第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

   当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

   なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは、「喜びの種をまこう 幸せの種をまこう」を目的として、「遊休不動産の有効活用」、「24時間365日サービス」及び「ソフトとハードを組み合わせたシステムの提供」を基本姿勢として、企業価値の向上を目指しております。

a. 遊休不動産の有効活用

 遊休不動産の有効活用と高効率高回転をめざす累積ビジネス・100円ビジネスが当社グループの商売の原点であり、満室満車経営を目指しています。

b. 24時間365日サービス

「大変で嫌がられる仕事が一番崇高であり、我々の存在価値がそこにある」と考え、24時間365日サービスに誇りと自信を持って取り組んでいます。

c. ソフトとハードを組み合わせたシステムの提供

 事業的に、ソフトとハードを上手く組み合わせた体系的な意味での”システム”を構築し、それを”バンク”としてプールし、継続的に顧客に付加価値として提供し続ける企業集団を目指します。

 

(2)経営環境及び中長期的な経営戦略

①コインパーキング事業

a. 市場環境に対する認識

 短期的な経営環境につきましては、本格的にアフターコロナを迎え国内の経済活動が活発化しており、コインパーキング業界においても、ビジネス街や繁華街を中心に人の流れが増加することで、コインパーキングの稼働率は堅調に推移することが見込まれます。

 中期的な経営環境につきましては、都市部を中心とした慢性的な駐車場不足を背景として、コインパーキングは今後も利用者から支持され、業界の売上高は拡大していくものと見込んでいます。一方で、自動車産業におけるCASE(Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス)、Electric(電気自動車))という技術革新の波の中で、コインパーキング業界にも大きな構造変化が起こることが予想されます。

b. 当社グループの対応方針

 このような環境の下、当社グループは、コインパーキングによる土地の有効活用の推進、安心・安全・快適な駐車場・駐輪場づくり及びCASEへの対応に注力してまいります。

(a) コインパーキングによる土地の有効活用の推進

 土地活用においては、土地の「立地、面積、地形」が重要であり、これらを高い水準で満たしている土地は、大半が有効活用されています。一方、「面する道路幅が狭い、面積が小さい、形状がいびつ」である土地などは、有効活用出来ていないケースが散見されます。

 当社が展開しているコインパーキングビジネスは、立地こそ重要であるものの、面積及び地形に関しては柔軟に対応が可能であるため、多様な土地を有効活用出来るソリューションであると考えています。加えて、当社グループは、豊富な駐車場・駐輪場の管理実績(2024年6月末現在、7,335件)から得た駐車場・駐輪場の運営ノウハウに基づくことで、土地の持つポテンシャルを最大限に引き出す提案が可能です。

(b) 安心・安全・快適な駐車場・駐輪場づくり

 コインパーキングは、24時間365日無人であることが大きな特徴であり、その特徴故に、有人管理の駐車場に比べてトラブル時の駆けつけ対応に時間がかかる場合があるなど、利用者にご不便をお掛けするケースがあります。当社グループは、このような無人管理のデメリットを最小化し、利用者に「安心・安全・快適」に駐車場・駐輪場をご利用頂けるよう、日々取り組んでおります。

 現在、特に注力している内容は、次のとおりです。

 ・駐車場内のカメラを活用した防犯性の向上及びフラップレス化による安全性・快適性の向上

・各種電子マネーに対応した決済機によるキャッシュレスの推進

・独自のスマートフォンアプリ「SmooPA」の普及及び機能拡張による利便性の向上

(c) CASEへの対応

 ア Connected及びAutonomousについて

 今後の自動運転車両の開発と普及を見据え、これに求められるかたちをイメージした駐車場づくりを進めてまいります。例えば、現在、運営・管理受託駐車場の位置情報の管理や、一部では満車状況の発信等を行っておりますが、今後はデータ化した場内レイアウトを加えることで、駐車までの具体的な動線を車両に対して発信できるものと考え、これに向けた情報の整備を進めてまいります。また、車路や車室の幅にゆとりを持たせ、視認しやすいラインを引く等、駐めやすい設計を標準化することで、自動運転車両だけでなく高齢化社会にも適応した駐車場づくりを目指してまいります。

