第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の中期ビジョン・経営の基本方針

①中期ビジョン

「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を中期ビジョンとして掲げ、不動産領域で真の価値を創造し、当社グループに関わる全ての人の幸福実現を目指しております。

 

②経営の基本方針

イ.不動産業務支援サービスをワンストップで提供する。

ロ.自社開発からアフターサポートまでの一貫したサービスを提供する。

ハ.付加価値の高い商品を開発・提供する。

ニ.お客様と真摯に向き合う営業、サポートを行う。

 

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループが掲げる中期ビジョン「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」の達成に向けて、2024年6月期通期決算発表と同時に、中期経営計画である「新中期経営計画(FY2025-FY2027)」を発表しております仲介ソリューションと管理ソリューション共に成長を掲げるなかで、特に仲介ソリューションの成長を推進し、シェアを拡大することを明記しております。

※詳細は当社IRサイトで公開している「2024年6月期 通期決算及び新中期経営計画(FY2025-FY2027)について」(2024年8月6日)にてご確認いただけます。

 

①業績成長計画(FY2025-FY2027)

3カ年の業績成長計画では、売上高の高い成長に加え、利益面でも高い増益率となるよう計画をしております。まず、成長のベースとなるのは、ストック売上の比率であり、2024年6月期時点で全体売上の約73%がストック売上となっております。解約率が低いことから、このストック売上の比率は毎年高まっており、「新中期経営計画(FY2025-FY2027)」の最終年度には約86%まで上昇させることを想定しております。

 


 


 

②ソリューション別成長テーマ

 「新中期経営計画(FY2025-FY2027)」において、仲介ソリューションでは「シェア拡大」、管理ソリューションでは「シェア拡大及び深化」のテーマを掲げております。

 仲介ソリューションにおいては、今年の秋にリリースされる業者間物件流通サービス「不動産BB」と「リアプロ」の統合版となる「リアプロBB」を中心として、仲介サービスのシェア拡大を図ってまいります。具体的には業者間物件流通サービスによって築いた全国約5万事業者の不動産仲介事業者に、空室データを活かした集客・成約の支援となるクラウドサービスを拡販してまいります。

 管理ソリューションにおいては、業界内でシェアの高い「賃貸革命」をベースに、新規顧客を開拓しつつ、既存顧客へのアップセル・クロスセルに注力してまいります。具体的には「賃貸革命」ユーザーの稼働率を高め、顧客の成長状況に応じて適切なオプションの提案を推進してまいります。


 データベースを活かした新規事業の推進に向けては、当社が持つ商品ラインナップ・不動産データを活かした領域での事業拡大を検討しております。当社が持つ不動産データは一般的な募集データではなく、不動産管理会社が持つリアルなデータです。これらのデータを活用したサービスとして、賃貸住宅の賃料および空室率に関する指標(インデックス)「CRIX」の販売を開始しております。不動産市況の分析にご活用いただける内容であり、すでに、アマゾン ウェブ サービス上でサードパーティーデータを簡単に検索し利用できるサービス「AWS Data Exchange」を通じて有償でのデータ提供を開始しております。また、AIの活用も進んでおり、2023年8月にリリースした「空室対策ロボ」では、不動産データを活用したAI査定機能も搭載しております。

 

③顧客の細分化とエリア戦略の推進

営業施策としては、顧客の細分化、エリア戦略、一気通貫の商品ラインナップで顧客の囲い込みを推進してまいります。本戦略は全国30拠点、現地コンサルティングの効率的な活動に向けて、営業モデルの開発、顧客セグメントの切り分け、エリア戦略等を推進するものであります。また、インサイドセールス・カスタマーサクセスチームを活用した効率的な反響獲得、顧客支援も強化しており、顧客獲得に向けた盤石な体制を築いております。さらなるシェア拡大に向けて、引き続き体制を強化してまいります。

 


市場環境として、現在の不動産業界の労働生産性は他の業界に比して低く、その格差は広がりつつあります。したがいまして不動産テック業界自体は拡大傾向にあり、不動産事業者によるIT投資市場は今後飛躍的な拡大が見込まれます。更に、以下外部環境の変化によって不動産業界のDX化は加速していくことが予想されます。

