当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは第一次、第二次オイルショックの時代背景のもと、省エネルギー系設備のエンジニアリング企業として1979年に創業いたしました。「省エネルギー事業で世の中の役に立ちたい」という創業のポリシーを引き継ぎ、以下の企業理念等を掲げております。
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企業理念 顧客重視・顧客満足
・すべてのお客さま・ビジネスパートナー・株主・投資家・地域社会・グループの全役職員やその家族等、 あらゆるステークホルダーを顧客とします。 ・トップマネジメントが主導して、顧客に正面から向きあい、甘えず、着実に、誠実な経営をお約束します。 ・ESG(※1)とコンプライアンスを経営の根幹に置くことで、SDGs(※2)の実現に貢献し、持続可能な成長による企業価値向上を目指します。
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経営理念 Total Energy Saving & Solution
複雑化する顧客のエネルギーに対する課題やニーズに対して、画一的な製品サービスでは、 企業理念である「顧客重視・顧客満足」を達成することはできません。 社名の由来であるTotal Energy Saving & Solutionの実現に向け、総合的なエネルギーソリューション(※3)の提供をグループ全体で推進いたします。
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経営ビジョン +E Performer
当社グループのあるべき姿を定めたものが経営ビジョンの「+E Performer(プラスイー パフォーマー)」です。 「+E」には当社グループの事業活動に関わる「Energy、Economy、Environment、Engineering、Ecology、 Engagement…」等について「一歩先を行く、他には無いものを新しく提供する」という意味を込めております。 また、「Performer」には「実行者」という意味があり、顧客のニーズに正面から向き合い、成果を出していく 企業姿勢を表しております。 当社グループの強みを最大限に発揮することで、次世代に向けてエネルギーを育み、守り、つなぐ 「+E Performer」を目指してまいります。
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ESG方針 TESSグループは、ESGとコンプライアンスを経営の根幹に位置付け、 世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指します。
・環境(E):顧客と地域社会に向けたTotal Energy Saving & Solutionの実現を目指します。 ・社会(S):事業の成長を支える人材の育成と社会基盤の形成を行います。 ・ガバナンス(G):公正かつ透明性の高い経営を実施します。
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パーパス(存在意義) Total Energy Saving & Solutionの実現により、 世界的なエネルギーの脱炭素化に貢献する
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(2)経営環境
(全般)
当社グループが事業を行うエネルギー業界では、国連による持続可能な開発目標(SDGs)の提唱やパリ協定(※4)の締結を契機に世界的な潮流としてエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが活発になっております。
日本においても、2021年10月には第6次エネルギー基本計画(※5)が閣議決定され、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%削減)の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示されました。徹底した省エネルギーの更なる追求が求められると共に、2030年には国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%程度(2022年度は21.7%)にする目標が掲げられております。更に、2023年2月にはGX実現に向けた基本方針(※6)が閣議決定され、エネルギー安定供給の確保を大前提とした脱炭素への取組方針が示されました。
また、令和5年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2024)では、日本の今後の電力需要の想定として、データセンターや半導体工場の新設等により、産業部門の電力需要は大幅な増加が指摘されているほか、世界各国の共通課題とされている「エネルギーセキュリティの確保」の観点から、日本においてもカーボンニュートラルと両立させることのできる新規投資の促進、技術開発の推進及び制度設計等に取り組んでいく必要があるとされております。また、世界全体の温室効果ガスの排出削減に向けては、「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」の枠組みの下、日本が有する脱炭素技術やファイナンス等を通じて、今後も経済成長に伴うエネルギー需要の増加が見込まれるASEAN等のアジアにおけるGXの実現に貢献していくための様々な取り組みが進められております。
このような状況を踏まえ、当社グループでは、脱炭素社会の実現に向け、今後も当社グループの事業領域において需要家の省エネルギー設備への積極的な投資や再生可能エネルギーの利用の増加及びエネルギー・環境関連分野へのスマート化の推進等の取り組みの機会が増加していくほか、アジアをはじめとする海外でも脱炭素に向けた取り組みの重要性が更に増していくものと考えております。
(再生可能エネルギー)
①全般
国際エネルギー機関(※7)が2023年10月に公表した「World Energy Outlook 2023」では、世界の電源構成に占める再生可能エネルギーの割合が2050年に70.3%(2021年は28.1%)に増加することが予測されております。
また、環境省が設置・運営する環境産業市場規模検討会が2024年3月に公表した「令和5年度環境産業の市場規模推計等委託業務 環境産業の市場規模・雇用規模等に関する報告書」では、国内クリーンエネルギー利用分野(再生可能エネルギー発電システム、再生可能エネルギー売電、再生可能エネルギー設備管理、エネルギー貯蔵設備)の市場規模見通しは、2023年から2050年にかけて約1.3倍の9.9兆円(2023年は7.6兆円)に拡大することが予測されています。
②太陽光発電
日本政府は、第6次エネルギー基本計画において、国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を2030年までに36~38%程度(2022年度は21.7%)にする目標を立てていることから、当社グループでは再生可能エネルギー発電所の設置が今後も増加していくと考えております。一方、日本国内において再生可能エネルギー発電の普及に寄与したFIT制度は、再生可能エネルギー発電促進賦課金に対する電気使用者の費用負担軽減の観点から、新たに取得するFIT認定において固定買取価格が制度開始時と比べて低下、又は買取価格の決定方法が入札となることやFIP制度への移行等、見直しが行われております。そのため、当社グループでは、特に太陽光発電については、FIT制度から自立可能な電源の構築に向けて、更なる自家消費用途への利用や既存のFIT制度を活用した太陽光発電所のFIP制度への転換が進むものと考えております。自家消費用途への利用については、2021年10月に経済産業省資源エネルギー庁が公表した「2030年度におけるエネルギー需給の見通し」において、2030年度の野心的水準として、今後、官民が一体となり民間企業による自家消費促進を進めていくことによって、自家消費太陽光の導入見込み容量は10.0GWとなることが示されております。
③バイオマス発電
株式会社矢野経済研究所が2021年10月に発表した「バイオマスエネルギー市場に関する調査(2021年)」では、バイオマス発電市場、バイオマス熱(蒸気)供給市場、バイオ燃料供給市場それぞれのエネルギー供給量を金額ベースで換算し、合算した国内バイオマスエネルギー市場規模見通しは、2022年度から2035年度に向けて約2.2倍の約1.7兆円(2022年度は約0.8兆円)に拡大することが予測されております。そのため、当社グループでは、バイオマスエネルギー市場の成長に向けて、燃料の長期安定調達が課題となると考えております。
④定置用蓄電池
日本においては、FIT制度等を背景として再生可能エネルギーの導入拡大が進んできた一方、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギーによる発電量は変動するため、電力需要との需給バランスを調整する調整力(瞬時的な変動、時間、日、週、季節的な需要と供給の変動に、確実かつコスト効率よく対応する電力システムの能力のこと。)の必要性が謳われております。調整力の確保のためには、電力系統に直接接続する系統用蓄電池に加え、需要家側に設置される家庭用蓄電池、業務・産業用蓄電池が必要とされており、太陽光発電設備との併用による自家消費や、電力需要の最適化への活用等、需要家側から電力の需給バランスを改善する取り組みが広がっております。
2023年11月に開催された第3回GX実現に向けた専門家ワーキンググループでは、系統用蓄電池の導入見通しについては、2030年に累計14.1~23.8GWh程度、家庭用、業務・産業用蓄電池の導入見通しについては、2030年に累計約24.2GWhになるとされており、このような導入見通しの拡大に伴って、当社グループにおいても系統用蓄電池や需要家側における業務・産業用蓄電池に対する取り組み機会が増加していくものと考えております。
(省エネルギー)
1979年に制定された「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」では、エネルギーの使用が多い事業者に対し、毎年度、省エネルギー対策の取組状況やエネルギー消費効率の改善状況を政府に報告することを義務付ける等、省エネルギーの取り組みを促す枠組みが構築されております。2023年4月からは省エネ法において、非化石エネルギーも含めた全てのエネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換を求めると共に、電気の需要の最適化が求められるようになりました。また、第6次エネルギー基本計画では、産業分野においては、新たな省エネルギー技術の開発や導入、工場排熱等の未利用エネルギーの活用に向けた取組強化等が必要であるとされています。年1.4%の経済成長等を前提とすると、2030年度の最終エネルギー需要を原油換算28,000万kL程度とするためには、徹底した省エネ対策により6,200万kL程度の削減が必要とされております。そのため、我が国においては、個社単位の省エネルギー強化の取り組みに加えて、複数事業者が連携することで更なる省エネルギーの取り組みやユーティリティ設備と需要設備を最適制御するエネルギーマネジメントシステムの導入が進むものと当社グループでは考えております。
(エネルギーの分散化)
近年、大規模な自然災害発生による大規模・集中型エネルギー供給の脆弱性が顕在化し、コージェネレーションシステム、自家発電設備や蓄電池が、企業の工場や事業所のレジリエンス対策(※8)を目的に導入されております。また、日本国内においては、地域に再生可能エネルギー発電設備が増加することによって、エネルギーリソースの分散化がより進む傾向にあります。そのため、当社グループでは、各企業や地域に分散設置されたエネルギーリソースからエネルギー供給を行うことで、非常時の電源確保及びエネルギー供給リスクの分散化、需要地での地産地消によって送電ロスの削減等の課題解決につながるものと考えております。
(電力取引市場)
我が国の電力取引市場では、電力量(kWh)を取引する「卸電力市場」(2005年4月取引開始)、環境価値を取引する「非化石価値取引市場」(2018年5月取引開始)、将来の供給力(容量)を取引する「容量市場」(2020年7月取引開始)、調整力(周波数調整や予備力)を取引する「需給調整市場」(2021年4月取引開始)の4つが開設されております。当社グループでは、これらの4つの市場のうち、2020年以降新たに開設された容量市場及び需給調整市場を活用することで顧客への総合的なエネルギーソリューションの提供機会が拡大していくと考えております。
容量市場においては、分散型エネルギーリソース(コージェネレーションシステム、自家発電設備、燃料電池、蓄電池及び再生可能エネルギー発電システム等)が供給力として利用可能となることや、2024年1月には容量市場の一部として脱炭素電源による供給力確保を目的に、長期的な投資回収の予見可能性を付与する制度として「長期脱炭素電源オークション」が新たに開始されました。当社グループでは、将来の供給力確保を見据えて、分散型エネルギーリソースの新規設置需要やリプレイス需要が見込まれるものと考えております。
また、需給調整市場においては、分散型エネルギーリソースが調整力として利用可能となるため、当社グループでは、分散型エネルギーリソースの付加価値が高まると共に、これらの分散型エネルギーリソースを調整力として取りまとめるERABサービスが活発化してくるものと考えております。
(アウトソーシング需要への対応)
当社グループでは、近年、労働力不足や人材不足、働き方改革推進による生産性向上や業務効率化、業務の高度化を背景に、非中核事業を外部に委託するアウトソーシング需要が高まるものと考えております。そのため、当社グループの事業領域においてもインフラの供給、ユーティリティ設備の第三者所有、O&Mの外部委託等について同様の顧客ニーズがあると考えております。
(3)経営戦略
当社グループは、2024年8月14日に「TX2030 TESS Transformation 2030 / TESSグループ 中期経営計画(2025-2030)」(以下、中期経営計画(2025-2030)という。)を発表いたしました。2030年6月期を目標として、注力事業分野に対する成長投資及び経営リソースの集中を行うことで高収益化の実現を目指していくと共に、以下の方針を重視していくことにより企業価値の向上を目指してまいります。
<ありたい姿>
『脱炭素のリーディングカンパニー』
<企業価値の向上に向けた方針>
・ROE/ROIC重視経営
・成長投資と株主還元
・ESG経営の推進
<注力事業分野>
・系統用蓄電所の開発
・FIT太陽光のFIP転+蓄電池併設
・資源循環型バイオマス燃料事業
・省エネ・再エネソリューション(太陽光・CGS等既存分野)
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「中期経営計画(2025-2030)」では、経営指標として以下を掲げております。
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2027年6月期計画 |
2030年6月期計画 |
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売上総利益 |
132億円 |
215億円 |
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営業利益 |
64億円 |
134億円 |
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ROE |
5.8% |
11.7% |
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ROIC |