イ Shared & Servicesについて

 駐車場運営事業者とカーシェア事業者とを当社グループがマッチングし、カーシェア車両の設置台数の増加、すなわちカーシェア業界の発展に貢献してまいります。

 駐車場運営事業者には、運営する駐車場に自動車が駐車していない時間を有効利用し「収益性の向上を図りたい」というニーズがあります。当社グループは、6,078件(2024年6月末現在)の駐車場の管理受託を駐車場運営事業者から請け負っています。つまり、多数の駐車場事業者とのコネクションを有しております。

 一方、カーシェア市場は今後順調に伸びていくことが予想されている業界であるため、カーシェア事業者には、カーシェア車両の設置場所の高いニーズがあることが予想されます。また、カーシェア車両の設置場所には、様々な目的地の近くにあるコインパーキングが適していると考えられます。現在、カーシェア業界は、コインパーキング運営事業者が圧倒的なシェアを占めております。

 この2つのニーズをマッチングし、カーシェアの発展に貢献してまいります。

ウ Electricについて

 駐車場運営事業者と、電気自動車の充電スペース提供事業者とをマッチングし、電気自動車のインフラ整備に貢献してまいります。

 駐車場運営事業者のニーズ及び当社グループが有するコネクションにつきましては、Shared & Servicesで記載のとおりです。

 一方、政府が自動車の電動化目標として「2035 年までに新車販売の100%電動化」を掲げており、電気自動車の普及が進むことが見込まれるなか、電気自動車向けの充電サービスを提供する事業者には、そのサービス拠点となる充電スタンド設置場所の高いニーズがあることが予想されます。コインパーキングは、様々な目的地の近くに位置し、一定時間の駐車が見込まれることから、これに適しているものと考えられます。現在、電気自動車はガソリン車と比較すると充電に要する時間が掛かりますが、コインパーキングの駐車時間に充電が出来ることで、ドライバーの時間的負担が少なくて済みます。

 この2つのニーズをマッチングし、電気自動車向けの充電スタンドの普及に貢献してまいります。

 

②プロパティマネジメント事業

 収益力が低い物件については、売却することにより、プロパティマネジメント事業の収益力の向上に努めていく考えであります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、「売上総利益率」「自己資本利益率」及び「直営及び管理受託の駐車場・駐輪場数及び車室数」の3指標を、目標達成状況を判断するための指標としております。

 「売上総利益率」は、当社の提供する商品及びサービスの対価に占める当社の付加価値割合を表す指標であるため、「喜びの種をまこう 幸せの種をまこう」という経営目的の達成状況が最もよく表れると考えているため、採用しております。

 「自己資本利益率」は、投資家が株主資本の収益性を重視していると認識し、投資家との対話促進を目的として、採用しております。

 「直営及び管理受託の駐車場・駐輪場数及び車室数」は、これらの数値の積み上げが当社グループの持続的な成長に繋がると考えているため、採用しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

① 経営理念・経営方針を実践できる人材の育成

 当社グループは、「喜びの種をまこう 幸せの種をまこう」を目的として、「遊休不動産の有効活用」、「24時間365日サービス」及び「ソフトとハードを組み合わせたシステムの提供」を基本姿勢として、企業価値の向上を目指しております。

 今後も、この経営理念と経営方針を追求して各事業を推進するとともに、これらを支える人材の育成と社員のチャレンジを促進する企業風土の醸成に注力し、企業価値の向上に努めてまいります。

② コインパーキング事業での土地賃貸借契約の解約防止

 地価の動向等の要因により不動産市場が活性化した場合、土地所有者にとっての土地活用の選択肢が増加することにより、賃借駐車場の解約が増加する可能性があります。そのため当社グループでは、定期訪問などにより、土地所有者とのコミュニケーション強化を図り、解約防止に取り組んでまいります。