・デジタル改革関連法案成立によりDX化が加速

・不動産業界における就労者の高齢化と慢性的な人材不足

・賃貸住宅管理業適正化法による賃貸管理業務支援市場の活性化

・宅建業者の新規開業は毎年6,000社以上(デジタルネイティブ世代の開業)
 


今後も、不動産業者と関連性の高い、入居者・オーナー向けサービスの強化や、空室対策におけるサービスの強化、修繕領域でのソリューション、BPOサービスの提供など、当社がこれまで積上げてきた強みを活かして不動産業界のDX化を推進してまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

高品質なサービスを安定的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、売上高の対前年増加額、収益性については経常利益の対前年増加額を重要指標としております。

 

(4)経営環境

当社における経営環境については、「第2 事業の状況4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」の記載をご参照ください。

 

(5)対処すべき課題

当連結会計年度も、当社の強みである一気通貫の業務支援クラウドサービスを顧客に提供し、不動産業界全体のDX化を推進してまいりました。このような中、当社が対処すべき主な課題は、以下のとおりであります。

 

① 業者間物件流通サービスによるスピーディな顧客基盤の拡大

当社の成長を加速するためには、業者間物件流通サービスの利用者数を増やし、顧客基盤を拡大させていくことが重要であると認識しております。当社の業者間物件流通サービスは「不動産BB」とM&Aによってラインナップに加わった「リアプロ」の2つのサービスがあり、サービス統合に向けて現在開発中であります。今年秋にリリースを予定しており、サービスの統合をキーに一弾の成長を図ってまいる所存であります。

 

② 営業戦略の推進と生産性向上

当社グループの成長戦略の一つである全国30拠点、地域密着型のコンサルタントを活かしたマーケットシェア拡大を実現するためには、エリアや顧客のセグメントに合わせた営業施策および、既存の営業社員のさらなる戦力強化が重要であると認識しております。また、生産性向上に向けては、インサイドセールス・カスタマーサクセスを活用した顧客からの反響対応の改善や、営業部門全体での蓄積されたナレッジの共有等を行い、改善を図ってまいります。

 

③ 既存事業の強化

新規顧客および既存顧客へのアップセル・クロスセルによる業績の拡大に向けては、既存事業である仲介ソリューション、管理ソリューションの商品強化が重要であると認識しております。市場の変化、法改正、顧客から得た情報を十分に活かし、商品のリニューアル、またはバージョンアップに向けて商品強化を推進してまいります。

 

④ AI・ビッグデータを活用した新規事業

当社グループは、AI・ビッグデータを活用し、新規事業の強化を進めていくことが重要であると認識しております。当社グループが持つ膨大な物件情報・入居者属性のデータは、不動産市場における消費者の行動分析や購買分析、投資家に向けた資産価値の評価など、分析手法によって多数のアプローチが可能な内容になっております。すでに賃貸住宅の賃料および空室率に関する指標(インデックス)「CRIX」の販売やAI査定を搭載した「空室対策ロボ」でのデータ活用を開始しております。不動産業界への新たなソリューション提供および不動産業界DX化の加速実現に向けて、当社グループでは引き続き研究開発等、活動を推進してまいります。

 

⑤ 市場拡大・新規開業企業への対応

国土交通省の報告によれば、宅建業者数は微増で推移しており、法人業者数は増加傾向にあります。また、毎年6,000社以上の事業者が新規開業を行っており、その度に設備投資による商談の機会が創出されております。不動産事業へのソリューションを提供する当社としては、新規開業事業者に向けて、販売の強化を行っていくことが重要であると認識しております。営業拠点からの活動だけでなく、Webマーケティングによるプロモーション活動やカスタマーサクセス部隊による活動等、様々な角度から販売を強化し、課題解決に向けて取り組んでまいります。

(出典:不動産適正取引推進機構 令和4年度末 宅建業者と宅地建物取引士の統計について 「宅地建物取引業者数の推移」)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ推進委員会にて、サステナビリティに関する全体的な課題、取組、施策の検討や確認を行っております。取締役スタッフ統括管理部長が中心となり、取締役会及びコンプライアンス委員会とも連携を取りつつ活動を推進しております。また、活動内容については定期的に取締役会にて報告が行われ、適切に協議・監督がなされる体制を整えております。

