐車場等小口化事業及び不動産事業における土地仕入及び建築資金の大部分を借入金で調達していることから、当連結会計年度末における連結有利子負債残高は5,171百万円(前年同期は6,570百万円)であり、有利子負債依存度は58.5%(前年同期は69.7%)となっております。今後、金利水準が上昇した場合には、支払金利負担が増加し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧固定資産の減損リスク
「固定資産の減損に係る会計基準」により、当社グループが保有する固定資産が、不動産市況または収益状況の悪化等の事由により、帳簿価額を回収可能価額まで減損処理を行う必要があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨人材の確保
2024年6月末日現在において、当社グループが管理する駐車場車室数31,191車室のうち、8,344車室は有人駐車場であり、その割合は全体の26.8%を占めております。有人駐車場は、入出庫時の誘導等の利便性、不法侵入や車上荒しの防止等の安全性といった利点がある一方で、人的資本によって維持される要素が強いため、人員の確保と同時に人材の育成が必要不可欠となってまいります。また、温浴事業における温浴施設の運営や、警備事業の人的警備を運営する上でも、人材の確保が重要となってまいります。
当社グループといたしましては、計画的かつ積極的に採用活動を行ってまいりますが、求める人材が充分に確保できない場合又は在職している人材が流出し、必要な人員数を確保できなくなった場合には、当社グループの業績及び今後の事業展開に多大な影響を与える可能性があります。
⑩自然災害、人災等
地震、風水害その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症については、行動制限の緩和等により社会経済活動の正常化が一層進むと見込まれますが、感染が再拡大し、今後事態が長期化した場合には、雇用喪失や就労時間の短縮等に伴う所得の減少等によって顧客の財政状態が悪化し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑪ロシア・ウクライナ情勢の影響について
ロシア・ウクライナの軍事的対立の影響により、原油価格の高騰による原材料価格やガソリン価格の高止まり等のリスクが生じる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和等により社会経済活動は回復基調にありましたが、ウクライナ情勢の長期化による原材料及びエネルギー価格の高騰や急激な為替変動等の影響もあり、景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社グループにおきましては、駐車場事業の収益力向上、不動産事業における新築マンションの販売強化及び駐車場等小口化事業における「トラストパートナーズ」の販売拡大の他、各種事業の収益改善等に注力してまいりました。
また、昨今の物価上昇を踏まえ、賃金のベースアップなどを実施し、従業員の待遇改善を図りました。今後も引き続き、人材育成や働きがいのある職場を目指した、人への投資を推進してまいります。
以上の結果、売上高13,694,050千円(前年同期比2.1%増)、営業利益675,671千円(同18.7%増)、経常利益607,309千円(同19.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は338,335千円(同41.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
駐車場事業
駐車場事業につきましては、経済活動の回復に伴い駐車場利用が活発に推移する中、料金変更等の様々な施策に取り組み、安心・安全な車室の提供に努めてまいりました。
以上の結果、売上高6,833,364千円(前年同期比1.0%増)、営業利益400,234千円(同48.0%増)となりました。
なお、当連結会計年度末の駐車場数は904ヶ所(前年同期より19ヶ所増)、車室数は31,191車室(前年同期より250車室減)となっております。
不動産事業
不動産事業につきましては、当連結会計年度において、新築マンション3棟「トラスト鳥栖本町ネクサージュ(佐賀県鳥栖市、54戸)」、「トラストレジデンス南里(福岡県糟屋郡志免町、28戸)」及び「トラスト福岡空港駅レジデンス(福岡県糟屋郡志免町、68戸)」が竣工いたしました。また、既竣工物件である「トラストレジデンス八女(福岡県八女市)」及び「トラスト春日の杜レジデンス(福岡県春日市)」の販売も継続し、合わせて148戸の引渡しを実施いたしました。
以上の結果、売上高4,653,936千円(前年同期比1.5%増)、営業利益247,496千円(同25.5%減)となりました。
駐車場等小口化事業
不動産特定共同事業法に基づく駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」の販売を中心として行う駐車場等小口化事業につきましては、当連結会計年度において、「トラストパートナーズ第31号(大阪市西区、販売総額184,000千円)」、「トラストパートナーズ第32号(大分県大分市及び広島県尾道市、販売総額170,000千円)」及び「トラストパートナーズ第33号(北九州市門司区、販売総額115,000千円)」を組成、完売いたしました。
以上の結果、売上高536,542千円(前年同期比49.9%増)、営業利益25,507千円(同416.5%増)となりました。
メディカルサービス事業
メディカルサービス事業につきましては、「介護老人保健施設みやこ」、「福岡信和病院」及び「嘉穂信和病院」等の賃貸収入等により収益は概ね堅調に推移した一方、貸倒引当金を計上したことにより、営業損失となりました。