③ メンテナンスサービス力の強化による顧客満足度の向上

 駐車場機器の販売・保守事業においては、価格競争による利益率の低下が懸念されます。このような状況の中、全国の様々な事例に照らし合わせた最適な駐車場経営を提案することにより、顧客である駐車場運営会社の満足度向上を目指してまいります。また、蓄積した駐車場管理・運営のノウハウを最大限に活用したメンテナンスサービス力をさらに向上させていくことにより、他社との明確な差別化を図ってまいります。

④ 駐車場開設地域の分散による感染症リスクへの対応

 新型コロナウイルス感染症の例と同様に、政府から感染拡大防止を目的とした緊急事態宣言が発出された場合は、外出自粛の影響により、駐車場利用者数が著しく減少することが予想されます。この駐車場利用者数の減少割合は、駐車場の立地により傾向が異なり、繁華街及び駅前等において顕著である一方、郊外の住宅街においては小幅に留まる例が多く見られました。このような状況を踏まえ、今後は住宅街などの郊外への駐車場の新規開設割合を増やし、感染症による売上減少リスクへの対応を図ってまいります。

⑤ 財務体質の強化

 キャッシュ・フロー経営を重視し、賃貸不動産等の当社グループ所有の物件について、相対的に収益力が低いと判断される場合には、当該資産の売却により有利子負債を圧縮し、財務体質の強化を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

(1) サステナビリティに対する考え方

  当社グループは、「喜びの種をまこう 幸せの種をまこう」を企業目的として、より多く人と地域に対しての継続的な社会的価値の提供を目指しております。そのために、当社グループでは「遊休不動産の有効活用」、「24時間365日サービス」及び「ソフトとハードを組み合わせたシステムの提供」を基本姿勢として掲げ、独自のサービスの提供と、それによって創出される新たな価値(喜び・幸せ)を日々追及しており、コインパーキング事業を中心とする事業活動を通じて環境問題・社会問題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。

 

(2)ガバナンス及びリスク管理

 当社グループが、サステナビリティに対する考え方に基づく事業活動を行っていくための取組みは、次のとおりであります。

a. ガバナンス

     当社グループの事業領域において、サステナビリティに係る機会及びリスクへの対応方針については、最高意思決定機関とする取締役会内で協議、決定しております。取締役会においては、社外取締役の豊富な知見に基づく意見を取り入れつつ、監査役による取締役の業務執行状況の監査をもって、合目的性と、社会的価値の高い意思決定がなされるよう努めております。また、決定された対応方針に基づく業務の実施状況は、内部監査室によって監査し、定期的に代表取締役社長に報告することによって、有効性及び効率性が保たれるよう努めております。

b. リスク管理

     当社グループは、サステナビリティ関連の機会及びリスクを含む各種機会及びリスクのマネジメントを目的としてリスクマネジメント委員会を設置し、定期的に機会及びリスクの識別、評価を行っております。同委員会は、特定した機会及びリスクを取締役会に報告し、取締役会はその対応方針を決定します。また、同委員会は、決定された対応方針に基づく目標と進捗状況を管理し、取締役会は定期的にその管理状況を監督しております。

 

(3)人的資本における戦略等

a. 戦略

 当社グループは、コインパーキング利用者及び運営事業者に対し、利便性が高く、安心感のあるコインパーキングを提供することが、当社グループの主な提供価値であると認識しております。このようなコインパーキングの提供を実現するため、駐車場内でのトラブル発生時の対応業務及び駐車場機器の定期点検業務の品質向上に取り組んでおります。当社グループでは、これらの業務の品質向上のためには、業務を行う社員の電気工事士資格保有率の向上が有効であるとの考えのもと、この保有率を目標指標として定めるとともに、目標達成のために賃金制度及び教育体制の充実にも取り組んでおります。具体的な取り組み内容として、賃金制度に関しては、電気工事士資格を有する社員に対し、毎月、資格手当を支給することとしております。教育体制に関しては、新卒社員の新入社員研修時に電気工事士の資格取得講座の受講を義務付けております。