 

(2)当社グループの戦略

当社グループは経営理念に「私たちは、活力のある職場をつくり、社業の発展と共に各人の人間的成長と、関わる全ての人の幸福を実現します。」を掲げており、創業時より人材の持続的な成長を重視し事業をおこなってまいりました。昨今の国内における少子高齢化や、多様な人材の活躍推進、Well-being(ウェルビーイング)な世界の実現に対しても社会の公器としての責任を果たし、事業活動を通して積極的に貢献していく所存であります。

 

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

人的資本経営の実現に向けては、以下、方針を定め運営しております。

 

a.人材育成方針

当社グループが運営する人事制度マニュアルには組織運営方針として次の3つの事項を定めており、これらを包括した人事制度マニュアル全体が人材育成方針の基盤となっております。

・全員が参画意識を持った「全員経営」を目指す

・共に育つ環境を構築する

・挑戦できる環境の提供

[具体的施策]

・人事評価制度

当社グループではKGI・KPIによる目標管理を実施しており、会社業績計画及び中長期ビジョンなど企業全体が同一の重要課題に取り組んでおります。また、評価のなかでは各個人の「ありたい姿」や「実現したい中期ビジョン」も設定しており、事業を推進していくなかで、同時に各個人の目標も達成できるようマネージャーと密にコミュニケーションを取って進めております。

・クレドによる行動指針、オーナーシップの醸成

当社グループでは、2014年より経営理念を基に行う事業活動全般に対する共通の価値観・行動指針である「クレド」を制定し運用しております。「クレド」は理念の達成に向けた17個の項目から構成され運営のなかでは項目自体の見直しも適宜行われ、形骸化することなく定着しております。人材育成方針にもある「全員経営」の実現に向けて各個人の主体的行動を支援する役割を担っております。

・e-ラーニングを活かしたリスキリング支援

人材育成の一環として活用するe-ラーニングでは、ビジネススキルやマネジメントスキル、労務・メンタルヘルス等の基本学習だけではなく、ITリテラシーや、英語・中国語などの語学学習も用意しており、各個人のリスキリングを支援しております。

・キャリア申告制度

社員が働きやすい環境整備と社内におけるキャリアアップを支援するための仕組みとして、キャリア申告制度を設けております。本制度では、本人の意思表示を記載するキャリア申告シートに、今後、自身が築きたいキャリア、チャレンジしたい職種、部署などを記載し、人事部門に提出いたします。申告を受けた人事担当者は本人・希望部門等と面談を実施し、可能な限り希望に添えるよう調整を実施し、希望者のキャリア形成を支援しております。
b.社内環境整備方針

当社グループでは、社員一人ひとりの強みを活かしたキャリア形成及びエンパワーメントを図り、事業活動を通した社会への貢献とWell-being(ウェルビーイング)の実現に向けて、社員が働きやすい社内環境を整備しております。

[具体的施策]

・HR(人事管理)システムによるパーソナル分析とマネジメントでの活用

各個人の強みや適性診断等、本人の過去の職歴、評価推移などを統合的なHRシステムにより一元管理しており、分析結果はマネージャーによる育成面談等のコミュニケーションで活用しております。各個人が本来持つ強みが十分に発揮されるよう意見交換を通して、現状把握と将来ビジョンを描きます。

・定期的な組織サーベイによるエンゲージメント調査の実施

社員のエンゲージメント調査を定期的に実施し、理念・ビジョンの浸透度合いや、中期的な成長計画、またはマネージャー、上司への相談環境など部門別での現状把握と課題設定による施策を講じております。

・社内報を通した組織内コミュニケーション

社内活性化やコミュニケーション向上を目的とした社内報を発行しております。主業務で利用する情報共有サイトとは異なり、新入社員の紹介や推進プロジェクトに対する各メンバーの意気込み紹介、開発秘話、おすすめの書籍紹介など可能な限りパーソナライズされた記事で構成しており働く社員の個性が尊重されるコミュニケーションツールとなっております。

