第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、計画、目標等に関してはリスクや不確実性を内包しており、その実現を保証するものではありません。

(1)経営方針

① 経営の基本方針

 当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案します。」を企業理念とし、「豊かで実りある高齢社会」づくりに貢献することを使命として、企業行動基準及び社員行動指針を定めております。

 企業行動基準は、「お客様への約束」、「社会への約束」及び「従業員への約束」からなり、「お客様に魅力的な介護サービスを提供すること」、「積極的に情報開示し、法令を遵守する、社会に信頼される企業であること」、「従業員にチャレンジする機会とやりがいのある職場環境を提供すること」を目指していくことを約束いたします。

 また、社員行動指針は、当社グループの社員が目指すべき姿勢・考え方を示しております。

 上記、企業理念、企業行動基準及び社員行動指針に基づき事業を展開することにより社会に貢献するとともに、事業計画を着実に推進することで経営基盤の強化と財務体質の改善に努めてまいります。

② 目標とする経営指標

 当社グループは介護を必要とするより多くの方々に有料老人ホームをご利用いただくという観点から入居率及び稼働率を重視しております。また、入居者様に安心して生活いただけるように安定した経営と堅実な成長を続けることを重視し、売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでまいります。

③ 中期的な会社の経営戦略

わが国における高齢者人口は今後も増加していくことが考えられ、これにともない、高齢者単独世帯も増加し、介護サービスの提供を考慮した高齢者住宅の需要拡大が見込まれます。このような状況のなか、当社グループは業績拡大にあたり、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏及び近畿圏の都市部において、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア(グラン)」シリーズを開設するとともに、「チャーム」シリーズ、「チャームスイート」シリーズの開設も含めたバランスの取れた積極的な新規開設を行い、規模の拡大を行うことが必要不可欠であると考えております。

当社グループは、今後も引き続き介護付有料老人ホームを中心とした施設介護事業の更なる展開を進めていくとともに、介護事業にとどまらない安定的な収益基盤を確立するうえで、不動産事業の拡大を図ってまいります。

また、中期目標として、連結売上高1,000億円を掲げており、積極的な事業投資と安定した業績成長を両立し、増収増益を継続できる企業を目指してまいります。

 

 (2)経営環境

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、社会経済活動が制限され、厳しい状態で推移いたしました。2022年3月以降、行動制限の緩和により、景気の持ち直しが期待されたものの、直近においては新たな変異株の蔓延により感染者が急増し、また、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制などの要因を背景としたエネルギー価格や物価の上昇に加え、急激な円安の進行もあり、先行きの不透明感は増しております。

介護業界におきましては、今後も高齢者人口は増加していき、これにともない高齢者単独世帯も増加し、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。一方で、異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護職における雇用情勢につきましては、2022年6月の有効求人倍率は3.52倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.09倍を大きく上回り、介護職員の確保が引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。

そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という企業理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスの提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。

また、より良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれがライフスタイルに応じて働けるよう、働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化やIT機器の導入等による業務効率化も進めております。今後とも当社グループは、お客様へより質の高いサービスを提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。

 

 

 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

介護業界におきましては、異業種からの新規参入による競争の激化等により、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という経営理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスのご提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めております。

なお、当社グループが対処すべき主要な課題は以下の項目であると認識しております。

 

① 住宅型有料老人ホームの事業基盤確立

住宅型有料老人ホームにつきましては、特定施設の総量規制(※)の動向に左右されることなく事業を拡大するための基盤づくりが必要であると考え、計5ホームを運営しております。当社グループではこのビジネスモデルの事業としての基盤確立を図るため、今後も開設するホームの地域特性を考慮したうえで、住宅型有料老人ホームの開設を進めてまいります。

 

※ 特定施設の総量規制とは、自治体(主に都道府県)が民間による居住系サービスの新規開設を拒否できるという規制であります。

 

② 不動産事業の収益化の実現及び新規事業の創設

社会保障財政がひっ迫するなか、介護保険制度の将来を考えると、持続的成長を可能とする、介護事業だけにとどまらない事業基盤の強化が不可欠であります。そのために不動産事業への領域拡大及びさらなる新規事業の創設を通じて、暮らし・住まい・介護に関わる複合的なサービスをご提供していきたいと考えております。