b. 人的資本における指標及び目標

 当社グループでは、第二種電気工事士の資格保有率を目標指標として定めており、同指標の2024年6月期末時点の目標値及び実績値は次のとおりです。

目標値: 60%

実績値: 40%

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に示す体制を以て、当社グループの事業等のリスクの把握及び管理を行っています。特定された各リスクに対しては、発生頻度や影響度合いによる分析及び評価を行い、それらリスクの回避、低減等に向けた対応方法を策定しております。

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、発生頻度については、リスクの顕在化すると思われる時期で評価しており、「高」が2~25年に一度、「中」が26年~50年に一度を目途としております。影響度については、損益影響の可能性が想定される範囲で評価しており、「小」は1億円超、3億円以下を目途としております。

 また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅しているとは限りません。

 

(1)土地所有者との賃貸借契約が解約になるリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループの主力事業であるコインパーキング事業については、土地・駐車場施設の所有者との賃貸借契約に基づく「直営駐車場」と、駐車場管理のみを受託する「管理受託駐車場」から主に成り立っております。

 地価の動向等の要因により不動産市場が活性化した場合、土地所有者にとっての土地活用の選択肢が増加することにより、駐車場用地の賃貸借契約の解約が増加する可能性があり、それに伴い当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 近年、全国的な地価の上昇が見られますが、提出日現在、当社グループにおいて顕著な解約数の増加は発生しておらず、当面の事業継続ならびに業績への影響は限定的であるものと想定しております。

 本リスクへの対応策として、定期的に土地所有者との意思疎通を行い、土地所有者の要望等を認識し適宜対応することで本リスクの低減を図っております。

 

(2)自然災害等のリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 地震、風水害、降雪による雪害その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、コインパーキング事業では、交通インフラの麻痺等により駐車場の利用者が減少し、当社グループにおける直営駐車場の稼働減少が生じる可能性があります。また、プロパティマネジメント事業では、そうした場合に加えて環境問題が発生した場合、賃貸不動産の毀損や補償義務の履行に伴い、当社グループの保有資産の価値低下につながる可能性があり、これらにより当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、北海道から九州にかけて全国的な事業展開を図ること及び賃貸不動産を複数所有することで本リスクの分散を図っております。

 

(3)経済環境の変化に伴うリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 原油価格の高騰等により自動車の道路交通量が著しく減少した場合には、駐車場の利用者が減少し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。市場におけるガソリン価格は、2023年に急激に高まり、その後はそれ以前よりも高い水準で安定している状態にありますが、提出日現在における当社グループへの影響は限定的であります。しかしながら、今後ガソリン価格が更に高い水準となった場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループが所有するオフィスビルへの需要は景気の動向に左右されることから、国内の景気が悪化した場合には、賃料収入の減少と所有資産の価値低下につながり、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 本リスクへの対応策として、コインパーキング事業では、当社グループ自身で運営する直営駐車場事業と他の駐車場運営事業者への駐車場機器販売と保守業務を受託する駐車場事業の2つのビジネスを行うことで本リスクの分散を図っております。

 

(4)地価上昇のリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 地価の高騰は、当社グループが賃借している駐車場用地の賃借料の上昇や駐車場の新規開発段階における土地の賃借料の上昇に繋がる可能性があり、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続の上昇が見られました。当社グループにおいては、一部で土地所有者からの賃借料値上げ要請等が生じておりますが、提出日現在における事業継続ならびに業績への影響は限定的であります。

 本リスクへの対応策は、上記(3)と同様であります。

 

(5)個人情報管理に伴うリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループは、当社グループが運営している駐車場用地の所有者及びスマートフォンアプリ「SmooPA」の利用者等の個人情報を取り扱っているため、不測の事態により個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜により事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、個人情報取扱規程等を定め、社員に周知徹底することで本リスクの低減を図っております。