 

・キックオフミーティングでの表彰制度

毎年期初に開催される事業計画及び中長期成長ビジョンを共有するキックオフミーティングでは、前期に特に活躍したメンバーや組織の表彰を行っており、意欲的な活動に対する適切な評価を表彰という形でフィードバックしております。

 

(3)リスク管理

当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクは、サステナビリティ推進委員会にて管理しており、特に重要なリスクについては、取締役会にて報告され、協議を実施しております。サステナビリティ関連の機会の識別、評価、優先度の設定については、サステナビリティ推進委員会にて行われ、戦略、計画に反映され取締役会にて報告されます。

 

(4) 指標及び目標

当社グループでは、社会課題の解決及びさらなる組織力の醸成に向けて、人材の多様性と就労環境の向上が重要と考えており次の目標を掲げております。今後はサステナビリティ推進室の議論を経て、必要に応じて目標を追加してまいります。

 

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

・係長級以上に占める女性労働者の割合を30%以上とする。(2024年6月末現在 9.68%)

・労働者の年次有給休暇の年間平均取得率を60%以上とする。(2024年6月末現在 71.83%)

 

 

3 【事業等のリスク】

以下については、当社グループが事業を運営するにあたりリスク要因となる可能性があるものを記載しております。また、投資家および株主に対する積極的な情報開示の観点から、当社グループとしては必ずしも特に重要なリスクと考えていないものも記載しております。

当社グループとしては、これらのリスクをあらかじめ十分に把握したうえで、発生の予防並びに対処に万全を期す所存でありますが、投資判断につきましては本項記載以外のものも含めて慎重に検討していただきたいと思っております。また、これらのリスク項目は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであり、発生の可能性のあるリスクの全てを網羅するものではありません。

 

(1)業界および顧客の動向に関するリスク

当社グループは、不動産業界に特化した不動産管理システム等の開発・販売を行っており、当社グループ製品・サービスの最終ユーザーは不動産業界に集中している状況にあります。不動産業界の中でも不動産取引業、不動産賃貸・管理業等に応じた製品・サービスを提供しておりますが、不動産業界全般の景気や、不動産業界におけるシステム投資の状況によって、当社グループの財政状態および経営成績は影響を受ける可能性があります。また、今後において、不動産業界に対する規制環境の変化や業界各社の対応に何らかの変化が生じた場合、同様に当社グループの財政状態および経営成績に影響が生じる可能性があります。

 

(2)競合他社や技術革新により当社グループの製品・サービスが陳腐化するリスク

 当社グループが属する業界においては、技術革新のスピードが速く、その急激な変化に対応するために、開発部門では既存製品の改良および研究開発に取り組んでおります。しかしながら、想定以上の技術革新により新技術および新サービスが普及した場合には、当社グループが提供する製品・サービス等が陳腐化し、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの競合先との競争激化による製品価格の引下げや競合他社製品の性能強化が進んだ場合、同様に当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制について

 現時点において、当社グループ事業そのものを規制する法的規制はないものと認識しておりますが、情報サービス業界の変革は激しいことから、今後新たな法令等の整備が行われる可能性は否定できず、当該内容によっては、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、不動産に関わる分野におけるインターネット上の情報流通や表示項目等が規制の対象になる可能性もあり、その場合には当社グループの事業が制約される可能性があります。

 

(4)製品・サービスにおける不具合・瑕疵等について

 当社グループは、製品・サービスの開発過程において、ソフトウエアにかかる厳格な試験を実施すること等により不具合・瑕疵等の解消および発生防止に努めておりますが、製品・サービスの投入後において重大な不具合・瑕疵等が発見された場合には、その対応のため多大なコストが発生するほか、当社グループ製品・サービスに対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)人材の確保に関するリスク

 当社グループ事業の継続的な発展および急速な技術革新への対応およびサービスの普及には、優秀な人材の確保および育成が不可欠であることから、技術者および営業人員(カスタマーコンサルタント)を中心とした採用および育成に努めており、今後も積極的に強化を図っていく方針であります。今後において人材採用が困難となる場合、または在籍する人材の流出が生じた場合、当社グループ事業の円滑な運営および拡大に支障をきたす可能性があります。加えて、優秀な人材を確保・維持しまたは育成するための費用が増加する可能性もあり、これらに起因して、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(6)情報セキュリティに関するリスク