当社グループが行う不動産事業におきましては、ヘルスケア物件を対象とした不動産開発及び売却を拡大するとともに、豊富に入る不動産情報を活かし、ヘルスケア物件に限定しない不動産の事業収益化(取得、開発、賃貸、売却、仲介などによる収益化)も進めてまいります。引き続き、自社グループで保有する物件の売却を進め(ホームの運営は継続)アセットライト経営を志向することにより、親会社株主に帰属する当期純利益の増益も見込んでおります。

さらに、介護事業、不動産事業に続く第3の柱とするべく、当社において2022年7月より新たな部門として「事業構想室」を設置し、新規事業の創設や事業規模・領域の拡大のため、M&Aも積極的に進めてまいります。

 

③ 労働力の確保

今後の介護サービス需要の拡大にともない懸念される労働力不足の問題は、当社グループにおきましても重要な経営課題と認識しており、従業員の定着率の向上のため、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいります。

 

④ コンプライアンス・内部統制の充実

介護保険制度下の事業者として社会的責任を果たすべく、引き続き法令遵守を徹底することに加え、企業経営の透明性と開示情報の正確性を確保させるため、内部統制システムの整備に関する方針を定め、内部統制の構築を推進してまいります。

 

⑤ 財務体質の改善

当社グループは積極的な事業拡大に際して、設備投資資金を主として金融機関からの借入により調達してまいりましたので、有利子負債比率が高い水準にあります。このため、今後の企業間競争に耐えうるべく財務体質の改善が急務であると認識しており、有利子負債の圧縮と自己資本比率の向上に努めることで、より健全性の高い経営に努めてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

① 介護保険制度について

当社グループの事業の中心となる介護付有料老人ホーム事業は、介護保険法に定める居宅サービスのうち「特定施設入居者生活介護」において、都道府県知事等より「指定居宅サービス事業者」の指定を受け、介護報酬の給付を受けております。「指定居宅サービス事業者」の指定を受けるには、「指定居宅サービス等の事業の人員、設置及び運営に関する基準」(介護保険法に基づく厚生労働省令)を満たしている必要があり、その基準に達しないことで、監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが運営する住宅型有料老人ホームの場合においても、介護サービスの提供にあたり、介護保険法に定める居宅サービスのなかで必要に応じて「訪問介護」「通所介護」「居宅支援事業」等のそれぞれの指定が必要であり、各指定基準において監督官庁より行政処分を受けた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループのホームは現在それらの基準をすべて満たしておりますが、今後万が一、上記基準が満たせなくなった場合には、定められた介護報酬よりも減額される可能性があり、また、そうした期間が長期間にわたる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

2000年4月1日に施行された介護保険法は、3年毎に各都道府県・各市町村において保険事業計画の見直し、さらには介護保険法附則第2条において、施行後5年目を目途として制度全般に関して検討が加えられ、その結果に基づき必要な見直し等の措置が講ぜられるべきものとされております。2006年4月1日に施行された改正介護保険法では施設開設における総量規制が取り入れられ、介護報酬については、2009年、2012年、2014年(消費税増税分を補てんする意味合いからの臨時改定)、2015年、2017年(介護職員の処遇改善のための臨時改定)、2018年、2019年(消費税率の引上げ及び介護職員の処遇改善のための臨時改定)、2021年及び2022年に改定が行われました。

2018年4月の介護報酬改定は、2015年4月の介護報酬引下げに伴う介護事業者の厳しい経営状況及び介護職員の処遇改善等の必要性を踏まえ、小幅ながらも6年ぶりのプラス改定となりました。

また、消費税率の引き上げに伴う2019年度の臨時介護報酬改定につきましては、勤続年数10年以上の介護福祉士を中心とした特定処遇改善加算を中心としたプラス改定となっており、2021年、2022年にも介護報酬の処遇改善のための随時改定が行われております。

今後、介護報酬の引下げ等の介護事業者に不利な改正がなされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

今後のさらなる高齢化に伴い介護サービスへのニーズの高まりが推測され、異業種からの新規参入や同業他社の事業拡大のスピードが加速されるものと考えられます。よって、当社グループが事業展開している地域において品質向上のためのコスト増加や価格競争のさらなる激化等が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、2006年4月1日の介護保険法改正より続いている特定施設の総量規制が緩和された場合、当社グループにおいては新規開設による拡大スピードの加速化といった利点がある反面、競合が激化し新規ホームの入居ペースの鈍化のみならず、既存ホームにおいても入居率の低下につながることも懸念されます。このため、制度改正に伴い、新規参入業者が増加した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定事業への依存に関するリスク