 

(6)特定の規制の変更及び新たな規制のリスク [発生頻度:中、影響度:小]

 当社グループの事業は、駐車場法、建築基準法、屋外広告物法等の規制の下で駐車場ビジネスを展開しております。これらの法律の変更及び新たな法令の制定によりコスト負担が増加し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、関係法令の改正情報等を早期に入手し、その影響を検討して対策をとるとともに、関係法令の遵守を徹底致します。

 

(7)ITシステムリスク [発生頻度:中、影響度:小]

 当社グループは、駐車場利用者及び駐車場システムの保守委託者である駐車場運営事業者へのサービスの提供、それらに付随する業務等、システム依存度が高い事業を展開しております。自然災害、事故、コンピューターウイルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等により、システムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、駐車場利用者等へのサービスの提供及び事業運営の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、情報セキュリティガイドラインを定め、本リスクの低減を図っております。

 

(8)現金盗難等のリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループは、2024年6月末現在、全国で1,257件の直営駐車場・駐輪場の運営を行っております。これらのコインパーキングにおける利用料の約85%が現金決済であることから、売上金の盗難や紛失が発生した場合、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、駐車料金の決済が可能なスマートフォンアプリ「SmooPA」の普及及び各種電子マネーに対応した決済機の設置に注力しており、キャッシュレス決済の比率を高めることで現金決済比率を低減させ、本リスクの低減を図っております。

 

(9)感染症リスク [発生頻度:高、影響度:小]

 感染症の拡大防止を目的として政府が緊急事態宣言を発出した場合、外出や出勤等による駐車場の利用が減少し、当社グループのコインパーキング事業において、直営駐車場の稼働率の低下並びに駐車場システムの販売及び保守関連の取引が減少する可能性があります。また、社員が感染症に罹患し、社内で感染が拡大した場合には、事業所の閉鎖や事業の一部休業を行う可能性もあり、これらが当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予想される情報を認識しておりません。

 本リスクへの対応策として、北海道から九州にかけて全国的な事業展開を図ることでリスクを分散するとともに、各拠点に勤務する社員の健康と安全を確保するため、感染症拡大状況に応じて時差出勤、在宅勤務等が柔軟にできる体制を整えております。

 

(10)知的財産権に関するリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、弁理士等の外部専門家とも連携し、知的財産権保護のための体制を整備しております。しかし、当社グループの事業に関連する第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、また、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性は否定できないため、このような事態が生じた場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)競合リスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループが行うコインパーキング運営ビジネスは、事業地の調達が大きな要素を占める事業であるため、事業地を既に所有している場合や、調達できるネットワークを有する場合、新規参入障壁は低いと言えます。そのため、業界への新規参入が増加した場合には、競争が激化することにより、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 駐車場機器の販売ビジネスは、参入障壁は必ずしも高いものではなく、新規参入も見られます。そのため、業界への新規参入が増加した場合には、競争の激化により当社グループの駐車場機器の販売が減少し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 上記の両ビジネスに共通して、既存競合先との競争激化により、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)固定資産の損失発生リスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループがコインパーキングを新規開設する際は、その立地の諸条件・集客性・コスト等を検討のうえ、その用地を厳しく選定しております。しかしながら、新規開設後に外部環境の急激な変化等により著しく収益性が低下した場合には、当社グループの解約基準に基づき、駐車場用地の賃貸借契約を解約します。この解約に伴い固定資産の除却損が発生する可能性があります。

 当社のプロパティマネジメント事業では、オフィスビル、賃貸住宅を所有しております。そのため、老朽化・陳腐化したオフィスビルの改装や用途変更等に伴う固定資産除却損や、オフィスビル等の売却による固定資産売却損が発生する可能性があります。

 上記の両事業に共通して、資産グループの収益性低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失が発生する可能性があります。