 当社グループでは、事業活動を通じて顧客が保有する取引先情報や個人情報等の機密性の高い情報を取得することがあります。このような機密性の高い情報を適切に管理するため、ISMS(ISO27001)認証を取得し、「情報セキュリティ管理規程」や「個人情報保護基本規程」等の社内規程に基づいた情報管理に関する社内ルールの周知徹底をはかり、従業員に対する情報管理体制の強化に努めております。しかしながら、外部からの不正アクセス、システムの欠陥や障害、機密情報の取り扱いにおける人的過失、従業員の故意等による情報の漏洩、消失、不正利用等が発生した場合、対応次第では、信用の失墜を招き、更には損害賠償の対象となることも考えられます。そのような場合には、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)システム障害に関するリスク

 当社グループでは、インターネットへの接続環境を有するユーザーを対象に製品・サービス開発を行っており、営業活動・クラウドサービスその他のサービス提供においてもインターネットに依存しております。このため、自然災害、戦争、テロ、事故、その他通信インフラの破壊や故障、コンピューターウイルスやハッカーの犯罪行為等により、当社グループのシステムあるいは外部に委託しているシステムが正常に稼動しない状態、いわゆるシステム障害が発生した場合に、当社グループの事業に極めて重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ製品・サービスの提供等においてインターネット環境に依存する部分は大きく、システム障害が発生した場合に、代替的な営業・サービス提供のルートを完全に確保することは困難な場合もあり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産の管理に関するリスク

 当社グループでは、商標権をはじめとして当社の事業に必要な知的財産権の確保に努めるとともに、具体的な業務の遂行にあたり、第三者の知的財産権その他の権利または利益を侵害しないよう努めており、現状において、かかる知的財産権等に関する紛争はありません。しかしながら、当社グループが予期せず第三者との間で、知的財産権等の帰属や侵害に関する主張や請求を受ける可能性は完全には否定できず、それに伴い当社グループが損害賠償請求や差止請求を受ける可能性があり、かかる場合には当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特定の製品への依存に関するリスク

 当社グループの主力製品は管理ソリューションに含まれる管理業務支援サービス「賃貸革命」であり、現状では、当製品および当製品に附帯するものが当連結会計年度における売上高の過半を占めております。当製品のシェアを高めることは、事業規模拡大において持続的な課題ではありますが、一方で、管理ソリューション以上にマーケットが大きい仲介ソリューション領域での成長を推進することも重要であると考えております。両ソリューション共に成長しつつ、売上高の比率を最適化することが重要であると考えております。

 

(10)中長期経営計画の達成に関するリスク

 当社グループでは、当社グループが掲げる中期ビジョンである「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を達成するためには、業者間物件流通サービス「不動産BB」「リアプロ」により顧客基盤(無償ユーザー)を拡大し、構築した基盤に、有償サービスを投下しアップセルしていく戦略を実行しております。しかしながら、想定通りに顧客基盤が拡大しない場合や、構築した基盤に投下する有償サービスの効果が得られない場合には、中期経営計画が達成できない可能性や、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)顧客の信用リスク

 当社グループの事業における売上債権は、比較的小規模な不動産業者等を対象としたものが多数を占めております。当社グループでは、顧客毎に与信管理を実施するほか、債権の滞留および回収状況を定期的に把握し、必要に応じ貸倒引当金を計上しております。しかしながら、経済情勢の変化により経営基盤の脆弱な企業などにおいて、急速に経営状況が悪化する場合も考えられます。このような場合には、売上債権の回収が遅延するほか、回収不能になる可能性があり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)内部管理体制について

 当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を図る施策を実施しております。また、業務の適正および財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を整備・運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の構築が追いつかないという状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)配当政策について

 当社グループは、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当することを基本方針としております。したがって、各期の財政状態および経営成績を勘案しながら将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益還元実施を検討する所存であります。