当社グループの事業領域は介護業界のなかでも、介護付有料老人ホームを中心とした施設介護事業に集中しております。施設介護事業を含む介護業界は高齢化に伴う市場ニーズの増大により、今後もさらなる需要拡大が見込まれておりますが、今後の業界動向は介護保険法改正等の様々な外部の影響を受けることとなります。このため、在宅介護を中心とする介護保険制度への転換を意図した介護保険法や老人福祉法の改正等によって、施設介護事業を中心とした事業戦略からの転換を強いられた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 従業員の確保について

「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた介護付有料老人ホームには、人員に関する基準(資格要件、配置基準)が定められております。また、介護業界の成長に伴い、介護サービスの需要の増大や競争激化による労働力不足が懸念されている状況であります。当社グループでは、事業規模の拡大に伴い、人材の確保・育成に向けて、新卒採用及び中途採用を積極化するとともに、定着率向上のためのキャリアパス制度の再構築をはじめ、処遇改善、人事制度の見直し、教育研修制度の充実などの取り組みを行っております。しかしながら、このような施策の効果が充分に得られず、従業員の確保や配置が進まない場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 新規ホームの開設について

当社グループは事業拡大にあたり、今後も計画的な新規ホームの開設を進めていく所存ですが、「①介護保険制度について」で記載のとおり、2006年4月1日の介護保険法改正に伴って施設開設に対する総量規制が行われていることから、特定施設の新規開設に当たっては、各都道府県・各市町村の事業計画にしたがった公募に対して、介護事業者が応募し選定を受ける必要があります。当社グループは各都道府県・各市町村の動向やニーズを適宜把握する等の対応をしておりますが、計画通りに選定を受けることができなかった場合、当社グループの事業計画遂行に影響を及ぼす可能性があります。さらに、選定を受け、新規ホームが開設できたとしてもご入居者様の入居が円滑に進まなかった場合、あるいは従業員の募集が円滑に進まずサービスが提供できない状態が長期間続いた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 有料老人ホームにおける土地・建物に関する契約について

当社グループが運営する有料老人ホームは、土地の定期借地契約及び建物の賃貸借契約において20年以上の契約期間を定めております。なお、原則としてその期間は解約ができないことから、当社グループにとっては安定かつ継続的に土地・建物を賃借し運営できる反面、入居率の低下等に伴い利用料金の見直しが必要になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす場合があります。

 

⑦ 差入保証金について

当社グループは介護付有料老人ホームの新規開設における賃借時に保証金を差し入れております。差入保証金の残高は2022年6月30日現在4,770百万円となっており、総資産に占める比率は12.8%であります。

当社グループは、新規開設の際の与信管理を徹底していますが、賃借先のその後の財政状態の悪化等によって、差入保証金の全部又は一部が回収できなくなった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 有利子負債について

当社グループは今まで新規ホームの開設に伴う設備投資資金及び不動産事業に係る投資資金を主として金融機関からの借入により調達してまいりましたので、総資産に対する有利子負債残高の割合が次表のとおり高い水準で推移しております。

今後の新規ホームの開設は、土地所有者に建物を建築していただき、一括賃借する方法などにより有利子負債増加の抑制を図っているものの、これまでの影響から当分の間は有利子負債依存度が相対的に高い水準で推移していくことが予想されます。

このような状況の中、金融情勢の変化などにより計画どおりに資金調達ができず、計画的なホーム開設及び不動産事業に係る新規投資が困難となる場合や市場金利の上昇により資金調達コストが増大した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

当連結会計年度末

(2022年6月30日)

有利子負債残高(千円)

10,880,530

総資産残高(千円)

37,355,446

有利子負債依存率(%)

29.1

(注)1.有利子負債残高は、借入金及びリース債務の合計であります。

2.有利子負債依存率は、有利子負債残高を総資産残高で除した数値を記載しております。なお、下表に記載の借入契約につきましては、財務制限条項が付されております。これに抵触した場合には当該借入金の返済もしくは新たな担保権の設定を求められ、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

金融機関名

契約締結日

当連結会計年度末

借入残高

借入種別

株式会社

三菱UFJ銀行

2015年7月13日

655,200千円

金銭消費貸借契約

株式会社

りそな銀行

2013年9月26日

361,744千円

金銭消費貸借契約

2015年10月28日

445,200千円

金銭消費貸借契約

2020年9月28日

1,351,444千円

金銭消費貸借契約

株式会社

みずほ銀行

2021年12月10日

983,335千円

金銭消費貸借契約

 