以上の結果、売上高259,937千円(前年同期比0.7%増)、営業損失64,048千円(前年同期は35,367千円の営業損失)となりました。
RV事業
RV事業につきましては、キャンピングカーの製造、販売及び修理・リノベーション等が順調に推移し、増益となりました。
以上の結果、売上高429,296千円(前年同期比3.6%減)、営業利益29,943千円(同83.0%増)となりました。
その他
その他につきましては、温浴施設「那珂川清滝(福岡県那珂川市)」、「和楽の湯下関せいりゅう(山口県下関市)」の来館者数回復、警備契約獲得及び高濃度水素水の製造・販売等に努めてまいりました。温浴施設につきましては、前期に引き続き来館者数が増加したことで、増収となりました。一方、高濃度水素水の製造・販売につきましては、発生剤不具合による商品の自主回収を行い、棚卸資産評価損を計上いたしました。販売再開に向け対応を進めてまいりましたが、再開に至らず営業損失となりました。
以上の結果、売上高981,033千円(前年同期比2.5%減)、営業損失16,431千円(前年同期は53,127千円の営業損失)となりました。
当社グループの当連結会計年度の財政状態の分析につきましては次のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比較して423,893千円減少し、5,945,700千円となりました。主な増加要因は、販売用不動産の増加138,213千円等であります。一方、主な減少要因は、不動産事業における仕掛販売用不動産の減少548,124千円等であります。
固定資産は前連結会計年度末と比較して170,271千円減少し、2,892,115千円となりました。主な減少要因は、減価償却費及び減損損失の計上による、無形固定資産のその他に含まれる特許権の減少49,110千円、保有目的の変更及び減価償却費の計上による機械装置及び運搬具の減少33,690千円、土地の減少31,940千円等によるものであります。
以上の結果、総資産は8,837,815千円となり、前連結会計年度末に比べ594,164千円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比較して734,338千円減少し、4,815,710千円となりました。主な増加要因は、買掛金の増加583,436千円、契約負債の増加37,333千円等であります。一方、主な減少要因は、短期借入金の減少1,171,000千円、1年内返済予定の長期借入金の減少91,831千円等であります。
固定負債は前連結会計年度末と比較して152,435千円減少し、3,106,948千円となりました。主な減少要因は、長期借入金の減少166,537千円等であります。
以上の結果、負債合計は7,922,659千円となり、前連結会計年度末に比べ886,774千円減少しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比較して292,609千円増加し、915,155千円となりました。主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加338,335千円であります。一方、主な減少要因は、剰余金の配当による利益剰余金の減少73,300千円であります。
以上の結果、自己資本比率は10.4%(前連結会計年度末は6.6%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「キャッシュ・フロー」という。)は、前連結会計年度末と比べ67,330千円減少し、2,739,244千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,698,334千円のプラス(前年同期は999,954千円のプラス)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益555,169千円、減価償却費332,930千円、棚卸資産の減少額388,920千円、仕入債務の増加額583,436千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、137,881千円のマイナス(前年同期は281,196千円のマイナス)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出211,117千円、有形固定資産の売却による収入61,159千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,627,783千円のマイナス(前年同期は56,895千円のマイナス)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額1,171,000千円、長期借入れによる収入831,000千円、長期借入金の返済による支出1,089,368千円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの生産活動は、金額的重要性が乏しいため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループは一般の不特定多数の顧客を相手とするサービス業が主であるため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
前年同期比(%) |
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駐車場事業(千円) |
6,833,364 |
1.0 |
|
不動産事業(千円) |
4,653,936 |
1.5 |
|
駐車場等小口化事業(千円) |
536,542 |
49.9 |
|
メディカルサービス事業(千円) |
259,937 |
0.7 |
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RV事業(千円) |