3.0% |
5.7% |
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自社FIP転再エネ容量 |
75MW |
113MW |
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累積施工容量(系統用蓄電所) |
100MW |
700MW |
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累積施工容量(系統用以外蓄電所) |
120MW |
150MW |
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バイオマス燃料供給量 |
35万t/年 |
50万t/年 |
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再エネ発電容量(※) |
380MW |
470MW |
(※)再エネ発電容量は、当社の連結子会社の保有分であります。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
国内外でエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが加速する中、当社グループとしては、顧客の高まる脱炭素ニーズやエネルギー分野の多様化するニーズに対応するため、総合的なエネルギーソリューションの更なる強化・拡大が重要であると認識しております。また、この認識に加えて、昨今の当社グループを取り巻く経営環境の変化を踏まえた上での対処すべき課題に対して、当社グループでは「中期経営計画(2025-2030)」に掲げる取り組みを含め、以下の項目に取り組んでまいります。
a.再生可能エネルギー分野への取り組み
(太陽光発電への取り組み)
①自家消費用途の太陽光発電システムに対する取り組み
当社グループでは、更なる導入拡大が求められていることを踏まえ、自家消費用途の太陽光発電システムへの取り組みを進めております。当連結会計年度末現在においては、自家消費型太陽光発電システムによるオンサイトPPAモデルを活用した電力供給サービスを供給先29件(発電容量合計約35.2MW)に対して提供しております。自家消費型オンサイトPPAモデルは、需要家の再生可能エネルギー電気の利用に際して、太陽光発電システム導入に関わる初期投資が不要であるほか、停電時にも太陽光発電システムから必要な電力を供給することができるため、需要家の脱炭素ニーズとBCP対策の両方に貢献することができるサービスとなっております。また、当社グループでは、このように初期投資が不要で顧客にとって導入しやすいオンサイトPPAモデルを入り口として、顧客企業に対して次の本格的な省エネ提案に繋げる取り組みも進めております。
自家消費用途の太陽光発電システムの導入にあたっては、オンサイトPPAモデルのほか、顧客が設備を買い取る形でのEPC提案も可能であり、当社グループでは、顧客のニーズに合わせた提案を行っていくことで導入数の拡大を図っていく方針としております。また、当社グループが電気の小売供給を通して培った需給管理に関する知見を活用しながら、余剰電力の有効活用にも取り組んでまいります。
②FIT制度を活用した太陽光発電所に対する取り組み
日本国内において再生可能エネルギー発電の普及に寄与したFIT制度は、再生可能エネルギー発電促進賦課金に対する電気使用者の費用負担軽減の観点から、新たに取得するFIT認定において固定買取価格が制度開始時と比べて低下、又は買取価格の決定方法が入札となることやFIP制度への移行等、見直しが行われております。また、再生可能エネルギーの導入拡大に伴って、電力の需給量を調整するために一般送配電事業者から要求される出力制御が九州エリアをはじめとする日本全国に拡大しております。
当社グループでは、これらの状況を踏まえ、特に出力制御の増加が見込まれる九州エリアにおいてFIT制度を活用した自社太陽光発電所について、蓄電池を併設したFIP制度への転換を図ることによって、出力制御の影響を抑えつつプレミアム交付による売電収入の向上に取り組んでまいります。また、今後は、自社太陽光発電所における取り組みを通して培った知見をもとに、顧客のFIT制度を活用した太陽光発電所に対しても蓄電池を併設したFIP制度への転換を提案していくことによって、蓄電池によるEPCを拡大していくことに加え、当社グループが持つ需給管理に関する知見を活用しながらFIP制度への転換後における発電量予測や蓄電池の充放電の運用管理まで一貫して受託することで、ストックビジネスの獲得にも繋げていく方針としております。
(バイオマス発電への取り組み)
当社グループでは、ストックビジネスの充実による安定した経営基盤を構築するための一環として、太陽光発電所以外の再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電に向けた取り組みも行っております。2014年11月からは持分法適用関連会社である三重エネウッド株式会社にて近隣地域で流通する木質チップを燃料とするバイオマス発電を行っており、2023年9月からは熊本県球磨郡錦町において連結子会社の合同会社熊本錦グリーンパワーにて地域の木質資源を活用する木質バイオマス発電所の発電事業を開始いたしました。また、佐賀県伊万里市において連結子会社の株式会社伊万里グリーンパワーにてPKS(※9)等のバイオマス燃料を活用する大型バイオマス発電所の開発に取り組んでおり、発電事業開始は2025年5月を予定しております。
(バイオマス資源の有効利用への取り組み)
当社グループでは、バイオマス資源の有効利用に加えて、今後見込まれるバイオマスエネルギー市場の成長を背景に、バイオマス燃料の安定供給を目的として、2018年10月にインドネシアに設立した連結子会社のPT PTEC RESEARCH AND DEVELOPMENTにおいて、パーム産業における残渣物であるEFB等を活用したバイオマス燃料の低コストかつ安定的な大量生産に向けた製造に関する研究開発を行っております。
また、同じくインドネシアにて2020年3月に連結子会社化したPT INTERNATIONAL GREEN ENERGYでは、日本国内のバイオマス発電所に向けたPKS燃料販売事業を開始しております。今後もインドネシアにおけるバイオマス資源の安定調達先の確保に取り組むと共に、日本国内のバイオマス発電事業者や燃料商社等の顧客に加え、連結子会社の株式会社伊万里グリーンパワーの大型バイオマス発電所に向けた供給の拡大を目指してまいります。
(系統用蓄電所の開発に関する取り組み)
当社グループでは、今後、定置用蓄電池の導入拡大が見込まれていることや、脱炭素電源による供給力確保を目的に、容量市場の一部として2024年1月に「長期脱炭素電源オークション」が開始されたことを踏まえ、系統用蓄電所の開発を進めております。系統用蓄電所の開発にあたっては、当社グループがこれまでFIT制度を活用した太陽光発電所の開発を通して培ってきた知見等を活かすことで、開発パイプラインの拡大を目指してまいります。
また、「長期脱炭素電源オークション(応札年度:2023年度)」において落札した静岡菊川蓄電所(容量22,077kW)の開発プロセスを通して、より実践的な系統用蓄電所の開発、EPC及び運用管理等に関する知見を蓄積していくことで、今後も同オークション活用のほか、蓄電事業を実施するオフテイカーとのトーリング契約(※10)の活用も図りながら取り組みの拡大を目指してまいります。
b.省エネルギー分野への取り組み
(省エネルギー分野における事業領域の拡大)
当社グループは、エネルギー消費量の削減やエネルギーコストの削減を求める顧客に対して、工場や事業所の省エネルギー診断を行い、コージェネレーションシステムや燃料転換設備、各種ユーティリティ設備等の省エネルギー設備を導入し、当社グループがO&M、監視及び制御を行うことによって、顧客にとって最適な設備利用及びエネルギー利用を可能とするワンストップ・ソリューションを提供しております。
2020年8月17日には、ヴェオリア・ジャパン株式会社との合弁会社「VTユーティリティーズサービス株式会社」を設立いたしました。ヴェオリア・ジャパン株式会社が得意とする「水」「廃棄物」分野も当社グループの省エネルギー分野におけるサービス範囲に包含することで、事業の強化を図っております。
徹底した省エネルギーの更なる追求が求められる中、当社グループでは、これまで培ってきた技術力や知見等を活用しながら、顧客に対して更なる省エネルギーの提案を行っていくと共に、事業領域の拡大や高まるアウトソーシング需要にも応えてまいります。
c.エネルギーのスマート化に対する取り組み
(分散型エネルギーリソースの有効活用)
当社グループが取り組むエネルギーのスマート化とは、ICTやIoT技術を活用し、多種多様なエネルギーリソースと需要設備をコントロールし、効率的なエネルギー利用により省エネルギーを促進することをいいます。その一環として、当社グループは、自社開発のエネルギーマネジメントシステムである「TESS WebView」を顧客に導入し、エネルギー最適制御を行うためのプラットフォームを構築しております。また、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」及び「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」に係るエネマネ事業者(※11)として顧客に向けたエネルギー管理支援サービスを提供しております。
また、当社グループでは、コージェネレーションシステムや自家発電設備、太陽光発電システム、蓄電システム等を通して獲得した顧客基盤を活用しながら、需要家が所有する分散型エネルギーリソースを有効活用し、更に価値を向上させていくことを目的に、当社グループがアグリゲーションコーディネーター(※12)として供給力を取りまとめ、需給調整市場や容量市場での活用を行ってまいります。分散型エネルギーに関する当社グループの知見を活用し、地域社会におけるスマートグリッド(※13)構築に向けた取り組みも進めてまいります。
(電力品質確保への対応)
再生可能エネルギー発電設備の普及と共に、電力の需給量を調整するために一般送配電事業者から要求される出力制御に対し、オンライン化を進め、自動で制御量を最適化することによって、効率的で最適なエネルギー利用を目指しております。
d.事業拡大のための取り組み
(技術基盤の拡大)
当社グループは、電気、冷熱、温熱、IT・通信、総合技術が求められるコージェネレーションシステムのEPCを通して技術基盤を確立し、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、燃料転換、省エネルギー等のエネルギーソリューションを展開してまいりました。
今後は、高まる顧客の脱炭素ニーズに対応するため、バイオマス燃料、蓄電池、ERAB、水素、地熱発電等の新しいエネルギー分野に既存の技術基盤を応用し展開していくことで、顧客に最適なエネルギーソリューションを提供いたします。
(優良事業に対する投資)
当社グループは、これまで実施してきた再生可能エネルギー発電所の所有に関する投資を継続していくことに加え、電力系統の安定化に寄与する蓄電システム関連事業や、バイオマス燃料の低コストかつ安定的な大量生産に向けた製造設備等への成長投資を行っていくほか、エネルギー分野におけるアウトソーシング需要に資する事業等、総合的なエネルギーソリューションの更なる強化・拡大に向けた投資も検討してまいります。
当社グループにおける投資判断では、自社戦略との整合性、既存事業とのシナジー及び事業の内部収益率(IRR)を重視しており、投資実行にあたっては、資本効率向上を目指し収益性・事業リスクを考慮した上で借入等の外部資金も活用していく方針であります。
(パートナーシップの強化)
当社グループは、顧客の抱えるエネルギー課題に対して当社グループ内のリソースを中心としてソリューションを提供するための事業基盤を構築してまいりました。エネルギー分野やIT分野において技術革新が加速度的に進む中で、当社グループは持続的な成長を図るために、有力なパートナー企業開拓及び連携強化を検討してまいります。
(人材・組織強化)
エネルギー業界は規制緩和等によりビジネスチャンスが広がる一方で蓄電池技術、水素技術等の新たな技術を用いた製品、AI技術やIoT技術を利用したエネルギーマネジメントサービスが台頭し、新規企業の参入、大手電力会社やガス会社による新製品サービスの開発が進められております。当社グループにおいてもこれらの技術革新に対応し、新規製品サービスを展開していく方針でありますが、そのためには各分野で優位性を継続できる戦略立案と実行できる人材育成(新規事業の立ち上げ、社内でイノベーションを起こす人材育成等)、変化する市場に適切に対応できる柔軟性を持った組織力の強化、多角化による分断が生じない統率力の強化が必要となります。
また、国内外でエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが加速する中、顧客からの引き合いが当社グループのリソースを上回っている状況が継続していることから、当社グループの営業部門やエンジニアリング部門を中心とした人員増強に取り組む必要があります。このような状況を踏まえ、当社グループでは、注力事業分野への積極的な採用や適切な人員配置に加え、教育機会の拡充やスピード感を意識した役割と権限委譲、能力を重視した人事評価制度の構築を進めております。今後は、これらの取り組みを加速させると共に人材育成、組織力強化、統率力強化のための投資を推進していくことで、企業グループとしての経営基盤をより強固なものにしてまいります。
(ESG推進活動への取り組み)
当社グループは、長期的かつ持続的に成長可能なグループ経営のため、気候変動リスク対応や人材の多様化をはじめとするESG推進活動に取り組んでおります。2022年7月1日にESG推進委員会を新たに設置し、ESG推進の年間計画、ロードマップ、ESG方針の策定やマテリアリティ(重要課題)の特定に加え、ESG推進に向けた取り組みを更に加速していくため、国際的なイニシアチブやESGに関する国内プログラムへの参加を進めております。
進捗状況等を積極的に開示していくと共に、ステークホルダーとの対話も進めていくことで、当社グループ全体の企業価値向上を目指してまいります。
(気候変動リスクと機会に対する取り組み)
当社グループは、気候変動リスクと機会に対する取り組みとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、2022年9月にTCFD提言に基づく気候変動に関する情報の開示を行いました。TCFD提言に基づき、気候変動に関するガバナンス体制及びリスクマネジメント体制を強化すると共に、当社グループの事業におけるリスクと機会の分析や、その財務的な影響、気候変動に関連した経営指標についての情報開示に努めております。当社グループのTCFD提言に基づく気候変動対応の詳細の開示内容は、次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ホームページ)https://www.tess-hd.co.jp/company/tcfd.html
(※1)ESG:
Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの頭文字からなる企業活動の社会持続性に関する指標のことであります。
(※2)SDGs:
2015年9月に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で発展途上国のみならず先進国自身が取り組むべき事項として掲げられた国際社会共通の目標であり、エネルギー、経済成長と雇用、気候変動等に対する取り組みをはじめとして計17の目標にて構成されております。
(※3)エネルギーソリューション:
当社グループが事業活動を通して顧客に提供するエネルギーに関するサービス全般を指します。
(※4)パリ協定:
第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)にてCO₂排出量に削減目標を定める温暖化対策の世界的枠組みとして日本を含め196の国々による合意に基づき2015年12月に採択された国際協定であります。日本は本協定に対して2030年までに2013年比で温室効果ガス排出量を46%削減することを目標として掲げております。
(※5)エネルギー基本計画:
エネルギー政策基本法第12条に基づき制定される、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためのエネルギーの需給に関する基本的な計画のことであります。
(※6)GX実現に向けた基本方針:
GX(グリーントランスフォーメーション)を通じて脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するべく、2023年2月に閣議決定された取組方針であります。
(※7)国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency ):
1974年に設立されたエネルギーセキュリティやエネルギーに関する政策協力を行うためのOECDの枠内における自律的な機関であります。
(※8)レジリエンス対策:
企業活動が停止してしまうような事態に直面した際にも、受ける影響の範囲を小さく抑え、通常と同様のレベルで事業を継続できるような対策を講じておくことであります。
(※9)PKS:
Palm Kernel Shellの略称で、パーム椰子の種からパーム油を搾油した後に残った椰子殻のことであります。
(※10)トーリング契約:
エネルギー売買契約の一種であり、オフテイカーが発電や充放電等に必要な費用を支払う契約形態のことであります。
(※11)エネマネ事業者:
「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金(省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業)」及び「省エネルギー投資促進支援事業費補助金(省エネルギー投資促進支援事業)」において、一般社団法人環境共創イニシアチブが指定する計測・見える化等の機能を備えたエネルギーマネジメントシステムを用いて、エネルギー管理支援サービスを提供する事業者のことであります。
(※12)アグリゲーションコーディネーター:
需要家側エネルギーリソースや分散型エネルギーリソースを束ね、調整力として一般送配電事業者や小売電気事業者との電力取引や市場取引を行う事業者のことであります。
(※13)スマートグリッド:
IT技術を活用することで、電力の流れを供給側・需要側の両方からコントロールし、最適化する送電網のことであります。「次世代送電網」とも呼ばれます。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、取締役会において「リスク管理」及び「事業創出」の両面から、気候変動対応及び人材の多様化等のサステナビリティに関する事項を踏まえた、経営戦略や中期経営計画の策定、各種取り組みや事業目標の管理等を通じ、各部門・各子会社に対し、監督・指示を行っております。2022年6月には取締役会において、当社グループの気候変動対応及び人材の多様化を含むサステナビリティへの取り組みの監督を強化する観点から、取締役会の下にESG推進担当役員を委員長とするESG推進委員会の設置を決議し、同年7月1日にESG推進委員会を設立いたしました。
ESG推進委員会では、当社グループの事業活動上想定されるサステナビリティ関連のリスクと機会の抽出・分析によるマテリアリティ(重要課題)の特定及びその対応策の検討を行うと共に、進捗状況を管理しております。また、ESG推進委員会の下部組織として、CC(クライメイトチェンジ)ワーキンググループ(分科会)及びD&I(ダイバーシティー&インクルージョン)ワーキンググループに加え、当連結会計年度には生物多様性ワーキンググループ及び情報発信ワーキンググループを新たに設置し、特定のマテリアリティをはじめとした個別のテーマについての取り組みに関する具体施策を検討しております。
また、外部有識者等のステークホルダーから率直なご意見や今後に向けたアドバイス等を伺う場として定期的にダイアログを実施し、頂いたご意見やアドバイス等については、適宜、経営にも繋げていく方針としております。
(2)リスク管理
当社グループでは、ESG推進委員会においてサステナビリティ関連のリスクの特定・評価を実施しております。また、当社は、全社的なリスク管理体制として、コンプライアンス・リスク管理委員会を設置すると共に、「リスク管理規程」を制定し、その適正な運用を行っております。事業活動上の重大な事態が発生した場合には、コンプライアンス・リスク管理委員会に対してその報告を行い、必要に応じてその対策について協議を行う体制となっており、また必要に応じて、弁護士、監査法人、税理士等の外部専門家等から助言を受ける体制を構築しており、リスクの早期発見及び未然防止に努めております。ESG推進委員会等において特定・評価された当社グループに重大な影響を与えるサステナビリティ関連のリスクに関しても、コンプライアンス・リスク管理委員会と連携しながら対応策の検討を行っております。
(3)戦略
当社グループでは、ESG方針を掲げており、ESGとコンプライアンスを経営の根幹に位置付け、世界的なエネルギー脱炭素化に貢献し、SDGsの実現を目指すことを方針としております。
また、当社グループでは、企業活動の持続可能性と中長期的な企業価値の向上を目指していくため、「ステークホルダーにとっての重要性」と「TESSグループの事業にとっての重要性」を軸として、マテリアリティ(重点課題)を特定し、その中でも特に「脱炭素・気候変動」及び「多様性の推進」に関する取り組みを重視しております。
(脱炭素・気候変動)
当社グループでは、気候変動リスクと機会に対する取り組みとして、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、TCFD提言に基づく気候変動に関する情報を開示しております。
気候変動に関連する物理リスク・移行リスク及び事業機会の把握に加えて、それら気候変動リスク・機会が事業戦略・財務計画に及ぼす影響を評価し、リスクの把握にあたっては、2度シナリオ及び4度シナリオによるシナリオ分析を実施しております。2度シナリオにおいてはIEAのSDS等のシナリオに基づき、リスクの顕在化が想定される移行リスクの検討を行っており、4度シナリオにおいては同様にIPCCのRCP8.5等のシナリオに基づき物理リスクの検討を実施しております。2度シナリオ・4度シナリオにおいて特定されたリスクについては、ESG推進担当役員及びESG推進委員会等と共有し、適切に対応を進めていくことにより、当社グループの事業における強みの優位性(事業機会)を確保していくと同時に、気候変動リスクに対するレジリエンスを確保してまいります。また、引き続き、1.5度シナリオに基づいたシナリオ分析及び財務インパクトの影響の精緻化、リスク・機会及び対応策の経営計画への具体的な反映を通じて、気候変動対応を進めていくこととしております。
シナリオ分析を行った結果のリスク及び機会等につきましては、以下のとおりであります。
〔移行リスク〕
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大分類 |
中分類 |
小分類 |
財務への潜在的な影響 |
影響度 |
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移行リスク |
政策と法 |
カーボンプライシングの導入(炭素税の導入等) |
・炭素税の導入に伴うエネルギー等の各種原材料コストの増加 |
低 |
|
企業への炭素排出目標や排出枠の割当制度等の導入 |
・CO₂排出制限等による事業活動の制限リスク ・課せられた排出目標達成に向けた排出権取引による排出枠やグリーン電力購入等のコストの増加 ・エネルギー効率化投資の増加 |
低 |
||
|
訴訟リスクの増加 |
・排出目標の未達成や開示情報の不備に伴うレピュテーション低下リスクや対応に係るコストの増加 ・再エネ発電所開発に伴う訴訟対応に係るコストの増加 |
高 |
||
|
テクノロジー |
新技術への投資 |
・バイオマス関連、蓄電池、水素関連、企業間アグリケーションビジネス等の新技術やサービスの開発に向けた設備投資、研究開発費の増加や失敗リスクの増加 |
中 |
|
|
市場 |
顧客の行動の変化 |
・より低い炭素排出のサービスや商品(電気や熱等も含む)を求める顧客のニーズに応えるためのコストの増加 ・入札条件における低炭素・脱炭素についての要求事項の厳格化に対応するためのコストの増加 ・化石燃料を使用する発電施設の需要減少 |
低 |
|
|
原材料コストの上昇 |
・原材料コスト、エネルギーコスト、電力コストの増加 |
中 |
||
|
評判 |
顧客や地域社会からの期待の変化 |
・気候関連課題への対応や情報開示のための運営コストの増加 ・対応や開示の不備による評判の悪化に起因する顧客離れ ・環境的にネガティブな事業の規模縮小や撤退 |
低 |
|
|
投資家からの期待の変化 |
・気候関連課題への対応不備や情報開示ニーズへの対応不備による株価の下落や投資家離れ |
中 |
〔物理リスク〕
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大分類 |
中分類 |
小分類 |
財務への潜在的な影響 |
影響度 |
|
物理的リスク |
急性 |
異常気象の激甚化による自然災害の甚大化、頻発化 |
・台風・竜巻・洪水による従業員、作業現場、自社施設や自社発電所への被害による損害 ・保険料の増加 ・作業現場や取引先の被災による作業停止、サプライチェーン寸断による資材納入の遅れによる工事期間の長期化、契約違反リスクの増加 |
中 |
|
慢性 |
降水パターンの変化と気象パターンの極端な変動 |
・降水量・降雨日数の増加による自社太陽光発電所の発電量の減少に伴う売電収入の減少 |
中 |
|
|
平均気温の上昇 |
・エネルギー使用量の増加に伴うコスト増加 ・現場作業者の健康被害(熱中症等)の増加や酷暑時間帯回避による生産性低下 ・自社太陽光発電所の発電効率の低下に伴う売電収入の減少 |
中 |
〔機会〕
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中分類 |
小分類 |
財務への潜在的な影響 |
影響度 |
|
資源効率 |
事業所における対策投資 |
・社有車の次世代自動車への切り替えによる車両燃料費削減 |
低 |
|
エネルギー源 |
より低排出のエネルギー源の使用 |
・再エネ電気等の調達によるGHG排出量の削減 ・コージェネレーションシステムをはじめとする省エネルギーシステムの利用促進によるGHG排出量と燃料コストの削減 ・将来の化石燃料価格上昇時のエクスポージャーの減少 ・商品/サービスに対する需要の増加に繋がる評判上のメリット |
高 |
|
新技術の使用 |
・商品/サービスに対する需要の増加に繋がる評判上のメリット ・エネルギー効率の改善によるGHG排出量の削減と燃料コストの削減 ・将来の化石燃料価格上昇時のエクスポージャーの減少 |
中 |
|
中分類 |
小分類 |
財務への潜在的な影響 |
影響度 |
|
製品と |
低炭素排出商品及びサービスの開発・拡大 |
・脱炭素ニーズの高まりにより、太陽光発電やバイオマス発電等の再エネ関連工事の需要拡大による収益の増加 ・省エネ規制の強化等により、既存施設のエネルギー効率向上に向けたリニューアル工事の需要増加による収益の増加 ・オンサイトPPAを含む再エネ発電所への投資からの収益 |
高 |
|
研究開発とイノベーションによる新製品・サービスの開発 |
・バイオマス燃料の開発と実用化による収益の増加 ・水素エネルギー利用システムの開発と実用化による収益の増加 ・蓄電池を活用したエネルギーマネジメントシステムの効率化ビジネスの開発と実用化による収益の増加 |
高 |
|
|
事業活動を多様化する能力 |
・創業以来培ってきたエネルギー多消費型の工場や事業所に向けて展開してきた省エネ・再エネ関連の技術を脱炭素社会における新たなセクター(中小企業や地方自治体等)に転用・活用することによる顧客の拡大と収益の増加 |
中 |
|
|
顧客や投資家からの期待 |
・脱炭素・低炭素化を支援することこそが当社グループの事業そのものであることを開示することにより顧客や投資家からの評判を上げ企業価値が向上する ・自社のESG課題へ積極的に取り組み、その状況を開示しESG投資を呼ぶことで、株価上昇により企業価値が向上する |
中 |
|
|
市場 |
新市場へのアクセス |
・創業以来培ってきたエネルギー多消費型の工場や事業所に向けて展開してきた省エネ・再エネ関連の技術を脱炭素社会における新たなセクター(中小企業や地方自治体等)に転用・活用することによる顧客の拡大と収益の増加 ・気候変動に適応したニーズ増加・受注機会の増加による収益の増加 |
高 |
|
公共セクターのインセンティブの利用 |
・省エネ・再エネに資する設備投資を後押しするための補助金制度等のインセンティブによる受注機会の増加による収益の増加 |
中 |
|
|
レピュテーション |
・低炭素・脱炭素事業拡大による企業価値向上、様々な資金調達機会の獲得 |
中 |
|
|
レジリエンス |
レジリエンス対応事業の推進 |
・レジリエンス確保に関連する商品やサービス(例:BCPとしての自家発電装置(コージェネレーションシステム)やオンサイトPPAの導入等)の需要拡大による収益の増加 ・設備の強靭化のための工事、設備更新期の前倒し等に伴う収益機会の増加 ・浸水等の自然災害リスクが高い地域の強靭化設備投資や、より安全な地位への移転工事増加による収益の増加 |
高 |
(多様性の推進を含む人的資本)
当社グループは、企業理念として「顧客重視・顧客満足」を掲げ、強みである顧客に対する脱炭素に関する総合ソリューション提供力を活かしていくことで、ありたい姿として掲げる「脱炭素のリーディングカンパニー」を目指しております。当社グループでは、このありたい姿の原動力となるのは「人財」であるとの考えのもと、人材の多様性を確保していくと共に、特に次世代を担う人材育成に注力しながら取り組みを進めております。
多様性の確保にあたっては、当社グループでは、性別、年齢、国籍に関係なく、能力や実績を重視する人物本位の人材登用を実施しております。ありたい姿を実現し、持続的な成長及び企業価値を向上させていくためには、多様な視点や価値観を尊重することが重要と考え、経験・技能・キャリアが異なる人材を積極的に採用しております。
また、これらの多様性が活きる文化と職場環境をつくることに加え、従業員ひとり一人の健康等にも配慮していくことが従業員の働きがい向上と質の高い業務遂行に向けて重要になると考えております。健康等への配慮としては、毎年実施しているストレスチェックに関して、当連結会計年度より各部署で改善点について検討する機会を設け、全社的にも改善すべき点等がないかの確認を開始したほか、従業員の健康促進につながる取り組み(各拠点へのウォーターサーバーの設置、健康を意識した昼食を取りながら従業員同士の交流を図る機会とする「ヘルシーランチDay」の開催等)を進めております。今後も、D&Iワーキンググループや社会貢献提案、業務改善提案のために横断的に組織された“ワクワクわーく”プロジェクト、ステークホルダー・ダイアログにて議論された内容並びにESG推進担当役員と社員との1on1ミーティングの対話を通じて得られた意見等をESG推進委員会で取りまとめながら社内環境整備を進めていく方針としております。