⑨ リース取引の分類の変更の可能性について

当社グループには、土地及び建物を賃借して運営しているホームがあります。その賃貸借契約には、契約期間中に中途解約を行った場合、規定損害金を支払わなければならないと定められておりますが、当社が指定した後継賃借人が契約の継続的履行を承諾した場合には、規定損害金の支払義務が免除されることが併せて定められております。当社グループは、各ホームの業績、市場環境等を総合的に勘案した結果、各ホームにおいて後継賃借人を指定することが容易であると判断した場合、当該賃貸借契約は規定損害金を支払うことなく解約可能であり、オペレーティング・リース取引と判断しております。
  しかし、リース会計基準の変更、各ホームの業績および市場環境の悪化等が発生した場合には、リース取引の分類をファイナンス・リース取引に変更しなければならない可能性があります。これに伴いオペレーティング・リース取引と判断した賃貸借契約をオンバランス処理することとなった場合、リース資産及びリース債務が連結財務諸表に計上されるため、当社グループの自己資本比率が現状より低下する可能性があります。
  なお、2022年6月30日現在において該当の土地及び建物に係る未経過リース料の総額は145,715百万円であります。

⑩ 固定資産の減損リスクについて

当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」を適用しております。今後資産の利用状況及び資産から得られるキャッシュ・フローの状況等が悪化し、減損処理が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ 自然災害について

当社グループは、2022年6月末現在、首都圏及び近畿圏において事業を展開しておりますが、これらの地域において予測不能な地震、風水害等の自然災害が発生し、ホームに影響が生じ業務を停止せざるを得ない状況や、建物や設備が損傷しその修復に多大な費用が必要となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 高齢者向けの事業であることについて

当社グループの事業は高齢者を対象としているため、ご入居者様がホームで生活をしていく上で移動中の転倒事故等の危険性があると考えております。また、ホーム内では食事や入浴等の介護サービスの提供を行っていることから、ご入居者様の集団感染あるいは食中毒が発生する可能性もあります。

当社グループは過去の運営実績をもとにした事故防止対策や、うがい・手洗い・アルコール消毒剤等での手指消毒の徹底による感染症の集団発生の予防をはじめとした安全管理や健康管理、あるいはご入居者様への食事の外注先である給食業者への衛生管理の徹底に万全を期するよう取り組んでおりますが、万が一ホーム内での事故や感染症の流行、食中毒等が発生した場合には、当社グループの信用が低下するとともに訴訟等で損害賠償請求を受ける恐れがあり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、ご入居者様が事故や病気等の理由により入院治療が必要となるなど、何らかの理由により一時的に退去者数が増加した場合にも稼働率が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ 情報管理について

当社グループの事業を運営するにあたり、ご入居者様あるいはそのご家族様の重要な個人情報を取り扱っております。システム上の情報管理については漏洩防止のため、ファイアーウォールによる外部ネットワークからのアクセス遮断、ウィルス対策ソフトによるマルウェアなどからの保護を実施するほか、原則ノートパソコンなどの電子機器の持ち出しを禁止しております。また、ノートパソコンには、起動時のパスワード管理を実施しており、第三者が容易に起動させることができない設定となっております。以上の対策を厳重に講じておりますが、万が一システム等からの情報が流出し、当社グループの信用が低下した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ 風評等の影響について

当社グループの事業は、ご入居者様やそのご家族様のみならず地域住民や介護にかかわる方々からの信頼のもとに成り立つものと認識しており、従業員には経営理念を浸透させ、安定的かつ質の高いサービスを提供するよう指導、教育を行っております。しかしながら従業員の不祥事等何らかの理由で、社内、社外を問わず当社グループに対して不利益な情報や風評が流れた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ 不動産事業について

当社グループは、主にヘルスケア物件を対象とした不動産開発事業及びその他不動産事業への領域拡大を検討しておりますが、不動産取引は、市場環境の変化や契約条件の交渉状況によって、当社グループが保有する資産の評価損や売却損が生じる可能性があります。また、不動産開発の遅延及び中止の可能性並びに想定以上に建築費用等の費用が発生する可能性に加え、今後不動産に関連する法規(宅地建物取引業法、建築基準法等)の改廃や新設が行われる可能性もあります。これらの可能性が顕在化された場合には、当初想定した通りの収益が確保できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ 新型コロナウイルス感染症について