 

(14)大規模自然災害に関するリスク

 当社グループ本社(宮崎本社)が属する地域においては、温暖化により近年大型化している台風の直撃、霧島山系火山の噴火、日向灘沖を震源として発生する地震等の自然災害により、本社機能の全部または一部の継続が困難となり、売上の減少およびソフトウエア開発の遅延などが生じ、財政状態および経営成績に影響が及ぶおそれがあります。また、営業拠点の周辺地域において大地震や台風等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合には、当社グループの事業活動に影響を及ぼし当社グループの財政状態および経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15)新株予約権行使による株式価値希薄化に関するリスク

 当社は、当社役員および従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。また、今後におきましても、役員および従業員等に対するインセンティブとして新株予約権を付与する可能性があります。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。なお、当連結会計年度末(2024年6月30日)における新株予約権による潜在株式数は176,000株であり、発行済株式総数14,354,440株の1.2%に相当します。新株予約権の詳細は、「第一部 企業情報 第4提出会社の状況 1株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

(16)大株主に関するリスク

 当社の代表取締役会長である米津健一および同氏の資産管理会社である株式会社NJCが、本書提出日の前月末現在で発行済株式総数の69.80%を所有しており、引続き大株主となる見込みです。

 同氏は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使に当たっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

 同氏は、当社の創業者であるとともに代表取締役会長であるため、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格および流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)のれんの減損や子会社株式の評価減

 当社グループは、成長戦略の一環として積極的なM&Aを行っており、のれんや子会社株式を保有しております。子会社の業績不振により、のれんの減損や子会社株式の評価減を行った場合、業績等に影響を与える可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国の経済は、雇用・所得環境が改善する中で、各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されております。ただし、欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

当社グループがSaaS型クラウドサービスを提供する不動産業務支援の市場においては、不動産業界における慢性的な労働人口不足が続いており、新規開業および事業拡大を図る不動産事業者において生産性向上に向けたIT設備投資需要が引き続き高い状態にあります。デジタル化の追い風としては、2022年5月の改正宅地建物取引業法により解禁となった「不動産取引の全面電子化」をはじめとして、2023年10月施行のインボイス制度、2024年1月施行の電子帳簿保存法によって業界全体にDX促進の機運が高まっております。

 

このような事業環境の下、当社グループは不動産領域に対して一気通貫のサービスラインナップと自社プラットフォームを通じたパートナー企業との連携により、業務範囲を幅広く網羅した不動産DXを推進してまいりました。また、当期が最終年度となる3カ年計画(中期経営計画)の達成に向けて過去2期で投資した商品・拠点・営業人員体制を活かし事業を推進してまいりました。その結果、当期業績については売上高・営業利益ともに過去最高を達成しており、翌期以降の成長に向けて良い形で着地することができました。

 

当期を含む過去3カ年の基本戦略としては、無償サービスである業者間物件流通サービス「不動産BB」や「リアプロ(仲介)」の導入提案によって日本全国の不動産事業者との接点を増やし、その後、さらなる付加価値提供として有償のサービスを販売するフリーミアム戦略(注)を取ってまいりました。有償のサービスとしては、仲介事業者向けに提供する仲介ソリューションと賃貸管理業者向けに提供する管理ソリューションの2つを提供しており、仲介ソリューションではホームページ制作や不動産ポータルサイト連動、見込客管理(CRM)、内見予約、IT重説、電子契約など集客から契約までの業務を支援する商品・サービスを提供しております。管理ソリューションでは煩雑で多岐にわたる賃貸管理業務をデータベースで一元管理し、業務効率化を図る商品・サービスを提供しております。

(注)フリーミアム戦略とは基本となるサービスや製品を無償で提供し、さらに高度な機能やサービスを利用する際には料金を課金する仕組みのビジネスモデルであります。

 