人材育成にあたっては、当社グループでは、顧客のビジネスを理解し現場を見て調査し提案を作り込む「現場力」、省エネルギーや脱炭素といった専門技術や法制・社会動向の知見に富む「知識力」及び自由な発想で周囲を巻き込みながらソリューションや新事業を創造する「ひらめき力」の3つを求める力として重視しており、体系的・計画的な研修制度の構築及び実施を通して、これらの強化に取り組むことに加え、各人の多様性を尊重しながら人材を育成する方針としております。具体的な取り組みとしては、若手社員の育成を主眼においた研修や次世代を担う従業員を対象としたリーダー研修等を実施しながら人材育成に努め、次世代の管理職候補であるチーフ・アシスタントマネージャークラスの増員を推進していくことで、多様性が活きる組織力の強化を目指しております。
(4)指標及び目標
当社グループでは、2024年8月14日に発表した「TX2030 TESS Transformation 2030 / TESSグループ 中期経営計画(2025-2030)」の策定に伴い、サステナビリティに関する指標及び目標の一部を見直し、以下のとおり目標を定めております。
(脱炭素・気候変動)
・2024年6月期目標
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項目 |
2024年6月期実績 |
2024年6月期目標 |
|
TESSグループCO₂排出量(※1) |
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0トン |
(※1)Scope1及びScope2の合計
(※2)J-クレジットによるオフセット前:1,267トン
・2030年6月期目標
|
項目 |
2024年6月期実績 |
2030年6月期目標 |
|
自社再生可能エネルギー発電所による送電電力量 |
246,000MWh |
749,000MWh |
|
CO₂排出削減貢献量 |
105,000トン |
321,000トン |
(多様性の推進を含む人的資本)
|
項目(※1) |
2024年6月期実績 |
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(※1)当社グループの合計
(※2)2024年7月末時点で集計
(※3)「令和5年度能力開発基本調査」(厚生労働省)によるとOFF-JTに支出した費用は平均1.5万円/人・年(令和4年度実績)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。これらは当社グループの全てのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見できないリスクも存在します。このようなリスクが現実化した場合には、当社グループの事業、経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)外部環境等に関するリスク
①法的規制
当社グループの事業は、「建設業法」「電気事業法」「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」等の法的規制を受けており、関係する法令等の改廃、予期せぬ法令等の制定によって当社グループが行う事業が何らかの制約を受け又は既存の制約が強化されることになった場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、法令等の改廃状況のチェック体制を構築し、関係する法令等の動向を注視する等、法的規制の遵守に努めております。しかしながら、これらの法的規制が当社グループの予想外又は予想を超えた規制がなされた場合や法改正への対応が間に合わなかった場合には、法改正対応のための費用が増加したり、当社グループの事業活動等が制約を受けたりする可能性があるほか、当社グループがこれらの法令等に違反する行為を行った場合には、違反の意図の有無にかかわらず、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受ける可能性があり、万が一、法令違反等によって当社グループが取得している許認可等が取り消された場合は、当社グループの社会的信用、事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社及び当社連結子会社が取得している許認可等の状況は以下のとおりでありますが、当連結会計年度末現在において、当該許認可等の取り消しとなる事由に該当する事実はありません。
1.エンジニアリング事業
|
許認可等の名称 |
取得・登録者名 |
所管官庁等 |
許認可等の内容及び許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
|
一級建築士事務所の登録 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
大阪府 |
登録番号:大阪府知事登録(ハ)第23366号 |
2020年 3月12日~ 2025年 3月11日 以降5年ごとに更新 |
建築士法 |
同法第26条又は第37条~43条 |
|
特定建設業許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
国土交通省 |
建築工事業、とび・土工工事業、屋根工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、板金工事業、塗装工事業、防水工事業、機械器具設置工事業、解体工事業 許可番号:国土交通大臣許可(特-1)第25685号 |
2020年 2月16日~ 2025年 2月15日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
|
特定建設業許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
国土交通省 |
土木工事業 許可番号:国土交通大臣許可(特-2)第25685号 |
2020年 6月25日~ 2025年 6月24日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
|
特定建設業許可 |
共立エンジニアリング株式会社 |
兵庫県 |
電気工事業、管工事業 許可番号:兵庫県知事(特-2)第111931号 |
2020年 8月21日~ 2025年 8月20日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
|
一般建設業許可 |
共立エンジニアリング株式会社 |
兵庫県 |
建築工事業 許可番号:兵庫県知事(般-4)第111931号 |
2022年 4月19日~ 2027年 4月18日 以降5年ごとに更新 |
建設業法 |
同法第29条又は第45条~55条 |
|
第一種フロン類充填回収業の登録 |
共立エンジニアリング株式会社 |
兵庫県 |
兵庫第281001423号 |
2023年 10月27日~2028年 10月26日 以降5年ごとに更新 |
フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律 |
同法第35条又は第103条~109条 |
2.エネルギーサプライ事業
|
許認可等の名称 |
取得・登録者名 |
所管官庁等 |
許認可等の内容及び許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
|
電気通信事業の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
総務省 |
届出番号:E20-2982 |
有効期限なし |
電気通信事業法 |
同法第177条~193条 |
|
小売電気事業を営もうとする者の登録 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
経済産業省 |
登録番号:A0065 |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第2条の9又は第115条~129条 |
|
グリーン電力証書発行事業者(申請者)の認定 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
一般財団法人日本品質保証機構 |
申請者コード:A31 |
2024年 4月1日 ~2025年 3月31日 以降1年ごとに更新 |
― |
― |
|
再生可能エネルギー発電設備の認定 |
テス・エンジニアリング株式会社 (注)1 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法 |
同法第15条又は第56条~63条 |
|
高圧ガス販売事業の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
東京都 |
― |
有効期限なし |
高圧ガス保安法 |
同法第80条~86条 |
|
発電事業者の届出 |
プライムソーラー合同会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
合同会社T&Mソーラー |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
合同会社ソーラーエナジー・クリエイト |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
合同会社高知室戸ソーラーパワー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
合同会社千葉香取ソーラーパワー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
プライムソーラー2合同会社 (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
合同会社茨城牛久ソーラーパワー (注)2 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
発電事業者の届出 |
テスホールディングス株式会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
|
特定卸供給事業者の届出 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
経済産業省 |
― |
有効期限なし |
電気事業法 |
同法第115条~129条 |
(注)1.「第1企業の概況 3事業の内容 (1)事業内容 ②エネルギーサプライ事業 a)再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電」に記載の運転中の太陽光発電所一覧(オンサイトPPAモデルによる太陽光発電所は除く)及びバイオマス発電所一覧の全ての発電所においても同様の認定を取得しております。
2.同社は連結子会社ではありませんが、連結対象となる匿名組合の営業者であり、事業上の関連性が高いため、記載しております。
3.セグメント共通
|
許認可等の名称 |
取得・登録者名 |
所管官庁等 |
許認可等の内容及び許認可番号 |
有効期限 |
関連法令 |
取消又は罰則条項 |
|
古物商許可 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
大阪府公安委員会 |
第621150123394号 |
有効期限なし |
古物営業法 |
同法第6条、第24条又は第31条~39条 |
②新会計基準の適用、会計基準の変更及び税制改正等
新会計基準の適用、会計基準の変更及び税制改正等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③エネルギー政策の動向
(エネルギー政策の動向)
当社グループが事業を展開する国又は地域においては、政府による再生可能エネルギーの推進や省エネルギーの徹底、エネルギーの安定供給等に向けた取り組みが進められておりますが、我が国においては、エネルギー政策基本法に基づき策定された第6次エネルギー基本計画において、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%削減)の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示され、徹底した省エネルギーの更なる追求が求められると共に、2030年には国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%程度(2022年度は21.7%)にする目標が掲げられております。更に、2023年2月にはGX実現に向けた基本方針が閣議決定され、エネルギー安定供給の確保を大前提とした脱炭素への取組方針が示されました。
当社グループが事業を展開するエネルギー分野は、我が国をはじめ当社グループが事業を展開する国又は地域のエネルギー政策による影響を受けており、かかる政策に変化が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(FIT制度の動向)
FIT制度においては、これまでの制度変更によって、太陽光発電、風力発電や大型バイオマス発電等の一部の電源種別については、新たに取得するFIT認定において固定買取価格が制度開始時より段階的に引き下げられ、又は買取価格の決定方法が入札に移行しております。また、2022年4月からは再生可能エネルギーの買取価格に市場連動型となるFIP制度が導入されたことに加え、調達価格等算定委員会が2024年2月7日に公表した「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」では、昨年度までの意見に引き続き、FIP制度の適用範囲を段階的に拡大していくことに加え、FIP制度開始後、事業用太陽光発電において、新規認定・移行認定に一定の進捗がみられることが示されました。当社グループは、既にFIT認定を取得している再生可能エネルギー発電所に対する取り組みを進めておりますが、今後、政府の決定によって更にFIT制度が縮小、あるいは終了する等、再生可能エネルギー発電事業者にとって不利な変更がなされた場合には、当社グループのエンジニアリング事業においては、FIT制度を利用した再生可能エネルギー発電システムのEPCの新規受注機会が更に減少する可能性があるだけでなく、エネルギーサプライ事業においては、再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電における発電所取得機会が減少する可能性があります。
また、FIT認定にかかる固定買取価格が引き下げられた場合には、再生可能エネルギー発電所の運営にかかる固定費の削減には限界があり、事業上の収益性が低下し、又は、事業からの撤退のための追加的な費用負担が生じ、あるいは固定資産の減損損失が生じる等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、前述のとおりFIP新規認定・移行認定に一定の進捗がみられることを踏まえ、当該運用にかかる将来に向けた知見獲得等を目的として、プライムソーラー3合同会社が保有する既存太陽光発電所2件(発電容量合計約0.6MW)にかかる売電について、2023年3月よりFIT制度活用からFIP制度への移行を図り、試験的な取り組みとして運用を開始しております。また、2024年3月にはFIP制度を活用する太陽光発電所の運転を新たに1件(発電容量約1.8MW)開始しております。
(2)当社グループの事業全体に関するリスク
①事業投資
当社グループは、事業の成長に必要な技術製品に係る開発投資、再生可能エネルギー発電所等(系統用蓄電所やFIP転+蓄電池併設等の蓄電システムを含む)に係る新規設備(オンサイトPPAモデルによる設備取得を含む)への設備投資、稼働済み発電所の取得に係る設備投資、販売網、顧客基盤及び技術力を有する第三者との合弁会社の設立等の継続した事業投資を実施しております。また、今後も当社グループの経営戦略を推進する上で、これら事業投資は重要な要素と位置付けております。