新型コロナウイルス感染症の国内における感染拡大にともない、営業活動の自粛等により新規入居が低調に推移した場合、新規開設ホームにおいて当初想定した通りの収益が確保できず、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

また、ホーム内での集団感染を予防するため、当社グループではスタッフの感染症予防はもちろんのこと、ご入居者様・ご家族様・ご来訪者様に対しましても、来訪・外出の原則お断り、ホーム来訪時の手洗い・うがい・手指消毒・検温等の徹底により、ご入居者様の安全確保、健康維持に努めておりますが、万が一ホーム内で集団感染が発生した場合には、当社グループの信用が低下するとともに、入院されるご入居者様が一時的に増加して稼働率が低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、社会経済活動が制限され、厳しい状態で推移いたしました。2022年3月以降、行動制限の緩和により、景気の持ち直しが期待されたものの、直近においては新たな変異株の蔓延により感染者が急増し、また、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制などの要因を背景としたエネルギー価格や物価の上昇に加え、急激な円安の進行もあり、先行きの不透明感は増しております。

介護業界におきましては、今後も高齢者人口は増加していき、これにともない高齢者単独世帯も増加し、介護サービスに対する需要拡大が見込まれます。一方で、異業種からの新規参入により競争が激しさを増しています。加えて、介護職における雇用情勢につきましては、2022年6月の有効求人倍率は3.52倍(全国平均・常用(パート含む))と全職種平均の1.09倍を大きく上回り、介護職員の確保が引き続き課題となっているなど、当業界を取り巻く環境は厳しさを増しております。

そのような状況のなか、当社グループは、「高齢者生活サービスを中心として、お客様お一人おひとりの価値観を大切にし、お客様にあった魅力的な生活を提案する」という企業理念を掲げ、開設エリアのお客様のニーズに応じた価格設定及びお客様にとって魅力的な介護サービスの提供を通じて競争優位性の確保に向けた取り組みを進めてまいりました。

また、より良い人材の確保及び定着に向け、処遇改善を行うとともに、従業員それぞれがライフスタイルに応じて働けるよう、働き方の選択肢を増やしました。また、ホーム運営における人員配置の適正化やIT機器の導入等による業務効率化も進めております。今後とも当社グループは、お客様へより質の高いサービスを提供できるよう、従業員が働きやすい職場環境づくりに邁進してまいります。

当社は、第2四半期連結会計期間より、2021年11月30日付で子会社化した、介護付有料老人ホームを運営する株式会社ライクを連結対象に含めており、自社ホームの新規開設のみならず、M&Aによる事業の拡大も進めております。

当連結会計年度の業績におきましては、株式会社ライクの子会社化にかかる株式取得費用(41百万円)及びのれんの償却額(136百万円)が発生しております。また、世界的な原油価格高騰の影響により当社グループの運営するホームにおける電気代やガス代など光熱費が前期より20%以上上昇しております。これらの影響により連結業績における営業利益及び経常利益は当初の計画を下回る結果となりましたが、株式会社ライク所有物件の売却による売却益等により、親会社株主に帰属する当期純利益は概ね計画に近い結果となり、前期を大きく上回りました。

当連結会計年度における、ホームの運営状況につきましては、運営ホーム数の合計は76ホーム、居室数は5,203室(連結子会社である株式会社ライクの4ホーム、410室を含む)であります。ホームの入居状況につきましては、開設2期目を経過した当社既存ホームにおける通期平均入居率が94.0%(前期は95.4%。連結子会社である株式会社ライクの4ホームは78.7%(当第3四半期累計期間では76.1%))となっております。当連結会計年度においては、新型コロナウイルス、特にオミクロン株の感染拡大による影響を受けており、オミクロン株は感染力が強い反面、症状が出にくいため、感染者が判明した時点ですでに多くのご入居者様やスタッフに感染が広まっており、クラスターの発生頻度が前期より多くなりました。クラスターが発生したホームでは新規入居の促進を控えざるを得ない状況となり、入居率低下の一因となっております。しかしながら、そのような状況のなかにあっても、既存ホーム全体としては依然として高い入居率を維持しており、開設2期目未経過のホームの入居につきましても着実に進んでおります。