有償サービス販売の主となるカスタマーコンサルタントによる営業活動では、前期までに増員した営業リソースの最大化に向けて、セグメント分けした顧客に対してエリア戦略によるマーケティング活動に注力し、短いスパンでのPDCAにより業績の基盤を構築してまいりました。営業支援としては、インサイドセールスやカスタマーサクセス等の後方支援チームにより案件獲得数の向上、成約率向上を図っております。また、2022年6月に経営統合した株式会社リアルネットプロの主力商品である業者間物件流通サービス「リアプロ(管理)」についても、市場での高い需要に合わせて専門チームを組成しており、サービス拡販に向けて第3四半期より積極的に活動してまいりました。

 

新商品開発において、有償サービスとして展開する「リアプロ」と無償で提供する「不動産BB」との統合版となる「リアプロBB」を開発中であり、リリース時期は2024年の秋頃を予定しております。統合後には物件情報数・利用事業者数ともに日本最大規模の業者間物件流通サービスとなり、不動産業界全体のDX推進に向けて大きく貢献できると考えております。両サービスは業者間物件流通サービスとして類似したサービスであり、これまではエリアごとにシェア拡大戦略を実施しておりましたが、統合後は一本化され、他サービスとの連携も強化されつつ、シェア拡大に向けてさらなる加速を図ってまいります。なお、統合サービスに移行する「不動産BB」の顧客については、統合のタイミングに合わせて有償化を図る予定としております。

その他の商品開発としては、「賃貸革命」の次期バージョン開発、既存製品の機能強化を中心に進めております。また、最新技術の活用として生成AIを用いた業務効率や、当社が保有する不動産データを活かした新規事業の研究開発も進めており、長期的な成長を見越した投資も継続しております。

 

中期ビジョンとして掲げるプラットフォーム創造については、家賃保証会社や保険会社とのデータ連携を中心に様々な企業との提携が進んでおります。当社プラットフォームの領域を拡大しつつ、パートナー企業とともにより一層業界のDX化に貢献してまいります。

 

a.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、5,569,912千円となりました。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、2,103,457千円となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産は、3,466,455千円となりました。

 

b.経営成績

当連結会計年度の売上高は4,436,894千円前連結会計年度比17.7%増、営業利益は709,517千円前連結会計年度比115.2%増、経常利益は740,273千円(前連結会計年度比96.9%増、親会社株主に帰属する当期純利益は428,987千円前連結会計年度比131.5%増となりました。

なお、当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、サービス分類別の売上高の状況は、次のとおりであります。

サービス分類

前連結会計年度

当連結会計年度

対前年同期

(自 2022年7月1日

(自 2023年7月1日

2023年6月30日

2024年6月30日

売上高(千円)

構成比(%)

売上高(千円)

構成比(%)

差額(千円)

増減率(%)

仲介ソリューション

イニシャル

74,450

2.0

84,702

1.9

10,252

13.8

ランニング

1,431,466

38.0

1,566,211

35.3

134,745

9.4

1,505,916

39.9

1,650,914

37.2

144,998

9.6

管理ソリューション

イニシャル

914,062

24.2

1,088,858

24.5

174,795

19.1

ランニング

1,310,473

34.8

1,651,579

37.2

341,106

26.0

2,224,535

59.0

2,740,438

61.8

515,902

23.2

その他

39,925

1.1

45,542

1.0

5,616

14.1

合計

3,770,377

100.0

4,436,894

100.0

666,517

17.7

 

イニシャル:販売時に一括で売上計上するソフトウエアの導入費用・導入ライセンス

ランニング:保守・利用期間に渡って売上計上する、ライセンス料金・サービスの利用料

 

(仲介ソリューション)

仲介ソリューションにおいては、自社ホームページ集客を支援する「WebManagerPro」や、不動産ポータルサイト集客を支援する「物件データ連動」、不動産契約の電子化を支援する「電子契約サービス」等、仲介業務の課題解決となるサービスの提案を積極的に行ってまいりました。また、子会社である株式会社リアルネットプロが提供する業者間物件流通サービス「リアプロ」の拡販に向けて専門チームを組成、エリア別のシェア拡大戦略を推進し、「リアプロ」有償顧客からの月額利用料が順調に積み上がりました。

その結果、アップセルも功を奏し、仲介ソリューションの売上高は1,650,914千円(前年同期比9.6%)となりました。

 

 

(管理ソリューション)