当社グループは、事業投資の実行に際して、経営戦略との整合や既存事業とのシナジー等の確認、投資対象等に対する収益性の検討及び各種デューデリジェンスの実施等、十分な確認・検証を実施することとしております。しかしながら、これら事業投資については、当社グループが企図した通りに投資を実行できない可能性、事業投資そのものに想定以上の費用や時間を要する可能性、当社グループの想定通りに事業が進展しない可能性、未認識の瑕疵・問題等が存在する可能性、投資資産の償却負担が増大する可能性、多額の借入れにより当社グループの有利子負債の割合が増大する可能性、開発資金が不足する可能性や、エネルギー供給先の財政状態悪化及び経営破綻等が生じる可能性があります。これらが顕在化した場合は、当社グループの収益性の悪化や投資に伴い計上した有形固定資産、無形資産、株式等の金融資産又はのれん等の減損損失等が生じる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、外部環境の変化その他の要因から、優良な事業投資案件の獲得が困難となり、又はその取引条件が悪化した場合においても、当社グループの事業、経営成績、財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
②研究開発
当社グループでは「バイオマス発電システム」「バイオマス燃料」「蓄電システム」「需給調整・余剰電力活用技術」「地熱発電システム」の研究開発を進めており、かかる研究開発には長期の期間と多額の費用を必要とします。当社グループは、研究開発の実行については、自社戦略との整合性や既存製品サービスとの親和性を検証する等、十分な確認を実施しておりますが、万が一、研究開発の遅延や長期化により追加的な費用が発生した場合や想定していた成果が得られず収益に結びつかない等の状況が生じた場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③資金調達
当社グループは、エンジニアリング事業におけるEPCに伴う運転資金やエネルギーサプライ事業における発電施設開発・取得等の設備投資資金について、金融機関からの借り入れにより調達しているほか、設備投資の一部はリースを活用しております。2024年6月期末における連結総資産額に占める有利子負債の割合は55.1%であり、当社グループにおける再生可能エネルギー発電設備に係る設備投資や大型EPCに係る運転資金需要等により、当該割合は高い水準にあります。当該状況から、金利が上昇した場合や業績悪化等により当社グループの信用力が低下した場合には、金利負担の増加等により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、将来において、柔軟な資金調達に支障が生じた場合には、当社グループの事業活動の制約要因となる可能性があります。
なお、当社グループの金融機関からの借り入れには財務制限条項が付されているものがあります。いずれかの財務制限条項に抵触する可能性が発生し、抵触を回避するための手段を取ることができない場合、当該債務について期限の利益を喪失する可能性があるほか、それに伴い、その他の債務についても一括返済を求められる可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、かかる財務制限条項に抵触し又は抵触することが合理的に見込まれる借入契約はありません。
また、再生可能エネルギー発電所の開発・取得に係るプロジェクトファイナンスによる資金調達の一部については、当社グループが行う再生可能エネルギー発電所のEPCを定められた条件下での完成を保証することや、事業用地の維持及び匿名組合出資の維持等の義務を定めたスポンサーサポート契約を締結しているものがあり、金融機関より当該履行を求められた場合は必要な対応を行わなければならないほか、追加出資等が必要になる場合があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④大規模自然災害の発生及び感染症の流行
大規模な地震や津波、突風、台風、豪雨、洪水、火山の噴火等の自然災害の発生、新型コロナウィルス感染症をはじめとする感染症の流行等により、当社グループの人材・設備等が直接的な被害を受け、又は、当社グループの取引先やサプライチェーンが被害を被ることにより、当社グループの事業運営に重大な支障が生じるおそれがあるほか、世界経済及び国内経済の混乱に伴う景気の停滞・悪化等によっても間接的被害を受けるリスクがあります。
当社グループは、多様な事業に取り組むことでリスクの分散化を図ると共に、バックアップ拠点となるサテライトオフィスやテレワークの実施体制を整備する等、有事の際にも事業継続が可能な環境を整えておりますが、上記被害を完全に回避することはできず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの再生可能エネルギー発電所等の設備において、当社の想定を上回る自然災害の発生により発電設備の全部又は一部に重大な損傷が発生した場合には、当該損傷の修理のために予想外の費用が発生する可能性があるほか、当該修理のために発電事業の全部又は一部の操業停止を余儀なくされた場合には、当該期間における収益を失う可能性があります。また、発電設備の損傷に伴う部材の飛散等によって近隣の住民や家屋に被害が及ぶ可能性があるほか、発電設備の損傷や近隣の住民や家屋への被害の原因、規模等によっては、行政機関から行政処分や行政指導(登録・免許の取消や罰金を含みますが、これらに限りません。)を受ける可能性も否定できません。
当社グループとしては、発電設備等の安全維持に努めるほか、当社グループ又は近隣の住民や家屋に損失・被害等が生じた場合に備えて施設賠償責任保険に加入しておりますが、当社の想定を上回る損失・被害等が生じた場合や行政機関から行政処分や行政指導を受けた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤気候変動
気候変動に関するリスクのうち、脱炭素社会への移行に向けたリスクとしては、政府等による環境規制の強化に伴う炭素税の導入や、新規油田開発の停滞に伴う原油価格の上昇による原材料価格への影響、気候関連課題に対応できない企業に対する評判の悪化等が想定されます。また、気候変動による自然災害の激甚化による物理リスクとしては、台風の強度の増大化、豪雨の発生に伴う洪水等による当社グループが保有する発電所等への影響等が想定されます。これらリスクが顕在化した場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、気候変動リスクと機会に対する取り組みを推進すると共に、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同を表明し、同タスクフォースが推奨する開示項目に則り気候変動に関する情報の開示を行っております。特定・評価を行った気候変動に関するリスクに関しては、ESG推進委員会を中心にコンプライアンス・リスク管理委員会とも連携し、全社的なリスクマネジメントを図っております。なお、当社グループのTCFD提言に基づく気候変動対応の詳細の開示内容は、次のURLからご覧いただくことができます。
(当社ホームページ)https://www.tess-hd.co.jp/company/tcfd.html
⑥建築資材及び燃料価格、電力取引価格の変動
当社グループは、エンジニアリング事業、エネルギーサプライ事業共に、建築資材や燃料価格について、複数調達先の確保、一部燃料の固定価格調達、バイオマス燃料の自社内製化に取り組むことで価格変動に影響されにくい調達体制を整えておりますが、当社グループがコントロールし得ない要因によって決定される価格の変動によって、受注活動や事業の収益性等が悪化するリスクがあり、また、これに伴い既存の事業計画、方針又はスキームの見直しが必要となる可能性があります。万が一、これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが行う電気の小売供給では、一般社団法人日本卸電力取引所(JEPX)にて電力調達及び電力販売を行っております。JEPXからの購入による調達価格の変動に対しては、一定量を発電事業者との相対取引で調達することに加え、需要家に対する販売価格の値上げ(値上げに伴う需要家の離脱による事業規模の縮小化を含みます。)によって、リスク回避を図っておりますが、万が一、発電事業者との相対取引が継続できなかった場合には、JEPXからの購入量の増加に伴い、調達価格の変動リスクが大きくなるほか、世界的なエネルギー価格の高騰や猛暑、寒波等の影響により電力の取引価格全体が急騰した場合には、発電事業者との相対取引や需要家に対する販売価格の値上げによっても調達価格の変動リスクを回避することができず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、需要家に対する電力量料金単価が30分毎にJEPXのスポット市場価格と連動する「市場連動型メニュー」を展開することで、JEPXからの購入による調達価格の変動の影響を抑えた上で、電気の小売供給の拡大に取り組んでおります。
⑦海外展開
当社グループは、各国・地域のエネルギー政策、法的規制又はマクロ経済環境の状況を見極めた上で海外地域からの資材調達や現地での事業化に取り組んでおります。しかし、これらの国・地域からの資材調達や事業展開においては、政治、経済、社会情勢、文化、宗教、慣習、テロ、戦争等の様々な要因に起因して生じる予期せぬ事態、各法令・規制の変更等による国家収用、送金停止、関税その他の課税のほか、様々なカントリーリスクが存在します。万が一、これらのリスクが顕在化した場合には、資材調達や事業遂行の遅延や不能等が発生する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは設備や資材の一部を海外から調達しており、また、海外における事業展開のために海外子会社の設立を行う場合があります。そのため、為替相場の変動により当社グループの事業、業績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。
⑧品質管理
当社グループは、品質マネジメントシステム「ISO9001」に準拠した品質管理体制を構築する等、外注企業を含めた品質管理を徹底した上で、製品やサービスの提供を行っております。しかしながら、事業活動における品質上の全てのリスクを完全に排除することは難しく、万が一、当社グループが提供する製品・サービスに品質上の問題が発生した場合は、訴訟や重大なクレーム等が生じる可能性があり、多額の賠償請求や品質管理体制の強化を求められたり、これに伴う社会的信用が低下したりすることにより、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑨設備トラブル
当社グループが運営する再生可能エネルギー発電所の設備やICTソリューションセンターの監視設備等(コンピューターやネットワーク機器等)、当社グループが所有・管理している設備にトラブル(故障や盗難等)が発生する場合があります。
当社グループでは、バックアップ設備の確保、適切なメンテナンスの実施や人員体制の整備及び監視・警備体制の強化等によってトラブルの未然防止や発生時の早期復旧ができるよう努めておりますが、トラブルの復旧費用が発生することに加え、万が一、トラブルが長期間に及ぶ場合や、当社グループが所有・管理していない事業地外の設備(電力供給先の送電網や変電所等)に想定外のトラブルが発生した場合は、顧客へのサービス提供ができなくなる可能性や、当社グループが運営する再生可能エネルギー発電所における発電量が低下し、売上の減少を招く可能性があります。また、顧客へのサービス提供ができなくなったことから、それに関して顧客からの損害賠償請求や、当社グループ及びそのサービスに対する社会的信用が毀損されることで、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑩知的財産権
当社グループは、知的財産についての管理規定を定め、当社グループが管理する知的財産権を保護すると共に、第三者の知的財産権を侵害しないよう努めておりますが、他社との間で、当社グループが保有する知的財産、又は他社が保有する知的財産に係る訴訟等の紛争が発生した場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑪情報漏洩
当社グループは事業活動を行う上で、個人情報や取引先の機密情報を取り扱っており、それらの情報の管理や、セキュリティ管理は重要な事項です。このため、当社グループでは、「JIS Q 27001:2014」に適合した情報セキュリティマネジメントシステムを構築していることに加え、ファイアーウォールの設置、データアクセス権限の設定、データ通信の暗号化、PCログの取得、セキュリティシステムの継続的な改善、社内教育の実施等、情報漏洩の防止に対する取り組みに努めておりますが、当社グループが取り扱う個人情報や取引先の機密情報につき、システムへの不正侵入、情報の漏洩・紛失・改ざん・盗用・破壊、システムの利用妨害、人為的ミス等が発生した場合には、業務の停滞、顧客等からの損害賠償請求や当社グループ及びそのサービスに対する社会的信用の低下が生じ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑫訴訟
当社グループは、事業活動に関連して、瑕疵、製造物責任、権利問題等の訴訟を提起される可能性があります。当社グループは、コンプライアンスを重視し、訴訟の未然防止のために必要な社内体制を構築すると共に、適宜、顧問弁護士等の専門家と協議の上、適切な対応を行っております。本書提出日現在において顧客や取引先からの経営成績に重大な影響を与える損害賠償請求や訴訟等は生じておりませんが、今後、重大な訴訟が提起された場合は、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑬信用リスク
当社グループは、取引先に関する与信管理に努めておりますが、発注者や協力業者等の取引相手に財政状態の悪化や経営破綻等が生じた場合、資金の回収不能や施工遅延等の事態が発生する可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑭競合
当社グループが展開する事業分野には、それぞれ大企業から専業企業に至るまで多様な競合相手が存在しております。当社グループは、エネルギーに関する事業を幅広く展開すると共に、エンジニアリング事業とエネルギーサプライ事業の双方で獲得した技術やノウハウを活用し、顧客に対してエネルギーのワンストップ・ソリューションを提供する等、他社との差別化を図ることで、競争優位性の確保に努めておりますが、新規参入業者を含めた競合他社と価格競争等の激化、当社グループが即応できないサービスを提供する競合先が出現した場合には、競争優位性を確保できないリスクがあり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑮人材流出・人材不足・資格者維持
当社グループでは、事業の持続的発展のために、新卒採用や経験者の通年採用を経営計画に沿って実施しております。当社グループでは、経営陣と従業員の対話による企業文化の浸透及び帰属意識の向上、適切な目標管理と評価制度の構築、資格取得のための支援制度を整備する等、人材の定着に努めておりますが、日本国内における雇用環境によっては人材獲得競争が激化することになり、エンジニアを含むキャリアや資格保有者の採用・教育の失敗、人材の社外流出、人材の獲得若しくはつなぎ止めのための労務費の増加等が発生する可能性があり、このような場合は、当社グループの事業、業績及び継続性等に影響を及ぼす可能性があります。
(3)エンジニアリング事業に関するリスク
①開発プロセス