 上記の損失が発生した場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)有利子負債に関するリスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループは、コインパーキング設備、コインパーキング用地、オフィスビル等の購入資金を、主に金融機関からの借入金等により調達しております。この結果、当連結会計年度末における負債及び純資産合計額に対する有利子負債の割合は下表のとおりであります。

 当社グループは、有利子負債依存度を前連結会計年度末より約6%改善するなど財務の健全化に努めつつ、今後も積極的なコインパーキングの新規開設等を継続する方針でありますが、今後の金融情勢等が変化し金利の大幅な上昇となった場合には、利払い負担の増加により、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

当連結会計年度末

(2024年6月30日)

期末有利子負債残高(A) (注)

2,622,797千円

期末負債及び純資産合計額(B)

6,984,888千円

有利子負債依存度(A/B)

37.5%

(注)有利子負債残高は、1年内返済予定の長期借入金、リース債務及び長期借入金の合計額であります。

 

(14)人材の確保・育成リスク [発生頻度:高、影響度:小]

 当社グループの事業は、「遊休不動産の有効活用」に向けたソリューションを提供するービスであるため、そのサービスを提供する優秀な人材の確保・育成は重要な経営課題となっております。当社グループでは継続的に採用活動を行い優秀な人材の確保と育成に注力しておりますが、人材の確保が計画どおり進まなかった場合や既存の優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの将来の成長力や競争力に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,237,671千円と前連結会計年度末と比べ73,987千円(3.4%)の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の減少33,164千円、リース債権の減少15,653千円及び売掛金の増加123,127千円であります。

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産の残高は、4,747,217千円と前連結会計年度末と比べ36,558千円(0.8%)の増加となりました。その主な要因は、無形固定資産の減少69千円、投資その他の資産の減少25,842千円及び有形固定資産の増加62,470千円であります。

 有形固定資産につきましては、直営駐車場・駐輪場の新規開設に係る設備投資による機械装置及び運搬具の増加118,262千円並びに減損損失による建物及び構築物等の減少73,873千円が主な要因であります。

 無形固定資産につきましては、駐車場検索・利用料金決済が出来るスマートフォンアプリ「SmooPA」の機能拡張によるその他に含まれるソフトウエアの増加8,793千円及び減価償却が進んだことが主な要因であります。

 投資その他の資産につきましては、投資有価証券の減少24,752千円が主な要因であります。

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,959,723千円と前連結会計年度末と比べ40,060千円(2.0%)の減少となりました。その主な要因は、買掛金の増加74,485千円、その他に含まれる未払消費税等の増加64,354千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少232,545千円であります。

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,744,275千円と前連結会計年度末と比べ81,985千円(2.9%)の減少となりました。その主な要因は、直営駐車場・駐輪場の開設による資産除去債務の増加50,723千円、長期借入金の減少116,512千円及びリース債務の減少24,213千円であります。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、2,280,888千円と前連結会計年度末と比べ232,590千円(11.4%)の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金の増加220,823千円であります。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、2023年5月に新型コロナウイルスが5類感染症に移行したことで経済活動が正常化し、個人消費こそ物価高の影響で伸び悩むも、高水準の企業利益が賃金・設備投資に回り始めるなど、緩やかな回復基調が見られました。

 当社グループが属する駐車場業界におきましても、飲食・宿泊等の対面サービスの消費回復に伴って人の流れが増加し、駐車場の稼働が堅調に推移しました。一方で、インボイス制度の施行(2023年10月)、新紙幣の発行(2024年7月)を受けて、駐車場運営事業者は設備の改修・入替を強いられました。

 このような環境のもと、当社グループは、新規駐車場の開設や既存駐車場の料金見直しにより売上の拡大を図りつつ、フラップレス駐車場の推進やインボイス・新紙幣への対応など利用者が安心して使える駐車場づくりに努めて参りました。