また、当連結会計年度より、その他の事業として、主にヘルスケア物件を対象とした不動産開発に係る新規事業が業績に反映されており、期初の計画以上の売上及び利益を計上することができております。加えて、アセットライト経営を志向し、当社および子会社のホーム土地・建物の売却(売却と同時に賃借し運営は継続)も進めており、特別利益を計上しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は29,071百万円、営業利益は2,309百万円、経常利益は2,501百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は2,951百万円となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、経営成績の状況について対前期増減率は記載しておりません。「収益認識に関する会計基準」等の適用に関する詳細については、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(会計方針の変更)」をご覧ください。

 

 

 

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

a.介護事業

介護事業の当連結会計年度の売上高は25,075百万円、セグメント利益は2,502百万円となりました。

第2四半期連結会計期間より、2021年11月30日付で子会社化した株式会社ライクの業績を介護事業に含めており、当連結会計年度につきましては、株式会社ライクの2021年10月から2022年6月までの9ヶ月間の業績を含めております(みなし取得日は2021年10月1日)。株式会社ライクは大阪府において4ホームの介護付有料老人ホームの運営を行っております。

なお、ホームの新規開設の状況につきましては、介護ニーズの伸長が見込まれる首都圏の都市部において、高級住宅地を中心に、アッパーミドル~富裕層をターゲットとした高価格帯ブランド「チャームプレミア(グラン)」シリーズを開設するとともに、「チャーム」シリーズ、「チャームスイート」シリーズの開設も行い、バランスの取れた積極的な新規開設を進めております。

 

当連結会計年度における新規開設の状況は以下のとおりです。

案件

所在

居室数

開設年月日

チャームスイート奈良学園前

奈良県奈良市

74室

2021年9月

チャームスイート経堂

東京都世田谷区

65室

2021年9月

チャームプレミア グラン 御殿山

東京都品川区

34室

2021年10月

チャーム石神井台

東京都練馬区

79室

2022年2月

チャーム光が丘

東京都練馬区

66室

2022年2月

チャームスイート京都紫野

京都市北区

57室

2022年3月

チャームスイート代田橋

東京都杉並区

95室

2022年4月

チャームプレミア浜田山

東京都杉並区

34室

2022年6月

合計8ホーム(首都圏6ホーム、近畿圏2ホーム)

 

504室

 

 

b.その他事業

その他の事業として、連結子会社である株式会社グッドパートナーズが行っている人材派遣、人材紹介、訪問看護等の事業に加え、当連結会計年度より、主にヘルスケア物件を対象とした不動産開発事業及びその他の不動産事業を開始しております。当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の状況にあっても、介護人材の需要は減少しておらず、人材派遣等の売上高及び利益は着実に推移しており、また不動産事業については、期初の計画を上回る売上・利益を計上することができました。

以上の結果、その他事業の当連結会計年度の売上高は4,233百万円、セグメント利益は652百万円となりました。

 

財政状態の状況は次のとおりであります。

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は37,355百万円となり、前連結会計年度と比べ8,757百万円増加いたしまし

た。このうち、流動資産合計は17,075百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,282百万円増加いたしまし

た。この主な要因は、現金及び預金が1,000百万円、金銭の信託が4,443百万円増加したことによるものであり

ます。固定資産合計は20,279百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,474百万円増加いたしました。この主

な内訳は、有形固定資産が1,418百万円、のれんが2,560百万円、投資有価証券が300百万円、繰延税金資産が736百万円増加した一方で、金銭の信託が4,097百万円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は24,896百万円となりました。このうち、流動負債合計は16,277百万円とな

り、前連結会計年度末に比べ8,445百万円増加いたしました。この主な要因は契約負債が8,870百万円増加した

ことによるものであります。固定負債合計は8,619百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,021百万円減少い

たしました。この主な要因は、長期借入金が2,684百万円増加した一方で、長期前受収益が3,922百万円減少し

たことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は12,458百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,332百万円増加いたしま

した。この主な要因は、利益剰余金が1,296百万円増加したことによるものであります。

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,000百万円増加し、6,941百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、得られた資金は3,945百万円(前連結会計年度は2,558百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,536百万円、契約負債の増加額7,049百万円及び減価償却費604百万円により資金を得た一方で、法人税等の支払額1,042百万円及び前受収益の減少額5,642百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、支出した資金は2,857百万円(前連結会計年度は3,704百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,597百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,438百万円及び差入保証金の差入による支出538百万円があった一方で、有形固定資産の売却による収入により5,324百万円の資金を得たことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、支出した資金は87百万円(前連結会計年度は1,472百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入4,497百万円により資金を得た一方で、長期借入金の返済による支出3,316百万円、短期借入金の純減額769百万円、配当金の支払額391百万円があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