当社グループが再生可能エネルギー発電所等(系統用蓄電所やFIP転+蓄電池併設等の蓄電システムを含む。)の開発を行う際は、事前調査を通じて開発に係る各種許認可取得に必要な措置を行い、地域社会や地域環境に対して最大限の配慮の上で開発を進めておりますが、各種許認可取得の遅延、地方団体や地元住民等との合意形成の遅延、土地の購入及び貸借後の予期せぬ土地の瑕疵の判明、埋蔵文化財等発見による追加調査の実施等が発生した場合には、想定する開発スケジュールの遅延・中断又は開発の中止等により、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループにおいては、京都府内にて再生可能エネルギー発電に関連した事業用地の開発案件に取り組んでおり、都市計画法、農地法等に基づく許認可及び権利取得等を実施の上、当該土地及び権利について第三者への譲渡を計画しております。現在は、当該許認可及び権利取得等に時間を要しているものの、開発プロセス及び地域自治体との協議は着実に進展していることから、その進捗状況等を踏まえ今後における重大な懸念事項はないものと認識しております。しかしながら、当該案件は比較的大型案件に区分されることから、何らかの要因により各種許認可等にかかる取得期間の長期化や中断を余儀なくされる事態が生じた場合には、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②大型EPC案件に係る取り組み
当社グループは、EPC受注に際しては、施工計画や調達計画、工事の難易度や採算性等について、十分な検証や確認を実施した上で行うこととしておりますが、特に大型案件は、工事工程が複雑化又は長期化する等、各種要因によって想定通りに工事が進捗せず、プロジェクトに遅延が生じた場合には、売上計上に係る期ズレや想定外の追加コスト、遅延損害金等の負担が発生する可能性があり、その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、施工能力を考慮した上で継続的な大型EPCの受注案件獲得に努めておりますが、当社グループが取り組む大型EPC案件の有無やその規模、売上計上タイミング等により各決算期の業績が変動する可能性があるほか、その状況によっては売上高及び利益が低い水準に留まる可能性があります。
③FIT制度を活用した太陽光発電設備のEPCにおける優良事業化案件の減少
当社グループにおいては、特にFIT制度を活用した太陽光発電設備に関するEPCが近年のエンジニアリング事業をけん引してまいりました。一方、FIT制度における太陽光発電の固定買取価格の低下により、FIT制度を活用した太陽光発電設備の優良事業化案件は減少しております。当社グループでは、自家消費用太陽光発電設備、バイオマス発電関連設備、蓄電システムや省エネルギー設備のEPC拡大を図っておりますが、これら取り組みについて期待する受注獲得に至らない場合やその拡大に時間を要する場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
④重大事故発生
当社グループでは、安全教育の徹底や安全対策部門によるチェックを充実させる等、工事及び建設現場における安全衛生管理、工程管理には細心の注意を払っておりますが、人的若しくは施工物に関する重大な事故が発生した場合は、行政処分又は行政指導や民事上の損害賠償等が行われる可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4)エネルギーサプライ事業に関するリスク
①FIT認定又はFIP認定(※)の取り消し
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、当社連結子会社及び持分法適用関連会社がFIT制度に基づいたFIT認定又はFIP制度に基づいたFIP認定を取得しております。当社グループは本書提出日現在において、当該認定に基づいて合計67件の太陽光発電所、バイオマス発電所の運転を行っております。しかしながら、認定された事業計画通りに事業を実施できず、認定時の基準に適合しなくなったと認められた場合は、当該認定が取り消されることがあります。当社グループでは、運転を既に開始した発電設備の当該認定が取り消される可能性は相当程度限定的と考えておりますが、万が一、当該認定が取り消された場合は当社グループにおける再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電の継続が困難となり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②長期的な天候不順
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、自然由来の太陽光等を利用しております。当社グループは現在のところ、他の電源と比較し太陽光発電の事業化が先行しているため、天候不順により日射量の低下や日照時間の不足が長期間生じた場合、太陽光発電所の発電量が低下し、売上の減少を招く可能性があります。その結果、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③発電所の出力制御
当社グループが行う再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電では、発電所に対して法令等で定められた「優先給電ルール」に従って出力制御に応じる義務が課せられております。当社グループの運営する再生可能エネルギー発電所のうち、発電出力が気候の影響を受ける自然変動電源である太陽光発電においては、その大半が出力制御の旧ルールとして年間30日間を上限に無補償で出力制御に応じることとなっておりますが、2015年1月及び2021年4月に出力制御の制度改定が行われ、出力制御の新ルールが定められたことにより、新ルール適用後に接続契約を申し込む自然変動電源については無制限・無補償の出力制御が義務付けられております。
近年、国内における再生可能エネルギー発電所の出力制御エリアは全国的に拡大し、複数エリアでの同時出力制御の増加による域外送電量の減少や電力需要の減少等もあり、足元の出力制御量は増加傾向にあります。そのため、当社グループの運営する再生可能エネルギー発電所の出力制御量が増加することによって売電収入が減少する可能性があり、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、本書提出日現在で当社グループが運用する発電所において、無制限・無補償の出力制御の対象となっているものは、「TESS鹿児島下福元ソーラー発電所(鹿児島県鹿児島市、発電容量約2.3MW)」及び「福岡みやこメガソーラー発電所(福岡県京都郡みやこ町、発電容量約67.0MW)」であります。
④大型バイオマス発電事業に関する投資
当社グループは、2021年9月に株式会社伊万里グリーンパワーの全株式を取得し、当社の連結子会社としております。同社は、佐賀県伊万里市において発電出力約46.0MWの大型バイオマス発電の事業化に向けた開発を行っており、本書提出日現在、当社グループ単独にて事業化推進を図ることとし、総額320億円の設備投資を計画及び実施しております。
当社グループは、当該プロジェクトにおいて、発電所建設に際しては、綿密な設計計画を作成した上で外注事業者と工事請負契約を締結しており、プラント建設工事の一部を当社の連結子会社であるテス・エンジニアリング株式会社が担っております。なお、当該バイオマス発電に用いるPKS(パーム椰子殻)燃料の近年における調達価格の高騰に対しては、複数のサプライヤーからの購買に加え、インドネシアでPKS燃料販売を行う当社の連結子会社であるPT INTERNATIONAL GREEN ENERGY(本社:インドネシア)において構築したPKS燃料の調達・販売のためのサプライチェーンを利用した自社安定調達を推進することにより、当該開発プロジェクトの収益性確保を図る方針であります。また、開発にかかる資金調達については、2023年6月21日開催の取締役会において実施を決議した「一部コミットメント型ライツ・オファリング」による調達資金に加えて、金融機関からのシンジケートローンによる対応を進めております。
近年、国内におけるPKS燃料調達価格は、燃料価格の高騰、海上輸送運賃の上昇及び円安等により過去最高値水準で推移しております。燃料価格変動リスクを踏まえた当社グループの試算において、適用される固定価格買取期間(約19.5年)に亘り調達価格が現在の最高値水準で推移したと仮定し、一定の長期為替予約を想定した場合のプロジェクト損益については、期間前半は金利及び税負担等もあり赤字が継続、期間全体では黒字を確保するものの利益水準は低位に留まるものと予測されます。なお、当社グループは、外部調査会社の見解をも踏まえ、将来においてPKS燃料価格は需給バランス改善等により一定程度の落着きを取り戻してくるものと想定しているほか、現在開発中のEFB燃料利用によるコスト低減も視野に入れたプロジェクト運営を検討しておりますが、必ずしも当社グループの想定通りに推移する保証はありません。
なお、上記取組みにかかる長期為替予約については、2024年6月末時点において複数の金融機関と総額519百万米国ドルの為替予約を締結しております。引き続き、複数の金融機関と為替予約の対応を進めておりますが、予約実行時に設定される為替レートや予約金額の状況によりプロジェクト損益は変動する可能性があります。また、長期為替予約にかかる会計処理についてヘッジ会計の適用を検討しておりましたが、本長期為替予約については原則処理を適用することとなったことから、為替変動に伴うデリバティブ損益を通じて当社グループの各期の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
このように当社グループは、バイオマス燃料調達やその他のプロジェクト推進に影響を与える各種要因を注視しつつ収益性確保及び資金調達等に努めていく方針でありますが、今後、建設工事におけるトラブルの発生、燃料調達における著しい価格高騰又は調達困難、開発資金にかかる資金調達の不調、金利の変動、その他の予期せぬ事態により、当該プロジェクトの大幅な遅延や中断、収益性の著しい低下等が生じた場合、収益面の悪化が生じるほか、当該投資や発電所設備等の資産にかかる減損損失の計上が必要となる等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(バイオマス発電事業の概要)
発電事業者名:株式会社伊万里グリーンパワー
発電所名:佐賀伊万里バイオマス発電所
発電容量:約46.0MW
想定年間売電電力量:約312,000,000kWh/年(初年度想定)
固定買取価格:24円/kWh(一般木質バイオマス)
運転開始:2025年5月(予定)
当社グループの出資状況:議決権所有割合100%
当社グループの関与状況:EPC、アセットマネジメント業務、オペレーション&メンテナンス業務、燃料供給業務
⑤既存太陽光発電所の売却に関するリスク
当社グループは、財務体質の改善を図ると共に、資産組み換えによりオンサイトPPAを中心とした投資利回りの高い案件を取得していく目的から、2023年3月において既存の太陽光発電所9件を売却いたしました。
売却した発電所設備の一部にはFIT制度にかかる高単価の固定買取価格が設定されている案件が含まれており、売却後はそれら案件にかかる売電収入に相当する売上高が減少することとなります。また、資産組み換えに際してより高利回りとなる投資資産の取得が実現困難となる場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、本書提出日現在において、既存の太陽光発電所の一部について売却を行う新たな計画はございませんが、今後、新たに売却を行うこととなった場合は本項に記載のリスクが生じる可能性があります。
(※)FIP認定:
「再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法」に規定される、経済産業大臣による再生可能エネルギー発電事業計画の認定のことであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、世界的な資材価格やエネルギー価格の高騰、ウクライナ情勢の悪化、円安による影響等、景気の先行きの見通しが難しい状況が続いております。
当社グループが事業を行うエネルギー業界においては、2015年の国連による持続可能な開発目標(SDGs)の提唱や、パリ協定締結を契機に、引き続き世界的にエネルギーの脱炭素化に向けた取り組みが加速しております。日本においても、2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、2050年カーボンニュートラルの実現と、2030年度の新たな温室効果ガス排出削減目標(2013年度比46%削減)の達成に向けたエネルギー政策の道筋が示されました。徹底した省エネルギーの更なる追求が求められると共に、2030年には国内電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を36~38%程度(2022年度は21.7%)にする目標が掲げられております。更に、2023年2月にはGX実現に向けた基本方針が閣議決定され、エネルギー安定供給の確保を大前提とした脱炭素への取組方針が示されました。
このような外部環境の中、当社グループは、「Total Energy Saving & Solution」の経営理念のもと、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の3つの事業領域に注力しながら事業を展開しております。
当連結会計年度の経営成績として、売上高は30,643百万円(前年同期比11.0%減)、営業利益は2,370百万円(前年同期比65.5%減)、経常利益は7,660百万円(前年同期比38.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,185百万円(前年同期比67.0%減)となりました。
この内、営業利益につきましては、主にエネルギーサプライ事業の再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電において、前連結会計年度に自社で保有する太陽光発電所9件の売却や、福岡県京都郡みやこ町における大型太陽光発電所の工期短縮に伴う開発報酬による売上高及び利益の計上があった反動減等に加え、人件費や営業活動費等の増加により販売費及び一般管理費が前年同期比で増加したこと等から、前年同期比65.5%減となりました。また、経常利益につきましては、「2)デリバティブ評価益及び法人税等調整額(損)の計上について」に記載のとおり、デリバティブ評価益5,636百万円を営業外収益に計上したこと等から、前年同期比38.8%増となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、「3)特別損失の計上について」に記載のとおり、減損損失3,939百万円を特別損失として計上したこと及び「2)デリバティブ評価益及び法人税等調整額(損)の計上について」に記載のとおり、上記デリバティブ評価益の計上に伴う繰延税金負債の計上により、法人税等調整額(損)1,846百万円を計上したこと等から、前年同期比67.0%減となりました。
1)セグメントごとの経営成績について
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(単位:百万円) |
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報告セグメント |
調整額 (注) |
合計 |
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エンジニアリング事業 |
エネルギー サプライ事業 |
計 |
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売上高 |
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一時点で移転される財 |
891 |
13,964 |
14,856 |
- |
14,856 |
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一定の期間にわたり移転される財 |