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は7,616,755千円(前連結会計年度比10.6%増)、営業利益は549,641千円(同27.7%増)、経常利益は538,465千円(同27.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は292,862千円(同10.2%増)となりました。当連結会計年度における売上総利益率は27.7%(前連結会計年度比0.2%減)、自己資本利益率は13.5%(同0.8%減)となりました。

 

 

 報告セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

a.コインパーキング事業

 当社グループのコインパーキング事業は、主に、コインパーキングの運営ビジネスと駐車場機器の販売・保守ビジネスで構成されています。前者では、土地所有者から当社グループが土地を賃借し、当社グループ直営の駐車場・駐輪場として運営し、後者では、当社グループが駐車場運営事業者に駐車場機器を販売し、当社グループが駐車場システムの保守業務を受託しております。当連結会計年度における直営及び管理受託している駐車場・駐輪場数並びに車室数は以下のとおりであります。

 

 

(直営及び管理受託の運営駐車場・駐輪場数)

区分

当期首

増加

減少

当期末

増減

直営駐車場・駐輪場

   (件)

1,201

109

53

1,257

56

管理受託駐車場・

駐輪場(件)

6,171

377

470

6,078

△93

 

(車室数)

区分

当期首

増加

減少

当期末

増減

直営駐車場・駐輪場

   (車室)

22,507

1,907

1,084

23,330

823

管理受託駐車場・

駐輪場(車室)

113,799

14,169

6,731

121,237

7,438

 

 コインパーキングの運営ビジネスにおきましては、安定的な収益が見込まれる郊外住宅地に加え、北陸新幹線が新規開業した金沢-敦賀間の新駅周辺においても、積極的に駐車場・駐輪場の開設を進めました。

 駐車場機器の販売・保守ビジネスにおきましては、新紙幣発行に伴う紙幣識別機交換の特需に加え、駐車場機器の販売数も前連結会計年度を上回りました。大口顧客の解約の影響で管理受託件数は通期で減少となったものの、医療施設の大型駐車場や商業施設の駐輪場の管理受託によって管理車室数は大きく増加しました。

 その結果、当連結会計年度における外部顧客への売上高は7,478,038千円(前連結会計年度比10.6%増)、セグメント利益は1,032,312千円(同15.0%増)となりました。

b.プロパティマネジメント事業

 当連結会計年度においては、コストの見直し及び不要不急の投資を控え、利益の確保に努めました。その結果、外部顧客への売上高は131,735千円(前連結会計年度比8.2%増)、セグメント利益は6,593千円(同150.8%増)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,395,275千円(前連結会計年度比2.3%減)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によって得られた資金は788,188千円(前連結会計年度は得られた資金563,834千円)となりました。その主な要因は、税金等調整前当期純利益471,716千円、減価償却費370,250千円、減損損失73,873千円、売上債権の増加額107,473千円及び法人税等の支払額172,749千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動に使用した資金は356,292千円(前連結会計年度は使用した資金415,710千円)となりました。その主な要因は、特定投資株式の保有目的見直しに伴う売却に係る投資有価証券売却による収入62,256千円及び直営駐車場・駐輪場の新規開設に係る有形固定資産の取得による支出385,673千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動に使用した資金は465,060千円(前連結会計年度は使用した資金338,492千円)となりました。その主な要因は、直営駐車場に係る設備投資等のための長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出749,057千円、リース債務の返済による支出43,964千円及び配当金の支払額72,038千円であります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

 生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

a.生産実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

b.受注実績

 当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年7月1日

至 2024年6月30日)

金 額(千円)

前期比(%)

コインパーキング事業

7,478,038

110.6

プロパティマネジメント事業

131,735

108.2

その他

6,982

148.0

合 計

7,616,755

110.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 なお、当社グループの資金需要のうち、運転資金にかかる主なものは、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、投資にかかる資金需要の主なものは、コインパーキング事業にかかる設備投資やプロパティマネジメント事業にかかる設備投資によるものであります。

 これらの資金需要に対し、運転資金については営業キャッシュ・フローで充足し、設備投資については主に金融機関からの長期借入により調達することを基本としております。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。