該当事項はありません。

 

b.受注実績

該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

介護事業(千円)

25,075,015

その他事業(千円)

3,996,816

合計(千円)

29,071,832

  (注)なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の

     期首から適用しており、2022年6月期に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の数値と

     なっているため、対前年同期比率は記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表を作成するにあたって、当連結会計年度における資産・負債及び当連結会計年度の収益・費用の報告数値並びに開示に影響を与える見積りを行っております。当該見積りに際しては、過去の実績や状況に応じて、合理的と思われる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性により、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なもの及び新型コロナウィルス感染症拡大による影響に係る会計上の見積りの前提は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績等

1)財政状態

当社グループの当連結会計年度の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

2)経営成績

(売上高)

当連結会計年度における売上高は29,071百万円となりました。これは主に、開設2年目を経過した当社既存ホームにおいて94.0%(前期95.4%)と高い入居率を維持していることによるものであります。開設2年未満のホームの入居につきましても順調に進んでおります。

(売上総利益)

売上原価につきましては、24,422百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に開設した5ホーム及び当連結会計年度に開設した8ホームの運営経費(労務費、地代家賃、給食費等)が増加したほか、水道光熱費の上昇やコロナ対応コストが発生したことによるものであります。

この結果、売上総利益は4,649百万円となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費につきましては、2,340百万円となりました。これは主に、企業規模の拡大に伴う租税公課や支払手数料の増加、のれん償却費が発生したことによるものであります。

この結果、営業利益は2,309百万円となりました。

(経常利益)

営業外収益につきましては、補助金収入233百万円等を、営業外費用につきましては、支払利息67百万円等を計上しております。

この結果、経常利益は2,501百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益は4,536百万円となる一方で、法人税等は1,584百万円となりました。

この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は2,951百万円となりました。

また、1株当たり当期純利益は90円50銭となりました。

 

3)キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの中心事業である介護事業は、介護付有料老人ホームの運営がその大部分を占めております。介護付有料老人ホームは、介護保険法に基づき各都道府県より指定を受け、介護報酬の給付を受けておりますため、介護報酬の基準単価等の給付水準が変更されるような介護報酬の改正がなされた場合には、当社グループの事業の状況に関わらず、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

また、今後の介護サービス需要の拡大に伴い懸念される労働力不足の問題は、当社グループにおきましても重要な経営課題と認識しております。当社グループとしましては、人材の確保・育成に向けて、長期的な労働力確保を視野に入れた新卒採用の強化や従業員の処遇改善の充実、キャリアパス制度の適切な運営、実践に即した教育研修の実施などの取り組みを進めてまいりますが、このような施策の効果が十分に得られず、人員の確保に多額のコストが掛かる場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは運営資金及び設備資金につき、主として自己資金及び金融機関からの借入により資金調達しており、運転資金については短期借入金で、設備資金については長期借入金で調達することを基本としております。

なお、当連結会計年度末時点における長期借入金(1年内返済予定を含む)の残高は8,514百万円、短期借入金の残高は2,140百万円、現金及び預金は6,941百万円となっております。

 

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

当社グループは「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針 ②目標とする経営指標」に記載のとおり、有料老人ホームの安定した運営の観点から入居率及び稼働率を、また、安定した経営と堅実な成長の持続という観点から売上高成長率及び売上高経常利益率を重要な経営指標と位置付け、これらの向上を重視して経営に取り組んでおります。

当連結会計年度における、開設2年目を経過した当社既存ホームにおける入居率は94.0%と前期比1.4ポイント低下し、前期実績は僅かに下回ったものの、引き続き業界トップレベルの高い数字を維持しております。

当社グループは、引き続き当該指標の向上に取り組み、業界No.1を目指してまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

(株式譲渡契約)

 当社は、2021年9月28日開催の当社取締役会において、株式会社ライクの発行済株式の全部を取得し子会社化することを決議し、同日付で株式譲渡契約を締結し、2021年11月30日付で全株式を取得いたしました。

 詳細は、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(固定資産の譲渡)