12,271 |
3,515 |
15,787 |
- |
15,787 |
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顧客との契約から生じる収益 |
13,163 |
17,479 |
30,643 |
- |
30,643 |
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外部顧客への売上高 |
13,163 |
17,479 |
30,643 |
- |
30,643 |
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セグメント間の内部売上高又は振替高 |
3,414 |
- |
3,414 |
△3,414 |
- |
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計 |
16,578 |
17,479 |
34,058 |
△3,414 |
30,643 |
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セグメント利益又は損失(△) |
30 |
1,710 |
1,740 |
629 |
2,370 |
(注)セグメント利益又は損失(△)の調整額には、セグメント間取引消去及び全社費用が含まれております。
なお、セグメント間取引には、主に当社の連結子会社であるテス・エンジニアリング株式会社が、同じく当社の連結子会社である合同会社熊本錦グリーンパワーに向けて行った「錦町2MW木質バイオマス発電所(熊本県球磨郡錦町、発電容量約2.0MW)」と株式会社伊万里グリーンパワーに向けて行った「佐賀伊万里バイオマス発電所(佐賀県伊万里市、発電容量約46.0MW)」のEPC(Engineering:設計、Procurement:調達及びConstruction:施工)等が含まれております。
①エンジニアリング事業
(受託型)
省エネルギー系設備における顧客の省エネ、コスト低減、環境対策等のニーズに応じたエンジニアリング、再生可能エネルギー系設備の一部における、顧客取得のFIT認定やFIP認定を活用した発電施設や自家消費用発電設備のエンジニアリング等、顧客からEPCを受託する形態であります。
当連結会計年度においては、脱炭素化への取り組み、BCP対策としての安定電源確保、使用エネルギーの効率化による省エネルギー、再生可能エネルギーへの取り組み等、顧客ニーズに応じたソリューション提案を行った結果、コージェネレーションシステムのEPC、燃料転換設備のEPC、ユーティリティ設備のEPC、国内の産業用太陽光発電システムのEPC、バイオマス発電システムのEPCによる売上を一定の期間にわたり収益を認識する方法に従って計上しております。
なお、これらEPCの内、コージェネレーションシステム及び自家発電設備のEPC2件(発電容量合計約6.0MW)、ユーティリティ設備のEPC2件及び産業用太陽光発電システムのEPC27件(発電容量合計約42.0MW)につきましては、当連結会計年度において工事が完了しております。
(開発型)
当社グループが用地取得(又は賃借)、許認可及び権利等の取得、EPC等を主体的に関与し、開発に関する一連のソリューションを顧客に提供する形態であります。
当連結会計年度においては、当社グループが開発型案件としてEPCを行った福岡みやこメガソーラー発電所について、運開後の保守に関連する工事による売上を計上しております。また、鹿児島県におけるFIT制度を活用した太陽光発電所(発電容量約8.0MW)のEPCについて、売上を一定の期間にわたり収益を認識する方法に従って計上しております。
以上の結果、エンジニアリング事業につきましては、売上高は16,578百万円(前年同期比9.1%増)、セグメント利益は30百万円(前年同期比93.4%減)となりました。
②エネルギーサプライ事業
(再生可能エネルギー発電所の所有・運営・売電)
当連結会計年度末において、当社連結子会社が所有する再生可能エネルギー発電所は日本全国に93件、発電容量合計約231.8MW(内、オンサイトPPAモデルによる供給先29件、約35.2MW)、グループ出資先(持分法適用関連会社及び匿名組合出資を行う合同会社を営業者とする匿名組合)が所有する再生可能エネルギー発電所は日本全国に12件、発電容量合計約88.1MWであります。
当連結会計年度においては、再生可能エネルギーのFIT制度及びFIP制度を利用するもの、利用しないもの共に、運転開始済みの当社グループの再生可能エネルギー発電所(連結子会社以外が所有する発電所を除く)における売電収入による売上を計上しております。
当連結会計年度においては、FIT制度を利用するものとしては、当社グループが開発及びEPCを行った発電所として、当社の連結子会社である合同会社熊本錦グリーンパワーにおいて「錦町2MW木質バイオマス発電所(熊本県球磨郡錦町、発電容量約2.0MW)」が運転を開始し、FIP制度を利用するものとしては、太陽光発電所1件が新たに運転を開始しております。一方、新たに取得した稼働済み発電所(セカンダリ案件)はありません。
〈当連結会計年度に運転を開始したFIT制度を利用する再生可能エネルギー発電所〉
|
発電所名称 |
発電者名称 |
発電容量 (MW) (注)1 |
発電種別 |
固定買取価格 (1kWh当たり) (円) |
発電開始年月 |
|
錦町2MW 木質バイオマス 発電所 |
合同会社熊本錦グリーンパワー |
2.0 |
木質バイオマス 発電 |
(注)2 |
2023年9月 |
(注)1.発電容量は、発電端出力ベースの設備容量表記であります。
2.未利用材は40円/kWh、一般木材等は24円/kWh、建設資材廃棄物は13円/kWhであります。
〈当連結会計年度に運転を開始したFIP制度を利用する再生可能エネルギー発電所〉
|
発電所名称 |
所在地 |
発電者名称 |
発電容量 (MW) |
発電種別 |
発電開始年月 |
|
非公表 |
非公表 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
1.8 |
太陽光発電 |
2024年3月 |
(注)発電容量はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記であります。
また、FIT制度及びFIP制度を利用しないものとしては、以下のとおりオンサイトPPAモデルにおける電力供給サービスを新たに開始いたしました。
〈当連結会計年度に運転を開始したオンサイトPPAモデルにおける電力供給サービス〉
|
供給先 |
所在地 |
発電者名称 |
発電容量 (MW) (注)1 |
発電種別 |
供給開始年月 |
|
DMG森精機株式会社様 奈良事業所(第1期) |
奈良県 大和郡山市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.4 |
太陽光発電 |
2024年1月 |
|
THK株式会社様 山形工場(第2期) |
山形県 東根市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
1.8 |
太陽光発電 |
2024年2月 |
|
非公表 |
非公表 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.6 |
太陽光発電 |
2024年2月 |
|
DMG森精機株式会社様 伊賀事業所(第2期) |
三重県 伊賀市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
5.2 |
太陽光発電 |
2024年3月 |
|
三菱地所株式会社様/ 日本生命保険相互会社様 ロジクロス相模原 |
相模原市 中央区 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
2.3 |
太陽光発電 |
2024年3月 |
|
株式会社ナンチク様 本社工場 |
鹿児島県 曽於市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.7 |
太陽光発電 |
2024年3月 |
|
THKリズム株式会社様 九州工場(第2期) |
大分県 中津市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.6 |
太陽光発電 |
2024年4月 |
|
岡山県真庭市様 北房文化センター |
岡山県 真庭市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.1 |
太陽光発電 |
2024年4月 |
|
岡山県真庭市様 北房振興局 |
岡山県 真庭市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
(注)2 |
太陽光発電 |
2024年4月 |
|
岡山県真庭市様 真庭中央食育センター |
岡山県 真庭市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.1 |
太陽光発電 |
2024年4月 |
|
生活協同組合コープおおいた様 コープ南春日 |
大分県 大分市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.3 |
太陽光発電 |
2024年5月 |
|
TOPPAN株式会社様 滝野工場 |
兵庫県 加東市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.6 |
太陽光発電 |
2024年6月 |
|
非公表 |
非公表 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.6 |
太陽光発電 |
2024年6月 |
|
株式会社湖池屋様 九州阿蘇工場 |
熊本県 上益城郡 益城町 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
0.9 |
太陽光発電 (注)3 |
2024年6月 |
|
非公表 |
非公表 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
1.1 |
太陽光発電 |
2024年6月 |
|
株式会社 ライフドリンク カンパニー様 御殿場工場 |
静岡県 御殿場市 |
テス・エンジニアリング株式会社 |
1.5 |
太陽光発電 |
非公表 |
(注)1.発電容量はモジュールベース(太陽電池モジュール最大出力の和)の設備容量表記であります。
2.北房文化センターに設置している太陽光発電システムによりオンサイトPPAモデルにおける電力供給サービスを行います。
3.設置した太陽光発電システムによる発電電力が供給先の電力需要を上回る場合、FIP制度を用いて余剰電力を卸電力取引市場等に売電を行います。
(オペレーション&メンテナンス(O&M))
当連結会計年度においては、メンテナンスサービス、オペレーションサービス、24時間遠隔監視サービス及びエネルギーマネジメントサービスが予定どおりに進捗したことに加え、顧客設備の故障による修理・交換等の突発的なメンテナンス業務が発生したことから、オペレーション&メンテナンス(O&M)全体としての売上は順調に推移いたしました。
(電気の小売供給)
当社グループは、北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国及び九州の9電力エリアにて法人顧客向けに電気の供給を行っております。当連結会計年度においては、当社グループの期初計画に対して、供給量が減少したことから売上高は減少いたしました。
ERABサービスでは、一般送配電事業者が実施する調整力公募に19件採択されており、リソースアグリゲーター(※)及びアグリゲーションコーディネーターとして調整力の拠出等による売上を計上しております。
(その他)
コージェネレーションシステムを運用する顧客に対して行う燃料供給による売上が順調に推移いたしました。また、日本国内のバイオマス発電所に向けたPKS燃料販売については、当連結会計年度において売上1,912百万円を計上しております。
以上の結果、エネルギーサプライ事業につきましては、売上高は17,479百万円(前年同期比27.1%減)、セグメント利益は1,710百万円(前年同期比70.7%減)となりました。
2)デリバティブ評価益及び法人税等調整額(損)の計上について
当連結会計年度において、デリバティブ評価益5,636百万円を営業外収益に計上いたします。これは、当社の連結子会社である株式会社伊万里グリーンパワーが佐賀県伊万里市において開発を進めている発電容量約46.0MWの大型バイオマス発電事業で使用するPKS燃料調達に係る為替変動リスクをヘッジする目的のために締結している為替予約(以下「本為替予約」といいます。)の時価評価により生じたものです。
本為替予約は、2024年6月末時点で複数の金融機関と総額519百万米国ドルの契約を締結したものであり、予約期間は契約ごとに2025年4月から段階的に開始し、最長2044年8月までとなっております。
デリバティブ評価損益は、キャッシュ・フローの動きの伴わない各四半期末日時点の為替予約未決済残高の時価評価であり、会計処理は、前四半期末日時点に計上された評価損益を洗替処理すると共に、改めて当連結会計年度末日時点での為替予約未決済残高を時価評価し、評価損益として計上いたします。
また、上記デリバティブ評価益の計上に伴う繰延税金負債の計上により、当連結会計年度において法人税等調整額(損)1,846百万円を計上いたします。
3)特別損失の計上について
当社の連結子会社である合同会社熊本錦グリーンパワーにおける木質バイオマス発電事業において、発電所の建設コストの増加や、昨今の木材価格の高騰を背景とした国内の未利用間伐材等のバイオマス燃料の調達価格上昇により収益性が低下いたしました。合同会社熊本錦グリーンパワーの固定資産について、現在の事業環境を踏まえ将来キャッシュ・フローを見積もったところ、減損の兆候が認められたことから、今後の収益計画を考慮した上で、当該固定資産に係る回収可能性を検討した結果、当第4四半期連結会計期間において減損損失3,939百万円を特別損失として計上いたします。
(※)リソースアグリゲーター:
需要家と需給調整契約を締結してエネルギーリソース制御を行う事業者のことであります。
b.財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ8,640百万円増加し、36,022百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加2,980百万円、契約資産の増加3,415百万円及び前渡金の増加2,374百万円によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ16,398百万円増加し、83,106百万円となりました。主な要因は建設仮勘定の増加9,217百万円及びデリバティブ債権の増加5,676百万円によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ4,246百万円増加し、23,249百万円となりました。主な要因は短期借入金の増加3,150百万円及び契約負債の増加1,188百万円によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ7,336百万円増加し、54,082百万円となりました。主な要因は長期借入金の増加3,654百万円及び繰延税金負債の増加1,994百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ13,456百万円増加し、41,796百万円となりました。主な要因は資本金の増加6,733百万円及び資本剰余金の増加6,025百万円によるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は14,098百万円と前連結会計年度末と比べ3,071百万円(27.9%)の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローの支出は、42百万円(前連結会計年度は13,827百万円の収入)となりました。営業活動による資金減少の主な要因は、契約資産の増加額3,415百万円、デリバティブ評価益5,636百万円等であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローの支出は、15,490百万円(前連結会計年度は16,029百万円の支出)となりました。投資活動による資金減少の主な要因は、有形固定資産の取得による支出15,142百万円等であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローの収入は、18,436百万円(前連結会計年度は5,192百万円の支出)となりました。財務活動による資金増加の主な要因は、長期借入れによる収入8,389百万円、株式の発行による収入13,467百万円等であります。財務活動による資金減少の主な要因は、長期借入金の返済による支出4,598百万円等であります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。エネルギーサプライ事業につきましては、事業の性質上記載になじまないため、当該記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