429,296 |
△3.6 |
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その他(千円) |
981,033 |
△2.5 |
|
合計(千円) |
13,694,050 |
2.1 |
(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える事項について、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積もり及び判断を行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に、貸倒引当金などの重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成における重要な判断と会計上の見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症による影響は、「第5 経理の状況」の連結財務諸表及び財務諸表の「追加情報」にて記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、136億94百万円となり前連結会計年度の134億18百万円から2億75百万円の増加(前年同期比2.1%増)となりました。
セグメント別では、駐車場事業につきましては、収益性を重視した新規駐車場の開発及びタイムリーな料金改定等による既存駐車場の活性化に注力した結果、売上高は68億33百万円(同1.0%増)となりました。
不動産事業につきましては、新築マンション3棟が竣工し、既竣工物件と合わせて148戸の引渡しを実施した結果、売上高は46億53百万円(同1.5%増)となりました。
不動産特定共同事業法に基づく駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」の販売を中心として行う駐車場等小口化事業は、3物件を組成し、完売した結果、売上高5億36百万円(同49.9%増)となりました。
メディカルサービス事業につきましては、医療機関等からの賃貸収入を中心に安定した売上を計上した結果、売上高2億59百万円(同0.7%増)となりました。
RV事業につきましては、キャンピングカーの製造、販売及び修理・リノベーション等に注力した結果、売上高4億29百万円(同3.6%減)となりました。
また、その他につきましては売上高9億81百万円(同2.5%減)となりました。
(売上総利益及び営業損益)
当連結会計年度の売上総利益は、27億44百万円となり前連結会計年度の26億22百万円から1億21百万円増加(前年同期比4.6%増)した結果、売上総利益率は20.0%(同0.5ポイント増)となりました。
一方、販売費及び一般管理費は、20億68百万円となり前連結会計年度の20億53百万円から15百万円増加(同0.7%増)しました。主な要因は、給与手当及び福利厚生費の増加によるものです。
その結果、当連結会計年度は6億75百万円の営業利益(同18.7%増)となりました。
(営業外損益及び経常損益)
当連結会計年度の営業外収益は、助成金収入8百万円及び受取和解金7百万円等の計上により39百万円(前年同期比33.5%減)となりました。営業外費用は、支払利息91百万円等の計上により1億8百万円となり、前連結会計年度の1億18百万円から10百万円減少(同8.7%減)した結果、当連結会計年度は6億7百万円の経常利益(同19.0%増)となりました。
(特別損益及び親会社株主に帰属する当期純損益)
当連結会計年度の特別利益は、固定資産売却益6百万円等の計上により10百万円(前年同期比49.1%減)となりました。特別損失は、減損損失59百万円の計上等により62百万円となり、前連結会計年度の1億34百万円から72百万円減少(同53.5%減)しました。以上の結果、当連結会計年度は3億38百万円の親会社株主に帰属する当期純利益(同41.0%増)となりました。
③経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、駐車場事業、不動産事業、駐車場等小口化事業等における土地購入に加え、駐車場事業の設備投資等があります。
資金の調達手段としましては、駐車場事業及び不動産事業における土地購入、建築工事関連費用の資金については金融機関からの長期借入金、駐車場等小口化事業における土地購入については金融機関からの短期借入金、駐車場事業の設備投資については自己資金及びリース契約により調達しております。
また、運転資金の効率的な調達を行うため、取引銀行11行と当座貸越契約を締結することで手元流動性を確保しており、金融機関との間で総額32億円の契約を締結しております。本契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高は13億円であります。
次期につきましては、重要な設備投資等の計画はなく、運転資金や経常的に発生する設備投資及び設備更新につきましては、金利コスト等を勘案しながら、自己資金及び金融機関からの借入れ、リース契約によりまかなう予定であります。
⑤経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めております。継続性のある優良企業となるため安定した収益を確保することが重要であるとの認識より、売上高経常利益率を重要視しております。数値目標としましては、売上高経常利益率10%の達成を目標としております。
当連結会計年度の売上高経常利益率は4.4%となっております。駐車場事業における時間貸駐車場及び月極駐車場の収益向上、不動産事業における土地の仕入及び販売の強化、駐車場等小口化事業における小口化商品の開発強化・拡充により目標達成に努めてまいります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。