(1)ルナハート千里 丘の街

 当社は、2022年1月28日開催の取締役会において、固定資産の譲渡を決議し、2022年2月1日付で売買契約を締結いたしました。

 なお、当該固定資産の譲渡と同時に、譲渡先を賃貸人、当社を賃借人とする当該固定資産についての賃貸借契約を締結し、引き続き当社が、介護付有料老人ホーム「ルナハート 千里 丘の街」の運営を行ってまいります。

 

①譲渡の理由

  資産の効率化及び財務体質の向上を図るため

 

②譲渡資産の概要(ルナハート 千里 丘の街)

  所在地:大阪府吹田市新芦屋上3番20号(住居表示)

  土地:4,747.49㎡(公簿面積)

  建物:鉄筋コンクリート造地下1階付6階建 延床面積5,193.19㎡

  譲渡益:775百万円

  状況:有料老人ホーム

 

③譲渡先の概要

   譲渡先(国内の一法人)につきましては、当社と譲渡先間の守秘義務契約に基づき、詳細の公表は控えさせて

  いただきます。

   なお、当社と譲渡先との間には、記載すべき資本関係、人的関係及び取引はありません。

 

④譲渡の日程

  決済・物件引渡日:2022年2月10日

 

(2)花咲新町

 当社は、2022年3月30日の取締役会において、連結子会社である株式会社ライクが保有する固定資産の譲渡を決議し、2022年3月30日付で売買契約を締結いたしました。

 なお、当該固定資産の譲渡と同時に、譲渡先を賃貸人、株式会社ライクを賃借人とする当該固定資産についての賃貸借契約を締結し、引き続き株式会社ライクが、介護付有料老人ホーム「花咲新町」の運営を行ってまいります。

 

①譲渡の理由

  資産の効率化及び財務体質の向上を図るため

 

②譲渡資産の概要(花咲新町)

  所在地:大阪市西区新町二丁目15番22号(住居表示)

  土地:1,310.94㎡(公簿面積)

  建物:鉄筋コンクリート造10階建 延床面積5,250.01㎡

  譲渡益:818百万円

  状況:有料老人ホーム

 

③連結子会社の概要

  商号:株式会社ライク

  所在地:大阪市北区中之島三丁目6番32号

  代表者:代表取締役社長 奥村 孝行

  主な事業内容:有料老人ホーム、老人介護施設の経営並びに運営管理

  資本金:50百万円

 

 

④譲渡先の概要

  商号:株式会社クリエイトビィ

  所在地:大阪市中央区心斎橋筋二丁目2番21号

  代表者:代表取締役 竹田 行彦

  主な事業内容:不動産の売買・仲介・賃貸及び管理業

  資本金:10百万円

  当社との関係:資本関係、人的関係及び取引関係はありません。

 

⑤譲渡の日程

  決済・物件引渡日: 2022年3月30日

 

(3)花咲

 当社は、2022年6月29日の取締役会において、連結子会社である株式会社ライクが保有する固定資産の譲渡を決議し、2022年6月29日付で売買契約を締結いたしました。

 なお、当該固定資産の譲渡と同時に、譲渡先を賃貸人、株式会社ライクを賃借人とする当該固定資産についての賃貸借契約を締結し、引き続き株式会社ライクが、介護付有料老人ホーム「花咲」の運営を行ってまいります。

 

①譲渡の理由

  資産の効率化及び財務体質の向上を図るため

 

②譲渡資産の概要(花咲)

  所在地:大阪府八尾市北本町二丁目10番50号(住居表示)

  土地:1,655.99㎡(公簿面積)

  建物:鉄筋コンクリート造陸屋根7階建 延床面積4,965.12㎡

  譲渡益:439百万円

  状況:有料老人ホーム

 

③連結子会社の概要

  商号:株式会社ライク

  所在地:大阪市北区中之島三丁目6番32号

  代表者:代表取締役社長 奥村 孝行

  主な事業内容:有料老人ホーム、老人介護施設の経営並びに運営管理

  資本金:50百万円

 

④譲渡先の概要

  商号:野村不動産プライベート投資法人

  所在地:東京都新宿区西新宿八丁目5番1号

  代表者:執行役員 須賀 智仁

  主な事業内容:投資運用等

  当社との関係:資本関係、人的関係及び取引関係はありません

 

⑤譲渡の日程

  決済・物件引渡日: 2022年6月29日

 

 

5【研究開発活動】

該当事項はありません。