エンジニアリング事業 |
13,163 |
126.3 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
b.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。エネルギーサプライ事業につきましては、事業の性質上記載になじまないため、当該記載を省略しております。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|||
|
受注高 (百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
エンジニアリング事業 |
21,117 |
159.0 |
17,025 |
187.7 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
|
|
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
|
エンジニアリング事業 |
13,163 |
126.3 |
|
エネルギーサプライ事業 |
17,479 |
72.9 |
|
合計 |
30,643 |
89.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先につきましては、記載を省略しております。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年7月1日 至 2023年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2023年7月1日 至 2024年6月30日) |
||
|
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
ベスト・ソーラー合同会社 |
4,835 |
14.0 |
- |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行う必要があります。経営者は、債権、棚卸資産、投資、繰延税金資産、引当金等に関する見積り及び判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価及び収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、上記期間における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1)経営成績等の状況の概要」も併せてご参照ください。
a.経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ3,771百万円減少し、30,643百万円(前年同期比11.0%減)となりました。エンジニアリング事業においては、脱炭素ニーズの高まり等により省エネ・再エネにおける受託型EPCが増加し、エネルギーサプライ事業においては、自社再生可能エネルギー発電所による発電、オペレーション&メンテナンス(O&M)及びバイオマス燃料販売が計画通りに推移いたしました。しかしながら、前連結会計年度において、自社で保有する太陽光発電所9件の売却や、福岡県京都郡みやこ町における大型太陽光発電所の工期短縮に伴う開発報酬による売上高の計上があった反動減により、当連結会計年度の売上高は前年同期比減収となりました。
(売上原価・売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ286百万円増加し、24,089百万円(前年同期比1.2%増)となりました。売上総利益は、前連結会計年度に比べ4,058百万円減少し、6,553百万円(前年同期比38.2%減)となりました。これは主に、当連結会計年度の売上高の減少に伴うものであります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ436百万円増加し、4,183百万円(前年同期比11.6%増)となりました。営業利益は、前連結会計年度に比べ4,494百万円減少し、2,370百万円(前年同期比65.5%減)となりました。これは主に、人件費や営業活動費の増加によるものであります。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外損益としては、営業外収益は前連結会計年度に比べ5,685百万円増加し、6,496百万円(前年同期比701.2%増)となり、営業外費用は前連結会計年度に比べ951百万円減少し、1,205百万円(前年同期比44.1%減)となりました。経常利益は前連結会計年度に比べ2,142百万円増加し、7,660百万円(前年同期比38.8%増)となりました。これは主に、営業外収益においてデリバティブ評価益5,636百万円を計上したこと等によるものであります。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別損益は特別損失3,939百万円となりました。これは、当社の連結子会社である合同会社熊本錦グリーンパワーに係る減損損失3,939百万円を計上したことによるものであります。親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ2,406百万円減少し、1,185百万円(前年同期比67.0%減)となりました。これは主に、上記の特別損失及びデリバティブ評価益に伴う繰延税金負債の計上による法人税等調整額(損)1,846百万円を計上したことによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
1)資金の調達方針
当社グループの所要資金調達は、主に運転資金及び設備資金需要によるものであります。運転資金については主にエンジニアリング事業における設備工事及びシステム工事の用途として調達しており、原則として完工時一括入金の工事については銀行借入により資金の調達を行っていく方針であります。設備投資については、主にエネルギーサプライ事業において、当社グループでFIT制度に基づく再生可能エネルギー発電所等の設備を所有するためのSPCを設立し、プロジェクトファイナンスによる資金調達を行っております。プロジェクトファイナンスでは、プロジェクトの工事期間にわたり分割して資金調達を実施し、発生費用に対応する借入金額が確定した時点で利息等の条件を確定し、返済は借入金額が借入限度額まで達した後又は借入金額が確定した後に行います。FIT制度の固定買取期間は20年間のため、プロジェクト期間に応じて主に10年から18年の長期借入契約を締結していく方針であります。
2)資金調達の方法
当社グループは、運転資金及び設備資金について長期借入金及び短期借入金により調達しており、手元流動性預金と合わせ、緊急な支出にも対応可能な体制を整えております。現在、社債の発行は行っておりません。
グループ各社の資金調達方法については、基本的には各社で金融機関から資金調達を行っており、合同会社の一部の子会社は、他のグループ会社より資金調達を行っております。
当連結会計年度末における有利子負債残高は65,646百万円となっております。
③経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループでは、2024年8月14日に「TX2030 TESS Transformation 2030 / TESSグループ 中期経営計画(2025-2030)」(以下、中期経営計画(2025-2030)という。)を発表いたしました。中期経営計画(2025-2030)では、企業価値の向上に向けた方針として「ROE/ROIC重視経営」「成長投資と株主還元」及び「ESG経営の推進」を掲げております。なお、2022年8月14日発表の「TESSグループ 中期経営方針」にて経営指標等を定めておりましたが、この度、中期経営計画(2025-2030)の策定に伴い当該指標等について見直しを行った結果、以下のとおり新たに計画を定めております。
<企業価値の向上に向けた方針>
・ROE/ROIC重視経営
・成長投資と株主還元
・ESG経営の推進
<経営指標>
|
|
2024年6月期実績 |
2027年6月期計画 |
2030年6月期計画 |
|
売上総利益 |
65億円 |
132億円 |
215億円 |
|
営業利益 |
23億円 |
64億円 |
134億円 |
|
ROE |
3.4% |
5.8% |
11.7% |
|
ROIC |
1.6% |
3.0% |
5.7% |
|
自社FIP転再エネ容量 |
0MW |
75MW |
113MW |
|
累積施工容量(系統用蓄電所) |
0MW |
100MW |
700MW |
|
累積施工容量(系統用以外蓄電所) |
0MW |
120MW |
150MW |
|
バイオマス燃料供給量 |
10.4万t/年 |
35万t/年 |
50万t/年 |
|
再エネ発電容量(※) |
231.8MW |
380MW |
470MW |
(※)再エネ発電容量は、当社の連結子会社の保有分であります。
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間(注)1 |
|
プライムソーラー合同会社 |
中部電力パワーグリッド株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:40円/kWh) |
2022年12月1日から2036年6月30日まで |
|
合同会社ソーラーエナジー・クリエイト |
九州電力送配電株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2023年5月1日から2037年3月31日まで |
|
合同会社ソーラーエナジー・クリエイト |
中部電力パワーグリッド株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2023年5月1日から2037年4月30日まで |
|
合同会社淡路佐野ソーラーパワー (注)2 |
関西電力株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:40円/kWh) |
2016年7月15日から2036年7月14日まで |
|
合同会社高知室戸ソーラーパワー (注)2 |
四国電力株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2019年8月2日から2039年8月1日まで |
|
合同会社千葉香取ソーラーパワー (注)2 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2020年1月2日から2040年1月1日まで |
|
合同会社茨城牛久ソーラーパワー (注)2 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2020年6月20日から2040年6月19日まで |
|
プライムソーラー2合同会社 (注)2 |
東京電力エナジーパートナー株式会社 |
電力受給契約 |
FIT制度に基づく再生可能エネルギー電気の売電に関する契約(固定買取価格:36円/kWh) |
2020年3月9日から2040年3月8日まで |
|
契約会社名 |
相手方の名称 |
契約の名称 |
契約内容 |
契約期間 |
|
株式会社伊万里グリーンパワー |
三菱重工業・三菱重工パワー環境ソリューション・三菱電機・フジタ・三菱電機ビルソリューションズ特定建設工事共同企業体 |
工事請負契約 |
佐賀伊万里バイオマス発電所の建設工事に係る契約 |
契約締結日: 2022年6月30日
納期: 2025年4月予定 |
(注)1.電力受給契約については、電力受給期間を契約期間として記載しております。
2.同社は連結子会社ではありませんが、連結対象となる匿名組合の営業者であり、事業上の関連性が高いため、記載しております。
(持分譲渡契約)
当社は、2024年4月25日開催の取締役会において、太陽光発電事業(所在地:福岡県京都郡みやこ町、発電容量合計:約67.0MW)を行う合同会社福岡みやこソーラーパワーを営業者とする匿名組合に係る匿名組合出資持分全部の取得(以下「本持分譲受け」といいます。)を決議し、2024年7月31日付で持分譲渡契約を締結、2024年8月1日付で本持分譲受けを実行いたしました。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)持分追加取得(連結子会社化)」をご参照ください。
当社グループは、「再生可能エネルギーの主力電源化」「省エネルギーの徹底」及び「エネルギーのスマート化」の3つを事業領域に位置付けており、エネルギーに関連する技術、製品及びサービスの研究開発を進めることで、世界的なエネルギー脱炭素化の取り組みへの更なる貢献や、複雑化する顧客のエネルギーに対する課題やニーズに応えてまいります。
当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)エンジニアリング事業
・バイオマス発電システム
当社グループでは、エネルギー資源の有効活用の観点から、より効率的なバイオマス燃料の利活用を進めるため、実需要場所においてバイオマス燃焼システム等に関する研究開発を行っております。
・蓄電システム
当社グループでは、エネルギーのスマート化の観点から、顧客への蓄電池システムの販売を目指し、実地データ取得のため、実需要場所において試験運用のための蓄電システムの研究開発を行っております。
以上の結果、当セグメントに係る研究開発費は
(2)エネルギーサプライ事業
・バイオマス燃料
当社グループでは、ヤシを原料としたバイオマス燃料の商業生産化を目的として、インドネシアバタム島において生産に関する研究開発を行っております。今後は、新たにインドネシアジャワ島に拠点を設け、研究開発を継続する予定としております。なお、インドネシアバタム島における研究開発は規模を縮小し、当面の間継続する予定としております。
・需給調整・余剰電力活用技術
当社グループでは、再生可能エネルギー電気を最大限利用するため、余剰電力の事業所間融通や蓄電池の最適充放電等に関する需給調整・余剰電力活用技術の研究開発を行っております。
・蓄電システム
当社グループでは、脱炭素電源による供給力確保の観点から、系統用蓄電所等の蓄電システムに関連する研究開発を行っております。
以上の結果、当セグメントに係る研究開発費は