管理ソリューションにおいては、売上のメインとなる「賃貸革命」の新規顧客への販売、既存顧客へのバージョンアップ、オプション追加等積極的に提案してまいりました。また、解約率については継続して低位で安定していることから、月額利用料も堅調に積み上がりました。

その結果、管理ソリューションの売上高は2,740,438千円前年同期比23.2%)となりました。

※仲介ソリューション、管理ソリューションの合計売上高4,391,352千円の他に、その他売上高45,542千円があります。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、787,446千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動による資金の増加は、640,722千円となりました。

これは、主に税金等調整前当期純利益の増加723,253千円、減価償却費の増加による資金の増加272,078千円、売上債権の増加による資金の減少276,894千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動による資金の減少は、540,204千円となりました。

 これは、主に無形固定資産の取得による支出459,546千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動による資金の減少は、267,788千円となりました。

これは、主に自己株式の取得による支出17,799千円、自己株式取得のための預託金増加による減少132,024千円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日

金額(千円)

前年同期比(%)

金額(千円)

前年同期比(%)

不動産業務支援事業

3,770,377

123.5

4,436,894

117.7

合計

3,770,377

123.5

4,436,894

117.7

 

(注)  1.当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであります。

2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在(2024年6月30日)において当社が判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」をご参照ください。

2)経営成績

(売上高)

売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご参照ください。

 

(売上原価)

当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度と比べて246,184千円増加し、1,529,684千円(前年同期比19.2%増)となりました。その主な内訳は、外注加工費が166,256千円増加したことによるものであります。

 

(販売費及び一般管理費)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べて40,533千円増加し、2,197,692千円(前年同期比1.9%増)となりました。その主な内訳は、地代家賃が15,738千円増加および採用費が15,490千円増加したことによるものであります。

 

以上の結果、損益につきましては、営業利益は709,517千円(同115.2%増)、経常利益は740,273千円(同96.9%増)となりました。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前連結会計年度と比べて103,205千円増加し、294,266千円(同54.0%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は428,987千円(同131.5%増)となりました。

 

(営業外損益)

当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度と比べて26,207千円減少し、33,739千円(同43.7%減)となりました。その主な内訳は、保険返戻金が55,141千円減少したことによるものであります。営業外費用は、前連結会計年度と比べて10,671千円減少し、2,984千円(同78.1%減)となりました。その主な内訳は、為替差損が7,338千円減少したことによるものであります。

 

b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

売上高の対前年増加額および経常利益の対前年増加額を重要指標としており、当連結会計年度の売上高は4,436,894千円となり、前連結会計年度比17.7%増となりました。それはランニング積み上げによるものであります。また、当連結会計年度の経常利益は740,273千円となり、前連結会計年度比96.9%増となりました。

 

c.セグメントごとの財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの報告セグメントは、不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。

 

②キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、短期運転資金については自己資金を基本としております。また、設備投資資金等についても自己資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。

 

a.資金需要の主な内容

当社グループの運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費および外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、787,446千円であります。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債および収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかし、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループは、特に以下の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定が重要と考えております。

なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、後記「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

当社は、2024年5月24日開催の取締役会において、2024年7月1日を効力発生日として、当社を存続会社、当社の完全子会社である株式会社リアルネットプロを消滅会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。詳細は、注記事項の(重要な後発事象)に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

研究開発活動としましては、仲介ソリューション・管理ソリューションの領域における既存領域の価値向上に加え、生成AI・ビッグデータ・ブロックチェーンなどを活用した製品の研究開発にも取り組んでおります。これらの研究開発成果を既存製品と組み合わせることで、当社製品の機能・価値を更に高めていくことを目指しております。サービスとしては、当社が持つ不動産関連のビッグデータ活用として、賃貸住宅の賃料および空室率に関する指標「クリエイト賃貸住宅インデックス(CRIX)」やAI査定機能を搭載したオーナー向けレポーティングサービスである「空室対策ロボ」の提供を開始しております。

これらの研究開発は当社の開発部門が中心となって活動しており、機能・価値を高めた製品のリリースを随時行っております。

当連結会計年度における研究開発費の総額は23,564千円であります。

また、当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。